僕は今、一組のドアの前にいる。トキコが写すだけ写して置いていったノートを凪に返すためだ。ノートの持ち主…凪とは、実はそんなに話したことがなかったりする。「人を踏んでいるのを見た」「なわとびで人を打っていた」など、ちょっと嫌な噂を聞いたが…ともかく、教室に入ろう。
「ん?」
「あの、これ…トキコの代わりに返しにきたよ。」
「あぁ、別に明日でもよかったんだけどな。すまないな、スザク。」
「いや。僕も君とゆっくり話してみたかったし。」
「私と?珍しいな。」
「凪っちにプレゼントだよー」
ミユカが割り込んで入ってくる。手に持ってるのはまさか…
「どうせまたゴキブリのオモチャだろ。いらないからな。」
「大丈夫、今度は可愛いから。」つ[超リアルなイモムシのフィギュア]
「キャー!」
「ウッ!」
いつも冷静沈着で表情を崩さない凪が涙目で僕にしがみつく。ちょっと苦しい。
「凪っち、Gは平気なのにイモムシ嫌いなんだ。変なのー。」
「う、うるさい。早くしまってくれ」
「うん(毛虫フィギュアを出す)」
「ひっ!し、しまえって言っただろうが」
「キシシシシシシ」
「うー…あ、マっさんとケイイチ君だ」
「ホントだ!イタズラしてくる!≡┏(^o^)┛」
「ほどほどになー。で、私と何を話したいって?」
「特に何を…ってわけじゃないんだが、その…踏んだとか縛ったとかって本当?」
「あれは豚共が勝手に言ってるだけで、実際そんなことはしてないから安心して欲しいのだよ。」
それでも「豚共」って言った…
「そうか、だったら別にいいんだ。変な噂とか聞いたからちょっと心配になってね。」
「私のことなんだと思ってたんだい?」
「どSってやつと、冷たい人かな?」
「みんなして言うんだよなそれ。ホント心外なのだよ。」
「ごめんね。凪は友達にノート貸したり、綺麗なもの作ってあげたりする優しい子なのにね。」
「え・・・」
凪が真っ赤になって顔を背ける。照れてしまったようだ。ちょっと可愛いなと思ったのはナイショにしておこう。