『お?』
『あら?』
降りしきる雨
それを見つめていたのは対照的な二人の少女で
お互いの存在に気づくのもまた同時であった
『えっと、スイネ?』
『火波スザクさん』
『名前あってんのか聞いてんだけど』
『ええ、あってます』
パラパラと水溜まりに雨粒が叩きつけられている音と
グラウンドから漂う土の臭い
無言は本来気まずいものだが
自然に発生されるそれらの音が、その妙な間を埋めていた
『あんた、傘忘れたの?』
『傘?』
『傘だよ傘。濡れちゃうだろこのまま帰ったら』
『濡れたらなにか問題でもあるんですか?』
『………』
あまりよくはしらないけれど、スイネはアースセイバーの人間らしい。
彼女が転校してきた際
ハヤトがこっそり耳打ちしてきたので、存在は知っていた
ただ、こうして会話するのは初めてなわけだが
なんというか、ちぐはぐな女だ
その見た目こそ可憐で
美しく大人びた空気を纏っているくせに
妙な違和感を感じる
人間らしくないというか
温度がない
おっかなびっくり人間社会に飛び込んできた
何も知らない子供のような
『(僕が言えた話ではないけど)』
『わたし、帰ります』
『お、おい待ちなって』
『なんですか?』
『途中まで傘、入っていったら?』
『え…』
『風邪ひくし』
『………遠慮、します』
ぎゅっと胸元で拳をつくって、ふるふると小さく震えたかと思うと、荷物をひっつかんで彼女は雨の中を走り去って行ってしまった
『…』
今度
ケイイチにでもどんな奴なのか聞いてみようか。
スイネが落としていったハンカチを拾いながらそうぼんやりと思った
雨は、強さを増していた
(これが僕とスイネの初対面だった)
最終更新:2011年03月22日 01:38