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【見下していた話】

夏休みのある日の昼下がり、俺…御坂 成見は外をふらついていた。


奇妙な感覚、ノイズ、違和感。

その根源を消し去りたくて、俺はこの街を『視る』。俺にまとわりつくこの感覚の正体を暴き、取り除くために。


俺のこの『眼』が視た結果はなかなか奇妙なものだった。

奇妙な『妖怪』なんて奴らの存在。
謎の秘密結社の暗躍。
『超能力者』なる者達の存在。
その陰で起きている争い。

現実離れした出来事だったが、俺の『眼』がそう視たなら、これは夢でも幻でも何でもない現実だ。



…くだらない結果だ。

コンビニでジュースを買い、うだるような暑さを少しでも紛らわすために一口つける。
ああ、暑い上にイライラするなんて最悪な気分だ。

イライラの原因は俺が視たものにある。奇妙な出来事があるのは結構だったが、俺の『眼』はそのついでに余計なものまで拾って見せてくれたのだから。


偽善正義(ギゼン ジャスティス)
絶対意志(ゼッタイ イシ)
思想強制(シソウ キョウセイ)

言葉にするだけで吐きそうだ。俺の大嫌いなものだ。


はん、ホウオウグループ?アースセイバー?知らないね。
俺から見たらただの自己主張・勝手な正義の押し付け合いにしか見えない。


ジュースを一気に流し込む。

その視界の先で、小さな女の子が走って行った。



ああ…カワイソウに。今あそこで起こることを、俺の『眼』は見る。

やれやれと首を振り、空のペットボトルをゴミ箱に投げ入れ、そちら向く。

数十秒遅れて聞こえる急ブレーキの音、何かがぶつかる音、赤い血飛沫の色。耳に響く悲鳴がその結末を告げる。


交通事故だ。不幸な、悲劇的な。



あの子は助からない。俺の『眼』の見た通りの顛末、そして結末も同じ。
変えようとしない限り、俺の視る結末は必ず的中する。

物心ついたころにはすでに俺に備わっていた力。
先に俺が視た超常現象をあっさり信じたのはこれが理由だ。俺自身がそんなオカルトじみた力を持っているんだからな。信じて当然だ。




「…!!…!!」
向こう…路地で声が聞こえた。

ああ、あの『ヒャクモノガタリ』とかいう『妖怪』の集団かな?

この街で起きる不毛な出来事を知る者達(と、俺は理解している)。

秘密組織はともかく、あの妖怪たちには興味がある。何者で何を知っていて、何を思うにか。
くだらない俺の世界を変えてくれるかもしれない。俺は俺の意志だけに従って行動する


しばらく彼らの後を尾行(つけ)て、『観察』してみようかな?
場合によっては…近づいてみよう。

得体の知れないものに対する警戒より、好奇心が勝る。

どうせ、危険なんて事前に『視える』からな。回避なんて容易い。



…さて、視てみようか。人ならざる者達を。

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最終更新:2013年03月03日 21:03