「…はぁ、最近ロクな夢を見ない…」
にゃあ
「死ぬ夢は必ずしも悪い意味はない、って先生は言うけど…俺の場合、リアルなんだよ…」
にゃあん
「…どうせなら、猫に囲まれる夢とか見てみたいなぁ…」
にゃーん
「そうそう、こんな感じに側から優しく声をかけ…!」
にゃー
「…猫!」
にー!
「あっ、待って!」
「はぁ、っはぁ…!確か、ここの…どっかの隙間に入って……あっ、いた!」
にーにー
「…可愛いなぁ、ほら、怖くないよー。こっちにおいでー」
にー
「「にゃーにゃー」」
「「…ん?」」
「「!?」」
「(だ、誰だこの人…!?全身黒ずくめだし、見るからに怪しい…!!)」
「………」
「(しかも黙ってこっちを見たまま何も言ってこないし…というか、今の鳴き声、まさかこの人が…)」
「………」
「(な、何か上着の中に手を入れ…!ま、まさかこの人、ヒットマンか何)」
「あれー?
イサナくんだー!そんなところで何してるの?」
「「!?」」
「っ!」
「あ!……行った…」
「アサヒさんとこで何してんだろー?…ん?」
「あ…」
「こんにちはー、君はイサナくんの友達?一緒に何か見てたみたいだけど。」
「…いえ、別に……知り合いの、方ですか…?」
「んー、ちょっと前に知り合ったからー……うん、知り合い、友達だね!」
「……はぁ…」
「ところで何を見てたの?……あっ、あの子アサヒさんとこの猫ちゃんだ!」
「アサヒ…さん?」
「そ、犬や猫ちゃんたくさん飼ってるおばあちゃん。ちゃんと首輪付けてるけど、
基本的に放し飼い状態だからねぇあの人…まさかこんなとこまでお散歩してるなんてびっくりしちゃった。
おいでおいでー、チヅルちゃんだよー」
にゃーん
「あ、……いいなぁ…」
「え?」
「っ、コホン…なんでもないです。」
「…。…ね、君名前は?」
「名前?…ナルミ、と言います。」
「ナルミくんね、私チヅル!ねぇねぇ、これから一緒にこの猫ちゃん返しにアサヒさんとこ行かない?」
「え、いや…でも…」
「運が良ければ、お饅頭食べられるかもしれない!ね、いこいこ!君も猫ちゃん好きでしょ?」
「だ、ダメです、知らない人には付いて行ってはダメだって…!」
「?名前を知ったんだから、もう知らない人じゃないでしょ?」
「(アホかこの人!?)そ、それに俺、ほら、気持ち悪いし…」
「気持ち悪い?どこが?」
「だって、………アルビノ、だし…」
「………」
「………」
にー
「……そうかなぁ?私は凄く綺麗だと思うよ?」
「…きれ、い?」
「きっとアサヒさんも、ナルミくんのこと綺麗だと思うよ!ね、ほら行こう!」
「わっ…!」
「今日のおやつはお饅頭だといいな~♪」
「………」
八十神千鶴と観察者と猫と
「アサヒおばあちゃん、こんにちはー!」
「おやおや、チヅルちゃん。いらっしゃい。…?おや、そっちの子は初めてだねぇ。」
「………」
「えへへー、今できた『友達』です!」
最終更新:2013年03月03日 20:46