「てゆうかさ、女顔ってそんなに気にするもの?」
「お前じゃあるまいし」
ユズキも
ハヤトと同じく、女の様な顔立ち(そしてハヤトより美人)ではあるが、
「本人はそう見えるだけ」と言って、あまり気にしていない。
「まーまー、喧嘩しちゃ駄目だって」
「誰が原因だと思ってんだよ!」
「キシシシッ」
いたずらっぽく笑うミユカ。
「じゃあそろそろ行くねー」
「えー、カラオケ行かないの?」
コヨリが残念そうに言う。
他のメンバーもつまらなさそうな表情だ。
「ごめんね。また今度一緒に行こう」
「約束だよー」
「うん、じゃあまた学校でねー」
コヨリ達はミユカに別れを告げて去っていった。
「ミユカ」
「ん?」
呼ばれたミユカは
シグマの方を見下ろす。
彼には
レストランにいた時と同じ様な、むっつりした表情が浮んでいた。
「何でいきなり口を塞いだんだ?」
「あー、ごめんごめん。シグマが能力者だって、バラす訳にはいかなかったんだよ」
「あ、そうか…」
常識に疎いシグマでも、能力者は世間から見ればイレギュラーな存在である事は分かっていた。
しかもあそこには同じアースセイバーの能力者であるハヤトがいた為、シグマが「ウスワイアに管理されている能力者」だとバレてしまえば、
せっかくの外出も中断せざるを得なくなるかもしれなかったのだ。
幸い、ハヤトはシグマの事は名前しか知らなかった為、不思議がられる事は無かったが。
―――最も、理由はそれだけじゃないけど。
ミユカは別の危険性も感じていた。
先程自分に話しかけたクラスメイト―――コヨリ。
彼女は
ホウオウグループの擬人兵である。
実際、ミユカはコヨリに対して敵意を持っておらず、コヨリ自身もミユカが「あちら側の人間」である事を知る由も無い。
それに、ホウオウグループの道具にしか過ぎない彼女は、内部の事情をあまり知らない。
だが万が一、彼女が生徒に扮している他のホウオウグループの人間に、シグマの事を(話題として)話してしまえば、シグマが狙われる確率は高くなる。
それだけは絶対に避けたい―――ミユカはそう思っていた。
シグマの不安そうな声に、ミユカはハッとした。
自分でも気づかない内に、表情を曇らせていたのかもしれない。
「ううん、何でもないよ」
―――絶対にシグマを殺させはしない。
「さて、次行こうか!」
いつもの明るさを取り戻したミユカは、再びシグマの手を引いて歩き出した。
最終更新:2011年04月16日 16:22