さて、と。これからどうするかな。
「……ん?」
ふと、歩みだした足を止めた。また未来が見える。
赤いパーカーを着た男と、オレンジ色のパーカーを着た女が俺に話しかける、未来が。
あぁ、今日はなんだか「話しかけられる」ことが多いな。
まぁ、それも結局は回避してしまうのだけれど。
「見える」男のテンションは、信じられないくらいに高い。
関わったらロクなことがないだろう。俺はそう直感的に感じた。
やれやれ、面倒は、キライ―――
「やぁ、こんにちは、少年!」
「―――!?」
―――なん…だ…。
「ねぇねぇあのさ、君この辺りで化け物とか…」
「ちょっと
フミヤ!街中で「そういうの」使うのやめなってば!!」
俺が「見た」あの赤色のパーカーの男が、目の前に立っている。
そしてその男の後ろから、オレンジ色のパーカーの女がぜぇぜぇと息を切らしながら走ってきていた。
見えていたのに避けれなかった未来…何故だ?
「ごめん、びっくりしたよね」
中腰になり申し訳なさそうに俺に謝る女。金髪の髪は後ろで一本に結ばれており、
右目は長い髪で隠されていた。心なしか、隣にいる男と一部分だけ髪型が似ている気がする。
男はと言えば、俺を見ながらにやにや笑っている。きもち悪ィ。
「ほらっ、あんたも謝りなってば!」
「え~?だっておれ別に悪いことしてないし…」
「いいから謝れ!」
あ、叩かれる、と未来が見えた直後。
すぱぁん!と路地に心地の良い音が響いた。と同時に男が頭を抱えて蹲る。
しかし男は何事もなかったかのように起き上がって、あの笑みを浮かべたまま、
「それよりも君珍しい髪と目だね。もしかして能力者?ねぇねぇ能力者?」
「………っ、こっちくんな変態!不審者!気持ち悪い!」
俺の方へと近付いてくる。ここで全速力で走って逃げても良かったのだが、プライドが許さなかった。
さて、「奴が気持ち悪い」という理由が一番でこいつを拒絶しているのだが、もう一つ、寄られたくない理由がある。
この容姿だ。
白髪に赤い瞳。コレを、あまり見られたくはなかったんだ。
誰にも認めてもらえなかったこの容姿だ。奴らもきっと、気持ち悪いと思っているのだろう。
今まで、ずっとそうだったんだから。
「来るなっつってんだろ!」
俺の大声に、男の方もおかしい、と思ったらしく。近付いてくるのを止めた。
鋭い眼でぎろりと男を睨みつけると、先ほどまであった笑顔はさっぱり消えて、
困ったような表情を浮かべていた。
そんな中、女が俺の方を見た。
「ご、ごめん…不快にさせる気はなかったんだ…」
「―――るな、」
「え?」
「見るなよっ!」
俺の肩に触れようとする女の手を強く払う。
それど、「見るな」。その一言で女も何か気が付いたようで、ふっと笑うと再び俺と眼を合わせてきた。
「………あ」
女が右手で、長い右前髪をあげる。
するとそこには通常ではまず「ありえない」ような瞳があった。
「うちもさ、「これ」が原因で君みたいになってた時があったんだ。
友達はできないし、いじめにはあうし…もう大変でね。
でも、そんな時助けてくれた人がいたんだよ。…っていうのもコイツなんだけど」
くいっと顔を動かし顎であの男を指し示す。男は後ろで誇らしげに笑っていた。
まぁ、何が言いたいかって言うと、と、少し照れくさそうに女が続ける。
「色々、嫌なこと言われるかもしれないけどさ…。
この世界に自分を「好き」になってくれる人は必ずいるんだよ。だから、大丈夫だよ?
少なくとも、うちたちは君の敵じゃない!」
なーんて、出会ったばっかりなのに何言ってんだろーね!そう言って女は笑った。
「おれは君の髪と瞳好きだけどなー。人と違うって、いいよね!」
「あのね…」
男が放った言葉に、女が溜め息をつく。
…変な奴らだと思っていたが、案外、悪い人たちではない、みたいだ。
「君、お名前は?」
「……
御坂 成見」
「ナルミ、ね!よろしく」
すっと手が差し出される。握手をもとめているのだろうが、俺はそんなことはしない。
まだ、こいつらを完全に認めたわけじゃない。
「ちぇ、つれないなぁ」
「まぁまぁ…うちは葛城 袖子。…よろしく、ナルミ」
「さて、自己紹介も終わったところで」
「?」
「化け物探し、再開しますか!」
あぁ、そういえばこいつ、俺の目の前に現れたときもそんなこと言ってたな。
「まだそんなこと言ってたの?!」
「えー、だめー?」
「だめに決まってんだろ!ナルミだっているのに!」
「俺はいいけど…どうなっても知らないよ」
「え…それって、どういう…」
「あんまり、よくない未来が「見えてる」からさ」
「見えた」世界
(…いいじゃん)
(…えっ?)
(上等!この眼で確かめてやろーぜぃ!)
(あー、変なスイッチ入っちゃった)
(…やっぱり、面倒なのに巻き込まれた…)
最終更新:2013年05月21日 17:40