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謎すぎるものたち

走って、走って、どのくらい経っただろうか。
先ほどよりもだいぶ離れた場所に、佑と謎の人物は隠れていた。

「…あーららー。大丈夫かーいー?」
「…げほっ、げほっ……も、もう…走れな、い……」

ビル陰に座り込むと、呼吸を整えようとしてひどく咳き込む。
もともと佑は運動が苦手なわけではないが、体力は平均よりは劣る。
こんなに全力で、こんなに長い間走ったのは、初めてだった。

「……あ、りがと…ございました……」

助けてもらった礼をしようにも、喉がカラカラで掠れた声しか出ない。
今にも足の筋肉と肺から悲鳴が聞こえてきそうだ。

「………これから、どうするんですか…?」

少し落ち着いてきたところで、佑は自分を引っ張ってきた相手に尋ねた。
わざわざ出口と真逆の、奥の方へ向かったのだから、何かあるのだろう。
そう、考えていたのだが。

「……どーうしようかねーえ」
「……………」

急にどっと疲れが湧いた気がした。
本格的に足が棒になり、立ちあがることもままならない。

「………はあ……」

崩れかかった壁に体を預けると、まだ素早くは回らない頭で考える。
あの機械兵は何なのか。何故自分を狙うのか。
目の前にいる人物は何者で、何故自分を助けてくれたのか。
それと……

「…おーい。俺ーの話ー、聞いてたーかー?」
「……あ。…ごめんなさい、聞いてなかった……」

目の前の人物は何か話していたらしい。
何か考え始めるとそれにだけ集中してしまうのは、自分の悪い癖だと反省する。
佑が頭を下げると、相手は「仕方ない」という風に軽く肩を竦めて見せた。

「………」

ふと、手元の懐中電灯に意識が向いた。
…そういえば、さっきあの機械兵は、この懐中電灯を向けた途端動きが遅くなりはしなかったか。

(これの光を当てたせい?そんな馬鹿な…)

ただの懐中電灯にそんな効果があるなんて聞いたことがない。
でも、この目で見たものが幻覚や錯覚だったとは到底思えない。

「…………」
「?」

視線を上げて、名も知らない相手を見上げる。
この懐中電灯は、この人物が渡してきたものだ。
ならば、この人に聞くのが一番いいのかもしれない。

しばし迷ってから、佑は相手に尋ねることを決めた。

「……あの……」
「んー?」

「……これ…何なんですか?」


謎すぎるものたち


(そう言って彼女は)
(一見何の変哲もない懐中電灯を差し出した)

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最終更新:2012年03月05日 22:01