バラとネズミと初めてのお話
日曜日、学校は勿論アースセイバーとしての任務も今日はお休みだ
久々にのんびりしようかなと思って、買っておいた本を読むことにした
ウスワイヤロビーのソファーに座ってその本を開いた
しばらく読み進めていると不意に声が落ちて来た
見上げると、白くて長いきれいな髪の女の子がそこに立っていた
強張った顔で躊躇いがちにこっちを見つめてるけど、僕は何かしたんだろうか?
たしか野原コノカちゃん、だったよね
「あの、隣座ってもいい?」
「え、ああうん」
そう言うとコノカちゃんは僕の座っているソファーに腰を下ろした
意外だった。怯えたような顔をしているから怒られるのかと思ったのに
でも隣にいる子はずっとその顔で、膝に乗せてる手をぎゅっと握ったりしてる
お世辞にも居心地がいいとは言えなさそうなのに、どうしたんだろう
罰ゲームか何かかと思ってまわりを見渡してみるけど、それっぽい人は誰もいない
嫌われてるのかな
なんだか気まずくなって、本に集中しようと思った
<植物には敵が多く、虫やネズミなどに食べられてしまうことも多い>
<そのため植物はその外敵から身を守るため進化してきた…>
唐突にそんな文章が出て来て、なんだかそれが気になった
これを自分たちに結びつけるのもなんだか皮肉な気はするけど、
僕はある意味でネズミのクオーターで、コノカちゃんは茨のナイアナを持っている
…もしかして?
そう思って記憶をひっくり返して探してみた。
僕はナイアナによって2m近くある化け物に変身することができて、
出来ればなりたくないけど戦闘訓練でやむなく変身する事が何度かあったんだ
その時に、見学者がいると言われたような気がするけど
もしや、その見学者の中にコノカちゃんがいた事もあったのかな
だとするとコノカちゃんは僕が化け物の時の姿を見た事あるのかも…
コノカちゃんの四肢には茨が絡んでいて、あれはコノカちゃんから生えていると誰かに聞いた事がある
となるとこの子自身が植物に似た意識を持っているのかもしれない
<植物には敵が多く、虫やネズミなどに食べられてしまうことも多い>
もう一度この文を見てみる、考えてみれば薔薇が2mの大ネズミを恐がるのは普通の事だよね
そうでなくても僕のあの姿は誰が見ても恐いものだろうし
-あれ、それじゃあなんで…
そう思いいたった時、あのっとコノカちゃんの声で思考は遮られた
「えっと、私、もう行くねっ」
そう言って返事も待たずにすっと立ちあがって、逃げるように走って行ってしまった
「え?あっ…」
僕はそんなコノカちゃんに何か言おうとしたのだけど、その言葉がまとまる前にその背中は見えなくなった
恐い人が相手ならこの反応は普通なんだろうけど、僕はなんだかすっきりとしなかった
嫌われたから、とかそういう事じゃなくて、わからない事があったから
-なんでコノカちゃんは、恐いであろう僕の所に来たんだろう?
また座りなおして本を読もうとしたんだけど、そのことが頭から離れなくて
その後僕は、結局本の事に集中することは出来なかった
最終更新:2011年03月04日 01:31