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自分が生きる意味(仮)

後ろから呼びとめられ、立ち止まる。
ノアとセットじゃない。自分だけが止められた。
正直、どんな顔をすればいいのか分からなかった。
だから、笑顔を「作って」振り向いた。

彼は眼鏡越しに睨みつけるように見た。
「…聞いたぞ、ノルン。抜けるんだって?」
「…噂って、流れるの速いですね。」
ノルンはため息を吐くと、真っすぐ向き直った。
「その通りですよ、クロウさん。」

「しかし、あくまでホウオウを裏切るわけではありません。どちらともつかぬ立場で、のんびりやっていこうと思ってます。」
「能力者がのんびりできるものか。」
「…あっさり切り捨てるんですね。」
はは、と笑うが、クロウは一向に笑顔を見せなかった。

「…正直、貴方には感謝してますよ。道具として使われていた僕を、貴方は引っぱりだして、「家族」を作ってくれたのですから。」
「命令だったんだ。深い意味はない。」
「僕にとっては大きな意味です。」
「その意味をお前は捨てるのか?」
「違いますよ!」

思わず強くいってしまい、はっとして口を押さえた。
そして遠慮がちに見ながら、言葉を続けた。
「…自分が生きる意味を、探したくなったのです。」
「それは、ここにはないと?」
「分からないから、探すのです。そして、その意味がここにあるのなら、もう一度戻ってきます。」

「一度抜けたものが、もう一度戻れるとでも…?」
その保証は限りなく、ない。
それでも一度決めたことは、ゆるぎない。ゆるげない。
だから、いずれにしろクロウには言いたかったのだ。
「…もうすぐ、お別れですね。」
「…。」

「ありがとうございました。」
「!」
何か言いかえす前に、ノルンはノアを率いて立ち去ってしまった。
残されたクロウはただ一人、茫然と立ちすくんでいた…。

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最終更新:2011年02月24日 15:46