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《歌姫》

「……あっ! ハヤト君、シスイ君!」
「やっほーうずらちゃん!」
「こんにちは」

某日。
ひょんな事から巷で人気のアイドル、雛鳥 うずらと知り合ったハヤトとシスイは、いかせのごれ中央にあるホールで開かれる、彼女のライヴコンサートに来ていた。

「もう楽しみで楽しみで、中々寝れなかったんだよ~!」
「ふふっ。じゃあ今日は二人の為にも目一杯、頑張って歌うね!」
「おう!」
「うずらさん、そろそろ…あら? その方達って…」
「あっ、カヨコさん! うん、この二人が前話した子達だよ!」
「ああ、やっぱり! 私、雛鳥 うずらのマネージャー、カヨコと申します」
「ど、どうも…初めまして」
「へぇ~中々美人なマネージャーさんだなあ」
「ちょ、ハヤト!」
「何だよ、褒めただけだろー?」

二人のそんなやり取りに、うずらもカヨコもぷっと吹き出す。

「…っと、うずらさん、後10分で開演なので…」
「あっはい! じゃあね、二人共!」
「おーう!」


「うわあ…たくさん人が来てる…」
「それだけ人気って事だよ」
《ブーーー》
「あっ始まるぜ!」

一気に暗くなる会場。
刹那、スポットライトが灯され、うずらの姿が浮かび上がった。
その瞬間。

『ワァァアアアアアアアアア!!!!!!!!』
「うおっ!?」
「来たぁ! うずらちゃーん!!!」

沸き起こった大声援の中、ハヤトとシスイに気付いたうずらは、笑顔でその方向に手を振った。

「えー、皆! 今日のこのライヴコンサートに来てくれてありがとー!!!」
『ワァァアアアアアアア!!!!!!』
「今日は、皆の為に精一杯歌うので、最後まで楽しんでって下さい!!」

挨拶が終わり、少し間が開いた後、疾走感のある、どこか切ないロック系のバックミュージックが鳴り出す。
そこで更に会場は沸き上がった。

「♪―――……」

歌声が響きだした途端、あれほど騒がしかった会場が突如、静寂に包まれた。
力強い、しかし透き通った、命を脈打つような声。
耳から入るそれは、身体中を駆け巡って、自分の中にある何か…例えるならエネルギーようなものを、溢れ出させる。
シスイは思わず息を飲み、

「綺麗……」
「だろ? そんじょそこらのアイドルとは違うぜ」

感嘆の声に、自慢気に返すハヤト。
改めて、その形容し難い、美しさを持つ声を響かせる歌姫を見てみる。
彼女は、笑っていた。
幸せに満ち溢れた笑顔といっても、過言ではなかった。
やがて歌が止むと、観客達はうずらに盛大な拍手を送った。


「本当に今日はありがとう」
「俺達こそ、ライヴの招待、ありがとな!」
「とても素敵だったよ」
「えへへ。そう言ってもらえると、嬉しいなあ」
「うずらさーん。そろそろ行きますよー」
「あっ、はーい! そうだ! これ私の携帯のメアドなんだけど……」
「え、いいの!?」
「うん! また休み出たら、電話するね! じゃあ!」
「……行っちゃった」
「~~~っ、わぁーーーー!!!」
「!? な、何だよいきなり!」
「いやあ、ホント夢なら覚めたくないぐらい、幸せだったな~ってさ」
「ははは……」


《歌姫》


(それにしても……)
(あの歌声聞いてたら、疲れが無くなったような……)
(………まさかな)

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最終更新:2013年07月31日 20:27