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眺めるのは(仮)

世界は予測がつかない。
だからこそ、おもしろい。

「みっちょーん」
「誰がみっちょんだ死ね」

よく似た顔を呼び止めると、これまた随分と不機嫌そうで中々観察し甲斐がある。
彼の不機嫌の理由の7割はまたまた似た顔が原因だ。
とってもわかりやすいのに、根っこにある問題は実に深い。

「またウツロっちの事ぴょろー?」

名前を出すと途端に眉間に深いしわが刻まれる。
なんてわかりやすく、面白い。
彼らの嫌悪の根っこにあるのは、存在意義という4文字。
劣化品であろうが存在するのが気に食わない試作品と、
死にたいが試作品に殺されるのは気に食わない劣化品。
そこまでこだわる意味は吾輩にはわからないが。

守るべき対象を見つけたウツロにちょっかいを出すのは一体何故か。
ここからは自分の推測だが、悔しかったのではないだろうかと考える。
自分より劣っているものが自分より素晴らしい物を手に入れる。
プライドがエベレスト並みに高い彼の事だ、許しがたい事実だったのだろう。

「ウツロっちに可愛い彼女が出来て悔しいにゅる?」
「あんまりツマンネェ事言うとマジで殺す」
「殺せるぴょろ?試作品のみっちょんに」

刹那、首に食い込む鈍い痛みと熱。
彼は手が早い、普通の人間だったら一瞬、痛みにも気づくことなく楽に逝ったであろう。
が、ワタクシは普通の人間ではない。指が食い込もうがなんだろうが、大した問題ではないのだ。
首から手が離れる、指先は鈍い赤がべっとりとついていた。

「クソが」

指についた赤を忌々しそうに舐める。
その赤すら、彼の生につながると思うと感慨深いものがある。

「僕はみっちょんのそうゆう素直な所好きだりゅん」

何事もなかったかのようにヘラリと笑って見せる。
我々は繋がっているのだ、知らず知らず互いの生を入れ替えながら。

「死ね」
「死なないポン」

清々しい舌打ちに吾輩は思わず噴き出す。
そっと首に触れると、もう傷はふさがっていた。
驚異的な身体能力、そして一番のバケモノらしさ、再生力。
この能力を壊に使うのがミチル、そして、守に使う、かもしれないウツロ。
この二人が本気を出せばどうなるのか。

「単純にみっちゃんとウツロっちのガチ喧嘩が見たいだけだりゅん」
「マジ性格ねじ曲がってんなァ」
「いやいや、君たちに比べるととっても素直ぴょろー」

ある意味自分の欲求に一番素直なのは私だと自覚はしている。
そして理性があるのも俺だと。
理性をもって本能に従うのだ、矛盾?美学じゃないか。

「ウツロもミチルも今とーっても不安定で、実に観察し甲斐があるんだポン」

愛する人を守る芯があるのか。作られた劣化品に、その魂は宿るのか。
そして、そんな劣化品を見た試作品は、どんな思いを抱くのか。
それは実に、予想不可な楽しい未来。
バケモノは幸せになれるのか、それともバケモノが幸せを奪うのか。

オボロ
「なんだりゅん?」

さっきとは変わり、いつも通りの意地の悪い笑顔を浮かべるミチル。

「お前の思い通りに、俺様は動かねェよ」


眺めるのは
(さて、どうなることやら楽しみピョロ)

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最終更新:2012年08月21日 23:22