―――――喫茶『jackpot』
喫茶店には似つかない名前の看板を見上げる
「久しぶりに来たなー、3ヶ月ぶり?」
「そんなもんだと思うね」
のんびり眺めていると、とても渋い声が頭に響いてきた
『やぁ、お二人さん...久しぶりだね?』
周りを見渡しても誰もいなくいるのは一匹の犬であった
「おぉ、バウか、でかくなったな」
「久しぶりー」
バウと呼ばれた犬は、伏せの体制をとり尻尾を軽く振ると
『トラムは中にいるよ、そろそろ食事の時間だと伝えてくれるとありがたい』
この犬は念波を飛ばし人間と会話をすることが可能な犬であり、
ほかの犬とは比べ物にならないほどの身体能力を有している
「おっけー...」
『私はさばの味噌煮を所望する』
「多分駄目だと思うけど…」
そんな会話をしながら扉を開くと中から落ち着いた声が聞こえてきた
「いらっしゃい、ゆっくりしていって...やっときたか、」
「こんちわッす、お待たせしました」
「久しぶりートラムさん」
「久しぶりだねジルちゃん、いやぁ、こっちもゆっくりしてたからぜんぜん問題ないよ」
中にいたのはすらっとした紳士的なトラムと呼ばれた男性であった
この男は、コウジの古い知り合いであり恩人である男であった
「まぁ座って座って」
トラムはカウンター席に座る2人にコーヒーを差し出す
「あれ?いいんですか?」
「いいよいいよ、急に呼び出したお詫びだよ...砂糖は2つでよかった?」
「えぇ大丈夫です」
「ありがとトラムさん」
店内には落ち着いたBGMが流れ、二人はその中で静かに珈琲を飲んでいたがコウジが
「ふぅ...で、用事ってなんですか?」
珈琲を置き、たずねる
「うん、二つあるんだけど...ひとつは、ジルちゃん、」
「なに?」
「お留守番…というより今日これから出かけるからバウと一緒にいてくれないかい?」
「いいけど、どこ行くの?」
「それが二つ目、コウジ、俺と一緒に『嘆きの町』に来てくれないか?」
「『嘆きの町』?それって何ですか?」
聞きなれない単語を聞き返す
「神宮寺に頼まれたんだよ...こっから東に行くとゴーストタウンがあるんだがな?
そこにもしかしたらなんかいるかもしれないんだと...」
神宮寺とは、トラムの友人であり、アースセイバーの指揮官的存在である
「何かってなんですか」
「それを調べてこいって話なんだ、なぁ~頼むよぉ『ベル』とも連絡取れないし、頼れるのお前だけなんだよ」
「『ベル』さんに頼る気なのが駄目なんですよ、彼女自由奔放ですしそのくせ生真面目ですから」
ガジガジと頭をかくと大きなため息をつき
「はぁ~...わかりましたいきますよ、
でも簡単な調査だろうから装備は軽装でいきますよ?戦闘めんどくさいし」
現在、コウジの持ち物はサバイバルナイフ2本、拳銃一丁、予備の弾奏3本という本当に軽いものであった
「私は?ここでお留守番?」
「そうなんだが、いいか?」
ジミーの問いに申し訳なさそうに答えるトラム
「別にいいよ?お店はもう閉めるんだろうから私が掃除とかもやっとくよ」
「それは助かるよ、お、じゃぁそんなジルちゃんにはこのチョッパチャップス(メロン味)をあげよう」
そういってポケットから棒つきの飴を取り出しジミーに手渡した
「ありがと、帰ってきたらオムレツの作り方教えてね」
「お安い御用さ...さて、コウジは準備はいいのか?」
コウジに振り向きたずねる
「えぇ、まぁ特にこれといったものもありませんねこっちの準備はできてるんで先にどうぞ」
「わかった」
そういってカウンターを出ると近くの洋服掛けにかかっていた上着をとり、腰にナイフが4本刺さったベルトをつけ扉の前に立つ
「よしいくか」
「いきましょう、」
そういって扉を開け目的地へと向かうのであった
―――――道中――――――
「そーいや、何で俺なんですか?」
唐突に切り出すコウジ
「何が?」
「仕事の手伝いっすよ、別に俺じゃなくても錬さんとかキョウアとかに頼めなかったんすか?」
「ん、まぁお前にはいっといたほうがいいかも知れんな...今回のこの件、もしかしたら『ラボ』が関係しているのかもしれないんだ」
「・・・・・『ラボ』が?」
その言葉に反応をするコウジ
「まぁ、確証はないんだがな?その可能性が高いってことなんだ」
「なぜそう思うんです?」
「この前、お前らでかい兵器破壊してたろ?」
「あぁ、でかラッパですか?」
ほんとの名はヴァサアエングルだが見た目からコウジはでかラッパとよんでいた
「そうそれ、それを調べたところ何でも
ホウオウグループの今まで使っていた兵器とは構造がまるっきり違ったらしいんだ」
ポケットから飴を取り出しそれを口に放りながら続ける
「んで、お前は元ホウオウだったろ?でもお前はホウオウの戦闘員でありながらホウオウを裏切った」
「んまぁ、気に食わなかったんで」
「フツー、アレの元にいるやつは裏切るなんてぜんぜん考えねぇだろ?あいつの理念を理解してんだから、」
「それと何の関係が?」
「簡単に言うと、神宮寺はなんらかの組織が兵隊をホウオウに援助してる可能性がありお前はその集団の人間だったんじゃないかと
言われてんだ」
「んー...じゃぁ逆になぜ俺本人に聞いてこないんでしょうか?」
「そりゃ俺が止めてるからさ」
カカカ、と笑うトラムは続ける
「今回はその関係性とお前の身の潔白の証明のためでもあるんだよ、残念ながら」
「そうっすか...」
「まぁその辺はおいおいってことで...ほれ、ついたぞ、ここが『嘆きの町』だ、調査だからって油断するなよ?」
「...『ラボ』の存在が上げられてるせいで俺も人事じゃないんでまじめにやらせてもらいますよ」
腰の拳銃にそっと手を乗せて警戒態勢をとるコウジ
(あの男が人と『協力』?いや、多分『利用』だな...
どっちも利用し利用しつつの関係って所か?...くっそ、あの男は目的がさっぱり過ぎる)
そんな事を考えつつトラムの後ろをついてゆくコウジであった