「…なー、なんか面白いことねーかな?」
「…知らんぜよ。」
「ちぇ、つめてーやつ。」
半壊の椅子にふんぞり返り、女浪人は大きな欠伸を一つ。
それを見ながら、元助手の男はため息をついた。
この光景は、彼らがであった5歳のころから全く変わっていない。
探偵の時、弁護士の時、そして「特殊な職」をかかえる今も…。
誰にでも怖がられ、嫌われていたあのとき。
皆自分の異様な「左目」を指さし、怖がり、差別された。
ただ一人…彼を除いては。
それからだ。常に一緒につるむようになったのは。
金髪を少しだけとってくくった髪型。
水色のパーカーと、ボロボロのデニムは彼女なりのおしゃれだ。
そして、左目全体を覆うように巻かれた包帯。赤い星の髪留めで髪ごと留めている。
皆が恐れたのは、この包帯の下にある。
これに触れるたび、出会ったあの日を、人生を変えた日々を思い出す。
そして、懐かしい顔ぶれも…。
「たまにはクランケに電話かけてみよっかな…?」
「やめるぜよ。あの人も仕事じゃし、そもそも地下には繋がらんぜよ。」
「だよなぁ…。」
「…ところで、由衣氏の依頼はどうなったがか?」
「一応報告したけど、あの後も色々調べてる。」
「それはしっとる。というか毎日一緒なんじゃし…。」
「…で、案の定
ホウオウグループに気になる奴がいてよ。」
「気になる、というとやっぱり血族がか?」
「そうだとは言い切れない。けど、可能性は高いな。」
先程の暇そうな目とは打って変わり、鋭い光が宿っている。
探偵時代の経験は、今もまだ生きている。
「もし、確定したら、事実を向こうに伝えに行くがか?」
「伝えるだけ伝える。あとは好きにさせておく。そもそも本業別だし。」
「無責任じゃね、全く…。」
男は頭を抱えた。その様子を楽しむように、女はけらけらと笑った。
「…お、もう夜中の2時か。」
「こんな時間に仕事に仕事するから、夜型の生活になるんじゃよ。」
「しゃーねーだろ。奴らが夜の住民なんだからよ。」
女は一つ伸びをすると、きしむ椅子から立ち上がった。
「…んじゃ、行きますか。「怪盗狩り」に。」
最終更新:2011年03月02日 17:27