「ところで…ホントに外に行く気なんすか?」
シノの予想外の言葉に、2人は体を強張らせた。
「…聞こえてた?」
「もちろん」
「お願いッ!
シグマをどーっしても!外に連れて行きたいの!」
「ミユカ」
真剣な顔つきになったシノは、冷静な声で話し始める。
「シグマはまだウスワイアの能力者っす。安易に外出出来ない事を、知らない訳じゃない筈っすよ」
「うう…」
シノの厳しい言葉に、ミユカは思わず後ずさりする。
が―――。
「なーんてね」
「へっ?」
急に笑顔になったシノ。
ミユカは訳が分からないような表情をする。
「外に出かけていいっすよ。勿論、シグマを連れて」
「え、いいの!?」
「シグマはあの通り、世間知らずで常識に疎いから、勉強のつもりで連れてって欲しいっす」
シノの優しさにミユカは満面の笑みを浮べ、大きく「うん!」と頷く。
「この事は黙っとくから、安心して行くっすよ。シグマの事、よろしく頼むっす」
「ありがとう、百科事典さん!シグマ、行こう!!」
「う、うん!」
「行ってらっしゃーい」
好奇心に満たされた瞳の獣の少年を連れて外に行く蛇の少女を、シノは手を振って見送った。
「とりあえずどこ行こうかな~…」
グゥ~…
突如耳に入ってきた、空腹の音。
どうやらシグマの様だ。
「あれ、昼ごはん食べてないの?」
「…忘れてた」
シグマの顔が見る見るうちに真っ赤になった。
そんなシグマに、ミユカはクスクスと笑う。
「わ、笑うなよ~」
「ごめんごめん。じゃあ、ご飯食べに行こうか!」
「え、戻るのか?」
シグマは眉をひそめる。
おそらく、彼にとってご飯を食べる場所=ウスワイアなのだろう。
「違うよ。別の、ご飯を食べる所に行くの」
「???」
「まあ、行ってみれば分かるよ」
まだ疑問が解決していないかの様な表情のシグマを連れ、ミユカは目的地へと走り出した。
最終更新:2011年03月28日 00:56