「佑、起きてるか?」
夕刻より日は沈み、もう夜になろうという時間の頃。
空を茫然と眺めていた佑は声の主の方を振り向いた。
声の主は無論、この家に居候している男、太陽である。
しかし今日はなぜか普段着の上からエプロンをつけている。
「タイヨーさん…?」
「ああ、寝ていたならそのままでよかったんだ。起こしたら悪かったな。」
「…何ですか、その格好。絵でも描くんですか?」
「残念ながら俺は芸術の能がないんだ。そうじゃなくて料理だよ、料理。」
「お前、このところ疲れてたみたいだからな。今日は俺が一肌脱いでやろうってことよ。」
「え、タイヨーさん、料理できたんですか?」
「バカヤロー、これでも長年一人暮らしだ。…宿なしだったけどよ。」
「その途中に不安な言葉が入るのは」
「兎に角!料理はできないわけじゃねぇんだ。だから今日は飯の心配をするな。」
そういって一度扉を閉めた太陽であったが、何を思ったのか再び扉を開けた。
「ああ、そうだ、佑。」
「何ですか?」
「何かあるんだったら俺に言えよ?」
「学校生活、俺は経験したことないけど疲れるもんなんだろ?愚痴くらいなら居候の俺も聞いてやれるから。」
太陽は佑に白い歯を見せ笑いかけた。
「新居が見つかるまでの仲だ。吐きたいだけ吐いてくれよ。」
佑はしばらく太陽を見ていたが、つられて口角をあげた。
「ありがとうございます、タイヨーさん。」
「気にすんなって。今日はゆっくりしてろよ。」
「…あの、タイヨーさん」
「ん、何だ?」
「今日の夕ご飯、何ですか?」
本日の献立・焼き魚
その魚は表面がすっかり焦げてしまっていたが
愛情だけは籠っていた
最終更新:2013年05月02日 21:16