『緋色の中で』
平日、夕方。
正確には夕方になる前。
私は
ミユカちゃんと一緒に帰ろうと、2年1組の教室に立ち寄ったのですが―――。
「え、先に帰っちゃったんですか?」
「うん、近くのスーパーでタイムセールあるんだって」
「そうですか…」
ユズキ君の言葉に、私は少しがっかりする。
でも仕方ないですもんね。
ミユカちゃんは一人暮らししてるから、生活が大変ですし。
でも一度、そのスーパーでミユカちゃんを見かけたんですけど…何ていうか…タイムセール中ではミユカちゃんのみならず、他のおばさん方も凄い剣幕で……。
正直言って、あれには圧倒されました。
やっぱりタイムセールだと皆さん、ああなるんでしょうか?
「じゃあハートちゃん、あたしと一緒に帰る?」
と、隣から声をかけてきたのは、2年1組の生徒で私と同じアースセイバーの能力者、螺良華ちゃん。
陰陽師の春美ちゃんに仕える『妖怪』でもあります。
「んー…」
考えていると、私の頭の中に突如、夕焼けの景色が映る。
それはこの学校の屋上から見える、私の好きな景色だった。
―――そう言えば最近見てませんね。
久しぶりに見に行きましょうか。
ごめんなさい。せっかくのお誘いで悪いのですが…」
「えぇー」
ぷぅ、と頬を膨らませる螺良華ちゃん。
「一人で帰んの?」
「いえ、久しぶりに屋上で夕焼け見ようかなって」
「夕焼け?」
「はい、そこから見える景色、大好きなんです」
「ふーん…」
気まぐれな雰囲気の返事。
すると、ユズキ君が一歩近づいて、私の頭をポンポンと叩くように触る。
「な、何ですか?」
「ん?やっぱ小さいなあって」
な…。
「ち、小さくないですッ!」
「いやいや、現に僕と螺良華より低いし。ね」
「うん。因みにナオさんよりも低いよー」
人が気にしてる事をそんな、ズバッと言わないで下さい…。
これでも色々努力してるんですから。
「でもでも、身長低い方が可愛いと思うよ?」
「けど凪ちゃんやアオイちゃんは身長低くないけど、可愛いじゃないですか」
「まあ、それはそうだけどー、低い方がより可愛らしいっていうか」
「うー、もういいです!」
私は不貞腐れた様に、屋上へ走り出しました。
最終更新:2011年05月18日 21:02