企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.2
- 1:鶯色:2011/04/04(月)
16:19:48
- ここはキャラ企画つれっどにて投稿されたキャラクターを小説化しよう!というスレです
•本編とはかかわりがなく、あくまでもアナザーストーリーという扱いです
•時系列は本編(2002年のGW4月28日~)よりも前の話が主になります
•本編キャラの名前が名字無しカタカナの為、小説ではそれに合わせた呼び方が多いです
•人様のキャラクターを借りる時は、設定を良く見て矛盾が無いように敬意を持って扱いましょう
詳しい説明などは下のURLをご覧ください
•ナイアナ企画@wiki―「はじめに:企画キャラとは」
http://www22.atwiki.jp/naianakikaku/pages/27.html
前スレ
企画されたキャラを小説化してみませんか?
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/sports/28084/1208562457/
- 801
:十字メシア:2011/08/23(火) 23:01:20
- 大黒屋さんにミノリを使ってもらった!
生み出した本人もたまに忘れてたりするのに←
ではそんなミノリの話。
『少女のある日』
私はいかせのごれ高校に通っている、ごく普通の、女の子。
…というのは半分嘘。
今は普通の日常で普通の生き方してる。
でも一方で、普通じゃない日常にも足を伸ばす事もある。
それの象徴が、今目の前にある、ウスワイア。
ここは特殊能力という、普通じゃない力を持った人達を世間からの疎外や弾圧から守るために作られた施設。
つまり、私がここに来ているという事は、少なからずとも私もその対象であったという事。
今は条件付きで普通の日常にいるけど。
「こんにちは…」
「おっ、ミノリじゃないっすか! 元気にしてたっすか?」
「シノさん…はい」
私を出迎えてくれたのは、アースセイバーの能力者、シノさん。
彼女は最近増加しているという能力、ナイトメアアナボリズムの使い手。
因みに私の力もそれだ。
「ところで何の用で来たんすか?」
「あの、カナミさんの忘れ物を、届けに…」
「ああ、それならアタシから渡しておくっすよ」
「ありがとうございます」
シノさんはいつも明るい、お姉さんの様な人だ。
だから話すとすごく安心する。
とそこへ。
「あ、ミノリさん」
「春美ちゃん。こんに…ち…は……」
春美ちゃんの後ろにいる男の人。
包帯を巻き付け、軍服を羽織り、大きな鋏を持ったその姿に私は思わず―――。
「ぎゃああぁあぁぁぁああああ!!!!!」
「…小生は何もしないでありマスから、もう悲鳴をあげるのは、やめて欲しいでありマス」
「すいませんすいませんすいません!!」
「そんなにガタガタしなくても…」
「わわ、わ、わ、分かってはいますが、しし、『死んだとき』の事を思い出してしまうので、つい…!」
「……まあ、しょうがないでありマスね」
溜め息をつくキリさん。
キリさんは悪い妖怪じゃないって、分かってるんだけど…やっぱり、怖いよ!
「…あ、そうだ」
「ふえ?」
「久し振りに来たんだし、折角だからミノリの童歌聞かせて欲しいっす!」
「え、え…えぇ!?」
「ミノリちゃん、童歌歌えるんですか?」
「しかも上手いんすよ!」
ちょ、ちょっとそんな!
人前で歌うなんて恥ずかしいよ…!
「小生もちょっと聞いてみたいでありマス」
「キリさんまでー!」
「さあ歌うっす!」
「う、うう…」
しょうがないなあ…。
私は泣く泣く歌うことになった。
「じゃあ、京都の通り歌を歌います…」
「… ♪まーるたけえびすにおしおーいけー あねさんろっかくたこにしきー」
「♪しあやぶったかーまつまんごじょうー」
「♪せえったらちゃらちゃらうおのたな」
「♪ろくじょうさんてつとおりすぎーしちじょうこえればはっくじょうー」
「♪じゅうじょうとうじでとどめーさすー」
「…どう、ですか?」
「凄く良かったよ!」
「中々のものでありマスな」
「相変わらず上手いっすね~」
と、皆拍手してまで褒めてくれた。
嬉しいな…。
「アンコールで他にも何か歌って欲しいっす!」
「ま、まだやるんですか!?」
「私も聞きたいな、ミノリちゃんの童歌!」
「ちょっと春美ちゃん!?」
「実は小生も」
「もういいよ~!!」
お借りしたキャラは、大黒屋さんから「秋山 春美」「キリ」でした!
- 802
:スゴロク:2011/08/23(火) 23:32:23
- 火波姉妹の傍観者評です。本人たちの主観がかなり入っております。
「訪問」の予定を立ててから数日。いつものように学校にいた僕は、ちょっとした用事で事務室を訪れていた。
職員室と違って気楽に来られるのは、事務の先生の人柄かな。
いつもの如くノックをしようとして、
「失礼致しますっ!!」
えらい剣幕でずかずかと出て来たアオイと鉢合わせそうになった。
「うわ! あ、アオイ? どうしたんだ?」
しかし、アオイは僕に気付かずそのまま行ってしまった。ホントに、一体どうしたんだ?
「?? ……まあ、用事が先か」
とりあえず用件を片付けようと中に入ると、
「…………」
<…………>
呆然としている桐山先生と、確か神江裏 灰音だったかな? いつものように笑みを浮かべているそいつがいた。
「な、何かあったんですか?」
「あ、それが……」
<別にどうもしない。ちょっと話していたら、向こうが勝手に怒って出て行っただけ>
灰音がそう答えた。けど、それだとよくわからない。
「話してたって……何を?」
<特には。見た事、聞いた事を話していたら、突然出て行った>
「……それ、本当か? あいつに嫌われるなんて、よっぽどだぞ」
<そうかもしれない。けど、よくわからない>
……そうだった。こいつはそう言う奴だった。
けど、アオイがあそこまで怒るなんて、本当に珍しい。一体、灰音の何が気に障ったんだ?
気になると言えば、灰音がいつも同じような表情で、何も感じさせない目をしていることくらいか。
―――待て。
(もしかして、アオイが気に食わなかったのはそこか?)
考え込んだ僕は、ここに何をしに来たのかをすっかり忘れていた。
- 803
:スゴロク:2011/08/23(火) 23:32:55
- (全く……何なんですの、あの方は)
その時のわたくしは、常にないほど腹を立てておりました。
理由は一つ。先ほど事務室で鉢合わせた、あの神江裏 灰音です。
いつも同じ顔。何も映さない瞳。わたくしは、ああいう人間がとにかく嫌いです。
何より気に食わないのは、その在り様。
(人間から「人間らしさ」を取ったら、きっとああなるのでしょうね)
自分を構成する何かを置き忘れたような、空っぽの存在。まるで、出会った頃の姉様のようでした。
けれど、姉様は良くも悪くも「自分らしさ」を持っておりました。それがどれほど歪んでいるにしても。
神江裏 灰音は違います。自分というものを持っていないかのような、生きているだけの人形とも言うべき虚ろな女。
(好き好んでああなっているとしたら、二度と関わりたくはありませんわね)
まあ、同じ学校にいる以上、そうも行かないのですけれど。ただ、気になるのは。
(姉様と似ておりますけど……)
昔の姉様は、「火波 綾音」という一つの人格が、強さを担当する「スザク」と弱さを担当する「綾音」の真っ二つに分かれていました。けれど神江裏 灰音は、まるで「自分」から「気に入らないもの」を取ってしまったかのような、「残骸」のようなイメージがありました。
けれどそれ以上に気になったのは、わたくしを怒らせた理由。
自分自身を憎み蔑むかのような、半瞬だけ見せたあの目。
あの目を見た瞬間、理由はよくわかりませんが、心底からの怒りにかられたのです。
(まあ、どうでもいいことですわね)
どうせ自分から関わる気はもうありませんから。
「おや? 珍しく荒れているね、蒼のラフレンツェ」
「!? な、何だ、チェシャさんでしたの」
突然横合いから声をかけられて心臓が止まりそうになりましたが、横を向くとチェシャさんがいました。
ああ、驚いた。
「いやぁ、あまりに不機嫌な顔をしていたものだから、つい、ね」
「いえ、ちょっとどうかしておりましたわ」
「まあまあ。それより、何かあったのかい?」
「……あったというか、何というか」
「? まあ、話したくなければいいさ。深くは聞かないよ」
「では、それで。……そういえば、チェシャさん?」
「何かな?」
前々から気になっていたことが、一つ。
「チェシャさんのそのネーミング、何か由来でもありますの? 姉様の事は『赤きハムレット』と仰っていたような……」
「ああ、あれかい? さあ、何だと思う?」
―――結局まともな答えはもらえませんでした。何なのでしょう、あのネーミング。
火波姉妹と傍観者
(姉と傍観者)
(妹と傍観者)
(妹と猫)
(猫と傍観者)
「……主観が入り過ぎているような気がするよ、蒼のラフレンツェ。彼女は、君が思うより複雑だと思うんだけどね、僕は」
十字メシアさん「神江裏 灰音」、サイコロさん「桐山貴子」、しらにゅいさん「チェシャ」名前のみ「トキコ」をお借りしました。
チェシャのネーミングの法則性がわからなかったので、とりあえず適当に付けました。
- 804
:スゴロク:2011/08/23(火) 23:39:43
- ということで、火波姉妹と灰音の話でした。
ちなみに二人の灰音評は要約すると、
スザク「よくわからない……取っ掛かりがないんだ」
アオイ「なぜかはわかりませんが、妙に腹立たしいのですわ」
です。
- 805
:大黒屋:2011/08/24(水) 20:09:47
- スゴロクさんの話を拾って失礼します。
スゴロクさんより「???」をお借りしました。
ノウン&アンノウン
遅れて現場に到着した二人にクランケは簡単に説明した。
「気を失ってるだけ、ですか…。」
「つまり、お前がここに来た時は既に何もなかったんじゃな?」
「ああ。ただここで、彼女が気を失っていた。」
本当の事を言えばクロウともあっているが、関係ないので伏せておく。
「命の危険があるとは思えない。が、どうにも気になることがあるんだ。」
「気になること?」
「…ここ、触れてもらえないかな。」
クランケが示した通り、ゴクオーが手首に触れる。
「脈がない…!」
「ああ。そうなんだ。」
「しかし、おかしくないですか?心音は聞こえますよ。呼吸もあるようですし」
カイムが呟く。耳の良さからなのか、遠くから見ていても聞こえるらしい。
「ただの人間でないことは確かだろう…。」
「しかし、どうするんじゃ。一般人ではなかろうが、ここで気を失っているということは何かあったはずじゃ。」
「ウスワイヤに預ければ、彼女の要望に応えられるのかは疑問ですね。」
能力者の保護がウスワイヤの仕事だが、彼女がなにをしていたのか分からない限り対応ができない。
考え込んでいると、クランケが思い切ったように切り出した。
「眼がさめるまで、うちが預かろう。」
「「えっ?」」
「うちはウスワイヤ公認の探偵事務所だ。能力者の保護もできるし、彼女の意志に可能な限り添えられるかもしれない。」
それに昔見た資料を思い出したい、という気持ちがクランケにはあった。
「星も分からず屋じゃない。部屋も空いてる。僕がなんとかしよう。」
「お願い、できるんかの?」
「勿論さ。任せておいてよ。」
連絡を受けたエトレクは走っていた。
自分の担当する区域で何かが起こったというのだ。放ってはおけない。
昼の青い空の下。冷静に考えれば姿を消せた彼は人眼に付かずに彼らの元へ向かっていた。
彼が白い姿を見つけたのは、その道中だった。
大きな鳥のような影が上を通過した。見上げると白いグライダーが横切った。
あの姿は彼も見たことがある。自分の命を救った妖怪主治医だった。
しかし、彼が注目したのはそれではない。
彼が背負っていた女性…だろうか。
元来眼の良さに自信のある彼が、彼女を見逃すはずがなかった。
そして、彼は絶句する。
「…どういうことなんだ…!?」
- 806
:スゴロク:2011/08/24(水) 21:39:20
- 大黒屋さんの「ノウン&アンノウン」を拾わせていただきます。
(なぜだ? あれは一体どういうことだ!?)
姿を消したままのエトレクは、クランケを追って疾走していた。彼が背負っていた女性……遠目にもわかった。
以前、「鬼門」に戻される少し前に一度だけ会った事がある。後にも先にもその一度しか会っていないが、「彼女」の物腰や言葉は強く印象に残っている。
(だが、彼女は……)
そんなはずがない、と思う。しかし、キリやカイム、ミサキのような事例がある。絶対に、とは断言出来なかった。
(とにかく、確かめなければ!)
決心を固め、怪人赤マントは人知れず、いかせのごれを走る。
「それで連れて来たわけか、クランケ」
「放っておくわけにも行かなかったし、このままだとウスワイヤに連れて行くわけにも行かなかったからね」
引っ越した天河探偵事務所。その一室で星は、隣の部屋に寝かされている女性を連れて来たクランケと話をしていた。
「まぁ、前と違って部屋にはそこそこ余裕があるし、別にいいけどな」
「そう言ってもらえると助かるよ。……早速で悪いんだけど」
「ああ、素性調査だな」
身元不明者を保護した場合の基本は、安全の確保と身元の調査。これが鉄則だ。
「そういうことだ。……ただ、僕はホウオウグループにいた頃、何かの資料で彼女を見た覚えがあるんだ」
「何?」
にわかに星の目つきに鋭さが混じる。クランケが当初予測したのと同じように、グループとの関連を疑っているのだ。
「構成員か、実験体か、何かのターゲットか……とにかく、こっちでも調べて見る」
「……わかった。私も手伝おう」
- 807
:スゴロク:2011/08/24(水) 21:40:14
- ホウオウグループ関連の資料は見つかったものの、数がそれなりにあり、調査は困難を極めた。
というよりは、単に時間がかかっただけなのだが。
「……これも違うか。クランケ、本当に見たのか?」
「間違いなく。……どういう資料だったかよく覚えてないんだけど」
「星殿、これは違うがか?」
「どれ……違うな。似てるだけだ」
月光を加えて3人で手分けをし、問題の資料に関連する部分を探していた。が、どうにもはかどらない。
「……ん? ダメか、これも違う。写真がない」
「こっちは結構最近のやつか……違うな」
「む、これはクランケの資料ぜよ」
そんなこんなで時間だけが過ぎて行き、2時間程してついに月光が音を上げた。
「だー! これではキリがないぜよ」
「た、確かになぁ……これだけ探して見つからないとなると……」
「見間違いだったとは思えないんだけど……」
さすがに自信がなくなって来たのか、クランケが小さく呟く。と、
「っと、忙しそうだな。何かあったのか?」
部屋に入って来た男がいた。ロングコートを着た、霧波 流也。
「おぉ、流也。いや、実はな」
大まかな事情を月光から聞いた流也は、「ほう、そうかい」と頷く。
そして隣の部屋に目をやり、
「ならまずは、そのお嬢さんの顔でも拝んで来るかね」
「気を失ってるからね、くれぐれも騒がないでくれよ」
クランケを素でスルーし、流也は隣の部屋に入ると、ベッドで眠っている女性の顔を覗き込む。
と、
「ん?」
既視感を覚えた。確か、つい最近似たような顔を見た記憶が……。
「どわっ!?」
と思った瞬間、突然何かにぶつかったような衝撃と共に吹き飛ばされた。起き上がると、さっきまで自分のいた所にシルクハットを被った影が見える。
「あ、あんた、確かこの間の……」
だが、その男・エトレクは、その女性の顔を見て、わなわなと身体を震わせていた。
「ど、どした?」
「……間違いない……けどなぜ……主が『語った』わけでもないのに」
「……星殿、クランケ、隣が騒がしいぜよ」
「……騒ぐなって今言ったのに」
「しょうがない、私らも行くぞ」
部屋を出て隣に向かう3人。その時動いた空気に煽られたのか、一枚の資料が飛び、その裏から別の資料が出て来る。
「Rank-E」。「重要度なし」と規定されたその資料――UHラボという施設からの転送だった――に、写真と共に記されていた。
『能力概要:生命力というべきエネルギーの活性化と推測される。これは、応用によってはより強力な生体兵器の開発にシフトできる可能性を持った素体と言えないだろうか』
『素体候補名:白波 アカネ。確定し次第、確保に移る予定』
『―――月11日、追記。上記素体候補は頭書の日付以降消息途絶。死亡と推測される。これに伴い、確保の中止を決定』
―――写真は、眠る彼女と同じ顔をしていた。
合縁奇縁、どこまでも
(死んでいるのか、生きているのか)
(それはまだ、今はわからない)
(しかし、ここにいるという現実)
というわけで、大黒屋さんより「天河 星」「クランケ・ヘルパー」「秋山 月光」「エトレク」名前のみ「キリ」「カイム」「ミサキ」をお借りしました。
この流れが一段落したらアカノミ訪問の予定です。
- 808
:しらにゅい:2011/08/25(木) 11:38:34
- 「『狂気!いかせのごれに潜む悪意か!?無差別連続殺人事件』だってさー」
「これで被害者13人目なんだってな。」
「13・・・って、なんか不吉な数字だなぁ・・・」
「つまり、こういうことでしょう。犯人にとって13人目はある種の意思表示・・・
これ以上被害者を出したくなければ早急にこちらの意図を汲み、要求を呑めという警告だと推測出来ます。
同時に、一般市民に対する恐怖の浸透は、凶悪な事件を引き止められない警察に対する不信感を煽る効果となるでしょう。
・・・もしかしたら犯人は、君達の側にいてその姿を見て楽しんでいるのかもしれません。」
「ぎゃー!?怖いこと言うなよイクト!!」
「ユ、ユウイ一緒に帰ろー!?」
「・・・きんかん君もなかなか面白い推測するねー、でも・・・」
「何でそんなことするんだろうね?ハンニンさんは。」
『ねぇ、何を作ってるの?』
『んー、それは秘密。』
『えぇ、教えてくれたっていいじゃない!ケチー!』
『マジックだって種明かしをしたら面白くないだろう?』
『そりゃそうだけどさー』
『だったらさ、彼と君、どちらが先に気付くか勝負してみたらどうだい?
完成するまでに君が気付いたら、チョコレートケーキあげる。』
『ホント!?じゃあ頑張って当てるー!』
『(まぁ、あとちょっとで終わるけどね・・・)』
『あ、そうだ。エドくん、』
『何?』
『鴉さんに何か言われた時用に理由作っておいた方が良いよ、私似たようなことしてすっごい怒られたもん。』
『そっか、・・・一応考えておくよ。』
「・・・んー、後二、三人?かな。」
「トキちゃん何描いてるの~?」
「あ、シロちゃん。えへへー、私分かっちゃった。チョコケーキゲット!」
「チョコケーキ?・・・何の話?」
「うん、エドくんとちょっとしたゲームみたいなのしててさー、当てたらチョコケーキくれるって!」
「へぇー、そうなんだー・・・いいなぁ。」
「あげないし。」
「ちょうだいなんて言ってないよ!・・・あれ?そういえば、その絵どこかで見たことあるような・・・」
「んふふー、シロちゃんならー、絶対見たことあるよ。」
てんとてん、つなげてみよう
そうすれば、ほらみえてくるのは
「・・・さて、ケイくんはもう気が付いたかな?」
りゅうがきらいなあのしるし
わたしたちのとれーどまーく
朱鷺と兄
(印への犠牲=15人)
(チョコレートケーキ1個=15人分の命)
- 809
:しらにゅい:2011/08/25(木) 11:46:46
- >>808 お借りしたのはエドワード(許助さん)、ハヤト(鶯色さん)、
浅田郁人(ヒトリメさん)、浅木旺花、名前のみ榛名 有依(紅麗さん)、
白奈(十字メシアさん)、名前のみクロウ(スゴロクさん)、ケイイチ(本家様)
でした!
「驚き☆いかせのごれの☆日常!」その頃のトキコ、ということで書かせて頂きました。
トキコ視点で考えても、この事件面白そうだなぁと思いましたので・・・
繋げて繋げて、出来たのはあのマーク!(テーテッテレー!みたいな←
ちなみにイクト君の口調がこれでいいのかちょっと心配です・・・
- 810
:大黒屋:2011/08/25(木) 21:07:44
- 「驚き☆いかせのごれの☆日常!」の15件目の事件と時系列は同じです。が、おまけ程度に考えてくだされば幸いです。
本家様より「アキヒロ」をお借りしました。だってWコマつかいたかったんだもん…!(
ところでここに、二人の人間を紹介しよう。
一人は囚人。一人は看守。
最近の事件とは無関係な二人の人間。
「…ねぇ、おなかすかない?」
ストラウル跡地のとあるビル。
フェンスに座った女は曇り空を眺めながら呟いた。
水色の髪と絡んだ赤いリボンが風に靡く。
彼女の背後。備え付けられた鉄の梯子が音を立てた。
そこには何故か縄が縛り付けられている。
その先には、左足首。
女と同じ赤いリボンを頭に巻いた男が、逆さ吊りにされていた。
「…本当に何も食べないわね。餓死するわよ?」
男に気付いているのかいないのか。女は呑気に言う。
かくいう女も誰に向けて話しているのか分からなかった。
不意に、梯子がギシギシと音を立てた。
吊られた男が頭を抱え出したのだ。
その音に女は振り返る。
眼の前の非日常な光景には、全く反応を示さなかった。
のみならず、彼女はその男に普通に話しかけていた。
「また頭痛?まだ慣れないみたいね。大丈夫?」
頭から手を離した男は何も言わない。
しかし女はへぇ、と一言発した。
「例の連続殺人事件が、次で終わる?」
「雨の中倒れる、首を切られた少女の死体、か。」
彼女は復唱するように言った。
「…私達じゃ間に合わないわよ。もうすぐ雨が降るわ。その子ももうすぐ死ぬわ。」
その口元には、何故か微笑。
「ま、それが彼女に与えられた最後の試練、ということにしましょう。」
女は立ち上がった。
「そろそろ戻りましょう。アキヒロさんが心配するわ。明日も学校だし。」
振り向き、男を通り過ぎてドアノブに手をかけた。
気がつけば、梯子から縄は消えていた。
ところでここに、二人の人間を紹介しよう。
一人は囚人。一人は看守。
最近の事件とは無関係な二人の人間。
彼らはきっと、こう名乗るだろう。
献身者達
「Ⅻ」 あるいは 「THE HANG MEN」 と。
- 811
:スゴロク:2011/08/25(木) 21:48:17
- 「驚き☆いかせのごれの☆日常!」の時間軸です。しらにゅいさんの「朱鷺と兄」に微妙に絡めて見ました。
「…………何を考えているんだ、こいつは」
某所。新聞を読んでいたクロウは、イラストで示されていた連続殺人事件の発生場所を見て唸っていた。
理由は簡単。場所をある順番で結ぶと、見慣れたあのマークが浮かんでくるからだ。
(何のつもりだ……)
ジングウ以外でここまで頭痛を覚えたのは久しぶりだった。そうでなくてもUHラボとノルン・ノアへの対処があるというのに、全く頭が痛い。
「犯人は……うちの連中の誰かで間違いないな。しかし、ここまで徹底しているとなると……」
思い当たるのは何人かいた。しかし、確定までには至らない。
「……誰かから聞きだすか」
この男の場合、それが一番重要な情報源だった。しかし、誰にする?
(トキコか? ……いや、肝心な部分を知らん事があるな。ならばリオトか、新入りか……そういえばあの新入り、あれからどうした?)
リオトが引き込んだという「新入り」に一瞬思考が飛び、慌てて元に戻す。
(……そうだな、エドワードに聞いて見るか。意外と顔が広いからな)
新聞を畳んでゴミ箱に投げ込み、クロウはベンチから立ち上がってその場を去った。
「……随分と派手にやっていますね、彼は」
東の平原。アカノミの枝の上で新聞を読んでいた(堂々と駅前で買って来たのだ)ヴァイスは、連続殺人事件の記事に目を落として呟いた。
「14人、ですか。時間も場所もバラバラ……でもないですね。このラインだと……やっぱりですか」
浮かんだのは、あのマーク。ヴァイスにとっても因縁浅からぬ、あのマーク。
そしてヴァイスは、その犯人についても既に突き止めていた。以前偶然から入手したバードウォッチャーを操り(AIがあれば機械にも有効なのだ)、暇つぶしに飛ばしていた所目撃したのだ。
だからと言って、どうするわけでもなかったが。
(……彼、シン・シーに狙われそうですね)
あの「正義の味方」がこの事実を知れば、真っ先に狙いそうな気がする。自分には関係ないし、興味もないが。
(ま、いいでしょう。ワタシには関わりのないことです)
新聞を投げ捨て、身体を起こす。次の瞬間枝が派手に揺れ、脚本家の姿はそこから消えていた。
鴉と脚本家と事件
(片や重く見て)
(片や興味も持たず)
(しかし、そんなものである)
名前のみ許助さん「エドワード」akiyakanさん「ジングウ」、大黒屋さん「アカノミ」「シン・シー」、しらにゅいさん「トキコ」、紅麗さん「高嶺 利央兎」、びすたさんより兵器「バートウォッチャー」をお借りしました。その頃彼らは、という感じで書いて見ました。
- 812
:十字メシア:2011/08/25(木) 22:22:27
- ヤマブキはドリーマーだけど、ウスワイア側だからチェシャぐらいしか他ドリーマーと認識無さそう。
という訳でしらにゅいさんから「チェシャ」をお借りしました。
某日。
とある河川敷にて、一人の少女が何かを探していた。
山吹色の瞳には喜色が含んでいる。
天河探偵所事務員のドリーマー、ヤマブキだ。
「どこかな~…」
クローバーの小さい茂みを漁りながら、ニコニコ笑っている。
とそこへ。
「何を探してるんだい? 小さな山吹色のお姫様」
「え? …あっ、猫さんだー!」
「久しぶりだねえ、ヤマブキ」
明るい笑顔を浮かべ、猫耳フードのついたパーカーを着た少年―――チェシャに駆け寄るヤマブキ。
「あのね、チカ姉ちゃんにあげる、四つ葉のクローバー探してたの!」
「そうかい。萌葱色の剣士は元気かな?」
「うん!」
笑って頷くヤマブキの頭を撫でるチェシャ。
「しかし君、顔はそっくりだけど体は萌葱色の剣士より小さいねえ」
「えー、駄目なの?」
「いや、小さいのも萌葱色の剣士の『子供らしさ』の証だろうから、良いと思うよ」
「?」
チェシャの言葉が難しかったのか、頭を傾げるヤマブキ。
その様にニヤニヤ笑いつつも、チェシャは頭を撫でた。
「ま、分からなくてもいいさ。ところでクローバー探しは?」
「あ、そうだった! 猫さんも手伝って!」
「そうだねえ…それじゃあヤマブキ」
「ん?」
「手のひらを見せてくれないかな?」
「何でー?」
「いいことがあるからさ」
「ふーん…じゃあ、はい!」
と、右の手のひらをチェシャに見せるヤマブキ。
するとチェシャはその手に何かを握りしめさせた。
「? なあに?」
「見てごらん」
「…あ!」
ヤマブキの右手には、四つ葉のクローバーが。
それを見たヤマブキは、満面の笑みを浮かべた。
「四つ葉だあー! ありがとう猫さん!!」
「ニヒヒ、どういたしまして」
「…ヤマブキ」
「なあに?」
「萌葱色の剣士の事は好きかい?」
「うん! ヤマブキ、チカ姉ちゃんの事大好きだよ!」
「そうかい。なら約束してくれるかな?」
「約束?」
「これからも、萌葱色の剣士と共にいる事を」
「一緒って事?」
「そう。君はドリーマーの中で唯一、元の人物と遭遇、しかも一緒に生きている。本来ならあり得ない、けど…」
「?」
チェシャはにんまりと笑って言った。
「君には”ドリーマーのヤマブキ”としてではなく、”萌葱色の剣士の双子の妹”の方が相応しいからねえ。約束してくれるかい?」
「うん! 一緒にいればいいんだよね?
「ああ。それでいい」
「分かった! ずっとずーっとチカ姉ちゃんの傍にいて、チカ姉ちゃんを助けていく!」
山吹色の目を細めて、ヤマブキは明るく宣言した。
「じゃあそろそろお帰り。萌葱色の剣士も心配しているだろうから」
「うん! 今度会ったらお話してね!」
「いいよ。会ったらね」
「じゃあばいばい! 猫さん!」
手を振り、四つ葉のクローバーを大事に持って、ヤマブキは帰路を走っていった。
それを見送ったチェシャは、にんまりと笑ったまま呟く。
「もしかしたらドリーマーとして生まれたのも、萌葱色の剣士の傍にいてやる為かもね」
山吹色の夢人と猫
「そういえば、山吹には『待ちかねる』って花言葉があるんだよねえ…ニヒヒ」
- 813
:スゴロク:2011/08/25(木) 22:27:37
- 忘れてました……大黒屋さんから名前のみ「ノルン」「ノア」をお借りしました。
すいません……。
- 814
:大黒屋:2011/08/26(金) 19:17:46
- 「合縁奇縁、どこまでも」直後の話です。やっとエトレクが戻ってきた。
名前はあがってませんが、スゴロクさんより「白波 アカネ」をお借りしました。
ばたばたと騒がしい音の後には、ボロボロになった赤マントが床に伏していた。
腕を組んでそれを見下ろす星。彼女一人でフルボッコにしてしまったという。
星が強いのか、はたまた赤マントの彼が弱いのか…。
「いやマジで窓から侵入してすみませんでした。」
「分かればいい。次からはドアから入ってこい、ちゃんと。」
赤マント…エトレクは起き上がり、シルクハットの埃を払った。
「しかし、どうしてこんな所に?この部屋にいるってことは大方クランケ追って来たんだろうけど。」
「…その通りです。」
「何だ?お前、この人の事知ってるのか?」
ああ、と一言言い、エトレクはなんとか立ち上がった。
「一度だけだが、会ったことがある。もっとも、彼女が俺を覚えてるかは分からないが。」
未だに寝息を立てる女性を見ながら彼は言った。
「じゃあ、彼女の目的とか…。」
「…それはわからない。」
「僕が見た限り脈だけが無かった。人間ではないと思うんだが…。」
「妖怪の可能性である可能性も低い哉。少なくともうちで語られてはいない。」
えっ、とエトレクを見るクランケ。
「時間の感覚が狂ってるから断言はできないが、彼女と出会ったのは6,7年前だったと思う。その時はれっきとした人間だった。」
「人間だったってことは、一度死んでいる可能性が…;」
「だが、人間が妖怪になるのは稀なんだ。それに7年程度の短期間じゃ鬼門から外に出られない。」
しかし、とエトレクは俯く。
「妖怪ではないにしても不可解哉。特に脈『のみ』が無いという点に置いて。」
「…確かに。そこは僕も気になっていた。」
「しかしながら、彼女が寝ている以上どうしようもない。おおよそ何処に向かわせればいいかは分かるけど、やはり本人の意思を訊かないわけにはいかない。」
「…よし、分かった。」
星はエトレクに指を向けた。
「彼女が目覚めるまで、お前がここにいろ!」
「…え、俺が!?」
「覚えているか…というか同一人物かも疑問だが、知り合いの一人は居た方が安心できるだろ。」
「…そうか、それもそうだな。」
エトレクは笑うと、頷いた。
「了解した。任せておいてくれよ!」
真実微解明
「あと、侵入した罰な。」
「ですよねー☆」
- 815
:えて子:2011/08/26(金) 21:00:38
- 「驚き☆いかせのごれの☆日常!」の時間軸です。15件目が終わって数日後くらいでしょうか…
こんな絡め方でもいいのかな…
ある休日、やることもなかった佑はいつものように居間のソファに座り、テレビから流れるニュースをBGMに、新しく買った本を読んでいた。
ニュースの内容は、数日前まで世間を騒がせていた「いかせのごれ無差別連続殺人事件」に関するものがほとんど。
事件がぱったりと起きなくなってからは、犯人を捕まえられない警察に対する批判が多くなっている気がする。
そんな折、ふと聞こえてきた言葉に、佑は本に向けていた顔を上げてテレビを見た。
『被害者が15人…というのには何か意味があるのでしょうか?』
ニュース内でよく見る討論会。
その中で、犯人は15人目で己の要求が満たされたのだろうだとか、興味をなくしたのではないかとか、いろいろ言われていた。
「意味…か」
一言呟くと、手元の本に目を落とす。
先日古本屋で購入した「MESSAGE」という短編集。
題名の通り、「伝えたいこと」を題材にした短編ばかりが載っている。
その中に、こんな一文が書かれていた。
“一見無関係と思えることにこそ、本当に伝えたいことが隠れているものなんだ”
第3話「少女は二度死ぬ」での主人公の相棒の言葉だ。
その時は結局彼の推理は的外れになるのだが…丁度そのシーンを読んでいた佑はその言葉が妙に引っかかった。
(この連続殺人事件も、実は無差別なんかじゃなくて、ちゃんと意味があるんじゃないか?)
「……どうせやることもないしな。やってみようか」
今日は特に何もないし、暇つぶし程度にはなるだろう。
そう考えて本に栞を挟むと、準備を始めた。
3時間後。
「…ぬぅ………」
自室の机の前で、佑は頭を抱えて唸っていた。
今までの連続殺人事件が起きた場所。
その15ヶ所をB5サイズに縮小コピーした地図に、新聞の切り抜きを元に書き込んでいく。
が、それで終わった。
考えても考えても、意味なんて浮かんでこない。
切り抜き記事を何度見返してみても、被害者はもちろん、場所も殺される時間もバラバラで共通点は見当たらない。
腹立ち紛れにその15ヶ所を線で繋いでみたり、中心を割り出して円を書いてみたりもしたが、意味不明のぐちゃぐちゃな線が地図を埋め尽くしただけだった。
おまけに書いては消し書いては消しを繰り返したため、机には消しゴムのかすが散らばり、消しゴム自体も小さくなってしまっている。
「……っあーーー!!駄目駄目駄目!!無理!!」
鉛筆を放り投げると、ついに音を上げた。
「分かんない分かんない!全っ然意味なんか見えてこない!!これもう愉快犯でいいんじゃないか!?
……というか、私もともと暇つぶしのためにやってたんだよね。何もここまでのめりこまなくてもいいんだよね。駄目だね私!いつものめりこんじゃうからなー!」
もう終わり終わり!と大声で言い切ると、机に広げた切抜きを片付け、消しかすを集めて捨てる。
地図も一緒に捨てようとしたが、ふと思いとどまり手を止め、
「……誰も見てないし、いいよね」
地図のコピーを紙飛行機にすると、部屋の窓を開けて勢いよく飛ばした。
風は強風、そして追い風。
紙飛行機はあっという間に見えなくなった。
届かなかったメッセージ
「あ、今度新しい消しゴム、買いに行かないとな…」
- 816
:紅麗:2011/08/26(金) 21:49:38
- 「驚き☆いかせのごれの☆日常」に触れてみました。
でもメインはユウイのホウオウグループ加入についてです。
名前のみスゴロクさんの「クロウ」をお借りしました!
「いやー、ごめんねユウイ。一緒に帰ってもらっちゃって…」
「…ったく…今日だけだからな」
「あー、でも保健室行けば良かったかも。氏型さんやたまちゃんセンセーに会えたし」
「じゃあ行ってこいよ…」
あの「無差別連続殺人事件」の話を聞いた後のこと。
ビビりでヘタれな浅木旺花、通称おーちゃんはあまりの恐怖に一人では帰れなくなっていた。
もう高校二年生、しかも男子だと言うのに…情けない。
そんな彼と一緒に下校しているのは、ユウイ。
最初はオウカと一緒に下校することをこれでもかと言うほどに拒んでいた彼女だったが、オウカのあまりに酷い「不幸体質」のことを考えると放っておけなくなったらしい。
嫌そうに眉間に皺を寄せつつもオウカと共に帰路についていた。
今日は珍しくあの召喚獣「ピンク玉」はいないらしい。
(夜の様な少女…一体、誰なんだろう…)
ユウイはすたすたとオウカの前を歩きながら、数日前「クロウ」という男から貰った紙をぎゅっと握りしめる。
リオトの言われるがままに「ホウオウグループ」への入団を決めた彼女の心の中には、やはりまだ少し迷いというものがあった。
(そりゃそうだよなぁ…ギターとか弾く気ないのに軽音部とか入るのと同じなんだもんなぁ…今のアタシ)
クロウから放たれた言葉を思い出してユウイは深い溜め息をつく。
「ユウイ?」
「あ?」
「どうしたの、ガラにもなく大きな溜め息ついて。溜め息つくと幸せ逃げるよー、もっと楽に行こうよ、楽にさ」
「あぁ、そーね」
少なくともお前よりは幸せはある。
喉のあたりまでその言葉が出かかったがぐっと抑えるユウイ。
どうしてこいつは此処までへらへらとしていられるのだろう。
無意識ながらもクロウから手渡された紙をぐしゃぐしゃになるまで握り締めてしまっていた。
「そう言えば…おーちゃん」
「はいな」
「おーちゃんはさ、超能力とか…その類の物信じてるか?」
こつこつと二人分の足音だけが響いている空間の中で単刀直入にユウイは隣にいる彼に問いかけた。
彼、オウカは眼をぱちくりさせて驚いてこそいたものの、すぐにまた「にへら」と笑って頭の後ろで腕を組む。
「まぁ結構信じ…だぱんぷ!!」
「!?」
「っ!うわ!すみません!!」
先程のシリアスな空気は何処へやら。
ユウイの問いに答えようとしていたオウカは突如として突っ込んできた自転車により五メートル程先へと吹っ飛び、背中を電柱で強打した後、公園より飛来したおもちゃの飛行機に衝突された。
あまりの突然の出来事にユウイは絶句する。
オウカにぶつかってしまった背の高い男性は自転車を蹴飛ばすように降りて眼をぐるぐると回しているのではないかと思えるぐらいに慌ててオウカを起こしていた。
そんな男性の表情とは正反対にオウカは「いつものこといつものこと」
と、制服についた土を払いながら男性を落ち着かせる。
それでも心配なものは心配なのだろう。
男性は「お詫びをさせてください」と近くにある喫茶店を指差した。
最初こそ拒んでいたオウカだったが、あまりの男性の粘り強さに結局負けてしまった。
「…い、いいのになぁ、そんなの…。ま、いいか!じゃ、ユウイ!僕はこれで!」
「お、おう…」
先程、自転車にぶつかられたのがウソだったかのようにルンルンとしながら喫茶店へと向かっていくオウカ。
ユウイは引き攣った表情でオウカに手を振った後、拳を作って俯く。
…これから、どうしよう。
あの「クロウ」という男から教えてもらった「少女」の場所へと行くか…?
…いや、でも何が起こるかわかったもんじゃないし…。
やっぱりここは、リオトに相談するのが一番良い選択なのだろうか。
そう考えながら携帯を開き、電話帳のラ行のグループへとボタンを進めた。
(…いやいや!違うだろ!!)
「電話発信」の一歩手前でぶんぶんと首を横に振りだだだだ、と電源ボタンを連打して携帯を鞄にしまう。
そう、これはユウイ自身の問題なのだ。
いくらリオトが自分を「ホウオウグループ」に入れたからとはいえ、こんな時までリオトに頼ってはいられない。
思えば小さな頃からリオトに頼りっぱなしだった自分。
何かが起こればすぐリオトに縋りついていた自分。
(でももう…それじゃ駄目なんだ)
これは自分の問題。自分が決めることだ。
紙を再び握り締め大きく深呼吸をするとユウイは顔を上げ、家とは全く違う方向へと駆けだした。
自分の答えを見つける為に。
新入りの決意
- 817
:紅麗:2011/08/26(金) 21:52:43
- 記入し忘れです;
名前のみ大黒屋さんの「氏型 環」しらにゅいさんの「玉置静流」をお借りしました。
- 818
:スゴロク:2011/08/26(金) 23:16:39
- 大黒屋さんの「真実微解明」の続きです。
―――夢を見ていた。
一人娘が生まれた、あの日。
元々自身、病を抱えていた。そのせいか、一時は母子ともに命が危ぶまれた。
夫や父は反対した。お前まで失うわけには行かない、と。
それでも、譲らなかった。
『私の命のために、この子を殺せっていうの? 絶対に嫌よ、そんなことは』
『し、しかし、無理に産めばお前まで……』
『聞いて。私はね、あなたの妻になったこと、そしてこの子を授かった事を誇りに思ってる。もし、ここで命を惜しんでこの子を産まなかったら……たとえ助かったとしても、その先一生後悔することになる。私はそんな人生、絶対に嫌よ』
『アカネ……』
『私は母親になる。もう、決めたのよ』
―――そして迎えた、出産の日。
恐れられていた事態が、起こってしまった。
病を抱え、消耗していた身体が出産に耐えきれず、命が消えようとしていたのだ。
そればかりか、このままでは生まれて来る子供も危なかった。
それでも、
(私は死ねない……まだ死ねない! この子を、私の子をこの手に抱くまで、死んでなるものですか!!)
途切れかかる意識を、気力だけで繋ぎとめていた。
と、
「!」
不意に呼吸が楽になり、身体にのしかかっていた重さが消えた。
時同じくして、産声が聞こえる。
(ああ……!)
看護師が抱かせてくれた、愛娘の重み。その感覚は、娘の産声は、今でも忘れていない。
(……でも、私は………)
「………!?」
開いた視界に飛び込んで来たのは、薄暗い部屋の天井。視線だけで窓を探し、外を見ると日が沈みかけていた。もう夕方も遅いようだ。
(ここは……?)
首を少し動かして、部屋を探る。その視界に、程なく異様なものが飛び込んで来た。
(!?)
シルクハットにマントを纏った、どうみても怪しい人物。
しばらく呆然と眺めていると、向こうが驚いたように反応した。
「うわ! ……め、目が覚めたの哉」
「………ここは? あなたは誰?」
目覚めた彼女が真っ先に聞いたのは、場所と相手の素性。謎の人物は、
「あー、やっぱり覚えてない哉……結構前のことだからなぁ」
「一体何を……ちょっと待って?」
よく見ると、シルエットに見覚えがある。確か、以前、夕方に……。
「………………あぁ、思い出したわ。6、7年前かしら、ブランカが会わせてくれた人ね」
「おぉ、覚えていてくれたんですか。……って、やっぱり本人?」
「何を言ってるのかよくわからないわ。初めから説明してくれない? ……もっとも、私自身何がどうなってるのか理解できてないんだけど」
「ごもっとも。とりあえず、自己紹介から。……改めまして、俺はエトレクと言います。ええと、何て言うか」
「! やっぱり、あの時の『怪人赤マント』ね。私はアカネ。白波 アカネよ」
- 819
:スゴロク:2011/08/26(金) 23:18:30
- しばらくの間、エトレクから簡単に経緯を聞いたアカネは、諸々の事実を咀嚼するように瞑目し、少しして顔を上げた。
「……森で私が倒れていて、それをその、クランケって人がここまで連れて来てくれた、というわけね」
「そうなります。それで、俺はそれを目撃して、ここ……天河探偵事務所まで追ってきたわけで」
「なるほど……」
アカネが考え込んだのを見計らって、今度はエトレクが声をかける。
「……こちらからも質問があります」
「何かしら?」
「……ランカちゃんからお話を聞きましたが、確かあなたは、随分前に亡くなられたはずでは?」
「……そのはず、よ」
「はず、とは?」
白波 アカネは死んでいた。それが事実……の、はずだった。
「確かにあの日、私はあの人……シドウさんの『目』を受けて、命を繋いでいた力を閉じられたわ。けど、ね」
「その後、私の部屋と同じ形の場所に閉じ込められていたのよ」
「部屋?」
「そう、部屋。家と同じ構造みたいなんだけど、私は外には出られなかった。ついこの間、ブランカとアズールが来てくれるまでは」
「あの2人が?」
無言で頷き、アカネは話を続ける。
「……私はその時、誰に何にか、願った。もう一度、あの子達の傍に行きたいって。そうしたら、突然目の前が真っ白になって……」
「気付いたらここにいた、と」
「そうなるわ。……けど、本当にどうして私が……死んだはずなのに……」
それでエトレクも思い出した。そうだ、一番聞かねばならぬことがあったではないか。
「アカネさん、失礼ですが、あなたは……」
その質問を口にしようとした時だ。
「お、目が覚めたのか、その人」
「うむ、とりあえず当面の心配は去ったぜよ」
部屋に入って来た、3つの人影があった。
- 820
:スゴロク:2011/08/26(金) 23:19:20
- 「……そういうわけで、ここで探偵をやってる天河 星だ。こっちは助手の秋山 月光と」
「初めまして、クランケ・ヘルパーです」
「どうも、よろしく頼むぜよ」
「ええ、よろしく」
自己紹介を簡単に終えたあと、早速だが、と星は本題を切りだす。
「白波 アカネさんだっけ? 答えてほしいんだが、あんたは人間か? それとも妖怪か?」
「わかりません。それは、私の方が知りたいくらいです」
あっさりすっぱり言ってのけるアカネであった。
「僕が見た限りじゃ、心拍も呼吸もあるのに脈拍だけがないっておかしな状況だったんですが」
「え? ……あら、本当。ないわね、脈」
手首に指を触れて確かめて見ると、確かに脈がない。胸に手を当てると、確かな鼓動が伝わって来るというのに。
「……パニックとか起こさないでくれるのは助かるんじゃが、何でまたそうも落ちついていられるんじゃ?」
あまりに泰然自若としたアカネの態度に、違和感を覚えた月光が問う。が、返って来た答えは、
「落ちついてなんかいられませんよ。今までで一番、気が動転してます。後になってみたら、自分がこの時何をしてたか思い出せる自信はありません」
パニックが度を越して飽和しただけだった。
それはともかく、と星が言う。
「まあ、本人にもわからないってのは珍しいケースじゃないが……」
「しかし弱ったのう……こうなると、誰に聞けばいいのか見当もつかん」
「僕もお手上げですよ」
言った通り、手を上げて降参のポーズをとるクランケ。
アカネに心当たりのあろうはずもなく、しばし部屋の中を沈黙が包む。
だが、しばらくしてエトレクが「そういえば……」と呟いた。
「星さん、『アルマ』と言う名前に心当たりは?」
「あるま?」
言われて記憶を探る星。そういえば、以前ウスワイヤを訪れた時、そんな名前を聞いた覚えがある。
「……聞いたことしかないけど」
「俺も主からちらりと聞いた程度なんですが、何でもアースセイバーの中に、そういうコードネームの人物がいるらしいんです。解析に特化した能力を持ってるらしいんですが」
「! そうか、その御仁ならアカネ殿に何が起こっておるのか分かるかも知れんな」
「それが一番いいか……その人は、どこに?」
クランケが問うと、エトレクは今度は「それが……」と俯く。
「アースセイバーの中でも結構特殊な任務に就いているらしくて、大半のメンバーはコードネームしか知らないとか……」
「なんじゃそれは? それではどうしようもないぜよ」
「一応、一部メンバーはコンタクトを取れるらしいんですが」
「……迂闊にウスワイヤに知らせるのは時期尚早だと思う。とりあえず、ゲンブさん辺りから探りを入れて見るか」
「それで、私はこの後どうなるんですか?」
横合いからアカネの声。
振り向いた星が言う。
「さすがに今日は遅いから、ここにいてくれ。それで、あんた自身はこれからどうしたい?」
「……家に帰りたいです。あの子達の、ところに」
「やっぱり、そうですか。それなら、俺が明日送って行きましょうか?」
「ええ、お願いしま」
言いかけてアカネははた、と思い出した。少し前だが、「部屋」の窓からブランカの様子を見たことがある。その時、彼女に何かしていた影の存在を。
「……エトレクさん、ちょっと聞きますけど」
「はい?」
「あの、山吹色の髪で、幽霊みたいな女の子って、知りません?」
「山吹……」
考えるまでもなく答えは出た。結構前から寺にいる、あの人しかいない。
「……心当たりが一人います。何なら、明日ついでに寄って行きます? 見えるかどうかわからないですけど」
「多分見えると思います。一度は見えましたから」
話が一段落ついた、と見た所で、クランケが言う。
「とりあえずはそれで行こう。アカネさんには、その『アルマ』との連絡が付き次第、検査を受けてもらう事になりますけど、いいですね?」
「異存はありません。お願いします」
答えるアカネの目には、不安と動揺、それ以上に強い光があった。
落着か、急転か
(目覚めた彼女)
(その存在は、まだ不確定)
「……ところて、流也はどこに行った?」
「星殿が乗り込んで来た時、『ちょっと出て来る』と……」
「あいつ一人で出したら帰って来られないだろ!! 探しに行くぞ!!」
「や、やはりそうなるがか? ……二人とも、すまんが後を頼むぜよ」
大黒屋さんより「エトレク」「天河 星」「クランケ・ヘルパー」「秋山 月光」をお借りしました。
アカネさんの詳細設定は近い内にキャラ企画スレに上げます。
- 821
:しらにゅい:2011/08/27(土) 00:19:20
- 「えっ、スイネちゃん元気になったの!?」
「ああ、でもまだ怪我の方は完治していないから、今は病院でリハビリしてるんだって。」
「ふーん、それで学校にはまだ来てなかったんだ・・・皆、凄く心配してたよ。」
「だろうなぁ・・・まぁ、経過は順調だし、何もなければもうすぐ復帰出来ると思う。」
「そっか!・・・・・・・・・あっ、そうだ!皆でお見舞いに行こうよ!」
「ウェ!?なんでいきなり!?」
「病人にはお見舞いが一番でしょ?それに、ちょっとでも元気な姿を見せた方が皆安心すると思うよ?」
「で、でもそれは駄目だ!」
「えー!?なんで!?」
「それはー、・・・スイネさんが入院してるところって遠い場所にあるし、いきなり皆で来られても、
そのー・・・びっくりするんじゃないかなって思うんだけど・・・」
「・・・ねー、それってさ、ほんと」
「そういえば!トキコはもうスザクと仲直りはしたのか?」
「えっ?仲直り?」
「ミユカから二人とも喧嘩したのか妙によそよそしかったって話聞いたけど・・・」
「あー、あれは違うよ。」
「違う?」
「うん、あれはねー・・・鳥さんが私に告白して返事貰えなかったからだと思う。」
「ブフォッ!?こ、告白!?」
「うん。」
「・・・こ、告白か・・・告白・・・」
「どしたの一角君?」
「い、いや・・・あのスザクが、って思うと衝撃が強いというか・・・なんというか意外で・・・」
「・・・変な事考えてない?」
「いや、それは無い!・・・というか、スザクの出した答えなら俺がとやかく言う筋合いはないと思うし、
・・・まぁ、そのなんだ・・・トキコは告白されて嬉しかったんだろ?」
「えっ!何で分かったの!?」
「顔ニヤけてる時点で分かるっつーの。」
「恥ずかしいー!・・・でも、嬉しかった。えへへ。」
「それなら良いじゃないか、トキコとスザクが幸せなら俺も嬉しい。」
「一角君の後ろに後光が見える・・・!」
「なんだそれ。」
「メロンソーダのお客様~」
「あ、はーい。」
「どうぞ。」
「ありがとう!」
「・・・なんだか、今のトキコって恋する乙女って感じだな。」
「一角君、そういうこと言うキャラだったっけ?」
「・・・周りの影響かなー、あはは・・・」
「一角君が・・・あの真面目で純粋な一角君がどんどん悪い子に!!」
「ちがっ!ハヤトやスイネさんがああいう話をするからだな!?」
「んん?・・・へぇー、ハヤト君やスイネちゃんとそーいう話をしてるんだ?」
「な、なんだよその眼・・・」
「私や鳥さんの前でだって恋バナしないのに・・・何それ、羨ましい。」
「別に俺だって好きでしてるわけじゃ、」
「というわけで一角君の好きな人は誰なんだー!さぁゲロっちゃいな!!」
「ぐぇっ!ちょ、ト、トキコ、苦し・・!!」
「君が白状するまでこの締め付けを止めない!!」
「何言ってんだこの子!!?ま、マジで息がっ、ぎゃああああ!!」
シスイとトーキングinカフェ
「籠われた後の話」
(デート前のお話)
「ぜぇ、ぜぇ、・・・ところで、スザクに返事は返したのか?」
「・・・んふふ~」
「何だよその笑い。」
「一角君がスイネちゃんの入院してる病院に連れてってくれたら教えてあげる。」
「ぐっ」
- 822
:しらにゅい:2011/08/27(土) 00:23:57
- >>821 お借りしたのは都シスイ(akiyakanさん)、名前のみスイネ(サト様)、
火波スザク(スゴロクさん)、ミユカ(十字メシアさん)、ハヤト(鶯色さん)でした。
時系列的には「籠われた朱鷺」系列終了後、スイネちゃんがリハビリ中を想定しての
お話になります。そういえばしばらくお互い何も知らなかったなー、というわけでw
・・・にしてもこの二人のギャグのツーショットだとトキコがDVオチになるのは何でだ・・・
- 823
:ヒトリメ:2011/08/27(土) 01:15:11
- >>809 しらにゅいさん
わあイクトだ!使っていただけるとうれしいものですね。
口調はそんな感じであっていると思います。
もしかしたら犯人は……なんて云って平和に騒がせて、自分の方が楽しんでいそうです。
ありがとうございました!
- 824
:十字メシア:2011/08/27(土) 22:23:55
- >大黒屋さん
ひいいいいいすいません!!!
今後気をつけます!!!
では続きをばっ。
秋山家の寺院内にて。
春美はキリに連れられてやって来た都市伝説の妖怪、黒井さんと話していた。
「キリ君から聞いたけど…自分の事を『無意味な存在』だって、思ってたんだね」
春美の言葉に、暗い笑みを浮かべる黒井さん。
『…黒井さんは、誰の為にも生まれた訳じゃないからね』
「ううん、そんな事無いよ」
『でも…』
「自分が必要とされない存在だって言うのなら、私達が黒井さんの事を必要としてあげる」
『え…』
「だから自分なんかいなくてもいいとか、無意味なんだとか言っちゃ駄目。生まれてはいけない命なんて無い。それは黒井さんも同じだから…ね?」
『主…さん…』
涙をぽろぽろと零す黒井さんに対し、優しく微笑む春美。
黒井さんは次第に嗚咽を漏らし始め、春美の膝に頭をうずめた。
『うっ、うっ…うあぁああ!!』
「黒井さん…」
『…黒井さ、ん、ずっと…思ってた。自分な、か…自分なんか、生まれてこなくても…良かったんじゃないかって!! いてもいなくても同じだって!!!』
「そっか…辛かったんだね」
『人間が羨ましかった! 誰かの為に存在している人間が!! 黒井さんは凄く凄く羨ましかったんだ!!』
「大丈夫、黒井さんも人間と同じだから」
『うっ、く、ありが、とう…主さん…』
泣き疲れて眠る黒井さんを見やり、春美は部屋の外にいたキリと話す。
「キリ君…百物語を熟知しているのは本当みたいだね」
「そのようでありマスな」
真偽を確かめようと、春美が黒井さんに対していくつか問いを出してみた結果、ひっかけにもかからず全て正解していた。
「後…ここに来る前にシン・シーに襲われたんだよね?」
「ええ」
「キリ君がピンチになった時―――」
「突然奇声を発したかと思えば、小生に刺さっていたナイフや傷…そしてシン・シーの手が投げたナイフも『消えた』のでありマス」
キリの脳裏にその様子が浮かぶ。
とどめをさされかけた時、黒井さんが奇声を発し、その途端にナイフと傷が跡形も無く、綺麗に消えていた。
まるで『この世界から消えた』かのように。
「そしてその時…はっきり、見たんだね?」
「…黒井さんの目が、『血の色に変わっていた』のを」
「確かに、この目で」
「百物語の認知の深さ、キリ君の危機に対する反応、そして。血の色に変わった目…」
「主、やはり黒井さんは―――」
「うん」
「私達が捜していた―――”百物語第一話”だよ」
百物語第一話
必然か偶然か
都市伝説の少女との出会い
それは真実との出会い
”百物語第一話”という真実との…―――
お借りしたキャラは、大黒屋さんから「秋山 春美」「キリ」「シン・シー」(名前のみ)でした。
また後程、百物語第一話としての黒井さんの詳細のせます。
- 825
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:48:21
- <抱えた爆弾>シリーズ、最終章。
使わせていただいたのは、十字メシアさん宅より出雲寺組メンバーの 出雲寺亜澄、亜寺義仁、律田冴子、九柳亜樹斗、スグル、フー・ライフォン、サワコと、鶯色さん宅の武器工場よりタクミです。
<汰狩省吾の決着。>
そして、朝。
殺気立った出雲寺組に、朝日が差し込んだ。
いつもの朝食。しかし、いつもとは違いシンと静まり返ったまま全員が集まった。
組長であるアスミの席は空席のままである。食事の脇には資料がまとめて置いてあった。
ヨシヒトが立ちあがる。
「皆さん。敵と組長の行方が割れました。」
話を続ける。だが、誰一人として口を開く者はいない。
「・・・ここです。ビル街ですが、今日は休日。この周囲のビルに一般人がいない事が
判明しています。敵勢力は武闘派として有名な鬼英会。
重火器や兵器の類を持ち出す可能性がありますが、遠慮は要りません。」
一息間を置く。
「第一目標、組長の奪還。第二目標、鬼英会の無力化。
・・・今回の件については鬼英会も警察に圧力をかけているらしい。無論、
ウチもいかせのごれ署を含む各所に『事前通達』をしてあります。
牽制にせよ、相手が使っていたのは実弾。本気で殺しに来ている以上、
我々も本気で仕掛けてやろうじゃないですか。」
どこまでも冷静なヨシヒトの言葉に、皆は爆発寸前の感情を垣間見た。
そして、締められる。
「朝食を食べたら出発です。では皆さん、頂きます。」
同時刻。
鬼英会ビルではショウゴとコトハ、リュウザにサトルが迎撃準備を整えていた。
再びショウゴは2丁のモデルガンを腰の前後に差し、脇差を腰の脇に差す。
コトハは腰のホルスターに2丁の拳銃を、太腿にサバイバルナイフを差す。
リュウザはサブマシンガンを肩から吊るすと、腰の後ろに拳銃を差した。
サトルは大口径の拳銃を1丁腰に差すと、軽機関銃を肩から吊るした。
その様子を見て、アスミが言葉を失う。
「あ・・・あなたたちは、本当に戦争をするつもりなのか!?」
「ああ。そうだよ、組長さん。こりゃ本気の戦争だ。出雲寺組は絶対に本気で来るだろうしな。」
装備が終わったショウゴは作り置きの野菜炒めとおにぎりをアスミに差し出す。
サトルは時計を見るとショウゴに言う。
「そろそろ最高顧問がご到着になられまっせ。」
「おう、行こうか。」
無線を耳にはめると、ショウゴはサトルを連れて部屋を出た。
リュウザとコトハが見張りとして残った。
- 826
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:49:32
- エレベーターを降り数分、エントランスの外からは見えない位置でショウゴ達は
待機していた。すると、車が何台もビル前に止まる。
「来たぞ。」
エントランスのドアが開き、最高顧問である叔父がやってきた。
刈り上げた頭に、狐のような印象を与える細目。痩せ気味で、ねじり鉢巻きでもしてれば
板前と間違えそうな人相だ。
その叔父がご機嫌な顔で歩いてくる。ショウゴの顔を見ると、ニヤリと醜悪な笑みをした。
(あの野郎・・・!)
ショウゴは見えない位置で拳を固く硬く握りしめたが、表情だけは崩さず挨拶を交わした。
「どうも、ご無沙汰してます。お元気そうで。」
「おう、久しぶりやな!さて、んじゃ敵の組長さんとやらの顔を拝みながら
計画を立てるか。」
サトルにショウゴ、オジキと取り巻き数人がエレベーターに乗ると、最高顧問と
共に来た残りの組員や、もとから配置していた組員をエントランスに残していった。
「薬…ですか。」
「おう、組長をヤク漬けにしとけ。」
「・・・考えときます。」
そう言いながらエレベーターを降りると、応接室に通す。
コトハとリュウザがオジキに挨拶をすると、アスミはキッと通って来たオジキを睨んだ。
オジキはショウゴのほうに顔を向けながら、ニヤニヤと行った。
「おうおう、威勢のいい嬢ちゃんじゃのう!お前の妹に似とるなぁ!」
アスミの髪を掴むと強引に上を向かせるオジキ。リュウザかコトハが貼ったのか、
アスミは口がガムテープで塞がれている。キッとオジキを睨んだまま悲鳴を上げない。
ショウゴは少しイラつき気味に言った。
「その話はいいでしょう、さっさと・・・」
と、そのとき。
ズズゥン…と地響きと振動が階下から聞こえてきた。
「な、な、な、何だぁ!?」
慌てふためきアスミから離れるオジキに、リュウザが答えた。
「きっと出雲寺組の反撃でしょう。思ったよりも早かったですね。」
アスミからオジキが離れた事を確認すると、ショウゴはホッとした。そして思う。
どう考えてもこの男は組織のトップだなんて器ではない。そして、出雲寺組の襲撃のタイミングは
アスミに手を出せない絶妙なタイミングだ、と。
「出雲寺組め、やってくれるじゃねぇか!3階で迎撃する!階段を上ってきた敵を殲滅するぞ!
・・・オジキは奥の社長室にでも隠れてろ!出雲寺組長は盾に使えるかも知れん、
連れてく!」
さっとアスミを抱えると扉を飛び出すショウゴ。続いてコトハやリュウザ、
サトル達組員が階段を下りていく。
- 827
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:50:03
- エントランスホール。
引越しの大型コンテナトラックが、バックでエントランスに突っ込んできた。
それだけで鬼英会の組員はパニックになりかけた。
しかし、それだけでは止まらない。
10tトラックには、ウイングと呼ばれる機構が付いていた。
後ろの扉はパカッと開き、サイドの壁がウイィィンと音を立ててせりあがり、
その中から出雲寺組の組員たちが一気に下りて攻めて来たのである。
この突拍子もない無茶な行為で、鬼英会側の組員は完全に虚を突かれた。
中には状況を冷静に分析して銃を抜くものや、パニックになって刃物を振り回す輩もいた。
だが、出雲寺組は精鋭を上階へ送り込む余裕が出来た。
アキト達である。
「アスミ…!アスミ…!どこにいる!」
階下で出雲寺組員達が鬼英会組員たちを襲撃。その間に精鋭がアスミを助けに向かう。
そういう計画だった。
階段を上った2階フロアには何もなく、真ん中を突っ切って次の階段を目指す。
こういった所でエレベーターを使うのは愚の骨頂だ。狙い撃ちの的にしてくれと
言っているようなものだからである。
そうして3階の階段を登りきろうとしたところで…
銃声と共にアキトは真後ろに倒れた。
真後ろに倒れたアキトを、ヨシヒトが受け止める。
「大丈夫ですか!」
「大丈夫、回避しただけだ!ヨシヒト、牽制を頼む!」
拳銃やサブマシンガンにアサルトライフル、軽機関銃が、オフィスの仕切りで
姿を隠しつつ場所を変えながら短連射を繰り返している。
アルミのパネルで仕切られたオフィスは、ぱっと見が迷路のようである。
ヨシヒトが4丁拳銃で弾をばら撒き始めると、若干弾幕が薄くなる。
その隙にアキトはスモークグレネードとスタングレネードを投げた。
スモークグレネードはその名の通り煙を撒き散らし、視界を悪くするものである。
スタングレネードは大音量と閃光を発し、喰らった者を行動不能にするものである。
共に炸裂し、その瞬間を見計らってアキト達がオフィスに飛び込んだ。
円筒形のグレネードが放り込まれたのを確認した時、ショウゴは慌ててアスミの頭を
ギュッと抱きしめ、顔と耳を塞いだ。
グレネードであれば、さっと思い浮かべるの破片や爆風が飛び散る通常型や炎を上げる白麟型、
それに先ほどのスモークとスタンの4種類あるが、とりあえず守るためにはその処置が
最適と言えたからだ。
(・・・畜生、つい庇っちまった。ミナと組長さんはやっぱり被るんだよ!)
戦闘において熟練度の高い、この階に配置された鬼英会組員達は皆それぞれ対処をしていた。
そして、飛び込んできた出雲寺組員にも適切な反撃を繰り出した。
すなわち、近接戦闘。
スモークグレネードの煙が広がり、視界を保てない状況での発砲は味方を傷付ける
可能性がある。それぞれが武器を切り替えた。
ショウゴはアスミを大きめのロッカーに放り込むと、細かく区切られたオフィススペースを移動する。
アスミを守った分自分の防御ができなかったため、若干スタングレネードから遠くにいた
とはいえ三半規管の調子がおかしかった。だが、その程度で退くわけにもいかない。
煙に覆われた乱闘場へと向かう。
- 828
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:50:55
- 最前戦では、サトル率いる鬼英会組員達と出雲寺組組員達が猛烈な格闘戦を繰り広げていた。
まさに乱戦。銃器のストックを使い顔の骨を割る者がいれば、その手を切り落とす者がいる。
斜め上から斬り下ろされた刃を受け止める者もいれば、その鍔迫り合いの間に吹き飛ばされる者もいる。
しかし、そんな乱戦を越えてきた者、抜けてきた者が、コトハ、リュウザ、そしてショウゴと
戦っていた。
コトハの相手は明らかに小学生の女の子だった。しかし、コトハは油断しない。
その相手が能力を持っていることを知っているからだ。
サエコが煙を巧みに回避し、先へ進もうとしているところをコトハは見逃さなかった。
「お嬢ちゃん、あなただけが見逃されると思った?」
足を引っ掛けて転ばしたために、サエコの顔は少し赤い。
「うるさいわね!どきなさいよ!」
「嫌よ。」
「なら、『お姉さんの骨は折れt』っ!?」
言いかけたところで、コトハは蹴りを繰り出した。
咄嗟に防御するサエコだが、否が応にも体重差が出る。横に飛ばされた。
「あなたの能力は『嘘の悪夢』だったかしら?嘘を言い切れなければ、発動できないわよね。
・・・ねぇ、レイリちゃん。」
サエコの目に、ギラリとした闘争心が出た。ジャックナイフを構えるとコトハに突っ込む。
「どうして私の本名を知ってるのよ!」
「うるさいわね。今はどうか知らないけど、この名であなたを呼ぶのは二回目よ。」
スカートの内側に隠していたサバイバルナイフを2本取り出すと、涼しい顔をしながら
片方で受け止める。
「と言ってもあなたと喋ったのはかなり昔のことだけれども。あの時は・・・
パーティーか何かだったかしら。・・・不運な人生を送って来たようだけど、
今日で終わりにしてあげるわ。」
一旦距離をとって『嘘』を発動しようとするサエコ。しかし、肉薄するコトハがそれを許さない。
「お姉さんの骨g『ガッキィィン!』」
「お姉さんの息g『ドンッ!』」
「お姉さんn『キンッ!ギリギリィンッ!』」
『お姉s『ダンッ!』
コトハは足を払って靴の踵でサエコを踏みつけた。
「じゃあ、私は真実を教えてあげるわ。『あなたはここで敗北する』」
だが、ここでコトハは一歩退いた。そこを投げナイフが通過する。
「大丈夫か、サエコ!」
「ガハゴホッ・・・ありがとう、スグル!」
2対1となった。
- 829
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:51:40
- リュウザの相手はナイスバディな中国人だった。
「フー・ライフォンか。久しぶり。」
「雑魚に興味は無いし知らないアルよ、さっさと退くヨロシ。」
「僕が雑魚?言ってくれるね。」
リュウザは少林拳の構えをとる。大してライフォンは真っ直ぐと立つと、扇をパタパタと振っていた。
「ふっ!」
先に仕掛けたのはリュウザだ。左右の連続した突きを放つ。しかし、ライフォンは首を動かすだけで
連続した突きを避け、かつ足でガラ空きの胴を蹴り飛ばした。
「アイヤー、お話にならないアルね。さっさと退くアルよ。」
「いや、まだまだだね。これはほんの小手調べさ。」
リュウザは立ち上がると再び構えをとる。
「何度やっても同じアルよ。」
「そいつはどうかな。」
今度は的確に人体急所である眉間や喉、鳩尾などを狙って拳を突く。だが、今度は軽く
腕と扇で受け流されてしまった。
リュウザは幾つかの格闘術を学んではいたが、いわゆるその道の『達人級』の人間と戦うとなると
若干分が悪い。
しかし、少年兵として戦って来たリュウザは、足りない技量を補う術を知っている。
戦っている場所はオフィス。ならば、机の上には何かしらのモノが乗っている。
紙束を掴むと、リュウザはライフォンに投げつけた。
「!?」
一瞬の隙を見逃さず、側頭部へ蹴りを喰らわせる。
リュウザにとってはこういった泥仕合のほうが慣れているのだ。
「この・・・!卑怯者ね!正々堂々勝負するアル!」
「戦場に卑怯もクソもない。あるのは生か死。・・・君と戦うことになって残念だよ。」
立ち上がろうとしていたライフォンに銃口を当てる。
「この距離なら外す心配も弾が跳ね返る心配もない。・・・さよなら。」
乾いた銃声が鳴った。
硝煙の昇る拳銃は、リュウザのものではなかった。ヨシヒトの拳銃から放たれた銃弾の音
である。追撃として、先端に刃の付いた鞭が飛んできた。
「ライフォン、お困りのようですね。」
「感謝しなさい、助太刀してあげるわ。」
「ヨシヒト、サワコ!遅いヨ!」
対してリュウザは慌てない。
「何人が相手でも変わらないよ。僕は負けない。」
再び戦闘の構えを見せるリュウザ。
- 830
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:52:11
- ショウゴが机を飛び越えたところで、煙から出てきたアキトと遭遇した。
「ショウゴォォォォォ!」
「アキトォォォォォォ!」
アキトは咄嗟に拳を繰り出した。それをショウゴは肩で受け、押し返す。
だが、アキトは踏みとどまる。
今度は金属棒を取り出すと、ショウゴに振りおろした。
ショウゴはほぼ反射で踏み込むと、振りおろされた金属棒ではなくアキトの手首を受け止め、
絡めるように手首を掴んで引き付けると一本背負いで投げた。
叩きつけられたアキト。しかし、ただ叩きつけられただけでは勿論終わらなかった。
ショウゴの戦闘スタイルは柔道である。ならばこの攻撃も想定の範囲内だ。
柔道を使うショウゴに対してアキトが立ててきた作戦は3つ。
掴ませず殴る、間合いに気をつけて蹴る、とにかくボコボコにする。
というわけで、ブレイクダンスのように回転しながら立ち上がると、
金属棒を構えて若干の距離を保ちつつ金属棒を振るった。
そう、それは『掴まれない距離』。
だが、ショウゴもそれを黙って見てはいない。
『掴まれない距離』を保たれていることに気付いたショウゴは、
アキトの思いもよらない戦法をとる。
モデルガンを抜くと、ショウゴの右腕が後ろへ向いた。
次の瞬間。
銃声と共に、ものすごい勢いで、モデルガンとそれを握った右手が
アキトの鼻を打ち付けた。
「ガッ!?」
「銃に込めてんのは空砲さ。だが、これでも勢いはつくんだぜ!」
鼻への一発で意識が持って行かれそうになるが、かろうじてこらえるアキト。
ショウゴの連撃は、装弾数である6発を打ち切ったところで一旦止まった。
アキトがここぞとばかりに金属棒をショウゴの手をめがけて振るう。
ショウゴはモデルガンで受け止める。
鍔迫り合いの状態で、アキトが怒鳴った。
「アスミはどこだ!」
「どこだろうな!」
「ふざけるのも大概にしやがれ!」
「知るかよボケ!」
お互いに蹴りを放つと、互いに数歩後ずさる形となった。
- 831
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:52:46
- サエコとスグルは、『嘘の悪夢』を試み続けつつ連携した攻撃を行う。
スグルが投げナイフを飛ばし、コトハが一旦サエコから離れる。
その隙にサエコは嘘を発動しようとして…再び接近戦に持ち込まれ、防がれる。
そんな攻防が数回続いた後、スグルの投げナイフによる牽制が全く意味をなさなくなった。
(全てを紙一重でかわしてる!?どういうことだ・・・?)
スグルの攻撃だけではない。サエコがサバイバルナイフを使って攻めているが、
それを含めて全ての攻撃をコトハにかわされているのである。
(攻撃が当たらない!悪夢も発動できない!くっ・・・どうすればいいの!?)
とっておきの戦法、スグルの投げナイフを弾いて軌道修正する方法も試した。
しかし、悉く手の内を読まれたかのようにかわされ、カウンターを入れられた。
「な・・・どうして!?」
「簡単な事よ。何せ私には相手の『殺意』が見えるもの。」
「さ、殺意?」
「ええ。正確には悪意のある視線や気配に敏感なの。赤い紅い糸のように見えるから、読むのは簡単。」
「そ、そんな・・・!」
「気配を消そうとしたって無駄。悪意で分かるわ。そういうのには慣れてるの。」
静かに気配を断ち、音をたてないように死角へと回り込んでいたスグルだが、
放った投げナイフはあっさりと叩き落とされた。
「そうそう、誰かが言ってたわね…。命乞いのコツは狩りをする者を楽しませるか
納得のいく理由を述べること…まぁ、あなたに喋らせる訳にはいかないから、精々楽しませなさいよ。
そしたら見逃しちゃうかもよ?」
クスクス笑いながら言うコトハ。
(殺意が・・・読める!?一体どうしたらいいの?悪意が読める…悪意?)
ナイフの攻防の間に、ふとサエコは閃いた。ナイフをパッと離すと、体の力を抜いて手を振った。
バシィッ、と音が響く。
そう、丁度コトハの頬にビンタするような形になったのである。
「なっ・・・!?」
ビンタは止まらない。突然のことに驚くコトハ。
ついほんの数秒前まで殺意を放っていたはずの攻撃だが、
突然殺意を失ってしまった為に慌て、避けられなくなってしまったのである。
「悪意は無いわ。」
「唯単に気を散らすだけの攻撃。」
「どれだけの悪意を感じ続けたらそんな体質になるの?」
言っている間にもビンタは止まらない。コトハが態勢を整えようと動く前に、サエコがトドメを刺した。
「『お姉さんは起きてる。』」
コトハはその場にストンと倒れると、寝息をたて始めた。
- 832
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:53:23
- 3対1の構図になったからといって、ライフォンやヨシヒト達は簡単にリュウザを倒す事は出来なかった。
「さっきとは動きが違うアル!戦い方に無駄が無いネ!」
先のライフォンとの1対1とは違い、今度は連携攻撃が行える3対1。
しかし、その攻撃の隙をついてリュウザは様々なアクションを起こす。
連携攻撃を行う場合、必ず3人同時には攻撃が出来ない。特に攻撃距離や方法の違うこの三人では、
近距離で戦うライフォンを巻き込む可能性がある為にヨシヒトの4丁拳銃やサワコのムチは使えない。
立ち位置を避けてムチを振るったとしても、その瞬間は一旦巻き込まれないように退かなければならない。
ヨシヒトの銃弾がムチを切断してしまうとも限らない。
しかし大きな要因は、リュウザの身のこなし方にあった。
(常にライフォンが邪魔になるように戦う位置をずらしている・・・!)
ヨシヒトの4丁拳銃の腕を以てしても、サワコの変化自在なムチを利用しても、
決定打を決める事が出来ない。
逆に、リュウザはライフォンを近接格闘で攻め続ける。
業を煮やしたヨシヒトがライフォンに怒鳴った。
「退いてください、ライフォン!」
4丁を構えると、ヨシヒトは全開で速射を始めた。
リュウザの顔色は変わらない。危ないなぁ、と呟く。
そして、リュウザには「スローモーション」が訪れた。
どろりと周りのスピードが遅くなり、視界が薄青く染まっていく。
(得意の4丁拳銃か、最低限の弾を叩き落とさなきゃな。)
空気の海をかき分けるように動くと、肩から吊るしたサブマシンガンを構える。
弾丸の軌道が見える程度にはスローモーションが発動しているため、その軌道に合わせて
リュウザもサブマシンガンを撃っていく。
使っている弾は同じ拳銃弾。弾の威力が相殺しその場に落ちるモノもあれば、
押し負けて兆弾するモノもあった。やがて、どちらともなく銃撃を止める。
リュウザの視界が元の色に戻った。
「馬鹿な…あれだけ弾をバラ撒いたのに、掠りもしてないだと!?」
「連射するならサブマシンガンかフルオートの拳銃を使えばいいのに、
どうしてアンタは拳銃を4丁も持つんだい?」
「くっ!」
再び4丁拳銃を構えようとするヨシヒトの前に、サワコが立った。
「今度は私よ!」
ムチを振るうと、とんでもない早さでリュウザにムチが襲いかかる。
達人の振るうムチは軌道を読むのが難しい。しかも今は1対1の全開状態。
「絶対に軌道を読むことはできないし、対処のしようもないハズ!」
リュウザの腕や顔が数か所斬り裂かれる。
だが、またしてもリュウザには「スローモーション」が訪れていた。
(どんなに早くても、所詮はムチ。銃弾ほど数が多い訳じゃない。
掻い潜ったら後は簡単だ。)
首元に伸びて来たムチを、空気をかき分けてかわす。リュウザはムチを掴む。
サワコの驚いた顔が見えた。
(さよなら、お姉さん。)
ムチを掴んだ手は皮膚が裂けて痛んだが、ぐいっと引っ張るとサワコの態勢が崩れた。
そこに弾丸を叩き込もうとして引き金に手を掛けたが、
「!?」
横槍が入った。
一旦退いたはずのライフォンである。死角から脇腹に入った飛び蹴りの痛みで、
「スローモーション」が終わり視界が再び元に戻る。
「ガハッ!?」
数歩たたらを踏む。その隙をヨシヒトとサワコは見逃さなかった。
銃声が響き、リュウザの足と腕にほぼ同時に穴が開く。
パイロキネシスによる炎がリュウザの銃を暴発する前に瞬時に溶かした。
「ぎっ!」
「手間を掛けさせてくれましたね。・・・武器はこれで持てないでしょう。
さぁ、我らの組長はどこですか!?」
無理矢理リュウザの胸元を無理矢理掴みあげ、壁に叩きつけた。
リュウザは薄く笑っていた。その事にヨシヒトは激昂する。
「貴方の傷のうち、太腿の一発は大きな血管を切っています。早く治療しないと生死にかかわりますよ?
・・・さっさと答えやがれ!」
「そう急くなよ。早死にするよ?」
ヨシヒトはハッとする。リュウザの目がまだ死んでいない。両手両足を撃ち抜かれたこの少年は・・・
そしてリュウザの裾から何かが落ちて、ゴンッという硬い金属の塊の音がした。
「手榴弾っ!?」
「アイヤー!」
間一髪、ライフォンが蹴飛ばしたおかげで木っ端微塵にされる事は無かった。
だが、衝撃波でスモークが晴れた。それだけでなく、仕切りとして置いてあった
その付近のアルミのパネルも吹き飛んだ。
リュウザはそこで気を失い、ライフォンとサワコも吹き飛ばされ、気を失ってしまった。
かろうじてヨシヒトだけは立ちあがる。
- 833
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:54:00
- アスミはロッカーの中に閉じ込められながら、スリットを覗いて近くで戦うショウゴとアキトを見ていた。
否、見ていることしかできなかった。
手は拘束され、ロッカーは開かない。ギリィと奥歯を噛みしめるが、ガムテープで塞がれた口からは
外の喧騒に掻き消される程度の唸りしか出せない。
と、不意に爆発音がし、ずっとスモークが溜まっていたオフィスが晴れていく。
どうやら、誰かが風通しを良くしてしまったらしい。
晴れた視界からはヨシヒトやサエコ達が見えた。アキトの援護に回ろうとしていたが、
アキトがそれを制す。
「俺がこのバカを何とかするから早くアスミを!」
「だけどっ!」
「まだこの上の階には鬼英会の幹部がいるんだろ!?そいつらも何とかしなくちゃいけないんだ、
こんなところでグズグズする訳にゃいかねぇだろうがよ!さぁ、早く!」
「・・・分かりました、先に行ってますよ!」
ヨシヒトとサエコが走って横をすり抜ける。
「通ってもいいなんて言ったかよ!?」
ショウゴが左手で腰から抜いた改造モデルガンを向けようとするが、
「俺が言ったからいいんだよ!」
アキトが金属棒でモデルガンを叩き照準を狂わせる。
(私はここにいるのに・・・!アキト、皆、気付いて…!)
ガタガタとロッカーが揺れるが、誰も気付かない。
- 834
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:54:39
- アキトは少し焦っていた。
(クソ、やっぱ強ぇ!)
金属棒を使い、右で咽元を突いてみる。ショウゴは右足を下げ体を横向きにずらしてかわし、
一本背負いを再び掛けようと腕を掴んでくる。
対してアキトは腰を下げてどっしりと構えると、掴まれた腕を逆に引っ張る。
引っ張った所で今度は左のパンチを喰らわそうとしたが、ショウゴがパッと手を離したため空振りする。
その空振りの隙を見計らい、ショウゴが今度はアキトの左手を掴むと捻りながらアキトの後ろに回り、
関節を極める。
激痛にアキトは顔を歪ませるが、これは実戦。タップ如きで相手は手加減をしてくれない。
後ろに回ったショウゴに対し、アキトは骨を折られる前に肘を使ってショウゴの腹を肘打ちする。
そして足を踏みつけ、拘束から逃れる。
すぐにショウゴと相対すると、今度はアキトが突進していった。
(柔道に足を攻撃する技は無かったハズだ!ならば足を・・・!)
途中で姿勢を低くすると、足を掴んで引き倒す為にタックルを仕掛けるアキト。
対してショウゴは腰を低く構え、片足を半歩下げてそれを受け止めた。
「何!?」
「柔道にもな、あるんだよその手の技が。最近は反則になっちまったけどよ!」
ショウゴはアキトの後襟を掴むと、地面に押し付けた。うつ伏せで動けないアキトの上に
ドスンと座ると、アキトの首に腕を入れようとする。
(絞められる!)
首を守るアキト。しかし、このままではじり貧だ。そう考え、焦りながら打開策を練っていた時である。
「てめぇらぁ!動くんじゃねえええぇぇぇぇぇぇ!」
何者かの奇声が響いた。
アキトの首を絞めようとしていたショウゴ。しかし、奇声に驚きそっちを向く。
周りの喧騒も瞬間、静寂に包まれる。
左の手首の無い、金髪を立てたホスト風の男が、手首の無い方の腕でアスミを抱え、銃口を突き付けていた。
「へ、へへへ、ふざけやがって、このやるぉぉぉぉぉぉ!俺の手はどこだ!
誰のせいでこうなった!テメェらのせいだ!ぶっ殺してやんよ、ぶっこるぉしてやんよぉぉぉぉぉ!!!」
その数秒前。
アスミが押し込まれていたロッカーに、何かがぶつかった。
思い切りロッカーの扉が歪んだため、扉から出る事が出来た。
ほっとしたのも束の間、扉にぶつかった男がアスミを見つけてしまったのだ。
その男は手が無かったが、拘束されていて抵抗が出来ないアスミは捕まってしまったのである。
恐ろしく鋭利な刃物で切られたらしいその手首からは、男の鼓動に合わせてぴゅっ、ぴゅっ、と血を噴き出し、
アスミの顔や服を汚した。
アキト達の方を見るが、アキトは組伏せられここから様子が見えない。
他の組員も、即座に何とかできる位置にいない。
その場にいる皆の動きが止まった。
ショウゴが無言でアキトの上から立ちあがった。
そして、アスミを撃ち殺そうとしている男に歩み寄る。
「へ、へへへふはははひひひ、ショウゴさんよぉ使わない手は無いだろぉぉぉぉ!?」
ショウゴの顔に感情は無い。
アキトはまだ様子が分からず、周りを見ながら恐る恐る立ち上がろうとしていた。
腰から鬼英会の紋が入った脇差を抜くと、拳銃を自分の方へ向けるように掴んで捻って使えなくさせ、
男の咽にゴキュッと刃を突き刺し壁へ串刺しにした。
立ち上がり、ようやく事態を呑みこむアキト。
アスミは、ショウゴの顔に激怒を見た。
その表情が見えていないアキトが問い詰める。
「どういう・・・事だ、どうして仲間を殺すんだショウゴ!」
「俺は組員に言った!出雲寺組長に指一本でも触れたら容赦しないと!
拘束された女の子に銃を突き付けて脅すようなクズ野郎は死んだ方がマシだ。
・・・それにどの道こいつは助からなかったよ、出血量も多いし腹を刺されてやがる。」
アキトを振り返る時には、元の表情に戻っていた。
(それにこいつはオジキ派の幹部だったはずだしな。俺の仲間なんかじゃねぇ。・・・敵なんだよ)
「アキト・・・続きだオラァァァァァァァ!」
「なっ・・・・上等だゴルァァァァァァァ!」
再び二人が戦い始める。それと同時に、他の組員達も再び戦い始める。
- 835
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:55:16
- 一方、階段を上りつつ各部屋を探していくヨシヒト。
拳銃を構えた数人の組員が飛び出してきたが、冷静に対処する。
3階で戦った銀髪浅黒肌の少年に比べれば、言っては悪いが雑魚ばかりだった。
しかも、下で戦っている組員に比べ装備も熟練度も貧弱。
これは合流したという最高顧問の連れてきた連中だろうと予測をたてる。
適当に片付けて、慎重に各部屋を見て回った。なぜか応接室にはガスコンロや鍋等があったが、
鬼英会幹部の姿は見つからなかった。そして最後に、社長室を開ける。
一見すると普通のオフィスの社長室のようだが、額に飾られた「鬼英会」の字と紋の入った旗が
普通の社長室ではない事を物語っていた。
最初は誰もいないかと思ったが、よくよく気配を探るとカタカタと震える音、押し殺した息の音が聞こえる。
部屋に隠れられそうな場所は、机くらいしかない。回り込んでみると、
その下に最高顧問である九鬼兵二が体を小さくして隠れていた。
この九鬼兵二の兄が九鬼兵一、鬼英会の総長である。
だが、その男はヨシヒトを見た途端命乞いをし始めた。
「たすけて・・・殺さないでくれ、死にたくない・・・」
(しかし最高顧問という肩書を持っているにしては情けない奴ですね。)
ちょっと思い付いたヨシヒトは、隠れている机に十数発撃ちこんで反応を見てみた。
すると、九鬼兵二は失禁し恐怖で勝手に失神してしまったのである。
これではアスミの居場所が聞けない。そうこうしているうちに、電話が入った。
- 836
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:55:51
- アキトは一発逆転の為に上段回し蹴りを繰り出した。相手の意表を突く為にこういった大技を出す戦法も
あるのだが、今回は相手が悪かった。
柔道を基本とするショウゴに上段の蹴りは「掴んで投げて」と言っているようなものである。
ショウゴは冷静に懐へ潜り込むと、威力を殺し袖と襟を掴むと払い腰でブン投げた。
背中から落とされて呼吸が止まるアキトだが、それでショウゴは止まらない。
マウントポジションをとると、アキトに拳を打ちおろし始める。
アキトもガードをするが、次々と振り下ろされる拳全てをガードしきれない。
腹筋を使ってひっくり返そうとしたり、足を引っ掛けていくら引き剥がそうとしても、
ショウゴが柔道で培った技術はそう簡単に破れない。
だが、ここで思いもよらぬ出来事が起きた。
ショウゴを誰かが後ろから蹴飛ばしたのである。
驚いたショウゴは、そのまま前転し距離を取ると、蹴った相手を見た。
「組長さんか・・・!」
いつの間にかアスミが立ち上がり寄ってきていたらしい、
起き上ったアキトが、アスミの口に貼られたガムテープを剥がす。
「無事だったか!怪我は無いか!?何か変なこと」
「アキト、話は後!今はショウゴさんを止める事を考えて!」
ショウゴが再び接近してきた。しかも、再び右手には改造モデルガンを構えている。
(ミナも、親父も、組員も!俺が救い出す!絶対に、ここで負けるわけにはいかない!)
(アスミを、皆を、助けるっ!ここでこの馬鹿野郎を止めてみせるっ!!)
「ウオオオォォォ!」
「アラァァァァァ!」
再び、銃の反動を利用した威力もスピードも申し分無い打撃を行うショウゴ。
対してアキトは、能力『絶対保護』を発動し、アスミを守る為に自らのポテンシャルを
極限まで引き上げて拳を突き出す。
二つの拳が交差した。
ドスン、と音をたてて倒れたのは、ショウゴだった。
そして、能力を使って疲弊したアキトが、座り込む。
「…アキト、俺に止めを刺さないでいいのか。」
「殺せっつーのかよ。」
「お前んとこの組長さんを攫ったのは俺だぞ。」
「・・・出来ねーよ。」
アスミがアキトに近付いて来る。
「アンタを殺して、その後普通にバイト仲間として、或いは同じ高校の知り合いとして葬式に出ろっていうのか?
何も知らない様な顔して『いい人だったのに』って涙を流せってか?
・・・そんなの無理に決まってんじゃねーか・・・。」
ショウゴは今の会話に引っかかりを感じた。思い出したのは最高顧問のオジキとの会話。
(いい人だったのに?)
死者は過去形でその存在を語られる。
(あぁ・・・)
『お前の親父は大事な所でしくじらない、良い男だった』
(…………良い男、だった。)
テレビ電話での、オジキとの会話。
もっと早く気付くべきだった。
もう、ショウゴの親父は殺されているのだ。
「何が正義だ・・・何が悪だ・・・何が仁義だ・・・俺は一体、何をしてたんだ・・・。」
ショウゴは顔を腕で隠した。
自分のバカさ加減に涙が出て来た。
体中の痛みを忘れて、倒れたまま泣く。
オジキがうっかり口を滑らせていた事にも気付かず、それを利用する事も出来なかった。
父が殺されているなら、妹が生きていることもないだろう。
よくよく考えてみればそれに気付くチャンスは何度も有ったのだ。
テレビ電話越しの会話だったが、あの時オジキが見せ付けた指の切断面はどうなっていたか。
生きている人間から切り取られた肉の切断面は血の色が濃いが、
死体から切り取れば血の量は少なく黄色い皮下脂肪が目立つ。
あの指は・・・。
最初から、何もかもが終わっていたのだ。
ショウゴは、ずっと前にもう負けていたのだ。
「俺は…最初から何一つとして守れてなかったんだな…」
- 837
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:56:30
- 決着がついた。
ショウゴの敗北と共に、鬼英会の組員が降参したからである。
目を覚ましていたサワコが、ヨシヒトに連絡をとった。
アスミの拘束も、ショウゴが鍵を投げて寄越したため解かれた。
敵も、味方も、皆が1階に集まっていた。
だが、その時である。
ドガガガガガガガ!
「な、なんだぁ!?」
「正面エントランスからだ!」
「おい、なんか変な集団が来てやがるぞ!」
「どこのどいつだ!」
「わかんねぇ!ライダースーツっぽいのの上に軍用ベストを着てやがるぞ!?後ヘルメットだ!」
「おいおい、武装が半端じゃねぇ!アサルトライフルにショットガン、分隊支援火器まで持ち込んでやがる!
そこいらのチンピラにゃ手に入らんぞ!」
「くそお!マグナム弾が利いてねぇ!」
「刀も通しゃしねぇ!や、やべぇぞ!」
組員達がいろんな方向へ逃げていく。そして、色々なモノを遮蔽物として身を隠した。
「数が多い!しかも武装が強力です、此処は一旦引いた方がいい!」
ヨシヒトは怒鳴る。
「組長の事もある、此処は脱出優先にしましょう!」
撤退を始める出雲寺組。ショウゴ達も脱出を試みる。
ただ、鬼英会の門外顧問派の組員だけがその場で応戦し続けた。
- 838
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:57:04
- 数日後。
鬼英会のビルが壊滅状態となり、「人が大勢死んだ」という憶測が新聞記事に書かれている。
否、憶測ではなく真実であるのだが、アスミ達が撤退した後死体が消えたというのだ。
最高顧問も行方不明。最高顧問につく組員達も行方不明。最後に現れた、謎の武装集団も行方不明。
アスミは新聞を畳むと、障子を開けて縁側に座った。
あれから調べて分かった事は、どれもアスミ達を驚かせる事ばかりであった。
ショウゴの素性。
鬼英会の提携の話。
人質を取られていた事。
ショウゴの妹が、顔ではない色々な所でアスミと似ていた事。
アスミがショウゴに珠のように扱われていた事にも、納得がいった。
拉致された妹のように見えたのだろうか。
妙にショウゴが手加減したり、アスミを庇ったりした理由はそれだったのだろう。
アキトは憤慨していたが。
「はぁ…。」
別れ際にショウゴが言った言葉が重くのしかかる。
『・・・どんなに結束の固いメンバーでも、どんなに楽しい日常でも、気をつけろ、いつ瓦解するかわかんねぇ。
お前らは、間違うなよ。守りきれよ。』
アキトは工場に来ていた。
タクミと一緒に、車を組み立てていた。
そこに、ふらりと人影が現れる。
ショウゴだった。
思わずアキトは身構えるが、それをタクミが制した。
「久し振りだな。」
「・・・ああ。」
「話は聞いてるよ。アキト達出雲寺組とやり合ったらしいじゃねーか。」
「・・・。」
「・・・どうして相談してくれなかったんだ?」
ショウゴが自嘲気味に笑う。
「・・・身内が人質にされてた。此処からじゃ助けに行くのに時間がかかり過ぎる。
何とかなったかもしれねーが、不確定要素過ぎた。」
「・・・。」
「また・・・雇ってもらえないですか工場長。」
「かまわねぇよ。」
「タクミッ!」
「ただし、条件がある。・・・俺たちに、秘密は無しだ。」
「・・・ああ、もう守るモノも隠す事も何もないよ。」
アキトが尋ねる。
「鬼英会の組員達はどうしてんだ?」
「組の立て直しに必死さ。この前ので結構な人数が消えた。サトルが組長代理になって必死にやってらぁ。」
「ショウゴが組を継ぐのか?」
「・・・興味は無い。継げと言われたら考えるけど、そのままサトルにやっちまうだろうな。」
「そうか。」
タクミが踵を返すと、車の組み立てに戻る。
「オラ!さっさと働け!3人もいるんだ、今日中にコレ組んじまうぞ!」
「ちょっ!待っ、無理だろそれは!」
ギャーギャーと騒ぐ二人を見てショウゴは笑う。
「秘密と言えば…そうだ、もうひとつあったよ工場長。」
「あん?」
ゆっくりと拳銃を抜くショウゴ。シリンダーに装填された弾丸を全て出すと、工場の入口付近に置かれた、
古ぼけた看板を狙う。
皆、声を出さない。遊びでやっているような雰囲気ではなかった。
そして、ショウゴが引き金を引く。
ドンッ、という発砲音の後に、看板がクルクルと宙を舞った。
「俺は一回死んでるんだ。その時から、何だか知らないがこんな能力が付いちまった。」
二人が唖然としながらショウゴを見る。
「今のは空気を圧縮した弾を発射しただけだ。だが、小石を詰めれば砕けて散弾に・・・
普通の弾丸を能力発動して使えば、戦車だって撃ち抜ける。」
クルクルと回しながら銃をしまうと、ショウゴは言う。
「さぁ、これで俺も秘密は無くなった。組んじまおうぜ、車。」
- 839
:サイコロ:2011/08/28(日) 00:57:37
- ようやく完結したぁぁッ!
いやぁ大変だっためんどくさかった、こんだけやるのは・・・。
関係各所には土下座をして回りたいレベル。特に出雲寺生みの親の十字メシアさんには。
いろいろとスイマセンでしたぁぁぁぁ!
コトハとサエコはかなり昔、まだ両家とも健在で幸せだった頃に一度会っている。
リュウザとライフォンは以前会ったことがるが、両方とも中国にいた頃で、
リュウザはその時属していた組織の幹部の護衛、ライフォンは別組織のボスの娘として
少し話した程度。
といった設定でした。
- 840
:大黒屋:2011/08/28(日) 15:01:06
- 「東、二つの驚愕」の後に話になります。それほど重くは関係してこないかと。
名前のみスゴロクさんより「霧波 流也」をお借りしました。
東の平原に変わらず佇む一本の巨木。
彼は自分の不在時に『東』が訪れたことを後から知った。
「…すまん、俺もそこは不覚だった…;」
『僕も…;今度来たら謝っておかないと…。』
「そういやアカノミ、お前人間の体に慣れてきたのか?」
『うーん…。やっぱりまだ変化直後だと体がついていかなくって…。』
「まぁ、そりゃそうか;気付いて一週間だもんな。」
幹久朗はアカノミによりかかる。
以前感じた鼓動は未だ彼の中に感じている。
紛れもなく、これはアカノミ自身の変化だった。
「しかし、何で行き成り変化したかな?そんな前触れ無かったのによ。」
『僕もよくわからないや。なんだか調子がおかしいくらいの気持ちだったから。』
「そうか…。いや、別にいいんだけど、調べた方がいいかなとか思ってな。」
『でも、これでよかったんじゃないかな。僕の意志が誰かを通さなくても通じるようになったんだし。』
「それもそうだな。今度流也さんが誰か連れてくるそうだし。」
『君ばかりに迷惑はかけられないからね。』
「いやいや、俺はいいんだ。」
「さて、そろそろ時間だ。ちょっと訓練するか。」
『分かった。』
幹久朗は身を起こす。
血の色の眼で巨木を見上げ、右手を幹に叩きつけた。
メリメリと音が響く。幹は曲がりだし、枝葉が荒ぶる。
やがて一気に枝葉や根が収縮し、人の形へと変化していった。
白い布と薄い色の髪をなびかせ、両手には人のものとは思えない口を携えた。
そこから巨木はなくなり、代わりに中性的な子供が降り立った。
「…最初、もうちょっと優しくできない?;」
「すまん、今回のは強すぎた;」
幹久朗は両手を合わせると、ポケットから革製の手袋を取り出して放った。
主が作ってくれたもので、手袋をはめている間は力を封じ込めるのだ。
「今日はそれをつけろ。能力なしでも戦えるようにならないとだからな。」
「わかった。」
人の姿となったアカノミは、素直に手袋をはめる。
「よし、始めるぞ。」
現状理由不明
「…やっぱり体力が切れるのが早いんだよなぁ…。」
「…ごめん…;」
- 841
:十字メシア:2011/08/28(日) 23:00:20
- 許助さんの「驚き☆いかせのごれの☆日常!」とスゴロクさんの「火波姉妹と傍観者」に絡んでみた。
2年2組の教室。
何やら朱鷺子がご機嫌に机を眺めている。
傍観者である神江裏 灰音はその理由はもう知ってるけど、朱鷺子の答えを聞いてみたくて、何となくこう質問してみた。
<何をしてるのかな? 朱鷺子>
「あ、灰音ちゃん!」
<いかにも楽しいって表情だね>
「あのね、今エドワードくんとゲームやってて、当てたらチョコケーキもらえるの!」
<ふーん…朱鷺子>
「何?」
<もし、そのチョコレートケーキの為に幾つかの命が犠牲になったら、それでも食べれるかな?>
するとにっこり笑って、朱鷺子は言った。
「うん、食べるよ」
へえ、「食べれる」ではなく「食べる」か。
中々面白い返答だね。
まあ、この純粋で貪欲な狂信者に、命の価値などあまり意味は成さないか。
聞きたいだけ聞いた神江裏 灰音は、屋上へ向かった。
<…チェシャはいないね>
どこにでも現れてはどこかへと姿を消すドリーマー。
今はどこで他人を困らせているのやら。
<…確かに、鳳凰の印に見えるよ。吸血鬼に狂信者>
命から漏れだした、13の赤い水。
それらの起点を繋げれば、一部だけだがここからでも鳳凰の印が見えてくる。
始まりは、吸血鬼からの龍の救世主に対する『試験』。
だが救世主は不吉に思いながらも、気付けなかったようだ。
『試験』に合格出来なかった彼は、吸血鬼にその正義感を益々否定されてしまった。
でも―――。
<やっぱり、神江裏 灰音には分からないな>
正義とは? 悪とは? 必ず必要か? 不要か? 存在の理由は? いつからある? どちらが有利?
いくつもいくつも出てくる疑問。
でも解決する事は無い。
神江裏 灰音は傍観者だから。
傍観者にそれを理解する必要など無い。
逆に他人は己の価値観の元に、正義と悪を理解する。
神江裏 灰音には全く分からない。
でもそれこそが、『人間らしい』という事なのだろう。
<…人間らしいといえば>
神江裏 灰音の脳裏に、火波 スザクとは違う雪色の髪と青い目を持つ、火波 アオイの顔が浮かんだ。
表情は、怒り。
神江裏 灰音を見た途端、その人は怒りを顕わにした。
神江裏 灰音は何故怒ったのかよく分からないけど、もしかしたら神江裏 灰音の態が―――『人間らしくない』のが嫌悪に感じたんだろうね。
神江裏 灰音は”わたし”が嫌いで嫌いでしょうがなかった。
愚かしいほどにカスな”わたし”が憎くて、恨めしくて、大嫌いで。
だから神江裏 灰音は”わたし”を殺して闇という闇の底に沈めた。
その時からあの憎い優しさは消え失せ、中立で平等で孤立で普通の傍観者になった。
そうすると、あの優しさは”わたし”という『人間らしさ』そのものだったのかもしれない。
他人は、それぞれの『人間らしさ』を持っている。
きっと”わたし”の優しさはそれに当てはまるんだろう。
現に”わたし”を殺してからは、神江裏 灰音から『人間らしさ』が消えたのだから。
<もしかしたら神江裏 灰音は、本当は『人間らしさ』というものを…否定していたのかもしれないね>
”わたし”という人間らしさを。
愚劣な優しさで構成された、人間らしさを。
正義と悪の間に引かれた境界線に怯えるくらいなら、それを無視した下らない優しさを振り撒くなら。
そんな『人間らしさ』はいらない、カスでしかないと思っていたんだろう。
だから殺して捨てたんだ。
『人間らしく』ある事を否定して。
傍観者になって。
全てを中立の立場から平等に見てきて。
”わたし”は―――神江裏 灰音は。
<自分の人間らしさ=カスな”わたし”>
そう、思っていた。
……かもしれない。
何か絡んだ話の比率がおかしい;
お借りしたキャラは、許助さんから「エドワード」(名前なし)、しらにゅいさんから「トキコ」、本家から「ケイイチ」(名前なし)でした。
- 842
:大黒屋:2011/08/29(月) 21:12:03
- ふと考えたことを師範に告白してもらいます。
自キャラオンリーです。師範のデータは後日公開になるかと。
深い藍色に染まった空は、月に照らされる薄い雲で白んでいる。
不思議な夜だ。もっとも、このいかせのごれにおいては不思議も不思議ではなくなる。
扨、そこにいる物好きよ。
こんな時間にここにいるお前だ。そんな物好きなら、少し年寄の独白に付きあってはくれないだろうか。
わしは、一つ罪を犯した。
殺人とか障害とか、そう言った罪ではない。
いや、寧ろその方が可愛い方なのかもしれない。
わしはこの寺の住職でありながら、今や珍しい「陰陽道」の師範だ。
昔は時代が時代なだけに栄え、分家もあったそうだが、今はこの小さな本堂一つきりである。
それでもわしは血を絶やすつもりはない。
これまで通り次の世代につなげることが、今のわしの仕事である。
息子の月光は寺を飛び出し(性でないのは分かっていたが)、娘も孫を一人出産して間もなく亡くなった。
血が途絶えることを危惧したわしは、跡取りをどうするか深く考えた。
しかし、娘の孫が話だした頃から、その悩みは払しょくされた。
言葉を理解するようになり、寺院に置いてあった本を読みだしてからだ。
今までに聞いたことがない怪奇現象や妖怪、幽霊が見られるようになったのだ。
専門職のわしらは大いに慌てた。
どうしてなのだろうと頭を抱えた。
ある時、孫の元を一人の妖怪が訪れた。
当人の話から浮かび上がった事に引っかかり、わしは書庫を漁った。
そして見つけたのだ、「彼」を。
わしは知った。孫は、陰陽師としてのとんでもない逸材なのだと改めて理解した。
秋山家の血をひく唯一の陰陽師である孫は、その前から寺から出ることを禁じられていた。
逸材だと確定し、その規律は厳しくなった。
アースセイバーと提携を組んだものの、彼女が外の人間と接することは殆どなかった。
そして気がついた。
彼女の周りには、人間が居なくなっていた。
彼女は知らない。人間の友達がいないことがいかに悲しいことか。
それどころか、彼女は笑顔で言う。
「妖怪と友達になることが、私の役割でしょ?」と。
わしは大いに後悔した。
しかし、取り戻せるはずもなかった。
どの道これ以上先はない。
わしは後悔したまま、静かに眠りに付くことになるだろう。
ああ、一番の愚か者。
気付いた時には時遅く。
師範・秋山 冬玄の独白
…今日はもう帰りなさい。夜も遅い。
- 843
:(六x・):2011/08/29(月) 22:07:30
- 大黒屋さんの「間接的協力」の続きとなります
ギャグ回です
リア充とツンデレ
「よかったね、なんとかなりそうじゃん」
「うん。ありがとう、ミナミ。」
「別に…あんたも家族だし。じゃなくて!雪乃さんの娘じゃなかったら放置だからね、感謝してよ?」
「なぁ…ミナミ、お前ホントは私のこと嫌いか?」
「は?」
「なんか憎まれ口ばっかり叩かれてるような気がしてな。嫌いならそうと言ってくれれば…」
なんでそういう方向に持ってくわけ!?
前々から思ってはいたけど、この子は冗談が通じないタイプに違いないわ。自分からはたまにジョークかますくせにどういうことよ。
「ホントに嫌いだったら、今ここで話もしないし助けないって。そのくらいわかってよ」
「あぁ、素直じゃないだけか。過去がアレなだけに仕方ないよな…わかったような口きくなってのは承知で言うが、私はミナミのこと好きだしなんかあったら協力するつもりだ。」
「安請け合いされて、あんたが後から困るくらいなら助けてもらわなくて結構。ガキじゃないんだし大丈夫よ。あんたは冬也ちゃんだけ守ってりゃいいの。」
「冬也ちゃんって…」
なんか面白くなりそうなのでもう少しからかってみる。
「ナイトなんでしょ?」
「そうだけど。」
「幼なじみから彼氏にランクアップしたって本当?」
「付き合い何年目から幼なじみっていうのかわかんないけどまぁそんな感じだ…。」
「デートしてる?」
「あいつは仕事があるからな。私の都合で振り回すわけには…」
「あんまり放置してると取られちゃうよ?冬也ちゃん性格もいいし狙ってる人多そうw」
「な…冬也は私のだ!誰にもやらん!」
「わおw」
「私しか見えないようにすれば問題ない。でもよく考えたら束縛っぽいな…かわいそうなことはしたくないんだが」
「好きにすればいいんじゃないかな」
「好きに…///(ぞくぞく」
冬也ちゃんに何をする気なの!?つかリア充沈没しろ!!!
- 844
:十字メシア:2011/08/29(月) 22:43:30
- さっそくモブ子を出してみた。
お借りしたキャラは、スゴロクさんから「クロウ」です。
「弱いって素晴らしいね!」「だってみーんな弱かったら、差別も軽蔑も嫉妬も無いんだよ?」「強い人がこの世界から消えたら、ずっと平和でいられる!」「そう思わないかな?」
「クロウ君☆」
「………」
乱れた茶髪に金色の目を持つ少女―――最文 鈴子、通称『モブ子』の言葉を無視するクロウ。
するとモブ子はおどけて言った。
「あれ?」「おかしいね?」「目の前のクロウ君の」「返事が聞こえないよ」「もう一度☆」「クロウく―――」
「聞こえている」
遮る様に返事をするクロウ。
モブ子は明るい口調で不満を言う。
「なーんだ」「聞こえてるなら」「返事してよ」
「お前の理想論は聞き飽きた」
「飽きた?」「こんなに素晴らしい」「論理なのに?」
まるで驚いたかの様な表情を浮かべるモブ子。
その表情さえも見飽きたと言わんばかりに、クロウは溜め息をついた。
「全ての人間が弱者になったからって、差別や軽蔑や嫉妬が完全に無くなる訳が無いだろ?」
「何で?」「どうして?」
「…確かにそうなれば強者による弱者への制圧などは無くなる。だがそれ以外でも差別はある」
「?」
「…弱者にも個性から成る『得意分野』というものがあるだろ」
「それに」、とクロウは続ける。
「純粋に弱者だけの世界なんて作れる訳が無い」
「………」
モブ子が押し黙った。
今の言葉がそんなにショックだったか?―――そう思ってクロウはモブ子を呼ぼうと同時に彼女の方へ振り向くする、が。
「………」
モブ子の表情が視界に入った瞬間、顔が強ばった。
モブ子の顔には、いつもの笑顔より気味が悪いぐらいにニコニコした笑顔が張り付いている。
そして。
「バカな戯れ言吐いてんじゃねーよ」「暇人ガラス☆」
口から笑顔とは全く裏腹な言葉が吐き出された。
「そりゃテメーが強者側だからだろーが」「弱者のモブ子ちゃんが」「やれば出来んだよ」「一回黙って跪いたまま」「死に果てろよ☆」
「………」
ただの暴言ならまだマシだ。
だがモブ子の威圧がかかった笑顔と、彼女の性質が合わさった暴言は半端ではない。
「オメーさ」「ボール投げんの」「下手だったよな?(笑)」「そんな事出来ないんならさ」「人間の真似事やめて」「カラスらしくゴミ漁りしろ☆」
「…それ関係ないだろ」
「あはっ☆」「強者だからって」「威張んなよ強がんなよ」「くーそガーラス(笑)☆」
「………」
駄目だ、暴走し出している(しかも若干ダメージ受けた気がする)。
このまま付き合っては体力が無駄になる。
そう判断したクロウはその場から去ることにした。
「あれ?」「逃げんの?」
突如、モブ子の表情がすました様な余裕の笑みに変わった。
「いーなー」「強者は逃げようと思えば」「いつでも逃げてもいいもんなー」
「…逆じゃ、無いのか?」
「だと思うでしょ?」
「…何故だ?」
「強者は強いから」「すぐ逃げれるし」「逃げ場もある」「では弱者は?」「答えは簡単」
「絶対逃げれないし」「逃げ場なんか無い」「でしょ?」「あははっ☆」
「…そうかもな」
どちらにせよ、彼女に『強者側』と見られてしまった以上、自分から反論しても曲げる気は無いだろう。
クロウはモブ子を一瞥し、その場から去った。
弱者の弱者による弱者の為の理想論
(何で)(強者とか弱者に)(そんなに拘るのかって?)
(それの答えも簡単)
(モブ子ちゃんが弱者だからだよ)
(あはっ☆)
無茶苦茶スゴロクさんに申し訳ない文面になってしまったorz
普段は普通なモブ子ですが、暴走し出すと自分が強者だと見た人に対して冷たく当たります(冷たいどころではない
何をするんだ貴様と思いましたらどうぞモブ子並の暴言を吐いてください。
- 845
:スゴロク:2011/08/29(月) 23:38:33
- >十字メシアさん
よろしい。ならば、こんなのはどうでしょうか。「弱者の弱者による弱者の為の理想論」の直後です。
「……ふん」
「お疲れ様です、クロウ」
鈴子と別れてしばらく後、クロウは別件で来ていたゼアと話していた。場所はロゼの経営するバー。ホウオウも時折足を運ぶという、グループの情報交換拠点だ。
「………」
肝心のロゼはさっきから無言。ゼアの話ではさっきロゼと自分も似たような暴言を喰らったらしく、そのためだとか。もっともゼアの方は「まあ、そうかもしれませんね」と軽く受け流して歯牙にもかけなかったのだが、ロゼの方はどうもトラウマを直撃されたらしく、クロウが来る少し前まで奥にいたという。
「悪意があるのか、ないのか……」
「あるんだろう。『強い』と見た人間に対しては、な」
最文 鈴子。自らを「弱者」と定義し、全ての「強者」に等しき憎悪と侮蔑を向ける、グループ唯一の異常才能保持者。「敗北しない」というチートじみたその「才能」は、生死の理さえ捻じ曲げる凄まじいものだ。
「何でまた、ああも強者が嫌いなんですかね」
「俺の知ったことじゃない。それに―――」
「奴の理想は、地獄でしかない」
地獄。不意にクロウが口走ったその言葉に、ロゼが顔を上げ、ゼアが振り向く。
「……それは、どういう?」
からん、と氷がグラスの中で鳴る。
「人類全てが弱者となれば、全てが平等となる……そう言っていた」
「確かに、常々そう言っていますね」
「だがな、ゼア。弱者……『弱さ』にも程度がある。全てが全て、同じように弱くはならん。奴にも言ったが、個性から来る差はどうしてもある。それに、平均化したところで、絶対に突出する奴がいる」
「まあ……確かに」
淡々と語るクロウに、ゼアは曖昧な返事で応じる。
- 846
:スゴロク:2011/08/29(月) 23:39:12
- しかし、次に彼が語った言葉に、瞠目した。
「……『愚者の楽園』という言葉を知っているか?」
「? いえ、知りませんが」
「今、自分は地獄のような場所にいるのかもしれない。にも拘わらず、己を盲信的に幸福だと思いこむ。そういう状況のことだ」
「彼女の言う理想が、それだと?」
「奴の言う『弱者だけの世界』を作る場合、『概念も、地位も、社会性も、全てを底辺まで落とす』ことが必要になる。確かにそうすれば、能力の差も、社会的な差もなくなるだろう」
ようやくゼアにも、ロゼにも、クロウが何を言わんとしているのかが分かって来た。
それは、
「だが……その先には、何もない。弱者だけの世界に生きる者たちは、己のことしか考えない。他人を守る余裕がない。差し伸べられる手がない。それを持っているとすれば、相当な愚か者だ。己を守り、己を生かし、己を歩かせる。それだけだ。……それは、地獄だろう?」
弱者だけの世界。そこは、人らしさの負の面だけを露わにした、餓鬼が生きる世界だ。だからこそ、クロウは鈴子の理想を認めない。認めてしまえば、自分を捨てることになる。何もなかったどん底から死に物狂いで這い上がり、「強くなった」自分自身を。
「……もう一つ。関係あるかわからんが」
「何です?」
「『エリュシオン』……知っているか?」
「楽園、のことですね」
「ああ。ギリシャ神話において、死後に善人だと認められたものが移り住む世界だ。……ただし、あるのは『アビス』、地獄の真ん中だがな」
「ついでに言えば、『エリート』の語原でもある」
バーを出たクロウは、その刹那、
「!」
視界の端に、黒い影を見た。さっき鈴子と話した方に向かったように見えた、あれは……。
「……最優先抹殺対象」
ついこの間自分が知らせたばかりの、あの男。常に泰然自若とし、不測の事態にも全く動揺しない黒ずくめのストーリーテラー。
「敗北しない」弱者と、「壊れない」道化師。
「…………」
クロウはしばらくその方角を見た後、おもむろにバーの中へ引き返した。
バタン、と扉が閉まり、その前を車が走り抜けて行った。
強者の強者による強者のための現実論
(何もなかった)
(誰もいなかった)
(だから、強くなった)
(それを否定するのなら、一生そのままでいるがいい)
(弱い自分に、酔っているがいい)
(今は鴉を名乗る男の、偽らざる本音)
というわけで、十字メシアさんより名前のみ「最文 鈴子」、あそもりさんより「ゼア」、びすたさんより「ロゼ」をお借りしました。最後にあの壊し屋を出しましたので、可能でしたら拾って下さい。無理でしたらスルーで。
ちょっとだけクロウの過去を出してみました。
- 847
:紅麗:2011/08/30(火) 15:53:04
- 久しぶりに会話文でギャグを書いてみました
「…いいよね、コレ」
「あ?この体育祭優勝とかで貰える、旗の付いてる槍?」
「そーそー、僕さ、これに毎回名前を書くことが夢だったりするんだよね」
「なんか、地味だな」
「いやいや、でも体育祭優勝とか結構難しいよー。皆で力を合わせなきゃいけないし」
「まぁな、でも、俺とオウカがコンビを組めば最強だ!」
「あはは、そうだね!それに、ネイロさんにもいいところ見せたいもんなっ」
「あぁ!もちろ…って…!な、なんてこと言いやがるっ!」
「ぷっ…わかりやすいな~」
じっ
「どうしたんだよ、そんな槍ばっか見つめて」
「いや、ちょっと…ちょっとだけ、触りたいなって…」
「……開けてみるか?」
「お、おうっ…!」
がちゃり
「ちょ、鍵かかってないぞコレ…」
「うわぁ、ラッキー!見てコレショウタ!かっこよくない!?」
「お、おおおう!振るうな振るうな!危ない!」
「大丈夫大丈夫!うるぁあっ!」
「うぉっ!?だからってお前投げ槍なんかしたらっ!……あ」
「あ」
カンッ、カンッ
ドス
「アッー!」
「お、オウカの背中に槍が…!?なんで!?…じゃなくて!大丈夫かオウカァアーーーー!?」
──────────
───────
────
「…で、ここに来た、と」
「いや~、毎回毎回すみません、タマちゃんセンセー」
「突っ込み所は満載なんですけどね…何故投げた槍が偶然にも壁に跳ね返っておーちゃんに当たったのか」「綺麗に壁に刺さってくれると思ったんっす」
「(バカだ…)まぁ取り敢えず先端が鋭利でなくて良かったですね」
「本物だったら僕死んでましたね」
「確実にね」
「ホント、なんで槍がすっ飛んでくるんだろーね、不思議に思わない?シガタさん」
「……えっ!?わ、私 …!?」
「あー…ご、ごめん。突然すぎてビックリだよね。
僕は2-1の浅木旺花。君は2組の氏型………」
「……………環、です」
「キョウって名前なんだ、可愛いね」
「………………」
「あ、おーちゃん口説いてる」
「口説いてないっすよ~、思ったことそのまま言っただけっす~」
今日も保健室で
(でも端から見たらナンパしてる人みたいですよ)
(う、うぐっ…それは、ヤダ…)
なんだか少女漫画チックになってしまいすみません…
でもオウカは素直過ぎるだけなんです!ハイ←
恥ずかしいこともポロリと言っちゃいます
笙汰君とはお互い「スポーツが好き」ということで意気投合してたらいいなぁ、と
お借りしたのは砂糖人形さんの「笙汰」しらにゅいさんの「玉置静流」大黒屋さんの「氏型環」でした!
- 848
:えて子:2011/08/30(火) 19:50:59
- 会話文で頑張ってみました。
「ショーゴ!いたいた、探したよ」
「ん?何だ、タスク」
「何だ、じゃないよ。ショーゴが探してた本、見つかったよって言いに来たんだ」
「うっそ、マジか!?」
「うん。『Brake End ~終わりをぶち壊せ~』全5巻でよかったよね?ほら」
「そうそう、これこれ!サンキュー!」
「ん、いいよ別に。貸し出し期間は1週間ね」
「え、図書室のものですか!?」
「いいえ、私の私物です。貸し出し期間はほんの冗談」
「…な、何だ…勘弁してくれよ、一瞬本気で焦ったじゃないか…」
「ははは、ごめんごめん。私はもう読み終わってるからさ、返すのはいつでもいいよ」
「おう、分かった…」
「…何さ」
「いや、タスクもこういった本って読むんだなーって思って」
「失敬だな。私は面白いと思ったら漫画から漢和辞典まで何でも読むぞ?
というか皆本をもっと読むべきだと思うんだ。文字だけじゃなくて綺麗な挿絵の奴とかもたくさんあるし、心に響くような深い話だってたくさんある。
何より知識が増える。日常で使わないものは多いかもしれないけど、漢字や語句の勉強にもなるし…」
「あー、はいはいはいはい。ストップストップ」
「…ん?ああ、ごめん。つい」
「語ると長いんだよな、お前」
「玉置先生ほどではないと自負しておりますが」
「そういう問題じゃないだろ…」
「まあまあ、いいじゃない。それよか、本大事に読んでよ」
「おう。悪いな」
「万が一、その本汚したり破いたりしたら六法全書および広辞苑の角でぶん殴るから。…分かった?」
「………了解…」
柔道部主将と図書委員長
「…お前、もう少し外見と性格のギャップを埋めようとか思わない?」
「埋まっちゃったらそれはもう私じゃないからなぁ」
サイコロさんの「汰狩省吾」さん、名前のみしらにゅいさんの「玉置静流」さんをお借りしました。
佑にさん付けもちゃん付けも似合わないと知りました。きっと彼女は苦手なんだと思います。
ちなみに貸した本はアクション小説です。
せっかく教えてもらったのに活かしきれず申し訳ない;;
- 849
:大黒屋:2011/08/30(火) 21:04:18
- 十字メシアさんより「津芽矢間 飴実」、しらにゅいさんより「ロビン」をお借りしました。
拾うのはお任せします。恐らく自分では拾いませんが;
一本の電話
「ありがとうございました、またお越しください!」
ピンクが基調の可愛い店、デコラキャンディーから出ていく客を、胡間は笑顔で見送っていた。
店のカウンターで飴実はそれを笑顔で見ている。
「いつもありがとうね、胡間ちゃん。大助かりだよ~。」
「いやいや、私達もバイト捜していたところでしたので。」
「そうはいうけど殆ど無償でいいって…。」
「お金目的じゃありませんからw」
胡間は布一枚で仕切られた裏方を見た。
彼女の異常体質の相手方が、この裏で今お菓子を作っているのだ。
「来間の働き口が欲しかっただけですから。」
極力伏せているが、来間はカルーアトラズに投獄されていた罪人。
今は仮釈放中だが、ゆくゆくは自立し働かなければならない。
が、彼は今胡間と常に同じ空間で背中合わせにならなければならない。
凶悪犯罪者扱いの彼は常に左足首を縛られ逆さ吊りにされている。
そんなものが店の一角にあれば客が逃げるに決まっている。
その点裏方がドアで仕切られていないこの店は好都合だった、というわけである。
「店のオーナーが飴実さんだったおかげで事情は分かってもらえたわけですし。」
胡間が笑う。壁を挟んで向こう側でケーキの飾り付けをしている来間は無言で手を動かし続けていた。
「うちも従業員不足だったからね~。助かったよ、本当。」
「それはよかったですw」
その時、胡間の携帯が鳴りだした。
胡間は飴実に頭を下げると裏方に走り、電話に出た。
「はい、もしもし。…あ、ロビンさん!」
その声に、来間の手が止まった。
「はい、はい…わかりました。ちょっと待ってください。」
胡間は後ろを向く。
「来間、今度また、カルーアトラズが何人か此処に来るそうよ。」
からん、と音が鳴った。
来間が床にピンセットを落としたのだ。
拾おうとするも指先が震え、なかなか拾えない。
胡間はそれを見、溜息を吐いた。
「…すみません、やはりまだ面会は…。」
そう言いかけ、胡間ははっと顔を上げた。
振り向くと、来間はリボン越しに眼をこちらに向けていた。
暫く二人とも黙っていたが、やがて胡間は頷いた。
「はい、大丈夫です。では、近いうちに面会を。日程は後日お知らせください。では。」
携帯を切り、彼女は振り返った。
「あんたにしちゃ、頑張って行った方じゃないの。」
「まあ、何も悪いことはしてないし、後ろめたいことはないからね。」
胡間は微笑み、再び表へと出て行った。
逆さ吊りの男は、未だピンセットをつかみあぐねていた。
- 850
:十字メシア:2011/08/30(火) 22:21:57
- 妖怪全員投下したのでそろそろ。
自キャラオンリーです。
咲埜子と京都の妖怪達
某日、風月堂。
九十九からの言伝により、京都の妖怪達が風月堂に集結していた。
『咲埜子ー!』
「久しぶりやな~皆!」
妖怪の友に囲まれ、笑顔を綻ばせる咲埜子。
妖怪達の表情も喜びに満ちている。
「学校はどうなん?」
「凄く楽しいで!」
「九十九さんはお元気ですか?」
「勿論!」
「一郎太のおっさんもか?」
「あー、お父さんはこの前、ぎっくり腰やらかしてもうたわ…」
「また?」
「お店はちゃんと繁盛してる?」
「大丈夫や胡桃」
「前より背が伸びてね?」
「当たり前でしょう、半分人間なんですから」
「あ、そうか」
久方振りの再会に我先にと言わんばかりの勢いで、妖怪逹は咲埜子に色々聞き出している。
そこへ九十九が現れた。
「遠いとこから来て疲れたやろ? 中でみたらし団子用意してるからお食べ」
「いよっしゃ!」
「あたし、みたらし大好きー!」
中へと入っていく咲埜子と妖怪逹。
その場に九十九と鈴彦が残った。
「…本当に、お久しぶりです。九十九さん」
「ほんまやなあ」
にこりと微笑む九十九。
「どうです? 幸せですか?」
「当たり前やないの」
「…そうですか」
「あの人がおるから今が、私がいるんやから」
「ふふ、確かに…もし、あの男に泣かされたらすぐ言って下さい。懲らしめますから」
「もう、鈴彦はんたら。あの人が私を泣かすやなんて」
「…私はただ、あなたが幸せならそれでいい。あなたの幸せが私の幸せなんです」
「鈴彦はん…」
微笑して鈴彦は言った。
「あなたが悲しんだら私も悲しいのです。だから…」
「大丈夫」
宥めるように遮る九十九。
「あの人が『私といて幸せ』やと、言ってくれる…思ってくれる間は、私も幸せやから。だからそんな心配せんでもええんよ?」
「…はい」
最終更新:2012年02月29日 13:48