「ところで、何の用?」
聖が苛立っているのに気づかず、ミユカは本題に入った。
マイペースなミユカを殴り飛ばしたい衝動を抑えつつ、聖はミユカの質問に答える。
「
シグマの訓練相手を担当する奴が、別の用事でいなくてな、お前に代わりをやってほしいと隊長が」
「私が?」
「シグマの能力を一番把握してのるが、お前だからという事だ」
「ふーん…分かった、カナちゃん戻って来たら行く」
「あのガキくさい娘か?」
聖の言葉にミユカの表情に嫌悪の色が浮かんだ。
「そんな言い方ないでしょ?」
「事実だろ。大体、俺はあいつがアースセイバーにいるのが気に食わねえんだよ」
「何で?」
声にも苛立ちが含みはじめる。
「あいつの能力って、只浮かれたり喚いたりするだけじゃねーか」
「そんな事ない!それにカナちゃんは、能力以外にも凄い所が―――」
「頼りない勘で一般人と
ホウオウグループの人間を見分ける、だろ?」
「頼りなくなんかない!!」
次々と出て来る聖の皮肉と嫌味の混ざった言動に、ミユカは怒声を上げた。
「普通に考えてあんなガキくさい奴、アースセイバーにいれる立場なんかじゃあ―――」
その時。
ギロッ!
「ッ!?」
聖はミユカの変貌―――蛇の目つきに変わり―――に驚愕する。
鋭い蛇の様な目で聖を見据えながら、ミユカは静かに怒りを表す。
「いい加減に人を踏みにじる様な言い方はやめて…首筋噛むよ」
その言葉に思わず、聖はミユカの口を見てみる。
口の中からは鋭い牙が覗いていた。
とは言っても小さい為、首筋を噛む事は出来ないが、それでも殺意は剥き出しになっていた。
「…チッ、わーったよ」
「じゃあいい」
いつの間にか、ミユカの目は人間の目に戻っていた。
―――こんな目して、自分で気づかないっておかしいだろ。
少しでも怯んだ自分に苛立ちながら、聖は思った。
「よーミユカ。お前、この前シグマ連れて外出したんだって?」
再び談話室に入ってきたのは、黄色のバンダナを頭に巻いた、黒髪の少女―――ではなく少年、
ハヤトだった。
最終更新:2011年03月17日 14:53