企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 751
:スゴロク:2011/08/15(月) 23:26:00
- 最後誤爆しました。(六x・)「さん」をつけ忘れました、すみません。
- 752
:nanashi:2011/08/16(火) 01:46:13
- ずっと思っていたんだが、大黒屋さんのキリ(切り裂き魔のとおりゃんせ)
って、ぬら孫の切裂とおりゃんせと設定似てるのな
- 753
:大黒屋:2011/08/16(火) 11:17:06
- >スゴロクさん
ありがとうございました!そしてすみませんでしたoyz
予想以上の大騒ぎ、エトレクの最後の提案も頷けますねw
近いうちにこれを受けてまた書いていきたいと思いますw
>nanashiさん
え、そうなんですか?;
すみません、ネット諸々で資料を読み漁ってたのですが、設定が似てることには気付けませんでした;
故意ではないのですが…気になりますでしょうか?
- 754
:十字メシア:2011/08/16(火) 22:16:12
- しらにゅいさんの「猫、神江裏 灰音と会話する。」を見て勢いで書いた。
後悔はしてない(
<……相変わらず風変わりだ>
そんな彼と話す自分もだけど。
しかしこの食べかけのパンと飲みきってないいちご牛乳を置いたのは、どういう意図なのか。
食べろって事?
<…………>
さっきはああいう事にしておいたけど、実際は頂く気分でも何でも無かっただけ。
それに今日は弁当を持ってきてない。
いずれにせよ、このまま置きっぱなしにしてたらゴミになってしまうだろうな。
<……いただきます>
食べる事にした。
そもそもそれ以外に思い当たる事が無い。
食べかけと飲みかけではあるのは否めないけど、中立な傍観者にはあまり関係ない。
<しかしベタな組み合わせだなあ>
パンといちご牛乳。
でも神江裏 灰音は嫌いじゃない。
好きでもないけど。
<…甘い>
ぽつりと呟いた。
神江裏 灰音でも、味覚ぐらいは分かる。
味は…普通に不味くない。
<ごちそうさま>
残ったのは、パンの袋と空になった紙パック。
後で捨てよう。
神江裏 灰音は空を仰いだ。
そしてチェシャの言葉を思い出す。
『君が傍観者でなくなった時…君は物語の中に戻り、神江裏 灰音という役者になる。そして―――』
<今のような関係は無くなる…か>
だがありえない。
何故なら、神江裏 灰音が傍観者でなくなるなど絶対にないからだ。
あのカスだって、今にいなくなる。
<神江裏 灰音は、中立で平等で孤立で普通の傍観者だから>
正義と悪、光と闇、幸福と不幸、慈悲と非道、救済と絶望、癒しと痛み、そして白と黒。
全ての相反する概念と定義を知らない・求めない・関わらない―――これが神江裏 灰音だ。
もう二度と、それらに揺さぶられて、振り回されて、苦しまされたあのカスみたいにはならない。
神江裏 灰音は、これからもずっと、中立で平等に、傍観者にあり続ける。
<この空に浮かぶ雲みたいに、ね>
何にも縛られぬ雲の様に、神江裏 灰音は傍観者として、世界を常に傍観する。
この白と黒にまみれた、いかせのごれという世界を。
<傍観者の独白>
<だがまあ>
<風変わりなあのドリーマーと>
<こうして過ごすというのは>
<悪くないものだね>
お借りしたキャラは、しらにゅいさんから「チェシャ」でした。
- 755
:十字メシア:2011/08/16(火) 22:29:20
- 咲埜子が襲われたという事で、未公開キャラ始動。
『狙われた者、動き出すモノ』
「幹久郎はん、おおきになあ」
「同じ妖怪の血を引く仲間ですから、守るのは当然ですよ」
風月堂の娘、咲埜子がシン・シーに襲われかけてから1日経っていた。
そのお礼にと、咲埜子と母の九十九、そして九十九の夫一郎太が幹久郎の店に来ていた。
「しかしそのシン・シーって奴、とんだイカレ野郎だな。人間の血も引いている咲埜子を狙うとは…」
「…あの人、凄い…怖かった」
「咲埜子…」
あの時の恐怖を思い出し震える咲埜子の肩を、九十九はそっと抱いた。
「幹久郎さん。うちの娘を助けてくれて、本当にありがとう」
「いや、そんな」
「この子は、私らの宝なんです。それにきっとこの子なら、人間と妖怪の間を取り持てるんじゃないかって、信じとるんですよ」
「勿論俺も信じてます」
「幹久郎はん…」
幹久郎もまた、咲埜子が半妖である事を知っている。
知っているからこそ、彼女の友人である幹久郎も、咲埜子が人間と妖怪の世界を結びつけられる存在になれるだろうと信じていた。
「でも、今回はたまたま近くにおったから助かったけど、また襲われたら間に合うんか分からんし…」
「確かにな…」
いくらカイムの力が宿ったメモを持っているとはいえ、必ず助けられる訳ではない。
ウスワイアから警備係を任されている彼女は、護身術を心得ているものの、シン・シー相手に太刀打ち出来るとは思えない。
「…とりあえず、主のところに行ってみては?」
「春美はんの所に?」
「ええ、何か手を施してくれると思いますから」
「そうだな…じゃあそうしよう」
秋山家の寺院に着いた御影一家を出迎えたのは、世話係をしている百物語組の一員、撫子だった。
「あ、御影さん。お待ちしておりました」
「撫子はん!」
「お久し振りですね、咲埜子さん」
駆け寄った咲埜子を見て微笑む撫子。
「いつ以来やったかなあ」
「確か、こちらに和菓子をお届けに参られた時からは、お会いしてませんでしたね」
「あ、紹介するわ。うちの両親や」
「風月堂を経営しています、御影 一郎太です」
「妻の九十九どす」
「初めまして、百物語第一〇話の撫子と申します。主が中でお待ちしています」
「ではおじゃまします」
「初めまして。一郎太さん、九十九さん、そして咲埜子さん。私が秋山 春美です」
「どうも」
「幹久郎さんから話は聞きました。咲埜子さんも、シン・シーに襲われたんですね」
「はい…」
伏し目がちに頷く咲埜子。
「幹久郎はんが来てくれなかったら…うちは…」
「…春美はん。こんな事をお願いするのも何や思いますが、娘に護衛をつけてくれはりませんか?」
「そうですね…後で検討してみます」
「いや、待ってください」
一郎太が割って入る。
「もし万が一、その人の命を失われてしまったら、わしらに立つ瀬がありません。ですから、他の方法をお願いします」
「一郎太さん」
「確かに娘は大事ですが、他の人を巻き込みたくありません」
「…分かりました」
「でも、それ以外にあるんですか?」
「無いこともなかね」
- 756
:十字メシア:2011/08/16(火) 22:30:15
- 突如部屋に響いた別の声。
春美らが声の方を見ると、秋山家の門下生である澤野江 廻が立っていた。
「廻ちゃん」
「初めまっさ。わては秋山家門下生の、澤野江 廻言いますー」
「あ、はい…」
独特の言葉遣いに戸惑いながらも、言葉を返す咲埜子。
「春美、『アレ』があろうな」
「『アレ』?」
「ほら、『妖怪の力を覚醒させる』術があるけね」
「あっ、そうか!」
「何ですか、それは?」
「秋山家には、妖怪の力…『陰』の力を身に付ける術があるんです」
「『陰』、ですか」
「はい。半分ではありますが、咲埜子さんには妖怪の血が流れています。それに、”半妖”という特殊な立場にありますので、もしかしたら新しい力を得るかもしれません」
「なるほど…」
「せやけん、わてがそれをおしゅーたんから、護衛も任したんね!」
「ええんですか? 廻はん」
「わてもそのぐさらっこは好かにゃー、次会うたらかっぱしてーね」
「あ…ありがとうございます!」
深々と頭を下げる咲埜子。
だが春美が不安そうに言った。
「廻ちゃん強いけど、私やっぱり心配だなあ…」
「……あなた」
「ん?」
「『あの人ら』を、呼びまへんか?」
「『あの人ら』って…京都の妖怪達を?」
「京都の妖怪?」
「ええ、いかせのごれに来る前、わしらは京都に住んでおりまして…」
「私が妖怪だった事もあり、他の妖怪はんとも縁があったんどす。それでよく店の手伝いをしたり、咲埜子の遊び相手になってくれたりもしました」
「そうだったんですか」
「ですから、他の護衛は私らで何とかしますので、春美はんは百物語組の皆はんを守ってあげてくださいな」
「すいません、九十九さん」
「いえ、廻はんが護衛についてくれるだけでも、私らは嬉しゅうございますから」
場所変わって京都。
とある小川で、皿を頭に乗せ、青い甚平を来た少年が悠々と浮かんでいた。
そこへ、黒髪の幼い少女と鈴の首輪をつけた青年が現れた。
「おーいっ、川里ー」
「んー? …何だ胡桃に鈴彦か。どうした?」
「たった今、九十九さんからいかせのごれに来るようにと」
「九十九の姉さんから?」
ざばっと川から起き上がる少年、川里。
「何でも、いかせのごれで人外ばかり狙う人間がいるらしい」
「咲埜子お姉ちゃんが、そいつに襲われかけたの」
「何だって!?」
「だから咲埜子の身を案じた九十九さんが、私達に護衛を頼んできたんだ」
「そうか…なら断れねえな、咲埜子は俺らの友達だし」
「そのとーりっ。他の皆にも声かけてあるよ」
「はえーなオイ」
「さあ、早くいかせのごれに行きましょう」
京の魑魅魍魎たち、一人の少女を守るため、いかせのごれへ向かう―――。
お借りしたキャラは、大黒屋さんから「秋山 春美」「幹久郎」「シン・シー」(名前のみ)でした!
京都の妖怪達はまた載せます!
- 757
:大黒屋:2011/08/17(水) 11:34:09
- 時間軸は「白波邸の邂逅」と同じです。そんな事があってるとは露知らず、といった感じ。
十字メシアさんより「モエギ」「ヤマブキ」、名前はあがってませんがスゴロクさんより「ミナ」(扱いが正しいか分かりませんが…;)、名前のみ「霧波 流也」をお借りしました。
「…あれ?月光、流也何処行ったかしらねぇか?」
「いや、知らんぜよ。また一人で出て行ったんじゃなかろうか。」
「ったく、あいつ方向音痴だってのに。また迷子になるぞ…;」
「星、ミサキ見てないか?」
「ミサキ?見てないけど?」
「おっかしいなぁ…。一人で出かけるなんて今までなかったんだけど。」
「ミサキなら大丈夫だろ。流也も方向音痴とはいえ帰ってくるだろ。3日以内に。」
「何気に酷い事言ってないがか!?街中で遭難死してもおかしくないんじゃぞ!?」
「…月光、お前が一番酷い。」
「しゃあねぇか。二人居ないけど先に見てるか。」
「…星、それなに?」
「HD。」
「知ってる。だからそれなに?;」
「交流の為に持って来たんだが。」
「そうじゃなくて…そのジャケット…;」
「ホラーのHDですが何か。」
「いやマジで勘弁してください。」
「妖怪主治医が今更何言ってるんだ。」
「今その肩書持ってくる!?ていうか僕がホラー嫌いなの分かってて選んだでしょ!」
「恐怖体験を共に行うと親密度が深まるそうだな。」
「うすうす気づいてたけどお前Sだろ!」
「ああそうさ!何とでもいえ、私はSだ!」
「認めちゃったよ!できれば否定してほしかった!!」
「ち、チカ姉ちゃん、なんだか暗くて怖いよ…。」
「何だモエギ、怖いのか?子供だな。」
(そらみろ、15歳の子供だって居るんだぞ!)
(●●歳のお前が言うんじゃねぇ。)
(ちょ!今の伏せた?伏せてるよね!?)
(伏せてるから落ちつけ、馬鹿。)
「よーし、月光。再生していいぞー。」
「分かったぜよ…;」(心配そうにクランケを見ながら。)
「…何だこれ?ホラー映画?」
「こ、怖いよ、チカ姉ちゃん…。」
(…やっぱり3流物にして正解だったぜ。展開丸見えなんだよ…。)
「きゃぁ!テレビ!テレビから手が!」
「映画の中だろ。怖がることないって。」
「あぁ~、怖かったぁ…。」
「そうか?そうでもなかったけど。」
「星殿、よく3流見抜いて選んできたぜよ;」
「あんなん金の掛け方がパッケージで分かるんだよ。なんだかんだいって、モエギもヤマブキも笑ってるし。」
「…星殿、「あれ」はどうするがか?;」
「あれ、怪盗さんが真っ白!」
「…自室に放りこんでおけ。ったく…;」
「ただいまー。あら、皆集まってなにしていたの?」
「御帰り、ミサキ。(ナイスイミング。)」
「?」
探偵所の交流(ホラー映画)
――数日後
「…んっ?」
「どうしたがか、星殿?」
「いや、今誰かそこに居たような気がして。」
「今日も誰もきとらんぜよ?」
「おっかしいなぁ…。」
「…あれ、あそこってこの前ホラー見た部屋じゃ…。」
- 758
:スゴロク:2011/08/17(水) 11:41:16
- >大黒屋さん
ありがとうございました。ミナの扱いですがそんな感じでOKです。
「怪奇現象」そのものですから、おかしな事が起こったら大体近くにいます。
- 759
:大黒屋:2011/08/17(水) 11:56:01
- >スゴロクさん
ありがとうございます。了解しました!
これから春美あたりも絡ませていこうかと考えています。
それと、「白波邸の邂逅」に関しては解散(?)までお願いできますでしょうか;
引き継ごうにもどう書けばいいのか戸惑っております。すみませんoyz
- 760
:スゴロク:2011/08/17(水) 12:56:53
- >大黒屋さん
わかりました。では。
「……ふぅ。ようやく片付いたな」
シン・シーの襲撃から随分時間が経ち、ようやく白波邸の中は一応の収束を見せていた。
割れたガラスなどはどうしようもなかったため、ゲンブの伝手でアースセイバーから新しいものを運んでもらった。
なお、傷ついたアズールとマナはアカネの部屋に運び、寝かせてある。
「全く、俺の家がここまで……何を考えているんだ。あのシン・シーとか言う奴は」
「それは僕の方が知りたい。人外を狙ってるって話だったけど、何で僕を?」
「スザク。それはお前が、例の施設出身だからではないか? 確か、生体兵器としての強化を受けたはずだったな」
「確かにそうだけど……肉体改造とかは受けてないぞ。精神改造くらいだ」
その結果である「殺戮衝動」は未だ心の底に眠っており、充実した毎日を送る今となっても消えてはいない。
「奴にとってはそれで十分なのだろう、な。人ではない、それだけで」
「………」
難しい面持ちで黙りこむスザク。自分は何者なのか? 久しくなかったその問いが、今再び頭を擡げている。
そんな彼女の横にいたシドウだが、ランカを一瞥するなり踵を返した。
「む、もう行くのか?」
「ヴァイスの件以外にも、俺には仕事がある。とある連中を追っていてな」
「仕事……そういえば、お父さんの仕事ってなんなの?」
全く今更の様な疑問を、ランカが父の背に投げかける。だが、シドウは振り返ることなく、
「……知らない方がいい」
それだけ言うと、足早に出て行ってしまった。
- 761
:スゴロク:2011/08/17(水) 12:58:20
- 「……何だ、あの男は。それでも父親か」
憮然としたゲンブの呟きは、届いていない。
一方、部屋の反対側。
片付けの中で少しランカと会話をしたエトレクは、あれ以来会っていなかった理由を説明していた。
「……じゃあ、その鬼門……っていうんですか? そこにいたんですか」
「『いた』というより『在った』というべき哉。あそこは形が意味を成さない世界、というか空間だから。そっちはどうしたんだい?」
「えと、綾ちゃん……向こうの赤い髪の女の子なんですけど、その人が倒れてるのを見つけて……その辺りで運悪く体調崩しちゃって、つい最近まで入院してました」
「入院!?」
「今は元気ですけど、まだあんまり外には出られないんです」
「………………」
「あ、あれ? どうしたんですか?」
「い、いや、何でもないさ……(とほほ)」
同じ所を何度も探し回っていた自分の努力が徒労だったと知り、肩を落とすエトレクであった。
「ま、まあ、それはさておき」
「あ、そうだ。さっき、私を捕まえてた人の足を白い手が掴んでたのが見えたんですけど、あれは何なんですか? アズールやエトレクさんの友達なんですか?」
「真っ先に友達が出て来るのはどうかと思うけど……まあ、その通り。ミナと言ってね、俺と同じく百物語組の一人さ」
「ひゃくものがたりぐみ……アズールが言ってた、あれかな?」
そうそう、と頷く。
「主……秋山 春美という女の子なんだが、その人が『実際にあった話』として語った怪談や都市伝説を引き金に現れた、百人の妖怪たちの事さ」
「百人……やっぱり、最初とか最後は凄かったりするんですか」
「基本的に番号が多い……つまり話として新しい程力が強い。例外もたまにあるけどね。ミナもそうなんだけど、あの子はちょっとワケありでね」
「?」
首を傾げるランカに、エトレクは言う。
「あの子の元となった話は『心霊スポットから追いかけて来る怪異』なんだけど、主が語っている最中に何事かが起きたらしくてね。完全には鬼門から出て来ていないんだ。さらに悪い事に、主はその時のショックで話を忘れてしまったらしくてね。今は思い出し思い出し、少しずつ続きを話している状態さ」
なお、エトレク自身はその時の現場には居合わせていなかったことを付け加えておく。
「そういうわけで、今のあの子は妖怪ではなく、『心を持った怪奇現象』そのものでしかない。さっきの介入もあるし、この家でも何か起こるようになると思うけど、怖がらないでやってくれ」
「?」
「怖がると、その気持ちが向こうに映されて、ミナはますます人を怖がるようになる。決して悪意があってやってるわけじゃない、ただ自分を守るためのことだから」
「……わかり、ました」
さすがに不安は隠せないランカだったが、よく考えれば自分の所にはアズールがいる。
今更何を恐れることもないか、と思いなおし、答えた。
「そうか、ありがとう」
「おぅ、エトレク」
後ろから声を掛けられて振り返ると、ゲンブがそこにいた。
「あれ? えーと……」
「独立調査員の水波 ゲンブだ。今回の件について、百物語組及び秋山 春美と協議をする必要が出て来た。急いで向かってくれるか? 俺はこの件について、いくらか調べることがある」
「わかった。そう言う事なら、断る理由はない」
先だっての「訪問」は、「外に出る時に気をつける」ように警告するためのものだった。しかし、今回シン・シーは他者の家に殴りこむという暴挙に出た。これでは安全な場所がどこにもない。下手をするといかせのごれ高校が危ない。より早急に、対策を立てる必要があった。
「……そういうことだから、俺は行くよ。またな、ランカちゃん」
言うと、「怪人赤マント」は夕焼けに紛れるようにしてその場を去った。
「……挨拶、私まだしてないのに」
残されたランカは、ぽかんとしたまま呟いた。
忙しい逢魔ヶ時
(再会もそこそこに)
(怪人は仲間の下へ急いだ)
(新たな危険を知らせるために)
大黒屋さん「エトレク」、名前のみ「秋山 春美」、(六x・)さん名前のみ「アズール」をお借りしました。
こんな感じでどうでしょうか。
- 762
:YAMA:2011/08/17(水) 16:16:54
- >大黒屋さん
秋山寺院にピエロをおじゃまさせたいと思うのですが
それに伴いましていくつか返答してくれるとありがたいです
1ピエロを伺わせてもよろしいでしょうか?
2戦闘シーン入れても良いでしょうか?
3傷を負わせて良いでしょうか?
4どれくらいの傷を負わせて良いですか?
以上ですお手数かけちゃってすいません
返答してくれるとありがたいです
- 763
:十字メシア:2011/08/17(水) 22:10:01
- これもまた日常茶飯事の出来事。
しかしコイツSであr(ry
<………>
―――また呼んだのかあ。
真っ黒な、闇だけの空間。
そこに傍観者、神江裏 灰音は無表情のまま突っ立っていた。
とそこへ。
《久し振りだね、”わたし”》
<………>
後ろを振り向いた神江裏 灰音の視界に、自分と顔が瓜二つの少女が入る。
ただ、神江裏 灰音と違い、髪は茶色で彼女よりも長く、瞳も桜色をしていた。
そして、神江裏 灰音とはまた違う、心の底から笑ってる様な笑みを浮かばせている。
《この前から、2週間ぐら―――》
ザクグシャザスッ
<そんな笑みを見せるな、気持ち悪い>
言い終わる前に、神江裏 灰音は目の前の少女に向かって、何本もの鋏を投げ刺していた。
顔は笑っているが、言葉は辛辣さを帯びており、普段は空っぽの灰色の瞳にも、憎しみと怒りが秘められている。
片手にナイフを持ち、倒れた少女の元に歩み寄る神江裏 灰音。
《はは、ごめんね…》
<謝ったって許さないよ>
<カスが>
と、ナイフを少女の額にぶっ刺した。
《…ねえ。こんな事して苦しくないの?》
<ああ苦しいさ。カスな君がいるせいでね>
ザクッ
《どうして、そこまでして、自分を殺すの?》
<カスだからに決まってんだろーが>
ブシュッ
《もう、やめ…ようよ、あな…たが苦し…いだ、け、だよ》
<ならさっさと死ねば?>
グシャッ
《わた…し…嫌…だ…よ…》
<知るか>
ザシュッ
《………》
<よし、これでもうしばらくは呼ばれないね>
鋏やナイフやフォークなどで少女を無惨に刺し殺した神江裏 灰音は、その場を後にしようとする。
とその時。
《待…って、”わたし”》
<………>
《わたしね、あなたが苦しむのは嫌なの》
<…だから?>
《絶対に、助けてあげるから》
<………>
つかつかと少女の元に戻る神江裏 灰音。
そして―――。
ガスッ、ブシャッ
<何が助ける、だって?>
<どうして神江裏 灰音が、君を反吐が出るほどに嫌ってるか分かる?>
<そうやって平等という名目の、愚かな優しさで、誰彼構わず助けようとするからだよ>
<傍観者と”わたし”>
<”わたし”はその愚劣な優しさ故に>
<正義と悪に振り回され>
<しかしそれでもそうしてきた>
<そんなカスは、死ぬに限るだろう?>
- 764
:十字メシア:2011/08/17(水) 22:16:01
- もうそろそろ始動させる。
『黒井さんと百物語』
「今日は特に被害は見当たらないでありマスね」
建物の屋根に佇む一つの影。
顔と上半身に包帯を巻き付け、ボロボロの軍服を身に纏い、大きな鋏を持つその姿は、人間とはかけ離れたものだった。
百物語第九八話の妖怪、”切り裂き魔のとおりゃんせ”こと、キリである。
彼は春美からの言い付けで、一般の妖怪への注意の呼び掛けと救助を行っている所だった。
「しかし、いかせのごれは広いでありマスな……ん?」
キリの視界にある景色が入る。
駅のホーム、電車、人々。
これだけだと普通に見えるだろう―――ホームの屋根に座っている少女がいなければ。
しかもその少女からあまり人らしさが感じられない。
つまり妖怪なのだ。
「無防備な……仕方ないでありマスね」
キリは建物の屋根から屋根へと軽々と飛び移り、ホームの屋根に辿り着いた。
そして少女に呼び掛ける。
「そこのお嬢さん」
『んー?』
間延びした返事が返ってきた。
こちらを振り向いた顔には、きょとんとした表情が浮かんでいる。
「貴方、妖怪でありまショウ?」
『そういうキミも、でしょー?』
けたけたと笑う少女。
その笑みにはやはり、人らしさが感じられない雰囲気が混じっている。
『キミ、何の妖怪?』
「何って…」
『黒井さんはねー、都市伝説の妖怪なんだー』
「黒井さん……貴方の名前でありマスか」
『うん、黒い服を着てるから『黒井さん』。分かりやすいでしょー?』
確かに分かりやすい。
しかし安直すぎる気もするが。
そんな事を考えながら、キリは本題に入った。
「最近、人外ばかり狙われているのを知っているでありマスか?」
『知ってるよー、”正義の味方”でしょ? この前会ったよ』
「……は?」
少女―――黒井さんの口から出た言葉に、キリは驚きを隠せなかった。
だが、そこを更に追い討ちをかけるように黒井さんが言う。
『あ、別に怪我とかしてないから、だいじょーぶ。逃げ切れたから』
「…逃げ切れた?」
『うん。黒井さんね、黒井さんが見える人を自分の世界に引き込めるの』
(能力…みたいでありマスね)
『それでー、その人とゲームするの』
「ゲーム?」
『そう。コインロッカーに捨てられた黒井さんを1分以内に見つけられたら、お菓子とか飲み物とかあげるんだけどー、見つけられなかったら無し、そんで追放ー。でもその人が来たときは、負けたら黒井さんの世界から4日間出られないって事にしたけどね』
黒井さんが続ける。
『結局見つかったけどー、見つかっても自分の世界消えて姿くらますだけだし。それで逃げたー』
そこでキリの頭にある事が浮かんだ。
「…都市伝説…コインロッカー……貴方が、噂の”コインロッカーの少女”…?」
『せいかーい!』
無邪気に拍手する黒井さん。
その仕草は、妖怪である事を忘れてしまうほど、年相応の少女の様だった。
- 765
:十字メシア:2011/08/17(水) 22:17:03
- 「そうか、この駅が都市伝説の大元でありマシたか…」
『知ってるんだー』
「立場上、妖怪絡みの事で知らない事は無いでありマスから」
『……もう一度聞くけど、キミは何の妖怪なの?』
「…”切り裂き魔のとおりゃんせ”、でありマス」
『キミが? 百物語第九八話の?』
「…知っているのでありマスか?」
『駅っていうのはー、色んな情念とか、何か色々入ってくるからー。というか、百物語の妖怪だけは、よく分かんないけど”最初から”知ってる』
「”最初から”…? どういう事でありマスか?」
『分かんない』
黒井さんのあっさりした即答に、キリは思わず項垂れそうになる。
「ならどれくらい知っているのでありマスか?」
『えっと…第二三話”ゴム飛び少女”でしょー。後は第三四話”魂喰らいし人形”に第五一話”剣闘士の恨み”…それからー』
「結構知ってマスね。もしや話の内容も知ってるのでありマスか?」
『うん、でも一話だけ全く分かんないのある』
「それまた何故?」
『こっちが知りたいよー』
「…そうでありマスか」
こんな普通の幽霊少女が、あのシン・シーから逃げ切れた上に百物語の妖怪を熟知していている?
キリは益々疑問に感じた。
「……貴方は、一体…?」
『黒井さんは、黒井さんだけど?』
「そういう意味では―――」
『黒井さんは、無意味だよ』
突如、黒井さんの表情が陰鬱なものへと変わった。
『黒井さんなんか、どうだっていいんだ』
「?」
『人間は、皆誰かの為に生き、必要とされる意味のある存在。でも黒井さんは、誰かの為にならない、誰からも望まれない。無意味な存在なんだよ』
「………」
『だから。黒井さんが生きてようが、何もならないんだ』
キリは知ってしまった。
この少女は、人間を羨ましがっている事を。
自分の存在は人間と違って、無意味で必要とされない存在であると、感じている事を。
「…本当に、そうでありまショウか」
『え?』
「…小生は、ある人間の為に存在し、必要とされていマス」
『人間、に?』
「ええ。その人は妖怪である小生の事を大切に思ってくれていマス」
『ふうん…』
「だから、小生と同じ妖怪である貴方にも、いつか必要としてくれる者が現れマスよ」
『……そうかなあ?』
「きっと、いつか」
『…そっかあ』
キリの励ましが効いたのか、少女の表情は再び明るいものに変わった。
そこでふと、キリはある事を思い付く。
「……黒井さん」
『何ー?』
「小生の主に、会ってみマスか?」
『主?』
「先ほど言った人間の事でありマス。小生を含む百物語の妖怪達は皆、その人間をそう呼びマス」
『いいけど、何で?』
「主は妖怪や幽霊といった者を、友人の様に接しマス。だからきっと、貴方にとって必要としてくれる者になってくれるでショウ」
それだけではない。
黒井さんは、百物語の妖怪の事をかなり知っている。
もしかしたら、現在行方不明中の第一話についての手掛かり及び、第一三話のミナの話の詳細も分かるかもしれない。
一話だけ分からないのがネックだが。
「どうでありマスか?」
『行く!』
「なら、小生の背中に乗るでありマス」
黒井さんがキリの背中に乗る。
それを確認したキリは、急いで秋山家の寺院へと向かった。
一つの視線に気付かずに。
お借りしたキャラは、大黒屋さんから「キリ」、名前は出てませんが「秋山 春美」でした。
第三四話の妖怪はまた投下しておきます。
- 766
:スゴロク:2011/08/18(木) 00:26:53
- 今回はアオイの話です。一方その頃~ってやつですね。
火波 綾歌という少女にとって、血を分けた肉親である姉の存在はとても大きなものだった。
幼少の頃、まだ己が物心つかぬ内に姿を消し、父が逝き、母が逝ってなお見つからなかった、今や唯一の家族。
絵本作家の叔母に引き取られて育っていく内、「逢いたい」という思いが募るようになった。
そんな時に出会った、一人の少女。
どこから来たのか、何のつもりなのか。それには一切答えず、ただ名前だけを名乗った少女は、次にこう言った。
「あなたのお姉さんは、いかせのごれと言う所にいる」
それは、待ち望んだ報せだった。
姉が生きている。それだけで、綾歌は救われたような思いだった。
以来、少女は何度となく綾歌のもとを訪れ、近況の報告を行った。それを聞く度、綾歌は一喜一憂し、また安堵も覚えていた。
身の内で募る「逢いたい」という思いは、懸命に押し殺して。今彼女に逢えば、自分のことで一杯な姉はきっと潰れてしまう。それが何となくわかったから、必死で自分を誤魔化して過ごしていた。
そんなある時、日増しに元気がなくなっていく綾歌を見かねた叔母が、気分転換に温泉にでも行ってはどうか、と提案してくれた。
一も二も無く乗った綾歌は、しかしそこで思わぬ出逢いを果たす。
月を見に上った屋根の上。そこに佇んでいた、自分と同じ顔の少女。
心が叫んでいた。逢いたいと願い続けた姉が、そこにいると。
しかし、言うわけには行かなかった。父親譲りの観察眼が、彼女がまだ不安定だと教えていた。
だから、あくまで他人のふりをして、その場を去った。
―――限界だった。
今まではまだ耐えられた。けれど、偶然とはいえ出逢ってしまった。
押し殺していた想いが、堰を切ったように溢れ出した。
誰にも、何も言わず、通っていた学校に転校届けを勝手に出し、一路、いかせのごれを目指した。
姉と同じクラスに編入され、同じ屋根の下で暮らすようになった。かつての己を捨てて新しい名を名乗る彼女のように、自分もそうした。
悲しい事も、嬉しいことも、同じくらいあった。だけど、今は幸せ。
「……幸せ、なのですけどねぇ」
自室で過去に思いを馳せていたアオイは、机に頬杖をついたままはぁ、とため息をついた。
先ほど、何を察したのか、「アオイ、留守頼む!!」と言い放ち、スザクが家を飛び出して行ってしまった。
言われた以上勝手に外出するわけにも行かず、アオイは家で大人しくしていた。
もう夕方……7時を回った。いくらなんでも学生としては遅い。
「姉様、どうされたのでしょうか」
さすがに心配になって来たアオイは、家の鍵を探しに部屋を出た。と、背後から聞きなれた着信音が流れた。
スザクもそうだが、アオイは相手によって着信の設定を変えている。そしてこの曲は、そのスザクからだった。
素早く手に取り、開いて通話を繋ぐ。
「はい。どうしましたの、姉様」
『アオイ? ごめん、今日はちょっと帰れないや』
姉からの連絡は、唐突かつ少しばかり衝撃的なものだった。
「え? あ、あの、どうしてまた?」
『いや、今ランカの家にいるんだけど……』
- 767
:スゴロク:2011/08/18(木) 00:28:25
- しばらくして、スザクから事の顛末を聞いたアオイは、「そうですの」と息をついた。
「まだ襲われる危険があるので、念のためにブランカさんのお宅に泊まり込む……と、こういうわけですわね」
『ああ。悪いけど、留守番よろしく頼むよ』
「委細承知ですわ。ブランカさんのこと、しっかり守って差し上げてくださいませ」
通話を切る。
携帯を両手で静かに閉じると、充電器に繋いで部屋を出る。
スザクがいないということは、今日は家に一人。のんびり出来る……とは思えなかった。
「……寂しいですわ」
もともと、スザクを慕っていかせのごれまでやって来たのだ。一人になるとそんな気持ちになるのは、自明の理だった。
「…………」
魔が差した、というべきなのか。ふと、スザクが大事にしている「幻想物語」シリーズを読んでみようと思い至った。
「……やっぱりよくわかりませんわ」
スザクの部屋で第四シリーズを読んでいたアオイは、この間叔母・ツバメが言っていた順番で本を読んでいた。
一応、ツバメが「微妙なヒント」をくれた時にひらめきはしたのだが、よくよく考えると齟齬があった。
このシリーズのテーマは「歪んだ愛」なのだが、作中で「楽園の本当の名前」となっていた「本当のテーマ」が不明。スザクは「『憎しみ』じゃないか?」と言っていたし、実際そう思っていた。
だが、よく考えてみよう。「愛」の対義語は「無関心」だ。「憎しみ」は類似語に該当する。
つまり、
「真実の名(テーマ)は『愛憎』……そういうことですのね。――――あッ!?」
理解した途端に稲妻が走った。もしや、もしや……!?
時系列では最初になっている3巻を読み直し、その内容を吟味する。気になったのは中盤で主人公が絵に見入られる場面。続いて5巻。青年が少女に出会う場面と裏切りの歌の場面。
咀嚼し、吟味し、理解を深めて行く。
「……やっぱりそうですわ。この絵の方と番人の方が似た姿なら、その時点で終わっていいはずですわ。そうなっていない、ということは……」
さらに7巻、1巻、11巻と読み進める。男の罪の理由、男の死と娘の見る夢。
特に7巻の、何でもない表現に目を通す。その部分が、叔母のヒントと噛み合う。
「……渡し守……楽園……対岸には渡れませんわね、確かに……」
そして、俗に「奈落サイド」と呼ばれる五人の少女の物語。
「……始まりと終わりに仮面の男……探しているのは特定の一人……彼女達をどこへ連れて行きますの……?」
最後に、夕日を背に受けるパレード。
「……日没は死の暗喩……楽園はすべからく東にあるとされている……仮初の終焉……死の拒絶……彼女達の共通項は……」
そして、ようやっとアオイは全てを理解した。
ファンでも自力で理解することは難しいと言われる、その物語の本当の姿を。
自分にすら聞こえない程の小声で、ぶつぶつとその姿を睥睨する。
「あのタイトル……表現からすると魔……己自身を結界と……それなら確かに魔女と……求めたのはあくまで肖像の……その子の名はあの絵の……真理に背く転……代償は衰……渡し守……死者でも生者でも……対岸は楽園……そこには行け……真っ当な死を……彼女は生まれ変わると……だから探して……連れて……無駄だと嗤い……娘の姿で……冥府の……だから……赤い髪の……祖母は真紅の……世界の果て……辿りつけない場所……」
一通り把握して、ふうっと息をつく。
「……本来のテーマは『歪んだ愛』ではなく……『歪められた、あるいは操られた愛』ですのね。そもそもの始まりからして……」
「愛するがゆえに誰かを傷つけ、あるいは滅ぼし、自分も滅ぶ……そして、それゆえに相手のいる場所に行くことが出来ない。あの列にはそんな方たちが並んでいますのね。先頭で笛を吹く男こそ、その……」
ふと、
「―――――――」
自分もそうではないか、と怖くなった。
もしかするといずれ、かつてのスザクのように、自分もそうなってしまうのではないか。スザクのために、誰かを殺してしまうのではないか。あの時、ゲンブに対してそうしたように。
「………………姉様」
「こんなわたくしでも、あなたの傍にいても良いのでしょうか……? もう、よくわかりませんわ……」
先ほどの奇妙な高揚はどこへやら。沈鬱な声音で、アオイは俯き、ぽつりとそれだけ呟いた。
梧桐の憂鬱
(―――なお)
(帰って来たスザクが事情を知り)
(彼女がまたお説教されたのはここだけの話)
- 768
:大黒屋:2011/08/18(木) 10:57:00
- >YAMAさん
返答ですね、了解しました!
1.勿論かまいません。以前シンが向かったこともありますし。
霊関係が平気ならば無問題です。
2.こちらもかまいません。ただし、戦闘要員が限られるので先にご確認のほどよろしくお願いします。
3.しつこいようですがかまいません。が、春美だけはご勘弁ください。
多少の無茶はしますでしょうが、あくまで百物語組は主の安全が最優先事故になります;
4.極論を言えば瀕死まで大丈夫です。現に左腕がとれてみたり蜂の巣にされてみたりしていますのd(
ただ、話数後半組はそうそう簡単にはやられません^^;
余談になりますが、現在寺院待機中のカイムは過去の経験上「変化のない闇の世界」がトラウマになってます。
多分ピエロならカイムの引き金を引けるのではないかと思います。
…あくまで余談ですが。
>スゴロクさん
助かりました!ありがとうございます!それではこちらより。
「忙しい逢魔ヶ時」と「黒井さんと百物語」の後の話になります。黒井さんと春美のやりとりは十字メシアさんにお願いします。
十字メシアさんより「黒井さん」、名前のみスゴロクさんより「水波ゲンブ」「ブランカ・白波」、(六x・)さんより「ミナミ」をお借りしました。
二つの都市伝説
「主っ!ただいま戻りましたっ!」
障子を開いて開口一番。エトレクは春美に向けて声をかけた。
春美は直ぐに振り返る。その眼には涙が既にたまっていた。
姿をみとめると彼女は飛び出し、エトレクの膝にすがりついた。
「おかえりなさい!よかった、本当によかったっ…!!」
「主…。」
エトレクは春美の心境を察し、暫く彼女を抱きかかえて黙っていた。
やがておちついた春美は、エトレクの姿がやけにぼろぼろなのに気がついた。
「エトレクさん…その格好、どうしたの?」
「…主、報告したいことがある。」
「…そっか。そんなことがあったのね。」
「シン・シーも行動がエスカレートしてきてる。ゲンブさんが一度話し合いの場を持ちたいそうだ。」
「わかった。一応アースセイバーに連絡は入れておくよ。私はいつでも大丈夫だから。」
その返事をきいて、エトレクは少しほっとした。
また何時、何処で奴らが動き出すかわからない。もしかしたらもう一度「あの子」達が襲われるかもしれないと気が気ではなかったのだ。
「そして、主。俺の探し人がその関係で見つかりました。」
「本当!?よかったじゃない!」
「その、体が弱くてなかなか外に出られなかったらしくって…;」
自分の行動が徒労だと思い知るたびになんだか落ち込んでくる。
もっとも、そんなこと何度もあったわけだが。
「…よし、決めたよ、エトレクさん。」
「へ?」
「週に一度でいいから、あのあたりの地区の巡回をお願いしてもいいかな?」
「…はい?」
「今まではエトレクさんの事情を優先してたけど、時世も時世だし。」
「…いいのか?俺は子供を襲う都市伝説で…。」
「そんなこと今更だよ。エトレクさんは本当は優しい人なんだから。弱くないし。」
「主…。」
「…あ、それで思い出した。」
春美は小さな引き出しから何かを取り出した。
「ミナミさんに頼んでいたのが出来たから、今の内に渡しておくね。」
そういって渡されたのは、青い筆字が刻まれた札が数枚。
「ああ、助かるぜ。というか、ミナミさんもよく時間裂いて作ったな;」
「皆、誰かのためなら何でもするよ。私も含めてね。」
「よし、了解した。あのあたりは道が入り組んでいたから、何処から来るかも分からないけどな;」
「一人いるだけでも十分だよ。あ、それともう一ついいかな?」
「ん?何だ?」
「『コインロッカーの少女』…、同じ都市伝説だったエトレクさんなら知ってるよね?」
「ああ。何度か顔は合わせている。」
「いつもは駅にいるらしいから一度訪問して…。」
「いや、その必要はないのでありマスよ。」
その声と共にキリが部屋に入って来た。背中に誰かを背負っている。
「おかえり、キリ君。その後ろの子は?」
「『コインロッカーの少女』…本人は黒井さんと名乗っていたのでありマス。小生の提案でこちらに。」
「! そっか!よかった!」
『はじめましてー。こうしてお話しするのは初めてだからね。黒井さんだよ。』
「はじめまして。秋山 春美です!」
…ちなみに、十字メシアさん、
第五一話はソウトではなくノラ(始末された野生の命)ですよ^^
- 769
:えて子:2011/08/18(木) 15:19:14
- 日常の話を投下してみる。
図書委員会の日常
ある日の放課後、いかせのごれ高校の図書室。
図書委員会が始まろうとしていた。
「全員いるかー?」
「「「いまーす」」」
「よーし。じゃあ委員会の活動を始める。
今回の活動内容は、図書の整理と新書の入れ替えだ。
特に図書整理はコーナーがばらばらになっているので、心して直すように」
「「「はーい」」」
「委員長、心して直すって具体的にどんな感じっすか?」
「ん?んー…ほら、本棚の隙間とかに薄い本が落ちてたりするじゃない」
「あー、ありますね」
「あと、本棚の上に置かれてたりとか」
「うんうん」
「そういうものもきちんと見つけて本棚に返すこと!じゃ、始め!」
図書委員長、我孫子佑の一声を皮切りに、図書委員の面々が各々本棚へと散らばった。
「せんぱーい、入れ替えた新書ですけど、これはどこに置いたらいいですかー?」
「あー、それは動植物コーナーに入れといてー」
「委員長ー、シリーズ物が一冊足りませーん」
「ああ、それはいいんだよ。借りられてるから」
「…あ!三鷹かもめさんの新作…」
「こら!勝手に読まない!!」
「だって面白いんですよ!?」
「分かってるよ!私だって仕事放ったらかして読み耽りたいの抑えてやってんだから!
だからちゃんと委員会の仕事終わらせなさい!」
「委員長ー、本音出てる本音ー」
時折脱線しつつも、何とか委員会の仕事は無事終了したようだった。
「…うん。今日はこのぐらいかな」
「「「お疲れ様でしたー」」」
「はい、お疲れー」
委員会は終わったようだが、誰も図書室から出ようとはしない。
それどころか、各々読みたかった本を手に取り読み始めた。
…図書室から人がいなくなるのは、もうしばらく後のようだ。
名前のみスゴロクさんより「三鷹 かもめ(一之瀬 ツバメ)」さんをお借りしました。
ちなみに図書委員たちはモブです。
- 770
:えて子:2011/08/18(木) 15:28:48
- 続いてもうひとつ。アオギリの話。
人間観察
…人を、見ていた。
いつから見ていたのかは、分からない。
ただ、やることがなかったから、道を通るたくさんの人を見ていた。
…変な人たちばかり、だった。
目を細め、口の端を上げたり、口を大きく開けて話す、人。
目を吊り上げて、大声をあげる、人。
ぼろぼろと、目から水を流してキンキンする声をあげる、人。
これらの顔にも、名前があった気がするけど…忘れた。
「…変な顔」
…何で、あんな変な顔、するんだろう。
アオには、分からない。
ずっと見ていたら、分かるのかな。
分かっても、アオにはどうしようも、ないけど。
「アオちゃーん!」
人を見てたら、アオの名前が呼ばれた。
そっちを見ると、こっちに向かって走ってくる人がいる。
真っ赤な髪が、ゆらゆら揺れてる。
たしか…トキコ、だったっけ。そう呼ばれていた気がする。
「アオちゃん、何してんの?」
「…人、見てた」
「人?」
「うん。…人って、変な顔、だから」
ころころと、顔が変わる。
どうやって変えているのか、アオには分からない。
「トキコも…変な顔、するよね」
「え?嘘っ!?」
目を真ん丸くして、自分の顔をぺたぺた触っている。
…やっぱり、変な顔。
……ずっと見てたら、目が疲れてきた、かな。
今日は約束もあるし…もう帰ろうかな。
「アオちゃん?どこ行くの?」
「帰る。…お勉強、するから」
アオはときどき、お勉強をする。
ホウオウグループのための、お勉強。
どうしてそんなことするのか、アオには分からないけど…言われたことは、やらないと、ね。
明日もまた、人を見ようかな。
人はとても変だけど…けど、ずっと見てても、飽きないから。
しらにゅいさんより「トキコ」さんをお借りしました。
最後にアオギリが言った「お勉強」の内容は皆様方のご想像にお任せします。
- 771
:(六x・):2011/08/18(木) 21:43:06
- >大黒屋さん
水に沈める札はミナミちゃんがつくってたのか…
⌒ル・ω・)つ□ □□□ 札作成中
バイト時以外はロッド磨いてるか転がってるかなので割と暇かもしれませんw
訪問の話についてはお任せします。
- 772
:大黒屋:2011/08/18(木) 21:58:24
- >(六x・)さん
お察しですかwwその通りですw
勿論百物語組になってからの特権ですが
というか基本的に自由なんですね、ミナミさんw
訪問の話は現在構成中です。
できるだけ早くあげますので、もう少しお待ちくださいませ;
- 773
:(六x・):2011/08/18(木) 23:10:03
- >大黒屋さん
ミナミちゃんはフリーダムですがさぼったりはしません。
一時期荒れまくってたけど雪乃さんの教育でいい子になりました。
構成中でしたか。お待ちしてます(六x^)
⌒ル・ω・)今日も、海水に浸した札を乾かして文字をかく作業が始まるお…w
- 774
:大黒屋:2011/08/19(金) 10:28:18
- >(六x・)さん
お待たせいたしました!かなり走ったのでくだくだですが;
(六x・)さんより「凪」「風真」「雪乃」「ミナミ」をお借りしました。
間接的協力
「…間違いないようです。本人は無意識ですが、一種の二重人格状態になっています。」
休日の昼間。凪の様子を見に来たノルンとカイム(道中でたまたま出会ったのだが)。
能力を一通り網羅しているノルンだが精神に直接干渉することはできないため、せめて凪の状態だけでも見ることにした。
「やっぱりそうか…。」
「あまりこういうことは言いたくないんですが、凪さんが何かと戦っている可能性は大いにあります。風真さんの推測も間違っていないかもしれません。」
「…たまには役に立つのな、俺のマンガ脳m」
「言ってる場合じゃないだろ。」
「僕の力ではどうにもできませんので、あとは界夢先生にお願いするしかありませんね。」
ノルンは凪の方を見た。
既にカイムが凪と何か話をしているようだ。
「『…そっか。今まであれだけ元気だったのに急に休むから心配しちゃったよ。』」
「実際、私もこの先どうなるか分からないから、不安なんだ…。」
「『大丈夫だよ。凪さんは心の強い子だ。絶対なんとかなる。』」
「先生…。」
カイムは凪の手をそっと握った。
「『自分が弱気になっちゃだめだよ。心の問題なら、最後に決断するのは自分自身なんだ。』」
そして、そっと微笑みかける。
「『でも、その手伝いなら僕たちは何でもしてあげられる。だから、一人で抱え込む必要はないよ。』」
凪との会話を終えたカイムは、風真たちの元に寄る。
「間接的ではありますが、一時的に精神が安定するようにしておきました。ただ、専門ではないのでいつまでもつかは…。」
「いや、十分だよ。ありがとう。」
「僕も確実な方法を探してみます。それまでの間は僕が定期的にこちらお伺いしますね。」
「態々ありがとう。世話かけたね。」
「いえ、いいんです。僕にとっても大切な人の一人ですし。」
「協力できることがありましたら何でもしますよ。困った時はお互い様ですから。」
「あ、カイム!」
奥から出てきたミナミが呼びとめる。
「ごめん、今回も定期報告いけそうにないわ。主に伝えておいて。」
「分かりました。無理はしないでくださいね?」
「それで、カイム。あんたのほうは調子はどう?」
「まだギリギリですよ。逢魔ヶ刻から丑三つ時まで耐えきるのに精一杯で。」
「あんたもあんまり無理するなよ?」
「ありがとうございます。気をつけますので大丈夫です。」
氷の少女への訪問完了。
以後、収拾までの様子見を申請。
…尚、人ならざる教師、正体を知らない生物兵器、進展なし。
- 775
:許助 1/4:2011/08/20(土) 14:30:42
- こちらのスレでは初めまして。
生まれて初めて小説というものを書いてみました。
「ここはこうした方がいいよ」とか「これ変じゃね?」というのが
ありましたら、アドバイスを頂けると嬉しいです。
ちょこっとグロ描写を含みますので、改行させていただきます。
誰かがどこかで死んでいる
最近いかせのごれで起きている連続殺人事件。
被害者の年齢・性別はバラバラで、殺人に至るまでの共通点が見られず、
しいて言えば、外出した矢先に殺されているということが共通しているとか。
道路で倒れていたり、はたまた公園の茂みに倒れていたりといった具合に。
ひっきりなしに流れる連続殺人事件の話題を見ながら朝食を口にする。
妹のエレナはテレビには目もくれず、ジャムを塗ったパンを齧っている。
近くで殺人事件が起きているのに、無鉄砲というかなんというか…。
学校でも、話の話題は例の殺人事件で持ちきりだ。
特に女子は未だに犯人が捕まっていない事が恐ろしいのだろう。
学校からも一人で帰らないよう、と言われた事もあった。
僕はいつもエレナと二人で帰るから、心配は無いと思うのだけれど。
でもエレナの顔は暗い。僕が居るから大丈夫なのに。
- 776
:許助 2/4:2011/08/20(土) 14:31:18
いつもの日常が突然流転する
また、例の殺人事件による被害者が出てしまったと、テレビが報道する。
ニュースによると、これで13件目なんだという。
被害者は会社員の女性。会社帰りを襲われたらしい。
きっと残業で帰りが遅くなってしまったところを狙われたんだろうなぁ。
その女性は太股から下を鋭い刃物で斬られたことによる失血死ってニュースが言ってる。
まさかこの人も、自分が被害者になるとは思わなかったんだろうね。
でも、「Fapt este Stranger Than Fiction」って言うように、
現実では何が起こるか分からないんだよね。僕も気をつけようっと。
それに犯人は未だに捕まっていない。きっとまだこの街に潜伏しているんだ。
エレナも、僕が護ってあげなくちゃ!
まぁ、僕達は大丈夫だと思うけど。
騎士には誰も護れない
14件目の被害者は、前の事件とは正反対の方向で起こった。
被害者は若いカップルだった。
男性の方は即死、女性の方は暫く息があったようで、這いつくばって逃げようとしたのだろう、
血で出来た道が出来ていたのだというが、発見が遅く、失血死したということだ。
テレビ・ネット・ラジオなどあらゆるメディアで、事件の内容が報道されている。
男性が女性を庇った為、男性は即死したのだろうとか。
美談になりそうな感じだなぁと思ったら、やはりその通りになった。
所詮はメディアの考察に過ぎないのに。
それに結局、男の人は女の人を護れてないじゃないか。役にたたない騎士様だね。
それに女の人の方も、とてもじゃないけど護るに値する姫様じゃなかったよ。
- 777
:許助 3/4:2011/08/20(土) 14:32:19
落雷の後に降る涙雨
黒い雲が空を覆い、雷がごろごろと鳴っている今、僕は死体の第一発見者になったところだ。
足元には高校生と思われる女の子。首が半分斬られていて、そこからどろりとした血を
自身の周りに咲かせている。まるで赤い花に囲まれているようだと思った。
我ながらいい例え。うん。
警察に通報しようと思ったけど、たまたま携帯を家に忘れてきたみたい。
勿論周りに公衆電話は無く、僕は彼女に悪いと思いながらもその場を離れることにした。
他の誰かが見つけてくれるさ。だからちょっとの間だけそこで待ってなよ。
それにそろそろ雨が降りそうなんだ。僕、あいにく傘を持ってないんだよ。
じゃあね、と言おうとしたその瞬間、空からぽつり、ぽつりと雨が降り出した。
あちゃー。降ってきちゃったか…
次第に雨足は強くなり、地面に突っ伏したままの彼女から血が薄く流れだす。
もったいないな、とも思ったけれど、さっき少し舐めてみて不味かったからまぁいいか。
彼女から離れて、細道を抜ける。元々人通りの無い道の上に雨だから、全く人は居なかった。
どうせ他の人も雨だから傘を差してるし、空を見上げることなんてしないだろう。
僕は背中から翼を出して、そこから飛び立った。
地面が小さくなり、電信柱の高さを越え、遠くに見えるビルの最上階と目線が並ぶ。
一応周りを見渡したけど、案の定人々は傘を差していて、空を見上げる事もしなかった。
雨の中を飛び回るのはやっぱり健康に悪いよね、と思いながら、
顔を伝う雨がまるであの子が自分を見つけて欲しくて泣いてるみたいだと思ったりしながら、
やがて僕はエレナと二人で住んでいるマンションのベランダに近づく。
近づいた時に察知してくれていたのか、エレナがベランダでタオルを持って待っているのが見えた。
ベランダに降り立ち、タオルで軽く体を拭いてから、お風呂に入る。
風邪をひくといけないしね。
お風呂を上がってからはいつもと同じように自分とエレナの晩御飯を作って、一緒に食べる。
テレビをつけてみたけど、まだあの子の事は報道されてないみたいだ。
こりゃ、明日になるかな。
きっとテレビもラジオもネットも雑誌も、再び起こった事件に怯えるのだろう。
でも大丈夫。もう事件は起こらないよ。
15件。これで準備は完了。
あとは数日、様子を見よう。楽しみだな。
- 778
:許助 3/4:2011/08/20(土) 14:33:43
いつもの日常に戻る
次の日、やっぱり朝のテレビはあの子のことで持ちきりだ。
でも早めに見つかってよかったよね。
いかせのごれは暑いから、発見が遅れたらたまったもんじゃないもんね。
女の子なんだし。
学校に着くと、やっぱりクラス中が事件の話題で持ちきりだった。
いつも面白い作り話のような話をしているケイイチ君も、
頬に冷や汗を垂らしながら友達と事件についての話をしている。
今回の被害者が高校生だったからだろうか、帰りの会でトモコ先生に
充分気をつけるようにとクラス全体に注意が届いた。
もう大丈夫なんだけどな。
それから数日が経った。
メディアは相変わらず連続殺人事件の話題を流しているけれど、
前に比べて時間が短くなったようだ。それに加え、未だに犯人を捕まえられない
警察を非難するような報道もなされるようになった。
ケイイチ君。君の友達は頑張っているのかい?
でも、君はまだ気づいてないみたいだね。
殺人事件の起きた場所を線でつなぐと、君が嫌いで嫌いで仕方ないあのマークになるんだよ。
細かくしないと分からないだろうと思って、15件も起こしてしまったよ。
君に気づいて欲しくてさ、僕頑張ったんだよ。
学校の帰り、日没後、はたまた夜明け前。
職種を特定されないように、早起きしたりして、時間もバラバラにしたんだよ。
おかげで勉強する時間が減っちゃって、今度のテストは危ないかも。
僕は君が事件の真相に気づいて怒りをあらわにするところが見たいんだよ。
君は僕の事をただの転校生だと思ってるみたいだけど、僕は君の事をよく知ってるよ。
ホウオウグループと戦ってきた事も、不思議な能力を持っている事も!
だから、僕は君をもっと知りたいんだ!
僕は事件を起こして上映チケットを手に入れた。
次は君の番だよ。早く君が怒り崩れる様を上映してよ!
それなのに、それなのに!!あれからさらに数日が経ったけど、君は全く気づきゃしない!
クラスの生徒たちも、事件が起きない日々に安心して、前みたいに戻っちゃったじゃないか!!
ホウオウグループの事が絡むと血相を変えて自分の正義を貫こうとするのに!!
ホウオウグループの仕業だと気づかないと君は動かないのかい!!
気づいてよ、早く。早く、早く早く早くはやく早く早くはやくはやく早く早くはやく!!!!
だから君の掲げる正義は安っぽくって大嫌いなんだよ。
最近僕は心の中で歌を歌う。
cu醇D ru et
edi cu i ovet
cu醇D ru et
edi cu i ovet
まるで鏡に映したように僕と瓜二つの顔をしたエレナは無表情のままだ。
心なしか少し落ち込んでいる気がする。
大丈夫だよ、その内この世界は合理化される。
そしたら僕達を迫害する馬鹿な人間は居なくなる。
君もきっと笑顔を取り戻せるよ。
だから、それまで頑張ろうね。
- 779
:許助:2011/08/20(土) 14:37:46
- 以上です。長々と失礼しました。
早速上の名前欄ミスってます。778は「4/4」になります。
あと全体的なタイトルを入れ忘れています。馬鹿です。
もしウィキに纏めてくださるならば、
タイトルは「驚き☆いかせのごれの☆日常!」でお願いします。
- 780
:YAMA:2011/08/21(日) 13:25:02
- どうもYAMAです。まずは秋山寺院を突撃。
ついでに大黒屋さんに頼まれたカイムさんのトラウマとやらも
いじくらせていただきましたが合ってたでしょうか?
これ以上やると何かがずれてきそうなので
あとはそちらの方に投げさせていただきます(殴
あと最後の方にシン・シーさんとのエンカらしきものを
つけさせていただきましたがこちらはスルーでかまいません
なんならパラレルでも良いぐらいです。
問題など有りましたらお申し付けください、長文失礼いたしますた。
ある日リリスは孤児院で働く妖怪のトビーをつれ、秋山寺院を訪れていた
リリス「ごめんくださーい。」
春美「はーい、あ!リリスさん!!」
リリス「久しぶりねー春美ちゃん、大きくなって~(なでなで」
トビー「主ー!ひさしぶり!」
春美「トビー久しぶり!立ち話もなんだし入って!」
リリス「そうさせてもらうわ」
春美は妖怪を数人集めて寺院のある部屋にリリス達を招いた
春美「リリスさん、話って何?」
リリス「そう、それがね・・・この前」
トビー「仮面をつけた変なやつが出たんだ!!」
幹久郎「仮面?」
リリス「私の予想では、ここがねらわれると思うの。」
キリ「何故でありますか?」
リリス「トビーを、見てたわ、あの眼は「役を見定める」眼だった」
???「僕のことをよく見ているんだねぇうれしいよリリス」
突然部屋の上の方で声が響いた。
見上げるとそこにはいつの間にか黒い霧のような物が渦巻いていた。
幹久朗「なんだ!?」
黒い霧はみるみる形を作っていき
仮面をした男の姿にとどまった
アカノミ「だ、誰!?」
リリス「ッ、・・・ピエロ」
トビー「あの時の!!」
キリ「こいつがでありますか!!」
アカノミ「っ!!」
アカノミがすかさずピエロを飲み込もうとした
ピエロの身体はいとも簡単にその口に入った、確かに入ったはずだった
ピエロ「強い能力だねぇ、そそるよ」
全「!!」
ピエロは何事もなかったかのように一同の後ろに立っていた
リリス「ヤミマガイ・・・こいつの能力よ」
キリ「このッ!!」
キリがはさみでピエロの身体を突き刺す、
貫通・・・なんて物じゃなかった
腕がピエロの身体を突き抜けている
しかしそこにあるはずのピエロの身体がないそこだけぽっかりと穴が空いてる
キリ「は?」
ピエロ「おやすみ、キリ君、だったかな?」
ピエロが手をかざした瞬間キリがその場に崩れ落ちた
春美「キリ!!」
ピエロ「君たちもちょっと寝てなさい」
かざした腕を一降りすると春美を取り囲むように立っていた
幹久朗、アカノミ、トビーが次々と崩れ落ちる
春美「みんなっ!!いやぁ!!」
リリス「大丈夫、眠ってるだけよ」
春美「え?・・・ホントだ」
気が抜けたのか春美はその場にへたり込んでしまった
- 781
:YAMA:2011/08/21(日) 13:25:42
- するとピエロは突然しゃべり始めた
ピエロ「僕の能力はヤミマガイ、ヤミを操る能力さ、これは便利でね、
今みたいに睡眠薬にもなるし猛毒にだってなる、武器や盾にもなるのさ
でもね、一番恐ろしい能力は・・・」
ピエロが芝居気たっぷりに話していたその時だった
カイム「主ッ!!!」
騒ぎを聞きつけたカイムが部屋に入ってきた
ピエロの眼が仮面越しに細められ仮面の口の両端がすうっと上がった
同時にピエロがカイムの目の前に姿を現した
ピエロ「一番恐ろしい能力が・・・これさ!!!!」
ピエロがカイムの前に手をかざし勢いよくそう口にした瞬間
カイムの目の前が真っ暗になった
カイム「何も見えない、何も聞こえない、これでは・・・まるで」
ちがう・・・身体が動かない、温度を感じない、殺されたとき以上の
「何もない空間」
カイム「うああああぁああぁぁあああああ!!!」
ピエロ「フフッ、苦しんでる苦しんでる」
ピエロは自分にしか聞こえないカイムの絶叫を聞いて楽しんでいた
ピエロ「これが僕の一番恐ろしい能力『人を開け閉めする能力』さ。人を閉めると言うのは・・・
う~ん、意識が有るまま死を体験する?まぁそんなかんじさ。
何も見えない、何も聞こえない、何も感じない、身体も動かせない
そんな状態が開けないと元に戻らない
どう?恐ろしいでしょ?きっとあの子は過去の体験と重ねてるんじゃないかなぁ?
どう思う春美ちゃん?」
春美「っ、いけない!!」
ピエロ「彼は恐れている、来るはずもない変化を、変化が来ない時間がが長ければ永いほど
恐怖は大きくなるだろうね、どうなるかは僕にだってわからない。
恐怖を克服すればそれはこれ以上ない刃になるだろう
でも・・・それをしなければ恐怖に身を焼かれ破滅の道へと暴走するかもしれないねぇ?
まぁ運の良いことにここには「人を開く者」がもう一人いる
全ては彼の子の精神力と君の処置のスピードにかかってるよ『リリス』
まぁ君がそれを使うにはカギが必要なんだよね?修道院から持ってくるのは大変だろうなぁ。」
リリス「持ってきてるわよ、貴方の能力を私が知らないわけがないでしょ?」
シュー「本当は貴方の顔見たくなかったのに。」
突然部屋に四角い物体が現れる。
中には・・・茶色いストレートヘアーの女の子がちょこんと立っていた。
ピエロ「用意周到なんだね」
リリス「それはどうも」
ピエロ「じゃあ僕は消えるよ成功を祈るよ、
無事成功した暁にはその子を重要な役回りに置く予定だからね」
リリス「待ってこの子達を巻き込むつもり!?」
ピエロ「なんのためにここに来たと思ってるんだい?
もちろんこの子達それぞれにちゃんと役回りがあるんだ、今日はそれを見定めに来たんだよ?」
その語尾とともにピエロはヤミとなり消えた。
春美「リリスさんカイムが!!」
リリス「シュー準備できてる?」
シュー「はい」
その瞬間シューを囲むように魔法陣が浮かんだ。
程なくしてカイムは目覚めることとなる。
時同じくして正義の味方は
シン・シー「おかしいな、今、人外のオーラが少し揺らいだそれに見たこともないオーラが・・・近づいてる」
ピエロ「こんにちはぁ。シン・シー君?」
シン・シー「っ!!」
「道化師の襲来2」
- 782
:YAMA:2011/08/21(日) 13:28:21
- お借りしたのは大黒屋さんから春美さん、キリさん、幹久朗さん、トビーさん
アカノミさん、シン・シーさん、自宅からはリリスとシューでした
- 783
:大黒屋:2011/08/21(日) 17:22:40
- >YAMAさん
ありがとうございました!早速拾わせていただきます!
YAMAさんより「リリス」「シュー」、名前のみ「ピエロ」、十字メシアさんより「撫子」、名前のみ「ヨシエ」をお借りしました。
囚われたオト
ナニモミエナイ
ナニモキコエナイ
ナニモカンジナイ
ミエナイクサリデシバラレ
サケブコトスラユルサレナイ
イヤダ
ヤメテ
ボクハ…!!
シューの足元に浮かんだリリスの魔法陣が光り出す。
彼女から現れた「カギ」は、「閉じられた」カイムの中に入りこむ。
リリスの呪文英賞により、そのカギは解放のため回されようとした。
「…!!」
春美が危険に気がついたのはまさにその時だった。
そうだ。カイムは封印を解かれ、暴走間際にあった。
今この状態で目覚めさせてしまえば…!
しかし、一歩遅かった。
ガチャリと、文字通り扉のカギが開くような音が彼女の耳に届いたのだ。
「いけない!カイムさんっ!!」
春美は思わず走り出した。止められないとわかっていても、今ならまだと根拠のない希望が現れていた。
しかし、その希望は跡形もなく消し飛ばされる。
「…っ、つぁ…あ…。」
声ともならない声が、彼の口から漏れ出す。
そこで初めて、リリスもカイムの異変に気がついた。
焦点の合わない眼が、床から天井へと移り――。
- 784
:大黒屋:2011/08/21(日) 17:23:15
- 寺の一角が吹き飛ばされた。
渦を巻く空気に春美は吹き飛ばされる。
ずるずると地面から吐き出される黒い何かは、共に天高く巻き上げられる。
「彼」にはもう、何も届かなくなっていた。
「春美ちゃん!?」
リリスと、カギを戻されたシューが駆け寄る。
したたかに頭を打ちつけながらも、春美は起き上がった。
「カイムさんっ…!!」
咄嗟に判断したシューがカイムの周りの空間を隔離する。
風は止んだが、春美は黒い渦の中央で頭を抱えるカイムを茫然と見ていた。
「一体、なにがあったというの?まさか、これもピエロが…。」
「…違います。あれはカイムさん自身の能力です。でも…っ。」
「どうしたのですか、先程の音は!」
最早使い物にならなくなった襖を開けたのは、手が空いていた撫子だった。
変わり果てた光景を見るなり驚愕する。
「撫子さん、寺院の皆は!?」
「ヨシエさんが誘導して皆さん避難されました。しかし、なにがあったのです!?」
「さっき、カイムさんが「変化のない世界」に閉じ込められたの。」
「! それって、カイムさんが一番…!」
撫子も事情を察したようだ。春美は頷く。
「過去の経験が相まって、カイムさんは今錯乱状態にある。多分、呼びかけても気付けないよ。」
「それに、そのせいで力が暴走してる。あの『無音空間』に巻き込まれたらもう…!」
「でも、あれだけの力じゃ迂闊に近づくこともできないわよ。」
それに今はピエロのせいで、高い戦闘能力を誇る3人が眠ってしまっている。
リリスは先程の呪文詠唱でかなりの体力を使ってるはずだった。
「…私が、やらないと…。」
春美はそっと懐に手を伸ばした。
「一体何事じゃぁぁぁ!!」
上空から声。空を振り仰ぐと、黒い影が此方に向かってきていた。
彼女は影に気がつき、ぱぁっと笑顔になった。
「ゴクオー君!ブレラさん!」
眼の前に降り立った彼は、紫の傘を肩に担いで此方を見た。
「どうして此処に?今学校じゃあ…。」
「いつもは屋上に居るんじゃ。さっきこっちの方角に黒い竜巻が見えたんでの。まさかと思って来てみれば案の定じゃ。」
ゴクオーはカイムを見た。状況は未だ変わっていない。
「どうするんですか、主。このままじゃカイムさんが直に…。」
撫子さんが心配そうに声をかける。春美は彼女の方を向き、一つ頷いた。
「ゴクオー君がきてくれたから、なんとかなるかもしれない。皆、ちょっとこっちに!」
- 785
:大黒屋:2011/08/21(日) 17:23:51
- 「…つまり、チャンスは一度きりね。」
「はい。リリスさんには負担だと思いますが…。」
「私なら大丈夫よ。」
「わしらも把握した。タイミングを微塵も外せないのは苦しいが、やるしかないの。」
「私もやれるだけの事はやります。」
「…皆、大丈夫?いくよ…!」
シューが能力を解除した。
隔離された空間が繋がり、再び空気が渦巻きだす。
「撫子さん!今だよ!」
「はい!『百花繚乱』!!」
渦巻く黒い空気に白い花弁が浮かび上がる。
瞬間、その中央にいたカイムがびくりと肩を震わせた。
膝が落ち、両腕が下ろされ痙攣しだす。
ほぼ同時に竜巻の威力が弱まりだした。
撫子の能力『百花繚乱』。
花の力を借りることで眠りや幻覚、麻痺を起こす、神経に効果する能力だ。
一時的に動きを止める物がほとんどなので単体ではあまり意味をなさない。
しかし、春美はそれを狙った。
神経麻痺で能力のコントロールを失った。
竜巻は規則性を失い、内側のカイムの姿が見えてくる。
ゴクオーはブレラを、機関銃を構えるように持ち上げた。
「…ゴクオー君。」
「分かっておる。タイミングは外さん。」
横でリリスが呪文を詠唱しだすのをききながら、傘の先に見えるカイムに集中する。
予め教えてもらった呪文は既にゴクオーの頭の中。
あとはタイミングを合わせるだけだった。
「後少し…、今じゃ!!」
琴の弦が切れるような高い音が耳を劈いた。
何かに撃ち抜かれたかのようにカイムは後ろに反りかえる。
同時に竜巻が完全にかき消された。リリスの詠唱も、完了した。
魔法陣が浮かび上がり、光り出す。
光はゆっくりとカイムを包み込む。
身をゆだねるようにカイムはゆっくりと眼を閉じ、深い眠りへと落ちた。
「一先ずひと段落したけど、これからも気が抜けないね…。」
部分壊した寺の片づけをしながら、春美は呟いた。
「シン・シーといいピエロといい…。本当に気が抜けなくなってきなぁ…。」
「ピエロはできるだけ私がなんとかするから…。」
リリスの声に、春美は首を振った。
「リリスさんばかりに任せるわけにはいきませんから。それに、私たちだって眼をつけられたんです。」
春美はリリスに向き直った。
「できるだけ私たちにも協力させてください。トビ―さんを通じていつでも交信はできます。」
「…わかったわ。でも、できるだけ気をつけてね。」
「勿論です。」
「主!皆さんが眼を覚ましました!」
撫子が入って来た。春美は振り返る。
「皆大丈夫だった?」
「はい、異常はありません。」
「よかった…。」
「カイムさんも目覚めました。こちらも落ちついてきているようです。今、ゴクオーさんがついています。」
「…すまんの、カイム。気付くのが遅かった。」
「いいえ、こうして助けて下さっただけで十分です。」
体力を使いきったカイムは起き上がるのに精いっぱいだった。
ゴクオーはその体を支える。
「なにはともあれ、これで暴走の可能性はほぼなくなったわけじゃ。暫くは安定じゃな。」
「そうですね。…しかし、ゴクオーさん。」
カイムは疑問に感じていたことをぶつけた。
「どうして『あの幻覚』を僕に…?」
「…きまっとるじゃろ。」
「『あそこ』は、わしらの初めて出会った所じゃろ…?」
灰色の石と水面が広がる世界。
それがある意味、彼を抑えた最大の原因なのかもしれない…。
- 786
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:42:49
- エトレク帰還後の話です。
「スザク、これからどうする?」
「ん~……アオイに連絡入れてないし、僕はそろそろ帰ろうと思うんだけど」
エトレクが去ってから少しして、そんなやりとりがあった。
スザクは何かに導かれるようにして家を飛び出し、そのまま時間が経ったため、アオイに何も説明していなかっ
たのだ。
「そうか。シン・シーが再びここを襲わんとも限らん、俺はシフトを組み直してこの辺りの警戒に当たろうと思
うのだが」
「異存ない。じゃランカ、またな」
「うん。……ごめんね綾ちゃん、私のせいで」
落ち込むランカの肩に手を置き、スザクは笑いかける。
「気にするなよ、ランカのせいじゃないって」
「……ありがとう、綾ちゃん」
「ん。じゃ、また明日な」
ぽん、と肩を離し、立ち去るスザク。が、
「ああ、ちょっと待った」
「?」
玄関に座っていた流也がその背に声をかけた。
「あんたは……ええと?」
「天河探偵事務所の霧波 流也だ。実はあんたらに、折り入って話があるんだが」
「……その、アカノミ、っていう樹に僕らを紹介したいってことか?」
「ああ。あいつが言うには、このいかせのごれの『秩序』って奴を俺達4人が担ってるらしくてな。やたら神経
過敏になってやがるんだよ」
「秩序か……自分がそんな大層な存在とは思えんが」
腕を組んで唸るゲンブに、流也は「そりゃそうだろ」と肩をすくめる。
「俺だって同じだ。が、あいつはそれが真理だと思ってる。まあ、真偽を確かめる方法がこっちにない以上、論
じても仕方がないんだがな」
「違いない。しかしアカノミか……奴も百物語組だったな」
「え、そうなの大さん?」
「そのはずだ。『欲望の大樹』だったか?」
ともかく、とゲンブは言う。
「俺は構わんぞ。その木には会った事がない。アースセイバーの仲間としても、一度は面通しをせねば」
「僕も異論ない。次のデートまでにはまだ日があるし」
「あ、もう次の予定があるんだ……」
感心したのか呆れたのかわからない、微妙な表情でランカが言う。
(この間トッキーちゃんと会った時、何だか凄く嬉しそうだったなぁ……)
思い出されるは、買い物をしにアズールと出かけた時、スーパーを出た所で鉢合わせた顔馴染み。
まあ、それはともかく。
「私もいいですよ」
「大丈夫か?」
気遣わしげなスザクに、ランカは笑って見せる。
「大丈夫、大丈夫」
「…………」
なおも心配そうなスザクだったが、ランカが意見を翻す気がないのを見て取り、ため息をついて流也を見る。
「……そういうことです」
「ああ、敬語はいいぜ。堅っ苦しくていけねぇよ、そういうのは」
「……わかった。じゃ、そういうことなんで、よろしく」
「馴れ馴れしくしろってことじゃねぇんだが……ま、いいや。サクヤ姉さんにも言っとく」
「サクヤ?」
聞き覚えのない名前にゲンブが首を傾げると、流也は「おっと、そうか」と説明する。
「俺の故郷にあった桜の木の化身だ。精霊ってのかな? 最近こっちに植え替えられたらしいんだが」
「ああ、アカノミと似たような存在か」
「あー……どうなのかな? 微妙に違うような気がするんだが」
何はともあれ、かくしてアカノミへの訪問が決まった。
東西南北の訪問計画
(大騒ぎから一段落)
(段取りもついた)
(後はその日を待つのみ)
大黒屋さんより名前のみ「エトレク」「アカノミ」「シン・シー」をお借りしました。
- 787
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:44:25
- 最後の方の時間軸は「囚われたオト」の直後を想定。拾って下されば幸いです。
ゲンブとスザク、流也が帰り、一人になったランカは、二階にいる家族二人のもとへ向かった。
「マナちゃん、アズール、入るよ」
「……どうぞ」
アカネの部屋にいた二人だったが、人の姿のアズールは既に完調、マナも目を覚ましていた。
「ランカ……」
「二人とも、具合はどう?」
ランカの言葉に、マナは「大丈夫、ありがとう」と短く答えたが、アズールは俯いたまま答えない。
「どうしたの、アズール」
「…………」
「アズール?」
何回か呼びかけると、消え入りそうな声で、
「……ごめんなさい、マスター」
そんな答えが帰って来た。
「アズール……?」
「決めたのに……マスターのために強うなるって、決めたのに……ウチ、何も出来んかった……」
彼女を苛んでいたのは、無力感。主であるランカのために強くなると、守るために力をつけると決めて、旅に出た。
それなのに、いざその時になって、何も出来なかった。
「……アズール、大丈夫だよ」
そんな彼女に、ランカは明るく声をかける。
「マスター……?」
「今回は、向こうが一枚上手だった、それだけだよ。それに、お母さんだったら言うよ。『昨日より今日、今日より明日』って」
「……そう、でしょうか」
「そうだよ、絶対。……そうだ。今度、アカノミさんって人……あれ、人じゃないっけ、樹だっけ? とにかく、そこに皆で行くことになったんだ」
「アカノミ……百物語組の一角ですな」
「そうそう。せっかくだからさ、アズールとマナちゃんも行かない?」
提案に対し二人は、
「私は構わない。色々あったし、ちょっと気分転換がしたい」
「……マスターが行かれるなら、ウチが行かへん道理はありません」
「ん、わかった。……じゃあ、先にお風呂入って来るね。今日はここでゆっくり休んでてね」
- 788
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:45:21
「……ここは?」
気が付くと、アズールは白波邸の廊下にいた。人の姿を取り、窓から射す陽光を浴びて。
「はて……ウチ、さっきまで寝とったはずなんやが」
寝過ぎて寝ぼけたんやろうか、と考え、とりあえず歩いて見る。
「?」
どうなっとるんや、と疑問を覚えつつ横を向くと、見慣れた扉。アカネの部屋の扉があった。
「そや、マナさんここにおったはずやな」
ノックをしようと手を出して、
「あれ、アズール?」
「マスター?」
横合いから突然ランカの声がした。振り向くと、そこにはやはり主の姿が。
「どないしたんですか、突然」
「わかんない……さっきまで、自分の部屋で寝てたはずなんだけど」
「……何かありますな。ともかく、中に入って見ましょか」
「うん」
用心しつつ、アズールはランカを背中に庇うようにして扉を開け、中に入る。
と、
「こら、アズール! 人の部屋に入る時は、ノックして声をかけなさい! 言ったでしょ、ちゃんと」
『!?』
聞きなれた、そして懐かしい、しかしあり得ないはずの声が聞こえた。それは、
「アカネさん!?」
「お、お母さん!? お母さんなの!?」
扉を全開にして飛び込んだ二人の目に映ったのは、墨色の髪と薄緑の目を持ち、Tシャツとジーンズでまとめた、快活な印象の女性。一児の母とは思えないほど整ったスタイルと長身。
間違いなく、ランカの母にしてシドウの亡き妻、白波 アカネその人だった。
あまりのことに、感激する前に驚愕して硬直する二人。しかし、アカネは二人に構うでもなく、
「ほら、勝手に入らないの。やり直し、やり直し」
「あ、は、はい」
言われるがまま外に出た二人は、改めてアズールを前にノックをする。
コンコン、
「アカネさん、アズールです。失礼します」
「はい、どうぞ」
かちゃ、と扉を開けると、机の前の椅子に腰を下ろしたアカネが見つめていた。
- 789
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:48:03
- 「OK、今度は合格よ。さ、入りなさい」
静かに部屋に入り、扉を閉める。
呆然とアカネを見つめていると、そのアカネが苦笑して、言う。
「そんな所で突っ立ってないの。ほら、こっちいらっしゃい」
招かれるまま、おずおずと歩み出すランカ。
「お、母さん」
「なぁに?」
昔と変わらないその微笑みに、ランカの中で堰を切ったように感情が溢れ出す。
「お母、さん……お母さぁん!!」
「! っとと……よしよし。相変わらずね、ブランカ。甘えん坊なんだから」
無我夢中で、ランカは母の胸に飛び込んでいた。優しく抱きとめてくれたその温もりは、幼い頃の記憶と何一つ変わっていない。あの頃のままだ。
一方のアズールはそのまま立ちつくしていたが、ふと我に帰り、アカネの近くに歩み寄る。
「アカネさん……」
「久しぶりね、アズール」
だが、胸の中で泣きじゃくるランカを抱いたアカネの表情は、どこか鋭い。
「あ、アカネさん? どないしたんですか?」
「どないしたんですか、じゃないでしょ? ランカをおいて突然出て行くなんて、何考えてるの」
―――怒っていた。ランカを置いて旅に出た事に、途轍もなく怒っていた。
「う、いや、その」
「ランカに話したのは聞いたわ。でもね、アズール。ここで、私に、自分の言葉で説明して。とりあえず、きっかけだけでもいいから」
「わ、わかりました」
アズールから改めて事情を聞いたアカネは、ため息をついてもう一度彼女を見た。
「……そういうこと。でもねアズール、さすがにいきなり旅に出ちゃうのはどうかと思うんだけど?」
「で、でも、ウチは強うなりたかったんです。マスターを守るために……」
「気持ちはわかるわ。けど、考えてみなさい。あなたがいない2年の間、ブランカはほとんど一人ぼっちだったのよ? それって本末転倒じゃない?」
「う……」
ようやく泣きやんだランカをベッドに座らせ、アカネはアズールの目を見据える。
「いーい、アズール? 例え相手のためであっても、それが必ずしもそうなるとは限らないのよ。いくら守りたいからって、あなたがいない時に襲われたらどうする気だったの」
「そ、それは」
「終わった事だし、それについてはこれ以上言わないわ。けどね、これだけは覚えておきなさい」
強い意志を宿した目でアズールを見つめ、アカネは毅然と言い放つ。
「これ以上、ブランカに心配をかけないこと。でないと、何度でも叱りに行くわよ」
「は、はい。肝に銘じときます」
「ん、よろしい」
そこまで来て、ようやくアカネは相好を崩した。
「それじゃ……今度は、旅の話を聞かせて、アズール」
- 790
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:48:56
- 「……そ、それは大変だったわね」
「アズール、大丈夫だった?」
「いや、今思うとよう助かったと思いますわ。全く、無茶はするもんやないですな」
ランカを挟んでベッドに座ったアカネとアズールは、3人で昔話に花を咲かせていた。
アズールの旅の話、ランカの近頃の話。
「……それで、大さんとお父さんが来てくれたから、何とか助かったんだ」
「鳴り物入りじゃなくて毎日いなさいよ……全く、ダメな人ね」
「よ、容赦ないですな」
「悪い人じゃないんだけどね……自己中心的になるのが玉に瑕ね」
はぁ、とまたため息をつくアカネ。シドウは確かに善人ではあるが、ともすると自分の判断が先行するのが問題だった。だからこそ、かつては自分が押さえていたのだが。
(いくらなんでも、ブランカを危険にさらすのは頂けないわね)
額に指を当て、どうしてくれようかしら、と密かに思うアカネに、ランカが言う。
「あとね、あとね……」
他愛も無い……しかし、とても暖かい話。家族の事、友達の事、出会った人たちのこと……。
そんな話を、一体どれほど続けただろうか。
「……さて」
ふと、アカネが立ちあがった。不思議そうに見る二人に向けて、部屋の真ん中でくるりと身体ごと振り返ったアカネは、部屋の扉を指して言った。
「―――お話はこれでおしまい。さあ、起きる時間よ、二人とも」
「あ……」
――――夢は終わり。
それを理解して、ランカの目に涙が浮かび、アズールは寂しそうに目を伏せる。
そんな二人の「娘」に、アカネは苦笑しつつも言う。
「私はもう、あなた達を助けてあげられない。でも、忘れないで」
「あなた達には、友達が、仲間がいるでしょう?」
『!』
「辛い事はあるわ。今日みたいに、自分が嫌になる時だってある。でもね、そこで諦めないで。辛かったら、苦しかったら、周りを頼っていいんだから。何もかも自分一人でしなきゃならないなんて、そんなことはないんだから。そして、アズール」
「は、はい」
「自分が弱いと思うなら、強くなりなさい。昨日よりも、今日。今日よりも、明日。明日よりも明後日、少しだけ強くなりなさい。それと、ブランカを守りたいなら、覚えておきなさい。誰かを守るっていうことは、とても大変なことよ。相手を守って、自分も生きなきゃならないんだから。あなたにそれが出来る?」
問われたアズールは、しばしの躊躇を置いて答える。
「……やって見せます。ウチは、そのために旅に出たんですから」
「よろしい。その気慨があれば十分よ。ただし、決して無理はしないこと。いいわね」
「はい、アカネさん」
アズールの答えに、満足げに頷いたアカネは、次に愛娘を見る。
- 791
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:50:10
- 「お母さん……」
「そんな顔しないの、ブランカ。私はもう死んだのよ。こうして話が出来ること自体、本当はあり得ないことなんだから」
「でも、でも、せっかくまた会えたのに」
「寂しいのは私も同じよ。でもね、子供はいつか、親から巣立って行かなきゃならないの。自分の力で、生きていかなければいけないのよ」
―――だが、そう諭すアカネの心は、悔しさと悲しさで一杯だった。
(こんな……こんなことって……この子はまだ14歳……まだ、まだ私が守ってあげなきゃいけなかったのに……っ!!)
娘を守れない。助けられない。その事実が、アカネを締め付ける。
ブランカは確かに強い子だ。だが、それは年齢の割に、ということだ。大切な何かを失えば、崩れてしまう。
おまけに、本来彼女を支えるべきシドウはいない。
(出来ることなら……このまま……!)
だが、それは許されない。彼女はまだ生きている。死んだ者である自分の我が儘で、彼女をこちら側に引き込むことは絶対に出来ない。
それでも、まだ幼い、と言っていい娘をあの渦の中に放り出すのは、母親として絶対に受け入れられない。
―――どれほど拒んでも、現実がある。だから、悲しくても、悔しくても、別れを告げなければいけない。
だからこそアカネは、今すぐにでも娘を抱きしめて泣きじゃくりたいのをこらえ、表には一切そんな素振りは出さず、笑顔の仮面を被ったまま言う。彼女にとって、最後まで良い母親であろうと。
「大丈夫よ。あなたには、頼もしい友達がいるでしょう? その人達がいれば、きっと大丈夫。どんなことがあったって、乗り越えて行けるわ」
そしてそれは、己に向けた言葉でもあった。
「……うん。わかったよ、お母さん。私、みんなと一緒に頑張るから」
「ん……よろしい」
心が引き裂かれそうな痛みを無理に堪え、アカネは扉を開ける。
「さあ、行きなさい」
「―――うん」
「はい。アカネさん……ありがとうございました」
アズールの後を追い、ランカが扉の外に出る。
「――――さよなら、お母さん」
手を振る母親に、笑顔でそう告げて。
「……ぅ……うぁぁああっ……!」
二人が去った後、アカネは崩れ落ちるようにして泣いた。
どうして娘を守れない?
どうしてあの子と一緒にいられない?
彼女を襲っていたのは、他ならぬ彼女自身がアズールに言った「無力感」だった。
(どうして……どうして私は死んでしまったの……!? どうして私が死ななければならなかったの……!?)
まだ、ブランカにも、アズールにも、言っておきたい事が、してあげたいことが両手に余るほどあった。それがあの日、一瞬で潰えてしまった。
病を力で補っていた綱渡り、いつ切れてもおかしくなかった。だがそれでも、この場所―――自分だけの閉ざされた世界で、悔いなかったことはない。
それでも今までは、何とか割り切って来られた。それが今日、不意に娘二人と再会したことで、一遍に崩れてしまった。
二人を送り出した時は、本当に胸が張り裂けそうだった。
「ブランカ……アズール……!」
誰に何にか、アカネは声なき声で叫んでいた。
(お願い……! もう一度、もう一度でいいから……あの子達を、私の娘達を守らせて!! あの子達の傍に、いさせて!!)
振り仰いだ先の視界が、
「―――ッ!?」
不意に、真っ白に染まった。
- 792
:スゴロク:2011/08/21(日) 18:50:42
- 「――――あれ?」
目が覚めると、ランカは自分の部屋にいた。確かに、さっきまで母と話をしていたはずだが……。
「……夢、だったのかな」
夢。しかし、そう言い切るには現実感があり過ぎた。
母の胸の温もりも、泣いて疲れた目の感覚も、しっかり残っている。
「お母さん……会いに来てくれたのかな」
たとえ夢であっても、母に会えたのが嬉しかった。
彼女の言葉を、しっかりと胸に刻む。
「お母さん……私、頑張るよ。アズールやマナちゃん、綾ちゃんと一緒に」
「だから、空から見ててね」
母の想い、子の想い
(決意する娘は知らなかった)
(自分を送り出した母の想いを)
(その裏にあった悲しみを)
「! 今度は何じゃ!?」
「向こうで音がしましたが……」
(そして、一つの出来事を)
最後だけ大黒屋さん「ゴクオー」「カイム」、(六x・)さん「アズール」をお借りしました。
- 793
:大黒屋:2011/08/22(月) 22:03:09
- >スゴロクさん
「母の想い、子の想い」の最後を拾いましたが、何が起こったのか分からないのでこのような形になりました。よかったでしょうか;
今回はいつもより短め。自キャラオンリーです。
余韻に向けて
ゴクオーが庭に通じる障子をあける。
最近連続する事件とは不釣りあいな青々と茂る草木の庭が眼に飛び込む。
カイムは眼を閉じ、呼吸を止める。
暫くそのままでいたが、やがて眼を開け、外を見た。
「間違いありません。あちらの方角からのようです。」
「音の余韻で場所が特定できるんか?」
「はい。あの時の影響で、耳もよくなっているようです。」
「音と言葉の全てを掌握する」。成程、伊達ではないらしい。
「しかし、あの方角は確かエトレクが…?」
「彼は今アースセイバーです。僕から連絡を取っておきます。僕たちは先に向かうべきではないでしょうか。」
「それはええが、カイム、お前体力は?」
「…。」
カイムは俯いた。
「…仕方ないの。ほら、来い!」
「えっ、あ!」
ゴクオーはカイムを引っぱり起こすと、そのまま背負いあげて外に飛び出した。
「カイム、余韻を追うんじゃ!わしがそこまで連れていく!」
片手でブレラを開くと、上昇気流にのる。
「この時世じゃ。なにが起こるか分からん。じゃが、わしにそんな力はない。」
カイムは暫く黙っていたが、そのうちゆっくりと頷いた。
「主とエトレクさんには連絡を入れておきました。エトレクさんは直ぐにこちらに向かうそうです。僕たちは先に向かいましょう!」
「勿論じゃ!」
ゴクオーは笑うと、空中を蹴りだした。
「カイム、これ持っておけ。」
ゴクオーが彼に放ったのは小さな箱。
ココアシガレットのダースだ。未開封ということは、12本入っているのだろう。
「今の騒ぎで体力がギリギリじゃろ。甘いもんは直ぐにエネルギーに変わる。食っておけ。」
そういい、彼も新たにココアシガレットを咥えた。
「なにが起こるか分からんからの。覚悟決めておけ。」
「…分かりました。」
カイムは、封を切った。
- 794
:スゴロク:2011/08/23(火) 08:42:39
- >大黒屋さん
十分です。では……。
「……?」
その日、グループ一の暇人・クロウは、珍しく急いでいた。近隣でヴァイス目撃の報が―――珍しい事にタカコから―――入り、その場所に向けて走っていたのだ。が、
「さすがにもういないか……やはり、逃げ足だけは天下一品だな」
目的の男は捕捉できず、引き返すことになった。この間は民家で誰かと一緒になって暴れたという話も聞いた。
最近見境がなくなっているような気がする。
高校は高校で、潜入メンバーからおかしな報告が続々と届いている。おかげで最近はメッセンジャーの仕事がかなり多い。
「まあ、暇を持て余すよりはいいのかも知れんが」
そんなことを呟きながら、ふと通りかかったのはとある森の入口付近。
彼は知らないことだが、この辺りは旧天河探偵事務所があった場所の近くだ。
「森か……いや、この密度なら林か? しかし、こんな場所もあったとはな」
内外で「暇人」認定されているクロウは、いつもはいかせのごれ中をぶらぶらと歩いている。そのおかげなのかなんなのか、彼はいかせのごれの地理には人一倍詳しかったりする。
「……どうせ奴は取り逃がした所だ、暇つぶしでもするか」
独り言を言いつつ、森の奥へ入ろうと覗き込む。と、
「! うおっ!?」
その瞬間、バヂィッ、という轟音と共に正面から衝撃を受けた。いきなりのことに対処が出来ず、もんどりうって倒れてしまう。
「な、んだ今のは……」
爆発ではない。あえて言うなれば、空間が弾けた、とでも言うのか。そんな、音と衝撃だけの、光のない炸裂……とでも言うべきものだった。
- 795
:スゴロク:2011/08/23(火) 08:43:13
- 「……全く、何だったんだ今のは。ここもある種のアンバランスゾーンか?」
ストラウル跡地はまさにその代表格だが、あの一か所だけとも限らない。世界的に見ればバミューダ海域や青木ヶ原樹海など、その疑いがある場所はいくらでもある。ましてやここはいかせのごれ。
二か所あっても何ら不思議はない。
「一応報告しておくべき……なのか? いや、先に調査だな」
何はなくとも情報が必要と考え、とりあえず中を調べて見ることにした。が、十歩も行かない内にあるものを発見した。
「……人? なぜこんなところに」
全く人気のないその場所に、女性が一人倒れていた。Tシャツとジーンズという活動的な服装に、黒い髪。完全に気を失っているらしく、目を閉じたままぴくりとも動かない。
どこかで見たような気もするが……。
「とりあえず、回収しておくか? ……俺だけでは無理だな」
力の抜けた人一人を運ぶのはかなり大変だ。寝ている誰かを動かすのが大変なのと同じだ。
ましてやクロウは力がある方ではない。
「とはいえ、放っておくわけにもいかんが……」
パキッ、
「む?」
不意に後ろで枝を折る音が聞こえた。振り向いて見ると、そこにいたのは懐かしい……しかし、因縁の姿。
「クランケ・ヘルパー!?」
「!! クロウ……」
以前秋山 春美を連れて脱走し、まんまと逃げおおせた裏切り者。その時追撃に当たったクロウとしては、因縁の相手だ。
「なぜ、お前がここに……」
「……ただの暇つぶしだ」
本音である。この場でクランケを殺す事も考えたが、やめた。この男の担当は別にいる。
自分には別の担当があるし、わざわざいらぬ手を増やす事も無い。
「それよりも、医術に通じているならあの女を診て見ろ」
「あの人は……?」
「知らん。気付いたら倒れていた」
そっけない返答である。
「……妖怪、とかじゃないだろうな?」
「俺が知るか。気になるなら確かめたらどうだ」
言い捨てると、クロウはそのまま「興が失せた」とどこかに行ってしまった。
残されたクランケはしばし立ちつくしていたが、ややあって我を取り戻すと倒れている女性を素早く観察した。
ミサキなどのように、どこか人間離れしたような雰囲気はない。血色はいい。つまり、どこか怪我をしているというわけではない。ぱっと見た限りでは病の兆候らしき外部症状もない。本当に気を失っているだけのようだ。
気になるのは脈拍がないことだが、その割に心音と呼吸はある。
ただ、
「気のせいか……どこかで……」
この女性に、ではなく、似たような顔を見た覚えがある。ホウオウグループにいた頃、整理していた資料か何かで……。
「!」
それに思い当たりかけた、その時だ。
「見えました、あそこです」
「待て、カイム……誰かおるぞ?」
再会・再開・際会
(放り出された女性)
(居合わせた男)
(降りて来た二人)
大黒屋さんから「クランケ・ヘルパー」「ゴクオー」「カイム」名前のみ「秋山 春美」「ミサキ」サイコロさんから名前のみ「桐山貴子」ををお借りしました。
- 796
:スゴロク:2011/08/23(火) 08:51:08
- ついでなので、混乱する前に時系列を整理しておきます。
ややこしいのは「白波邸の邂逅」辺りなので、
「道化師の提案」「罰の回答」「道化師の動向」から、
「東、二つの驚愕」=「正義と命の対立」
↓
「黒の計画、赤への声」
↓
「レッド・クライシス」
↓
「白波邸の邂逅」=「梧桐の憂鬱」
↓
「忙しい逢魔ヶ時」
↓時間的にすぐ後
「二つの都市伝説」=「東西南北の訪問計画」
↓
「母の想い、子の想い」
↓
「道化師の襲来2」=「囚われたオト」=「母の想い、子の想い」ラストシーン
↓
「余韻に向けて」=「再会、再開、際会」
でしょうかね。
- 797
:十字メシア:2011/08/23(火) 22:32:10
- 灰音が傍観者になってカスである”わたし”を嫌う理由。
「やあ、灰色の傍観者」
<…君か>
いかせのごれ高校、屋上。
暇をもて余したチェシャは、灰音の所へ来ていた。
<よく神江裏 灰音の所に来るね。何故?>
「君こそ、傍観者でありながら何故オイラと話すんだい?」
<………>
「それと一緒さ」
灰音の隣に座るチェシャ。
「いい天気だねえ」
<そうじゃなかったら、ここに来てないね>
「それもそうだねえ」
<…君は変わっているね>
ふぅ、と息をついて、灰音はそう呟いた。
対して、チェシャはニヤニヤと笑っている。
「君は、相変わらず中立で平等だ」
<傍観者だから>
「そう、君は傍観者。でもそれは神江裏 灰音という存在からなるモノだ」
<だから何だって言うの?>
「前にも言ったけど、神江裏 灰音という存在の、目的と理由を無しに傍観者である事は無い…て事さ」
<………>
何も答えず、ただただ微笑を浮かべる灰音。
<傍観者に、そんな物は存在しない>
「『しない』? 『いらない』或いは『あってはならない』の間違いじゃないのかい?」
<……そ、れは…>
「君は永遠に、傍観者である事を望んでいる。そうだろう?」
<………だから?>
「なら必ず意味があるものだよ」
<意味、か>
二人の間に沈黙が流れる。
が、チェシャは突発的にそれを破った。
「君の、その灰色の目はいつも空っぽだ。しかし、それは時として憎しみと怒りが表れる」
<…何故、分かる?>
「君の目がそういってるからさ」
<………>
「おや、気分を損ねてしまったかな?」
<いや。バレるものはバレるものだなと>
「その感情は、君が傍観者になった理由と関係あるのかい?」
<……分かってるくせに>
「ニヒヒ」
不可解な笑みを浮かべるチェシャ。
呆れた微笑を湛える灰音。
- 798
:十字メシア:2011/08/23(火) 22:33:13
- <…昔、とある女の子がいた。そうだね、”わたし”と言っておこう>
「へえ」
<”わたし”は可愛らしい女の子だった、そしてとても優しかった。でも神江裏 灰音はそれが大嫌いだった>
「何故?」
<その優しさを誰にでも振り撒くからさ。例えどんなに酷い”悪人”でも>
憎々しく吐き捨てる様に言う灰音。
<全ての命は平等だとか言いながら、平等にしなかった>
「どういう事だい?」
<さっき言っただろう? どんな悪人でも優しさを振り撒いたって>
「なるほど、”悪平等”ってやつかい?」
<そう。しかし神江裏 灰音は敢えて、『弊害(マイナス)しかもたらさない平等』…”負平等”だと言うね>
「負平等? 何故?」
<臆病で弱虫だから、正義と悪の定義に怯えていたから。だから誰にでもそれを振り撒いた。愚劣な、優しさを>
「愚劣ねえ」
<助けた悪人から何度裏切られても、それを咎めようともしなかった>
<そんなカスな”わたし”が神江裏 灰音はたまらなく大嫌いだった>
<そしてある日の事…何が起こったと思う?>
「さあ?」
すると灰音は淡々と言った。
<…自分に想いを寄せる人に、ガラスケースの中に閉じ込められた>
「おやおや、ヘビーだねえ」
<”わたし”は優しいだけでなく、とても可愛い容姿も持っていた>
灰音は続ける。
<それに心奪われたその人は、自分の物だけにしたくなって、ついにそれをやってのけた>
「それで?」
<…”わたし”は笑っていた>
「へえ、そんな目に遭っても許したのかい?」
<そう、自業自得だからと>
<そうやって誰彼構わず助け、何かあれば自分のせいにして>
<正義と悪の境界に揺さぶられ、負平等に振り回され、自分自身に苦しんだ>
<だから>
<”わたし”から”傍観者”になった>
- 799
:十字メシア:2011/08/23(火) 22:35:40
- 辺りに風がざわつく。
灰音の口から出た事実に特別驚きもせず、ニヤニヤ笑ったままのチェシャ。
「傍観者になったのに、何故今更その子を憎むんだい?」
<…まだいるんだよ>
「どこに?」
<夢の中に。時々呼ぶのさ、”わたしが”>
<それで神江裏 灰音に「助ける」とかなんとかほざく。下らなさすぎて笑えるよ>
<自分がそうしたくせに。あのカスなんか消えればいいのに>
「…何で消えないのかねえ?」
<それは神江裏 灰音だって知りたいよ>
「ふーん」
と、チェシャが立ち上がる。
「灰色の傍観者」
<…何だい?>
「傍観者になって、君はどうだい?」
<どうって、別に不満は無いね>
「なるほど、ならいいさ」
<…何が聞きたいの?>
「今の君には関係ないよ」
<それは平等では無いなあ>
「じゃあ1つ言おう…早かれ遅かれ、君も赤きハムレットの様に1に戻る日が来る」
<……>
「…かもね」
にんまりとした口を残して、チェシャは姿を消す。
残った神江裏 灰音はぽつりと呟く様に彼に問う。
<…君は、そうなったらどうするつもりなの?>
問いに対する答えは、無い。
それでも彼女は呟いた。
<…神江裏 灰音は、今のままでいいさ>
お借りしたキャラは、しらにゅいさんから「チェシャ」でした。
”わたし”の正体は神江裏 灰音の人格で、悪人に対しても優しさを振り撒く人格に激しく嫌悪して封印した、という事です。
- 800
:十字メシア:2011/08/23(火) 22:37:48
- >大黒屋さん
ヒイィィィ!!!;
すいませんっ、以後気をつけます…一体どれだけのミスをするのやら…orz
-
最終更新:2012年02月29日 13:47