- 251
:十字メシア:2011/11/22(火) 18:35:29
- フラグと新キャラ登場回。
スゴロクさんから「クロウ」、しらにゅいさんから「玉置静流」、akiyakanさんから名前のみで「ジングウ」をお借りしました。
ホウオウグループ支部施設、閉鎖区画にて。
一つの人影が頬杖をつき、何かの書類を見ている。
ホウオウグループ特別研究チーム「千年王国」副主任、クルデーレだ。
「以前はウイルスを使って騒ぎを…ねえ。また同じ手を使う事は無さそうだけど、やるとしたら改悪版に改造かしら」
とそこへ。
「クルデーレ」
「…あら、クロウじゃない」
黒に染めた髪と金色の目、プリズム加工された特徴的な眼鏡をかけた男を見て、クルデーレはニコリと微笑した。
「何かご用かしら?」
「…その書類はどうした」
「資料室からよ」
「そういう事を聞いてるんじゃない。…何のつもりだ」
目つきをより一層鋭くするクロウに対し、クルデーレは書類から視線を反らさず返す。
「別に企んでないわ。ただ、千年王国の戦力に使えないかと思って」
「…その言葉、嘘ではないだろうな」
「私はあの若造と違って、ホウオウ様には絶対忠誠を誓ってるわ」
「…ならいい。だがもし裏切る様な真似をするなら、ジングウ共々死んでもらうぞ」
「全く…貴方、神経質過ぎるわよ?」
「…勝手に言ってろ」
そう言い残し、クロウはその場から去った。
「……そこまでせずとも、あの人は問題視しないでしょうに。あの鴉は本当に―――」
「目障り、だろ?」
突如辺りに声が響く。
クルデーレが声の方に視線を向けると、左頬に印の様なものが刻まれた少女が、ガラスケースに腰掛けていた。
「なあー、もうぶっ殺そうよアイツ! 鬱陶しいし、目障りだしよー。血祭りにあげたいって!!」
血眼になりながら、物騒な言葉を口にする少女。
「残念だけど、それは出来ないわ。『サディコ』」
「えぇー!? デレ姉さんだって本当は嫌いなんだろ? 俺、デレ姉さんの為なら頑張るぜ!?」
「その気持ちは凄く嬉しいけど、今はまだ無理よ。分かった?」
「…はーい」
少女―――サディコは渋々クルデーレに従った。
するとまた別の声―――今度は少年の―――が辺りに響く。
「私もあの男は好きませんが、確かに今消してしまえば怪しまれるでしょう」
「その通りよ、『ラティオー』」
少年―――ラティオーが物陰から現れる。
彼の頬には、サディコと同じ印が対になる様に右頬に刻まれていた。
「今はまだ行動の時ではない…それまでは、あの若造に表舞台に立ってもらわないと」
「ジングウだっけ? そんなに強いのかあ?」
「弱くはない。負けたとはいえ、ウスワイヤの面々に劣勢を強いていたらしいわ」
「ふーん。じゃあ姉さん!」
「何?」
「もしその時が来たらそいつ、俺に血祭りやらせてよ! お願い!」
「ふふ、いいわよ。あの若造の始末は貴方に任せるわね」
「やったあ!! 姉さんありがとう! 俺頑張って、姉さんが喜ぶ様な血祭りをあげるよ!」
年相応の笑顔を浮かべ、大喜びするサディコ。
言っている事は相変わらず残酷だが。
「なら他のメンバーは私に任せてもらっても?」
「ええ、勿論」
「ありがとうございます」
深々とお辞儀するラティオー。
と、何かに気付いた様にすぐ頭を上げる。
- 252
:十字メシア:2011/11/22(火) 18:36:09
- 「そういや『あの者』も、私達の戦力に加えるので?」
「ええ…外見に似合わぬ、あの高い戦闘力は失うには惜しいもの」
「マスターの意志なら構いませんが…彼女は『人間』ですよ? 足手纏いになり兼ねないのでは…」
「あの娘を甘く見ては駄目よ。捨て身で父親を守ろうとしていた時の、あの目の光を見たとき…確信したのよ。『この娘は殺さない価値がある』と」
普段湛える冷静な微笑が、狂喜に歪んだ笑みへと変貌する。
「殺さない価値…ですか」
「ほんっとーに?」
ラティオーの肩に寄り掛かるサディコ。
「本当に、よ」
「ふーん。まあ強いなら何でもいいぜ、俺」
「……弱かったら血祭りにするつもりだったんですか?」
「弱い戦力なんかいらねーだろ」
「まあ確かに…でもそれはマスターが『いい』と了承した場合ですよ」
「わーってる。いちいち口出しすんな」
その時。
「…お?」
「噂をすれば、ですか」
サディコとラティオーが振り向いた先には、一人の少女。
外見は二人より幼く見える。
「貴方もこれから、私の手下として動いてもらうわ。その為にはまず新しく名前をつけないとね…ラティオー、何かいい案はあるかしら?」
「そうですね。彼女は『今までの』彼女では無くなった…つまり『無』に生まれ変わったという事なので、そういった意味の名にしてみては如何でしょうか?」
「いいわね。流石は私の『理性』」
「お褒めいただき、ありがとうございます」
再び深々と頭を下げるラティオー。
その横でサディコが不貞腐れた表情をしていた。
「何で俺にも聞かないのさー…」
「『残忍』である貴方は思い付けるんですか?」
「……無理」
「そうでしょう。貴方には貴方の得意分野があるのですから」
「チェッ」
「では…めでたく生まれ変わった貴方に祝福の名を」
「これから貴方は『九鬼美奈子』ではなく、『ニエンテ』として私に支えなさい…いいわね?」
「…はい。クルデーレ様」
冷血、残忍、理性、無
「……」
「大丈夫かい?」
「っ! …玉置さん…」
「また『あの時』の事を?」
「…僕、なんか―――」
「もうそんな事言っちゃ駄目だ。君はここにいるんだから」
「………」
「…君は生きていいんだよ」
「『ノワール』君」
(そして)
(そこから外れた一人は)
(『黒』)
- 253
:スゴロク:2011/11/22(火) 20:45:28
- 「冷血、残忍、理性、無」と同じ時間で。新キャラが出ます。
「……ふん」
地獄耳には定評のあるクロウ。ある程度だが、あの後のクルデーレ達のやり取りも聞こえていた。
神経質すぎると彼女は言ったが、いかにホウオウの采配だとても、出戻りの裏切り者を信用しろと言う方が無理な話だろう。
「千年王国も一枚岩ではないようだな」
まあ、関係はない。ジングウのことだから気付いていて放置しているのだろう。あの男は究極的な話、自らの命をもコマとして使う事を躊躇わない。
「さて……」
グループ一の暇人として有名なクロウだが、これは彼が担当する任務が追撃・証拠隠滅であるためだ。現在のところ、いかせのごれ高校に非常勤教師として潜入しつつ、ノルン・ノア抹殺の機会をうかがっている。
ただ、情報ではノルンに不可思議な現象が起きたと聞いている。
(迂闊に手を出して竹箆返しを喰らうのは……避けねばな)
状況が確定するまでは手を出さない。そこがこの男の長所であり、短所でもあった。組んでいたメンバーがナハトの他にもう一人おり、それぞれに連携することで任務を遂行していた。
そのチームも、9年前にナハトが消えて以来活動した記録はない。
(奴め、どこに消えた……遠くにいけるはずがない、いかせのごれのどこかにいるのは確かなのだが)
潜入メンバーにも情報収集を依頼しているが、とんと報告が入らない。だが死んだとも考えられない。そんなヤワな女ではなかった。
(奴が帰還せねば、9年前の任務が完了出来ん。一体どこに……)
「おう、クロウか。何か久しぶりだな」
「ん?」
横から声を掛けられて振り向く。その表情が、珍しくふっ、と和らぐ。微かに、だが。
そこにいたのは、自身と並ぶ長躯、ぼさっとした黒髪の男。
「……お前か。久しいな、ルーツ」
「同じグループにいるってのに、ここ数年は顔合わせてないからな」
「当たり前だ。俺は外部、お前はここが仕事の場だろうが」
「ところがどっこい、それも今日までだ。総帥から指令が下ったのよ」
「ほう?」
内容を確認してみると、彼に課されたのは「外部任務に当たっているクロウのサポートに回れ」との任務だった。
「……またお前と組むとはな」
「そういうなって。……後はナハトの姉さんがいればな……」
「言うな。奴は生体兵器に過ぎん」
そう言いつつも、クロウ自身複雑な表情をしている。
「……ミネルヴァは?」
「その辺ほっつき歩いてるんじゃないか? 探すか?」
「無駄だな。奴は一度隠れたら見つからん」
彼女の能力は嫌と言うほど知っている。具体的にはトラブルメーカーとして。
「で、どうするクロウ?」
「……当面、ここに用はない。戻るぞ。潜入メンバーにお前の事も伝えておくとしよう」
「了解っ、と」
「闇」「夜」の「鴉」と「梟」
(歯車たる男にも仲間はいる)
(顔を合わせることも、思い出す事もあまりなかったが)
「ルーツ」
「ん?」
「正義とは何だ? お前はどう思う」
「勝った奴が正義」
「……なるほど」
名前のみ十字メシアさんから「クルデーレ」akiyakanさんより「ジングウ」大黒屋さんより「ノルン」「ノア」をお借りしました。
- 254
:紅麗:2011/11/22(火) 23:47:36
- >スゴロクさん
わわ、こんなところまで!
ありがとうございましたっ。問題無しです。
そしてアオイちゃんがユウイとお友達になりたいと…!
会わせる話、考えてみますね。
- 255
:柴犬:2011/11/25(金) 13:02:26
- >>しらにゅい さん
反応が大分遅れてしまいました、申し訳ないです。
初めてのクロス、感激いたしました。明夢は絡みづらいキャラだったと思いますけど…
しかも製作者の私より明夢の考え方の問題点を見抜いてますね(驚)キャラも
まんまでした。
これからも機会があればよろしくお願いします。
- 256
:柴犬:2011/11/25(金) 22:11:54
- 〈少女達の夢見館〉
「‥だが、それなら逆にあんたを倒しやすくなったかな?」
ミハエルの言葉。
「っ!?」
ガクン、と明夢の脚が力を失い、地面に膝をつく。その明夢の呼吸はやや乱れていて、身体からは嫌な汗が流れている。明らかに身体が異常を発していた。
「それだけの超能力、制御するのにどれだけ脳に、身体に負担をかける?衝撃エネルギーの向きを操作するのにどれだけ莫大な計算をしなければならない?あんたは無意識にそれを出来る位の力があるが、それでも脳に負担がかかるだろう。無意識に力をセーブしていた以前なら話は別だが、今は明らかに脳に強い負担をかけている。」
超能力を使う。
言えば単純だが、明夢の超能力は炎や風を操るといった超能力ほど単純に扱う事は出来ない。
衝撃を伴うものが皮膚に触れた一瞬の間に触れたモノの種類、エネルギーの大きさ、変更前のエネルギーの向き、変更後のエネルギーの向き、最終的な移動点を瞬時に導き出さなければならない。勿論、明夢はそれを特に意識してやっている訳では無いが、その裏では莫大な量の演算を行っている。
その情報量は時に人間の脳の処理が追いつかなくなるほどになる。簡単に言ってしまえばパソコンにあまりに多くの作業を同時にさせると動作の鈍化、果てにはフリーズしかねない結果になるのと同じだ。
「くっ‥」
明夢はまだこの本来の超能力を上手く制御出来ない。出来ないからこそ身体が無意識に能力に対するリミッターを掛けていたのだから。なんとか立ち上がった脚もまだふらついている。
「やれやれ‥明夢、君は休んでて。ここはボクが何とかするから。」
そこへ明夢をかばうように前に出たのはクロコだ。彼女はミハエルを見ると、翼を広げ少し地面から浮く。
「さて、ミハエルとやら。ボクの真名は天津黒主之命だ。妖怪が自ら真名を名乗るとは、どういうことかわかるね?」
「…」
クロコは静かな笑みを絶やさない。が、クロコの周囲に嫌な気配、明らかな害意のある不可視な力が収束している。
- 257
:柴犬:2011/11/25(金) 22:13:17
「さて、ボクは神話には詳しくないけど、翼を作り上げ空に飛び立った勇者イカロスは太陽に近づき過ぎた為に翼を溶かされ地に堕ちたと言う。」
クロコが片手を挙げるとその指先に黒く鳴動する人間の頭ほどの塊が現れる。
「『太陽の黒点』。これがボクの真名を象徴する超能力だ。」
低く通る声でクロコは呟き、その塊を無造作に投げる。
地面に落ちたそれは激しく燃え上がり、樹齢1000年の大木ほどの太さの火柱となった。そして、炎の色は‥漆黒。
「どうだい?この炎の温度は太陽の黒点と同じ約4000度。しかもボクが燃やそうとしたもの以外は決して燃えない。人間の君には耐えられないよ、諦めて帰りな。」
クロコは余裕な表情で言う。
4000度。人間なら陽炎の消えてしまうような絶望的な温度。
まさしく、人ならざる者に相応しき異能。
「なる程、私一人ではこんな化け物どもを相手に出来るわけ無し、か。今日は潔く退こう。だが、諦める訳にはいかないな。」
ミハエルは溜め息をついて背を向け、石階段を降りた。
「‥やれやれ。立てるかい?明夢。」
クロコは明夢の方を向き、手を差し出す。
「うん、ちょっとまだくらくらするけど。悪いけどちょっと横になるね‥」
明夢はクロコの手をとり、立ち上がるとふらふらしながら社務所の奥へと入って行った。
「こりゃ本格的にマズいね。仕方ない、ちょっとお友達に力を借りるかな?」
「ほう?友達か?」
クロコはいつの間にか真奈入れ替わっていた魔嗚に言うと目を閉じ、何かに意識を向ける。
「カルラ、元気かい?」
- 258
:柴犬:2011/11/25(金) 22:15:22
ーいかせのごれ、北はずれー
洋菓子店、霜月堂
最近出来た以前からあった洋館の一階を使った洋菓子店で、なかなかの人気を得ている店だが、店自体で働いているのは、メイド服姿の店員ばかりで、館の主であり、店のオーナーである『カルラ』なる人物の姿を見た客は一人もいない。
理由は簡単、カルラは人間では無いからだ。
「なる程、大抵の事は理解出来たわ。クロコ、あなたの頼みだし力を貸しましょう。」
館の最上階の一番広い部屋、西洋風な椅子に腰掛けているのは少女の形をしたモノ。
白い簡素なドレスに身を包んでいる小柄な身体だが、白い肌と輝く紅い瞳は見る者を引き込む妖艶さを持つ。ただし、白鱗の皮膜の翼と紅い角を持つ存在が、人間であるはずが無い。
幻想の王『竜』。
それがカルラの正体。
(物語は動き出し、古竜が姿を現す)
- 259
:柴犬:2011/11/25(金) 22:17:29
- >>256
久々の神社組の続編でした。
今回は番外編まで連投させてもらいます。
- 260
:柴犬:2011/11/25(金) 22:19:58
- ー夕方・神社にてー
「こんにちはー」
「ん?ああチヅル、君か。また来たのかい?」
「クロコちゃんもひっさしぶり。最近見なかったケド、どうしたの?」
「明夢のお願いでね、色々な調べものをしてたんだよ。」
「そうなんだー?で、そのメームちゃんは?」
「それがね、明夢は最近体調を崩しやすくなっててね、今も少し寝ている所だよ。」
「えっ!?一体どうしたの!?」
「それは、だ‥」
ーーーーーー
「へぇー、それがメームちゃんの本当の力かぁ。」
「うん。まだ慣れないみたいでね。しばらくしたら元通りになるだろうけど。でもマズいね、明夢の力は日に日に強くなってる。明夢がちゃんと力を制御出来ないと、ちょっとした事で大惨事を起こしかねないから。」
「‥あれからメームちゃんはどう?」
「ああ、色々思い悩んでた。でも、とりあえずウスワイヤの事を良く知りたいって考えは変わらないみたいだね。ボクもそれがいいと思う。」
「そっか。優しいメームちゃんらしいかな?」
「そうだね。カルラにも連絡を入れて色々調べてもらってるからね、君もウスワイヤについて何か知りたい事があればアイツの所に行ってみればいいかも。天津黒主ノ命の紹介って言えばわかると思うし。ああそうだ、これをあげるよ。」
「これは、黒い羽根のペンダント?」
「そ、ボクの羽根。そこにあるボクの小さな力を使えばアイツの店に行った時、アイツに気づいてもらえるだろうし。」
「カルラさんねぇ、確か洋菓子店『霜月堂』のオーナーだっけ?」
「うん。ちょっと変わった奴だけどね。」
「ん?チヅルちゃん来てたんだ。」
「あっ、メームちゃん!起きてて大丈夫なの?」
「ん、今は落ち着いてるから。今、お茶を淹れるから待ってて。」
「茶菓子もよろしくね~」
「はいはい、わかったよクロコ。チヅルちゃんも、ゆっくりしていってね。」
「ありがとー」
(八十神千鶴の『神社』再訪問)
(願わくば、この平和な一時が何時までも続くように)
- 261
:柴犬:2011/11/25(金) 22:24:28
- >>260
番外編、しらにゅい さんの『八十神千鶴』をお借りしました。
絡みづらい神社メンバーと最初にクロスしていただいた、しらにゅい さんに
感謝を込めて書きました。チヅルちゃんのキャラを上手く表現できたか心配です。
- 262
:スゴロク:2011/11/26(土) 00:38:53
- 大黒屋さんの「ある日、ある時」を拾わせてもらいました。
「……シドウさんの言ってることはわかるんですけど、アースセイバーに入れば、色々と不都合も大きいですよ。ゲンブみたいな独立隊員ならともかく」
「それは承知している。だが、それらのリスクを考慮した上で、俺はこの選択をした」
星には俄かに答えを出すことが出来なかった。元々アースセイバーに属していた身としては、新規参入組となるシドウの選択が、どう良くてどういけないのか、そこが判別出来なかった。
ただ、相応のデメリットはある。組織に属する以上有事には駆り出されることになるし、危険も相応に増える。
「個人的にはやめた方がいいと思うんですが……」
「だが、現状では俺には打つ手がない。詠人は詠人で音信不通になっているし、奴の回りが何やらキナ臭い。姿の消えたヴァイスの件もある。いざという時、後ろ盾がなければ俺も動けん」
それに、と付け足す。
「アカネに出会うまで、俺は根無し草だった。それに、今まで父親らしいことは何一つして来なかったからな。さすがに、何もかもアカネに任せて自分の目的に走るのはもはや無理だ。確かに、アースセイバーに入ることで何らかの危険は増えるだろう。だが、そこを考えても俺はやはり入ろうと思う。危険に相応して、対処の方法も増える。それで50:50だ」
「む……」
確かにシドウの意見は一理ある。それに、話している途中で気付いた。
シドウは既に意志を固めているのだ。守るべきを守るため、アースセイバーの一員となるという意志を。
わざわざ自分の所にやって来たのは、その意志をあらためて確認するためだろう。
「……わかりました。なら、こっちの方から連絡はしときます」
「すまんな」
そう言って、シドウは頭を下げた。
―――だが、このすぐ後に「千年王国」によるウスワイヤ襲撃事件が発生。シドウの参入は先延ばしとなった。
そして今。
「……ん、モエギ。流也はどこ行った?」
「霧波? あいつだったら東の平原に行ったぜ」
- 263
:スゴロク:2011/11/26(土) 00:40:16
- 『……やっぱり、見つからないの?』
「さっぱりだ。本当に死んだんじゃないか?」
「俄かには信じられねえな……簡単に消えるような男じゃねえんだが」
東の平原。樹木の姿のアカノミの前に、幹久朗と流也がいた。
アカノミ言う所の「白い闇」、即ちヴァイス=シュヴァルツの消息を確かめに行っていたのである。八方手を尽くして調べては見たが、結果は空振り。やはり、死んだとしか思えなかった。
「浮世歌でもダメか?」
『うん……全然引っかからないんだ』
「それでもなお、奴が生きてるとお前は言うのな……」
はぁ、とため息をつく流也。ヴァイスの死亡記事は彼も読んだが、半信半疑というのが正直なところだった。奴とて人間である以上いずれは死ぬ。だが、あんなに簡単に死ぬものか? そう思っていた。
『どうしても信じられない……あんなに異質な存在が、簡単に消えるなんて』
「能力も性格もブッ飛んだ奴ではあったけどよ、人間だろ? 死んだら死ぬさ」
幹久朗の言い分ももっともだったが、そもそも前提である「ヴァイスが死んだ」という事実すらつかめていないのだ。正確に言うと、「死んだ証拠」も「生きている証拠」も掴めていないのだ。
これでは本当に雲隠れだ。奴が今どうなっているのか、誰も知らない。
「まあ、何にせよ、警戒はしといた方がいいぜ。いざ本人に出くわした時、『莫迦な、何で生きてやがる!?』ってのはまずいぜ」
「だよ、なぁ……」
なおも「必要あるのか?」と言いたげな幹久朗だったが、アカノミが『絶対にそうした方が良い』と力説して来るのにややたじろぎつつも、それを肯定した。
「主は主で切羽詰まってるし……はぁ、問題多いなぁ」
「気張れよ幹久朗。向こうさんもよ、百物語組に支えられて『頑張ってリーダーをやってる』状態だからな」
「ちぇっ、他人事だと思って」
同刻。
「こーんにーちはー」
「ん? いらっしゃい、何にする?」
亜音のレストランに声が響く。やって来た客は、全身を白で装った小柄な少女。
いつもならマナがいる席の真向かいに座り、胸元からひも付きの財布を引っ張り出すと遠慮なく注文して来る。
「んーと、オムライスと、オレンジジュースね」
「はいよ。正人ーっ、こっち頼む」
「わかりました、ちょっと待ってて下さい」
返事を聞きつつ手を動かす亜音。ふと、気付いた。
(……そういえば、さっき扉の開く音がしなかったような……)
「ルーツ、ミネルヴァは?」
「さっき、向こうの方で見たってよ」
「何? あの方向は……」
「どうした?」
「いや……ちょっとな」
(レストランか……時期尚早だが、どうしたものか)
崩壊序曲
(に、なるかどうかは)
(これから、わかる)
大黒屋さんより「天河 星」「楠原 亜音」「幹久朗」「アカノミ」名前のみ「秋山 春美」十字メシアさんより「モエギ」をお借りしました。
- 264
:えて子:2011/11/26(土) 22:03:02
- 最近出せてなかったこの子を出す。
サイコロさんより「瀧登紀一」さん、名前のみ「桐山貴子」さん、しらにゅいさんより名前のみ「トキコ」さんをお借りしました。
…今日は、お勉強がない日だった。
最近、ホウオウグループは、みんなバタバタしている。
だからかな、アオのお勉強も、少ない。
やることがないから、アオは今日も公園にいた。
「……………」
公園で、人を見る。
やることがない時は、アオはいつもこうしてる。
前に、トキコに「楽しいの?」って聞かれたことがあるけど…アオは『楽しい』って、よく分からない。
ただ、いろんな人を見ていると、すぐに時間が過ぎるから…だから、見てるだけ。
「…………?」
今日は、変な人を見つけた。
公園にある機械…トキコは、『じどうはんばいき』って言ってたっけ。
その近くで、地面に倒れている人がいた。
時々動くから、死んではいないみたいだけど……倒れた人は、起き上がろうとしない。
何をしているんだろう。聞いてみよう。
「………」
「ぅおー……あと、もう、ちょっと…」
アオが近づいても、倒れた人は倒れたままだった。
アオに気づいていないのかな。…変な人。
「……何、してるの?」
「うぅわああああああああああっ!!?」
……聞いたら、大声を上げられた。倒れてた人は起き上がって、目を真ん丸くさせてアオを見ている。
最近教えてもらったんだけど、これ、『驚く』って言うんだね。
この人、アオを見て驚いたのかな。何でだろう。
「………何、してるの?」
「あ……き、君は…?」
「…アオは、アオギリ」
「………何、してるの?」
- 265
:えて子:2011/11/26(土) 22:04:19
- …倒れていた人は、タキトウ キイチって名前だって、教えてくれた。
キイチは、じどうはんばいきの下に、お金を落としたから、取ろうとして倒れていたって教えてくれた。
今、アオはキイチと一緒にベンチに座ってる。
アオは、ジュースの入った缶を持ってる。キイチがじどうはんばいきで買ってくれた。
「……飲まないの?アオギリちゃん、オレンジジュース嫌いだった?」
「ううん」
「うん?じゃあ、何で…」
「…どうやって、飲むの?」
そう聞いたら、キイチはガクってなった。
何でだろう。
「そ、そうか……よし、俺に貸してみ」
キイチに缶を渡したら、キイチはぱきって音を立てて缶を開けてくれた。
「ほれ、開いた」
「……ありがとう」
受け取った缶には、穴が開いていた。
キイチは、力持ちなんだね。
ジュースは、甘くて、すっぱかった。
ジュースを買ってもらって、飲めるようにもしてもらった。
これって、「いいこと」だよね。
いいことしてもらったら、「お礼」しないといけないね。
「……キイチ」
「ん?どしたー、アオギリちゃん」
「…手、出して」
キイチが手を出したから、ポーチからこんぺいとのビンを出して、キイチの手に中身を少し出した。
「…え?これ…」
「こんぺいと」
「いや、それは分かるんだけど…何で?」
「お礼。いいことされたら、お礼するんだって、教えてもらったから」
そう言ったら、キイチはまた目を丸くして驚いた。
キイチ、驚いてばっかりだね。
その後キイチは、丸くしていた目を細くした。
これは、『笑う』って言うんだっけ。
「そっか…ありがとな」
「…どうして、キイチが言うの?」
「嬉しかったから」
「…?嬉しいと、ありがとうなの?」
「ああ、そうだよ」
「ふーん…変なの」
「変!?」
キイチは、また驚いた。キイチって、たくさん驚くんだね。変なの。
…でも、『嬉しい』って、何だろう。
帰ったら、タカコに聞いてみようかな。
「………あ」
考えてたら、タカコからもらった機械が鳴った。
『アラーム』だって教えてもらったこれ、時間を入れるとその時間になったときに教えてくれるんだって。
帰らなきゃいけない時間に鳴ってくれるから、便利。
「アオ、帰る」
「ん?一人で大丈夫か?」
「うん、大丈夫。またね、キイチ」
手を振ったら、キイチも振ってくれた。
たくさん振ってから、帰った。
…キイチって、変な人だったな。
今度は、キイチのこと、もっと知りたいな。
アオギリ、キイチと知り合う
(その後)
(「嬉しい」って何?と聞かれたタカコは)
(答えるのに苦労したとか)
- 266
:スゴロク:2011/11/27(日) 20:33:43
- 「崩壊序曲」の最後の続きです。力尽きてしまったので……。
「ごちそーさまでしたー!」
オムライスをたいらげ、少女は元気よく言って合掌した。行儀のいいことだ。
「ありがとう。正人ー」
「はいーっ」
既にレジのところに正人がいた。由衣も奏もいないこの時間帯、正人が生命線だ。
「えーと、お会計は……あれ?」
「ん?」
間の抜けた声がふたつ、重なった。
レジ打ちに気を取られた一瞬の内に、少女の姿が消えていたからだ。会計皿の上に、紙幣を一枚残して。
「い、いつの間に……」
「って一万!? ちょ、ちょっとお客さーん!? お釣りは……」
正人が飛び出して叫んだが、少女の姿は既にどこにもなかった。かなり微妙な面持ちで戻って来た正人に、厨房から千春が声をかける。
「正人ー、手が開いてるならこっち手伝ってくれー」
「あ、ああ、すぐ行く」
万券をカウンターにおいて厨房に消える正人を横目に見つつ、亜音はまた異和感を覚えていた。
(来たときも、さっきも、戸の開く音がしなかった……何で?)
「お、いたぜ」
「!」
同刻。レストラン周辺を歩いていたルーツが、隣を歩くクロウにそう言った。彼が示した先には、今まさに壁をすり抜けて現れた白い短躯。
「ミーネ、何をしている」
「あ、ルー君、クロさん」
「……その呼び方はやめろ。何度言えばわかる」
再会早々に頭を抱えるクロウ。ミネルヴァは他人に妙なあだ名をつける癖があり、ホウオウでさえ「ホーさん」呼ばわりしている怖い者知らずだ。当の本人は一度、面と向かって言われた際には無反応だったが、微妙に眉をしかめていた。
「えー? でも……」
「でもじゃないだろ。クロウの言う事は聞いとけ」
「はーい……」
口調と短躯からはわかりづらいが、彼女は16歳だ。なぜこんなに背が低いのかは誰も知らない。そして、もう一つ。
「やたらに壁抜けをするな。見つかったら面倒だろうが」
「近道したかったから、つい……」
「ついでは済まん。見つからなかったからいいが、今後は控えろ」
「むー……」
彼女の能力は、障害物を無視しての出入り。扉も、壁も、バリケードも、進入・退却を遮るあらゆるものは彼女には無力。たとえ人の壁でさえ、するりと抜けてしまう。
「……それより、二人とも何してるの?」
「俺はいつも通りだ。ルーツが配置転換で俺の方に回って来たんでな、潜入メンバーに面通しをしておくつもりだ。お前も来い」
「拒否権はなし、ね。わかりましたー」
はーい、と手を上げるミネルヴァ・・・・・・ミーネを加え、クロウ達はいかせのごれを行く。
ニアミス……?
(ある意味)
(彼らにとっては、よかったのかもしれない)
大黒屋さんから「楠原 亜音」名前のみ「夏香 由衣」「夏香 奏」しらにゅいさんから「千春」をお借りしました。
- 267
:スゴロク:2011/11/29(火) 23:08:09
- こちらも動かします。
「……ーっ、終わったー」
「お疲れさまでした、先生」
いかせのごれ高校近辺の、一件屋。仕事を終えたツバメは、椅子に背を預けてうーっ、と大きく伸びをした。
原稿をとん、とんと揃え、雨里が言う。
「それでは、私は社の方へ一旦戻りますので」
「お願いねー、雨里ちゃん」
「はい」
封筒に原稿を収めて紐で閉じ、小脇に抱える。
「では、失礼します」
原稿を無事に届け、社を出た雨里。んーっ、とツバメの如く伸びをする。
「あぁ、いい天気……」
視界に入った空は、珍しく快晴だった。雲一つ見当たらない。
腕時計に目を落とすと、まだ昼前だ。
「先生、今月は珍しく仕事が早かったからなぁ……よし、ちょっと早いけどお昼にしよっと。いつも家にこもってばかりじゃ、もったいないし」
どこか弾む気分が足取りにも現れ、軽くスキップしながら雨里は雑踏にまぎれて行った。
街中を行きつつ、良さそうな店を探す雨里。歩を進める中で思い出すのは、3年前のこと。
(先生に拾ってもらわなかったら、あの時死んでたわね)
雨の中、街を彷徨っていた自分。服はボロボロ、全身傷だらけ、正直生きているのが不思議な状態だった。
力尽きて倒れた時、自分を遠巻きにしていた雑踏の中から走って来たツバメが救ってくれたのだ。
だが、救われた自分はそれ以前のことをまるで覚えていなかった。名前すらも。
しばらくツバメの家に厄介になり、回復してからは自立しようと考え、仕事を探した。しかし、そもそも身分証明すらない自分に何が出来る?
現実的な問題に直面した時、助けてくれたのはやはりツバメだった。
『任しといて! 私が何とかしたげる』
胸を叩いて自身満々に言った彼女が、その後何をしたのかは知らない。
ただ結果として、「夜見 雨里」という名前と戸籍、そしてツバメの担当編集者という仕事を得た。
それから、3年。過去の記憶は相変わらず戻らないけど、もう気にしていない。
今、十分幸せだから。
「……あれ?」
「ん? どうしたんだ、トキコ」
同時刻。休日だったこの日、スザクと連れ立って歩いていたトキコは、車道を挟んだ反対側の歩道にある人影を見つけ、足を止めた。
「ん……何か、前に鴉さんが言ってた人に似てるなーって」
「クロウ? あいつ、また何かやったのか?」
「昔組んでた人がいるんだけど、いなくなっちゃったんだってさ。何でか知らないけど」
言う間に、その人影は雑踏に消えて行った。
その背を目で追いつつ、トキコは携帯を取る。
(一応、連絡しとかなきゃね)
隣でスザクが微妙な表情をしているのが気になったが、これは仕方がない。
短縮でクロウを呼び出し、話す。
『トキコか? どうした、ナハトの手掛かりでもあったか』
「開口一番それ? ま、いいけど……手掛かりって言えば手掛かりかな。似たような人、今見たよ」
『何? どこだ』
「大通り。学校の方に行ったと思う」
『いかせのごれ高校だな? ちょうどいい、通り道だ。すぐに向かう』
言うや否や、礼も言わずにクロウは通話を切ってしまった。
「あっ、ちょっと鴉さん? ……切れちゃった。愛想ないなぁ」
「あいつに愛想を期待する方が間違いだと思うぞ、僕は」
確かに。
「まあ、いいか。行こう。早く、ほら」
「? うん……」
なぜか微妙に不機嫌そうなスザクに手を引かれ、トキコは雑踏の中を歩いて行く。
―――トキコと携帯で話せる、という事実にスザクが嫉妬していた、と気付いたのは帰ってからだったとか。
夜影
(覆い隠された真実は……)
しらにゅいさんから「トキコ」をお借りしました。書いて見て思ったのですが、明らかに以前よりクオリティが低下している……いつぞやのような激突話でも書かねば。
- 268
:十字メシア:2011/11/30(水) 01:27:34
- >スゴロクさん
うちの新キャラがゲンブさんを助ける話書いてもいいですか?
すぐには書きませんが…;
- 269
:スゴロク:2011/11/30(水) 01:41:24
- >十字メシアさん
どうぞどうぞ、是非書いてやって下さい。
まったく問題ありません。
- 270
:十字メシア:2011/11/30(水) 20:47:19
- スゴロクさんの「玄武、桜に惑う」の続きです。
スゴロクさんから「水波 ゲンブ」「サクヤ(咲耶)」をお借りしました。
「くそっ…いつになったら出れるんだ…」
『まだ言ってるの?』
「はあ…何故こんな目に…」
空に朧月が浮かび、桜の大樹が佇むそこで、ゲンブは苛立ちを感じつつ何度も溜め息をついていた。
『それにしても、あなたは一体何なの?』
「どういう意味だ」
『さっき言ったでしょう、ここに入れるのは妖怪だけだと。まさかあなたも?』
「そんな筈はない。俺は人間だ」
『ならどうしてここにいるのかしらね』
「それはこっちの台詞だ」
『…ま、いつかは誰か来るでしょ』
「はあ」
ゲンブはその『いつか』に焦りと苛立ちを感じ、また溜め息をついた。
と。
『…あら?』
「どうした?」
『誰かが来たみたいね』
「何?」
『ほら、あそこ』
とサクヤが指差した方向には、確かに一つの人影が見えている。
『ま、良かったわね。ようやく出れるわよ』
「あ、ああ…しかし見かけない姿だな」
『そうね。百物語組の人では無さそうだし…』
人影が段々近付いてくる。
そこでようやく、出で立ちや顔がはっきりと見えた。
人影は少女だった。
乱れた長い髪は黒く、ボロボロのマントも黒い。
黒で埋め尽くされた彼女だが、ただ黒い目の中の瞳は、白かった。
それだけで人間ではない事は明らかだ。
『どうもこんにちは』
「………」
『別に警戒しなくてもいいわよ、ここは何もないし』
「………お前は、ここの者か」
ようやく口を開いた少女。
周りに玲瓏たる声が響き渡る。
『ええ。ところであなた、百物語組の人?』
「百物語組…?」
『違うみたいね』
「………」
「いかせのごれに住み着いている者か?」
「……間違いではない」
「…なるほどな」
『さてと…あなた、どう来たかは分かるわよね?』
「ああ」
『なら、この人も一緒に連れ出してくれるかしら?』
「?」
『妖怪では無い筈なんだけど、何故かここに迷いこんじゃったみたいで。いい?』
「…分かった」
『良かったわねー』
「うむ…しかしお前、何者なんだ」
「………」
人間とは違う目をゲンブに向ける少女。
しばらく黙っていた後、口を開いた。
- 271
:十字メシア:2011/11/30(水) 20:48:15
- 「…我は、全てを奪われた命」
「奪われた?」
「我はあの女を探している」
「女?」
『会ってどうするの?』
「……会ったら、この手を」
「そいつの血で染める」
『……』
「復讐…か」
「今の我には、それだけだ」
「…そうか」
「……出たいんだったな」
「ああ」
「来い、こっちだ」
少女は身を翻し、歩き出す。
と。
『ちょっと待って』
「…何だ」
『名前は?』
「……捨てた。今の我は、『復讐者(ヴェンデッタ)』だ。」
『ヴェンデッタ…ね。また会えるかしら?』
「…我はこの地をさ迷っている。また廻るだろう」
『そう。ではまたいずれ』
「……いずれ、な」
再び歩き出す少女―――ヴェンデッタ。
ゲンブはその後をついていく。
「…ヴェンデッタ」
「?」
「お前は一体何の人外だ?」
「…今の我は、何でもない。敢えて言うなら…『半魔人』と言った所か」
「半魔人? それは―――」
刹那、一陣の風が吹いた。
それによりヴェンデッタの黒いマントが大きくはためく。
その下には―――氷と鎖に覆われた人ならざる右腕が。
「……」
「これが、その証だ」
その言葉を最後に、ヴェンデッタは口を閉ざした。
しかしそれでも、ゲンブには割り切れない思いがあった。
(人外である事には間違いないが……)
―――ここに入れるのは”妖怪”だけよ。
(妖怪というより、”魔物”という感じだな…しかしここに来たからには……)
考察を張り巡らすゲンブだったが、結局最もな結論は出なかった。
玄武、復讐者(ヴェンデッタ)に救われる
「ところで、何であそこに来たんだ?」
「あの女の手掛かりを探しに」
「…その女は、一体誰なんだ?」
「……女は、自分の事をこう言っていた。”冷血”…即ち」
―――”クルデーレ”。
- 272
:スゴロク:2011/11/30(水) 21:54:37
- >十字メシアさん
ありがとうございます! 何やら複雑なキャラクターの登場……これは展開が楽しみですね。
続きを書きたいのですが、現在絶不調につき小説がまともに書けません……。
立ち直り次第続きを書きます。
- 273
:しらにゅい:2011/12/01(木) 22:36:12
- 「神に抗う少女」の続きです。
「・・・なんで?」
パニ・シーと対峙した千鶴は、開口一番にそう言った。
そんな様子を嘲笑うかのように、彼女は楽しげに喋る。
「当たり前じゃないか、何の意図があって『パニ・シー(ボク)』と接触を図ろうとしたか知らないけど・・・
下手なことをすると、君は歴史から消え去ることになるよ。そんなの嫌でしょ?」
相手が己の敵である日出太陽こと、イノセント・プリンスと友人関係であることを知ってか、
パニ・シーの眼に映るは警戒の一色であった。もっとも、ゴーグルをつけているからそれが見えることはないだろうが。
「生憎、今『パニ・シー(ボク)』は気分が良いんだ。今なら『パニ・シー(ボク)』に接触したという事実だけ消して、
命だけは逃がしてあげ・・・」
「よいしょ。」
「!?」
しかしハンチング帽を被った記者は、彼女の言葉に聞く耳も持たずに堂々と隣に座ったのであった。
横にいるのは狂気を纏った『正義の味方(パニ・シー)』、なのに彼女はそれよりも窓枠から見下ろした10階の
高さの方に恐れ戦いていたようだ。
「こ、これ怖いね・・・!?パニ・シーちゃん、怖くないの?」
「・・・・・・・・・」
「あー、でもこれ慣れれば意外にスリリングで楽しいかも・・・
!ッハ、絶対後ろから押さないでね!?やっぱり落ちたらこれは怖い!!」
「・・・・・・・・・」
怯えている(?)彼女には明確な殺意も、裏めいた感情も見当たらない。
毒気を抜かれてしまったのか、パニ・シーは呆然とした様子で千鶴を見ていた。
そして当の本人は高さに慣れたのか、鞄からお菓子を取り出し始めていた。
彼女の手に握られているのはパニ・シーもよく知る、市販のチョコレートスティックだ。
千鶴はニコニコと笑いながら、それをパニ・シーに差し出した。
「食べる?」
「・・・・・・・・・」
「毒とか入ってないよ?」
- 274
:しらにゅい:2011/12/01(木) 22:42:58
- 確かに差し出されたお菓子にはまだ真新しいテープが張られており、
購入後、千鶴の手によって開封されていないことを明確に示していた。
毒を入れる隙間など、おそらくないだろう。
しかし、パニ・シーはこの菓子を素直に受け取れずにいた。
単純に___慣れてないのだ。
『海女海 海海』として他者と接触するなら上辺だけ取り繕えばいいものの、
『パニ・シー』として、それもこちらが敵意を表しても尚友好的に接してくる相手に対し、
どのように扱えばいいのか、分からなかった。いや、普段通り友好的な態度を取り繕って、それで…
「…私、なんか難しいことしてる?」
「え?」
「別に、パニ・シーちゃんはありのままで接してくれていいんだよ?
ほら、何かヘマしたらすぐその能力使って消せばいいんだし、話せるだけ話して消しちゃえば問題ないでしょ?」
「………」
「まぁ食べないなら持ち帰って、お兄さんと一緒に食べてよ!せっかく買ったのにもったいないし。」
そう言った千鶴は無理やりお菓子をパニ・シーに押し付け渡すと、自分の分を破り、チョコを美味しそうに頬張った。
愚かなのか、余裕なのか、得体の知れない人物に多少の嫌悪感を彼女は覚えたのであった。
そして、早く終わらせてしまおう、と考えたパニ・シーは千鶴に話しかけてきた。
「ねぇ、お姉さんはさ…」
「チヅルでいいよ?」
「…チヅルはさ、『正義の味方(ボク達)』のことをどれくらい知ってるの?」
イノセント・プリンスとの会話内容は既に知っている、しかしあえて千鶴にカマをかけてみたのだ。
もしここで嘘をつけば、彼女の裏の感情が露になる。そうすれば、彼女は今までと同じだと安心出来て、いつもの調子を取り戻せる。
だから問い掛けてみたものの、千鶴は指を顎に当てて考える仕草をすると、「うーん」と声を漏らし、答えた。
「分かってること聞いてて面白い?」
「………」
「まぁ、タイヨーさんから聞いたのはあなた達の簡単な素性と今までの行動パターン、
あとパニ・シーちゃんがいかせのごれ高校では海女海 海海って名乗っていること…それぐらいかな?
他に何か話したといえば、今度レストランにお食事でもいきませんかーってぐらいだけど。」
___なるほど、こちらが相手を分かっていたかのように、あちらにもこちらの動きが分かっていたようだ。
となれば、やはりこの人も能力者である可能性が高い。
- 275
:しらにゅい:2011/12/01(木) 22:49:32
- 「(消せばいい、的な。)」
自分と兄以外この世に必要ない、だから他人に手を出すことなど厭わない。
人外ならば、尚更のこと。
隠し持っているナイフの感触を再度確かめた。
黒い感情がグルグルと回るパニ・シーを余所に、千鶴は呑気に喋り続ける。
「でもねぇ、私知らないんだ。貴方達がどうしてそんな凶行に至ったのか、何故関係のない人まで巻き込むのか、
…その復讐の行く末が、どうなるのか。」
「結末なんて決まってるよ、『正義の味方(ボク達)』が人外をぜーんぶ滅ぼしてそれでハッピーエンドさ。」
「本当に?」
「本当だよ、そうするって決めたんだから。」
「ふーん…じゃあそれ、間違ってるよ、絶対に。」
「……は?」
事情も知らない第三者の否定に、パニ・シーが怪訝な表情を浮かべた。声にも僅かに苛立ちが交じり、
自然とナイフの柄を握る力が強くなった気がした。パニ・シーからの殺気は当に漏れ出しているのに、
それでも千鶴はまっすぐ彼女を見つめていた。
「……もしかして、『神』に殺されるって言いたいの?
ハッ、お生憎様…『正義の味方(ボク)』はね、死にたくても死ねないんだよ。
だって、死んだことも『なかったこと』に出来るし、されるんだから。」
「そう、パニ・シーちゃんの能力をもってすれば、自分に不都合な出来事はすべて消去出来る。
でも代わりに、能力自体が消滅を恐れ、それが身体の防衛反応と共に自動作用されて、君にあった臨死体験もすべて消去されるんだろうね。
まぁ、あくまで憶測だけど。…けど、本当に『すべて』は消去出来ない。」
「?」
「だって、能力者自身が『なかったこと』を覚えてるじゃない。」
「………」
___なるほど、『正義の味方(ボク)』自身の能力も、何も表面だけ理解しているわけじゃないんだ。
「…そうだよ、確かにチヅルの言うとおり、『正義の味方(ボク)』自身が消したことを覚えてる。でも、時々混乱しちゃってさ、
何を消したか忘れちゃうこともあるんだ。たいしたことないなら忘れててもいいんだけどね、的な。」
- 276
:しらにゅい:2011/12/01(木) 22:56:04
- 「それだけじゃないよ?能力者自身が覚えていないことも、必ず誰かは覚えている。」
「……!」
「これは誰か、というよりは何かって言った方がいいかもね。」
パニ・シーの表情が強張った。
この女が虚言を吐いている可能性だって十分考えられる、しかしこうして会話をする目的が一向に分からなかった。
やはり、不確定要素は殺した方が自分たちの為になるか。ならば、目的を聞いてから『消す』としよう。
そう思い、パニ・シーはまた千鶴へと話しかけたのであった。
「…それで?結局何が目的なわけ?」
「えっ?」
「『正義の味方(ボク)』を諭して人外と手を取り合えって?君の能力は完璧じゃないから、
取り返しのつかない事態になる前にやめろって?…馬鹿馬鹿しい、『正義の味方(ボク達)』の覚悟は、
想いは君が思っているほどそんな半端なものじゃない。」
そう告げたパニ・シーの瞳に宿るのは『憎悪』。
今にでもナイフを抜き取り斬り付けて来そうなほど、恐ろしい気配を漂わせていた。
しかし、それでも千鶴は目を逸らそうともせず、表情も崩さなかった。
むしろその表情に表れたのは、笑顔だった。
「だから、最初から言ってるでしょ?お友達になりに来たんだよ。」
「っ―――」
「一人より二人、二人より三人いた方が心強いでしょ?あ、でも『正義の味方(彼)』も『正義の味方(ボク)』だから、
正確には一人かな?一人なら、尚更誰か傍にいた方がいいでしょ?ね、だから・・・」
お友達になろう、その言葉と共に差し出された千鶴の手を、パニ・シーは___
八十神千鶴と『正義の味方』による友愛交渉
「・・・ん・・・?」
昏倒していた千鶴が眼を覚ますと、そこは廃ビルの一室であった。
辺りは異様に暗く、痛む頭を押さえながら携帯を見れば、時刻は八時を過ぎていた。
何故こんな時間帯にこのような場所で自分が倒れているのか、彼女は見当も付かなかったのだが、
「・・・すーちゃん、」
ちりん
女の形をした小さな妖精の一人が目の前に現れると、ほのかな光が発せられた。
そしてそれを見た千鶴は、『すべてを思い出した』。
「・・・あー・・・そっかそっか、・・・まっ、また次回かな!」
そして懲りずにまた、『正義の味方(パニ・シー)』との接触を試みようとするのであった。
- 277
:しらにゅい:2011/12/01(木) 22:57:14
- >>273-276 お借りしたのはエス・ユー・エヌこと日出太陽、パニ・シー(大黒屋さん)でした。
こちらからは千鶴です。
こんな口調で大丈夫だったかなぁ・・・うーん・・・
- 278
:しらにゅい:2011/12/04(日) 13:13:00
- 「今日はあと、キョウヤ君のところで最後かな・・・えっと、部屋は確か―」
「っ!!」
「わっ!?だ、大丈夫ですか!?」
「ご、ごめんなさ……!タマキさん!」
「君は確か、キョウヤ君の妹…メリアちゃん?」
「タマキさん、一緒に来てください!」
「へ?あ、ちょ、ちょっと!!」
………
「だから、謝れっつってんだろうが!!」
「あぁ!?なんでてめぇなんかに謝らなきゃいけねぇんだよ!!」
「んだと?!」
「やるか!?」
「ど、どうしよう……」
「ユウトくん!」
「あっ、メリアちゃん!それにタマキ先生!」
「…っふたりともボロボロじゃないか!一体何が…」
「それが…お兄ちゃんがスプーンを取ろうと能力を使ったら、KEAさんのペンダントも反応しちゃって…」
「あー…」
「引き寄せられたKEAさんと正面衝突したキョウヤさんがお互い謝らなくて、
それで取っ組み合いが始まってああなってるんです…」
「…KEAくんなんて幻龍剣取り出してるからね、他の人達も脅えてるし止めないと。」
「でも危険じゃ、」
「大丈夫、仲裁するだけで何もしないから。」
「タマキさん!」
「はい、二人ともそこまで。」
「シズル!」
「タマキ先生!!」
「喧嘩はやめ、とりあえず怪我を治すからふたりとも医務室に来なさい。」
「待ってくれ、こいつとのケリはまだ着いちゃいねぇ!!」
「そうだぜ、シズル!お前は関係無いから引っ込んでろ!!」
「………」
「だいたいお前は普段から気に食わねぇんだよ!眼つき和ワリぃし!!」
「糸目のてめぇになんぞ言われたかねーよ!!このケイイチもどき!!」
「っ言ったな…!?上等だ、泣きっ面見せてやる!!」
「やれるもんならやってみやがれ!!」
「…KEA、キョウヤ。」
「「あぁ!?」」
バキッ
「「………」」
「…これは『警告』じゃなくて、『命令』だよ?もう一度言う、いいから医務室に来やがれ。
それでも来ないなら、俺がお前等をぶっつぶす。」
「「……スイマセンデシタ。」」
ウスワイヤで喧騒中
(その後、アキヒロも交えて医務室にて)
(3日間夜通しで『説教』が行われたとか)
「あ、じゃあ僕帰りますね。お疲れ様でしたー」
「…お、俺もそろそろ部屋に…」
「うっせぇ黙れキョウヤ。」
「そうだぞ、キョウヤ。説教はまだ終わってない。」
「腹括りなさい、お兄ちゃん。ほら、KEAさんも黙って聞いてるでしょ!」
「いや、気絶してんだけど…正座したまんま…」
- 279
:しらにゅい:2011/12/04(日) 13:15:42
- >>278 お借りしたのは鐘鳴 キョウヤ、鐘鳴 メリア(BBさん)、ユウト(鶯色さん)、
本家様よりKEA、アキヒロでした。
こちらからは玉置静流です。
キョウヤ君が何気に酷い扱いですいません…
- 280
:(六x・):2011/12/10(土) 20:54:46
- 自キャラのみ。ついでに新キャラ二名でてます
孤独少年と天然少女
「不動さーん」
今日も来た。
俺から声をかけたり、何かを要求したことは一度もないのにほぼ毎日話しかけてくる。
「何してるんですかー?」
「息。」
「息は大切ですよねー。」
「…なぁ、お前なんでいつも俺のとこ来るの?」
「不動さん、いつも一人で寂しそうだから。」
寂しそう…ね。あぁ、罰ゲームとかそれ系で言わされてんだな。じゃなかったら俺なんかに話しかけるわけがない。
「そんな気持ち悪ぃ指示出したのはどこの誰だよ。さっさと、『こんなのもう嫌ですぅ~』って抗議して来いや。俺みたいなのに構って無駄に時間使う必要なんてないだろ。」
「何それ!?美琴が優しいからって調子乗ってんじゃないわよ!氏ねクソメガネ!」
「美琴に謝りなさいよ!」
「こいつに構う崎原も崎原だな。つか、むしろ不動が脅してんじゃね?」
「思った!絶対そうだろ。」
「私はそんなこと…」
崎原…俺といたってまとめて中傷されるだけだからもう来るな。明るくて友達が多い奴と、常に一人で暗い奴とじゃ仲良くできるわけないんだ。
「崎原は関係ないだろ、いい加減にしろよ。俺帰るわ。」
ガチで胸糞悪くなったから帰ることにした。
ちょっと言い過ぎただろうけど、これで崎原がなんか言われるという事はないはず。
玄関まで来たところで、空橋に遭遇した。
「あ、不動くん帰るの?」
「空橋こそまた早退か?もう入院しろよ。」
「バイトだよ。…僕そんなに病気っぽい?」
「うん。」
「ひどいなぁー。崎原さんには優しいのに。」
「何の根拠があってそれ言うんだよ。さっきも言ったけどあいつが来るのは罰ゲームだろ。崎原はそこそこ勉強できて歌もうまいから、ブス共がこいつの良心を利用して俺に近付けて変な噂流そうとしてんだろうな。嫉妬キモすぎね。」
「僕が見た限りでは変な集団はいないからそれは大丈夫だと思うよ。やっぱり、崎原さんのこと大切に思ってるんだね。」
「は?!別に大切じゃねーよ、嫌いでもないけど!」
「よかったね、崎原さん」
「ん?」
「はいー。不動さんに嫌われちゃったかなと思ったから、今の聞いて安心しました。」
「空橋、お前最初から…」
「別に騙したわけじゃないから怒らないでよ。」
「不動さんと仲良くしたいだけですー」
「ね!いい人だし。」
「お前らなぁ…そんなに言うなら、仲良くしてやってもいい。」
もっと素直に返したかったけど、嬉しいのと恥ずかしいのが混ざって我ながらひねくれた言い方に…
「喜んで。」
「不動さん、改めてよろしくです☆」
友達なんかいらないと思ってたけど、この二人ならちょっとは信じてもいいかもしれない。
- 281
:えて子:2011/12/10(土) 21:28:40
- 3年生の日常みたいなのをちょっと。
ヒトリメさんから「阿久根 実良」さん、十字メシアさんから「角枚 海猫」さんをお借りしました。
「んー……静かな中での読書はいいもんだね。利用者が少ないってのがアレだけど…」
人もまばらな図書室。
図書委員長の佑は、暇をもてあましながらカウンターで本を読んでいた。
と、ページをめくる手がぴたりと止まった。
話し声がカウンターへと近づいてくる。
「いい加減にしなって。そんな本図書室にあるわけないじゃん」
「そんなことはない。この部屋の書物を司る彼女であれば、俺たちが知らぬ書の存在も知っているかもしれん」
同級生の角枚 海猫と阿久根 実良がやってくるのを見て、佑は本から顔を上げた。
「…海猫に実良?珍しい組み合わせだね、どうしたの?」
「ああ、聞いてよ佑。こいつったら闇の書が図書室にあるかもしれないって言って聞かないんだよ」
「?そういった本は図書室にはないかなぁ…禁帯出の本でも見たことないし」
「……そ、そうか…」
「ほら。だから言ったじゃない?」
肩を落とす実良に、呆れたような表情をする海猫。
そんな二人に佑は「あ、そうだ」と声を上げた。
「代わりと言っちゃ何だけど、黒魔術の本なら今私物として手元にあるよ」
「「 マ ジ で !? 」」
「マジで。確か鞄の中に……あ、あったあった。ほら、これ」
そう言って、佑は二人の前に一冊の本を差し出した。
黒い表紙に金色の英字でタイトルが書かれた、分厚いハードカバーの本だ。
「ほ、本当に…」
「佑、あんた何でこんな本持ってるの?」
「この間本屋で見つけてさ、興味があったから買ったんだ。歴史とか魔術の種類とか詳しく載ってて面白かったよ」
「へ、へぇー…」
「実良。私はもう読み終わってるから、これで良ければ貸すけど…」
「え…いや、その…」
「ん?どうかした?」
「い、いや!……そうだな、借りておこう」
「うん。これは図書室の本じゃないから、返すのはいつでもいいよ。汚したり破いたりしないようにだけ、気をつけて」
「ああ、分かった」
図書室のひとコマ~委員長と厨二と格闘家~
(図書委員長、我孫子佑)
(別名「図書室の主」)
(奴に解読できぬ書はなく、全ての書物は彼女の前に平伏す―)
「……そんな別名聞いたことも言ったこともないし、さすがに私にも読めない本はあるよ、実良」
「!?お前、俺の心を…!」
「いや全部口に出てたからねあんた」
- 282
:紅麗:2011/12/15(木) 02:20:47
- 会話文のみとなります。
どれが誰かわかりにくいかも…。
十字メシアさんの「弐二
簀」「ミユカ」「白奈」ヒトリメさんの「浅田郁人」しらにゅいさんの「朱鷺子」鶯色さんの「ハヤト」akiyakanさんの「都シスイ」をお借りしました!
自宅からは「浅木旺花」「高嶺利央兎」名前のみ「榛名有依」です。
「んじゃあ、お手柔らかにー」
「あぁ、こちらこそ」
「「…いただきまーすうおおおおおおお!!!!!!」」
大食い競争、スタート!
「な、なんだぁ!?今の叫び声。」
「どうやら、二組からのようですね。」
「に、二組で一体何が…?」
「先程、二組が家庭科室から大量のお菓子を持って出てくるのを目にしました。つまり、こういう…。」
「あーまた始まったイクトさんの長い長ーいお話!アーアーボクナニモキコエナイ。」
「…オウカ君の為に簡単に説明します。二組ではきっと、家庭科の時間に作られた大量のお菓子を使っての大食い競争でも始められたのでしょう。」
「なるほど。」
「「ぅおおおおおおお!!」」
「す…すげぇ…みるみるうちになくなってくぞ!」
「リっくんもすーちゃんも頑張れー!」
「ほらほらピンク玉、負けたらゆーちゃんに呆れられちゃうよ~?」
「も が っ … !」
「み、ミユカ!今のあいつにユウイの話はダメだ!」
「キッシシシ、だって面白いんだもん!」
ばくばくばくばく
「なっかなかやるじゃん、リオト君」
「ふん、女子なんかに負けてたらみっともないだろ」
「その余裕、いつまで持つかな?」
「その言葉、そっくりそのまま返し…ごふぁッ!!」
ガタァアン!
「「!?」」
「り、リオトがぶっ倒れたぞー!」
「えっ、えっ、リオト君?どしたの?」
「リオトー、おーい、リオトー。
……駄目だ、気ぃ失ってる。」
「胃が限界だったとかか?」
「いや、リオトに限ってそれはないな。隙あらば俺の弁当を盗み食いしてこようとする奴だ。」
「(うわ、ハヤトかわいそー)」
「思い当たるとすれば…」
(そういえば、トキコの料理の腕がね…)
「「あ」」
「と、トキコ」
「ん?なーに、一角君」
「お前、家庭でお菓子作った?」
「当たり前じゃーん!作ったよー!」
「で、このお菓子の山の中に入れ、た?」
「うん、入れたよー!ハヤト君までなんなのよー。」
「……リオト、かわいそうに」
「取り敢えず、保健室だな」
「あぁ…。あ、この勝負簀の勝ちー!」
「いやっほぉおおおい!!」
(その後、ハヤトとシスイによって)
(保健室に運ばれたリオト)
(彼は数時間と寝込み続けたそうな)
「あんなぐらいでぶっ倒れるなんてまだまだだねー」
「くっ…!くそ、うるさいな!」
- 283
:サイコロ:2011/12/15(木) 14:48:14
- 都市伝説:侵話 二灯目 ~人面虎~ の後の出来事です。
お借りさせていただいたのは十字メシアさん宅から出雲寺 愛澄、亜寺 義仁、九柳 亜樹斗、
Akiyakanさん宅から人面虎です。
<三人組の申し出。>
「また派手にやられたな、組長さん。」
ヨシヒトが運ばれた後。人面虎襲撃の片づけを始めようとする
出雲寺組の前に、ショウゴ、コトハ、リュウザの3人が現れた。
殺気立ってる出雲寺組の組員達は何も言わない。
ただ、先の抗争で争ったショウゴ達を睨むばかりだ。
抗争は終わったと言っても、そうそう簡単に気持ちが切り替えられる訳ではない。
「何しに来やがった。」
「情報提供と援助の申し出だよ、アキト。」
「・・・何?」
「聞こえなかったのか。情報と援助だよ。出雲寺組は
よほど近所付き合いが良いらしいな。ご近所さんの中に
襲撃者を見た人がいた、聞いたら教えてくれたよ。敵さん、
出て行く時には両腕が使い物にならなかったそうだ。
派手な穴もいくつか空いとったらしい。
暫くは表立って出てこないだろうな。
・・・アキト、お前得意の盗聴器やら監視カメラやらは?」
「まだ確認してねぇ・・・」
「頭に血が上り過ぎなんだよ、そんなんじゃ行動が単純化しちまうぞ。頭を冷やせ。」
「うるせぇ!お前に何が分かる!家族がやられたんだぞ、ここまで!何がわk」
そこまで言った所で、アスミがアキトの頬を叩いた。
「止めなさいアキト、ショウゴさんだって・・・」
言葉を止めるアスミ。鬼英会と出雲寺組の抗争における、
ショウゴ達の真相は知っている。
総長であった父親と次期総長だった義妹の遺体は
未だに見つかっていないと聞いている。
アキトは呆然とアスミを見、そしてシュンとなると視線をショウゴに戻した。
「組長さん、アキトは悪くねぇよ。俺の物言いが悪かった。許してくれ。
もうひとつ、援助の事についてなんだが…」
コトハとリュウザが一歩ずつ前に出る。
「この二人は学校に通って無いんだ。ヨシヒトが『戦線復帰』するまで、
代わりにこいつらをここに置いてくれないか。」
「・・・昨日の敵は今日の友、とでも?」
ショウゴは周りの視線を気にせず飄々と返した。
「ここの連中は器が狭くねぇだろう?勿論、たまには俺も来よう。」
ニッっと不敵に笑うと、ショウゴは腕を組む。
しかしその表情もすぐに真剣なモノに変わる。
「どうにも最近キナ臭くてな。鬼英会だけじゃない。
ウスワイヤにホウオウグループとやらの襲撃があったらしいじゃないか。
学校だってどうにもおかしい。
挙句に此処の襲撃だ。どこもかしこもキナ臭ぇ。
準備に『し過ぎる』というのは無いモンだ。」
アスミは周りの組員達を見、ズタズタにされた屋敷を見、そしてショウゴを正面から見据えた。
「申し出感謝致します。是非、力を。」
「よし来たガッテン承知の助、ってな。」
「ショウゴさん、古いよそれ…」
「うるせぇリュウザ、んじゃま、片付けから始めますか。」
- 284
:サイコロ:2011/12/15(木) 16:31:22
- ショウゴとアッシュの不穏な邂逅。
お借りしたのはakiyakanさん宅からアッシュ、都シスイでした。
<ショウゴと銀角>
ショウゴは携帯を弄りながら購買に向かっていた。
目的は昼飯ではなく、丁度切れたボールペンの替え芯である。
昼休みも中ごろ、既にパンはほとんどが売り切れ状態であるが、
目的の替え芯は入荷したばかりなのか山のように積んであった。
ボールペンの替え芯を買い、購買を出て、
替え芯をとり変えながら階段を登っていた、その時。
ショウゴは、不意にあの匂いを感じた。
そう、血と鉄と、臓物の匂い。
バッと階段の上を見ると、そこには「見慣れたハズの」男が腰掛けていた。
「・・・お前、誰だ?」
「?」
「俺はお前によく似た奴を知ってる。が、
お前はそいつとは違うみたいだな。お前は一体誰なんだ?」
「驚いたなぁ、先輩は分かるんですか。」
「ああ、まあな。で、お前は誰なんだ。」
「アッシュ、ですよ。この間転校してきたんです」
「そうか。俺はショウゴ、柔道部の部長だ。」
「そうですか。よろしくお願いしますね。」
「・・・。」
ショウゴは差し出された手を掴まなかった。
「悪いな、『俺は握手が嫌いなんだ』。」
「・・・そうですか。」
アッシュは手を引っ込める。
ショウゴはその横を歩いて階段を上って行く。
「因みに、どうして僕がシスイ兄さんじゃないと思ったんです?」
「簡単な事だよ。『シスイがそんな所で飯を
食ってるのを見た事が無いってだけさ』。」
ショウゴは階段を登り切ると、廊下へと姿を消した。
アッシュはショウゴのデータを思い出す。
(彼はタガリショウゴ・・・柔道部部長で、ヤクザの隠し子だったはず。
先の鬼英会と出雲寺組の抗争で確か…)
思考は止めず、階段から立ちあがると降りて行く。
謀略かそれとも余裕か、口元に微妙に笑みを浮かべて歩いて行く。
ショウゴは教室に戻ると、弁当を開けて喰い始める。
(・・・見分けられなかったが・・・武器を隠し持ってる雰囲気だったな。
それにしてもアッシュとか言ったか、奴の臭いは『強烈』だったな。
・・・チッ、きな臭ぇ・・・この学校まできな臭くなってきやがったぜ。
あんなに血と鉄と臓物臭いの感覚を放つような奴が現れるたぁな・・・。)
弁当を掻き込みながら、ふとショウゴはシスイ達の事を思い出す。
「あいつら大丈夫かな…。」
- 285
:えて子:2011/12/15(木) 17:53:21
- 会話文のみです。
十字メシアさんから「角枚 海猫」さん、「百々江 想」さん(名前のみ)、ヒトリメさんから「阿久根 実良」さん(名前のみ)をお借りしました。
「……ねえ、海猫」
「ん?どうしたの佑」
「私さ、実良を見ててちょっと考えてることがあるんだけど…」
「あー、あいつ?そういえばあんたよく普通に話せるよね」
「そりゃ話してて面白いからね」
「痛い奴とか思ったりしない?」
「別に?個性のひとつだろうし。…んで、考えてることなんだけどね?」
「うん?」
「…厨二病って、奥が深いと思うんだ」
「………は?」
「だってさ、普通反対と言うか逆の性質のものをぶつけると相殺されるじゃない?熱血な人とクールな人ってのも凸凹コンビとか言われたりするじゃない?なのに厨二病にはそれがないんだよ!?逆の性質ぶつけて相乗効果発揮したり、似たような性質ぶつけて相殺気味になることもあるんだよ!?厨二病って一朝一夕じゃ理解できない深い何かなんだよ!!これはもう真剣に議論すべき問だ」
「しなくていいから」
「……」
「……」
「…2年にさ、想さんっているじゃない」
「ん…ああ、いるね」
「あの人ってさ…エルフじゃない」
「あ、ああ…まあ、そういう設定らしいね」
「んでさ、住んでた場所を焼かれたって言ってたじゃない」
「……そういう設定らしいね」
「…大丈夫なのかな…」
「……何が?」
「だって住み処を“焼かれた”ってことは少なくとも焼いた犯人がいるってわけで、もしかしたらエルフ族を攻撃してきたのかもしれないじゃない。だとしたら想さんも狙われている可能性は十分にあると思うんだ。なのにあんなに大々的に公言してたらその犯人の耳にも届いちゃうかもしれないじゃない?そうなったらもちろん彼女にも身の危険が及ぶわけだと思うんだけど大丈夫なのかな?って考えると凄く心配なんだけd」
「考えなくていいから」
図書委員長の厨二病見解
「…あんたまさかあの二人の話信じてるとかいうオチじゃないよね?」
「やだなあ、いくら私でもさすがに現実とフィクションの区別はつくよ」
「……ならいいんだけど」
- 286
:しらにゅい:2011/12/15(木) 17:57:28
- 「腹減ったぁ…」
「ちょっとユウマ、まだ作業終わってないのに何言ってんのよ?」
「仕方ないだろー、減るもんは減るんだし。」
「そうだけど…少しは我慢っていうものを覚えなさいよ…」
「んー…確かに、晩飯にはそろそろ良い時間だよな。」
「どうしましょうか…晩御飯の準備、とは言いましても…サワコ、台所は?」
「駄目だよ姐さん、ほとんど壊されててご飯もまともに作れないよ。」
「ですよね…困りました。」
「ま、そういうことだろうと思ってたよ、組長さん。」
「?」
「ちわーっす!『大将』でーす!…ってうわー!何これ!?」
「よおー!こっちだこっち!」
「ん?…あぁー!いたいたショウゴくん!!」
「!この匂い…ラーメンだ!!」
「あ、こら!ユウマ!!」
「毎度どうも!『大将』デリバリーサービスです!…ってかっこよく言っても、
所詮出前なんですけどね。」
「悪いな、いつもいつも。」
「いやいや、常連様のショウゴくんの頼みなんだから無視するわけにもいかないよ。
それに、大将は稼ぎ時だーって張り切ってたしね。」
「ラーメン!ラーメンだと!?」
「はいはい、お一人様分ちゃんとありますからねーっと…ほい、零さないように。」
「うおおおお!!うめえぇぇぇ!!」
「…わ、ワタシも食べるネ!!」
「俺も俺も!」
「僕も!」
「ちょっと、私の分のとんこつ…誰も取るんじゃないわよ。」
「あ、ちょ………っ私も食べるー!!」
「……すいません、ショウゴさん。食事まで気遣って貰って。」
「いいんだって、手伝うって申し出たのはこっちなんだからな。」
「…ありがとうございます。」
「……ん?何ニヤニヤしてるんだ、メグミ姉さん。」
「いやー…恋愛に疎そうだったショウゴ君にも、ついにお相手がなーって考えると、ね…
んふふ~。」
「え?…いやいや、何をおっしゃってるんですか一体。」
「どういう経緯で知り合ったの?ねぇねぇ。」
「だから何言ってんだよ!?」
「おいアスミ、お前の分のラーメン取ってき……!?おいてめぇ何イイ雰囲気になってやがるんだ!?」
「してねぇし!!作ってねぇし!!っちょ、メグミ姉さん!何か言って、」
「へぇー、アスミちゃんって言うんだ。私メグミ!いかせのごれ駅前の『大将』で働いてるんだー。
ねぇねぇ、今度機会があったらうちに食べに来てよ!サービスしとくよ?」
「ありがとうございます、今度落ち着いてたら訪問させて頂きますね。」
「やったぁ!…ところで、ショウゴくんとはどういう関係なの?」
「え?」
「聞いてねぇしおいコラそこ変な誤解を広めるな!!!」
「ショウゴてめぇ!!!」
「お前は黙ってろアキト!!!」
出雲寺組強襲、その後。
「…あー、くっそ…結局俺のラーメン伸びてんじゃねーか…」
「でも昔とおんなじ、チャーシュー増し増しでしょ?」
「…まぁ、そうだけどさ。」
「そうそう、ショウゴくん。」
「?」
「最近、チハルくんと来なくなったけど…何かあった?」
「姉さん、知らないのか?」
「何が?」
「あ、いや…知らねぇならいいけど……」
「…喧嘩でもした?」
「そういわけじゃないんだが…まぁ、またしばらくしたらアイツと一緒に来るよ。」
「?」
- 287
:しらにゅい:2011/12/15(木) 18:06:10
- >>286 お借りしたのは汰狩省吾、矢吹龍座、深見琴刃(サイコロさん)、
出雲寺 愛澄、九柳 亜樹斗、律田 冴子、ユウマ、リリ、スグル、
フー・ライフォン(十字メシアさん)でした。
こちらからは名前のみ、千春です。
私は亜樹斗くんをなんだと思っているんだ…
以下モブ子ちゃんの設定投下。
愛美(メグミ)
いかせのごれ駅前にあるラーメン屋『大将』の看板娘。
どんな出前にも必ず時間通り届けるという伝説があるとかないとか。
たまに中身がぐちゃぐちゃになっているらしい。
- 288
:(六x・):2011/12/24(土) 14:44:47
- お借りしたキャラは、しらにゅいさんより「張間みく」です。ついでにバトン渡します。
会話文のみ。
天然娘の攻防
「掃除めんどくさいんですけどwwww」
「崎原に頼めば?あいつ優しいから、忙しいとか言えばやってくれるよ。」
「そっかーwねー崎原さん。」
「はいー?」
「あたし今日忙しいから、掃除代わりにやってくれない?」
「いいですよー。頑張ってくださいね。」
ハス^ω^ス⌒♪ ほんと使えるねーw>ねー>
「なんで引き受けるんだよ、お前当番じゃねーだろ。」
「でも忙しいみたいですし。」
「どこがだよ。余裕こきまくって帰ってったぞあのバカ女ども。」
「そうなんですかー?」
「…正直に言うとさ、お前騙されてるんだよな。なんでもホイホイ引き受けるからいいように利用されてるだけなんだよ。今のは嫌がらせで言ったんじゃねえぞ、本当だ。」
「あ、じゃあミコト役に立ってるんですね。」
「お前どこをどうしたらそういう考えになるの?プラス思考すぎんだろ。アホの役に立つ必要はねえぞ。」
「でも…」
「世の中には、お前みたいな幸せ思考回路の奴を利用して変なことしようとするクソがいっぱいいるわけ。俺だったら、善意が悪事に利用されたらと思うと何もできねーよ。」
「不動さんの言うこともわからなくはないですけど、人に優しくしておいて損はないと思います。」
「簡単に言うなよ…。そこがお前のいいところなんだろうけど。」
「何か言いました?」
「何も言ってねえよ。そういや、この前張間の机片付けてたの何だったんだ?」
「ゴミだらけだったんですよ。。人の机をゴミ箱と間違えるなんて、ミコトよりおバカさんですー。」
「お前にバカって言われたらいろんな意味で終了だな。やった奴らかわいそうに。」
「崎原…いや、クソ原め・・・」
「クソ原wwたしかにwww机とかに仕掛けてもあいつすぐ見つけるもんねー。体操服でも隠すか」
W#O言O)
「おい張間」
「は、はいっ!ふ、不動くん・・・?!」
「そんなにビビんなって。えーと、これ。」
「え?ボクのじゃないよ・・・・・」
「クソ女どもが男子トイレに投げ入れようとしてたから取り上げてきた。お前、崎原と仲良いだろ。男の俺が渡すわけにもいかんし頼んでいいか?」
「う、うん。あ、不動くん…いい人なんだね。」
「なっ…ま、まぁ、変人って言われるよりかはいいな。」
「み、みーちゃん」
「はい?」
「これ、落ちてたから…」
「あ、ありがとですー。でもおかしいですね、ちゃんとしまってたのに。歩いていっちゃったんですかねー」
「さすがにそれはないと思うよ…。」
「きゃは、冗談ですー。」
「崎原、ちょっと話あるんだけど」
「はいー。なんですかー?」
「毎回邪魔してんじゃねえよ。」
「なんのことですか?まったく意味がわかりませんが。」
- 289
:えて子:2011/12/24(土) 20:55:47
- 最近動かせてなかったこの人をば。
最後に少しだけ、十字メシアさんより「ミユカ」さん、鶯色さんより「ハヤト」さん、しらにゅいさんより「トキコ」さんをお借りしました。
某日深夜、ストラウル跡地。
「……ん?」
ここを拠点として生活している望は、昼間はいかせのごれを歩き回り、いつもこのぐらいの時間に戻ってくる。
だがその日は、足を踏み入れてすぐに、違和感を覚えて立ち止まった。
「明かりがある…?」
いつも拠点としている廃ビルの一室に、ちらちらと明かりが見える。
暗い上に遠目であるため断定はできないが、おそらく懐中電灯だろう。
「こんな時間に誰でしょう…」
腕時計を見ると、もうすぐ日付が変わるという時間だ。
不審に思いながら、胸ポケットからペンライトを取り出し、廃ビルへと向かった。
こつこつと靴音が響く中、廃ビルの廊下を歩いていくと、話し声が聞こえた。
子供の声のようだ。数人はいるだろう。
話し声が聞こえる部屋を探し当てると、軋む扉をそっと開けた。
「…誰かいらっしゃるのですか?」
「「「「うわああああああああああっ!!?」」」」
「うわっ!?」
「………あ……」
小さな明かりに照らされていたのは、4,5人の小学生くらいの子供だった。
皆一様に怯えた目をしていたが、目の前の男がお化けではないと知ると、安堵したようだった。
「な、何だー…お化けじゃなかった」「びっくりしたー…」「でもお化けだったらよかったのにな」「なー」
「はは、それはすみません。…こんな所で何をしているんです?」
「お化けを探しに来たんだ!」
「……お化け?」
不思議そうに聞き返すと、子供たちは口々に喋りだした。
「最近、人影が見えるんだって!ここで!」
「ここって誰も来ないだろ?なのに人影が見えるってうわさになってんだ!!」
「それに部屋が綺麗になってるんだって!!誰も何もしてないのに!!」
「絶対お化けだって、みんなで探検に来たんだぜ!!」
「は、はあ…」
参ったな、と望は心の中で呟いた。
子供たちの言っている『お化け』とは、おそらく自分のことだろう。
あまり人が寄り付かないからという理由でここを拠点にしていたが、まさかそんな噂が立っていたとは。
崩れかけていた部屋を、少しばかり修復していたのがいけなかったのか。
そんなことを考えながら、子供たちに質問を重ねた。
- 290
:えて子:2011/12/24(土) 20:56:33
- 「…それで、お化けは見つかりましたか?」
「……ううん、見つからなかった……」
「…そうですか」
とりあえず、自分がそのお化けの正体だということは気づかれていないようだと知り、ほっと息をつく。
「…でしたら、そろそろお帰りなさい。君たちみたいな子たちがこんな時間にこんな所にいるのは、感心しませんよ」
「えー!!」「なんでー!?」「まだ探検したばっかりなのにー!!」
ぶうぶうと不満げな子供たちに苦笑する。
「…ここは危ないですよ。本当にお化けがいましたら、勝手に入るなと怒られてしまうかもしれません」
「むー…」「でもさー…」
「それに、こんな夜遅くまで出歩いていることが知られたら、ご家族の方が心配なさりますよ?」
そう諭すように言うと、子供たちは「はーい…」と、渋々ながらも帰ることを承諾した。
聞き分けのいい子達だと、内心ほっとする。
「よかった。もう、夜更かしはいけませんよ」
それぞれ子供たちを家の近くまで送り届けてから、ストラウル跡地へ戻る。
拠点としていた一室へと向かうと、ペンライトで軽く部屋を見回す。
何もない部屋。しかし『廃ビルの一室』というには、いささか綺麗過ぎるかもしれない。
「………これ以上ここを拠点にするのは、諦めたほうがいいですかね」
意外と便利だったのですが、と肩を落として項垂れる。
また別の潜伏先を探さなくては。そう考えて顔を上げた。
「…それまでは、もうしばらくだけここをお借りしましょう」
幸い、ここには廃ビルがたくさんある。
もう少し奥まった一室ならば、また少しは時間を稼げるだろう。
噂が収束すれば、跡地そのものから撤退せずに済むかもしれない。
「……人目を避けるのも、楽じゃありませんね」
跡地の噂
翌日。
「ねえねえ、聞いた?最近流行ってる噂」
「噂?何だよそれ」
「あ、私聞いたことあるー」
「廃ビルの住人、だよね」
- 291
:十字メシア:2011/12/28(水) 00:43:31
- ヒカリがケイイチ達に会ったときの話。
本家から「ケイイチ」「アキヒロ」「ジュンイチ」「KEA」「ラム」をお借りしました。
-9年前・某所-
「ジュン君、次はどこ探険するの?」
「うん…でもアキヒロが戻って来ないと、まだ他の場所に行けないな」
「そっかあ…アキヒロ、遅いなあ」
いかせのごれのとある森の入口。
ケイイチとジュンイチは、未だ中に入ったままのアキヒロを待ちぼうけていた。
と。
「あっ、アキヒロ!」
「待たせて悪かったな。奥に何かいる気がしてさ」
「そうか……って…」
「アキヒロ…」
「「…後ろの子、誰?」」
二人が指差した方には、アキヒロに手を握られている少女がいた。
少女の金色の髪は、まるで星の様にキラキラと光っている。
「ああ、森の奥で変な揺り籠の中で寝てたんだ」
「変な揺り籠?」
「月みたいな形の揺り籠だったんだ」
「へえ…いかせのごれの妖怪かな」
すると少女が口を開いた。
「妖怪じゃないの、『星の子』なの~」
「星の子?」
「…空から落ちてきたって言ったんだ」
「本当に?」
「分からないけど、揺り籠が月の形だったし、コイツの髪…異様に光ってるだろ?」
「確かに…ちょっと不自然だよなあ」
「それでどうするの?」
「放っておいたらホウオウグループに捕まるだろうし、とりあえず仲間にしようかなって」
その言葉にケイイチが不安げな表情になる。
「大丈夫? 人間じゃないにしろ、その子には危険じゃあ…」
「ならどうすんだよ」
「うーん………それしか、無いね…」
「な?」
「その子、名前あるのか?」
「俺も聞いたんだけど、首傾げたから無いと思う」
「じゃあ、こっち達で決めようよ。名前無いと不便だし」
「そーだな……何がいい?」
悩む三人。
少女はアキヒロと二人の顔を交互に見ている。
- 292
:十字メシア:2011/12/28(水) 00:44:16
- 「アキお兄ちゃん、お腹すいたのー」
「「…お兄ちゃん?」」
少女の言葉に固まる二人。
「何か、懐かれた。多分最初に会ったから」
「…まるで生まれたばかりの小鳥と」
「たまたま居合わせた動物みたい…」
「…だよな」
「ねー、アキお兄ちゃんー」
「ん、ああ。悪いけど、もう少し我慢してくれな」
「はーい」
ふにゃっと笑う少女。
「本当に懐いてるね…」
「…あ」
「どうした? ジュンイチ」
「その子の名前だけど、『ヒカリ』ってのはどうだ?」
「ヒカリ?」
「ほら、髪光ってるし…星の子らしいと思うけど」
「そうだね、こっちもいいと思うよ」
「じゃあ決まりだな、おい」
「ん?」
アキヒロがポンと少女の頭に手を置く。
「兄貴分から最初のプレゼントだ。お前に名前をやる」
「名前? 何なのー?」
「『ヒカリ』だ」
「ヒカリ…ヒカリ! キレイ!」
「気に入ったか?」
「うん! ありがとう、アキお兄ちゃん!」
満面の笑みを浮かべる少女の頭をやや乱暴に撫でるアキヒロ。
と、ジュンイチがポツリと呟いた。
「…名付け親僕なんだけど」
「あははは…」
モンスターハンターズ、星の子を発見
-因みに現在-
「アキお兄ちゃんー」
「………」
「アキお兄ちゃんー」
「………」
「本当に兄妹みたいだな…」
「髪の色も同じですしね」
- 293
:えて子:2011/12/28(水) 22:47:55
- 最後だけ、サイコロさんから「汰狩省吾」さん、十字メシアさんから「角枚 海猫」さんをお借りしました。
こちらからは佑と花丸です。
ほぼ会話文のみ、ついでにバトンっぽいもの投げます。拾えそうなら拾ってください。
「………あの…」
「…ん?」
「……この本、お願いします……」
「あ、はいはい。えーと…『世界爬虫類図鑑』上下巻ね。
…はい、オッケー。貸し出し期限はなるべく過ぎないようにね」
「…はい。ありがとうございます」
「こちらこそ。これからも本読んでねー………ん?」
ブゥーン…
「うわっ!!蜂!!?」
「………大丈夫です」
「だ、大丈夫って……」
「………」
「…な、何で普通に君の指に乗ってるの?刺されないの?」
「………大丈夫。刺しません…」
「で、でも怖いよ…」
「…………」
(窓際へ歩いていき、開いている窓から蜂を放す)
「……これで、いいですか…?」
「あ、ああ、うん。……ごめん、ありがとう」
「…いえ…」
「……凄いんだね、君…」
「………」
「……どうして、そんなことができるの?」
「………。先輩は……信じますか?」
「……?」
「不思議な力……。……信じますか?」
「不思議な…力?んー、どうだろう……そういうのは本の世界のものだろうしね。
でも、本当にあったら素敵だよね。不思議な力」
「………ありますよ」
「え?」
「………ありますよ、“不思議な力”。……この世界にも」
「……そう、なの?」
「……きっと。先輩も、出会います。…すぐ近くに、あるから」
「…はい?ど、どういうことなの?」
「……そのうち、分かります……。……それでは。本、ありがとうございます…」
「…え?あ、う、うん……」
「……何だったんだ、あの子……?」
図書委員長と人見知りと“不思議な力”
「……………」
「どーしたの、佑。難しい顔してさ」
「何か悩みでもあるのか?」
「……海猫、ショーゴ。すっごい変なこと聞いてもいい?」
「ん?」「何?」
「……“不思議な力”って…あると思う?この世界に」
- 294
:鶯色:2011/12/30(金) 19:14:57
3年のとあるクラスでの調理実習中。
コトムは食材を切りながら、考え事をしていた。
内容は、今日の献立、次の授業、今度の演目、悪戯の計画などなど、なんでもないようなことばかり。
つまりは、何も考えずぼーっとしていたと言い換えても過言ではない状態。
「っ…!」
そんな状態だったからか、不意に手に痛みを感じた。
見れば、左手の指から血がだらだらと流れている。
(しくったなぁ…)
丁度切っていた人参と共に、指を切ってしまったようだ。
切断されなくてよかった等と考えていたが、びっくりしたような大きな声にかき消された。
時は少しさかのぼる。
その時、同じクラスの佑はコトムの後ろで、レシピの紙を見ながら考え事をしていた。
内容は、先日後輩の男の子から言われた言葉。
『………ありますよ、“不思議な力”。……この世界にも』
(本当に、あるのかな)
大抵の人ならある筈がないと笑い飛ばす話だろう。現に彼女が相談した友達にも、笑いはしなかったもののそう言われた。
それをあると断言して、周りに言って回る人の大半は変な人であるし、その人達の言う事を信じているわけでは決してない。佑も流石に現実とフィクションの区別はつく。
しかし、それでもあの少年の、あの言葉が頭から離れないのだ。
「っ…!」
「ん?」
不意に、小さな悲鳴が聞こえた気がした。
その方向を見てみると、場違いな透き通る赤色が見えた。
コトムが、指から血を流しているのだ。
「ちょっと、大丈夫!?」
びっくりして、慌てて駆け寄る佑。
コトムは何食わぬ顔で手を引っ込めようとして、動きが止まった。
――怪我をした手でメモ帳を取り出せば、血に汚れてしまう。
行き場を無くしたその手を、佑が取る。
「うわ、パックリいっちゃ、て……?」
その赤に触れた瞬間、彼女の世界はぐるりと色を変えた。
何かが自分の中に溢れかえり、パンクを起こしそうな感覚。
「……え?」
思わずあたりをきょろきょろと見回した。何故だろう、わかる。
あの人は笑っているけど、面倒だと考えている。あの人は背中しか見えないけど、とても楽しそうだ。
他人の気持ちが、自分の気持ちのように感じる。人の感情が、波のように自分に押し寄せて渦を巻く。
「……?」
ハッと、不信感を感じて前を見る。
コトムは、とても困っている。わかる。苦笑いしているからと言うのもあるが、それ以上に押し寄せてくるのだ。濁流の中に混じって、コトムのその感情が。
「あ!ご、ごめん……!!」
裏返った声を上げながら、佑は握っていたそれを離した。
ぐるぐると回る世界が体になじんで、まるで自分が自分では無いようだった。
- 295
:鶯色:2011/12/30(金) 19:20:53
- 「コトム君、大丈夫?」
「……タカコ、せんせい」
この授業のお手伝いに来ていた、タカコ先生が心配して来たみたいだ。
そういえばコトムが怪我したんだと、何故か本来の目的を忘れてしまっていたようだ。
「コトム君は保健室に連れていくから、あなたは授業に戻ってて」
「あ、……はい」
そう言って去っていく二人。取り残された佑はその背中を眺めて、
――世界が切り替わる感覚と共に、鈍器で殴られたような頭痛が訪れた。
「っ、――!?」
あまりの痛みと違和感に、立っていられなくなった。
さっきまでの波は無く、代わりに気持ち悪さが押し寄せ、口を手で押さえる。
「――く、―――して――――!?」
ぐらぐらする意識の中で、友達の声が聞こえた気がした。
必死な声だったような気もしたが、さっきよりもわかり辛い。
何か言おうとか、そういうことよりももっと先に、あの少年の言葉がこだました。
『先輩も、出会います。…すぐ近くに、あるから』
「……不思議な、力」
それだけ言って、佑の意識は闇に沈んだ。
灯台下暗し
―――――
そんな訳でお久しぶりです鶯ですごめんなさい!
登場キャラはえて子さんより「我孫子 佑」、サイコロさんより「桐山貴子」、自宅より「コトム」です。
>>293 のお話を拾う形となりましたが、実はずっと前に考えていた話だったり。本当申し訳ない。
この話に関しては他の方に拾ってもらえればこれ幸い。これを機にもっと文章書いていけるといいなあ。
では皆さん、良いお年を!
- 296
:ヒトリメ:2011/12/31(土) 00:19:49
- こんにちは。小説化でははじめまして。ヒトリメです。
流れも無視状態ですが。「パター」が裏切者と呼ばれるまでだけの過去話。
ヒトリメより「パター」。しらにゅいさんより「代雪」をお借りしました。ありがとうございます。
その他はモブです。
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"奇術師の「裏切り」"
「もどったよ!」
明るい声が路地に響く。二人のもとに、奇術師が帰ってきた。ひらひら、血濡れた剣を振ってみせる。
「遅いぞ。……お前その剣だしっぱで来たのか?馬鹿か?馬鹿だろお前?」
「ちゃんと終わらせたみたいね?」
「もちろんさ! 帰り道で、泣いてる子供に逢ったのさ。僕としては放ってはおけないからね」
「よくやった。でも、またか。まっすぐ戻れといつも言ってんだろ」
「いいじゃない、害にはなってないんだし。こんどは何を叶えてきたの?」
「今回はまださ。じつはね、君の協力が必要なんだ」
「めずらしいな、おまえひとりで果たせない願いがあるのか?」
「私の協力?何をすれば――」
鈍い音。彼女の問い掛けが終わるまえに、奇術師の返答は出されていた。
「あの子は、君に消えてほしいそうだよ!」
彼女の胸から、剣を引き抜く。こんなに簡単に刺せるとは。やっぱり、あの子の願いは本物だった!
倒れ込む彼女を、彼が咄嗟に抱きとめる。死んでいるはずさ。今なら逃げられるかな。彼女のことは彼に任せて、さっそくあの子に報告しにいかなくちゃ。
「てめえええッ!」
背を向けた奇術師の身に、かるい衝撃が襲った。ナイフを投げたのが誰かなんて、判っている。彼だ。彼がすごい顔で睨んでいる。泣いている。怒っている。
……嗚呼、そんな顔をしないでおくれ。
「痛い痛い!落ち着いておくれよ!」
「落ち着いていられるか、これが!」
次々飛ばされるナイフを避けきれず、とりあえず腕に受けながら笑いかける。そんなことで彼を宥めることは不可能だということだって解っている。
でも。奇術師は、ヒトを喜ばせるためにつくられた。僕は、君の笑顔だって見たいんだ。どうにかして、彼にも落ち着いてもらわなくては。
「嗚呼、ごめんね、僕が悪かったよ! そうさ、彼女はあの子から消えればいいだけだったんだから、殺すまでしなくてもよかったね。どこかに閉じ込めるとか、ほかにもいろいろ手はあったんだ。
君は彼女が死んでしまったら悲しいんだね。でも大丈夫!君が望めば、あっというまにみんなもとどおりさ。奇術のようにね!
だから、ほら、そんな怖い顔をするのはやめておくれよ。さあ、願っておくれ!」
「ふざけるな! 俺の願いだと……? おまえを切り刻むことだよ、"裏切者"ッ!」
――奇術師は、ヒトを喜ばせるためにつくられた。他者の望みを叶えるためにつくられた。だから奇術師はあの子に遭わなくてはならない。貴方の願いを叶えたと、伝えなくてはならない。けれど。
膝をついてしまった。傷ついた躰を引きずって、もう随分歩いたような気もしていたけれど、まだまだ公園には距離がある。だめだ、あの子が待つ場所には、もう辿り着けそうにない。
「……彼の願いも、本物だったと、いうわけさ。どうして彼女を願わないのかな?」
残念だが、無理なものは仕方がない。それに、こんな姿を子供に見せても、それはそれで笑ってはもらえないだろう。いつか風の噂でもあの子が耳にして、あの子の望みが叶ったことを知ってくれることを願って、自分は此処で――
「――おい、どうした、お前……!」
男の声が振りかかった。"彼"ではない。眼帯をした男。奇術師の記憶にはない人だ。ただの通りすがりだろう。おどろいたような、心配するようなカオで奇術師を見下ろしている。奇術師が笑いかけてみせると、変な顔をされた。まあ、当然だけど。
「……厭だな」
「あ?」
「最期に視るのが、そんなカオだなんて……ごめんだよ」
奇術師は、ヒトを喜ばせるためにつくられた。
「…笑っておくれよ……僕に、なにができるかな……?」
「何云ってる?……おい、しっかりしろ! 死ぬんじゃないぞ!」
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:しらにゅい:2011/12/31(土) 02:00:05
ひとのざわめき
けんそう、あれたげんどう、ひとのあくい
まもるのはなんのため?
みんなのため?だれかのため?…じぶんのため?
「…気持ち悪い…」
ここも、なのか。
デスクワークをしながらそう思えば、ふと気が付くと自分の胸を握りしめる私がいた。
千年王国。
その昔、ジングウが主任を務めていたという特別研究チームで、ジングウの事故死によりそのチームは一時解散された。
しかし何の因果か、死んだはずのジングウがホウオウグループに復帰し、かつ彼の進言により再びその悪夢は復活を成し遂げたのである。
その復活と共にホウオウが雑兵である私に使命を課せた。
『千年王国及びジングウの活動の後始末、報告』
要するに『監視』である。
元々与えられていた仕事にひとつ新たな項目が設けられた程度で、今までの活動には特に支障はない。
見たことを『記録』し、『形にして』、『報告』する。必要であれば、『作り変える』。
何ひとつ今までと変わらない。
「………」
しかしまぁ、平静を崩されるとここまで空気が乱れるとは思っていなかった。
ウスワイヤが千年王国からの襲撃を受けてからほんの少しだけ日が経ったというのに、
それに連鎖するように事件が起こり、警察の動きも前と比べて随分と慌しくなった。
ウスワイヤが公的施設であるのが大部分かと考えられるが、ジンやアヤといった警察に身を置いているアースセイバーにとって由々しき事態だから、
動揺を隠せないのが一番であろう。…と予想してみるが、実質は分からない。
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:しらにゅい:2011/12/31(土) 02:05:24
「………」
まるでお祭り騒ぎと言わんばかりの喧騒の中、私はただ、与えられた仕事をひたすらと、黙々と、静かに机上でこなしていく。
ここではその動作をしているだけで耳に大量の情報が入り込んでくる。
「千年王国」「ジングウの再来」「怪人:木乃伊冥土」…そして、それらに対する怒りや不安の吐露。
情報だけではなく、各々の持ち合わせている心情や感情も、すべて耳に入り込んでくるのだ。それが知識として、情報として、私の中に加算されていく。
ただそれだけだ、何かを感じ得ることなど何もない。
「……はぁ、っ!?」
作業に一区切りつき、一息吐こうと顔を上げた刹那、頬に何か冷たいものが押し付けられ、びっくりして立ち上がった。
横を見ると見知った『相棒』が缶ジュースを持ちながら、それはそれは楽しそうに笑っていたのであった。
「…何しているんですか、アヤセさん。」
「だから、先輩と呼べと何度言ったら…」
「質問に答えてください。」
「う…いや、ウツツちゃん何か疲れたような顔してたからさー、これ差し入れ。」
「結構です。」
ぴしゃりと言って頬に押し当てられた缶ジュースを払い除ければ、アヤセランは不満そうに「えぇー」と呟いた。
アヤセ ラン。
普段はいかせのごれ警察署の刑事として働いているのだが、その裏の顔は敵組織であるアースセイバーの戦士である。
元々、戦闘向きではないと自負している私にとってこのような前衛型の人間とは接触などないと思っていたのだが、
運命の悪戯とはよく出来たものだ。まさか就任してから早々に敵と組まされる羽目になろうとは、あのジングウでも予想は出来なかったであろう。
…いや、彼なら
「敵同士がバディとして組まされたのであれば、その行く末はどうなるんでしょうかね?いやぁ、考えただけでも実に面白いですよ。」
なんて答えるだろうから、私の頭が痛くなることが容易に想像出来る。
「『怪人:双角獣(バイコーン)』・・・ねぇ。若い子ってこういう噂好きだから、すぐ俺らの耳にも届いちゃうんだよねぇ。」
「…そうですね。」
ふと思考に耽っていたら、いつのまにか彼は隣のデスク(の上だった)に座り、私の机に広げられた『怪人:双角獣(バイコーン)』についての資料を見つめていた。
『怪人:双角獣(バイコーン)』…その正体は、千年王国の一人、AS2ことアッシュである。双角獣の由来はおそらく、ジングウが開発した、
彼専用のバトルドレス『バイコーンヘッド』のことだろう。あれなくしてもアッシュ自身の力は相応のものである。なんせアースセイバーのエースの一人、
都シスイ…アッシュのクローン元に痛手を負わせ、打ち負かしてしまったのだから。
そのことはもちろん、この隣で缶ジュースを飲んでいる男にも伝わっているはずだ。だから、心境は恐らく穏やかではない…って、
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:しらにゅい:2011/12/31(土) 02:08:15
- 「…アヤセさん、それ、私飲んでた奴なんですが。」
「え?そうだったん?」
「………」
「……ということは、ウツツちゃんと間接キへっじゃ!?」
言い終わるか否かの前に彼の顔面へとハイキックをかまし、アヤセランを入り口付近まで蹴り飛ばしてやった。
むしゃくしゃしてやった。別に恥ずかしいとかではない、断じて。
同僚の誰かが「ア、アヤメさん何してるんですか!?」という叫ぶのを聞いたが、致命傷を与えたわけではないし、彼は放っておいても大丈夫だ。
(…いや、避けようと思えば避けれるはずだ。)
甘んじて受けてるのだ、この男は。
手練れてる者ほど、こうした余興のようにわざと攻撃を受けたがる。
平和ボケだから、というのもあるかもしれないが、『その時』が来れば、能力を持って私を殺すことなど容易いであろう。
私はこの男に勝てるほど、自分の力を過信していない。
(だから、味方のフリをする。それが現状維持の『最も有効である策』だ。)
アヤセランは味方である以上、こちらを寸分も疑わない。
味方といえば、心や思考を読む能力を持つキジマならば既にこちらの企みに気が付いている筈だが、
私にとっては一番近しい人物であるこのアヤセランの様子を見る限りでは、今のところ目に見えたアクションを起こしてはいないらしい。
いや、気付いてはいるがおそらく様子見だろう。どちらにせよ、警戒することには変わりはないのだが。
…しかし、あぁ、なんだかもう、
「…気持ち悪いのは、私も、か。」
周りの喧騒、ざわめく雑音。
誰に聞こえる筈がないからこそ、私はそう呟いたのであった。
警察署にて。
(いつからだ)
(疑わないと気が済まないようになったのは)
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:しらにゅい:2011/12/31(土) 02:12:22
- >>297-299 お借りしたのはアヤセ ラン(鶯色さん)、名前のみキジマ(紅麗さん)、
ジン、アヤ(本家様)でした。
こちらからは現です。
「都市伝説:侵話 二灯目 ~人面虎~」後日を想定して書かせて頂きました。
千年王国尻拭い係で御座いますから。
そしてラン君と鶯色さんに全力土下座です、すいませんでしたァァァ!!!
次回はキジマさんや太陽さんにも絡んでいきたいですデヘヘ
最終更新:2012年08月26日 09:44