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思惑交差

思惑交差

「…そう。そんなことがあったのね…。」
久しぶりにアースセイバーに赴いた亜音は、KEAの報告を聞いていた。
いや、聞き流している風にも見えた。
資料を運ぶシノが足を止める。

「あれ?姉さんきてたんスか?」
「…ああ、シノ。久しぶりね。」
「元気ないッスね。どうかしました?」
「ちょっとね…。」

力なく笑う亜音の姿を気にしたシノだったが、深追いは禁物だろうと思い、とりあえずその場を去った。
「…何なんスかね。久しぶりに姉さんが事後処理の手伝いに来たってきいて、楽しみにしていたんスけど…。」
きになるなぁ、とたびたび後ろを向きながらシノは廊下を歩いて行った。

「…あ、玉置さん。」
「ああ、シノさん。」
「珍しいッスね、ここにいるなんて。この間の事後処理に?」
「ええ。僕も色々やったんで。」

「玉置さんって、姉さんと同僚だったはずッスよね?」
「ええ、そうですよ?」
「今日姉さんが来てるんスけど、元気がないみたいなんッス。何かしらないッスか?」
「!」

一瞬、静流が驚いたような顔をした。
「…?」
「い、いや、何も。というか、あの姉さんが落ち込んでたのですか?」
「よく分からないけど…。一回、様子を見てもらえないッスか?」

「…分かった。みてみますね。」
「ありがとうございます!」

一礼するシノを背に通り過ぎる玉置は、少し暗い表情をしていた。
「やっぱりきつく言いすぎましたね…。」
跳ねた髪を更に掻きあげる。
優しげな瞳には、ほんの少しだけ後悔が残っていた。

タマキが彼女を叱り飛ばしたのが相当効いたらしい。
由衣から聞いた話だが、あのあと仕事にろくに手が回らなかったという。
「今はあわない方がいいでしょうね…。」
罪悪感のたまった声でそう言い、亜音の部屋を通り過ぎた。

静かなる獣は

体を失くした紅を見

ためらいながらも去った

しかし獣は思う

必ずまた戻ってくると

その葛藤を

心配する梟は知らない

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最終更新:2011年04月16日 16:19