企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 651
:大黒屋:2011/07/19(火) 21:55:21
- 「せっかくなので」シリーズ第3段!(?)そろそろ百物語組も増えてきた。
十字メシアさんより「撫子」「ヨシエ」をお借りしました。
互いの思いやり
「主っ!ただいま戻りました!」
威勢のいい声が、裏にある玄関から響いてきた。
「御帰りなさい。今日も沢山買ったねぇ。」
「勿論よ。規模は小さいとはいえ、人数はそこそこいるんだから。」
額の汗をぬぐいながら話すこの女性。
黒髪のおさげ、白ブラウスと緑のセーター、茶色のスカートという風貌。
その眼は勿論血の色をしていた。
「百物語組第七〇話」の肩書を持つ妖怪、ヨシエである。
「撫子ちゃん!ちょっと手伝ってくれないかしら!」
「はい、直ぐに参ります!」
いそいそとやって来た撫子にヨシエは小さい方の袋を預け、共に台所へと向かった。
「これ、今回もセール品なんですね。」
「そうよー。直ぐに消費しちゃうから、安いうちにたくさん買っておいた方がいいでしょ?」
「成程。」
「どう?撫子ちゃんも今度一緒に買い物にいかない?」
「いえ、私はここで御勤めすることだけが生きがいですので。」
撫子は丁寧に断った。
「お仕事に一生懸命になることはいいけど、撫子さんもヨシエさんも体には気をつけてね。」
心配した春美が一言声をかけた。
「ありがとう、主。勿論体を壊す気なんてさらさらないから大丈夫よ。」
元気いっぱいにヨシエは笑って見せた。
「…まぁ、ヨシエさんは体はこわさないだろうけど…。」
春美が言うと、ヨシエは察したかのように頷いた。
「シン・シーのことよね。勿論心配よ。でも、私が心配なのは、私自身じゃないわ。」
ヨシエは春美の肩を引き寄せた。
「カイムさんから聞いたわよ。主も襲われたんだってね。」
「…うん。」
「私ね、主も含めて、誰かが傷つく事が自分が傷つくことより嫌いなのよ。」
「うん。よくしってるよ。」
「私は、一度大切な命を失った。」
ヨシエは真剣な顔つきになり、言った。
「だからもう二度と、大切な命を失くさないように、私自身が守らないといけないんだって、そう思ってるの。」
春美はその真剣な目を、しばらく黙って見つめていた。
「…ありがとう、ヨシエさん。でもね、私はヨシエさんがいなくなるのも、嫌だからね?」
「…優しいわね、主は。勿論、私も消える気はさらさらないわよ。」
ヨシエは春美の頭をなでた。
「でも、ありがとうね。」
「ヨシエさん…。」
「さーて!そろそろ夕飯の準備をしますか!撫子ちゃん、手伝ってくれる?」
「勿論です!」
ヨシエの威勢のいい声が響く廊下で、春美は暫くその背を見つめていた。
- 652
:砂糖人形:2011/07/21(木) 17:13:48
- かなり遅くなってしまいました・・・
ソウト君のフラグ回収小説です。
お借りしたのは、大黒屋さんの「ソウト」くん、しらにゅいさんの「代雪」、びすたさんの「チエ」ちゃん
キャスケットさんの「一助」です、
自宅からは「団長」です。
サーカスと少年
「どうしよう・・・こんな俺じゃ、サーカスに入れない・・・」
ついさっき、また禁じ手を使ってしまった。
俺の能力「無限の収容空間を作り出す」
空間の中には大量の凶器が収納されている
こんな人間でもない俺がサーカスに入って良いのか・・・?
「でも、入りたい・・・」
俯いていると後ろから足音がした
また空間を出そうとしてしまったけど、さっきのこともあったので躊躇った
すると、男の人の低い声が聞こえた
「おーい、そこの小さいお客さん」
「小さ・・・?!」
いきなり、頭をぽんぽんされて更には小さいとまで言われた
なんて酷い人だ!!
「ほら、そろそろ開演するから入れ入れ」
「え、でも、」
「いいからいいから、チケット持ってるんだろ?はい、回収ー」
手に持っていたチケットを簡単に取られてしまった
「あ・・・」
「入った入ったー」
「わっ、ちょ」
おじさんに背中を押されて強引に会場の中へと入らされた
「・・・わあ」
そこはほぼ満席の会場で、少し薄暗くて不思議な感じがした
「Ladys And Jentleman!!小さなお子さんから老齢の大人、皆々様!
本日は『ポリトワルサーカス』へようこそおいでくださいました!
私は皆様をまか不思議の世界へとご案内する、道化のクラウンと申します。
どーぞ、お見知り置きを。
さてさて!このサーカスでは皆様をめくるめく愛と奇跡と、
ちょっぴりスパイスの効いた魅惑の旅へとご招待致します。
団員達は皆様の訪問を心よりお待ちしておりました。
どうか失敗しましても、生温かい目で見守るか、拍手をしてあげてくださいね?
では、前置きもこれぐらいに致しまし…て!
それでは、ポリトワルサーカス開演でございます!」
「「「ワアァァアアアア!!」」」
会場から歓声が沸き上がった
ん?あのひと、さっきのおじさんじゃ・・・?
「まず初めは!我がサーカス団エース勢による、多大な大道芸をご覧下さいませ!」
舞台袖では一助とチエが出番を待っていた
「よかった、ユキじいちゃんと言えた・・・」
「ユキじいはやるときはやるおじさんだからね、しつこいけど」
「なんだー、お前ら酷いなあ」
進行を終えたシロユキが舞台袖へ戻ってきた
「僕はほんとのこと言ってるだけだよ」
「余計酷いなあ・・・」
「ほら、チエちゃんそろそろ出番だよ、こんなおじさんに構ってないで、お客さんが待ってるよ」
「うん、ありがとう一助」
「俺の立場って何なんだろうな」
-------------------
「本日は、お忙しい中ポリトワルサーカスに来てくださり誠にありがとうございました
次回の上演は・・・」
-------------------
「みんなお疲れ様でしたー!」
『「「「「お疲れ様でしたー」」」」』
サーカス団の楽屋で、サーカスの閉場の締めくくりとして団員全員が集まっていた
そこへ一人の少年が訪ねてきた
「あの、すみません」
「あ、君は昨日と一昨日の!!」
ソウトはその異様な服装から団長と判断し、団長へ向かってまっすぐ進んできた
「あ、えっと、その・・・」
「はいはいー」
団長はわくわくしながらソウトが話し出すのを待っている
ソウトは深呼吸をすると、団長の見えない目をしっかり見た
「俺をサーカス団に入れてください!!」
- 653
:砂糖人形:2011/07/21(木) 17:24:49
- ちょっと小話。
お借りしたのは、サイコロさんの「修斗」さん、スゴロクさんの「マツリ」ちゃん、キャスケットさんの「一助」です。
自宅からは、「団長」です。
入団のあとに
「これからよろしくお願いね、シュウト君」
「こちらこそ」
あまりの嬉しさに団長はシュウトの腕をぶんぶんと振った
「エヘヘー、嬉しいなあまた団員が増えたよー!ウフフー」
「ちょ、団長、痛いですy・・・」
その時、何かの弾みで団長の頭が
「あ☆」
「え?」
落ちた
「ぎゃあああぁぁぁあぁぁあああ」
シュウトはあまりにびっくりして、団長が掴んでいた手を離した
「団長、はい、頭・・・」
「ありがとう、マツリちゃん」
少女が団長の頭を拾うと、団長の襟元に頭を置いた
「び、びっくりした・・・」
「そのうち慣れますよー」
「慣れ、るのか・・・?」
- 654
:大黒屋:2011/07/21(木) 19:05:59
- 砂糖人形さんの小説を受けて失礼します。今回は短めです。
しらにゅいさんより「代雪」、砂糖人形さんより「団長」、スゴロクさんよりホウオウ兵器「パニッシャー」をお借りしました。
剣闘士の報告、「罰」の策略
「主ィ~っ!!」
寺に戻ってくるなりソウトは春美に飛びついた。
「ど、どうしたのソウト君!」
「やったよ!俺やっとサーカスに入れたよ!」
「本当なの!?」
「ああ!もう一度、サーカスで働けるんだ!」
主はソウトを抱き返した。
「よかったね!でも、入るのやっぱり怖くなかった?」
「うん。でも、代雪さんが中に入れてくれたんだ!」
「優しい人たちみたいだね。ちゃんと頑張ってね。勿論、体を壊さない程度に。」
「うん、ありがとう!頑張るよ!」
心の中でソウトはチケットをくれた団長に感謝した。
「あ、それとね、主…。」
そしてソウトは真剣な顔で(半ば泣きそうになりながら)『禁じ手』を使ったことを告白した。
「ごめんなさい…。」
「そっか…。仕方ないね。次から気をつければいいよ。」
春美は優しく頭を撫でた。
「じゃあ、明日からは毎日顔だけでも出しておいてね。まだ担当も決まってないだろうし。」
「でも、俺には演武しかないからなぁ。」
「十分だよ。練習、頑張ってね!」
同刻、某所。
「ふーん。あの子が鴉を殺したんだね。」
黒ずくめの少女は傍観していた。
「このくらいなら直ぐに成敗できそうだな。よし、今回はありがたく使っちゃうか。」
取り出したリモコン。そして彼女の背後には、人の形をしたロボットの群。
「よろしくお願いするよ、装甲強化「パニッシャー」。」
彼女は声を殺しながら嘲った。
- 655
:しらにゅい:2011/07/21(木) 21:33:27
「遅い・・・ブロントの奴、何をしているんだ?
もう購買部に行ってからだいぶ時間が経つぞ・・・」
「すいません、ナギ。遅くなってしまいました。」
「まったくだ、一体何をして・・・?」
「・・・・・・・・・」
「・・・誰だ、その子。」
「こちらは張間みくさん、冬也くんのクラスメイトです。
先程購買でパンを買いに行ったところ、彼女に出会いまして、
せっかくだからお昼を一緒に食べようと思い連れて来ました。
・・・この前、冬也くんが話していた子ですよ。」
「なるほどな。・・・で、私達二人と彼女とのこの異常に空いている間は何なんだ。」
「どうやら、凄く警戒されているみたいです・・・あの、ハリマさん?
そんなに脅えなくても、別に取って食おうとだなんて思っていませんよ?」
「ご、ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
「ますます隠れたぞブロント。」
「むぅ・・・なかなか、コミュニケーションを取るのに難しい方ですね・・・」
「あー、ミクって言ったか?大丈夫だ、私達はお前の味方だ。
冬也のクラスメイトなんだろう?」
「・・・・・・・・・」
「こっちに来て一緒にご飯を食べよう、お前の話を聞きたい。」
「・・・・・・ん・・・」
「よしよし。」
「・・・少し不服です。」
「何か言ったか?ブロント。」
「いえ、何も。」
「・・・あ、・・・えっと・・・」
「・・・?」
「ボ、ボクのお昼は・・・・・・その・・・」
「あぁ、ハリマさん、私のメロンパンでよければあげますよ。」
「え、で、でも・・・」
「お昼はしっかり食べないと、午後の授業は辛いと思いますよ?
大丈夫、私にはチョココロネがありますから。」
「・・・・・・ありがとう、ござい、ます・・・」
「いえいえ。」
「・・・ブロント、お前チョココロネなんて持ってないだろう?」
「はい、その通りです。・・・が、彼女にあれを食べさせるわけにはいきませんでしたので、
私のメロンパンを与えました。」
「あれ?」
「私があの子を見かけた時、彼女は自分のお弁当のおかずを拾っていたんですよ。
しかも、ただ撒かれただけではありません。ハンバーグや玉子焼きは潰れてましたし、
ご飯もとても食べられる状態ではありませんでした。」
「!・・・そうだったのか。」
「ええ、・・・泣きながら拾う彼女の姿はとても痛々しかったです。」
「ったく・・・そんなことをする下衆がこの学校にいるなんて胸糞悪い。」
「まったくです。」
「・・・ん?待て、だったらあの子のお弁当はどうしたんだ?」
「あぁ、それでしたら・・・」
「?」
「私が、食べました。」
「・・・お前、無茶するにも程があるだろう。」
「女性の努力した結晶を、無下にするわけにもいきませんでしたから。」
「流石、騎士様なのだよ。」
「ナギほどではありませんよ。」
「っふふ・・・そうか。」
「・・・・・・・・・あ、あのぅ・・・」
「どうかしましたか?」
「ボ、ボク・・・お邪魔・・・だったら、いなくなります・・・けど・・・」
「「・・・は?」」
騎士コンビとイーティングin屋上
「お昼ご飯」
「待て待て待て、変な勘違いをするな!!」
「ひぃっ!!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!!」
「ハリマさん、落ち着いて、落ち着いて・・・!あぁっ、メロンパンが!!」
「いやー、今日は良い天気・・・グホォア!?」
「なんじゃ、今日の天気は晴れのちメロンパンか。」
「ケイイチの口にナイスシュートだな。」
- 656
:しらにゅい:2011/07/21(木) 21:37:53
- >>655 お借りしたのは凪、ブロント、名前のみ冬也((六x・)さん)、
ケイイチ、マサカズ、シゲナガ(本家)でした!
こちらからは張間みくです。
初対面の人だとみくはこんな感じなので、結局会話になっていないじゃないか
っていう・・・ヒイイイスイマセン(;´Д`)
これからもっと交流していけばきっと心を開くかと思います!
- 657
:スゴロク:2011/07/22(金) 20:09:18
- 31話を踏まえて少しばかり。ホウオウグループサイドです。
「おや、クロウじゃありませんか。何の用ですか、グループ一の暇人が」
「やかましいぞ、出戻りが」
久々に仲間のもとに顔を出してみると、いきなりジングウと鉢合わせてしまった。ったく、幸先の悪い。
というか、俺が今回ここに来たのは私事でなく、れっきとしたグループの用事なのだが。
「ま、いいでしょう。私は部屋に戻ります」
「……サヨリと言ったか、せめてそいつは残せ。伝えることがあるのでな」
だが、俺の言葉を聞く前にジングウは引っ込んでしまった。
「……まあ、いい」
「鴉さーん、用事ってなにー?」
「俺、ユウイに色々と言うことが」
「まあまあ、騒がない騒がない」
とりあえず、残っていたメンバーを集め、見渡す。まっさきに不平が飛び出したのは学生組のトキコとリオトだった。
気持ちはわからんでもな――――すまん、全くわからんがともかく聞け。ユウムもこっち向け、おい。
「私はまだ生体兵器のデータ解析が終わっていないのですが」
「ゼアさん、何か大事な用事みたいですよ」
苛々と足を踏み鳴らすゼアを、隣にいるリイが宥める。
「つまらねぇ用事なら、てめぇを殺すぞ」
「血の気が多いにもほどがあるだろ。ちょっと落ちつけてめぇは」
「頭に虫が湧いているようだなお前たちは。まったく、これだから凡人は」
『じゃかぁしい!!』
言い争う狂夜とスキュアロウにチネンが鼻を鳴らして呟き、即座に両方からビンタを喰らう。……ひっくり返ったが、大丈夫か?
「……次の授業の準備があるので、どうかお早く」
入口近くにしゃんとして立つナナが言う。有能なのはいいが、どうも浮いている感じがする。何か企んでいないだろうな?
「……何でもいいですよ、もう」
「ハ、だったら消えな。聞く気がねぇなら邪魔だ」
生物兵器もどきのウツロにミチルが辛辣な言葉を投げている。ま、もっともだが。
- 658
:スゴロク:2011/07/22(金) 20:09:49
- 「あのう、報告ってなんなんでしょうか……?」
「サヨリは帰ってていいよ、ジングウ様にはボクから伝えとくから!」
サヨリとかいう擬人兵がいる。あいつ、聞いていたのか。……何か気に食わん。その隣でマキナが異様に嬉しそうなのがなおさら気に入らん。ジングウのどこがいいんだ、あんな奴の。
「こうして集められた所から見ると、結構な報告のようですが?」
「………」
エドワード・エレナの兄妹がこちらを見つめる。前から思っていたが、何と言うか、浮世離れしたような雰囲気があるが……上手く言えん。何だ、こいつらは?
「(ZZZ……)」
「ねーおん、起きろー。立ったまま寝ないのー」
「クロウさんから何かあるみたいですよ?」
立ったまま寝ているネオンを両側からエミ・ウミが揺さぶっているが、起きる気配がない。おい、何を聞いていたんだ。忙しいのは分かるが頼むから起きろ。
「えぇと、早く教えてくれませんか? 何の報せですか?」
「んん~、まあそこそこには重要なんでしょ?」
見た目も中身も似ているのに、物腰だけが微妙に違う鈴と令。今から話すから、よく聞け。
「わざわざ集まってもらって恐縮だ。待たせはしない、簡潔に行くぞ」
「前置きはいい、さっさと説明してもらおうか」
チネンがまたしても口をはさんで来た。ええい、苛々する。
「……今から言う所だ。余計な口を挟むな」
そちらを睨みつけた後、改めて本題に入る。
「ここにいないメンバーには後で俺から伝えておく。……先日、総帥からメンバー全員にとある命令が下った」
総帥のことを出した途端、全員(一部除く)の表情が真剣そのものに切り替わった。
「鴉さん、内容は?」
「簡単だ」
「『ヴァイス=シュヴァルツを、グループの総力を上げて抹殺せよ。これは、実行可能な状況となった場合、現状における全ての指示に優先する』とのことだ」
抹殺指令
(指示の真意は)
(排除すること)
(「神」に近しい、その男を)
ということで、現状のグループメンバー企画キャラを出せる限り出してみました。
あそもりさん「ゼア」「リイ」プランクトンさん「七谷 狂夜」アルファルグ・フォーデスさん「スキュアロウ・バルカンチ」、地獄振起(ヘルシンキ)
さん「チネン」「ナナ」akiyakan
さん「ジングウ」「サヨリ(企画キャラ)」、しらにゅいさん「トキコ」、紅麗さん「高嶺 利央兎」名前のみ「榛名 有依」、砂糖人形さん「ユウム」、許助さん「エドワード」「エレナ」、鶯色さん「エミ」「ウミ」、十字メシアさん「マキナ」、樹アキさん「ミチル」、とーちさん「ネオン」、キャスケットさん「紅雷 鈴」「紅雷 令」をお借りしました。
- 659
:大黒屋:2011/07/23(土) 22:25:40
- ちょっとした番外編です。新キャラは使い捨てなのであげるべきか迷っていますが。
しらにゅいさんより「タマモ」、Rainさんより「キエン」「ユカリ」をお借りしました。
「…午前2時58分。皆、全員いるがか?」
月光の問いかけに、寺院の一室に集まった一同は一斉に頷いた。
「ごめんなさい、こんな時間に呼びだしてしまって…。」
春美は頭を下げる。そんな春美の頭を星はなでた。
「いいんだよ。これも怪盗狩りの一環ってことで。モエギ達もおとなしく留守番してるしな。」
深夜2時、春美に招集をかけられたのは月光、星、クランケ、タマモ、ノラ。
それに寺院に元々いる春美、キリ、ゴクオー、キエン、ユカリを合わせ、全部で10人の人間と妖怪が集まっていた。
各々が携帯を持ち円形に並んでいる。
それは、これからアースセイバーの仕事を兼ね「妖怪封印」の作業を行うからだ。
「…とはいえ、何故お主までいるのじゃ?」
タマモは二つ隣のゴクオーを見た。
「何故も何もないわ。わしも何でお前が居るか聞きたいところじゃったしの。」
「あーあ、また始まった…。」
キエンは呆れたように呟いた。ユカリがすかさず割って入る。
「その、今はそんなことしてる場合じゃないと思うよ。時間もないし、集中しよう、ね?」
タマモとゴクオーが静まるのを待ち、春美は切り出した。
「皆一度はきいていると思いますが、改めて今回の妖怪を確認します。」
春美が携帯を持ち上げながら言う。
「今回は『予知電話』の怪…。都市伝説で一度耳にしたことがあると思います。」
都市伝説によると、とある方法で未来を予知する天の声を呼びだすことができる儀式らしい。
まず、丑三つ時に人を10人集める。この時全員が携帯電話を所持しなければならない。
10人は外側を向いた状態で円形に並ぶ。
そして、全員が一斉に右隣の人の携帯に発信するのだ。
普通、電話をかけても隣の人も通話をしているので電話は繋がらない。
しかしこうすると一つだけ電話がつながり、数コールもすればガチャリと音が鳴るのだ。
電話に出るのは女性の声。誘惑するようにこう問うのだ。
「貴方の知りたいことは何?何でも教えてあげるわ。」
その声の言うとおり、質問したことには何でも答えてくれるという。たとえ、他人の心情でも、未来の事でも。
しかし、3つも質問をすると、声が言いだすのだ。
「満足した?なら覚悟して。次は此方が聞くわ。貴方は報酬を払ってくれるのよね…?」
そう言った瞬間、電話を持っている人の体に異変が起こり、五体満足な体の一部を消し去ってしまうという。
奪われた部位は帰ってこない。「天の声」の体の一部になってしまうという…。
「所詮都市伝説と思いこんで面白半分で実行し、腕や足を持っていかれるケースが相次いでいます。」
「つまり、今回はその犯人を呼び出し、鬼門に返すんだな?」
「その通りです。」
時計はもうすぐ午前3時をさそうとしていた。
「よし、時間もないし、早速始めようぜ。」
- 660
:大黒屋:2011/07/23(土) 22:26:31
- 全員が立ち上がり、携帯を手にとった。
「行くぞ。せーの!」
星の合図で全員が発信ボタンを押し、スピーカーを耳に当てた。
無機質な音がずれながらハーモニーを奏でる。
「全員、発信したね?」
春美の声に全員が頷く。そして、一人が手を上げた。
「…主。あたしの携帯が…繋がった。」
ノラが、心配そうにあたりを見回した。
「分かった。ノラちゃんはそこから動かないで。他は配置について!」
ノラ以外の全員が携帯を切り、一斉に散った。
と同時にノラの携帯のスピーカーから声が流れ出してきた。
『貴方の知りたいことは何?何でも教えてあげるわ。』
ノラは春美とアイコンタクトをとると、深呼吸をし、一言放った。
「あたしが知りたいことは一つ。「貴方の姿がみたい」。」
その台詞は、初めから春美が指定した台詞だった。
『…へぇ、もしかして最初からそのつもりでこんなことしてたの?』
面白い物を見つけた、という風に声は帰って来た。
「そうだよ。何でも教えてくれるんでしょ?なら、あたしの前に現れてもいいんじゃない?」
『ふふ、そうね。久しぶりに面白いこと言ってくれたし…。』
《見せてあげてもいいわよ。》
「!」
ノラは反射的に振り返った。
眼の前に突如として現れたのは、青く光る電波体のような女性。
髪、肌、ワンピースがそろって青く光っているが、所々肌色が紛れこんでいた。
女性は片方だけの青い目をこちらに向けながら不敵に笑った。
《でも、この姿見たのなら、ちょっと多めに報酬をもらわないと。》
「っ…。」
ノラは女性を睨みつける。しかし、脚は全く動かさない。
逃げ出したいのを堪え、次の合図を待っていた。
女性が動いた。右手のひらがノラを襲おうとしたその瞬間に、合図が下りた。
「ノラちゃん!後ろに下がって!」
床を蹴り後ろに下がると同時に床が紫に光った。
そして光は実態を持ち、二重の結界となって女性を見事にとらえたのだ。
《!?》
「キエン君!ユカリちゃん!」
春美の合図で二人が飛び出した。
キエンがノラの持っていた携帯と女性との「縁」を切り、ユカリが赤い糸で結界との「縁」を結んだのだ。
「よし!これで結界と完全に結ばれた!」
《どういうこと…?まさか、貴方達も妖怪なの!?》
「そのまさかでありマスよ。」
一歩前に進み出たキリの手には、紫の炎がともる札が握られていた。
彼は自身の能力を応用し、二重結界を作り出しているのだ。
「予知電話の怪、貴方を鬼門へ送還いたします!」
《やれるものなら…やってみなさいよ!》
女性は結界に掌をおき、力を入れ出した。
「…!」
予想に反するものすごい力。キリは札を持っている側の手を結界に向け、対抗しだした。
「星さん!彼女の動きを止められませんか!?」
「…いや、無理だ。人間の肉体を取り込んだ部分にしか重力がきかねぇ。多分あの青く発行している部分は電波体かなにかと同じなんだ。」
ち、と星は舌打ちをした。その様子をタマモとゴクオーが見ていた。
「…仕方ないの。キリ!結界にわしを入れろ!」
「! しかし…!」
「いいから!わしが動きを止める!その間に!」
そう叫ぶと、ゴクオーは返事を待たずに結界に突っ込んだ。
- 661
:大黒屋:2011/07/23(土) 22:27:13
- 「ブレラ!無礼失敬!」
「いつものことでしょ!百も承知よ!」
ゴクオーが背負っていたブレラを取り上げた。同時にブレラの周りの空気が凍りだす。
ゴクオーはそれをしかと握り、後ろから女性を殴りあげた。
…が、一向にきいている気配がない。
「な…!?」
一歩下がると、女性が振り向き、ゴクオーを見た。
《あら、貴方。私に用があるの?》
「何を聞いていた、ゴクオー。あやつは電波体同然。実態をもった部分でないと攻撃は通用せんぞ。」
タマモが呆れたように言った。
「そんな冷静に言ってる場合じゃなかろ!しかもそんなピンポイントで…。」
「…はぁ、仕方ない。」
タマモは結界を睨みつけた。と同時に、女性の動きが止まる。
《…!?な、何これ、体が…!?》
「神経性の毒ガスじゃ。これで結界内で動けるのはお主だけになった、ゴクオー!」
「!!」
ゴクオーはタマモを見た。タマモは頷く。
タマモは長年地獄にいたゴクオーなら多少ながらでも耐性があると見たのだ。
ゴクオーは飛び上がり、もう一度ブレラを、今度は正確に実態に当てた。
当たった部分が急激に冷やされ、凍りだす。女性がバランスを崩し、完全に動けなくなる。
「今じゃ、主!月光!」
ゴクオーの合図で二人は素早く陣を展開した。
「悪霊…滅すべし!」
九字を切る声に合わせて陣が展開し、女性を捕えた。
別空間へと陣の中心が開かれると、抵抗する女性を引きずり下ろした。
《嫌…!ただ、歩くための偶体が欲しかっただけなのに…!!》
そんな声を最後に、女性は鬼門へと返還された。
「お疲れ様!大丈夫だった、皆?」
緊張の糸が切れ、全員がその場に倒れ込んだ。
素早くクランケが怪我の手当てを施している。
「ああ。誰も腕やら持っていかれてないしな。」
「でも、この前に体を持っていかれた人はきっとこれからも不自由なままなんだろうね…。」
「…腕が5人、足が13人、目が1人じゃった。」
ゴクオーが静かに呟く。春美はゴクオーを見た。
「皮膚のつなぎ目や色を見る限りだけじゃけどの。合わせて19人以上が、今も苦しんどるんじゃろうな。」
「…そうだね。でも、そんなの数える余裕なんて…。」
「タマモのおかげじゃ。」
「あいつが動きを止めて、ピンポイントで狙えたから余裕ができた。といっても一瞬じゃけど。」
ゴクオーはそう言うと、タマモを見た
「その…ありがとの。」
「ふん。そもそもお主が無茶ぶりをするからじゃ。例を言われる筋合いはない。」
「…まぁ、の。」
ヨチデンワ
彼らは後に知ることになる。
この女性が狂わせたとある人生の大きさに。
- 662
:スゴロク:2011/07/24(日) 14:33:20
- 短く書いてみました。
「……」
マナが寝入ったのを見て、ランカはその隣に滑り込み、窓からちらりと空を見上げる。
星が輝いていたはずなのに、今はすっかり曇っている。そういえば、明日は雨だっただろうか。
「――――」
ふと、思い出す。
(そういえば、あの人に会ったのもこんな日だったかな)
それは、まだ彼女が幼かった頃。アズールを拾って帰った、その日のことだった。
『?』
傷ついたアズールを抱えていたランカは、家へと走る最中に曲がり角からふらりと現れた怪人と遭遇した。
黒い短髪に赤のシルクハット、血色の目をした不気味な人物。
その男は、ランカを見降ろすと言った。
『お嬢さん。赤い色と青い色、貴方はどちらが好きですか?』
『?』
質問の意味は、その時のランカにはわからなかった。ただわかったのは、父親と同じように、その男の中に確たるものがないこと。だから、口をついて出たのは問いへの答えではなく、こんな言葉だった。
『おじちゃん、どうしてこまってるの?』
『!?』
語彙の少ない幼子には、そんな表現しか出来なかった。しかし、それは知らず、男の弱さを突いていた。のみならず男は驚いていた。この少女は、なぜ「選択をしない」事が出来るのか。この力を受けて、なお。
『どうして、そんなにめがきょろきょろしてるの?』
アカネからの教えにより、ランカは「話をするときは相手の目を見ること」と言い含められていた。だから、視線を合わせようとしないこの男が気になった。
『そ、それは』
『じしんが、ないの?』
こうも言われていた。「目を合わせない人は、自分に自信がないか、人に言えない秘密があるか、どっちかなのよ」とも。
『わるいこと、したの?』
『………』
『ねえ、どうしたの?』
繰り返されるランカの問いに、男は答えることなく、
『………っ』
『あっ……』
マントを翻して、駆け去ってしまった。
『……あっ、はやくかえらないと』
傷ついた狐を抱え、幼いランカは家路を急いだ。
以来なんどか、ランカはその男と顔を合わせる機会があった。多くを語ることはなかったものの、不思議と親近感があった。だが、もっと話をしようと決意した矢先にスザクとゲンブを見つけ、同時期に体調が悪化。外出が出来なくなったうえ程なくして入院してしまったため、それ以来その男とは一度も会っていない。
(結局どこの誰だったのかなぁ、あの人……)
思い出は危機一髪?
(記憶に残るその人は)
(家族の一人の――――)
なお。
ランカは本を読んで「怪人赤マント」や「A」のことを知っていたが、その男と結びつくことはついぞなかったという。
大黒屋さん「エトレク」をお借りしました。設定を読んでいたらランカがぴったりはまりそうだったので。
- 663
:大黒屋:2011/07/25(月) 18:27:02
- >スゴロクさん
おお!予想以上に早くて助かりました!
ということでこちらも早速切り出します。
スゴロクさんより「ブランカ・白波」、十字メシアさんより「ヨシエ」をお借りしました。
姿探しの赤い人
その男はいつもの通りとあるビルの屋上に佇み、薄暗い裏路地を眺めていた。
「…もうすぐ7時か。今日もとうとう来なかったな…。」
懐中時計を眺め、男はため息を吐いた。
この男、今では世界のほとんどに忘れ去られた存在。
全身を赤一色に染め夕闇を駆けまわり、惨殺を行う「子供に恐れられる」存在だった。
名前を名乗るならば今はエトレクと名乗るだろう。
本当の名は「怪人赤マント」。かつては都市伝説。今は「百物語組第二五話」だ。
寺院に帰るなりヨシエが玄関口に来た。
「おかえりなさい。今日はどうだったの?」
「…駄目だった。あの女の子どころか、人っ子一人とおりゃしねぇ。」
「まぁ、そうだろうとは思ったわ。早くあがりなさい。ご飯、できてるわよ。」
「ありがてぇ。早速いただくよ。」
彼は今、人を探している。
それはかつて都市伝説として活動していた時だ。
自分の名前を忘れられていき、自信を喪失していたが、そのことを隠して子供を襲っていた。
そんなとき、一人の少女に出会う。
彼女は自分の「絶対選択」を受けながらも、問いの答えを言わなかった。
それどころか自分に自信がない事まで見抜いてしまった。
その時は衝撃と恥辱ですぐに逃げ去ってしまったのだが、時々彼女の元を訪れてはとりとめのない話をしていた。
しかし、一時期鬼門に返還され、彼女と離れ離れになってしまう。
「存在」へと戻った彼は、それでも彼女の笑顔を忘れることができなかった。
そして彼の「存在」は主の力に寄り「百物語組」として再び召喚されたのだった。
「…とはいうけどねぇ、あんた、それ何年前の話よ?」
ヨシエに問われ、エトレクははたと立ち止まった。
「そ、そうだなぁ、確か呼び出されたのと時間の流れと計算して…、10年くらい、前か?」
「覚えてるわけないじゃないの!それに万一覚えていたとしても、10年もたてば見た目もかなり変わってるわよ!」
「そ、そうなのか?」
「…あんた、考えてみなさいよ。7歳と17歳よ?」
「…ああ…;」
「まぁ、仕方ないわね。次からただ単に待つだけじゃなくって、ちゃんと動くことも考えないと。」
ヨシエはエトレクの頭をかるく叩きながら言った。
「そうします…。」
「ほら、へこんでないで、早くご飯にしましょ?」
「はーい…。」
彼は知らなかった。
自らが逢えなかった約10年の間に、探し求めている少女が如何なる人生を歩んできたのか。
そして今、何処で何をしているのかさえも。
知っていることは一つだけ。
「たしか、名前が…ブランカとかいったっけな…?」
- 664
:スゴロク:2011/07/25(月) 20:40:45
- 今回は琴音さんサイドです。
「……間違いないと思うんだけど」
早朝のいかせのごれを、一人の女性が歩く。山吹色の長い髪に、紫の目。
少し低目の身長と顔立ちが愛らしさを醸し出しているが、なぜか、道行く人々の誰も、彼女に目を留めることはない。
それもそのはず。
彼女は、人ではなかったのだから。
火波 琴音。それが彼女の名前だ。
なぜこうなったのかは省くが、今の彼女は心だけの存在「精神体」としてここに在る。普通の人間からは姿を見ることも、声を聞く事も出来ない。そんな彼女の最近の楽しみは、妖怪の主たる少女、そしてその仲間達と話をすること。中には大木までいて少々驚いたが。
ともかく、彼女が今歩いているのは、その妖怪たちの内の一人が言っていた、とある少女について記憶に引っ掛かったからだ。
元々子供を襲う都市伝説だったその男に曰く、自分の揺らぎを見抜き、以来親しくしていた少女を探しているのだと言う。最後に会ったのは10年程前のことらしいが、記憶に該当する少女は14歳。
彼女が、とある施設を脱走して来た娘とその友人を保護したのは7歳の時らしいが……。
(……長く存在してて、時間感覚がおかしくなってたのかしら)
妖怪変化の類にはありがちなことで、時間の感覚がマヒしてしまうことがある。これは、時計のない所で長く過ごしていると時刻がわからなくなるのと似ている。
ともあれそう考えれば、矛盾には説明がつく。
「この辺に住んでて名前があれなら、1人しかいないわね。ともかく、行ってみましょ」
心当たりは一つだけあった。最近別の妖怪の子が訪問したという、その家にいるはずだ。
確か、調子が戻ったとはいえ身体が弱かったはずなので、簡単に外出することはないはず。ならば、いくら待とうと出会えるはずはない。
「ここね」
辿りついたその家は、まだ扉が閉まっていた。とはいえ、今の彼女には壁も扉もあってなきがごとし。幽霊か何かのようにするりと抜け、寝室へそーっと入る。
足音を立てた所で気付かれるはずもないのだが、そこは人情である。
(ちょっとごめんね……)
ベッドの中で寝息を立てている少女に近づき、額をつけて夢とリンクし、そこから記憶を少しずつ辿る。
が、始めてすぐに男の姿を見た。寝る前に思い出しでもしたのだろうか?
ともかく、これで確定した。この子だ。
「さて……エトレクさんには、その内教えてあげましょうか」
すぐにではないのが、彼女のちょっと厳しいところである。
一人呟き、琴音はすーっ、とその場から姿を消した。
お節介
(二児の母たる彼女は)
(思ったよりフリーダムだった)
家から遠ざかる琴音を、時の止まった部屋から見送る視線が一つ。
「……今の人は? ブランカに何かあったの? いずれにしても、放ってはおけないわね」
というわけで、大黒屋さんの話に乗っかって見ました。名前のみ「エトレク」、名前が出てませんが「秋山 春美」「アカノミ」「ノラ」をお借りしました。
- 665
:大黒屋:2011/07/25(月) 21:54:10
- エトレクを精神的にフルボッコにしてみた。途中自分の本音が入るのは仕様です…;
名前のみスゴロクさんより「火波 琴音」「ブランカ・白波」、十字メシアさんより「ヨシエ」をお借りしました。
空回りな行動開始
「さぁて、今日は何処を巡ってみるかな…?」
寺院の塀の上に立ち、エトレクは夕陽色に染まるいかせのごれを一望した。
昨日のヨシエの助言をもとに、今日からかの少女を捜し回るつもりだった。
「とはいえ、ヨシエさんの言うとおり10年も経ってるんじゃかなり見た目も変わってるだろうなぁ…。」
この男、時間の感覚にずれが生じていることは気にもしていない。
というか「存在」としてどれだけの時間鬼門にいたかなんて覚えてるわけがない。「時」というものがないのだから。
「…ま、細かいこと考えてたって仕方あるまい。今日も琴音さんは来ないし時間もないし、先に捜しに行くか。」
そう呟くと、彼は塀から飛び降りた。
数十階建てのビルから飛び降りても無傷の男だ。なんと微妙な専売特許なのだろうか…。
「2時間しかないもんな。とりあえず今日は近場を探るか。」
目立つ服装も慣れたもの。彼はお構いなしに歩き出した。
ここは何処にでもある閑静な住宅地。直ぐ近くにストラウル跡地がある分住民は少ないが、人数を絞り込む分にはうってつけだ。
そもそも寺院の近くでもある。多少おかしな人物が歩いていても驚かれるまい。
…まぁ、御町内の変な人として謳われるのは複雑な気持ちだが。
「…っていっても、こんな近場にいるわけないよなぁ。いたら奇跡だろ、おい。」
かなりの規模があるいかせのごれで人一人探しだすにはかなりの労力を要するだろう。
だが、手掛かりが少女の名前である「ブランカ」以外に何もない。
アースセイバーに協力してもらうにはあまりに手掛かりが少ないので、自重することにしていた。
「そうこうしているうちにもう1時間半かよ。あーもー、時間が早い!」
住宅地にもかかわらず彼は叫びだしていた。
当然だろう。一日24時間のなかでたったの2時間だ。別に白昼堂々捜しまわるのもいいが、姿といい何といい、非日常極まりない。
その時間の中で少女どころか一人も人間に出会っていない。
人を襲うことが仕事なのに、人を寄せ付けないのだろうか。
…なんだか自分で書いててつくづくかわいそうになってくる(
「しゃーね。今日はこの位で切り上げるか。どの道あと30分捜しても誰も見ないだろ。」
開き直ったように彼は言った。
「…さーて、『明日はこの路地を洗うか洗わないか』…。」
夕陽を眺めながら彼は先程と打って変わり、小さく呟いた。
「…うん、明日は『洗わない』!人も少ないんだ。ここにいる確率は少ないな。」
即断即決がこの男の数少ないいいところの一つだ。
彼は踵を返すと、寺に向かって歩き出した。
…尚、彼が寺へと戻った20分後、火波 琴音がその路地を通ったことは此処だけの話である…。
- 666
:キャスケット:2011/07/26(火) 10:55:03
- うちの子で投下。
「人狼は月夜に思う」
三日月が空に浮かぶころ、森の中の丘にたくさんの影があった。
たくさんの影の正体は狼で、さらにその中心には人の姿があった。
「今日も、いい月だね。」
声は、女性の物だった。すると、言葉がわかるのか近くにいた狼がウォンとほえた。
くすり、と笑った。
「大丈夫だよ。私の中の狼も落ち着いてるし、満月もまだまだ先だからね。」
そういうと、その女性―――シーラはまた月を見上げた。
今度は手を伸ばし、まるでつかもうとするように。
「…本当に、今夜は月がきれいだ。、どうしたの、セセナ。」
セセナと呼ばれた一匹の狼はどこか遠い目をしながらシーラにたずねた。
「お父さんとお母さんのこと?あははっ、恨むわけがないよ。」
でも、とつけたし
「私をおいて、死んじゃったのはちょっといやだったな。」
と、呟いた。
それを聞いた狼は自分で聞いておきながら興味がないように立ち去った。
それで、いいのだ。狼に、同情なんかいらない。それが、当たり前だ。
セセナがいなくなると同時に、ほかの狼たちも次々にどこかへ去っていった。
残ったのは、シーラと幼い狼だ。
「どうしたの?早くお母さんのところに行ってあげないと。」
狼は弱弱しい声で吼えた。
「この血のことかい?さっきも言ったけど恨んではいないけど…」
幼い狼は、その続きを待った。
「恨んではいないけど、時々、無性に悲しくはなるよ。」
狼は何も言わない。そんな様子を見て、シーラは立ち上がり、いまだ座っている狼に声をかけた。
「帰ろう?お母さんも、きっと待ってるよ。」
はかなく輝く月の光を受けながら、一人と一匹は森の中へと入っていった。
その胸に、絆を抱きながら。
- 667
:キャスケット:2011/07/26(火) 11:14:22
- 続けて投下ー。
「だから俺はウソツキなんだ。」
ひそひそとささやかれる声。
そんな廊下の道を歩く一人の男がいた。金髪で碧眼といった、いかにも美男子だ。
「おぉ、なぜあんなところをわれわれの面汚しが歩いておる。」
「わしの知ったことか。…あぁ、汚らわしい。」
「おい見ろよ、ヒーロー気取りの登場だぜ。」
「ほんとだ。、っち、マジウゼェ。」
「あっち行こうぜ。」
突き刺さるような言葉の数々に、平然と廊下を歩く。
ある扉の前で止まり、中に入る。ここは自室だ。誰も入ってはこない。
ぼすん。とベッドにダイブする。全身に疲労が襲った。
「…………、あー…のど渇いた。」
だが男は、水を飲もうとはしない。水を飲んだところで、この渇きは癒されない。
なぜならこの渇きは……人間の血でしか癒されないから。
テーブルを見やる。テーブルには、親からの金が入っている。受取人は自分の名前―――セロと書いてある。
だが、もはやあける気力もない。ベッドに沈んだまま、手はあるものをつかんだ。
ピアスの穴を開ける道具。おもむろに持つと、無造作に穴を開けた。
びりっ、と痛みが走る。だが、それでいい。この渇きを誤魔化せられるなら。
渇きも、心の闇も、全部全部。
そして今日もまた、自分に嘘をつき、すべてに嘘をつく。
だから俺は、ウソツキなんだ。
ぐだぐだ、意味がわからん文になってしまった。
- 668
:キャスケット:2011/07/26(火) 16:19:54
- 時間差投下!!
「少女は死を詠う」
夜の海、それは死の海だ。
いつもは青い海も夜になれば黒くなる。
そんな海の岩の上に、一人の少女はいた。少女は、岩の上で歌い出した。
すべてが聞きほれるような声だった。
少女は歌う、詠う、謳う。
そこに、大型の船がやってきた。その船のすべてに声は響いた。
その船は、海賊船だった。
こんな話は聞いたことがあるだろうか。
海には、セイレーンという怪物がいて、海賊船が通ると歌を歌う。その声を聞いたものは自分の意識とは別に、声のすろ方へと向かう。
もちろん、海に道はなく、男たちは海に落ちて死んでしまう。
少女は、セイレーンなのだ。
向こうで、何かか落ちる音が長い間続いた。そして、静かになる。
「……みんなみんな、死んじゃった。男なんて、死ねばいいのよ…!」
セイレーンの歌声は、男しか効かない。
最初は憎々しげだった顔は見る見るうちに泣き顔になっていく。
「男なんて死ねばいいのよ、皆、私が殺してやるっ…!」
少女は死を詠う
目的を果たすまで、ずっと、ずっと、ずっと。
- 669
:キャスケット:2011/07/26(火) 16:54:46
- 砂糖人形さんの小説に便乗して!!
「片思い少年とその姉」
ユウムは、無事だろうか……。
レイはただそれだけを思っていた。
ユウムはいま、親友を殺しに行っている。だけど、やさしいユウムがそんなこと出来るはずがない。
不意に、ドアがノックされた。
「……誰?」
「私だよぉ、私。」
聞こえてきたのは、姉のリンの声だった。鍵を開け、中に入るように促す。
リンは中に入ると、ぽすんとソファに座った。
「ひゃあ、疲れたぁ~。」
「お疲れ様、………ところで「ユウムちゃんのことでしょ?」…。」
「彼女、殺せなかったらしいわ。」
「―――――!」
予想はしていた。だけどそれは、ホウオウグループの人間にとっては、死だ。
「今頃、サイナが向かってるはず。ユウムちゃんが動かぬ身体となってしまうのはもう時間の問題よ。」
血まみれのユウムを考えてしまい、ぞっとした。
それだけは、阻止しないと。
レイはくるりと体の向きを変え、ドアに向かおうとした。…が、足が動かない。理由はわかっている。
「姉さん、これをといて。」
「行かせない。」
「いやだ、俺は行く。ユウムを助けるんだ。」
じ…っとリンを見つめる。リンも譲る気はないようだ。
レイはさらに言った。
「ユウムは俺の大事な人なんだ!見過ごすことなんか、できるわけないだろ!!」
「サイナが向かったのは、ずっと前よ!生きているほうがおかしいわ!!」
「そんなことで、ユウムを助けるのをやめろって言うのか!?俺は、そんなの嫌だ!!」
「私は、あなたしかいないの!あなたが死んだら、どうしろっていうのよ……!」
レイははっとした。確かに、この世には親はもういない。ずっと二人で生きてきた。
俺がいなくなったら、姉さんはたった一人になってしまう。
でも、ユウムを見捨てるのも、俺にはできない……。
大地が、揺れた。
あまりにも突然のことで、リンの集中力が途切れてしまう。足にまとわりついていた蝋もなくなる。
次の瞬間には、レイは走り出していた。この揺れも、レイの能力で作り出したもの。
きっと近くに、大地には大きな亀裂が走っているだろう。揺れの止んだ部屋の中は散乱し、ひどい状態だった。
リンは、はぁ、とため息をついた。
「この先に、どれだけ敵がいるかもわからないのに行っちゃうなんて。よっぽどユウムちゃんのことがすきなのねぇ。…でも大切な弟があそこまで言うんだから、私も手伝ってあげようかなぁ。……未来の妹のためにも」
そして、もうその部屋に人影はなく、代わりにあったのは、三人の写真。
- 670
:キャスケット:2011/07/26(火) 16:56:54
- 砂糖人形さんからユウムちゃん、本家から名前だけですがサイナをお借りしました!!
やっとこれ書けたよ…!これを書くのが最近の目標でした。
うちの子を、今後ともよろしくお願いします!!
- 671
:キャスケット:2011/07/26(火) 17:40:32
- 何回投下するんでしょうね。
「フォレストマジシャンと衣装係」
そこは、あるテントの中だった。
「こらシュウト君、動いちゃだめです!」
「…はい。」
そこにいたのは、サーカス団員全員の衣装を作り上げたキョウコとややぐったりめなシュウトだった。
シュウトは最近入団したばかりだが即戦力としてサーカスに出るため急遽、こうして衣装を作っているのである。
「シュウト君って結構がっしりしてるのね。驚いちゃった。何かスポーツでもやってた?」
「いえ、何もやってないですけど…。あ、でも、結構バイトをしてるから、それもあるかも。」
「あまり無茶はしてだめだよ?…はい採寸終わり。後は自由に練習とかしてもいいからね?」
そういうと、キョウコはさまざまな色の布を取り出した。大体は緑系の布で、それを器用に縫っていく。
その動作を、シュウトはじーっと見ていた。
「、どうしたの?シュウト君。練習しないの?」
「、えっと、キョウコさんの縫い方を見てたんです。俺も裁縫が好きなので。」
「そう。じゃあ存分に見ていきなさい?サーカス団の人全員の衣装を縫った私のテクニック。」
すべてを縫い終わるのにそれほど時間はかからなかった。
すいすいと針を通していくとどんどん形が出来上がり、できたのはタキシードのような服だった。
「完☆成。こんな感じでどうかしら。シュウト君をイメージして作ってみたんだけど。」
「着てみてもいいんですか?」
「どうぞどうぞ。」
するりと腕を通してみると、すごく自分にあっていた。
少し驚く。それを見たキョウコは笑い、道具を片付け始めた。
「これ、すごいですね…!」
「慣れてますから。ほら、練習しないと、だよ。」
「はい。衣装はどうすればいいですか?」
「それはそこいらへんに置いといて。あとでしまうから。」
「キョウコさん。」
「なぁに?」
「今度、裁縫教えてもらってもいいですか?」
その問いに、
「まっかせない!」
笑顔で返した。
- 672
:キャスケット:2011/07/26(火) 17:44:51
- サイコロさんから森山修斗君をお借りしました!
いまさらなんですけど、書いてもよかったのかしら…。
心配ですが、後悔はしてません。
- 673
:大黒屋:2011/07/26(火) 21:42:10
- 先に片づけておきます。カイムとゴクオーの過去編です。
自キャラオンリーです。そして今回は珍しく過去編オンリーです。
風の音が静かに響く。
背丈の低い草花が風になびき、彼の頬をくすぐった。
「…んっ…?」
彼は目を覚ます。眼の前に広がる視界はぼやけていた。
(…あ、れ?確か、僕は…。)
寝ぼけた頭の中の記憶を探りながら、彼はゆっくりと体を起こす。
地面を探り、見つけた自分の眼鏡をかけ、眼の前に広がった世界に彼は絶句した。
色とりどりの小さな花が一面に敷き詰められている。
その先には灰色の地面、そして水面。
そこは、彼の知っている世界とはまるで違った。
そしてやっと思い出した。
そうだ、僕はあの時「死んだ」んだ…。
灰色の地面は薄く丸い石だったようだ。
あたりを見回しても、いる人間はほんに僅か。
しかも彼らはこの石を集めては、積み重ね続けている。
何をしているのだろう。純粋に疑問に思い、直ぐ近くにいた少女に声をかけようとした。
その直前だった。
「…おい、そこの。」
肩を叩かれ、振り返った。
自分よりやや背の低い、少年のような男だった。
上は黄色、下は薄紫の袴姿。上から袴と同じ色の上着を羽織っていた。
首には赤く大きな首飾り。四角いそれには逆さに「獄」と刻まれていた。
右目の下には赤い刺青。そしてこちらを見る目は血のように赤かった。
「お前じゃろ、『オトナシ カイム』とか言うのは?」
「え、あ、はい。貴方は…?」
「お前の迎えに来た者じゃ。ついてこい。」
水面に浮かぶ小さな船には、彼ら二人だけが乗っていた。
「…あの、此処は何処なんですか?それに、先程の人たちは…?」
「落ちつくんじゃ。一つずつ説明する。まず、此処は人間界の死者が渡る輪廻の狭間。通称「三途の川」じゃ。」
「さ…、「三途の川」?」
生前国語教諭だった彼は、何度も古典作品に触れていた。
必然的にこういった死者の国に対する文章も触れるわけだが、本当に存在するとは思わなかった。
「…じゃ、じゃああの人たちは生前に罪を…?」
「そうじゃ。罪を背負って、なおかつ前世に未練のあるものたちじゃ。」
生前に罪を犯し、未練を残した者はあの河原…「賽ノ河原」で石を積み上げる。
天高く積み上げ切るまで、三途の川を渡ることは許されない。
しかし、折角積もあげても、時折やってくる鬼にその石の塔は崩され、またはじめから…を延々と繰り返すのだ。
先程彼が声をかけようとした少女も、その一人なのだろうか。
「…そうですか。本当に僕、死んでしまったのですね…。」
「今更後悔したところで運命は何も変わらん。今は事実を受け入れて、来世に期待するんじゃな。」
興味がない、という風に目の前の男は櫂を漕ぎながら言った。
「…向こう岸につくまで、どれくらいかかります?」
「知らんのか?49日って言うじゃろ?あれはこの三途の川を渡り切る期間なんじゃ。」
「ああ、そうだったんですね。」
「そして、生前の記憶を完全に失う期間でもある。」
男がそう言うと、彼は「そうですか…。」と頭を垂れた。
「皮肉な話ですね。「人の噂も75日」なのに、その半分の期間で皆忘れ去ってしまうなんて…。」
「…。」
「…あの、もし良かったら、貴方の名前、教えていただけませんか?」
「? わしの、名前?そんなの知ってどうするんじゃ?どの道直ぐに忘れることになるぞ。」
「いいんです。せめて49日だけでも、貴方の名前を覚えておきたいから。」
戸惑う男。今までにそんなこと、言われたことがないのだろう。
それほどまでに彼は親切で、無邪気で、無知だった。
「…二代目閻魔大王・地獄王じゃ。獄王と呼べ。」
「えっ、閻魔大王がなんで、こんなことを…?」
「まだ本職にはついとらん。今は初代が仕事をしとるからの。わしはまだこれが仕事なんじゃ。」
「そうなんですか…。」
- 674
:大黒屋:2011/07/26(火) 21:43:25
- 櫂が水を切る音だけが、あるはずもない空間に響き渡る。
二人の男は黙ってその音に聞き入っていた。
既にどのくらいの時が流れたことだろう。
そんなことさえも分からなくなっていた。
「…もし、向こう岸で閻魔大王が待ち受けているのならば、僕はきっと地獄に落ちるんでしょうね。」
「? どうしてそう思うんじゃ?」
「だって、何か罪を犯したから、僕は早く死んだのでしょう?」
自嘲気味に彼は言った。
「それに、罪を犯さない人間は絶対いません。罪を犯すことで地獄に落ちるのなら、僕も、誰もかも…ね。」
「…確かに、罪を犯さない人間はおらん。」
彼の言葉を肯定し、未熟な閻魔は返した。
「でも、お前はきっと浄土へ行ける。わしが保証してやるわ。」
「…ありがとうございます。でも、いいんです。」
「僕は、自分の罪と真剣に向き合いたいんです。そのためにならどんな罰でも食らいましょう。」
「…初めてじゃ、嘘偽りなくそんな言葉を言った者は。」
男は笑った。彼も微笑みを返した。
このまま静かに49日が過ぎ去る。
二人はそう思い込んでいた。
しかし、転機は47日目に起こる。
向こう岸が見えてきた、その時だった。
「…わっ!?」
突然、小さな船の底に穴が開いた。
いや、違う。穴の色が闇のように暗い。
その真上に居た彼が支える地面を失くし、そのまま穴に入りこんだ。
「危ない!」
その右手首を、男がつかんだ。
引き上げようとするも、向こう側からもものすごい引力で引っぱられる。
彼は慌てて叫んだ。
「離してください!このままじゃ、貴方もこっちに引きずり込まれます!」
「いや、それはできん!」
櫂を握っていた手も手首をつかみながら、男は叫んだ。
「その先は鬼門じゃ!輪廻転生から外され、「存在」として永遠に彷徨い続けなければならん!罰どころか、幸せもそこにはない!」
「なら、尚更離してください!貴方まで巻き込むわけにはいかない!それに!」
「これは僕の真下にできた。なら、これこそが僕の受けるべき罰で、僕の定めなんです!」
彼は男の手を振り払った。
すぐさま引力が彼を襲い、闇の奥に吸い込まれていく。
離れた手を再び握ろうと男は手を伸ばしたが、もう届かなかった。
「カイム!!」
「獄王さん!御縁があれば、いつかまたお会いしましょう!あなたとの47日間、僕は決して忘れませんから――!!」
その言葉を最後に、彼は「実体」を失った。
跡形もなくきえさった穴に向かって、男は言った。
「縁なんて…もうありえなかろ…。わしとお前は、もう、二度と会えない…。」
心なき閻魔に、初めて心がうかがえた瞬間でもあった。
47日の高瀬舟
ソノココロハトワニツナガリ
ノチニフタリマノウイチド
ユイイツムニノナカマトシテ
サイカイスルコトニナロウトハ
- 675
:大黒屋:2011/07/27(水) 19:34:09
- そろそろパニ・シーも学校で本格始動です。正体に極限まで近付いてみました。
しらにゅいさんより「トキコ」、名前のみスゴロクさんより「火波 スザク」をおかりしました。こんなんでよかったのかしら…;
※グロ表現注意です。
僕はボク
「…かっ!」
校舎の壁に叩きつけられた体。その上から動きを封じるように幾本ものナイフが突き刺さった。
真紅の液体が肩口から流れ出す。熱い。痛い。そんな言葉では表現しえない。
「あれあれ~?噂に聞いたんじゃ、トキコちゃんはもっと強いって聞いたんだけどな~?」
眼の前の声に、顔を上げる。
信じられなかった。今まさに自分を襲っているのが、自分の友達の一人だということを。
いや、そもそもこの子は能力者の存在を知らない筈であるのだが…。
「能力者の存在?何言ってんの?僕が知らないわけないじゃん。」
けらけらと馬鹿にしたように、眼の前の人は笑う。
「でも、でも知らないからこそ、超常現象を知ろうとして…。」
「違う違う。あれは口実。本当は大きな争い、みーんな見てるんだよ。」
「僕ね、ずーっと皆にウソついてた。いつもの態度も、この髪の色も、目の色も皆ウソを吐くためのアイテム。」
トキコから目を離し、語るように徘徊する。
後ろを見ている間に、トキコは肩に刺さったナイフに手をかけた。
「でも、本当の事もあるよ。僕は確かに能力を持たない一般人。」
傷を抉る痛みに耐えながら、彼女はナイフを抜き取る。
「超常現象相手じゃ無力。何もできない。そんな人だった――」
肉を引き裂く感触。
骨が砕ける感覚。
血管の切れる雑音。
全てが入り混じってトキコの耳に届いたのは、「友達」の腕を引きちぎった後だった。
自分の足りない頭でそれが処理される前に、彼女は「友達」の首を折り、足を外し、鳩尾に穴を開けた。
残骸になり果てた体はその場で崩れ、前に倒れ込んだ。
ろくにできない呼吸をしながら、トキコは肩の傷を抑えて歩き出した。
「早く、早く鳥さんに伝えなきゃ…。」
『…そ、僕が聞きたいのはスザクちゃんのことなんだよね。』
聞き間違いかと信じたかった。
しかし後ろを向けば、死んだはずの「友達」が何食わぬ顔で微笑んでいた。
「っ…!!??」
無傷の「友達」はもう一度壁にトキコを押し付けた。
「あはっw吃驚した?吃驚したよね?そりゃそうだもん。『これ』、つかうの初めてだから。」
トキコは恐怖でしか「友達」を見上げられなかった。
「僕はもう一般人じゃない。経験を重ねたおかげで、能力に目覚めることができたんだ。驚いたでしょ?」
対する「友達」は、トキコを笑いながら見下ろしていた。
「さて、本題に入ろうか。火波 スザクちゃんって、生物兵器の成り損ないなんだよね?」
「しっ、知らない!そんなこと!」
「へぇ、そうなんだ。なら、君には用なしだね。」
トキコの眉間に、「友達」は容赦なくナイフを向けた。
「大丈夫、死んだりしないよ。ただ、今起こったこの出来事を綺麗に忘れるだけさ。」
そして、「友達」はナイフを振り上げた。
「…どうして…、どうしてこんなこと、するの…?」
「どうして?そうだなぁ…。」
「僕は、『正義の味方(ボク)』だからね。」
----
「…トキコちゃん?トキコちゃーん?」
肩をゆすられ、トキコは目を覚ました。
此処は何処だろう?…あ、そうだ。此処は屋上だ。
きっと日向ぼっこが気持ちよくって、うとうとしちゃったんだろうな。
「いつまで寝てるの?もうすぐ授業はじまっちゃうよ?」
「あ、うん。直ぐ行くよ。」
トキコは立ち上がり、「友達」に歩み寄った。
「待っててくれたの?」
「…うん、まぁね。」
彼女の記憶には恐ろしい「友達」の姿は残されていなかった。
肩の傷も、ボロボロにされたプライドも既に、「無かったことにされていた」…。
- 676
:スゴロク:2011/07/27(水) 21:30:13
「!?」
その時、蒼崎 啓介は教室にいた。もうすぐ4時間目が始まろうかと言う時刻に、「それ」は突然、久々にやって来た。
「ん、どうしたケースケ?」
「い、いや、何でもない。ちょっとめまいがしただけだ」
大丈夫かよ? と声をかける真二に生返事を返しつつ、啓介は「それ」が来たらしい方向―――屋上の方に目を向けた。
(何だ、「今の」は?)
それは、今までと同じ「超感知」の感覚と似ていたが、一つだけ違う点があった。いつものそれならば、頭の奥に一瞬だけ走る印象の強い痛み、というものなのだが、今回のものは傷跡が引きつるようなものだった。
(何かがおかしい)
引き戸が開き、クラスメイト達が入って来る。火波姉妹にトキコに海海に都シスイ、廊下をチェシャが走り、ザルクや時差ぼけ、もといカケルが通り過ぎて行く。
いつものことなのに、どうしてだか、啓介は奇妙な違和感を殺し切れずにいた。いつもと同じ光景、いつもと同じ顔ぶれ。なのに、「本当にこうだったろうか」という違和感が拭えない。
(どこだ……この感覚の根源はどこだ)
違和感をより多く感じる部分、微妙に不快になるような視点を探す。
「!」
(もしや)
そう思って「そちら」に目を向けるか向けないかの瞬間、聞きなれたリズムの電子音が思考を遮った。
確証を得られなかった啓介は、放課後まで違和感に苦しむはめとなった。
「誰だ?」
「僕だ、蒼崎」
学校を出ようとした啓介に背後から話しかけて来たのは、最近さっぱり顔を見ないクラスメイト。
「……夜波か」
「ああ」
「どうした、何か用か」
「用があるから、話しかけた」
もっともな話である。
「何だ?」
「簡単だ。僕らのクラスに火波 スザクっているだろ」
「いるも何も、ちょっとした有名人だろうが。お前も知っているはずだ」
「まあ、当然。問題はその子のことなんだけどね」
「?」
そして、詠人は。
「あの子、死ぬよ」
そんなことを、さらりと言ってのけた。
「……何?」
「狙ってる奴がいる、とだけ言っとくよ。それ以上はなしだ。こっちも義理があるんでね」
「何だと? おい、待て夜波!!」
だが、啓介の制止より早く、詠人はその場から姿を消した。
「命が惜しければ、余計な手出しはしないことだ」
それだけ、言い残して。
「どういうことだ……! 夜波、何を考えている……一体、何が起きている!? いや、何が起きたというんだ……!?」
察した者、警告する者
(その男は危機を察した)
(その男は警告を発した)
(そして)
「!」
「ランカちゃん……? どうしたの?」
「……真衣ちゃん、気をつけて。何だか、誰かに見られてるような気がする」
「ぇ……誰が……」
「マスターの言うとおりですわ。何や、うちらをどこかから見とる奴がおりますで」
(波から伝わる……敵意? 憎悪? 何なの……!?)
(彼女達は身を寄せ合った)
町中の熊さんから「貝塚 真二」、(六x・)さんから「アズール」名前のみしらにゅいさんから「チェシャ」「トキコ」、445さんから「ザルク・ゼドーク」、結構暇人さんから「時男カケル」、大黒屋さんから「海女海 海海」akiyakanさんから「都シスイ」をお借りしました。
- 677
:(六x・):2011/07/27(水) 23:49:10
- >大黒屋さん
お待たせしました、やっとフラグ回収です…
あと、そのうち百物語組にも参加します。
「由衣」をお借りしました。
↓タイトル
爪ス゚◇゚ス親父のことなんか、全然好きじゃないんだからね!
「凪のお父さんって、かっこいいよねー。」
「それは見た目だけ。実際は、色々もろもろ残念要素で構成されたクソ親父でございます。」
「それは残念ww」
「アレと結婚した母さんが気の毒でならん。」
「ただいま。注文決まった?」
「烏龍茶とオムライス」
「俺はカレーピラフとコーヒーで」
「珍しい。牛丼かポテチが主食なのにw」
「それ以外のもの食べたら変みたいに言うなw」
店を出てから、私は親父に今までのことを色々話した。能力を持つきっかけ(うろ覚え)、友達のために戦ったこと…
親父は変に追及したりせず、全部黙って聞いてくれた。冬也のことも話そうかと思ったけど発狂されたら困るのでやめた。
「…そうだったのか。父さんも母さんもいるから、あまり一人で抱え込むなよ」
「ん…やっぱ腐っても父親だな」
「父さん、ボーイズでラブ系は専門外だよ」
「聞いてねーよ。つかそっちの腐ってるじゃないから」
「なんでそんなに可愛くないことばっかり言うの…。昔は『お父さんと結婚する!』って言ってくれたのに」
「全く身に覚えがない件について。…そこまで嫌いじゃねーよ。」
「!凪ーっ(むぎゅぅ」
「うわぁあぁ何すんだクソ親父!!////」
前言撤回。やっぱりクソ親父はうざい。
- 678
:大黒屋:2011/07/28(木) 21:41:35
- エトレク初の活躍回だと自分は信じている。
スゴロクさんより、「ヴァイス」「ブランカ・白波」をお借りしました。
赤と黒の偶発的遭遇
「…あそこだね、この前あのシナリオライターが言っていたのは。」
黒ずくめの男は、遠くのビルから一つの家を目隠し越しに眺めていた。
「『僕の妹(ボク)』も能力に目覚めたようだし、僕も遅れられないからね、早速…。」
彼は柵に足をかけ、抵抗なくそのまま飛び降りた。
「…はぁ、これじゃ虱潰しに捜しても意味ないだろうなぁ…。」
赤ずくめの男は、未だ探し人の噂すら聞くことができなかった。
「残り一時間。今日も無理だろうなぁ…。」
彼はそういい、近くのビルにもたれかかった。
赤の眼の前に降り立った黒。
偶然が重なり、二人ははち合わせてしまった…。
「…ん?あれあれ?」
黒い男…シンは着地するなり視界の端に映った赤いオーラの持ち主を見つけた。
赤い男…エトレクは眼の前に現れた黒い人影の正体を把握するのに時間がかかった。
「…えっと…これは…;」
「…これはなんて幸運なんだろうね。こんなところに、人外がいるなんて。」
シンは興味深げにエトレクに近づく。
対するエトレクは状況をやっと把握し、後ずさった。
「…最悪だ、何でこのタイミングでこいつと逢っちゃうんだよ…!!orz」
(どうする、俺?このまま対峙するか、それとも逃げるか…?)
一回頭の中でそう思ったが、彼の答えはもう決まっていた。
「…逃げるに決まってんだろぉっ!!」
シンをおいて踵を返し、来た道を猛ダッシュで戻りだした。
「何で!何であんなはち合わせ方するんだよ俺!相変わらず運が悪いったりゃありゃしねぇ!」
叫ぶエトレクは既に涙眼である。しかも。
「そうかなぁ?僕はすごくラッキーだったと思うなぁ。」
「!?」
奴の方が足が速かったらしい。先回りされ、逃げ道をふさがれた。
「…さぁて、念のため確認するけど、君は妖怪なんだよね?」
「…っ;」
塀に追いつめられたエトレクはシンを見上げる。
「人外なら成敗しないとだね…。覚悟はできてる?」
ナイフを取り出しながらシンは、肯定できるわけがない言葉を吐いた。
「…っ、くく…。」
突然、エトレクが声を殺して笑い出した。シンは訝しげに彼を見下ろす。
エトレクは白い仮面を取り出した。吊りあがる口角と弧を描く目が彫られた仮面だ。
それをそっと付け、彼はシンを見上げた。
「…聞いたことないの哉、『怪人赤マント』の話を…?」
彼はおもむろに立ち上がると、シンの手を払いのけながら語りだした。
「夕方、陽が沈み始めたころ、子供が一人歩いていると、後ろから不気味な笑い声が聞こえる。」
シンはナイフを数本取り出すが、彼は気にしない。
「そして声は問う。『赤い色と青い色、貴方はどちらが好きですか?』その質問には絶対に答えてはならない。」
すっと、一本指が伸びた。
「赤い色と答えたものは、血まみれにして殺される。青い色と答えたものは、水に沈めて殺される――。」
その伸びた指は、真っすぐシンに向けられた。
「それでは君に問う哉。『赤い色と青い色、貴方はどちらが好きですか?』」
赤いオーラが、シンを襲った。エトレクの力『絶対選択』だ。
シンはその効果を悟り、口を開いた。
「…そうだね、今の話で大体把握したよ。だから、『どちらかを選ばなければならない』なら、答えようか。」
「僕が選ぶのは、「赤」だ。」
二つの刃が音高く交わった。
シンのナイフと対峙するのは、エトレクが何処からともなく取り出した巨大な鎌。
「…へぇ、やるねぇ。本気で僕を赤く染める気だ。」
「そうなる哉。おとなしくしていれば、直ぐに終わる。」
エトレクは間をとり、鎌を振り上げた。
- 679
:大黒屋:2011/07/28(木) 21:42:14
- (…なんか、大変なことになっちまった…;)
刃を交えながら仮面の奥でエトレクは冷や汗を流していた。
(あそこで調子に乗るんじゃなかった。逃げられないなら戦うまでなのは分かってたけど、俺、そんなに強くないんだよ…orz)
仮面のおかげで後悔の念が表情から気取られないのは幸いか。
(いっそ「青」を選んでくれれば一発で行けたのに…っ;)
「…あれれ?まさか、違うこと考えてないよね?」
シンのナイフが幾本も襲いかかって来た。咄嗟に鎌を回してナイフを弾く。
「まさか。そんなこと考えていたら此方が死ぬ。それよりも。」
一気に間を詰め、鎌を振り上げる。
シンはがそちらに気取られている間に、彼は開いている手を下に向けた。
「余裕ぶっていればそちらが死ぬ哉。」
手に現れたのは、もう一つの鎌。
草取り鎌と相違ないが、手元で扱うにはちょうど良かった。
エトレクはそれを下手でシンに向かって飛ばしたのだ。
「!」
反射的に反応したシンは鎌を弾くが、掌を僅かに切った。
「時間はあまりかけられない哉!」
エトレクは一気にたたみかけた。
弾かれた鎌を拾い上げ、2つの刃でシンの首を挟みこんだ。
つとも動かせば赤い液体が流れ落ちる位置で、刃先は止められる。
「「…。」」
その状態のまま、暫くの沈黙が続いた。
が、不意に声を殺して笑い出した。
驚き、相手を見る。
と、突然鳩尾に鋭い痛みが襲いかかった。
見ると、鳩尾に突き刺さる凶器。
武器を落とし、力なく膝をついて倒れ込んだ。
地面に伏したその人は、
――赤い姿をしていた。
「う…嘘だ、どうして…。」
枯れた声でエトレクは言う。シンは不気味に笑った。
「油断したね。あのくらいで、僕が君をあきらめるわけがないだろう?」
放たれるナイフが赤いマントを埋めていく。
最早エトレクに動く体力など残っていなかった。
「それじゃあね、人外君。君は僕にたてつくにはあまりに弱すぎたようだね。」
シンはナイフを抜き取り、夕陽の沈んだ空に溶けて行った。
残されたエトレクは、かすむ視界で夜空を見上げた。
(…甘かったな。まさか、こんな所で死ぬなんて…。)
(最期にもう一度だけ、「あの子」に会いたかったなぁ…。)
彼はそう思いながら、静かに目を――閉じた。
- 680
:大黒屋:2011/07/30(土) 22:02:38
- 自キャラのみです。時間に追われながら書いてるのでくだくだですorz
思い出した役割
「そんな、なんで、エトレクさんが…。」
呟く春美は小刻みに震えている。
その背をなでるキリも、眼の前で光る手術中のランプを信じることができなかった。
エトレクからのテレパシーが途絶えたことに春美が気付きキリと共に駆けつけたところ、彼は無数の刺し傷や切り傷を負って道端に伏していた。
春美は応急処置を施しクランケを呼ぶと、アースセイバーの治療室を借りだした。
エトレクの怪我の具合を見たクランケは一言呟いた。
「これは、難しいかもしれない」と…。
赤いランプが消えた。
扉が開き、「千郷」がゴム手袋を外しながら出てきた。
春美は直ぐに駆け寄る。彼女の口から言葉が発される前に、千郷は先に結論付けた。
「命は助かった。でも、暫くは目覚めないだろう。」
呼吸しているのかも分からないほどに静かに、赤い男は眠り続けていた。
「生まれが都市伝説だったからね。血液は流れてなかったから、ショック死か内蔵の機能停止の確率が高かった。」
千郷はシルクハットを取り上げながら言った。
「前回よりも呪術を多用しているから確かとはいえないけど、下手をすればずっと眠ったままかもしれない。」
「そんなっ…!」
「…シン・シーか…。」
千郷は独り言のようにその名を呟いた。
彼も「怪盗」という人外。何時狙われてもおかしくない立場である。
それ故、音もなく眠るこの男を見るたびに、万感が込み上げてくるのだった。
「…なんで、こんなこと、するの…?」
春美は泣きだしていた。
「なんでこんなに人外を忌み嫌うの!?仲良くなれないの!?どうして!何で!」
耳をふさぎたくなるような悲痛な声。それでも辛抱強く、二人は少女の声を聞いていた。
「嫌だよ、エトレクさん!ずっと眠ったまんまなんて嫌だよ!」
いつもの冷静さを失くし、春美は叫んでいた。
しかし、暫くしてふと、千郷が口をはさんだ。
「…春美ちゃん、僕だって悲しいよ。」
「千郷さん…?」
「でも、今こうして泣くことはエトレクさんは望んでいるのかな?」
「!」
「彼が何を望んでいるかは僕にも分からない。でも、今君にできることは、これ以上犠牲が出ないよう計らうことだ。」
8歳の少女には重すぎる責任と分かっていても、彼は言った。
「君が、人外も人間も笑顔にして見せるんだ。」
「私、が…?」
「思い出して。君はどうして、アースセイバーに入った?」
「あ…。」
顔を上げる春美に、千郷は微笑んで見せた。
「人間と人外の日常を守るのが、君の役目だ。だから、泣いている暇はない。」
「…ありがとう、千郷さん。」
「僕は当然のことを言ったまでさ。」
千郷は春美をなでた。
「必ず、君たちがシンを食い止めるんだ。」
- 681
:大黒屋:2011/07/31(日) 21:02:06
- 急展開はいりまーs(蹴 詳細に関しては後日あげるつもりです。
十字メシアさんより「ユズキ」、(六x・)さんより「凪」、スゴロクさんよりホウオウ兵器「パニッシャー」をお借りしました。
壊された日常?
「みーんなー!ビックニュース、ビックニュース!!」
勢いよく教室に入って来た海海を見て、何処からともなく溜め息が漏れた。
「…海海、お前また懲りずにオカルト調査してんのか?」
由衣が呆れたような声で言った。隣にいたユズキも頷く。
「懲りずにとは何だ、懲りずにとは!いい?僕はもうそんなこと言わせる気は毛頭ないから!」
びしっと由衣に指を向け、海海は高らかに宣言した。
「ほー?そこまで言うんだったら、何かしら証拠をつかんだのか?」
凪が笑いながら言う。海海は「もっちろん!」と胸を張った。
「今まではただ噂に聞くだけで、カメラに収めるどころか、この目ですら見れなかった。でも、今回は違う!」
海海は数枚の写真を高らかに掲げた。
「さぁ見ろ!これが私の新聞部魂の実力だ!」
由衣はその手から写真を一枚とり、ユズキと見た。
「…!?」
写真に写っていたのは、一人の少年と無数のロボット。
ロボットは各々が武器を持ち、中央にいる少年に襲い掛かってるように見える。
そして中央の少年も槍と剣を持ち対峙していた。
…そう。多少非日常だがそこまでは納得いくのだ。だが。
空中に浮かぶ武器も、そこには映っていた。
「…これって…。」
凪の隣にいたノラの声が震える。
海海は自慢げに胸を張った。
「見たかっ!僕がたまたま通りかかったストラウル跡地で、こんな攻防が起こっていたのだ!これは間違いなくビックニュースだ!」
「…CGじゃないの?」
ユズキが呟いた。
「ちっがーう!これは本当に」
「あ、あー!CGか!それなら納得するわ!」
「そ、そうだよね!こんなのありえないもん!」
「海海ちゃんもとうとうネタが尽きたんだ…。」
「違うのに~;」
半分涙声になる海海をよそに、話を無理やり終結させた。
「…おい、ノラ。あの写真に写ってたのって、アースセイバーのソウトだよな?」
帰り路ノラと共に帰る由衣は小声で話かけた。
「うん。百物語組のメンバーだよ。でもこの間襲われて…。」
「もしかして、あれってその時の…?」
「…わからないけど…。」
一般人に能力の存在がばれた。
今はごまかしとおしているものの、何時核心にいたるか分からない。
アースセイバーの二人は危惧し、どうしようか頭を悩ませたらしい…。
- 682
:大黒屋:2011/08/02(火) 20:42:19
- な、なんか自分ばっかり投稿してるから流石に気が引けて来てるんですが…;イイノカナァ;
久しぶりにほのぼのイメージです。ひと騒ぎ前の息抜きにどうぞ。質問のフラグをとるか捨てるかはお任せいたします。
十字メシアさんより「ミノリ」、びすたさんより「シキ」、名前のみスゴロクさんより「三鷹 かもめ(一之瀬 ツバメ)」をお借りしました。
「…あれ?」
「…あっ。先生…。」
「貴方はミノリさんでしたね。」
「あ、はい。…あの、御向かい、よろしいですか?」
「ああ、どうぞ。」
「よく図書館には来られるのですか?」
「はい。本を読むのが、好きなので…。」
「その本は、三鷹かもめ先生が書かれた本ですよね?」
「あ、分かりますか?絵本が多いんですけど、私はこの人の本が好きなんです。」
「好きな作家さんがいることはいいことだと思いますよ。」
「…そ、その、先生が読んでいるそれって…?」
「国語辞典ですよ?」
「珍しいですね、それ単体で読まれるなんて…。」
「よく言われますけどね。読み比べとかしていたら、結構面白いんですよ。」
「皆同じじゃないんですか?」
「同じ言葉でも会社や対象者が違えば表現は変わりますし、中にはかかれていなかったりもするのです。」
「そんなに細かく辞書なんて見たことなかったなぁ…。」
「最新版の広辞苑は面白いですよ。若者の間で流行った言葉も細かく載っていますし。今度読まれてみてはいかがでしょうか?」
「時間があれば…。」
「…ミノリさんは、ファンタジー以外にどんな種類の本を読まれます?」
「えっ?」
「ほら、色々な本が世の中にはあるじゃないですか。恋愛物しかり、推理物しかり、ノンフィクションしかり…。」
「面白かったら何でも読みます。…でも…。」
「でも?」
「怖い話だけは、駄目なんですよね…。」
「そうなんですか…。」
「お化けとか私、とにかく駄目で、暗い所一人で歩けなかったりするんです。それ、結構バカにされて…。」
「そういう人は良くいますから。きにすることはありませんよ。」
「ありがとうございます…。」
「…やっぱり、妖怪そのものが苦手だったりするのですか?」
「…はい…、昔、いろいろあったので…。」
「もし、もしですよ。もしこの世に妖怪がいるとして、それが全て居なくなったとしたら…嬉しいですか?」
「えっ?…うーん…。」
「って、行き成り言われても難しいですよね…。すみません、ただ単に聞いてみたくなっただけなので、忘れてくださってもかまいませんよ。」
「…先生って、おかしな方ですよね。」
「はい?」
「昔読んだ本に出てきた『語り部』さんみたいだなぁって、思いました。」
「『語り部』、ですか?」
「本の読み聞かせをしてくれる人なんですけど、本の世界に人を連れ込んだり、逆に本の出来事を現実に持ち込んだり、いろいろと面白い事をしてくれるんです。」
「その方と僕が、似ていると?」
「話の振り方とか特に。悟ったようなしゃべり方ではありませんけどね。」
「そうなのですか…。」
「…あっ、予鈴まであと5分ですよ。」
「あ!本当だ!ありがとうございます!」
「この後の授業でまた、お会いしましょう。」
「はい!」
「…元気そうにしてた様で何より。」
「何だ?今の子、知り合いなのか?」
「元々ウスワイヤに居た子なんだ。僕も昔お会いしたことがあったのだけど、彼女は覚えていなかったようだね。」
「ふーん…。」
御読みですか?
「…あながち間違ってはいないけどね、『語り部』っていう表現も…。」
- 683
:(六x・):2011/08/02(火) 22:32:10
- >大黒屋さん
いっぱい投稿してもいいのよ!読みます(六x^)
近々、ミナミちゃんと雪乃さんが出会うまでの話も書きたいと思います。
海にいるから他の妖怪仲間と面識はないかも…いや、雪乃のお店でバイトしてるからそれなりにあるかw
- 684
:十字メシア:2011/08/02(火) 22:59:37
- 撫子の過去話。
『悲恋を遂げた乙女』
本当に本当の話だよ
昔ある所に一人の女性がいたの
その女性は教養が高くて、とても可憐で優しい、正に「大和撫子」の様な人だったの
そしてその女性には恋人がいて、お互い愛し合っていたんだって
でもある日、恋人と些細な事で喧嘩しちゃったの―――。
「カイトさんだって知ってたでしょう!?」
「だからこうして謝ってるじゃないか!」
ある日の事。
私―――如月 麗華は今、猛烈に怒っています…!
原因は、机にある壊れた漆塗りの箱。
これは私にとって大切な物なのです。
それをこの人は落として壊してしまった、ですって!?
私はあまりのショックと激しい怒りで、言いたいこと全てそのままぶつけています。
「あの箱は亡きお母様から頂いた大切な物…それを壊してしまうなんて!」
「それは重重分かっている!」
「本当に分かって仰るのなら、手が滑ったりしません!!」
「この…頑固者ッ!!」
「何ですか分からず屋ッ!!」
そして私はこう言ってしまったのです。
「大っ嫌いです! もう二度とその顔をお見せにならないで下さいッ!!!」
それを聞いたカイトさんは、最初は面食らった顔をしましたが、次の瞬間には嫌悪の表情を浮かばせました。
「ああ分かったよ! 望み通りもう二度と顔は見せねえからな!!」
と言って、襖を荒々しく閉めて、私の部屋から出て行きました。
私はしばらく壊れた箱を眺めながら、カイトさんに対しての不満を口にしていましたが、次第に落ち着いてくると、今度は憂鬱と後悔に襲われました。
「私は…何て事を…」
「大嫌い」「二度と顔を見せないで」…カイトさんを傷つけてしまった……。
そもそも、他に言い方があった筈。
なのに私は感情をそのままぶつけてしまった。
「謝らなくては…」
カイトさんはあんなに謝っていたのに、一番非がある私が謝らないだなんて、カイトさんに申し訳ありません。
でも、どうも素直に謝る気分にならない。
「麗華」
「お父様」
私の部屋に入ってきたのはお父様だった。
お母様を亡くして寂しい思いをしていた私を、お父様はいつも気遣ってくれました。
お父様は私の一番の理解者なのです。
「先程、カイト君が何やら仏頂面で出て行ったが…何かあったのか?」
「えと…実、は、喧嘩してしまって…」
「喧嘩?」
「はい…カイトさんが、お母様から頂いた箱を落として壊してしまって…それで私、ついカッとなって…」
「…そうか」
「わざとじゃないのは分かってるのに、酷いことを…」
「…麗華」
お父様が肩に手を置いて言います。
「お前は今どうしたい?」
「え、えと…カイトさんに、謝りたいです…」
「ならそうすればいい」
「え?」
「今思った事をやっとかないと、後で後悔してしまうぞ」
「……はい!」
お父様に後押しされ、私はカイトさんを追いかけました。
- 685
:十字メシア:2011/08/02(火) 23:00:49
- 「カイトさん、どこかしら…」
外に出たのはいいものの、カイトさんの姿が中々見当たりません。
心当たりのある場所を行ってみますが、何処にもいない―――と思いきや。
「あ…」
民芸品屋さんの前に、カイトさんの姿がありました。
どうやら、箱の代わりを探してるようです。
本当に、悪い事をしてしまった……。
早く謝らなくては。
そう思った私は、信号が青になった事を確認しつつ、手を降りながらカイトさんを呼びました。
「カイトさーん!」
「…! 麗華―――」
カイトさんの表情が視界に入ったその時。
横から車が私めがけて突っ込んできました。
「麗華ーーーーッ!!!!」
カイトさんが走ってきます。
そして、庇う様にして私を抱き込みました。
何もかもが、スローモーションに見える。
しかし次の瞬間には、私達は血塗れになって倒れていました。
「れ…か…」
頭から血を流したカイトさんが、私を呼びかけます。
私は上体を何とか起こし、カイトさんの元へ這いずるように寄りました。
「カ…カイトさ…ん…」
「麗華…」
私の声を聞いたカイトさんが、痛々しいながらも、嬉しそうに笑いました。
私は思わず、カイトさんの手を握りました。
何で…何で……私を庇って…?
「無事…でよかっ…た…」
「カイ…トさん…何故……?」
「…大事な…恋…人…だから…な…」
「………」
「箱…ごめん…な…」
私の手から落ちる、カイトさんの手。
私の、せいで。
私があんな事を言わなければ。
私が車に気づいていれば。
カイトさんは死ななかった。
死ななかったら、仲直りだって、出来た。
でも、叶わなかった。
それは一生、叶わないこと。
「カイト…さん…私の方こ…そ…ごめんな…さい…」
薄れ行く意識。
カイトさんに寄り添う様に、倒れる私。
数分も経たない内に、私の意識は、闇の中に消えました。
暗い、闇の中に。
「撫子さん、どうかしましたか?」
「あっ、いえ…何でも、御座いません」
「そうですか。あまり無理をしないで下さいね」
「はい、ありがとうございます」
「では、お休みなさい」
「お休みなさい」
カイムさんが寝床につく為、部屋に戻っていきました。
あれから、どれくらいの年月が経ったのか。
百物語として語られて存在し始め、後に主に出会い、次に皆さん方に会い。
生前と変わらぬ幸せを得たものの、私の心にある傷は、消えぬまま。
男の方に親切にされる度、カイトさんの事を思い出し、胸が痛みます。
特に、カイムさんの時は。
「……っく…」
何故、カイムさんにあの人の面影を見出だしてしまうのでしょう。
カイムさんはカイトさんではないのに。
別人、なのに。
「もう、あんな思いは……嫌、です…」
小さく嗚咽を漏らす私。
その時夜空には、満月が浮かび上がっていた。
お借りしたキャラは、大黒屋さんから「カイム」、名前は出ていませんが「秋山 春美」でした。
フラグ立ってますが、ただ単にカイムさんに恋人の面影を見出だしてるだけ…だと信じたいw
- 686
:サイコロ:2011/08/02(火) 23:07:09
- <抱えた爆弾>シリーズ、休憩話です。
お借りしたのは十字メシアさん宅からアスミ、アキト、ヨシヒトでした。
<汰狩省吾と拉致監禁。>
「んっ・・・ここは・・・?」
アスミはソファの上で目が覚めると、体が拘束されていた。
一瞬で出雲寺組邸宅での一件を思い出す。
「おう、気が付いたか組長さん。」
ふと顔をあげるとそこにはショウゴがいた。
何か写真のような物を懐にしまったところだった。
「悪いな、こんなところに拉致しちまって。
危害を加えるつもりはない。加えさせもしない。
ただ、暫く監禁させて貰う。」
「どうしてこんなことを・・・
いや、理由はあの時言ってましたね。正気ですか?」
「さぁな。・・・とりあえず、腹減ったろ?
飯を用意するからよ、ちょっと待っててくれ。」
「敵に施しは受けません。お腹もそんなに・・・」
続きを言いかけた所で腹の虫が鳴ってしまった。
顔を赤くしながら俯くアスミ。
「・・・とにかく、私は要りませ・・・え?」
ガチャガチャと言う音を聞いて振りかえると、
ショウゴが鍋やらガスコンロやら、調理器具を運んでいた。
「まぁまぁ、そう言うなって。塩くらい贈らせてくれよ。
それに・・・」
耳元に口を近づけ、とても小さい声でショウゴは続けた。
「明日、正確には今日だが、ウチの組の上がやって来る。
そん時に腹の音でも聞かれたら、飯と一緒に何喰わされっか
分かんないからな。」
アスミの座っているソファの前には机があったが、
その机の上にガスコンロとフライパンを置くと、
切ってあったらしい肉や野菜を次々と放り込んで炒めていった。
「組長さんは多分和食派で煮物とか好きなんだろうけど、
味付けが好みに合うかあんまし自信無いからオーソドックスに
野菜炒めにさせてもらうぜ。」
塩こしょう、そして醤油で味付けされて大きな皿の上に盛られた。
次に卵を溶いたかと思ったら、シンプルな具無しのチャーハンを作った。
「サトル!コトハ!リュウザ!飯だぞ!」
ドアから3人がやってくる。
「坊、ここで調理したんでっか・・・。しかも野菜炒めと
チャーハン・・・。」
「子どもみたいなこと言うんじゃないの。貴方何歳よ、
野菜が嫌ならコンビニにでも行きなさい。」
「やめなよコトハ。ショウゴさん、肉足らないんだけど
焼いていい?」
「あ、ワイも肉いただきま」
「えーいうるさいなお前ら!勝手に調理しやがれってんだ!」
ワイワイと向かい合うソファに5人が座った。
「・・・。」
あっけにとられるアスミ。だが、我に帰ると一つの問題に思い立った。
「ショウゴさん、お心遣いは大変うれしいんですけれど、これ…」
ジャラジャラと手錠を鳴らす。後手で手錠を掛けられていたため、
口元へご飯を運ぶことが出来ないのだ。
「あら、私が口移ししてあげようかしら?」
コトハの言葉を無視してショウゴはアスミに近寄る。
鍵を取り出すと、片方の手錠を外す。
「・・・ショウゴさん、いいんですか外してしまって。」
「いいんだよ。逃げれないから。」
「・・・。」
妙に自信たっぷりに言うショウゴ。
箸を持つと、アスミは少しずつ食べ始めた。
(何を考えているのか分からない・・・けど、殺すつもりは無いようね。
ならば今は力を蓄えるべき… きっと今にアキト達が助けに来てくれる。)
少し荒い味付けながらも、味としては良い野菜炒めをきちんと
食べるアスミを見て、ショウゴは安心した。
(反撃したり暴れるかと思ったが。まぁいい、後は明日来るオジキの対処だ…。
あの爺さん、ちゃんと仕事してるだろうな。)
「何!?組長の居場所が分かった!?」
ヨシヒトの声が大広間に響いた。出雲寺組を総動員して
組長・アスミの行方を捜していたが、とある情報屋から
連絡が入ったのである。
『はい、爺さんによると、とあるビルが丸々鬼英会の事務所に
なっているらしいです。明日今回の首謀者と幹部連中で
話し合いをするそうです。』
「了解。ビルの場所は?」
『繁華街のはずれにあるITビジネスの看板を掛けたところらしいです。』
「分かりました。ではまたあとで連絡します。」
携帯を閉じるとメモ帳に何やら書きこむ。
「すまねぇ・・・俺が発信機をちゃんとアスミに付けておけば・・・!」
「起きてしまったことは仕方が無いです。 それより
どうやって救出するか考えなくては。」
「ああ・・・。」
それぞれの夜が更けてゆく。
それぞれの思いを胸に秘めたまま。
- 687
:スゴロク:2011/08/03(水) 00:21:28
- 大黒屋さんの「赤と黒の偶発的遭遇」の直後のお話です。ガールズトークを目指しましたが。
「…………」
「マナちゃん、どう?」
油断なく家の周囲を探査するマナに、真剣な面持ちでランカが言う。震えながら体を寄せる真衣とは違い、ランカは無力ながらも実戦の空気を知っている。ゆえに、危機や虚偽には人一倍敏感だ。
「……敵意が消えた。どこかに行ったみたい」
「本当?」
「……うん、大丈夫。もう、近くにはいない」
そう言って息をつくマナの姿に、3人もようやく緊張を解いた。
「はぁぁ……怖かったぁ……」
「もう大丈夫だよ、真衣ちゃん。怖いものはなくなったよ」
「肝が冷えましたで。久々にうちが戦らなあかんかと、覚悟決めましたわ」
余談だが、真衣は兄・啓介がアースセイバーであり、自身もウスワイヤで能力を制御する訓練を受けている。その関係なのか、春美と「百物語組」とも顔見知りで、その縁でアズールのこともこっそり知っていたりする。
「ありがとう、アズール」
「いやいや、当然のことです」
人の姿のアズールの、青い髪を撫でるランカ。その横で、マナは敵意が去ったあとも、油断なく辺りを走査していた。「センサー」に引っ掛かるものがあったのだ。
(このすぐ近くだった……片方は、あの時の……お兄ちゃんの時の、シン・シー。もう片方は知らない……でも)
ちらりと、背後を見る。そこには、ランカの隣で控える青い髪の少女の姿。
(アズールに似てた……もしかして、妖怪? だったら納得がいく)
そしてマナは知らない。その妖怪が、ランカが昔会った「怪人」であることを。
閑話休題。
危機が去ったことで、ようやく家の中に安心が満ちる。そうなると自然、会話が発生する。
女三人、寄れば姦しい。
他愛もない話で、盛り上がる。
- 688
:スゴロク:2011/08/03(水) 00:21:58
- 「へぇ、それじゃ真衣ちゃんって時間を操れるの?」
「理屈の上じゃそうらしいんだけど、まだそこまでのレベルじゃないんだって」
「うちが聞いた話だと、自分の時間を凍らせて眠っとったそうですが」
「眼が覚めたら突然ウスワイヤなんだもん、びっくりしちゃった」
「あぁ、それなんかわかる。私はそこまでじゃないんだけど、変な夢見た後目が覚めると『はっ!?』てなるよね」
「変な夢? たとえば、崖から落ちたり?」
「が、崖? 真衣ちゃん、そんなの見たの?」
「うん。時々見るんだ、そんな夢。ワンボックスに乗ってるんだけどね、途中で崖から落ちちゃうの」
「え、えろうハードですな」
「でも、不思議なのはここから。何でか知らないけど、落ちたワンボックスがそのまま川の中をガタガタしながら走ってくの。しかも、視点がいつの間にか映画みたいになってるの」
「か、川の中を? 何で?」
「しかも映画……夢だから、といえばそれまででっけど」
「それを言ったら、ね。ランカちゃんはそんな夢、見たことある?」
「私はあんまり……たまにお母さんの夢、見るけど」
「お母さん?」
「うん……私がまだ小さい時に死んじゃったんだけど、今でもたまに夢に出て来るの」
「そっかぁ……」
盛り上がる3人の横で、マナは一人、何かを考えていた。
(シン・シーがこの近くにいたのは、アズールを狙ってのことにほぼ間違いない……つまり、このままだと遠からず襲われる……シドウさんもまだいないし、ここは私が頑張らないと)
静かに、密かに決意する彼女に、
「ねぇ、マナちゃんもお話しよう?」
ランカが声をかける。
「お話、って……」
「ほらほら、そんな隅っこにいないで、こっちおいでよ」
言いながらランカはマナを引っ張り、真衣の逆隣に持って来る。
「さて、どんなお話しようか?」
「お話って言っても、私には話すようなことが」
「別に身の上話しようってわけやありませんから、マナさん」
「そうそう。……ところでアズール、何か口調がバラバラだよ?」
「そうですか? 別に普通やと思いますけどなぁ」
「あ、いつものアズールだ」
「そういえば……アズールちゃんの喋り方って、関西弁だよね?」
そういった真衣に、マナは思わず口を開いていた。
- 689
:スゴロク:2011/08/03(水) 00:22:45
- 「違う。アズールのはエセ」
「え、そうなの?」
「というか、今は本物の方言は失われつつある。明治から戦後にかけての言語教育が原因で、世代が下るにつれて方言の語彙が少なくなって来ている。アクセントだけが名残として残っている状態」
「そ、そうなんだ」
「顕著なのは沖縄弁。戦中は、沖縄弁を話すとスパイ扱いで抹殺だったから、その影響で今はほとんど残っていない。一部の集落で使われているくらい」
日本の闇の歴史の一つである。
「話を戻すと、そもそも『関西弁』なんて方言は存在しない」
『へ?』
思わず声が揃った3人に、マナは滔々と語る。
「一般にそう呼ばれているのは近畿方言のこと。アズールが普段喋ってるのは、イメージとしての『いわゆる』関西弁。フィクションでよく使われる『ステロタイプ』のもの。本物とはアクセントも表現も違う。ちなみに関西弁は大阪弁が基本で、広義には西日本の方言全体のことを指す」
「そ、そうなの?」
「そうなの。ついでに言うと、方言だったものが共通語、というか普通に使われていることも多い」
「へえ? 例えば、どないなのがあります?」
「代表格は同一と言う意味での『いっしょ』、そして『むかつく』『ややこしい』『ヤンキー』。これは元々近畿方言。あと、偶然出会うことを『行き合う』というけど、これは元々足利弁」
すらすらと語るマナに、3人はただ感心する。
「方言の中には、聞いただけだととんでもないものもある。例えば、群馬弁。これで『お客さんが来たから、半殺しにしようか』っていうのがある」
「は、半殺しぃ!? そんな物騒な」
「と、思うでしょ? 群馬弁で『半殺し』って言うのは、『ぼた餅』のことなの。……お爺ちゃん、若い頃に群馬に旅行に行ってそれ聞いて、大慌てで逃げ帰って来たことがあるって聞いた」
ちなみに、後日手紙が来て真相を知り、謝りにもう一度出かけて、今度はちゃんと『半殺し』を御馳走になって来たとか。
「ちなみに『皆殺し』だと普通のお餅のことね。もち米の形が残るから『半殺し』、残らないから『皆殺し』。『全殺し』なんて言葉はないから注意するように」
「何にしても物騒な言霊ですなぁ……」
「あと、時々耳に入る『お嬢様言葉』があるでしょ? あれも方言なの」
「えぇっ、あれがぁっ!?」
珍しく真衣が大声を上げた。余程意外だったのだろうか。
「あれが、なの。東京弁の山の手で使われている種類で、元々は江戸時代の上級武士の言葉が源流。もったいぶった話し方を嘲って『ざあます言葉』とも言う」
「あ、それは聞いたことある」
「『~ざます』っていうのは略で、本当は江戸言葉の『~でござあます』が縮まったもの。こっちならテレビか何かで聞いたでしょ? 『お江戸でござる』とか」
「あぁー、懐かしいね、それ」
ちなみにマナは見たことがある。
「あと、方言って言っても地域だけじゃないの。ギャル語に代表される若者言葉、あれも方言なの」
『えぇっ!?』
「渋谷弁とも言うけど。あとは漁村での浜言葉もそうだし、何と手話にも方言があるの」
「手話にもですか!? さすがにそれは知れへんですなぁ」
「あるのは確かなんだけど、まだ分類が進んでなくて。明治初期に聾学校が東京と京都に分けて立てられたのが由来らしい、とはわかってる」
事実の連発に圧倒されるランカ。真衣に至ってはただ目をぱちくりさせている。
「……びっくりした。マナちゃん、物知りなんだね」
「大抵のことなら分かる。何でも聞いて」
「いいの?」
「いいの」
「ん、それじゃあね……」
波動の少女は物知りなのか?
(知っている事柄にはとにかく饒舌)
(人、それを「スイッチが入った」と云う)
(六x・) さんより「アズール」、大黒屋さんより名前のみ「秋山 春美」「シン・シー」、名前も出てませんが「エトレク」をお借りしました。
- 690
:大黒屋:2011/08/03(水) 19:39:08
- 海海の写真の真実です。
スゴロクさんよりホウオウ兵器「パニッシャー」をお借りしました。
切り取られた刃
「…どうしよう、俺のせいで…。」
春美を通してノラからとある「事実」を聞かされたソウトは、サーカスの練習にも手が付けられなくなっていた。
「ん~?どうしたんですかぁ、ソウト君?ぼーっとしてますねぇ?」
「あ、ミュウさん!いえ、その、何でもありませんから、大丈夫です。」
ソウトは無理に笑顔を作り、微笑んでみせた。
ノラから聞いた状況を考えるあたり、恐らく昨日の出来事だろう。
サーカスに入団して早1週間。団員からは優しくしてもらえ、かつての地獄のような日々さえも忘れることができそうな気がした。
そんなささやかな幸せに浸りながら家路を歩いている時だった。
ストラウルに入って数分した時。
突然、周りの空気が動く気配がした。
反射的に臨戦態勢に入る。少し悲しくなるが、本能が悟るのだ。あきらめるしかない。
そう、そんなことよりも周りだ。
ぐるりとみまわし、彼は目を疑った。
彼を取り囲んだのは無数のロボット。
ただのロボットではない。ホウオウグループで廃棄扱いになっている「パニッシャー」であることは、アースセイバーに所属する彼も知っていた。
ただ、何かがおかしい。報告に寄れば、あれは一体ずつしか行動しない筈だ。
それなのになぜこんなにも居る…?
考えている暇はなかった。
彼は自分の周囲に小さな「空間」の入口を作り出す。
そしてそのうち2つから剣と槍を抜き取った。
一斉に襲い掛かるパニッシャー。
そのうち数体はソウトが動きだす前に吹き飛ばされる。
構えていた「空間」から凶器が飛び出し、パニッシャーを数体巻き込んで突き飛ばしたのだ。
それを避けてきたパニッシャーを、槍と剣で迎え撃つ。
何をやっても二流だが、槍術と剣術は誰にも負けないつもりだ。
しかし、幾ら切りつけても傷が少ししか入らない。
外装が予想以上に固いようだ。
以前ゴクオーから聞いた、凪と冬也を襲ったパニッシャーなのだろうか。
だとしたら切りつけるだけでは終わらない。そう判断し、彼は走り出した。
放たれる銃弾をかわしながらたどりついた先は倒壊現場。
ある程度の広さがあるこの場で彼は立ち止り、踵を返した。
ギリギリまでパニッシャー達をひきつける。
一番前にいた一団が刃をこちらに向けた。
眼の前から彼の姿が消える。
何処に消えたとパニッシャーが慌てだす。
彼はビルの壁伝いに空中に飛び上がっていた。
両手を上へ向け、集中する。
広間の上にすっと、一筋の線が入った。
空を覆った、空にあるまじき色。
あふれ出す凶器は矛先を下に向けた。
そして、重力を味方に雨のごとく降り注いだのだ。
刃は数多の装甲をひとつ残らず貫いた。
そこに傍観者がいるとはつゆ知らず。
エトレクが意識不明になった。
カイムもこの所調子がおかしいという。
そんな状況下でこんな失態を犯してしまった。
「…どうしよう…。」
悩んでも、彼の頭に答えは浮かばなかった…。
- 691
:名無しさん:2011/08/04(木) 00:24:10
- どうもYAMAですピエロを動かしてみました。
ピエロは悪役に使ってください。
大黒屋さんからトビーをお借りしました
これからピエロで色んな人にけんか売りに行くと思います
ある曇天の日の朝、
修道院のマザー、リリスは朝の祈祷中に不吉な気配を感じ
外に出てある男と対峙していた、
彼女を心配し何人かの修道女がついてきたが
彼女は修道女達にこう言い放った
リリス「この人は貴女達ではムリよ下がっていなさい」
修道女1「行きましょう」
リリスは孤児院の保育係、トビーに声をかけた
リリス「トビー、シューにここに来るように伝えなさい」
トビー「シュー、ですか?でも・・・」
リリス「大丈夫です、あの子は私が守りますから」
トビー「・・・・・わかりました。」
トビーが去っていったあと口を閉ざしていた男がようやく口をきく
???「久しぶりだねリリス。これっぽっちも変わっていない。あの頃のままだ。」
リリス「貴方も変わらないのね・・・声ぐらい老けてても良い物を、本当にあの頃のまま」
???「それはお互い様だよリリス」
リリス「ふぅ、埒が明かないわね・・・目的は何?『道化師(ピエロ)』」
ピエロ「なんにもないよ、活動を再開するかあら挨拶しにきただけさ」
リリス「!!・・・させないわよ?」
自然とリリスの声が低くなる
ピエロ「そんなことよりその子は誰だい?」
リリスの後ろにはいつの間にかシューが立っていた
ピエロ「この気配は・・・その子、カギだね?」
その言葉を聞いたとたんにシューがものすごい形相で目の前の道化をにらんだ
同時にピエロの周りを正方形の結界が覆う
シュー「あなたは・・ここにいてはいけない人・・・危ない物・・・消えろ!!」
シューが叫ぶのと結界が消滅するのは同時だった
ピエロは空間もろとも消滅した・・・はずだった
突然なにもないところから『黒い物』が発生した
『黒い物』はみるみる形を変え消滅したはずにピエロになった
ピエロ「フフフフフ、強力な力だ・・・良い物を見せてもらったよ・・・じゃあねリリス」
その言葉と同時にピエロは闇となり消えた
シュー「マザー」
リリス「大丈夫よシュー、私が止めるわ」
シュー「うん」
(ピエロ・・・厄介な人が動き出したわね・・・事が大きくなる前に止めないと・・・)
- 692
:大黒屋:2011/08/04(木) 19:55:22
- シンもいるのにどうやらトラブルが相次いでいるようです。
自キャラオンリーです。
日を消した言霊
「ゴクオーさん、いらっしゃいますか?」
屋上のドアを開けながらカイムは言った。
ゴクオーは驚いたような顔を見せながら起きあがる。
「なんじゃ?珍しいのう、お前がここに来るなんて…。」
「特別な意味はありませんよ。少し、息抜きがしたかったのです。隣、よろしいですか?」
丁度空は真っ赤に染まり、日は強い光を放って彼方へ沈もうとしている。
「逢魔ヶ刻は恐ろしいものですが、その前のこの夕日は美しいですね。」
「ストラウルの方がもっと良く見えるらしいのう。リスクとリターンが伴うわけじゃ。」
「…いや、寧ろ逢魔ヶ刻のことを考えてみれば、ストラウルの方がいいのじゃないのでしょうか?」
「…まぁの。でも行くのが面倒じゃ。」
「ははは、相変わらずですね。」
ある意味、必然なのかもしれない。
付き合いが一番長い者が共にいて一番安らぎ、一番胸襟を開いて話し合えるということは。
とはいえこの二人は例外中の例外だろう。
春美に呼び出される前から…、死後の世界に界夢が渡ってからの付き合いなのだから。
「まさか、別れ際のあの言葉が現実になるなんての。」
「正直、僕も驚いているのです。でも、そういったことは昔から時たまありました。」
「そうなのか?」
「ええ。「言霊」とでも言うべきでしょうか。口に出した言葉が少なからず何処かに影響を与え、場合に寄れば実現してしまう現状です。御存じですか?」
「聞いたことはある。だが、そんなことが本当にあるもんかの…?」
「どうなんでしょうねぇ…。」
そう呟くカイムは何故か微笑んでいた。
「言葉を大切にしたい僕は、そう言う伝承も信じようと思っています。能力なんかじゃない、説明できない現象ですけどね。」
「その力が、もう一度わしらを引き合わせたと…。」
「説明しようとは思ってませんよ。思い込みでいいのです。」
「それでも教師かの、お前;」
「互いに「恐怖の具現」ではないですか。」
カイムは小さく笑った。
「…のう、カイム。気付いておるか?」
「…シンのことですか?」
「ああ。奴の仲間が、動きだした。」
「この学校で、ですね。違和感は感じ取っています。」
「ん?お前の割に気付くのが早いの。どうしたんじゃ?」
「いえ、少し…。」
カイムが言葉を続けようとしたその時。
「…っ!?」
不意に彼は頭を抱え、膝をついた。
「!? どうした、カイム!」
「…っあ…、ああっ!」
ゴクオーはカイムに素早くよりそった。
先程まで黒かったカイムの目が血の色に変っている。
そして、彼は気がついた。
日が沈んだ。逢魔ヶ刻だ。妖怪の血が暴れ出す時間帯。
「…じゃけど、人間同然だったカイムが、何で…。」
考察よりも先に、ゴクオーはカイムを背負ってブレラを空に向けた。
空に立つ黒い人影。
若草色の男を背負ったまま地の無き空間を蹴りだす。
「耐えろ…、必ず耐えるんじゃ、カイム…!」
背負われた男が握るトランクは、独りでにカタカタと音を立てていた。
- 693
:十字メシア:2011/08/05(金) 00:11:10
- さっそく黒井さんを出してみる。
『都市伝説の幽霊』
「ねえあのお店行った?」
「行った行った! チョーいいよねあそこ!」
「えーっ!? 寝坊したあ!?」
「おっと、電車に遅れてしまう」
「昨日のテレビ何見た?」
「ほら、電車来たわよ」
「待ってよお母さん!」
『いやいや~今日も賑やかで何よりだねえ~』
駅の片隅から、人混みを眺める『黒井さん』。
黒井さんはこういうの見るのも好きなんだよね~。
何か楽しいもん。
『さあて、今日も途中下車の旅に行こうかな? それか「アレ」しようかなあ?』
「アレ」、最近やってないからねー。
久々にやっちゃおっかな。
『まだ昼間だから、あの方法にしよぉ~』
黒井さんは人混みの中へと走り出す。
適当なとこに立って、見える人が気付いてくれる様に、存在感を目立たせた。
いるかな? 見える人。
『…ん?』
中学生ぐらいの男の子だ。
こっち見てるみたい。
試しに笑いかけてみた。
…男の子が目をぱちぱちしてる。
やっぱり見えてるんだ。
黒井さんは走り出した。
すると男の子も黒井さんを追いかけ始めた。
『こっちだよー』
もうすぐ、もうすぐ黒井さんの世界。
そして―――ようやく着く。
後ろをチラリと見ると、男の子がびっくりしている。
そりゃそだよねー。
飛び上がった黒井さんは、大きなコインロッカーに座った。
『やあこんにちは』
「こ、ここどこだよ…」
『ここは黒井さんの世界だよ』
「黒井さん?」
『黒井さんは黒井さんだよ。黒井さんは可哀想な赤子の幽霊なんだ』
「…まさ、か、都市伝説の…?」
『せいかーい』
男の子の顔が少し青ざめている。
そうだよね、都市伝説の幽霊を追いかけてこんな場所に辿り着いた最後は、死んでしまうかもしれないもんね。
でも―――。
『別に殺したりしないよ。ただ遊びたいだけ』
「ほ、ホント、だろうな?」
『ホントだよー。だから黒井さんとゲームしよう!』
「ゲーム?」
『捨てられた黒井さんを1分以内に見つけること! 見つけられたらご褒美あげる!』
「…もし見つけ、られなかったら?」
『ご褒美なし! ここから退場!』
「…はあー…何だ、ホントに殺すんじゃないのか…」
『だから言ってるじゃんかー』
全く、人間てのは皆疑い深くて困るよ。
でも気持ちは分かるよ。
黒井さんと違って、人間は意味があって、誰の為に存在してるもんね。
だから皆死ぬことを好かない。
だから黒井さんは人間を殺さない。
- 694
:十字メシア:2011/08/05(金) 00:12:31
- 『じゃあいくよ。よーいスタート!』
「ちょ、待てよ!」
合図をした瞬間、辺りに赤子の泣き声が響き始めた。
「これをヒントに探せって事か…」
『そうだよー』
「よし、どこだー…?」
走り回って赤子の黒井さんを探す男の子。
今回はどうかなあ?
『10秒経過ー』
「マジかよ! チクショーどこだ!」
『あーあ、全く違うよー』
「うっせえわ!」
そうこうしているうちに、時間はどんどん過ぎていく。
あ、残り10秒切った。
『もう時間無いよー』
「……! ここかあ!?」
『……あ』
「……」
『……』
「よっしゃ見つけたあー!」
『あーあ。見つかっちゃった』
残り6秒で見つけるなんて。
悪運が強いのかもねー、この子。
『じゃあご褒美あげるよ。今喉渇いてる?』
「あー…まあ。そういや今日お茶持ってくんの忘れてたなあ…」
『じゃあコレあげる』
「わっ。…ジュース?」
『お茶がいいかな?』
「いや、ジュースの方がいい」
『分かった。またねー』
黒井さんと黒井さんの世界の姿が消えていく。
男の子はさっきの場所に戻っていた。
そして黒井さんはコインロッカーがある場所に。
『あー、楽しかった』
今回で7回目。
次はどんな子かなあ。
見つけられるかなあ。
何をあげようかなあ。
楽しみでしょうがないよ。
『黒井さんは今日も、人間にささやかな幸せを運びますっ。なんちゃって~』
人間の想像から生まれた黒井さん。
黒井さんは人間の事大好きではないけど、嫌いじゃないよ。
だって、黒井さんと違ってこんなに意味がある存在で、凄く賑やかで楽しいもん。
そんな人間を殺すなんて、勿体ないよ。
黒井さんとは、違うから。
誰の為に生まれたわけでもない、意味のない黒井さんと違って。
その黒井さんが、人間を殺してはならないんだよ。
黒井さんだからね。
さてさて、次は途中下車の旅でも行こうか……。
初の自キャラオンリー…というか黒井さんだけですがww
扱いにくそうなキャラですが、よろしくです。
- 695
:スゴロク:2011/08/05(金) 00:38:39
- さっそくミナを使ってみました。大黒屋さんより「キリ」名前のみ「シン・シー」をお借りしました。会話オンリーです。
「……もしや、そこにいるのはミナでありマスか? 久しぶ」
「ひ、ぃッ!?」
「……いつものこととはいえ、その反応はもう少しどうにか出来ないでありマスか?」
「ご、ごめんなさい。その、この時間薄暗いから、怖くって……」
「そういう貴方も妖怪の一人でしょうに、何で夜が怖いと……。それはそうと、最近顔を見ないでありマスが、主や琴音さんには話をしたでありマスか?」
「……最近は、あまり」
「主や小生はもとより、他の者たちも心配しているでありマス。シン・シーの一件も懸念事項でありマスし、連絡が取れないと皆困るでありマス」
「その事は知ってます……とても怖い人だって、ことも」
「ではせめて、どこにいるかだけでも……っと、失礼」
「………まだ、私は私になれてません、から」
「そう、でありマスな……主のルーズリーフも、貴方の話だけが半端に書かれていたでありマス」
「あの時、あの事さえなければ……。それで今は、どのくらい……?」
「ざっと半分……くらいだと思うでありマス。結構前の事だと聞いた気がしマスし、完全に思い出せるかは」
「それなら、それでも。『私』のいる所には、人さえ来なければ、何も起きませんから」
「頻発している怪奇現象はやはり貴方でしたか……制御が効かないのは問題でありマス」
「大丈夫……私が眠っていれば、誰も死なない、ですから」
「……一つ、聞かせてほしいのでありマス」
「?」
「なぜ、他人や周りをそんなに怖がるのでありマスか?」
「……それは簡単です」
「人間が怪奇現象を……『私』を怖がっている。その想いが、私にそのまま反映されている、だけですから」
「怪奇現象」と「とおりゃんせ」
(恐れそのものたる少女)
(彼女の怯えは)
(鏡映し)
「あの事」については置いておきますので、回収はご自由にどうぞ。
- 696
:大黒屋:2011/08/05(金) 14:26:36
- …けっこう問題が山積みだな。どこからどう処理してくれよう…;
スゴロクさんより名前のみ「ミナ」、しらにゅいさんより「トキコ」をお借りしました。
封印と等価交換
「…そっか。やっぱり、カイムさんも…。」
突然苦しみだしたカイムを寺院にかつぎ込んだゴクオーは、一部始終を全て春美に伝えた。
「やっぱりって、どういうことなんじゃ!カイムに何があったんじゃ!」
「…ゴクオー君、覚えてる?少し前に、カイムさんが一日眠った事。」
「え?ああ、覚えとる。シンと対峙した時に『無音空間』を使って…。」
そういい、ゴクオーははっと顔を上げた。
「もしかして、その時の封印が!」
春美は頷いた。
「カイムさんは奇怪音を覗く全ての能力や性質を犠牲にして『無音空間』を封印した。」
「じゃが、その封印が解除され、事実封印と犠牲の等価交換が無かったことになった。」
百物語組の中では例外的な強さを持つカイムだ。強制的に例外的な弱さに「引き落としていた」というべきか。
「失われていた力が、少しずつながら戻ってきているみたいね。それに体も頭もついていけなくなってる。」
「人間同然だったカイムが、突然逢魔ヶ刻に苦しみだした訳じゃな。」
「早いうちに対策できればいいんだけど…。」
幹久朗の時の一件を思い出してか、春美は眉間にしわを寄せた。
「カイムの場合、自分の力を制御できなくなって自滅してしまいそうじゃな。」
「…うん。それも避けたいけど、力の制御が効いても大変なことになる。」
「えっ…?」
「適応能力があったってことなのかな…。」
春美は今頃カイムが寝込んでいるであろう寝室に目を向けた。
「カイムさんの本来の力は『奇怪音と無音』だけじゃない。それどころか、「言葉」と「音」を全て掌握しているっていっても過言じゃない。」
「!!」
「だからいざ暴走されたら、前のようにはすまないかもしれない。」
「…カイム…。」
最悪だ。シン・シーの行動再開だけでもかなりの負担なのに、この所百物語組の中だけでもトラブルが相次いでる。
ソウトの失態、エトレクの意識不明。
ミナは未だ完全に語られることなく、幹久朗はアカノミの異変を感じ取った。
おかしい。此処まで重なるなんて、何があったというのだ…。
「とにかく、カイムさんは一度休みを取った方がいいかもしれないね。」
「…じゃな…。」
「えっ?今日、界夢先生来てないんですか?」
素っ頓狂な声を上げるノルンに、トキコは頷いた。
「みたいなんだよねー。風邪ひいちゃって寝込んでるんだって。」
「まぁ、弱そうだもんな、あの先生は。」
「ちょ、ちょっとノア、あまり言っては先生に失礼ですよ。」
机に突っ伏しながら、ゴクオーはそんな他愛もない会話を聞いていた。
(…分かってはおるんじゃ、そんな甘い理由じゃないことくらい。)
引き金を引けば騒音を鳴らす
そんな極限状態の拳銃を
誰が好き好んで扱おうというのか
もしその指で激鉄を引いたなら
あえてこう呼ぼう
「クルッテル」と
一応フラグあつかいにしておきます。誰が引き金を引いてもかまいません。極論、自分で何とかしますが(
- 697
:スゴロク:2011/08/05(金) 21:29:07
- スザクの図書室ネタです。ちょっと怖いです。
「……あーっ、面白かった」
その日も、僕は図書室にいた。さっきまで呼んでいたのはツバメ叔母さんの絵本。
「時計塔の姫」っていうタイトルで、街の真ん中にある時計塔にいる「姫」と、その謎を巡る物語だ。
最終的な解釈は読み手に任されていて、その意味でも読んでいて楽しい。
「次は……っと」
次に向かったのは、壁際にある小説の棚。実は、最近になって「幻想物語」シリーズが入っている。
……ま、細かい事は言いっこなし。ちなみに自分で持ってるから、読むのは別のやつ。
「え、と……あ、これにしよう」
目的の本を抜きとり、タイトルをあらためて見る。「不思議という話」―――面白そうだ。
本を取った時、その隙間から向こう側にいた人と一瞬目があった。すぐに本が倒れて見えなくなったけど。
(本が好きなんだな、あの人も)
座っていた椅子に戻って、その本を読んだ。
「………………」
読んだ事を猛烈に後悔した。シュールに過ぎる話ばかりで、僕とは決定的に相容れないタイプの本だった。
「幻想物語」は全体的にバッドエンドが多いけど、物語性が強いから楽しく読んでいられる。だけどこれは現代ホラーだ。叙述トリックの山、山、山。話の本当の意味に気がついた瞬間、背筋が冷たくなる。
それぞれの話は1ページだけ。総ページは後書き・前書きと目次抜きで212ページ。正直、明日生きている自信が欠片もなくなるような暗い話ばっかりだった。「幻想物語」とは暗さのベクトルが真反対だ。だけど、一番打ちのめされたのは、二つ。
姉に偏愛し、恐怖で縛る妹の話。おまけに、語り部の「妹」の性格と話し方がアオイにそっくり。
告白しようとした想い人を殺してしまった女の話。これ、ちょっと見方を変えると僕なんだ……。
「う、うぅ……も、もう嫌だ……何だよこれ……」
馬鹿な事を考えていると思う。だけど正直、心が折れた。半泣きだよ、もう……。
「ひ、火波さん、大丈夫か?」
図書委員が声をかけてくれたけど、もう答える気力もなかった。泣きたい。叫びたい。誰かに思い切り甘えたい。……でも、甘えさせてくれる母さんも、父さんも、もういない。
その事実が、余計に僕を打ちのめした。わかっていた、わかっていたはずなのに・・・…。
「さ、さよなら……」
ふらふらと鞄を取り、何とか僕は図書室を出て、学校を後にした。
なお。
実は僕が去った直後にアオイが来てその本を読んだらしく、帰った後で思いっきり甘え合った。
……一人じゃなくて、よかった。
ツバメ叔母さんの存在をすっかり忘れていたのは、ここだけの話。……学校の近所に住んでるんだから、帰りによればよかった……。
火波 スザクの恐怖体験
(……)
(………)
(…………)
(……………お気づきだろうか?)
(彼女がその本を取った棚は)
(壁際、である)
(つまり、向こう側には……?)
ちなみに図書委員はその他キャラです。
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:十字メシア:2011/08/05(金) 22:37:53
- 愛澄の過去回想。
時系列は<汰狩省吾と拉致監禁。>の前という事で。
『女組長の幼き日と誓い』
「お父さーん」
「おお、愛澄。膝に乗るか?」
「うん!」
黒髪の幼い少女―――愛澄が、深緑の着流しを来た父―――大地の膝に乗った。
その表情は、とても嬉しそうだ。
「ねえ、お父さん」
「ん?」
「いつになったら、組長の座がもらえるの?」
「何だ、もう組長になる気か?」
「だってだって、早くお父さんみたいな皆に慕われる組長になりたいもん!」
その答えに、大地は明るい笑い声を上げた。
「そうかそうか…でもな、組長になるにはお前はまだガキンチョだ」
「えー」
ぷぅ、と頬を膨らませ、駄々をこねる愛澄。
その様子に苦笑しつつ、大地は愛澄の黒い艶やかな髪を、わしゃわしゃと撫でた。
「なりたいなりたい、早くなりたーい」
「まーだ駄目だ」
「むー…じゃあいつになったらなれるの?」
「そうだなー…お前が17歳になったらな」
「17…ってことはー…」
「今お前は9歳だから、後8年な」
「えぇ~! そんなに~?」
「忍耐力も組長には必要だぞ? 我慢しろ」
「…は~い…」
「いい子だ」
屈強な手が仏頂面の愛澄の頭を、またわしゃわしゃと撫でる。
それでも愛澄の表情は変わらない。
「まー忍耐力も必要だが…組長に一番必要なのは、お前の名前に込められた生き方だ」
「名前?」
「そうだ。お前の名前にはな、桔梗の願いが込められている」
「お母さんの?」
「ああ、『優しく温かな愛情に溢れた、澄みきった心を持ってほしい』って願いがな…」
「へえ…」
「だから愛澄、組長になるんなら…組員や友達を愛し、邪な気持ちのない澄みきった心を持て。いいな?」
「うん! あたし、名前通りの生き方できるように、強くなって皆を守れる組長になる!」
「よし、それでこそ俺とアイツの娘だ」
明るく笑う愛澄の頭を、今度は優しく撫でる大地。
大地の表情も、穏やかなものだった。
* * *
応接室のソファに横たわる愛澄を一瞥しつつ、武器の手入れをする省吾。
表情には陰りが差している。
「……父…上…」
耳に入った声に、省吾は思わず愛澄の方を見た。
「父上……私…は…組長失…格…です…」
「………」
「義仁を…亜樹斗を…皆を守れなかった…」
「申し訳……あり…ま…せん…」
寝言を呟く愛澄の目尻から、一筋の涙が伝う。
それを省吾はそっと拭き取った。
「…すまんな、組長さん」
省吾は再び武器の手入れに戻った。
お借りしたキャラは、サイコロさんから「汰狩省吾」でした。
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:十字メシア:2011/08/05(金) 23:06:08
- 白奈のお話。
『ホウオウグループの雪女』
「うんしょ、よいしょ…」
某日、ホウオウグループ。
瑠璃色の髪と白い着物がせわしなく動いている。
「…っと。鴉さん、書類持ってきましたー」
「そこに置いてくれ」
「はいっ」
「すまないな」
「いえいえ! また何かあったら言ってくださいね」
「ああ、白奈」
白奈、と呼ばれたこの少女。
ホウオウグループでは珍しい妖怪の一員である。
因みに種族は雪女。
「ところで、この書類は何ですか?」
「過去に戦った、アースセイバーの能力者のデータだ」
「アースセイバー…」
「…羨ましいのか?」
「えっ」
「ホウオウグループの一員で妖怪は、お前とあの吸血鬼兄妹だけだからな」
クロウの言葉に、白奈がとんでもないとでも言うように両手を激しく降る。
「そんな事無いですよ! 確かに妖怪の人は少ないですが、グループには凄く感謝してるので全っ然平気ですっ!」
「感謝…か」
「はい! 皆さんがいなければ、私は生まれてこなかったんですもんっ!」
「なるほどな」
「じゃあ私、外に行ってきますね!」
するとクロウは半分呆れたような表情になった。
「また迷子になるつもりか?」
「今度はだいっじょーぶです!」
「……そうか」
「何ですかぁ~、そのどうせまたみたいな目はぁ~」
「気のせいだ、さっさと行け」
「はいっ、では!」
「よう雪女」
「ミッチーくん! 雪女じゃなくて白奈だってば!」
「どっちでもいいだろ。また外に行くのか?」
「そうだよっ」
「懲りない奴だなァ、何度も泣いて帰ってくるくせに」
「今日は大丈夫、だいじょうb」
「無理だな」
カチン
「…ヒュウゥ~~~!!!」
ミチルの言葉に怒った白奈は、口から冷気を吐き出してミチルの足を凍らせた。
「ちょ、てめっ、冷気を吐くなよ!」
「知らないっ! 自業自得だよっ!」
「あっ、コラ待て! 動けねえだろうが~!!」
「もうっ、ミッチーくんったら! 相変わらず憎まれ口叩くんだから…」
ブスッとした表情で、街中をてくてくと歩く白奈。
勿論、着物は目立つので洋服に着替えている―――というより、変化している。
瑠璃色の髪も普通のロングストレートになり、瞳も白っぽい色ではなく黒い色に変わっている。
「…ん?」
白奈の視界に一軒の店が入る。
それが何の店なのか分かった瞬間、白奈の表情はたちまち満面の笑みに変わった。
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:十字メシア:2011/08/05(金) 23:08:41
- 「アイスクリーム屋さんだ~!」
当然アイスクリーム屋目掛けて突っ走る。
「すいません、アイス下さいっ!」
「はい。味は何がいいですか?」
「えーっと、どれにしよっかなあ…迷うなあ~…」
しばらく迷って考えた結果、白奈はチーズケーキ味のアイスを買うことにした。
「ありがとうございました」という店員の声を背にし、白奈はアイスを一舐めする。
「ん~、幸せ♪」
アイス一つですっかりご機嫌になっている。
彼女は嬉しいことがあれば、嫌なことは全部すっきり頭の中から消える。
そういう人物だ。
「おいっしぃ~♪」
「よっ、白奈ちゃん」
「うぉわあえええっ!??」
背後から突然聞こえた声に盛大に驚愕する白奈。
その拍子で思わず体から冷気が漏れだしかけるが、何とか踏みとどまった。
「ちょちょいちょいっ! 誰かと思ったらモコくんじゃんかー! めっちゃびっくりしたあ!!」
「驚きすぎだっつの」
「驚くわっ! 思わず冷気を噴き出すとこだったよっ!」
「へ? 冷気?」
「あ、何でもない何でもな~い…(危ない危ない、妖怪だって事バレるとこだった)」
一人冷や汗をかく白奈。
とはいえ、幸いにもコウスケはそれ以上怪しもうとはしなかったが。
「女の子が一人で何やってんだ?」
「アイス食べながら散歩してる~」
「じゃあ、折角だから俺とどっか行かね?」
「さっそく口説きますか」
「そんな冷たい事言わなくていいじゃねえか」
「どうせなら私じゃなくて、コヨリっちゃんを誘えば?」
「…何でそこでコヨリが出てくんだよ」
「一番好きなんでしょ? 取り巻きの中で」
「はあ!? そんな訳ねーし!!」
反論するコウスケだが、彼の顔は赤くなっている。
白奈はいたずらっぽく笑い、コウスケに更に詰め寄る。
「だからコヨリっちゃんとデートしなさいな。今度メールしたげるから」
「すんな!」
「しちゃう~。ばいばーいっ」
「モコくんは隠してるつもりだろうけど、私にはバレバレなんだよね~」
一人くすくすと笑う白奈。
「日も暮れてきたし、そろそろ帰ろうか」
そう思った白奈は、てくてくと歩き出す。
が、次第に彼女の表情は曇り始め、挙げ句の果てに歩みが小さくなっていく。
そして今置かれた状況に気付いてしまった。
「ここ…どこ?」
そう、彼女はまた迷子になったのだ。
「ど、ど~しよ~…」
半泣きになりながらも、何とかホウオウグループに帰ろうとする。
だが中々辿り着けなかった。
しかも最悪な事に、人気の少ない街中の路地裏に迷い込んでしまう。
「ひっく…ひくっ…」
とうとう泣き出してしまう白奈。
その時。
ガチャ…ガチャ…
「…?」
後ろから聞こえる奇妙な物音。
白奈はおそるおそる振り替える。
その刹那。
ドォッ!
「うぁえっ!?」
突如放たれたグレネード弾。
放ったのは―――。
「えーっと、『パニッシャー』ちゃん…だっけ?」
最終更新:2012年02月29日 13:03