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企画されたキャラを小説化してみませんか?vol.3_ログ-401~450

401柴犬:2012/02/06(月) 23:01:09
少し別のお話を投稿していたので久々な神社組のお話

〈少女達の玲瓏〉


「‥そう、あなたが明夢ちゃん、ね。」
「あなたが『竜姫』カルラ‥」

神社の敷地内、対峙する二つの人影。
一つは神社の巫女、『超能力者』赤城明夢のもの。


そして、もう一つは‥


雪のように白い肌と、それによく映える白い髪。極上のルビーのように赤い瞳と赤く長い爪。背中から巨大な白鱗の翼を生やし、深紅の角を持つ異形の少女。

『北海の竜姫』カルラ・リード。

数多に存在する妖怪の中でも最上位の力を誇る幻想の王『古竜』。
自らの横にはメイド服を着た女性を従えている。この女性からも、何か普通の人間から少しずれた気配を感じる。ただ者では無い。
カルラ・リードが神社に訪れたのは他でもない、友人クロコの要請を受けたかららしいが、彼女はまだ起きていない。


「明夢ちゃん、本題に入る前にあなたに質問があるの。」

いつの間にか明夢の目の前まで近づいていたカルラは、明夢の髪をそっと撫でながら言う。
深紅の瞳が日差しを反射して光る。

「自慢みたいだけど、私みたいな『古竜』と言う種族は存在するだけで世界のパワーバランスの一角を担うの。それが、どこかの組織に属すると言うのがどういった事かわかる?」

カルラの問いに、明夢はコクリと頷く。
理解できないはずか無い。
実際目にしたのは初めてでも、伝説が語る『竜』の凄まじさはいくつも知られている。誰もそれに恐れぬのは、それが『架空の存在』だと信じているからだ。

現実に存在した『古竜』には『ありとあらゆる衝撃を反射できる』明夢でも、その圧倒的な威圧感を感じずにはいられない。


「では、あなたはそれだけの事をする覚悟が出来ているのかしら?」

また彼女は問う。
隣のメイドの目も鋭く光る。まるで明夢を品定めしているようだ。


だが、その問いにも明夢はしっかりと頷く。迷いは無かった。

それを見たカルラは少し感心したような表情を見せると、満足そうに微笑む。

「‥クロコがあれほど執着ような子だから、以前から興味があったのだけど、ようやくその理由がわかったわ。」

そう言って、またカルラは明夢の髪を撫でる。

「確かに、欲しくなるわね。ふふっ‥私が横からかすめ取りたくなるくらいにね。」

そう言ってカルラは笑う。
心底楽しそうに。
少女の笑うその姿は可愛らしく目に映るが、その本性は理解できるものでは無い。


「いいわ、力を貸しましょう。あなたなら、悪いようにはならないでしょう、雪。」

「はい、お嬢様。」

ひとしきり笑ったカルラはそこで初めて隣のメイドに話しかける。
明夢の方に向き直ったメイドは、恭しくおじぎをする。先ほどのようなきつい視線ではなく、好意的な表情だ。

「私はカルラお嬢様に使えるメイド長、憑月 雪と申します。以後、お見知り置きを。」

雪と名乗った女性は懐からトランプを一枚、取り出す。スペードのA(エース)だ。

「これは目印です。ここにまた訪れる時、手間が省けますから。」

そう言って雪はトランプを明夢に手渡す。

「私の『空間の悪夢』は私の触れているものを瞬間移動させます。お嬢様と私は一旦霜月堂に戻りますので、また後日連絡させて頂きます。」

「いずれまた会いましょう。明夢ちゃん。」

最後にカルラが妖艶な笑みを浮かべた後、その姿は掻き消すように無くなってしまった。

402柴犬:2012/02/06(月) 23:05:35


だが、カルラの行動開始は結果的に予定より早くなる。




クロコが起きていたのならば、あのような事にはならなかっただろう。



結局、クロコはこの後も寝ていた事を後に後悔する。




ーいかせのごれ・都市部・裏路地ー
時刻 PM10:18



「‥覚悟はできてるか。私は‥自分の護りたいものを護る為なら、容赦はしない。」


人通りの少ない裏路地。明夢は食材の入った買い物籠を傍らに投げ捨て、通りに仁王立ちしていた。
明夢を中心に半径7~8メートルの範囲のアスファルトはバラバラに吹き飛び、標識は曲がり、ガードレールは飴のように引き裂かれていた。


明夢の前に転がっているのはうずくまった黒服の男達だ。人数は8人で、倒れてはいるものの、全員意識は有り、肋骨の1つや2つは折れているだろうが、命に別状は無い。
更に倒れている男達の前には特殊部隊の装備に身を包んだ兵士が6人、明夢に短機関銃を向けている。おそらく、警察の差し向けた対超能力者部隊だろう。


「くっ‥あれが『衝撃の悪夢』の赤城明夢かっ!?こちらの部隊が手も足も出ないとは‥!!」

兵士の焦りの混じった声。
この兵士自身はまだこの作戦を実行するのは早すぎると思っていた。よりによって赤城明夢を『保護』するなど、まだ情報も収集しきれていない対象を『保護』するのは骨が折れるのだから。


しかし、それは些細な問題だった。

囮作戦を展開し、一人の囮が明夢に道を尋ねるふりをして気を引いた瞬間、複数で取り押さえる手はずだったのだが、彼らはある情報を知らなかったのだ。

明夢が衝撃を反射する事を。

結局、組み付いた黒服達は全員手首の骨をへし折られ、作戦は失敗。おまけに明夢をぶち切れさせたのだ。
明夢は手加減しつつ、吹いていた風の衝撃を操り、カマイタチのような暴風を発生させ、全員を改めて叩きのめし、現在に至る。


「お前たちの思惑なんてどうでもいい。ただ、私にこれ以上纏わりつくなら、命の保証はしない。」

普段なら、いくら自分を『保護』しに来たからといって、ここまで追い討ちをかけたりしない。
『だまされた』と言う事実が明夢を更に怒らせたのだろう。明夢は左手に拳を握っている。もし、この拳で殴られれば、『反動』という『衝撃』を200倍にして反射される為、兵士の体は音速で飛行する戦闘機から投げ出されたように、血の霧と挽き肉になって飛び散るだろう。明夢の鋭い視線が、本気だと言うことを物語っている。




「ひっ‥!!」
「馬鹿!!よせっ!」

ダン!!と甲高い銃声が鳴る。
若い兵士が明夢の圧倒的威圧感に耐えられず、発砲したのだ。


対する明夢は1ミリたりとも動かない。


肩に穴を空けて悲鳴を上げながら倒れたのは、若い兵士の方だった。
明夢はあらゆる衝撃を反射できる。
ただ単に明夢は兵士の放った弾丸をそのままの弾道で反射しただけに過ぎない。


連鎖反応だろうか、それを契機に、冷静だった一人を除いて残った4人が短機関銃の明夢に向けて連射する。顔をひきつらせ、まるで得体の知れない化け物を相手にするかのように、まるで恐怖を追い払うかのように。

それでも、明夢は一切動く事はしない。
弾丸も、一発たりとも明夢に当たる事無く反射され持ち主に牙を剥く。

4人は血の線て引いて崩れ落ちる。

全員致命傷には至っていない。明夢が致命傷を避けるように衝撃を操作し、反射したのだ。

403柴犬:2012/02/06(月) 23:07:31


「そろそろ止めないかな。まだ、今なら引き返せる。お前たちが今の出来事をすっかり忘れて帰るなら、私はもう絶対に追い討ちをかけたりはしない。」

明夢は恐ろしく冷たい声で言うが、まだこの場を治める気満々だ。この辺りが、根っからの善人の明夢らしい。だまされた挙げ句に問答無用で攻撃されたのにも関わらず、だ。



しかし、その言葉を遮るように、今度は後頭部目掛けて、ライフル弾が飛んでくる。
明夢はやはりそれを反射して、ライフルは飛んできた弾道そのままに、暗い廃ビルの3階窓に吸い込まれていく。そこから『ぐえっ』と言う呻き声が聞こえた。

「駄目?私はこれ以上、出来れば危害は加えたくないんだけど。」

明夢は足を一歩、前に踏み出す。カチリと音がして、今度は隠された地雷が作動する。しかし、やはり明夢は反射し、地面が抉れただけだった。
それを見た倒れていた兵士の1人が凶荒に駆られて対人手榴弾を明夢に投げつける。殺傷力抜群の爆風と破片は誰にも危害を加えない方向に向けて広がり、ありえない爆発の仕方をした。


遂に、明夢は残り1人の兵士の目の前に立つ。

ここまでであれだけ攻撃されていながら、彼女は無傷だった。


「‥警告はこれで最後だよ。もう攻撃を止めろ。さもないと‥」

明夢はおもむろに、足で地面を踏み締める。

ドッ、という音を立てながら、明夢を中心に半径5メートルの範囲のアスファルトが2メートル程空中に砕けて飛び跳ね、めくれあがる。地面には幾つか、深い地割れのようなひびも入った。

「もう、判るよね?」

明夢はこれで最後と言わんばかりに冷たい口調で言う。


「くっ‥撤退だ。ミハエルさんに報告しろ‥」

残った兵士は味方を介抱し、やや重傷の一人に担ぎ上げ、退却を始める。明夢は約束通り、追い討ちをかける事も無く、買い物袋を拾い上げ、その場から立ち去った。

404柴犬:2012/02/06(月) 23:10:47
>>401
だんだんとバッドエンドフラグを建築していく明夢。
神社組のお話ももう少しで折り返し地点に入ります。

405しらにゅい:2012/02/14(火) 20:38:07


「…な、なんだこれは…!?」


 2年2組の教室に広がる死屍累々を見て、都シスイはそう呟いたのであった。










 話は数十分前に遡る。
この日、都シスイはいつものようにバイクに跨っていかせのごれ高校へと向かっていた。
冬場の寒い風に当てられながら運転していると、ちょうど交差点に差し掛かったところで、
見知った友人である火波スザクを発見した。彼女は珍しく一人で歩いていたので、
シスイはバイクから降りるとスザクへと声をかけたであった。

「よっ!スザク、おはよう。」
「ああ、おはようシスイ。」
「珍しいな、トキコもアオイさんも一緒じゃないんだ。」
「…そうなんだ、トキコは今日早く行くって言って先に行ったし、
アオイは風邪を引いてしまって、学校を休んでいるんだ。」
「あー…可哀想に。」
「なんでも、バレンタインだからって昨日夜遅くまでチョコを作ってたみたいで…」
「バレンタイン?」

 シスイは首を傾げたが、そういえば今朝テレビでバレンタイン特集をやっていたっけ、と思い出して、
あぁ、と声を漏らし、言葉を続けた。

「チョコ貰えるあのイベントなー。」
「シスイは貰ったことあるのか?」
「貰ったことはあるにはあるけど、全部義理だったな。スザクは?」
「え、僕?」
「あぁ、誰かに渡したりしなかったか?」
「…」
 
 やや俯いて考え耽ってしまったスザクを見て、シスイはハッ、とした。
よくよく考えれば、今まで人並みではない壮絶な人生を過ごしてきて、
こういった・・・特に女の子のイベントに気をかける余裕なんてなかっただろう。
そう悟ったシスイは、黙り込んでいる彼女に慌てて声をかけた。 

「ス、スザクは色々忙しかったもんな!はは、悪い悪い、俺…!」
「そういえば、渡したことはなかったな……今からなら間に合うかな?」
「へ?…あ、まぁ…放課後とか、買って渡せばいいんじゃね?」
「そうか、…ありがとう、シスイ。」

 予想に反した答えと微笑を返され、シスイはとりあえず大丈夫だったのか、と胸をなでおろしたのであった。

406しらにゅい:2012/02/14(火) 20:50:17
 そんな他愛もないやり取りをしながらいかせのごれ高校に着いた二人は、昇降口で上履きに履き替えると2年2組の教室へと向かった。
バレンタインの話をしていたからか、そういえば今日の学校はどことなく甘い匂いが漂っているような気がする。
男子にチョコレートを渡そうと奮闘している女子生徒の姿も、ちらちら見える。

「そういえば、平塚が甘党だって聞いたな。」
「平塚?…あ、ゴクオーさんか。あの人、いつもココアシガレット齧ってるしな、今日なんか特に嬉しいんじゃない…か?!」
「っ!?」

 2年2組の教室の前へ着き扉を開いた途端、二人は開けかけた扉をすぐ閉めた。
扉の隙間からむせ返るほどの甘いチョコレートの匂いが二人の嗅覚を襲ったのだ。
それが本能的に「危険」と察知したのか、シスイが閉め、その手の上からスザクが手を重ねて強制的に閉めさせたのだ。
そのタイミング、ほぼ同時。思わず二人は顔を見合わせた。

「「…」」
「…スザク、」
「分かってる、ここで入らないと僕たち二人は遅刻になってしまう…」
「いや、それはそうだけど…」
「例え中で戦争が起きてようが、僕たちは入らなければならない…!」
「あっれ、スザクさん何か勘違いしてません!?そういうわけじゃないと思うんですけど!?」
「行くぞシスイ!!」
「スザクさーん!?」

 あんまり強かったチョコの刺激でやられたのか、ややキャラ崩壊しているスザクは扉を開いた。
シスイもその後を追って中に入ったのだが、直後、目に飛び込んだ光景に愕然とした。

「…な、なんだこれは…!?」

 そして話は、冒頭へと戻る。





***



 教室の中は凄まじいものであった。
あちらこちらにチョコが血痕のように飛び散っており、床に、机の上に、教卓に、
更には生徒の口の端からおそらくチョコであろう茶色の液体が付着しており、皆一様に倒れていた。

「くっそ、一体何が…!」
「う…」
「!」

 シスイは呻き声がした方を振り向くと、そこには床で蹲り倒れている利央兎の姿があった。
スザクと共に彼は駆け寄り、利央兎を抱き起こした。彼の口元にもまた、チョコが付いていた。

「っリオト!一体、何が…」
「シス、イ…か……は、早く一組に…っあの…チョ…」
「チョ…?」
「ごふっ」
「リ、リオト!!おいどうしたんだ、リオト、リオトーーーー!!!!」

 吐血した利央兎(恐らくチョコだが)は、それを最期に気絶してしまったのであった。
シスイは彼をそっと床に寝かせると、涙ぐみながら立ち上がった。

「…リオト…イイ奴だったよ…」
「いや、殺すなよ。…とにかく、一組に向かった方がよさそうだな…」
「ああ、何があったか知らないがこれ以上被害が…」

407しらにゅい:2012/02/14(火) 21:00:11


ぎゃああああああ!!!!


「っ!」
「あの断末魔は…!」

 叫び声を聞き、スザクとシスイは廊下へと飛び出した。
2年2組の隣である1組の教室の前もまた先程と同じような惨状になっており、
そこには先程の利央兎と同じように倒れているハヤトと___

「トキコ!?」
「あ、鳥さん!それに一角くん!」

 紙袋を両手に一つずつ持ったトキコであった。
いつものように天真爛漫な彼女は他の生徒と違い、五体満足であったが…

「トキコ、これは一体…!?」
「えっへへー」

 シスイが彼女に尋ねては見るが、その様子とは打って変わってトキコはご機嫌である。
ひょこひょこと彼女は二人に近付くと、紙袋から小さな袋を二つ差し出した。
意表を突かれた二人は、思わず顔を見合わせた。

「「え?」」
「はいっ、バレンタインデーおめでとー!」
「…もしかして、チョコを作って皆に配ってたのか?」

 スザクが恐る恐る聞くと、トキコは「うん!」と元気よく答えた。
その返事にシスイとスザクは、今回の騒動の犯人が誰だか確実に悟ったのであった。
今目の前にいる、この少女だと。

「…そ、そうか…」
「皆嬉しくて倒れるぐらいだったよ!ハヤトくんだって一口入れて倒れたもん!」

 それは昇天しただけだ。
と、二人は心の中で同時に突っ込んだ。
トキコは二人の顔を覗きながら、無邪気に『おねだり』をしてきた。

「ね、食べて食べて!」
「え、今…?」
「うん!」

 あまりの眼の輝きに耐え切れず、とりあえず二人は中身を見てみることにした。
チョコが入っているであろう袋はピンクのハート模様で、実に女の子らしくて可愛い。
が、

ギェェェェェェ

「「………」」

「…シスイ…」
「…なんだ…」
「チョコって…喋るのか…?」
「・・・いや、俺の知ってるチョコは・・・口開かないと思うんだけど…」
「そ、うだよな・・・チョコってそもそも食物であって喋らな」

ギェェェェェェェ

「「………」」

 二人が手にしたチョコレート(かどうかすらもはや疑わしい)は、歪な顔らしきものが浮かんでおり、
時々「ギェェェェェェ」と叫んでは腕のようなものを伸ばしてくる。
しかも若干動いてる、というか揺れている。
明らかに食べ物とは思えない物体を目の前にして、トキコは早く食べてくれないのかとキラキラした眼でこちらを見つめてくる。

「シスイ・・・」
「なんだよ・・・」
「踊り食いだと思えば、たいしたことない。」
「デェェェ!?この子俺に押し付けようとしてる!!いや、乗りかかった船なら最後まで付き合えよスザク!」
「ボ、ボクは後でー・・・その、トキコと一緒に食べる!だから、ほら、先に!」
「そう言って後でこっそり処分するんだろ!?」
「失敬な!!トキコから貰ったものをそんな無下に扱うわけ・・・!」
「ねぇねぇ」
「「!!」」
「食べないの?」

408しらにゅい:2012/02/14(火) 21:00:45
 こそこそと背を向けながらやり取りをする二人に、トキコはそう声をかける。
スザクとシスイがちらり、と振り向けば、段々と彼女の表情が曇っていくのが分かった。

「あ・・・」
「食べて、くれないの…?」
「い、いやその…」
「・・・」

 終いには泣き出しそうになってしまい、ついに居た堪れなくなったお人好し代表・シスイは、
泣きそうな顔をしているトキコの両肩へと手を置いた。

「トキコ!」
「ふえ?」
「俺は食べるぞ!」
「!?ちょ、シスっ」

 血迷ったかとスザクは止めようとしたが、時すでに遅し。

「あ」

 雄叫びを上げているチョコを口へと投げ入れてしまったのであった。
うぶ、と一度シスイは吐きかけたが手で押さえ(しかし指の隙間から手らしきものが見えたが)、
彼はなんとか胃の中へとそれを収めた。スザクが心配そうに彼へと声をかける。

「シスイ…大丈夫か・・・?」
「・・・・・・・・・」
「一角くん?」
「っごふぁ!!!」

 口から勢いよくチョコレートを吐き出したかと思えば、シスイはそのまま後ろに倒れて、
そのまま動かなくなってしまった。「い、一角くーん!?」と駆け寄るトキコの後ろ姿を見ながら、
スザクは一言、こう漏らしたのであった。

「・・・シスイ、無茶しやがって・・・」










2.14事件








>おまけ


「クロウー!!クロウしっかりしろー!!」
「どうかしたんですか?」
「っ!エドくん、クロさんが、クロさんが謎の物体Xを口から垂れ流しながら倒れてるの…!」
「わあ、本当だ。写メっていいですか?」
「駄目に決まってんだろ!?何やってんのお前等!!…っちょ、ホントに写メんないで!写メ禁止!」
「………」
「それで、クロウさん生きてるんですか?」
「えっ?……!生きてる、一応心臓は動いてるよ!」
「チッ」「よかったね、」「クロウくん生きてて」「ぽっくり逝けばよかったのに(笑)」
「あれ、モブちゃんいつの間に。」
「でも何故こんなところで倒れてたんでしょうかね?」
「…分からねぇ、俺とミーネがクロウ探してここに来た時にはもうこうなってて…っくそ!一体何が…」
「……?(甘い…)」
「とりあえず」「クロウくん起きる前に」「一発」「撮らせてよ☆」
「だから写メ禁止っつってんだろ!?」
「…あれ、皆…何してんの…?」
「あっ、ミューくん!…それは?」
「…これ?トキコから貰った…」
「…トキコちゃんから?」
「うん、…さっきクロウさんも貰ってたし…」
「…ああ、そういうことか。」
「………」
「え、エドくん…思い当たりあるの?」
「うん、昨日エレナとキッチンで何か作っているのを見てたから。ねぇ、エレナ?」
「……・・・」
「エレナちゃんも」「料理ド下手って」「聞いたけど」「?」
「ド下手ってレベルじゃないよ・・・あれは。ありえない材料から生物を生み出すレベルさ。」
「・・・え、つ、つまり・・・ちょー不味いのとちょー不味いっていう次元じゃないチョコレートをクロウが・・・?」
「そういうことになるね。」
「「「・・・・・・・・・」」」

409しらにゅい:2012/02/14(火) 21:06:35
>>405-408 お借りしたのは都シスイ(akiyakanさん)、火波スザク、火波アオイ(スゴロクさん)
高嶺利央兎(紅麗さん)、ハヤト(鶯色さん)、名前のみゴクオー(クラベスさん)
おまけではクロウ、シュヴァルツ、ミネルヴァ(スゴロクさん)、エドワード、エレナ(許助さん)
最文鈴子(十字メシアさん)、ミューデ(紅麗さん)でした!
こちらからはトキコです。

テロしてごめんなさいね!特に被害者になった方々ごめんなさい!
とりあえずトキコちゃんとエレナちゃんは筋金入りの料理下手なので混ぜたら危険、
ということが伝わってれば幸いです。←
ハッピー?バレンタイン!

410びすた:2012/02/14(火) 21:08:45
____時は遡る

「それは、ただの理想に過ぎないわ。ありえない絵空事ね」
「なにそれ」「ロゼちゃん、弱者のくせに」「強者の皮をかぶった」「弱者さん」
「はいはい、なんとでも言いなさいよ」
長々と演説した後のひどい一言に最文鈴子はむすっと頬を膨らませていた。
…さすがに言いすぎたかしら。
彼女の飲み終えたカクテルグラスを片付けながら思案している時だった。

「私知ってるよ」「その目」「ロゼちゃんの妹さんのだったって」
ガシャン
ガラスが割れる音と同時に指先に熱を感じた。
破片で切れたのだろう、でもそんな痛みはどうでもよかった。
どうでもよくなるくらい私は鈴子をひどく睨みつけていた。
「あははっ☆」「やっとこっち見た」「そんなに睨まないでよ」「よっぽど知られたくない」「話だった?」
「何を…」
「知ってるよ?」「その目、妹さんから貰ったもの」「そうでしょう?」

「双子の妹さん」「可愛そうな妹さん」
「やめて」
普通の人として生まれた私に対して、
妹は「アイコンタクト」をもって産まれた先天的能力者だった。
両親は研究者だった事もあってか、姉の私よりも妹を愛していた。
そんな私も謙虚で心優しい妹が好きだった。
でもある時、学校先で能力者である事がばれてしまって…

「クラスのみんなに」「きみわるがられて」「いじめられて」「傷つけられて」
「・・・やめてちょうだい」
「耐えられなくなって」「クラス全員の」「心ぜんぶ壊しちゃって」「カルーアトラズに・・っと」「危ないな!」
「やめてって言ってるでしょう!あなたに…あなたに何が、何がわかるっていうのよ…!!」

無心にアイスピックを握りしめて鈴子に振りあげる。
だが感傷的になって標準が定まらないそれを鈴子は軽々とかわしていく。
一瞬窓に自分の顔が映り、あまりのひどい泣き顔に内心自嘲してしまう。
こんなに泣いたのは、両親が死んだ時と、あの時振りかもしれない。
あの時から私も両親も普通から逸脱してしまった。
世界がとても憎くなってしまった。
そうしてホウオウ様に救われた。
だから
両親と共にホウオウグループに入ると同時に
私は、
カルーアトラズで自殺して間もない妹の両目を移植した。

411びすた:2012/02/14(火) 21:10:15
「弱い物いじめはそこまでに、しましょうか」
「「ゼア!!」」
彼に手刀でアイスピックを落とされるのと、同時にロゼは床に膝をついて頭を垂れた。
そんな彼女を滑稽だと言わんばかり一瞥した後鈴子はとても嬉しそうにゼアに言い放った。

「弱い物いじめ?」「違うよゼア君」「話し合ってたんだ」「弱い世界、素敵だと思わない?」
「まぁ、そうかもしれませんね」
「……」
「素直だね」「素直はいい事だわ」「機嫌いいからそうね」「これ以上はやめておくわ」「バイバイ」「ロゼちゃん☆」


カラリと扉が閉まった後、店内にはゼアとロゼが残された。
しばらく流れた沈黙から最初に切り出したのはロゼだった。
「こっちを見ないで」
「なぜ?」
「今、の、私は、私じゃないからよ。こんな弱い私、私じゃない…」
ぎりっと拳を握りながら数滴零した涙が照明に照らされるのを見つめるしかなかった。
「そうですね、あなたらしくもない。ホウオウ様が今のあなたの姿を見たらなんと仰るか」
「こんな…こんな私見られたら最悪よ。そう、最悪、舌噛み切って死にたいわ」

「それだけまだ強気で言えるなら5分で十分そうですね」
「・・?」
「5分だけお店を見張りましょう。その間もちなおせますか?」
ゼアに背を向けるようにしてロゼは立ちあがった。
「もちなおして、みせるわ」
「そうですか」
「ゼア」
「なんでしょう?」
「借りは、いつか返すわ…その、ありがとう」
「…どうも致しまして」

____時は戻る。

「【マザー】さっさと起動してちょうだい。探索ワード【ミネルヴァ・現在位置】よ」
『声紋・指紋一致、「ロゼ」認証完了。マスターロック解除シマス』

ここはバーの地下室のうち一番広い部屋にあたる。
その真ん中に情報伝達・収集用に作ったばかりの機械【マザーグース】、通称マザーは鎮座していた。
一見ただの大きく黒い地球儀だが
それはロゼの声に呼応する度に紫色の光を帯び、発光した。

「ミネルヴァ失踪。エンブレム着用。至急、捜索頼む・・か」
クロウからトキコを通じて送られたメールがトキコから直接転送されたものをもう一度見直す。
あの鈴子の一件以来、クロウもゼアも直接頼みごとをする事がなくなってしまった気がする。
頼りないと思われているのだろうか。
それとも彼らなりの配慮・・なのだろうか。
どちらにせよ、弱い自分を見せた自分が悪いわ。
少しずつ信頼を取り戻す他ないわね。

『ウォッチャーシステム起動開始、全198個体からデータ回収中・・探索中…』
(・・検索に時間がかかり過ぎる。製作に数カ月しかかけていない事もあって、まだまだ改良の余地があるわね)
『現在位置、不明。最新データ、コチラノ20分前、№199カラノ引キ継ギデータニナリマス』
「・・何て事」
球体に浮かぶ映像を確認した後、
ロゼは急いで二人に連絡するべく球体に暗号を打ち込む。
「聞こえる?トキコ、クロウ。そのまま聞いてちょうだい。
ミネルヴァ、彼女は今…」

412びすた:2012/02/14(火) 21:11:03
___その一方、ウスワイヤ施設。

「コノカさんいるか・・ってうぉ?!」
「わわっ??!す、すすすいませんクロイさん!今外します!あ、頭から血が・・!!」
クロイに慌てて謝り、今にも泣きそうな顔をしているのは茨の悪夢の能力者、野原コノカだ。
ちなみにクロイが急に床に倒れて額に軽い傷を負ったのは
紫の茨、コノカの能力によって両手足を瞬時に縛られた為である。
「いやいや急にノックせずに個室に入ろうとした僕も悪い・・それはそうと何をしていたんだ?」
「え、その・・シノさんから頂いた問題集を解くのに時間がかかってしまって…。
あ、でもさっきやっと全部解けたんですよ!ほらっ」
「……えっとコノカさん?」
「はい、なんでしょうか」
「今いくつだっけ」
「15です!」
(シノさん…15歳になんで高3の問題解かせてるんです?)

****

「護送、ですか・・」
(辰那さんって確かホウオウグループの…噂でしか聞いた事ないなぁ。どんな人だろう)
「そう、その移送で人出が足りなくてね。一緒にお願いできるかな」
「・・!是非協力させてください!その、未熟者ですがこちらこそよろしくお願いします・・!」
「よろしくな、さぁて。あとは為人君かな・・?」
(ホウオウグループ…まだ接触した事はないけれど…。)

(一体どんな人たちなのかなぁ…?)


「薔薇の涙と茨の好奇心」

スゴロク様の「強者の強者による強者のための現実論」での返答を序盤に。
同じくスゴロク様の「白梟の大脱走」でのロゼとコノカの動きを書かせて頂きました。
相変わらず分かりにくくてすいません。
おかしなとこが言ったらずばずばどばっと指摘して下さると助かります…。

以下お借りいたしましたCAST一覧
十字メシアさんから「最文 鈴子」「シノ」
あそもりさんから「ゼア」
しらにゅいさんから「トキコ」
スゴロクさんから「クロウ」
睦月のにこさんから「雁里 辰那」

私からは「ロゼ」「野原コノカ」でした。
新たにロゼが制作した「マザーグース」については後ほど詳細を記述する予定です。

413十字メシア:2012/02/14(火) 22:27:30
しらにゅいさんの続き。
ヒトリメさんから「イチロ」、名前のみでしらにゅいさんから「トキコ」をお借りしました。


「な……」
「何、ですかこれは…」
「うげ……」

2組の方から漂っていた謎の臭いに疑問を感じたキラ、伊織、華燐が教室を見ると、そこには屍の如くピクリともしない生徒達が。

「この甘ったるい臭いに、生徒達の口角から流れている茶色の液体…そして今日はバレンタインデー……」
「つまり料理下手どころじゃない料理下手が引き起こしたって事ぉ?」
「ええ。こんな事出来るのは…」


『トキコ(さん)…』


異口同音する3人。

「全く…たまには人の役に立つ事をして欲しいものです」
「ああ…私もいつか料理を食わされたが、アンドロイドでなければどうなっていたか…」
「ねー。…ん?」

ガサガサッ

「…物音?」
「しかし2組の生徒は…」
「…まさか」

恐る恐る足を踏み入れ、覗く3人。
そこにいたのは―――。


「あーあ勿体ない。折角くれたんだから、残さず食べなきゃ」


あのトキコが作ったチョコを平気で食べている、”異常大喰漢少女”。
その様はまるで屍の上に立つ、バトルロワイヤルの勝者だった。

「そうだ…」
「私も忘れていました…」
「…アタシも」


『簀がいたんだ…』

2.14事件の裏話


-余談-

「イチロ先生、チョコどうぞ」
「おーカナミちゃん! ありがとう!! いやー嬉しいなあ」
「喜んで頂けて何よりです」
「じゃあ先生からお礼にチューしてあげよう!」
「え…ええっ!? い、いいです!」
「そーんな恥ずかしがらなくてm」
「テメェ何カナちゃんにセクハラしてんだよこのスケベ教師死ねや!!!!!」
「え、ちょ、ミユカちゃん、ジャーマンスープレックスとかやめtギャァァアアアアアア!!??!?」

414名無しさん:2012/02/14(火) 22:48:35
私としたことが、こんなおいしいネタを見逃していたとは……。
バレンタインデーネタです。

2.14事件の続きです。ちなみに(六x・)さんから「アズール」しらにゅいさんから「トキコ」を名前のみお借りしています。



「やれやれ、参った参った……」

帰路に就いたスザクは、一人歩きながらそう呟いた。トキコのチョコ(?)を口にした面々は一人の例外を除いて保健室送りになってしまい、午前中は大騒ぎに発展していた。

斯く言うスザクも問題のチョコは食べたのだが、少々体調を崩した程度で済んだ。もっとも、その後は今になるまで妙な不快感に悩まされるハメになったのだが。誰かに買って渡そうかとも思ったが、生憎その気力が足りなかった。

(気絶した方が楽だったかな?)

とはいうが、単純にトキコがくれたというだけでも嬉しい。―――ちなみにスザク、この一日の内に下級生5人(うち3人は女子だった)からもチョコをもらっているのだが、食べずにそのまま持っている。

「ただいまー」
「お帰りなさいませ、姉様」

ドアを開け、玄関で靴を脱いで入る。出迎えてくれたのはパジャマ姿で上着を肩にかけたアオイ、そして、

「お帰り、スザク」
「綾ちゃん、お帰りなさい」

マナとランカの姿。

「あれ、二人とも来てたのか?」
「アオイさん、今日は風邪ひいちゃって一人って聞いたから」
「お見舞いに来たの、つまりは」
「そっか。ありがとうな」

鞄をソファに放り投げ、反対の手に持っていたビニール袋をがさっと置く。マナが「悪い、行儀が」とすかさず駄目出しして来たが、気にしない。

「けど、ランカ……アカネさんにちゃんと言ってきたのか?」
「うん、言ってきたよ。でないと、お母さん心配するもん」
「アズールもいるし、あの人もいる。大丈夫」

あの人? と一瞬疑問に思ったが、とりあえず流す。

「アオイ、調子はどうだ?」
「ええ、今は落ち着いていますわ。……?」
「そっか、けど無理するなよ。マナ、ランカ、今から晩ごはん作るけど、食べてくか?」
「んー……どうしようか?」
「私は構わない。でも、アカネさんに言っておくべき、ちゃんと」
「そだね、わかった」

言うと、ランカは素早く携帯を操作して短縮で母親を呼び出し、通話する。

「もしもし、お母さん? ……うん、あのね……」

その様子を横目に見つつ、スザクはダイニングからエプロンを取って身に着け、キッチンに向かう。

「アオイ、何にする? ……アオイ?」

返事がない。不審に思って振り向くと、アオイは足元を凝視していた。正確には、足元に置いてあるビニール袋を。
より正確には、その中身であるチョコレートを。

「……姉様」
「ん?」
「こちら、どなたからいただきましたの?」
「下級生。女子が3人くらいいたけど……」
「……そうですの」

何やら様子がおかしい。口調が妙に平坦で、感情が見えない。「アオイ?」と呼びかけると、彼女は顔を上げ、にこやかに言った。

「姉様、食べませんの?」
「んー……僕はもういいや」
「そうですの。でしたら、わたくしが頂いてもよろしいでしょうか?」
「ん? 別にいいけど。あ、後でご飯持ってくから、その後で食べろよ?」
「はい。では、頂戴致しますわね」

言うとアオイは、ビニール袋を提げて自室に戻ってしまった。きょとんとしていたスザクだったが、ややあって我に返り、

「……鮭があったっけ。ムニエルにするかな」

415名無しさん:2012/02/14(火) 22:49:07
『ごちそうさまでしたー!』

自室のアオイ含め、食事が一段落。片付けが済んだところで、ランカが「あっ」と思い出したように口を開いた。

「忘れてた、もう一つ用事あったんだ」
「?」

ごそごそとポーチから取り出したのは、小さな包み。

「はいっ、綾ちゃんにあげる」
「? ありがとう……開けても?」

うん、と頷いたのを見て、スザクは包みを開く。そこにあったのは、数枚のクッキー。

「クッキー? これ、ランカが?」
「う、うん。マナちゃんと一緒に……ホントはチョコがよかったんだけど、時間なくて……ごめんね」
「いや、嬉しいよ。ありがとう、ランカ、マナ」
「いえいえ、どういたしまして」

ぺこり、と頭を下げるランカ。

「私は手伝っただけだから」

いつもの如くのマナ。
一枚口に運んでみると、ぱりっ、とした歯ごたえとほのかな甘みが相まって、何ともおいしい。

「あとで、アオイにも分けてやるかな」
「あ、大丈夫、アオイさんのもちゃんとあるから」
「ゲンブのは?」

その名が出た途端、ランカが少し不機嫌な顔になって言った。

「ちゃんと反省してたら、ね? 覗きのことと、綾ちゃん利用しようとしたこと」
「まだ許してなかったのか……いや、僕だって許さないけど」
「同感。……というか、今言われるまでゲンブのことを忘れてた、私は」

軽くズッコケる二人であった。



その頃、アオイの部屋。
ベッドに腰掛けたまま、スザクがもらったチョコを食むアオイは、口の中のものを飲み下して呟く。

「トキコさんやランカさん達はともかく……誰とも知れぬ方のチョコレートなど、姉様には……わたくしの姉様には……」

傍から見るとかなり危ない。見なくても危ない。
スザクに対する独占欲が最近エスカレートしており、一人になるとこんな状態が多いのだ。幸いなのは、理性による制御が効いているということだが、そうでなかったら完全なヤンデレ状態だ。

一通りチョコを食べ終わった後、ふとアオイは引出を開ける。
そこにあったのは、ハート型の包み。昨夜、徹夜で作ったチョコレートだ。

「……姉様のために、一生懸命作ったのですけれど……」

さすがにこれは渡せませんわね、とため息をつく。今朝になってから自分が作ったチョコを改めて見直し、そして赤面することになったからだ。
表面には、飾り文字でこう書かれていたのだ。


「Ⅰ MOST LOVE SUZAKU」


(深夜に書いたせいで思考がダダ漏れに……相手は実の姉様ですのよ!? こんなの渡したら変な方向に一直線ですわぁぁぁぁぁっ!!)

心の中で叫びつつ、自作のチョコにかぶりつく。

―――アオイの恋路(?)に幸あれ。



バレンタイン・ハッピー?

416名無しさん:2012/02/14(火) 22:49:43
おまけ。

「……クロウ、体調はどうだ」
「まだ気分が優れん……いったい何なんだ、あのチョコレートは……」
「現物を解析したが、正体不明。組成・構成ともに通常の食物の域を出ない。にも拘わらず、表面的には生命活動が感知された。あれはいったい何なのだ」
「ナハト。それは俺が知りたい……」



さらにおまけ。

「啓兄ちゃん、あげるー」
「チョコレートか。ああ、もらっておこう」
「浮ついているなよ、啓介。いつ能力犯罪が起きてもおかしくはない、そのために我々アースセイバーは……」
「ゲンブさんはもらったのか?」
「俺はいらん。その手のイベントには縁がなくてな」
「そうか? 聖さんですらもらってたのに……」
「…………」


一条寺邸。

「……火波は誰にも渡さなかったのか……ちょっと残念だな。欲しかったんだけど……」

417(六x・):2012/02/15(水) 00:03:44
日本時間じゃ遅れたけど世界のどっかはバレンタイン!


絶対に検索してはいけない?バレンタイン



「バレンタインか…俺はどうせBBAにしかもらえねーよ」
「一個くらいは義理もらえるって、大丈夫。」
「お前それ結構失礼だから。お前こそ姉貴くらいしかもらう当てないだろw」
「もしもらえなくても、僕が凪姉に渡すからいいんだよ。」
「自分が渡すとかシスコン過ぎる。もう末期。」

司がシスコンに呆れ果てていると、背後で美琴がなにかを配っていた。

「ハッピーバレンタインですー。」
「ありがたや…」
「崎原さんマジ天使!」
「ちんk<言わせねーよ!>

クラス全員にちんすこうを配っているようだ。

「はい、空橋くんにもどうぞ。」
「ありがとう。」
「姉貴以外からもらえてよかったな空橋。義理確定だけどなw」
「不動さんもどうぞ。」
「おぉ…もらってやるとするか」
「偉そうww素直にありがとうって言いなよ。」
「なっ…いらないって言ってるわけじゃないしいいだろ!」



「冬也、受け取れ」
爪ス゚-゚スつ≡◇

「わ。凪姉、作ってくれたの?実は僕も…はい。」
「逆チョコされたΣお前の手作りとか不安過ぎるんだけどww」
「頑張ったの!塩と砂糖とか間違えたりしてないからね!」
「逆に不安煽るなー。そんなヤバいものを食べさせようとするとか嫌がらせかよ」
「う…っ、凪姉のバカー!」

冬也は泣きながら走り去ってしまった。

「………もしもし、親父?今日友達とチョコレート作ったから親父にやるわ。こんなサービスめったにしないんだからね!製菓会社に感謝しろよ!」

風真への電話を切り、箱を開ける。料理が苦手な冬也が作ったチョコレートケーキは、なかなか良い出来だ。

「売ってるやつでもいいのに。しかもLOVEなんて書きやがって…女子かよ」

端の方を食べてみた。塩と砂糖を間違えて…いない。
むしろ、自分好みの味付けだった。

「手ボロボロにして、私なんかのためにこんなの作って…バカはお前だよ。いや、私もか?」


爪ス*-へ-ス…気付くかな、あれ



一方、冬也の自室

「そりゃ僕は料理下手だよ!塩と砂糖間違えるとかしょっちゅうとはいかないもののありがちだよ!でも、あんな言い方ないじゃないかー!凪姉ってほんとドS!!」

そう言いつつ袋を開けると、見事にデコレーションされたチョコレートクッキー、そして

「かわいいなぁ…ん?」

『Min rakastan sinua ※絶対検索すんなよ!絶対だぞ』

ピンクのペンで書かれたメッセージカードが入っていた。


「検索すんなって…呪いの言葉書くほど嫌なの?」

パソコンを立ち上げ、カードに書かれた言葉を入力する。結果は…


「日本語でいいのに。シャイ過ぎだよ、凪姉…」


(六x^)ハッピーバレンタイン^^

418スゴロク:2012/02/15(水) 13:24:01
>>414-416 
名前が消えていました……。

419びすた:2012/02/15(水) 14:42:31
>>410-412
wiki編集時点で気付きましたが
お借りしたキャラ一覧で、
ご本家様から「ホウオウ」
「ミネルヴァ」
YAMAさんから「クロイ」
洗濯板さんから「鳶壬 為人」
記述漏れしていました。すいませんでした……。

>>418
wiki編集後に別人だったらどうしようとそわそわしてました←
スゴロクさんで合っててよかったです…!

420スゴロク:2012/02/15(水) 18:04:56
>びすたさん
編集どうも。ちなみにタイトルは「バレンタイン・ハッピー?」で、「アオイの~」は作品の一部です。
直しておきました。

421紅麗:2012/02/18(土) 14:37:39

ギャグ話です。
本家様より「アキヒロ」鶯色さんより「ハヤト」
たまちさんより「イタマ」しらにゅいさんより「玉置静流」をお借りしました。
こちらからは「アルニカ」です。


「ふぁーー!!やぁっと終わったー!
Bブロック、Cブロック…うむむ、被害が大きいですねぇ…。
もっともっと丈夫にしないと…。」

(まぁ先ずは、部屋で休むとしましょうか)

がちゃり。

「 」

突然だけど、目眩がした。

おかしい、おかしいぞ。何が起こったんだ?
嘘だ。ありえない。
だって、だってだってだって!!
数時間前この部屋を出てくるときはきらっきらのぴっかぴかだったじゃないか…!!

「…なのに」

目の前には、バラバラに崩れ去った戦艦のプラモデルや、壁に飾ってあった
銃がごろごろと転がっていた。

「どうしてこんなことになってるんですかぁあああああああ!!!!!」


 にゃー
 
 わうっ


ね、ネコにイヌ?どうしてこんなところに。
あぁ…、もしかして。もしかして。
これを壊したのって…。

「や…やっと見つけた……!」
「あーもう、こんなところにいたのか!」
「……すみませんアルニカさん…玉置さんから預かっていた動物が数匹逃げ出してしまって…
…って、うわ、ぁ…」
「…これは酷い」

ひょっこりと部屋の中を覗いたイタマとハヤトの二人は、部屋の見事な荒れっぷりに苦笑した。
アルニカはと言えば。

「 」

崩れた戦艦を見ながら放心状態。
頭上からは魂のようなものがふわふわ浮き(多分)白さが増している。
うわー…、と声を上げずにその様子を見る二人。
魂の抜けた状態のまま、アルニカは猫と犬のもとへと歩き出した。
そして、ひょい、ひょい、と静かに二匹を抱きかかえると。
机の上へと座らせた。そのまま流れる沈黙。

「何を…何をしてるんですかキミ達はぁあああああああ!!!!!!!!」
「「(え、ええーーーー!!!??)」」
「これがっ…これがボクにとってどれだけ大切なものかわかってるんですかーー!!?」

なんということでしょう。動物二匹に説教を始めたのだ。
机に座る犬と猫。二匹を指差しながら説教を続ける軍服の女。
なんと奇妙な光景だろうか。
イタマとハヤトはあまりのシュールさにお口ポカン。
アルニカはそんな二人を余所目に、頭に装着しているヘッドセットのマイクのスイッチを入れる。

『シズルくん!居たら今すぐボクの部屋に来てください!っていうか居なくても来てください!!今すぐにぃ!!!』

とてもとても大きな声が、ウスワイヤ中に響き渡った。

422紅麗:2012/02/18(土) 14:39:12
「ど、どうしました?アルニカさん。緊急事態のようですが…」
「緊急事態の緊急事態です!!見てくださいこれー!」
「?……うわあぁ…」
「ボクの部屋がめちゃくちゃじゃないですかー!!」
「すみません…!!で、でもこの子たちも悪気はなくて…」
「……そもそも、此処で動物を飼うこと自体間違ってるんです!仕事の邪魔です!」
「…あ、アルニカさんそれは……!」

じゃきっ

アルニカの頭にハンドガンが宛がわれた。
イタマは「ひっ」と短く悲鳴を上げた。ハヤトも反射的に身構える。
しかし、アルニカも黙っちゃいなかった。直接戦闘は得意じゃないが、最低限の訓練は受けている。
シズルがハンドガンを取り出すと同時にこちらも素早く軍刀を引き抜き彼の首に宛てていた。

「邪魔ってどういうことだよ、あぁ!?」
「邪魔なものは邪魔なんだ!精密機械が壊れたらどうするんだい!?」
「(ふ、二人とも…性格が変わってます……)」
「(あぁ、また面倒なことに…)」
「現に今!ボクの大切なものが彼らによって壊されてしまったじゃないか!!」
「それはこんな狭いところにプラモデルなんか置いておくお前が悪い」


 は ぁ ? 


ぽかんと口を開けてしまった。
落ち着くため、静かに軍刀を収める。

「…いいかい?シズルくん」
「なんだよ」
「此処はボクの研究室だ。…大切なことだからもう一度言うよ。『此処はボクの研究室だ』」
「んなもんわかってるっつーの」
「じゃぁ何故!何故ボクが悪いということになるんだ!!わけがわからない!!」
「結論から言えば戦艦なんてダサいもの作るの止めればいいってことだ」
「なんだとーー!!?今キミはボクだけじゃなく、ボクの兄さんまで侮辱したことになるぞ!!」
「あーはいはい、そうですか」
「(むっかぁああああ!!!)その態度!!後悔させてやる!」

ぴっ

『艦長!『タマキシズル』撃沈を具申
「却下」

ぶつっ

…切られた。

「………」
「「………ぷっ」」
「……くすっ…」
「わっ…笑うな!皆して笑うなああ!!」

にゃー
がしゃん。

「う、うわぁあああ!!?ちょっ…、もう止めてくれ!!
せっかく、せっかく隊列揃えていたのに!!わー!」

がしゃあああん。

「あぁ……もう…」
「アルニカ、泣いて
「ないッ!!ハヤトくん、余計なことを言うな!!」
「あ、アルニカさん!危ない…!!」
「ッ!?」

ばうっ!

「っ!?で、でかっ…!うわっ!おい、ヘッドセットを取るな!
飾緒を引っ張るな!わぶっ…顔を舐めるな!シズルくん、どうにかしてくれ!」
「嫌だ」
「ハァ!?」
「……楽しそう…」
「楽しくない!」
「…でも、尻尾振ってる…」
「………」

イタマにそう言われ、ぶすっとしながらもアルニカはじゃれてきたイヌの頭をそっと撫でてみた。
犬は心地良さそうに手に擦り寄ってくる。
(…部屋を荒らしたりしなければ、普通に可愛いんだけどなぁ)


ミリタリーオタクと動物と


「…でもプラモデルを壊したことは許さないからな(ギロッ」
「いい加減許してあげればいいのに…」
「絶対に許さない(ギロッ」

423えて子:2012/02/19(日) 22:44:21
「はぁ、はぁ、はぁ……」

佑の頭は混乱していた。
何が起こったのか分からない。どうしてこうなっているのか理解が追いつかない。
崩れかけた壁の影に隠れるように座り込むと、大きく深呼吸をして気を落ち着かせる。

「……落ち着け、私…。まず、何でこうなったか、一から思い返すんだ…」


…あの後、早退したはいいものの、そのまま家に帰る気にはなれなかった。
何となく、頭痛はあるもののそこまで体調が悪くないのに早退してしまった事で、サボってしまったような気分になっていたのだ。
そんな状態で帰って寝るのも、太陽に要らない心配をかけるようで気が引けた。
どこか誰にも気づかれずに時間を潰せる場所はないかと探し、ある場所で足を止めた。

…ストラウル跡地。
ここなら人も寄り付かないし、上手く隠れれば誰かに見咎められることもないだろう。
ここでしばらく時間を潰して、放課後皆が帰るぐらいの時間になったら家に帰ればいい。
そう考えて、足を踏み入れた。

…そして、ビルの影に隠れていたら、変な機械兵に見つかった。
危うく撃たれそうになって、たまたま落石に助けられ、逃げてきたのだ。

「(あぁもう…私、馬鹿だ…)」

だんだんと頭の整理ができて落ち着いてくると、今度は自分の行動を悔やんだ。
機械兵に追われる形で跡地の奥へ奥へと逃げ込んでしまい、今は廃ビルの二階の一室に隠れている。
…要するに袋の鼠である。一刻も早くここを離れなければいけないのに。


腕時計で時間を見ると、そろそろ放課後になったところだ。
早く帰らないと、今度は遅いことで心配をかけてしまうかもしれない。
どうすればいいかと思考をめぐらせていると、

「!!!」

突然、鞄から振動音がして、びくりと肩を震わせた。
震える手で鞄を探ると、携帯電話を取り出す。

(携帯…そういえば、マナーモードにしっぱなしだったっけ…)

携帯電話を開くと、画面に[海猫]と発信者名が表示されている。
機械兵に見つからないよう注意を払いながら、そっと通話ボタンを押して、耳に当てた。

「……海猫?」
『あ、佑?図書室にも教室にもいないから探したよ』
「ん、ああ…ごめん。頭痛くてさ、早退したんだ」
『え?ご、ごめん。大丈夫だった?』
「…平気。休んだらだいぶ良くなったから」
『そう…良かった』

他愛もない話をしながら、ふと佑はこの状況を海猫に相談しようかと考えた。
しかし、すぐに思い直して首を振る。
海猫は現実的な性格だ。「跡地で機械兵に襲われている」と言った所で信じてもらえるかは微妙なところだろう。

『佑?どうかしたの?』
「あ…ううん、何でもない。……そっちこそ、どうかしたの?」
『ああ、うん。図書のことでちょっと聞きたいことがあるんだけど…』
「うん、答えられる範囲なら答え…。…………!」

かすかに聞こえた小さな音に言葉が途切れた。
視界の端に一瞬だけ見えた機械兵に、思わず息を飲む。
海猫が電話の向こうで何か話しているが、何も頭に入ってこない。
逃げないと。この場から一刻も早く。

424えて子:2012/02/19(日) 22:45:40
『…………佑?』
「ごめん海猫。また後でかけ直すから」
『え?ちょっ』

何か言われる前に通話を切る。
そのまま見つからないうちに壁の穴を通って隣室へ向かおうとして、

世界が、回転した。


「いてててて……」

気がつくと、さっきまでいた廃ビルの一室ではなく、瓦礫の散乱する地面だった。
足元の床が崩れたことであの機械兵から間一髪逃れられたと知り、小さく息を吐く。
転げ落ちた際に負った擦り傷と打ち付けた体の痛みはあるが、ざっと見る限り大きな怪我は負っていない。
教科書等が入っている鞄が上手い具合にクッションになったようだ。

「………携帯、なくしちゃった……」

安堵の息を吐いたところで、さっきまで手に持っていたはずの携帯電話がなくなっていることに気づき、今度はため息がこぼれる。
落ちた衝撃で手を放したため、ふっ飛んでいってしまったのだろうか。
どちらにしろ、もう誰かに助けは求められない。

「……何とか、逃げ切るしかないか……」

何とかあいつを撒いて、跡地から出なければ。
過程はどうあれ外には出ることができたんだ。

早く、帰らないと。


孤軍奮「逃」


(誰にも、頼れない)
(戦うなんて、できるわけもない)

(たった一人の、逃亡劇)

425えて子:2012/02/19(日) 22:46:56
>>423-424
十時メシアさんから「角枚 海猫」さん、クラベスさんより名前だけ「日出 太陽」さんをお借りしました。
佑もついに非日常の片鱗に触れたようです。
分かりづらいですが無差別フラグです。拾えそうな人いたら拾ってください。ねじ込み歓迎です。

426スゴロク:2012/02/19(日) 23:46:59
>えて子さん
では、私が拾ってみましょう。


「……んー?」

その日、赤銅 理人は非常に暇を持て余していた。「道化者」を地で行くこの男だが、おかしな行動・言動と異なり、思考は冷静迅速極まりない。
だからこそ、余計に暇だった。思考を持て余している、というのが正しいかもしれない。何しろ面白いことが何もない。いつもと変わらない、退屈な日々。

だからこそ、ストラウル跡地に迷い込んだ時、「それ」に気付いたのかもしれない。

「なーんだ、ありゃ……」

確か「パニッシャー」とかなんとか言う機械兵器だった気がする。今、ちらっと見た感じでは、誰かを追いかけていたようだが……。

(あれって確か、戦闘力の低い能力者を優先して狙うんだったよな……ってことは?)

追われている誰かは能力者……それも、戦う力が低い部類だ。理人は基本的に他人の迷惑は考えないタイプだが、目の前で困っている人を見捨てられるほど冷酷ではない。

「んー、と」

ナップサックを漁り、道具をいくつか取り出す。自身の力……「性質付加」で特殊能力を付加した器物だ。

「こーんなもんかなー?」

右手に懐中電灯、左手にダーツの矢を持ち、理人は機械兵の後を追った。




鞄を持ったまま、佑は機械兵を撒こうと必死になっていた。障害物や壁を使って何とかビルの外へは出たものの、機械兵はまだこちらを探しているらしく、少しでも気を抜くと駆動音が近くに聞こえてくる。

どうやってこちらを識別しているのかにもよるが、見た感じでは普通にカメラに映さないと見えないようだ。なら、このまま隠れながら跡地の外に出られれば逃げ切れる。

(早く、帰らないと……)

不安なのは携帯をなくしたことだが、命あっての物種だ。死んだらどうしようもない。
体がまだあちこち痛むが、弱音を吐いていたら殺されてしまう。
と、

「っ!」

瓦礫の山の反対側から駆動音が聞こえた。想像以上に動きが早い。既にこちらを捕捉したのか、回り込んで来ようとしているのがちらりと見えた。
一刻も早く離れなければ。焦燥に駆られた佑は一気にその場からダッシュをかけ、


凍りついた。


機械兵が瓦礫の山を、あろうことかジャンプで飛び越え、真正面、至近距離に現れたからだ。

冷静に考えれば、相手は機械兵……言い換えればロボットなのだから、人間以上の力を持っていると考えてしかるべきだ。もっとも、この時の佑にそれを期待するのは酷というものだが。

ともかく、佑は意識が完全に凍りつき、動きが止まっていた。呆然と見る前で機械兵の腕が上がり、そこにマウントされた銃口がこちらを捉える。

「!!」

そこまで来てようやく現実に戻ってきた佑だったが、今からでは逃げられない。こちらが動くよりも銃弾の方が早い。
頭の中をいくつかの風景がぐるぐると流れる。3秒に満たないその間に、銃弾は既に放たれていた。

427スゴロク:2012/02/19(日) 23:47:32
「うーわっ、これーってかなりギリーギリのタイミングってーやつかな?」

機械兵に後ろから懐中電灯の光を当てつつ、理人はそう呟いた。額を冷や汗が伝う。発見したときには既にその「誰か」らしき少女に機械兵が銃撃をかけようとしており、まさに間一髪だった。

この懐中電灯に付加した能力は、「照らした相手の全ての動作を極端に遅くする」というものだ。ただ、今の状態だと少女も一緒に照らしてしまっているので事態が変わっていないのだが。

(とすれば、これだな)

懐中電灯を持つ右手はそのままに、左手を振りかぶってダーツの矢を投げる。
動きの遅くなった機械兵の頭部をダーツの矢が捉え、一拍おいて爆裂した。



「!? うわっ!?」

突然目の前で起きた爆発に、佑は思わず顔を腕でかばう。その腕が、誰かに捕まれて引っ張られる。

「っ!?」

一瞬パニックを起こしそうになったが、視界が戻ると機械兵が頭部から煙を吹いており、動きが止まっている。しかも、どんどんそれが遠ざかる。
どうやら、自分を引っ張っている誰かはあの機械兵から自分を逃がそうとしてくれているようだ。理由はさておき、助かっ――――

「だーああっ、あーの程度じゃダーメかーっ!!」

変に間延びした、しかし切羽詰まった声に視線を戻すと、機械兵が煙を吹き出しながら追ってきているのが見えた。
見つかった分状況は悪くなったが、誰かがいる分は良くなった。―――結局のところ、あまり変わっていないのだが。
と、その誰かが何かを渡してきた。

「そーいつであれを照らーせーっ!」
「え、うわっ、は、はいっ!」

渡されたのは懐中電灯だった。言われるがままに機械兵を照らすと、その動きがまるでコマ送りか何かのようにスローモーションに変わる。

「!? え……」
「いーまだーっ!!」

目の前で起きた事態に瞠目する佑を引っ張り、謎の人物は機械兵からとにかく遠ざかろうとストラウル跡地を走って行った。



道化者、乱入する

(ところで、彼にはジンクスがある)
(彼が関わった事件は)
(肝心なところでトラブるのである)


(……実際、彼が逃げたのは出口と真逆の方向であった)


えて子さんより「我孫子 佑」をお借りしました。かなり無茶な展開ですが、理人だったらこうするだろう、と思いましたので。

428十字メシア:2012/02/20(月) 23:24:21
えて子さんの続きですが、深く関与しません。
しかもフラグ立ち話です。
名前のみでえて子さんから「我孫子 佑」、ヒトリメさんから「阿久根 実良」をお借りしました。


「一体どうしたんだろ…」

突如通話を切った友人に疑問を感じる海猫。
それと同時に不安と心配が混じった感情が渦巻き出す。
だがそこには佑以外の者に対する感情があった。

それは自分の悪友である阿久根 実良と親しい後輩にしてウスワイヤ特殊『裏』部隊IUCチームの一員、百々江 想の事である。
それもそのはず、最近の彼女の様子がおかしいのだ。
いや、おかしいというより。

(おかしすぎるのよね…)

悪友以上の厨二な妄想癖があるのだから元々おかしい人物とはいえ、ここ最近それがあまりにも度が過ぎている。
訝しげな表情を浮かべる海猫の脳裏に、ある記憶が浮かぶ。
頭痛のする幻想の会話を聞いて呆れる自分。
そして真実だと言い張る後輩。
いつも通りの事だった、が。
今日は違った。

『まーったく…想、いい加減にしてよ―――』

お決まりの様にツッコミを入れる。
と。


『何言ってるんですか格闘家様、私は想じゃなくてモアですよ』


普通なら厨二チックな言動だと捉えるだろう。
しかし海猫は引っかかりを感じた。

(いつもなら、あたしの事を「せんぱい」って言う。それに)


―――まるで、自分が本当に「想」じゃなくて「モア」だって言ってるみたいだった。

「想」という人物が”この世のどこにも存在していない”でも言うような―――。


そして別の記憶が海猫の脳裏に蘇る。

『佑、何読んでんの?』
『ん、世界の変わった病気についての本だよ』
『何でまたそんなものを…』
『まあこれが中々面白いのよー』
『ふーん…どれどれ…… ?』
『海猫?』
『あ、いや…何でもない』

(…あの本に載っていた病名……)

―――「偏執病」。別称「パラノイア」―――

「………」

しばらく考え込んでいた海猫だが、先ほどの友人への心配が蘇ってくる。

「何かあったとしたら、そっちの方が大変よね…」

決意した表情をすると、車椅子を勢いよく発進させた。
彼女の向かう先は―――。

(ストラウル…勘だけど、あそこに行ってみよう!)


格闘家の思案


~その頃~

「何で皆さん、私を『想』って呼ぶのかしら?」

「私はエルフの王女『モア』なのに…」

「『想』なんて人はいないわ」


「だって、私は『可哀想な女の子』じゃないもの」


(光の無い偽りの色の目)
(現実逃避の色をした髪)
(そして)

(左手首に眠る、一閃の傷跡)

429十字メシア:2012/02/20(月) 23:26:07
すいません;
「深く関与しません」の文は執筆中での展開で、消すの忘れてました;
気になさらずに。

430紅麗:2012/02/21(火) 00:22:40

ユウイの弟、ユズリで「臆病な一年生系列」に絡んでみました。
名前のみしらにゅいさんより「張間 みく」(六×・)さんより「空橋 冬也」
ヒトリメさんより「阿久根 実良」十字メシアさんより「百々江 想」をお借りしました。
こちらからは「榛名 譲」です。あとモブが一人。


「ね…聞いた?あの子保健室に運ばれたらしいよ…」
「あぁーあの子かー、まぁ別にいてもいなくても同じだったしなー」
「むしろいないほうが騒ぎとか起きなくていいんじゃない?」
「ちょ、ひどーい」
「そういえばさっきね…空橋君が…」
「うわっ、マジで…?」

あははは…。

「いやー、こわいねぇ」
「そーだな」
「ゴミぶっかけるとかマジ怖いねー」
「そーだな」
「……ね、ゆーくん。俺の話聞いてる?」
「そーだな」
「あ、聞いてないね。聞いてないのね」
「つーか変なあだ名で呼ぶな!」
「んだよ!聞こえてんじゃねーか!」

そりゃ聞こえてるわ、そんな近くで話されたら。
なんで聞いてないふりをしたかって?面倒だからだよ。
ちょっと昨日夜更かししちゃってものすごく眠いんだ。
だから学校で寝ようとしてるのに…。
クラスメートはきゃっきゃと張間と空橋の話ばかりするわ、この部活仲間が騒がしく話しかけてくるわでちっとも寝れやしない。
あー、どうしようかなー。ミラ兄と想姐のとこにでも行こうかなー。

「お、まーた始まったよ」
「………?」

ほら見てみ、とオレのヘアバンドを引っ張りながらある机を友人は指差した。
指し示された机には3、4人の女子が群がっており、その手には赤、黒、青、様々な色のマーカーが握られていた。

―――なんか、なぁ。

見てるこっちが恥ずかしいよ。
机に群がる、マーカー、ときたらもうわかるだろ?
子供かっつーの、全く。オレは頭をガシガシと掻くと席を立った。
友人の声が聞こえたけど無視無視。
女子の間に割り込んで声をかけてみた。

「なぁ、」
「は?」
「何してんの?」

ま、聞かなくてもわかるけどな、それぐらい。

「何って…」
「そっちらもさー、よく飽きないよな。楽しいの?それ」
「な、なんなのよハルナ!アンタ、ハリマの味方なわけぇ?」
「は?味方?んなわけねェだろ。オレもあのウジウジ野郎は嫌いだよ」

嘘じゃない。これは本当だ。
うじうじ、びくびく、ごめんなさい。
そんな性格のやつ、見てるだけでイライラする。

431紅麗:2012/02/21(火) 00:23:59
「なぁ~んだ、じゃあハルナも落書きしようよ!すっきりするよー!」

先程まで敵意をむきだしにしていた奴があの言葉で一気に警戒を解き
笑顔で赤のマーカーを渡してきた。
マーカーを受け取ると、その女子はにんまりと笑う。

「さ、ハルナはなんて描くの?」
「そうだな、まずは…」

がしり。

一人の女子の胸ぐらを掴んで自分の方へと引き寄せた。
胸ぐらを掴まれた女子は何が起こったのか理解できず目を白黒とさせていたが、
目の前にオレの顔があることに気付き恥ずかしさからか頬を赤くさせていた。
しかし、それも束の間。
女子の顔には赤マーカーで「ばか」の二文字。

「きゃ、きゃあああああ!!?」
「なにしてんのよハルナ!!」
「落書きだけど」
「落書きはこっちにするのよ、こっちに!女の子の顔に落書きとかマジあり得ないから!」

落書きされた女子とはまた別の女子がオレに食って掛かってきた。
その女子は「死ね」だの「ブス」だの書かれた机を片手で叩く。
人の机には平気で落書きするくせに、自分がされたら怒る。
自分勝手にもほどがある。

「はん、そっちらさぁ、団体行動してないと何にもできないんだろ?
さっきも言ったけど、ハリマは嫌いだよ?見てるとイライラするし」

でも―――。

「雑魚のくせにそうやって突っ張ってるそっちらの方が、もっと嫌いなんだよ」


助けたわけではなく。


「よけーなことに首突っ込むなよなー」
「うるせー。切り刻むぞ」
「そんな顔で言うなよ冗談に聞こえないコワイ」
「…じょこーえき」
「は?」
「除光液だよ。職員室か保健室にでも一つぐらいあんだろ。それ持ってきてくれよ」

(ったく、あいつらまだ中学生気分抜けてねェんじゃねーの)

お前もあんまり、ウジウジすんじゃねェよ。

机に置きっぱなしだったマーカーで、そう書き殴りそうになった。

432(六x・):2012/02/22(水) 22:23:37

今日中にかけてよかった
お借りしたキャラは十字メシアさんより「ミユカ」(名前のみ)、しらにゅいさんより「張間みく」、えて子さんより「花丸」です


Wリ・ω・)猫の日(0Д0W

「にゃーん♪」
「みーちゃんが猫になった…」
「崎原さん、その耳どうしたの?」
「これですかー?『今日は猫の日だから』って、ミユカ先輩にもらったんですー。みんなの分もあるのでどうぞー。」
「あ、ありがとう…。」
「んー。僕は遠慮しとこうかな。」
「氷見谷先輩に見せないんですか?きっとかわいいって言ってもらえますよー」
「そ、そうかな。だったらつけてみても」
「崎原と空橋は猫というより犬だろ。」
「「「えっ」」」
「空橋は姉貴の犬。崎原はなんか…血統書つきの小型犬。ヨークシャーテリアとかか」
「みーちゃん、お嬢様っぽいもんね。ちょっとわかるかも。」
「犬ってことは首輪とかつけられちゃうのかな?いや、凪姉のことだから首輪だけじゃすまされないかも…えへ」
「なんでちょっと期待してるんだよ。お前のシスコンは末期通り越して治療不可だ。俺はもう知らん。」
「シスコンってなんですかー?」
「崎原は知らなくていい。そして俺に猫耳をつけんな」
「不動さん、かわいいですー。」
「あ?男にかわいいとかおかしいだろ。空橋なら許されるかもしれんが。外すぞ。」
「花丸さんも猫耳どうぞー。」
「いらない…」
「ふえー、かわいいと思いますよー?」
「い、いらないって」
「おい、花丸嫌がってるだろ。そんなにつけたきゃ俺がつけるから強要すんな。」
「不動さん…」
「司くん、みーちゃんにはすごく優しいね…」
「僕との扱いの差が激しいんだよねwww」

男が猫耳なんて、と思ったけど、崎原が喜んでくれるなら別にいいか。
ちょっとだけ、ミユカ先輩に感謝だな。

「なにか言いましたか不動さん?」
「な、何も言ってねえ!!」
 
 ∧ ∧ ∧∧
ハス・◇・ス⌒ (///W

433しらにゅい:2012/02/29(水) 11:29:58





「よっす。」

 放課後。
ユズリが職員室から出てくると、そこにいたのは長身で黒髪の女子生徒、
…あの『張間いじめ』の主犯であるサヤカが腕を組みながら立っていた。

「!…なんだよ、イジメの主犯が俺に何か用かよ。」

 ユズリが睨みながらもそう言うが、彼女はクスクス笑って返した。

「かっこいーじゃん、雑魚の癖に群がっていじめてる方が嫌いだ、だっけ?」
「聞いてたのか?」
「そりゃあ、あれだけ騒げばね。」
「………」
「…あんたも、みく嫌いなんだっけ?」
「そっちと一緒にすんなよ、オレは張間がはっきり言わないでうじうじしてっから嫌いなんだよ。」
「ふーん、そう。あたしも嫌い。」
「なんでだ?」

 ユズリの問いにサヤカは一瞬目を見開いたが、誤魔化すように息を吐き、そっぽ向いたのであった。

「…なんでもいーじゃん、別に。」
「よかねーよ、そっちの嫌いがあるからこうして張間はいじめられてんだろ?ホントに気に食わないだけか?」

 容赦なく鋏で切り込むように、ユズリはそう尋ねながら一歩も引こうとしなかった。
その態度に対し、サヤカが不愉快になったのは言うまでもないだろう。
先程の彼と同じように睨みつけながら、不機嫌そうな声で尋ねた。

「聞いてどうすんの。」
「どうもしねーよ。」

 一蹴。
まさかの返答に思わずサヤカは目を丸くし、やや沈黙があった後、耐え切れなかったのか吹き出したのであった。
この様子には流石のユズリも狼狽えた。

「………はぁ?ハルナって、バカ?」
「っなんでそうなるんだよ!?切り刻むぞ!!」
「まぁ、ハルナ面白いし、話してもいいよ。言ったとこでハルナは何もしないんでしょ?
それに、…カイリだって、知ってても何もしてこないから。」

 彼女の口から出てきたクラスメイトの名を聞いて、ユズリは驚いた。
確かカイリと言えば、張間みくに近しい人物ではなかったのだろうか、と。

「?そっちはあいつと知り合いなのか?」
「当たり前じゃん、あたし、みくの親友だったもん。」

 再び、ユズリは驚いた。
なんといじめをしている主犯が、いじめをされている人物の親友だと言ったのだ。

「…は?なんで、親友がなんで張間のこと…」
「場所、移そう。…ここじゃあ、落ち着いて話せない。」

 そう言って、サヤカは背を向けて歩き始めた。
本当ならば、このまま除光液を返して部活の練習へと向かう予定だったのだが、
そのように気になる言動を取られてしまっては、離れようにも離れられない。

「………」

 だからユズリは、部活をサボって彼女の背中を追いかけることにしたのであった。
そもそもふっかけたのは自分からだったな、などと頭の片隅で考えながら。

434しらにゅい:2012/02/29(水) 11:35:45



 サヤカが着いた先は、屋上であった。
空はすっかり夕焼け色に染まっていて、その下ではユズリが向かう筈であったサッカー部が既に練習を始めていた。
同じサッカー部の友人の姿も、そこにあった。
サヤカはフェンスに寄りかかりながら、風を心地よさそうに浴びている。

「それで、なんでそっちは張間のこといじめてんだ?」

 尋ねられた問いに、サヤカは表情を崩さず、軽く悩む仕草をする。

「んー…許せない、からかな。」
「許せない?」
「そ、…ハルナは、あたしの手のこと、知ってるっけ?」
「知らねえ。」

 だよね、とサヤカは呟いた。
そういえば、彼女はクラスの中であまり目立つ事は無いものの、いつも手から肘にかけて包帯が巻かれていた、それも両方である。
それについて誰かから話を聞くことはなかったし、そもそも彼女と話すことはなかった。
だから、自分と同じようなものじゃなかったのかと密かに思っていたのはここだけの話である。

「…あたしの両手ってさ、神経イかれちゃってて力入んないの。手の筋肉が動かせないっつーのかな…まったく使いもんにならないって感じ。」
「…なんでそんなことに…」
「あたしがさ、みく庇ったんだよ。その時にさ、抱きしめる形だったから、
もろあいつの棘刺さっちゃって…むしろ、両手だけで済んだのが奇跡だって医者も言ってた。
…けど、そのせいでずっとやってたピアノ、引けなくなっちゃってさ。」
「そんなの、事故なら仕方ねえだろ。」

 冷たい反応ではあるが、それがユズリの本音であった。
確かに、五体の一つである手が欠けてしまうのはとても不便ではあるし、一生かかっても治せないものなら尚更のことである。
しかし、それだけの話だ。誰かが意図的に引いたものでもなく、偶然によって起こってしまった悲劇ならば、
対応するにも償うにも何も出来ない。後は、本人がこの障害をどう乗り切るかにしか、第三者としての気のかけようしかないのだ。
そんなユズリに対して、サヤカは批判することもなく、そーね、と軽く笑った。

「あんたの言うとおり、あれは事故だし、みくもあたしも生きているんだからそれで良いんだろうね。
…って、さ…そう思えるほど、器用じゃないんだよ、あたしって。」

435しらにゅい:2012/02/29(水) 11:36:21
 そう言ったサヤカの姿は、荒ぶる気持ちを必死に押さえ付けているように見えた。

「『夢』を奪われて、ただひたすら謝られてもさ、もう戻ってこないんだよ。だから、あたしはあいつを許せなかった。
本人に言ったよ、あんたのせいだ、って…あんたなんか、死ねばよかった、って。」
「…!」

 死ねばよかった。
いくら張間みくに対してきつい言葉をかけているユズリでも、それを言ったことはない。
一度生死を味わっている身だからこそ、その一言はとても重かったからだ。
サヤカはそのまま、言葉を続けた。

「そしたらさ、それでも泣きながら謝ってくんの。ごめんなさい、ごめんなさい、って。
そんなの聞きたいんじゃねえっつーのってさ、あたし、大人げなくイラついて…次の日から、学校でみく見かける度に足引っ掛けたり、
上履き隠したり、とにかくみくに八つ当たりしたよ。ダチにさ、みくのせいでこうなったっつったら、喜んで加勢してくれたよ。
集団心理っつーのかな…蹴ったり、水かけたりしても、全然悪い事してる気にはならなかったし、ちょっと優越感に浸ってた。」
「…」
「気が付けば、いじめの輪はあたしが想像してた以上に広がってて、あたしのダチじゃない奴までみくのこといじめてた。
…そこで、気が付いたんだよ。あたし、とんでもないことしたんだな、って。」
「っだったら、今すぐ止めればいいじゃねえか!そっちが張間に謝ればいい話だろ!?」
「無理。」

 ユズリの言葉に対し、サヤカは躊躇わずそう答えた。
なんで、と言わせる間もなく、彼女はこう言い放ったのだった。

「みくに謝れば、あたしは『夢』を捨てたことになる。…そんなの、あたしが絶対許さない。ハルナ、あんたに分かる?
命かけてやってきたことを、ある日突然奪われるこの気持ち。」
「っ…」
「だから、あたしはみくに謝らない。けど、いじめはもうしない。…けど、いじめは止めない、いや、止められない。」
「…どんだけ身勝手なんだよ、そっちは。自分が作ったもん投げ出して…被害者ヅラして…そんで、知らんぷりか!?」

ジャキィン!!!

 怒りに身を任せて、ユズリは巨大な鋏を生み出すと、その切っ先をサヤカの首へと向けた。
彼があと少し前に押せば、その刃は彼女の喉元へとめり込むだろう。しかし、それでもサヤカは怖気づくことなく、
まっすぐユズリを見つめたままであった。

「…あんたが殺したきゃ、あたしを殺せば?でも、それが正しくないってことぐらいあんたもわかってるよね?」
「く…っ…」

 そう言われたユズリの脳裏を掠めたのは、かつての友人が同じように鋏を使い、自分を殺すその瞬間であった。
果たして、この場で彼女を殺す事によりいじめは無くなるのか。それで張間みくは助かるのか。答えは………否。

「………」

 ユズリはサヤカから鋏を離した。
それに対して、サヤカは勝ち誇ったように笑みを浮かべることはなく、ただ淡々と見つめながら、呟いた。

「もうさ、止められないんだよ。一回こういう流れを作ると、歯止めなんて効かなくなる。それにさ、
あたし以外に被害を受けてる奴だっているんでしょ?それじゃあもう、誰に責任を突き付けても、止めようがないじゃん。」
「…」
「…『力』があるから、こうなるのよ…当然の報いでしょ?」










『力』無い者の話





 サヤカがそう言って屋上を立ち去った後、ユズリは自分の掌を見つめた。
彼女と違い、健全な掌。

「っくそ!!!」

 その手で鋏を掴むと、力任せに刃を床へと突き刺したのであった。

436しらにゅい:2012/02/29(水) 11:38:43
>>433-435 お借りしたのは榛名 譲(紅麗さん)でした。
こちらからは張間みく、サヤカです。

「助けたわけではなく。」の後のお話になります。
いじめの動機というのか…より複雑なことになってるけど、
最後はちゃんとまとめますんで!
モブがこんなに目立っちゃってごめんね!

437しらにゅい:2012/02/29(水) 14:13:14
少し早くなりましたが、お引越しのお知らせです!
ひとまず小説スレッドのみ向こうで立ち上げましたので、
これ以降の投下はこちらの方でお願いします!

http://jbbs.livedoor.jp/internet/14155/

438しらにゅい:2012/02/29(水) 15:04:29
連投すいません!鶯色さんからお名前のみカイリ君をお借りしました!

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最終更新:2012年08月26日 09:47