『昔のわたしと、同じね』
――スイネ
あの時以来……初めて覚えた人の名前。
初めて俺は、人に手を出した。
こんな事をするほど器は小さくなかったはずだった。それが胸の辺りから湧き上がるふつふつとした怒りの感情に、気づいたら相手の頬を張り飛ばしていた。
…………なんてことを。
これじゃあ……これじゃあまるで俺は。あいつの言い分に図星になったかのようなそんな……。
違うあいつは……
あいつの態度は気に入らない奴を見るような、そんな感じだった。言い方も言い分も……
「…………胸糞悪い」
屋上で一人そう呟いた。空を見上げながらぼそっと呟いたその瞬間肩をつかまれ後ろに振り向かせるようにさせられ
驚いたように相手を見据えると、そこには先日俺が間違いなく頬をひっぱたいた女がそこに立っていた。
すると俺の首をいきなりガッと掴み、地面に倒すように力をいれたらしい相手の行動に抵抗する暇もなく地面に伏せられ首を軽く絞められる
「……!」
「驚いてるの?」
と相手は無表情のまま問うてくる。
その無表情さの顔に影が重なり、眉間に皺を寄せる。
「俺に何をする気だ」
「見ればわかるでしょう」
「……」
「貴女は自分を特別だと思ってるんでしょう?」
ギリ、と首に爪がたてられるような感覚に眉間に皺を寄せるが何故だろう。麻痺しているのかあまり痛くない。
相手の口元の動きを見ながら言葉を聴いていたミオは目をゆっくりと細め冷や汗を流した。
「だったらその特別な力で私を止めてみたら?」
「……!?」
コイツ……
何言って……
「じゃないとほら、どんどん力いれてくけどいいの?」
と首を絞める力を強めているのが感じる。
その言葉を聴いても相手の行動を見ても、相手の思惑なんかやはりなにもわからないからこそ、不可解で……不愉快で。
特別特別特別って……
「特別、特別うるせェよ!!俺に特別なんてもんはもう存在しないし、いらねぇし!お前は何をしたいんだ、関係ないだろう!」
と、気づいたら声をあげてた。その自分の体からでた大きな声に自分で驚いたように目を瞬かせ、その様子をみた相手は無表情のまま数秒
俺を見据え、ゆっくりと首から手を離した。そして彼女はそのまま屋上をあとにしようとしたのをみて急いで起き上がった
「……ッ、待てよ!」
「……」
「結局アンタは……」
「貴女」
「……?」
「昔の私と一緒」
「……ッ」
そういってそのまま去ったスイネという女に対してまたふつふつと湧き上がる感情が胸を蝕む。
スイネ
初めて名前を覚えた。
とても、いい印象は持てない女
スゴク、変わってる。
最終更新:2011年03月27日 00:45