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『蛇、獣と一緒に外に行く12』

ミユカの驚きの声に、長い黒髪の男―――ゼアが振り返る。

「おや、誰かと思えば…あの研究者の娘さんではないですか」
「…っ」

ミユカの拳が強く握り締められる。
彼女の瞳は、今にも蛇の目になりそうなぐらいにゼアを睨み付けていたが、当の本人は物ともしていない。

「それと…久しぶりですね。Σ-B001」
「……」

シグマがゼアを避けるかの様に後退りする。

「シグたん?」
「…あいつ、俺を捨てた…」
「!」

ミユカは思わずゼアを睨み付ける。

「お前が…シグたんを…」
「何か問題があるとでも?」

おどける様にして発言するゼアにミユカはついに苛立ちを隠せずにいられなくなった。

「問題もなにも、シグマを勝手な都合で捨てたじゃない!!」
「それが何だと言うのですか?」

ゼアの態度にミユカの怒りは募っていく。

「使えないものをいつまでも手元に置くのは、あまりにも合理的じゃなさすぎる。だから捨てたんですよ」
「使えないって…!」
「当たり前でしょう。戦う為に生まれた兵器が戦えないのでは、最初から無いのと同じなんですから。とにかく」

言葉が途切れた途端、ゼアの右手から剣の様な形状の光を吐く龍―――幻龍剣が現れた。

「Σ-B001…今度こそ消えてもらいますよ!」

ゼアが幻龍剣を構え、シグマに向かって突進する。

「シグたん!」

ミユカがシグマを後ろに突き飛ばしたと同時に、ゼアに一蹴り浴びさせる。
だが間一髪の所で、ゼアが後転して避けた。

「…意外とやりますね」
「伊達にアースセイバー独立隊員やってる訳じゃないよ」

互いに不敵な笑みを見せつける。

「シグたん、下がってて」
「うん」

ミユカの言う通りにシグマは柱の影に身を隠した。

「あなたが弱くない事は認めましょう。しかし、悪夢の中身は私の方が有利…あなたが勝つ可能性は無いに等しい」
「そんなの、使う人によるんじゃないの?開発部のゼアさん?」
「ふっ…なら試してみますか?」
「当然」

会話の終わりを合図に、二人の戦いが始まった。





ゼアが幻龍剣をミユカに向かって薙ぎ払う。
ミユカはそれを避け、ストリートダンスの様な蹴りを放ち、ゼアの足を払った。

「く…ッ!」

体勢を崩されながらも、ゼアはミユカに攻撃をしかける。
だがミユカはそれを再び避けた。

「キシシシシッ、やっぱ戦い慣れてないんだ」
「黙れッ!」

ゼアがムキになって突進する。
その時、ミユカの瞳が蛇のそれに変貌した。
そこにミユカの蛇の瞳にゼアの「行動の意志」が映る。

―――横一線に薙ぎ払って突き刺す、か。

するとゼアが、ミユカの瞳に映ったそれと同じ様に行動する。
あらかじめ予測していたミユカは、後ろに下がって避けた。
と同時に、ゼアの幻龍剣が空を斬る。

「!?」

ゼアは驚きの表情をする。
ゼアの目には、ミユカがまるで自分の動きを見抜いたかの様子に見えていたのだ。

「キッシシシ」

笑いながらゼアの攻撃を鮮やかに避けつつ、次々と攻撃を繰り出すミユカ。
その最中、ゼアはある事に気付く。

―――私の攻撃を避ける度に、蛇の瞳になっている?

やがてゼアはある確信に辿り着き、小さく笑みを溢す。
ミユカはそんな事を知るよしもなく、再び蛇の瞳でゼアの行動の意志を読み取る。

―――後ろに回り込んで斬る。

ゼアが再び幻龍剣を振るい突進する。
ゼアが背後に回り込もうとした所で、ミユカは前に飛び退く。
だが―――。


ザシュッ。


「…え?」

ミユカは一瞬、何が起きたのか理解出来なかった。
背後にいるはずのゼアが目の前におり、本来なら無いはずの一線の朱い傷が腹部にある事を―――。

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最終更新:2011年04月23日 00:46