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総元締めによる静かなる怒りの出御

いかせのごれのとある場所にある御殿にて。
守人の重鎮とも言える、水無瀬一族の若き頭領、水無瀬 斎は配下の者とある話をしていた。

「なるほど、”白い闇”が…」
「はい、若殿」
「それで? ウスワイヤの対応はどうなりましたか?」
「監視付きで1週間の自宅謹慎…との事です」
「監視…ですか?」
「はい」

ふむ、と思案する斎。

「いくら問題を起こしたとはいえ、崎原さん自身が望んだ事では―――」
「それが…一般人が巻き込まれて重症を負ったと……」
「…そうですか」

斎は溜め息を一つつくと、側にあった緑茶を飲む。
そして決心した様に言った。

「…『佳乃』に聞いてみようかな」
「えっ、姫君に!?」
「うん、こういう事は一応、佳乃に相談した方が最善かと」
「し、しかし…」
「…勿論分かってますよ。ああ見えて結構過激ですし、ウスワイヤの様な組織を毛嫌いしてますし……けど、あの子は紛れもない、守人の総元締めですから」
「…若殿が、そう仰るのでしたら」
「では、水鏡で連絡してきます」


-斎の自室-

「…よし」

斎は一息ついて、指先から水を出す。
そして空中に円を描くと、水は丸い鏡の様な物体と化し、次の瞬間には着物の少女が映し出された。

「…兄君?」
「久しぶりだね、佳乃」
「ただ会話しにきた訳では、無いようですね。……美琴の件についてですか?」
「知っていたの?」
「総元締めたる者、いかせのごれの裏事情に詳しくなくては。で、相談の内容は?」
「えっと…崎原さんは、1週間自宅謹慎らしくて」
「自宅謹慎ですか。あの白髪イカレ野郎にいいようにされて、母親や友人を殺そうとしたのです。そんな状態で学校に通うのは難しいでしょうし、心のケアも必要ですからね。あのウスワイヤにしては上出来な提案ですねえ」
「(白髪イカレ野郎って…しかも嫌味付き…)で、監視が付くみたいなんだけど―――」

刹那。

「…あぁ?」

(あ…まずい)
「…折角賞賛の言葉を言ったのに、またそんな愚劣極まりない勝手な判断を? …相変わらずですね」
「か…佳乃?」
「……いいでしょう、そちらがその気なら私にも考えがあります」
「ま、待って佳乃! 崎原さんの件には一般人が巻き込まれてて…」
「知ってます。だからと言って監視付きなんて認められる訳が…無い」

敬語が抜けつつある佳乃。
本格的に怒っている。

「兄君、ウスワイヤに行きましょう。幸い皇帝と光の法王もウスワイヤに来るようなので」
「えっ!? 崎原さんの父上と祖父が!? というか、ウスワイヤに行くって、まさか喧嘩売るつもりじゃあ…」
「大丈夫ですよ。……『話し合い』をするだけだし」
(いや絶対に喧嘩ふっかける気だ!!?)
「では今からそちらに向かいますね、兄君」

佳乃の恐ろしい笑みを最後に、水鏡は消えてしまった。

「………相談、しない方が良かったかな」


総元締めによる静かなる怒りの出御


一方、その頃の紫苑は。

「はあ…何でウスワイヤなんかに来たんだ…しかしそれでは、ささみかが一人に……ううっ」

苦悩していた。

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最終更新:2012年07月28日 16:17