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鬼神、参上。

「…誰、だい?」

瞠目する理人。
目の前にいる人物を改めて見る。

短いツインテールにした緑色の髪、今背負っている少女…佑と同じ服、片手に握ったクナイ、そして―――車椅子に座ったその姿。

「全く…どんだけいるんだか…」
「……」
「おいアンタ」
「ッ! な、なーにかな?」
「アンタはそいつの味方? …敵?」
「……」

理人はちらりと背負っている佑を見、視線を戻して言った。

「味方さー」
「…そ。あたしは海猫、アンタは?」
「あ…赤銅 理人
「よし理人、そいつをちゃんと守ってろよ」
「へっ?」
「こいつらならあたしが冥土逝きにするから…全員」
「え…えっ!?」

理人は驚愕した。
車椅子を使う、それも女の子がこんな大量の兵器を一網打尽に出来るわけが無い、と。
しかし。

「あたしの親友に手ェ出した罪は重いからな…覚悟しろ」
「!?」

海猫が『車椅子から』立ち上がった。
だが驚くのはそれに留まらない。

海猫が瞬時に消えた。

「あ、あれ!?」

と、理人は上に気配を感じて見上げる。
海猫は消えたのではなく、跳躍していたのだ。
それもビル5階建てぶん。

「だりゃぁああああーーーーーーッッ!!!!!」

ドゴァァアアアッ!!!

「おわ…ッ!」

海猫は地にいるパニッシャー目掛け、強烈なかかと落としを放った。
5階ぶんの高さからとはいえ、地割れが出来るほどの威力に、理人は違和感を感じるも、それはすぐに消え失せた。

(…なーるほど、能力か)

あらゆる性質を持つ特殊能力だが、中には『身体強化系』なる特殊能力がある。
恐らく海猫はそれを持っているのだろう、と理人は納得した。

(しかしまー)

そして理人はその凄まじい蹴りにこうとも思っていた。

(なんてーかー…まーるで”鬼神”みたいだなー)


その解釈は正しかった。
現にウスワイヤや守人の仲間からはこう言われている。

”冥土の格闘家”或いは”鬼神”と。

「まだまだこれからだ…!」

すると片手にクナイと、何故かもう片手には針と糸を持つ。
だがこれらはただの針と糸では無いのだ。

「ハッ!」

まず片手のクナイを1本ずつ、パニッシャーの接合部に命中させる。
そして今度はダガーナイフを持つと、追い撃ちをかけるように斬り捨てていった。
すると別のパニッシャー達が後ろから海猫に襲いかかった。
だが海猫は臆するどころか、ニヤリと笑う。

「甘ぇんだよ」

と、パニッシャー達に向き返り何かを吐き出す。
―――針だ。

「喰らいなあたしのオリジナル!!」

と、地面を踏み込み、両手をしきりに動かしながら駆けていく。
そして停止すると何かをぐっと逆手に握り締めた。
細く銀色に光るそれは、先程まで手にしていた糸。
しかしそれはただの糸では無い。
その証拠に海猫が引っ張ると―――。

バシュバシュバシュッ!

パニッシャー達がバラバラに切り刻まれた。
それを見た理人は再び驚いた。
しかし説明させる暇を与える訳がない。

「30…いや、20以下hitコンボでいけるか」
「え?」

再び海猫の姿が消えた。
すると次に現した瞬間、何体かのパニッシャーが破損されていた。
だが彼女の猛攻は止まらない。
上から襲いかかって来た2体のパニッシャーの弾丸を避け、跳躍と同時にラリアットをかます。
そしてそのまま3回転した後、地に向かって勢いよく投げ飛ばした。
次に着地と同時に再び一瞬、姿を消す。
また現れた時にパニッシャーを上に蹴り上げたかと思えば、体勢を整えてつつ向きを変え、後ろにいた1体を踏み台に、その横にいた2体の頭部の接合部をつかんで上に高く放り投げたと同時に跳躍した。

「ここからが真骨頂だ」

その時、海猫の体から黄色いオーラの様な物が滲み出る。
オーラを右手拳に集め、3体のパニッシャーまとめて殴った。
パニッシャーの所々に傷や痛みがつく。
だがこれが最後ではない。
今度は海猫の右足にオーラが集まる。
海猫はその右足でパニッシャー達を地面に蹴り飛ばした。
と、同時にオーラが足から抜け、追撃の如く踏み台にされた機体含めてパニッシャー達に激突する。
辺りに激しい破壊音が響いた。


「ひゃー…本当に全部倒しちゃったーかー」
「………」

海猫が服についた汚れを叩きながら、フラフラと理人の所に戻ってきた。

「あ…大丈夫かい?」
「へーきへーき。…っと」

車椅子に座る海猫。
試しに足を動かすと、今度は全く動かなかった。

「あれ…?」
「本当は普通に歩けるけどね、能力使ったら疲労でこうなるのよ。ま、もう一個の能力無かったら足だけに留まらないんだけど」
「へーえ…あ、ところでさっきの…」
「ああ、糸? アレ鋼鉄製なんだよ。キツく縛って引っ張れば、あっという間にバラバラよ」

ペロッと舌を出す海猫。
ようやくこの二人にも安堵の時が訪れたのだった。


鬼神、参上。


「…で、何で佑がアンタと?」
「んー…追われてーたから、助けようとしてーね」
「佑が…?」
「そうだーよ」
(まさか…そんな、佑が…あたしと”同じ”…?)

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最終更新:2012年03月09日 17:07