ミチビケ
今更当てもなく出て行ったのを後悔した。
何処にいるのか分からない…というか、来ているのかさえ分からないのだ。
探すにしても何処を探せばいいのかわからず、途方に暮れていた。
そもそも重度の方向音痴だったはずだ。ますます難易度が上がる。
「…はぁ;どうするぜよ…;」
近くの岩に腰をおろし、ため息を吐いた。
膝の上で頬杖をつき、ぼんやりと空をみる。
あれから15年。こんなに空は曇っていただろうか。
「自分は…11だったがか。丁度探偵稼業の真っただ中じゃったなぁ…。」
そう呟くと、自然と過去に思いが馳せられた。
自分の幼馴染とほとんどの人生を共にした日々。
彼女といると何かと事件に巻き込まれた。
皮肉にも、左目の「賢者の石」は、自分と彼女が同じ時間を歩み、同じ時間にこの世を去るために必要な道具であった。
そしてその石さえなければ、自分たちは出会うことがなかったのだろうから。
寺にいれば修行を押しつけられ、浮いた姿は誰にも受け入れてもらえなかった。
彼女と出会えたから、かわれたのだ。
そうでなければ「彼」に出会い、意気投合することもなかったろう。
「…もしいるんなら、どれだけ道に迷おうとも、いかせのごれの中にいるんじゃな…?」
一言呟いて立ち上がる。
空を仰ぎ、眼を閉じた。
大切な幼馴染と離され、修行に明け暮れた唯一の2年間。
実を結ばなかったわけがない。
陰陽師家の師範とされる実の父の血を受け継ぐ者。
才能はなくとも、素質は姪の春美よりあった。
懐から取り出したのは白い布。
包帯のような見た目で、中央には黒い筆字で綴り字のような記号が並んでいた。
数m引き延ばすと、その記号の一つに勢いよく木刀を突き立てた。
その場の空気が僅かに揺らぎ、渦を巻く。
木刀の先が青く光り出すのを確認して引き抜き、弧を描く様に大きく振るう。
残像として残った光がゆっくりと集まり、小さな青い鳥へと変化した。
鳥は一声鳴き、曇り空へと飛んでいく。
それを見送ると、月光は木刀と布を仕舞った。
「捜す体力を考えて、使えるのは1時間じゃろうな…。」
彼は鳥を追うように走り出した。
孤独なる青い鳥の導は
星に焦がれた月を導く
「幸せを運ぶ」その眼差しは
迷える一角に沿うように
『東』の傘へと向けられていた
最終更新:2011年05月02日 22:34