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店長の素性(仮)

開店1時間前。由衣は起きるのさえ辛いのをこらえながら下のレストランにおりていた。
カーテンが閉まってて薄暗い店内には、カウンターの電気だけつけ、コーヒーを飲んでいる店長がいた。

「…おはようっす、店長。」
「おはよう。コーヒー入れようか?」
「紅茶お願いします。」
眼をこすりながら、彼女はカウンターについた。

間もなく、甘い香りを漂わせながら紅茶が運ばれてきた。
由衣は火傷に注意しながら、そっと紅茶を含んだ。
「…調べ物してた?」
「え?」
「眼の下。くまできてる。あんたは意外に朝以外規則正しい生活してるから、夜中調べものかなんかしないと、遅く寝ないでしょ?」
「…お見通しかい。」
「言っておくけど、休むとか受け付けないからね。今日もきっちり働いてもらうから。」
「へいへい…。」

「…で、何調べてたの?」
そう店長に問われ、由衣は姿勢をただした。
「…店長の、素性。」
「!」
一瞬驚いた素振りを見せたが、落ち着いて店長は聞いた。
「…ウスワイアかどっかに聞いた?」
「ああ。直接訪ねた。KEAなら簡単に聞きだせるかなと思ってな…。」

店長はふっと息を吐き、天井を仰いだ。
「そっか…とうとう調べたか。」
「おかげで、あんたが『姉さん』って呼ばれていた訳がわかった。そして、過去を嫌っている理由がな。」
由衣はぐっと店長に近づいた。

「『あねさん』の『あね』は『姉』じゃねぇ。あんたの『名前』だったんだろう?」
「…その通り。私の名前は…。」

その時だった。上から奏が下りてきたのは。

「お姉ちゃん?今日はやいのね…?」
「「…。」」
二人はぼーっと、奏を見ていた。
が、そのうちに店長が立ち上がった。

「おはよう、奏。まだ朝早いから、オムレツくらい作ろうか?」
「え?いいんですか?」
「ついでに話しておきたいこともあるし。」

店長はそういって、厨房に消えた。
残された由衣の視線は、ずっと厨房に向けられていた…。
 

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最終更新:2011年02月14日 16:55