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“わたし”の本心

『ね、起きて。起きてってばあ』

誰かの明るい声がする
子供のような、甘ったるい甲高い声
誰かに似ている…聴いたことがある

『あ、起きたね。おはよう』

視界が開けると、そこには…
“わたし”が、見たこともないような少女のような笑顔を浮かべてわたしを見ていた

『…ベガ?!』
『うっひゃあ?!ち、違うよ!!びっくりしたなぁ
怖いから睨まないで!』
『……』
『あ、あたしが誰かって思ってる?あたしはあたしだよ』
『…』
『せ、説明が難しいなぁ』

ぽりぽりと頭をかいたり、困ったような笑顔をみせる“わたし”は、トキコのような無邪気さでわたしにじゃれてくる
…なんなの、コレ

『あのねぇ、あたしは、あなたで。あなたはあたしなの。』
『…はぁ?』
『うっわ!鳥維みたいな顔された!!スイネちゃんショック!!』
『……なんだか頭が痛いわ…』
『こっちの“あたし”は随分とおとなしいねえ…
ん?大人っぽいってカンジ?』
『わたしの顔でトキコみたいな振る舞いは似合わないわ
やめてちょうだい』
『そっちこそあたしの顔で大人ぶらないでよー!ばかあ!』

一向にらちのあかないやりとりに頭痛は増す
…ねえ、この子馬鹿なの?

『さっきベガって言ってたけど、それが“あたし”を殺した人?』
『…!!』

そうだ、確かわたしはベガに胸を貫かれて…
“殺した”と言うことは
わたしは、死んだのか?

『正確にはまだ死んでないよ。
このままだとやばいみたいだけどねー。あはは』
『ここは…?』
『あたしの夢の中?かな
パラレルワールドの交差点?
だっけ、うーん』
『…どうしたらわたしは助かるの?』
『え?助かりたいの?』

きょとんとわたしを見る“わたし”は、意外だといわんばかりの表情をつくっている
…助かりたいに決まってるじゃない

『だって、“死にたい”ってずっと思ってたでしょ?』
『何の話…』
『あははー、とぼけてる』
『わかるように話しなさいよ』
『“あたし”は、大人っぽいけど子供だね』
『あなた…』
『やっと死ねるチャンスなのに、どうして死なないの?
もったいないよ』
『わたしは今死ぬわけにいかないのよ!あたしが…守らなきゃ』
『大切な人を失うのが怖いのに、
どうしてまたその世界に飛び込もうとするの?
…ねぇ、“あたし”はまだ死んでないけど
このままだったら死んじゃうんだよ?…
“あたし”が生きたがってないから』
『………』
『ねぇ、“あたし”にはあたしと同じ思いはして欲しくないよ。
……おわりにしようよ』

“わたし”の言葉が
胸に痛い
わたしは
わたしは…


“わたし”の本心
(彼女に彼らの声は)
(まだ、届いていない)

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最終更新:2011年04月01日 15:53