「キッシシシシ・・・パクリにイタズラするの、ホントに楽しいな~」
某日、ウスワイア。
アースセイバー独立隊員、ミユカはこの日も趣味のイタズラをしていた。
哀れな事に、先程KEAがそれの餌食になってしまった。
「やーさんやこうちゃんにもやったから、もういいかな」
などと、若干、爆弾発言の様な事をぼやきながら歩くミユカ。
その時、彼女の目に1人の少年が映る。
「あれは・・・シグたん?」
ミユカがシグたんと呼んだ少年―――
シグマは、1週間程前に保護された能力者。
正式には、元『
ホウオウグループの生物兵器』である。
彼の能力は、『スロウディングスビースト』、又の名を『環境獣化』。
周囲の環境により、あらゆる獣の体つきや能力を得るという、かなり強力な能力。
にも関わらず、彼を生み出したホウオウグループは彼を捨てた。
その理由は―――彼が兵器にとって重要な戦いを『全く理解していなかった』から。
生み出されてすぐ、やせ細った森の中に捨てられた彼は、わずかに実る木の実等を食いつなげていたのだ。
ウスワイアに保護された当時、彼はやせ細っていたが、十分な食料と暖かい寝床を与えられた今、健康的な体つきになっていた。
「シーグたーん!」
ミユカはシグマを呼び止める。
だが、本人は呼ばれているのが自分だと分かっていないのか、周りをキョロキョロと見渡す。
「シグたん!君の事だよ!」
「・・・俺?」
ようやく気づいたシグマ。
それでも、彼の金色の瞳には、疑問の色が浮かんでいた。
「・・・ミユカ、俺の名前ってシグマだよね?」
「そうだよ?何で?」
「だって俺の事、シグたんって」
「あー、なるほど!」
ニンマリと笑うミユカ。
それにシグマはキョトンとした表情を浮かべる。
「シグたんっていうのは、シグマのあだ名だよ」
「あだ名?」
「自分の持っている名前とは別の、名前の事だよ」
「ふーん?」
半分理解していないかの様な表情のシグマ。
彼は常識等にも疎かった。
とはいえ、知能は人並みなのだが。
最終更新:2011年03月27日 00:49