‐第三話・見えないけど確かにいるキミの影‐
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「ねぇ、成見君」
「ん、どうしたの?」
「私と、ずっと一緒に居てくれる?」
「何言ってんだよ、当たり前だろう。約束するよ。」
「ホント?よかったぁ~」
「何が?」
「ううん、何でもないよ。ただ…少し安心しただけ。
成見君が私を置いてどっか行っちゃわないか心のどこかで不安だったんだ。」
「大丈夫、俺は絶対に遥の前から居なくならない。
それに…俺は遥がいないとダメなんだ。」
「…ありがとう。成見君、大好きだよ。」
「俺も遥のこと、大好きだ。」
*****
「…約束したのに、先にいなくなったのは遥じゃないか。」
深夜、クーラーが効いていて涼しい自分の部屋のベッドで俺は目を覚ました。
時刻は午前3時ごろ。
まだ本当に真夜中だ。
嫌な夢を見た。
これは遥が自殺する2日前に俺と話したことだった。
今思えば、この時に遥の異常に気付くべきだったのだろう。
そんな今更どうしようもないことを考えながら、俺はベッド脇の写真立てを見る。
そこには少し前に知り合った千鶴さんと一緒に(千鶴さんに流されるように)とった写真が置いてある。
いい人だったなぁ。
ちょっと天然っぽいところがあるけど、俺のこと避けずに仲良くしてくれたし。
その写真の位置を直してから、俺はもう一つの写真を手に取る。
夏の日に遥と海でとった写真だ。
遥と一緒にとった最後の一枚。
この日は二人で誰にも邪魔されずに遊んだんだっけ?
『成見君、遊ぼうよ!』
あの時のキミの残滓が僕の視界の端で笑いかけた。
この記憶はずっと色あせずに、空間に俺の記憶に残ったキミの残滓はいつも俺に笑いかけてくる。
…何で死んじゃったんだよ。
約束したじゃないか。
ずっと一緒だって。
*********
『ごめんね、約束…私が先に破っちゃった。』
「!?」
声がした。
いや、正確には俺の目に見える『空間の記憶』だろうか。
そこには死の直前の姿のキミがいた。
俺の机の椅子に腰かけながら、いつもの笑顔を浮かべて。
「遥!?」
夢なのか現実なのかよくわからないまま、俺はキミの名前を呼ぶ。
『ちゃんと、さよならが言いたかったんだ。私…もう疲れたんだ、笑い続けるのに。』
「待ってくれ!!」
どういうことだ!?
他にも言いたいこと、聞きたいことはたくさんあるのに!!
『私のこと、時々でいいから思い出してね。これ、成見君に持ってて欲しいんだ。』
俺の言葉には答えずに、遥は自分の髪留めを外すと、俺の膝に置いた。
『じゃあ、さよなら…成見君。』
「遥!!」
****
そこで俺は目を覚ました。
外はすでに朝になっていて、鶏の鳴き声が聞こえる。
「夢かよ…夢の中で夢を見るとはね。」
やれやれと起き上がろうとしたとき、膝から何かが床に落ちた。
「これは…!!」
それは遥がつけたいたあの髪留めだった。
<To be continued>
最終更新:2013年05月06日 12:56