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企画されたキャラを小説化してみませんか?_ログ-151~200

  企画されたキャラを小説化してみませんか?

1サイコロ:2008/04/19(土) 08:47:37
男擬人ムリ香さんが立ち上げた「キャラ企画つれっど」で企画されたキャラを
ショートショートストーリー化(短編のアナザーストーリー化)してみませんか?
age sage構いません。
それと、できるだけ自分の企画したキャラを搭乗させましょう。
ナイアナのキャラは、性格を変えないように。

気に入らなければ消してください、(有)さん…

151スゴロク:2011/01/27(木) 20:18:10
「またやったのか、火波。お前は考え込むと無意識に力を込める癖があるから、気をつけろっていったろ」
「すみません、玉木先生……」

保健室に駆け込んだ僕は、養護教諭の玉木 静流先生に手当を受けていた。「好青年」を絵にかいたような人で、男女問わず生徒の人気は高い。そして―――アナボライザーでもある。
元ウスワイヤという異色の経歴をもつこの人は、僕とも顔なじみだ。

「……まだ、来る気はないか?」
「ないです。ウスワイヤやアースセイバーじゃ、僕の答えは見つけられない」
「そうか……」

こうして、事あるごとに僕をウスワイヤに行くよう説得して来る。ケイイチが汰狩にそうしているように、だ。
だが、今はまだダメだ。理由はわからないが見逃されている今の内に、「奴」を見つけ出さなければ。
と、

「失礼します」

ドアが開き、誰かが入って来た。青の入った黒の短髪が印象的な、男子学生だった。確か……。

「ノルン、とか言ったか」
「おお、覚えてくれましたか。嬉しいですねえ」

やたら丁寧な物腰のこの男は、一月ほど前に転校して来た。ただ、以前の経歴に微妙な齟齬がある。
正体はまだわからないが、注意はしておくべきだろう。

「どうした、怪我でもしたか?」
「いえ、事務や養護の先生には、まだちゃんと挨拶をしていませんでしたので」

どこまでも丁寧なその態度からは、敵意や悪意は感じ取れない。ないが――――何か変だ。
だが、僕がその「何か」を掴みかねている間に、ノルンは保健室を去ってしまった。



3時間目は音楽の時間だった。しかもよりによって、僕が大の苦手なフルートだ。

「うぅ~」

うまく音が出せない。息の通る音が微かに聞こえるだけだ。多少は吹けるらしいトキコが、「出来ないの~?」とでも言いたげにこちらを見ているのが、なおさらムカつく。
そんな僕らとは対照的に、事もあろうに「G線上のアリア」を演奏している怪物がいる。
二つおいて右に座っている、腰まである長い黒髪の女子――――ネイロだ。以前、とあるコンサートで来客全員が死亡したと言う、「ライブパニック事件」の生き残りだという。しかし、僕には見当がついていた。
十中八九―――アナボライザーだ。ただ、何の悪夢かはわからない。事件の詳細は伏せられているため、なぜ観客が死んだのかが明らかでないのだ。
しかし今問題なのはそこではなく、ネイロの笛の音が、まさにプロ並みだったからだ。

(……)

一頻り吹き終わると、ネイロははあっ、と大きく息をついた。

「音外しちゃった……まだまだかな」

(あれでか!?)

多分、全員が僕と同じ気持ちだったろう。

152スゴロク:2011/01/27(木) 20:18:44
4時間目が終わって、昼食の時間だ。僕は持って来ていない。購買で買うのだ。
もちろん、売り切れないように朝来てすぐに取り置きしてある。

「よしよし、今日も確保完了」

教室に戻って来て、席についてガサガサと袋を開ける。揚げパンを一齧りした所で、

「……またやってるのか」

向こうの方で、席を集めて何やら騒いでいる連中に目が向いた。

「ハヤトー、お前唐揚げばっかりだな。野菜食べろよ、野菜」

唐揚げとご飯だけ、というシンプルすぎる弁当を持ってきているのは、ハヤト。歌が得意な見た目不良。

「真二に言われたくねえよ。なんだその弁当、日の丸じゃねえか。おかずはどーした」
「失敬な。ちゃんとここに味噌汁を持って来てあるって」
「何で学校の昼飯で味噌汁なんだ!? しかもそれ魔法瓶かよ!」

日の丸弁当に加え、魔法瓶に入ったアサリの味噌汁を味わっているのは、貝塚 真二。小柄でぼーっとしたムードメイカー。

「ちょっと、静かにしてよー!! 騒ぐのは学生の特権だからって、限度あるでしょ!?」

大騒ぎする2人に腹を立てているのは、コロネ。どこにでもいそうな、普通のような女子生徒。

「こ、コロネちゃんも静かにした方がいいと思う……」

隅っこで所在なげにしているのは、水野 瑠璃。読書が趣味の綺麗好き。
そして、

「ホントにその辺にしとけ。ほら、鳥さん睨んでるぞ」

顔だけ振り向いてそう言うのは、瀧登 紀一。誘拐事件から生き残った剛の者。
全員僕の友達だが、実は付きあいらしい付き合いはなかったりする。これが僕の人間関係の変なところだ。付き合いのない奴に限って仲が良かったりする。

「あ、ホントだ。ごめんね、スザクちゃん」
「す、すみません」
「いいよ、別に。隣の教室から文句が来ないことを祈るだけ」

普段が普段だけに、こうして平穏な騒ぎの中にいられるのはありがたい。ただし、1人だけ注意している人物がいる。
コロネだ。彼女はよく、人に対して「変わってる」という癖がある。何を基準にしているのかさっぱりわからなかったが、ネイロやケイイチをそう評したことで確信した。
――――特殊能力者。それも、他の能力者を見分けることに特化しているらしい。本人は自覚していないらしいので、僕は黙っている。そんな能力の持ち主がウスワイヤに「保護」されれば、いかせのごれ高校のスクールライフは崩壊する。それだけは、絶対に許さない。



「……ユミカは今日は休みだったのか?」
「おー。なんかさぁ、階段踏み外したってよ。リーダーがお見舞いに行ったぜ」
「そうか、ありがとう」

放課後、僕は隣のクラスの笙に話を聞いていた。性格が熱いわりに影の薄い、不憫なやつだ。
話の内容はユミカのこと。「リーダー」の愛称で呼ばれるマサカズの事実上パシリなのだが、やたら仕事が早い。その上努力家であるため、僕のクラスや下級生には彼女を目標にしている人もいる。何を隠そう、僕もその一人だ。

「では、僕は行かない方がいいか。水を差すのも野暮だ」
「そか? じゃ、俺はもう帰るぜ」
「ああ、またな」

笙と別れ、僕は体育館に向かう。学祭が近いため、練習をしているバンドがいるからだ。さすがにこの時期ははぐれ能力者狩りもお休み。
途中でケイイチのクラスの教室を覗くと、グレーの髪の女子が補習を受けているのが見えた。

「ミオか……」

その一言に尽きた。一人称は「俺」という個性的過ぎる特徴が在りながら、物静かで名前を覚えようとしない……言ってしまえば、影が薄い。興味のない事はとにかく手を出さないため、成績が悪いのなんの。
友達が少ないらしいが、僕は友達だと思っている。……今話しかけると先生に怒られそうなので、残念ながらここはスルー。体育館へ急ぐ。

153スゴロク:2011/01/27(木) 20:19:46
ステージの上で、JAM PROJECTを熱唱する男子と、その隣でシンセを操る女子。
マイクを使っているわけでもないのに、広々とした体育館の隅々まで声が響いている。
「若獅子」こと遠藤 正輝と、その親友である景山 浩美だ。2人とも非常に楽しそうで、僕も見ていて楽しい。ただ、僕の目当てはその2人ではない。ドラムを叩いている一条寺 正人。――――僕の片思いの相手だ。

「正人……やっぱりカッコいいな……」

正輝の歌も、浩美の演奏も魅力的ではある。けれど、今、僕には関係がなかった。腹の底まで響くような力強いビート。全身で音楽を表現する正人。
今日は、本当は授業が終わったらすぐ帰って眠るつもりだった。しかし、正輝たちが練習をすると聞いてあっさり撤回した。正人とはクラスが違うため、僕はほとんど会う機会がない。だから、こういう場面は願ってもないチャンスなのだ。
演奏が終わり、バンドメンバーが楽器を持ってステージを降りて来る。
――――今だ。今しかない。
何度か告白しようとして、その都度失敗している。しかし今は大チャンス。バンドメンバーの3人以外には、看板製作が佳境に入ってヒートアップしているののかやユウイ、ユズキくらいしかいない。

「ま―――」


「とーりーさんっ、なーにしてるのー?」


「ッ!!!」

後ろからいきなり声をかけられ、かけようとしていた声が止まった。すぐさま振り向くと、そこには、朱色の髪をした「純粋」な少女。

「トキコ………ッ!」
「ん~、なーに?」

きょとん、と首を傾げる。――――殺してやりたい。今すぐ、その首をへし折ってやりたい。
絶対にわかっている。わかっていて、邪魔をしに来たのだ。トキコの一面はホウオウグループだが、もう一つの顔である学生もまた、本当の顔だ。……とにかく僕と相性が悪い、僕的には最悪の女子、という。
ハッ、と気がつくと、既に正人達は去ってしまった後だった。

「―――――!!」

怒りのあまり龍義剣を呼び出しそうになったが、ギリギリでこらえた。
楽しそうにくすくす笑いながら去っていくトキコを、僕は本気の敵意をこめて見つめていた。



とにかく今日は疲れた。思えば、2時間目の終わりにトキコと目が合ったのが始まりだった気がする。
正人に告白する一世一代のチャンスを見事に潰されたのがなおさら腹立たしい。

「……やめだ、やめ。これ以上考えると気分が悪くなる」

自室に飛び込み、ベッドに倒れ込む。もう疲れた。ご飯も、着替えもいい。今はただ、とにかくぐっすり眠りたい。あいつのことはもう考えたくない。
仰向けになって目を閉じると、意識はすぐに闇に落ちていった。

154スゴロク:2011/01/27(木) 20:20:16
「……あれ?」

気がつくと、教室にいた。夕日が差し込んでいて誰もいない……つまり放課後だ。
なんでここに、と考えようとして、

「火波、お待たせ」

扉が開いて、そんな声がした。そこにいたのは、

「正、人……?」

僕が想ってやまない、あの人だった。

「バンドの練習が長引いてさ……俺が一緒に帰ろうって言ったのに、本当にごめん」
「い、いいんだ。僕は、別に」

正直、それまで抱いていた疑問がどうでもよくなった。だって、正人がここにいるんだから。

「じゃ、行こうか?」
「う、うん」

そう言って、正人が手を繋いでくれた。――――天にも昇る心地って、多分こういうことを言うんだと思う。
手を引かれるがまま、教室を出て、道を歩いて。
いつまでもこうしていたい――――しかし、それが破れたのは突然のことだった。

ピリリリリ……

「ちょっと待って。……もしもし?」

分かれ道で正人の携帯がなった。こんな時間に誰が? と思っていると、

「……火波、ごめん。呼び出し喰らっちゃった。すぐ行かないと」
「え……」

がっかりしたのは言うまでもない。けど、ここで駄々をこねるのは嫌だ。だから、

「……わかった。じゃあ、また明日」
「ああ。明日こそ、一緒にな」

そう言って走っていく正人を見送り、僕も家路につく。

――――その視線が、携帯を耳にあてた朱色の少女を捉えた。

愕然とする僕の前で、狂気が嗤う。



「一緒に帰れなくて残念だね、鳥さん」




「うわあああぁぁあぁぁぁあぁぁあああぁぁぁぁッ!!!!!」

叫んで飛び起きたら午前零時だった。
全身にびっしょりと汗をかき、制服が張りついて下が透けている。だが、そんなことはどうでもよかった。

「ゆ、ゆ、ゆ、夢の中まで……!!」

―――この時ほど、心底あいつが忌々しいと思ったことはない。


翌朝起きて登校すると、幸運と不運が同時に待っていた。

「おはよう、火波」
「あ……お、おはよう」

下駄箱の所で、正人とばったり出くわしたのだ。明るく挨拶してくる正人に、僕も何とか挨拶しかえす。

(今言うか……?)

しかし、昨日の今日なので告白するのは躊躇われた。だから、代わりに。

「あ、あのさ」
「ん?」
「きょ、今日、一緒に帰ってくれないか?」

思い切って誘ってみた。果たしてどんな答えが―――――無限に思える一秒のあと、

「ああ、いいよ」

―――生きててよかったと、心底思った。
思った次の瞬間、

「お前のクラスに赤い髪の子、いたよな? 帰り道が一緒だから、今日は一緒がいいってさ。3人で帰ろうか」

――――早く、ケイイチがホウオウグループを倒してくれないかと、心の底から祈った。


というわけで、自己最高記録更新しました。お借りしたのは、名前のみを含めるとサイコロさんの「汰狩 省吾」・「瀧登 紀一」、sigintさんの「セナ」、しらにゅいさんの「トキコ」・「玉木 静流」、町中の熊さんの「貝塚 真二」、akiyakanさんの「コロネ」、鳶色さんの「ハヤト」、CHANGELINGさんの「水野 瑠璃」、眠さ100倍さんの「ユミカ」、砂糖人形さんの「笙」・「ネイロ」、闇音流さんの「ミオ」、樹アキさんの「緑音 ののか」、紅麗さんの「榛名 有依」、大黒屋さんの「ノルン」、you-403さんの「遠藤 正輝」・「景山 浩美」です。総勢18人……ちょっと調子に乗り過ぎましたか? 

>しらにゅいさん トキコに関しては完全イメージで描きました。キャラ崩壊してたらすみません。

155砂糖人形:2011/01/27(木) 20:30:54
>スゴロクさん

ふおおおおぉぉぉお!
キャラがいっぱい出てるというのにまとめる文章力!
すごいっす!!
キャラの個性が出てて賑やかで楽しい小説でした!

そして自分の娘と息子が出ているのに感動!!
でも、未だに笙君が見つからない!ww
笙はどこまで影が薄いのだろうか・・・

156サト:2011/01/27(木) 22:01:59

■ファスネイだったあの頃



まるで、血のようだと思った

ゆらめく炎は、生命あるもの全てを焼き尽くす地獄の業火
笑うことしか出来ないこの現状に、わたしは乾いて張り付いた喉を震わせた

『…馬鹿だなぁ』

抗わなければ死ななくてもよかったのになぁ、とじっと骸を見つめた。

手に握った大鎌に付着した血を地面へと払う
首と胴体は離ればなれに、一面は炎と同じ色をした血液の海が広がっていた

白無垢を思わせるような衣服に着いた返り血は、彼岸花のような形を型どって、背筋も凍りつくような美しさを演出していた


『…まだいたの?』

『…く…っ』

『傷だらけ。痛そうだね』


長く青い髪の毛をなびかせて、うめく少年に近寄る
表情はない
硝煙が立ち込め、地面は割れている
そこには、血と、死体と、二人しかいない

『嫌だ…死にたく…ない…』

『ごめんね』

ヒュ、と、風を切る音がした
そのすぐ後に、ゴトリと何かが転がる音
それは少年の首であった


『…ひとをころすのはわたしのしごとだから』


空をあおぐ。真っ黒い空
この色こそがわたしの知る空

『また、汚しちゃったな』

ホウオウさまに、叱られてしまう
ぎゅっと鎌を持つ手を強く握りしめてわたしは小さく跳躍した

胸元から覗く、引きつれた皮膚は、産み落とされたその時に焼き付けられたもの

所有物の証――…


じり、とにじり寄る気配
あれ?まだいたのかしら
振り向くとそこには、帽子をかぶった切れ長瞳を持つ少年が、じっとこちらをみていた


『あなたは…だれ?』






ここから、わたしの物語は大きく加速していく





ーーーーーーーー
家の子でした"(;・∀・)

157スゴロク:2011/01/27(木) 23:00:17
>砂糖人形さん ありがとーございます。笙君は>>152の最後の方にちらっと出てますよ。

158紅麗:2011/01/27(木) 23:04:19
>スゴロク様
お、お疲れ様です!
こうして見てみると、かなりの企画キャラが作られているんだなー、と感じます。
それを動かせるなんて…素敵です
私の娘も出していただきありがとうございます!

159樹アキ:2011/01/27(木) 23:12:19
スゴロクさんのお話に家の子が居て思わずみなぎった結果がこれですよ!
会話文だけのまったり話ですが、お楽しみいただけると幸いです!
お借りした子・スゴロク様宅:火波スザクさん、しらにゅい様宅:朱鷺子さん、十字メシア様宅:ユズキくん、紅麗様宅:榛名有依さん

「おりょ?」
「ののかっちどしたのー?」
「しゅざくっちとトキちゃんだ」
「あー、ほんとだ」
「あの2人仲良しだよねー」
「…それ後で怒られても知らないよ」
「ゆずにいは思わないの?」
「……後々怖いからノーコメント」
「ゆいちーはあの2人仲良しだと思うよね!」
「…いやアタシも何も言わないでおく」
「なんで!?」
「ユウイも自分と同じ気持ちなんだよ」
「……後々怖いからなあ」
「ぷぅん…」
「そんなに気になるなら、本人に聞けばいいんじゃない?」
「ああ!なるほど!さっすがゆずにい!!」
「いいのか、けしかけて」
「だって怒られるのはののかっちだし」
「……お前なあ」
「大丈夫だって、ののかっち馬鹿だからスザクも怒りようが無いって」
「あ!今ゆずにい馬鹿って言った!」
「え、馬鹿じゃないの?」
「違うもん!並だもん!ね!ゆいちー!」
「ののか、それ自慢する事じゃない…」
「…そ、そうなの?」
「後、お前いつになったらアタシの名前を呼んでくれるんだ…」
「ゆいちーって可愛いでしょ!」
「ユウイな、アタシの名前はユウイな」
「ののかっちのネーミングセンスは最悪だから」
「ああ…」
「2人ともガッカリした顔やめてよう!!」

「しゅざくっちー!!」
「わっ、ああ、ののか…会うたび飛びつくのはどうかと思うんだ…」
「あのね!しゅざくっちに聞きたい事あるんだ!」
「え?あー、答えられることなら聞いてくれ」
「しゅざくっちってトキちゃんと仲良しだよね?」
「へ!?」
「いっつも一緒に居るし」
「……ののか、一度眼科に行ったほうが…」
「あ!でも、ゆずにいとゆいちーは違うって言っててね」
「………とりあえず後でゆっくり話をしよう」
「むぅ?」
「そうか…仲いいと思われてるのか…」
「あれ?なんでそんなガッカリするの?」
「いや、何か思った以上に脱力してしまった…」

「のーのーちゃんっ」
「わっ、トキちゃん!なんぞやー?」
「こないだ鳥さんに私の事聞いたでしょー」
「…んー?あ、うん!仲良しさんなんでしょっ?て」
「ははーん、だからかー」
「何かあった?」
「すっごーい、機嫌悪かった」
「え……私のせい!?」
「かもねー」
「ええええどうしよ!?今から謝ったら許してくれるかなあ?」
「大丈夫だよー、鳥さん優しいから」
「…今度おやつ持って行こっと」
「ついでに私にもー」
「えー、トキちゃん勝手に食べるじゃーん」
「そう言わずにー」

おしまい!

160闇音流:2011/01/27(木) 23:20:06
うおおおおおおおおお!!スゴロクさん我がキャラをつかってくれてどうもありがとうございます!
もうテンションあがりまくって頭が爆発しそうでs\(^o^)/パーン
もう言葉では洗わせられないほどテンションがあがっているので、お返しをば…

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

正直面倒だ
その一言に尽きる。

授業や勉強、正直興味がないが、やらなければならない事、それはわかっていたとしても興味がないものはないのだ、そこはどう足掻いても変えられい。
そのせいか補習には毎回、とはいかないだろうが顔を出す事になる。そして今現在も退屈な補習を受けている。
プリントには退屈な文字がずらりと並んでいる。正直読み解くのも面倒なくらいだ。……俺は今何回面倒と言ったのだろう。まぁいい
ふと視線を扉の外に向けた時、火波……先輩が丁度扉の前から移動したところを目撃した。片眉を吊り上げ、軽く小首をかしげた。

素通りって感じではなかった、立ち止まってこちらを見ていた…ということは、そこの位置からすると、俺を見ていた?
……ま、そんなわけないだろうが

「ミオ、話聴いているのか」
「…………聴いてましたよ、たぶん」

*

「火波先輩」
「うぇっ!?」

屋上に居た火波先輩の背中に声をかけると同時におどろいたのか面白い動きをした相手の様子を冷静に眺める。
振り返ってこちらを見ると驚いた様な表情で数秒間固まった彼女を、腕を組んだまま見据える。

「……どうか、しましたか」
「え、あ、いや……お前から話しかけるなんて珍しくってな」
「……補習」
「は?」
「俺が補習受けてるところ、見てましたか」

と単刀直入にきく、気になったのだ純粋に。もし仮に自分を見据えていたのだとしたら彼女は何かしら自分に用があったことになる
用があったのならそれを聴く必要があると思った。まぁ自分を見ていたわけじゃないとわかればそれで会話は終了するのだが。

彼女は、きょとんとした表情でこちらを見ると、落ち着いた彼女は声色で言った

「ああ、……ミオを見かけたからな」

あぁ、やはりあの時は自分を見ていたのか。それが事実だとわかった今やはり自分に何か用があったのだろうか

「俺に何か、用が?」
「え? 別になにもないけど」
「……用もないのに見てたんですか」
「悪いのか?」
「……いや」

眉間に皺を寄せる。正直理解できない、何故用もないのに自分をみるのか、自分にもし興味があったとして、補習をしているところなんて見てなんになるのか
目にとまる? とまるなんてことがありえるのだろうか、それさえ自分は理解できないわからない。

そんな自分の様子をわかったかのように彼女は目を細めさせた。それを見て自分の肩が小さく動いた

「特に用事はなかった、ミオを見かけたから見てた、それじゃ納得できないか?」
「……」
「別に理由なんていらないじゃないか、僕は、ミオの友達だと思ってる」

 驚きのあまり相手の言葉に思い切り振り返った。動揺の色が表情に明らかに出ていたのだろう、彼女が苦笑を浮かべているのがわかる。
 数秒間脳内が停止し、数秒後動き出してやっと正気に戻れた俺は。

 死ぬほど恥ずかしいということに気づいて、口元に手を当てた


――――――――――――――――――――――――――――――――――――
スゴロクさんの火波スザクさんをお借りしました

161鶯色:2011/01/27(木) 23:30:20
ウスワイヤの日常的な会話文です
家のユウトに加え、サイコロさんの森山修斗君、十字メシアさんのシノさん、スゴロクさんの蒼井聖さん、ネモさんの七篠獏也さんをお借りしました!

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「シュウトさーん!」
「ん?ユウトどうした?」
「勉強でわからない所があって…」
「俺がわかる範囲なら教えるけど、どんな問題なの?」
「これです!」
「…なにこれ」
「えっと、大学卒業レベルの地学って説明があったんですけどね、それでですね」
「ちょっとまって、大学の問題って言われてもな、俺には手に負えないよ」
「え?でもシュウトさんって今大学生くらいの年齢じゃ…」
「俺は大学には行ってないよ」
「えー、どうしよう」
「そうだ、あの人なら知ってるかも」

「お、シュウトじゃないっすか!」
「シノさん、ちょっと頼みたい事があるんですけど」
「どうしたんすか?」
「あの、勉強でわからない所があって…」
「ちょっと俺の手には負えないみたいで、シノさんならわかるかなって」
「あー、これっすか」
「わかりますか…?」
「うん、この前見た本に乗ってたから多分行けるっすよ」
「ほんとですか!」
「おっじゃあお願いしますね」
「はいはーい」

162鶯色:2011/01/27(木) 23:31:03
「よう、何しているんだ?」
「…ショウさんですか。今ユウトが勉強を教えてもらってて」
「ユウト?ああ、あの化け物か」
「何だって?」
「なんだ、本当の事を言っただけだぞ」
「彼は普通の人間です」
「ワーラットの血が混じっているのにか?」
「関係ありません」
「あるじゃねえか。人間とねずみのあいだに生まれて、その上2mはある化け物に変身する。
どこが化け物じゃないっていうんだ?」
「彼は望んでそうなった訳ではない!」
「どっちにしろ化け物なのには変わりないさ」
「ショウさん、いい加減能力者に対するその態度を直してくれませんか」
「異物に対して異物扱いすることの何が悪いと言うんだ」
「あんた、自分も能力者だというのによくそんな事が言えますね」
「能力者に未来は無い、だから俺らは抹消されるべき存在なんだよ。無論、お前もな」
「そんなものは極論にすぎない、あんたのような考えが無くなれば能力者だって!」
「人間と同じになれるか?それこそ戯言にすぎないだろう」
「ショウさん!」
「なんなら、今ここで目の前の異物を消してやってもいいんだぞ?」
「なっ、あんたがその気なら、俺も本気で…」
「お前達、少し頭を冷やせ」
「バクヤさん」
「バクのおっさんのお出ましか」
「ここはロビーだ、戦闘訓練の場所ではない」
「それなら場所を変えればいいんだな?」
「殺意が見える戦闘を黙認はできない」
「でも、バクヤさん!」
「今ここで戦うと言うのならお前達の意識を少し借りなければならなくなる。私もそれは避けたい」
「教官さんが言うなら仕方ねえな、わかったからその手を放してくれ」
「応」
「……」
「邪魔ものは退散するさ、じゃあな」
「………」
「シュウト、お前の言っている事は否定しない。だがショウの言っている事にも一理ある」
「だからって、ここにいる全員を否定するあの考え方には納得できません」
「そうだな」
「俺はこの場所での能力者たちの扱いに納得できたからアースセイバーに入ったんです、だから、
あんな扱いを強いるのは間違いだと思うんです」
「…応。だがな、そうも言っていられない時が来るかもしれない」
「…」
「私たちは一般人にとっては特殊な存在だ、だからその自覚を持たなければならない。お前にもわかるだろう?」
「それでも俺は…」
「俺は、自分の考えを曲げる事は出来ません」
「そうか」

「シュウトさん!さっきはありがとうございました!」
「俺は何もしていないよ、お礼ならシノさんに言いな」
「シノさんにはもう言いました、それに、さっきシュウトさん言ってくれましたよね、僕は化け物じゃないって」
「!!」
「あの言葉、すっごく嬉しかったんです。僕は中途半端な存在だから」
「…そうか」
「だから、ありがとうございました!」
(やっぱり俺はあの考えには賛同できないよ
だって、能力者だってちゃんとした人間なのだから)

-----------

163akiyakan:2011/01/27(木) 23:33:33
スゴロクさん>うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 作ったはいいけど放置プレイになってたコロちゃんが動き回っているうぅぅぅぅぅ!! スゴロクさん、感謝です!! ありがとうございます!!

164鶯色:2011/01/27(木) 23:54:13
まずはじめに、サイコロさん、スゴロクさん
お子さん方を喧嘩させちゃってすみませんでしたあああああ!
会話内容についてですが、私自身としてはどちらもある意味正しいんじゃないかと思っているんです
人間から見た能力者は聖さんの考え、同族から見た能力者は修斗君の考えがそれぞれ正しくて
でもこの二人がその考えをぶつけたらこうなるんじゃないかと思ったらつい…
どちらがどう、ではなくお借りしたお子さんたち全員への愛は詰め込んだつもりですっ

以下私信です
>しらにゅいさん
カイだ!カイがいる!w
カイはトキコちゃんのご察しの通り応用なしでは戦えない子なので大当たりですねえw
ありがとうございました!

>樹アキさん
ののかちゃんかわいいい!というか文章全体がかわいすぎますw
玉置先生や修斗君の時は心温まるけど全体はとっても切ない文章で…正直ツボでした(笑)
これからのののかちゃんも期待してます!

>akiyakanさん
まさかの超絶アクション!思わず見いってしまいました
シスイくんのアクションもさることながらその信念もとてもかっこよかったです!
お疲れさまでした!

>スゴロクさん
ハヤトおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
わあわあっ皆さんのお子さんたちの絡みでホクホクしていましたのに、まさかのハヤト!
唐揚げオンリー弁当とか若干の突っ込み属性とか全てがイメージ通りでした!
それにしてもスザクちゃんが可愛いなあ
ありがとうございました!

いつも皆さんの小説を見てホクホクしつつ、まとめを作れる事にひたすら幸せを感じている今日この頃です
これからも企画小説がどんどん増えていくといいなあ

165akiyakan:2011/01/28(金) 01:21:40
 スゴロクさん家の「火波スザク」をお借りしました!

「シスイ君、おっはよー!」
 背後からかけられた声に、俺は振り返った。
「誰かと思えば、コロネか」
「むー。挨拶されたら返さなきゃいけないんだぞ。小学生だって知ってる常識!」
「あー、うん。おはよう」
「うん、よろしい!」
 俺が素直に返事すると、にはっ、と目の前の少女は笑みを浮かべた。
 コロネ。目の前の少女の名前。ややマイペースな性格を除けば、どこにでもいるような、普通の少女。
 けど、その「中身」は決して普通の少女ではない。
 彼女はある一定の人間を、それ以外の人間と区別して見ている。区別と言うと大仰そうに聞こえるが、本人に言わせれば「なんか変わってる」という認識らしい。
 その認識に当てはまるのは、俺が尊敬するケイイチさんや、マサカズ、シゲヒロと言ったケイイチさんの友人。それに闇野光一、ハヤトと言ったウスワイヤ所属の学生。
 ここまで言えば、もう分かるんじゃないだろうか。コロネには、「特殊能力者と無能力者を見分ける力」があるのだ。
 こちらに背を向け、昇降口に向かって歩いていくコロネの後ろ姿を、俺は見つめる。その様子は本当に、どこにでもいる普通の女の子だ。
 「特殊能力者と無能力者を見分ける」。口にしてしまえば単純だが、恐ろしい力だ。その力があれば万人の中から超能力者だけを選び出す事が出来る。あたかも、何千何万という砂粒から砂金を見つけ出すかのように。ホウオウグループに彼女が捕らえられでもしたら、一体どうなる事か……俺には検討もつかないし、想像も出来ない。
「……出来れば、こんなところにいさせるよりも、ウスワイヤで保護した方が全然安全なのだろうけれども――ッ!?」
 そう俺が呟いた瞬間、チリリとこの場所に似合わない感覚が首筋を襲った。俺は思わず右手でそこを押さえ、背後を振り返る。
 いたのは、真っ白な髪と炎のような瞳を持つ長身の人物。学生服を着ているので一見すると男に見えるが、実際は女。
 火波スザク。彼女は端正な顔を歪め、俺を睨み付けていた。
「う……」
 蛇に睨まれた蛙の気持ちとは、こういう奴か。向こうはただ睨んでいるだけなのに、こちらはまるで炎の傍で直に立っているみたいだ。凄まじい殺気が、ジリジリと俺の肌を焼く。
「…………」
 スザクは俺を数秒間睨みつけると、昇降口を目指して歩き出した。まるで、何事も無かったかのように。
 ただ、
「……あいつに手を出したら、タダじゃ済まさない」
 それだけ、俺の耳元で囁いた。消えかけていた緊張がぶり返し、全身に脂汗が浮かぶ。
「…………」
 しばらく、その場から動けなかった。金縛りが解けたようにようやく振り返ると、現れたスザクに気付いてコロネが声をかけているところだった。先程までの表情が嘘みたいに、若干スザクの頬が綻んでいる。

166akiyakan:2011/01/28(金) 01:23:26
「……言われんでも、分かっているよ」
 コロネの能力は危険だ。ホウオウグループに渡れば、どんな悲劇をもたらすか分かったものじゃない。能力者狩りが始まり、そうして集められた力がホウオウの手先として使われるのだ。そうなったら、ホウオウグループは誰にも止められない。
 だがウスワイヤで保護するのも、それはそれで別の危険性を孕んでいる。
 ウスワイヤの基礎を作ったのはケイイチさんだ……けれども正直、俺はこのシステムにあまり賛成できない。何せ、超能力者であるならば問答無用に収容。仮に自由になれても、それはアースセイバーの一員として協力すると誓った場合だ。極端な話、「自由にしてやる代わりに協力しろ」と言っているように見えなくもない。
 異能者の存在がイレギュラーで、人間社会を「確実に」守る手段がそれしかない事も理解出来る……けれども、そんな組織がコロネと言う極めて特異な能力者を手に入れたら、一体何をするか。それは目的が違うだけで、ホウオウグループがやる事と変わらない。
 能力を悪用する奴はもちろんいる……けれども、多くの能力者は自分に与えられた能力に苦しみ、人生を狂わされたような奴がほとんどだ。その中には、能力を二度と使用しない誓いを自ら立て、一般人としての幸せを手に入れようとしている奴もいる。
 ……けれどもウスワイヤにとってそんな個人の感情は関係無い。あそこが守っているのは個人の幸せではなく、社会の秩序なのだから。
 だから俺は、コロネが特殊能力者である事に気付いてからも彼女の事をウスワイヤに伝えていなかった。
「……ヒーロー失格ですかね、アキヒロさん」
 思わず自嘲気味に、俺はポツリとここにいない人に向かって呟く。
 俺はアースセイバー所属の調査員。けれども、俺がやっている事はその役目に反した行いだ。
「でも……俺はこれが正しいんだと、信じています」
 組織の言い成りになって動くのなら、人間じゃなくてロボットでも出来る事だ。
 「正しい」のは、そうじゃない。人間は、自分が正しいと思った事をするからニンゲンなんだ。
 だから俺は、自分の行動に胸を張る。
「よっし!」

 さぁ、顔を上げよう。
 今日もまた、掛け替えの無い「日常」が待っている。

167紅麗:2011/01/28(金) 02:52:52
>樹アキ様
あ、あああ!ここにもまた娘がいる!
ありがとうございます!
ゆいちーに笑いましたwww皆可愛いなぁ(^p^)

168紅麗:2011/01/28(金) 02:56:08
今回は我が家のユウイとリオトの小説を…
ツッコみどころ満載です!
しらにゅい様のトキコをお借りしました!
口調等、おかしかったらすみません(泣)









今、オレはユウイと一緒に下校をしている。
途中で買ったクレープを幸せそうに頬張る彼女。
…あぁ、なんて可愛いんだろう!
「……ねぇ」
「ん?」
「じろじろ見すぎだってお前…なんか恥ずかしい!」
「あぁ…ごめん」
どうやらオレは無意識のうちにユウイを見つめていたらしい。
俯きクレープを食べながら顔を紅潮させた彼女を見て抱きしめてやりたい衝動に駆られるも、ここはぐっと抑えた。

そのまま歩いていると、前方からガラの悪い金髪色黒な男達が歩いてきた。
嫌だなぁ、なんて思いながら足を進めているとユウイが突然ドスン、とオレの後ろの方で尻餅をついた。
アイツら、ガラの悪い男達の一人が彼女にぶつかったのだ。
「……って…」
「ユウイ!大丈夫か!?」
オレは座り込んでいるユウイの傍へと膝をつき、あのガラの悪い奴らへと目を向けた。
奴らは「ごっめ~ん」等と悪びれた様子もなく、こちらに見向きもせず立ち去っていく。ゲラゲラという下品な笑い声が腹立たしい。
「っ…アイツら…」
「いーよリオト、あんなのどこにでもいるだろ。…あーそれよりもクレープが…」
ぱんぱんと埃を払いながら立ち上がったユウイは、生クリームがはみ出て無残な姿になったクレープを見て大きな溜め息をつきがっくりと肩を落とす。
そんな彼女の表情を見て、オレはいてもたってもいられなくなった。
「…オレ新しいの買ってくるから、ここで待っててくんねぇ?」
「え?でも…悪いし…」
「……スペシャルを買ってやろうと思ってたんだけど」
「おkボス!了解しやした!」
びしっと敬礼をしたユウイ。そんな子どものような彼女の頭を撫でた後、オレは走り出した。
勿論、あの男共の所に。

169紅麗:2011/01/28(金) 02:57:15






「さて、と…じゃあ本題に入る」
あのチンピラ共に追い付いたオレは、此処、廃ビルへと奴らを連れ込んでいた。勿論チンピラは不機嫌そうに舌打ちをしている。
「……ユウイに謝れ」
「はぁ?…あー…さっきの女か。あれなら謝ったろ?」
「あんなのは謝ったなんて言わない」
「んのガキ…あんまり調子こいてるとぶっ殺すぞ!!」
このチンピラ共のリーダーと思わしき人物が、ポケットからナイフを取り出してきた。
…そんなもので怯えるとでも思っているのだろうか。 オレは持っていた鞄から彫刻刀を取り出す。
「なんだぁ?やんのかぁ?」
「………」
「……!?」
そしてそのまま彫刻刀を自分の腕へと突き刺した。痛みは走るがこんなぐらいなら直ぐに抑えられる。
言うまでもなくチンピラ共はオレの行動に目を丸くしていたしていた。
その後響いた首領の笑い声。

「ぶっ、あはぁはははは!!!コイツ頭いってんじゃねぇの!?自分でぎゃああああああっ!!?」

だがそれは直ぐに悲鳴へと変わる。首領の腹には赤色をしたナイフが突き刺さっていた。
そのまま地面へと崩れ落ち、のたうち回る。
取り巻きである男達も悲鳴を上げた。

──…耳障り

そう思ったオレは彫刻刀でさっき作った腕の傷を更に深く大きくして、ぶん、とその腕を振った。
直後に飛んでいった血の刃は、取り巻きを一気に始末する。
もう此処にはオレとこの首領だけしかいない。
「……最後に一つだけ言っとく」
「あっ、がぁああ!!や、やめ…てくれ…」

「アイツに触って良いの、オレだけだから」

──そうだ、オレはユウイがぶつかられたから怒ったんじゃない。オレは、ユウイの身体が他人に触れることが嫌だったんだ。
チンピラへの言葉が終わると同時に、赤い血と肉が弾け飛んだ。

170紅麗:2011/01/28(金) 02:58:21

酷く風変わりした廃ビル。 壁には大量の血がこびりついている。その中に自分の血液も含まれていると考えてみると、ふっと笑みが溢れてきた。

「うっはー、派手にやったねぇ」
突如背後から聞こえた陽気な声。こんな現実離れした場所でこんな声が出せる人物などアイツしかいない。
「……トキコ」
「んもー、片付けるの大変なんだからねー?それに、あんまり殺しすぎると怒られるよー」
「…悪い、気を付ける」
チンピラの血肉を踏みながらオレの方へ向かってくるトキコ。
オレがこの後誰に会いに行くかはもうお見通しらしく、包帯をぽいっと投げてくる。
もう血の塊で塞がっている傷の上から包帯を巻いた。
「…リオ君さー、もしあの人にユーイちゃんを殺せ、て言われたら、殺せる?」
「っ…お前……っ!」
「ふふっ」
トキコの言葉でオレは目を見開きガラにもなく慌ててしまった。
…後悔した。これではもう答えを言っているも同然じゃないか。
そそくさと彫刻刀を鞄へとしまいその場から立ち去ろうとした。

「あ、ちょっとリオ君!これどーするの!?」
「お前が片付けて」
「えぇ!?なんでよぉー!」

171紅麗:2011/01/28(金) 03:02:12


「あ、やっときた!」
「ごめんユウイ…あのクレープ屋すっげぇ並んでて…」
「でも買えたんだな!ありがとリオト!」

あの後オレはユウイの為のスペシャルクレープを買い、ユウイのもとへと急いだ。並んでた、なんて嘘に決まってる。
クレープを受け取った彼女は、笑顔でそれにかぶりつく。
やっぱり子どもみたいだ。
──ユーイちゃんを殺せる?

ふとあの時のトキコの言葉が頭に浮かんだ。
…言ってしまえば、答えはNOだ。ユウイを殺せるわけがない。
でも、あの人を裏切るようなことはしたくない。もし…もしあの人からそんな命令が出たらオレはどうするんだろうな。

「……リオト?」
「え?」
「またぼーっとしてる。どうした?」
「あ、いや…別に」
「そっか、これ一口食べるか?めちゃくちゃ美味しいぞ!」
「…じゃあ頂きます」
「………あ。お前一口でそんなに食べんなぁっ!」


終わり


─────
え……ヤンデレ?
あはは、そんなわけないじゃないですか……すみません。なんだか私が小説書くともう悲惨なことにぃい!
そしてしらにゅい様!私最初でトキコちゃんを呼び捨てにしちゃってました…すみません!(汗)

172スゴロク:2011/01/28(金) 14:12:05
>十字メシアさん ごめんなさい、「ユズキ」を忘れてましたぁぁぁ!!
せっかくお借りしたのに最後の紹介に書いてなぁぁぁい!! 
すみませんでした・・・。お借りしたのは総勢19人です、ハイ。

ちなみに「一条寺 正人」も私のキャラですが、まだ詳細設定ができてません。
早めに考えて企画スレに書きこみたいと思います。

173しらにゅい:2011/01/28(金) 20:02:09
うおぉお!?いつの間にこんなに盛り上がってたんですか!?
なんだか祭りに乗り遅れたような気分・・・←
感想とか小話とか書きたくて、家に帰るまでうずうずしてましたww
よっしゃぁ書くぞぉぉぉ!!


>>138 ののかちゃん可愛いよののかちゃん!そしてうちの保健医を使ってくださって
ありがとうございます!・・・にしても修斗君、凄いかっこよくて羨ましい←
誰じゃののかちゃんをいじめる奴は・・・こんな子をいじめるだなんてけしからん!(#´ω`)
早くののかちゃんの心の氷が溶けます様に・・・。もちろんその辺りの話もあるわけ
ですよn(ry
>>159 やっぱりののかちゃん可愛い(ry
トキコと合いそうですね、ほのぼの的な・・・あ、こっちはほのグロか←
ののかちゃん、是非クラスメイト全員にあだ名を(ry

>>140>>147>>148
 4コマシリーズ面白いです!というかショウ君の影の薄さwwwいいんだか
悪いんだかよく分かりませんが、でもひとりは必ずいそうですよねこういう人!(ぇ
是非ともその4コマのほうも見てみたいです~w

>>141 きもいぞ言い寄ってきた男www
ですね、テスト絡みじゃないと普通に仲良さそうですw
凪ちゃんのデレデレ可愛らしい・・・(*^ω^)ポッ

>>142 シスイくんかっけぇぇええ!!戦闘シーンのある話は、やっぱり読んでて
燃えますね!完璧に打ち負かすのも良いんですが、このお話みたいにピンチになって
発想の転換の末勝利・・・ていう展開も大好きです!うぉぉおお!!よくやったぁぁ!!
ってついつい画面の前で思わず(ry
>>166 シスイくんなりの出来る事は十分良いことなんだよ!って言ってあげたくなる
話でしたねwこの話から察するに、スザクさんは学校におけるバランサーみたいな役
ですかね~・・・うん、凄いかっこよかったです←

>>150 まず一言、お疲れ様でした!!スゴロクsの文章力も凄いと思いますよ!w
総勢19人のアナザーキャラを使いこなすとは・・・!企画主としてはまさにこのような話を
見てみたかったわけで、凄いを通り越して感動にしてますっ(*´ω`)
だが きかくぬし には ぶんしょうりょく が なかった ! ▼←
トキコがまさにトキコそのままだったと思いますwwwというか、トキコとスザクの
関係が理想的すぎてニヤニヤしてしまいましたwこんなおちょくってみたかったんですよ!
はい!すいませんでした!!orz(ぇ
玉置まで使ってくださるとは・・・これはアンサーせずにはいられない!

>>156 スイネー!!俺だー!!斬ってくr(ズバシュッ
ホウオウグループ時代のスイネちゃんはまさに生き人形という感じですね・・・´`
最後の少年は・・・あの人ですね、自称救世s(ry

>>160 あれ・・・ミオちゃんも可愛い・・・だと・・・?こんなやりとりしてみたいわー!!←
だるだる~な感じのキャラって結構好きだったりしますwww

>>161 わいわいな雰囲気にすげぇ混ざりたくなった・・・!シノさんに勉強教えて貰いたい
ですわ~´`*そしてほのぼのだけでなくシリアスも味わえるとは!ウマウマ・・・(ぇ
恐れずにどんどん書くべき・・・って私が言うべき台詞じゃありませんがwwでも鶯色sの
キャラに対する愛はしっかりと伝わりましたよー!

>>168 ここでもトキコが!もう嬉しくて狂喜乱舞しちゃいますよ!!ww
・・・ってそんな話じゃなくて・・・ヤンデレリオトくんですか!?(ぇ
しかしちょっとボロが出てしまったようで・・・リオトくん、トキコ(の中の人)に
ボロ見せちゃ駄目だよ!弄られるよ!w←
それにしてもユウイちゃんかわゆいなぁ*´`

174しらにゅい:2011/01/28(金) 20:07:36
「とーりさん、とーりさん。」
「………」
「とーりーちゃーん?」
「………」
「………スザクちゃん。」
「名前を呼ぶな。」
「あはは、やっと反応してくれたー。」
「なぁトキコ、頼むから僕の周囲半径1m内に入らないでくれ。」
「やだ。」
「やだ言うな。」
「なんでなんで!?わたし鳥さんのことこんなにも好きなのに!」
「気持ち悪…」
「え?」
「お前がそうやってベタベタくっついてくるから、ののかに仲良いと勘違いされるんだろうが。」
「いーじゃん、むしろ見せびらかしてやんよ!」
「………」
「私と鳥さんとの愛は永遠なのだー!」
「(殺したい、マジで。)」
「でも鳥さんは正人くんのことが好きなんだよねー?」
「な…」
「いいなぁ、正人くんは鳥さんに想われててー…邪魔しちゃおっかな?」
「(邪魔してるだろ、何度も…!)…はぁ・・・やめろ、正人が迷惑するだろ。」
「でも、恋路って邪魔されたほうが燃えるって雑誌に書いてたよ?」
「何の雑誌だよ。」
「シックスティーン。こちらが現物でございます。」
「うわぁ…」
「鳥さんも女の子だったらルックスー、とか、スペックー、とかこれ読んでセンス磨かないと!はいあげる!」
「いや、いらな」
「いいから受け取る!」
「……えー…」
「何話してるの?」
「あっ、スイネー!あんねあんね、今鳥さんの恋愛相談受けてるの!」
「は?!」
「へぇー、そうなんだ…ね、私も混ざっていい?」
「いいよー!」
「え、ちょ、」
「鳥さんのハジメテの恋愛だから、色々アドバイスしてあげて!」
「いや違」
「うん、まぁ、私が力になれるかどうか分からないけど・・・あはは」
「スイネは美人さんだから大丈夫だよ!」
「おい、トキ」
「それで、相手は誰なの?」
「んとねー、ま」
「人の話を聞けぇぇええええ!!!」










ガールズトークin教室
「恋愛相談」

「それで、スザクさん…その人の体型はずばり筋肉質ですか?」
「いや、違うから。」
(何この子目がギラギラしてて怖い。)

175しらにゅい:2011/01/28(金) 20:12:51
「…相変わらず、ショウさんのいるところはギスギスしてますねぇ。」
「シズネ、今日は担当日じゃなかった筈だが…」
「はい、そーなんすが中で飼ってるニーナちゃんに餌やりにきたんですよ。」
「…ニーナ?」
「ロシアンブルーのメスネコちゃんです、…あれ、ニーナぁ?おかしいな、いつも呼んだらすぐ来るのに…」
「どうしたんすかタマちゃん!」
「あ、チャド、この前預けた子猫なんだけど…」
「あの子猫ちゃん?」
「そうそう、」
「あー・・・あの子なら、昨日外に出かけたっきり帰ってきませんでしたぜ!」
「ちょっ、おまぁぁあ!?!それ俗に言う脱走ですけどぉおお!?」
「………?」
「…ああ、チサトか。ここ辺りで灰色の子猫を見なかったか?シズネの猫らしいんだが、
チャドが誤って逃がしてしまったらしい。」
「………」
「見てない…そうか。」
「に、ニーナ…僕の、…おれ、の…ニーナ…」
「タマちゃん、そこまで落ち込む必要はありませんぜ?きっと今頃ニーナは自由を満喫しているはず……」
「……!」
「なんだ、騒々しいぞ。」
「俺の…ニーナ…が…」
「…ったく、バクのおっさん、また“あれ”か。」
「覚醒寸前、といったところだな。」
「めんどくせぇな…これだから能力者は…」
「……あ?てめぇ、今なんつった…?」
「……・・・」
「まずっ…タマちゃん覚醒したぜ!?」
「これだから能力者はめんどくさい、と言ったんだが?」
「てめぇのその堅物の頭のほうがよっぽどめんどくせぇんだよ…開いて解剖してやろうか?
ロクなもん詰まってなさそうだがなぁ。」
「シズネ、その沸点低さは直せ。ここで保護した能力者達が怯えて、ウスワイヤの評判が落ちるだろうが。」
「るっせぇな!その前にてめぇのその悪人面切り刻んで整形してやろかぁ!?あぁ!?」
「シズネ!」


にゃーん


「「「「「………」」」」」

「…!ニーナ!今までどこ行ってたんだい!?」
にゃーん
「駄目だよ!外はただでさえ危険が多いのに…あぁ、でも無事でよかった!
ショウさん、ありがとうございます!」
「…あぁ…」
「さ、ニーナ。餌あげるからこっちにおいで?」
にゃーん









ウスワイヤに訪問中
「覚醒寸前」

「…いっつも見てるけど、やっぱりタマちゃんの切り替わりはすげーぜ…」
「………」

176しらにゅい:2011/01/28(金) 20:21:02
すっきりィィィ(*´∀`)ィィィイ

というわけで、トキコとタマキそれぞれ一本ずつ投稿させて頂きました!
使用キャラは以下のとおりです!

>>174 火波スザク(スゴロクさん)、スイネ(サト様)
>>175 チャド、チサト、七篠獏也(ネモさん)、蒼井聖(スゴロクさん)

どちらともややキャラの口調が不安です・・・というかチャド、「ぜ」しか言ってない。
どこぞの白黒魔法使いよろしくと言わんばかりに「ぜ」しか言ってない!
しかも聖さん、喧嘩売ってすいませんでした。タマキの代わりに全力土下座させて
頂きますorz最後はどうなってんの、と解説させて頂くならば、いなかった筈の猫が
聖さんの頭の上に乗ってたんです。ドーン!とぶつかる瞬間にその姿が視界に入り、
覚醒モードがオフになったと。・・・はい、この解説も自己満です、どう見ても(ry

さあ次のターゲットはののかちゃんとリオトくんかなぁフフフ(*^ω^)w

177スゴロク:2011/01/28(金) 21:21:26
なんか、私の作品が物凄い反響ですね。これは予想外。

>>158 紅麗さん 喜んでいただけたなら幸いです。実は、一度「メモ帳」に書いて、それをコピペして投降したんです、はい。

>>159 樹アキさん 「しゅざくっち」……思わずニヤリと笑ってしまいますね、その愛称は。トキコはやたらスザクに付きまとうんで、そう見えたのかもですね。
ちなみにスザクがトキコを嫌いなのはホウオウグループだからじゃなくて、単に性格の相性が最悪なだけです。
あと、なぜか「朱鷺子さん」を見ると別のキャラを思い出す不思議。

>>160 闇音流さん ミオサイドの話ですね。スザクを見事に表現してくれてどうもです。出自が出自だけに、「友達大事」なんですよね。

>>161 まさかの聖さんですね。ちなみにそこまで能力者を毛嫌いするのはワケがありまして……。
ヒントを言えば、聖の能力はいわゆる「特殊能力」とは違うんですよね。

>>163 最初に書いた「蒼崎 啓介のある一日」に引き続き二度目のコロネちゃんです。とにかく使いやすいんで。
これからもどしどし使わせていただきたいです。

>>164 鶯色さん イメージ通りでしたか!! それはよかった、本当によかった。いやー、設定や有さんのイラスト見るとそういう印象しかなかったもんで。

>>165 akiyakanさん 登校直後の一コマですね。この日はいつもの女子制服がクリーニングに出したままだったので、余計気が立っていたと言う裏設定が。

>>173 しらにゅいさん 実は私、会話文だけで表現するのが滅茶苦茶苦手でして。夢はずばり、トーキングを自分で書いて見ること! ……挫折しましたが。
ちなみにトキコとの関係についていくつかシミュレートしたところ、なんとどれもこれもスザクがヤンデレ化! なぜだ……?

>>174 こっちはスイネが出てますね。会話ネタ使おうと思ったら先にコラボされました(
正人君ですが、こちらにはちょっと凄い設定がつきました。

>>175 そしてこちらは聖さん。玉木先生の変貌ぶりが凄い……。
聖さんスーツにサングラスですからね、そりゃ悪くも見えますよ。……どうでもいいですけど、何で自分のキャラなのに「さん」づけなんでしょう?
あまりに自然で違和感がない……。

拙作にここまで感想や関連を頂けると、本当に嬉しいです。次は戦場でお会いしましょう……フフフ。

178akiyakan:2011/01/28(金) 23:56:53
 麒麟と朱雀

 俺にとって、学校とは青春を過ごす場所であり、友と夢と馬鹿を語り合う場所であり、先生に怒られながら成長する場所であり、

 そして、守るべきかけがえのない場所である。


 昼休み、俺は屋上からぼんやりと外の景色を眺めていた。少し間を空けて、隣に火波スザクの姿がある。
「なぁ、スザク。最近起きている失踪事件について、何か知らないか?」
「さぁ。僕は特に知らないなぁ」
 そう言って、スザクは首を振った。嘘をつく理由はないので、本当に何も知らないのだろう。
「どうしたんだ、一体?」
「いや、最近妙な噂を聞くものだから」
 その噂によれば、最近町に怪物が出没するらしい。
 
 ある人は女の上半身を持つ蜘蛛のようだったと言い、
 ある人は人の形をした蝙蝠だったと言い、
 ある人は巨大な鰐のようだったと言う。

 どの証言もてんでバラバラ。
 しかし、一つだけ共通している事がある。どの怪物も姿は似ていないが、「夜に現れ」、「人を襲っていた」という事だ。

「んー、知らないなぁ……」
「と言うか、君はこんな眉唾な話に耳を傾けないでしょ」
「まぁね。だけど、それは君にとっても同じ事だろ?」
 そう言うと、スザクは俺の方に首を向けた。
「君が気にするのだから、何かあるか?」
「……昨日の事なんだけどさ」

 昨日の事。ストラウル跡地で巨大ロボット(ギルギガントと言う名称らしい)と戦った俺は、本部に連絡して後始末の為に何人かアースセイバーのメンバーに来て貰っていた。事故の痕跡を消したり、ギルギガントの部品を回収したり、かなり忙しそうだった(俺は怪我人なので、安静にしていろと言われた)。

 と、そんな時だった。調査員の一人が、現場近くで何かを発見したのだ。

 そこにあったのは、違法投棄された産業廃棄物の山だった。ゴーストタウンとなった跡地には滅多に人など来ない。臭い物に蓋をするなら、打ってつけと言うわけだ。

「それだけだったら、この話はここで終わりなんだけどね。産廃に埋もれていた物が問題だったんだ」

 調査員の目に入ったのは、産廃の山が崩れて露出した、「ある物」の一部だった。その調査員が言うには、それはある種の培養器、或いは生体ポッドに似ていると言う話だった。場所が場所なので、俺達は産廃を退けて何が埋もれているのか確認する事にした。

「それで?」
「その調査員の見立て通り。出てきたのは全長五メートルもある培養器。それも、ホウオウグループ製のね」

 培養器には、しっかりとホウオウグループのエンブレムが刻まれていた。まさか同じ日にこれを二度と拝む事になるとは、俺自身思っても見なかった。

179akiyakan:2011/01/28(金) 23:58:13
「中には、何が入っていたんだ?」
「何にも」
「え?」
「空っぽ。何も無かったのさ、これが」
「何だ、つまらない」
「……ただ」
「ん?」

 カプセルは開いていた。それも、「内側」から無理矢理。「外側」からではなく「内側」からだ。それも、カプセルが開いたのはつい最近の事だと分かった。

 カプセルの「中身」は、自力でカプセルを破って外へ出たのだ。

「ホウオウグループ製のカプセル。最近起きてる失踪事件。そして、巷を騒がせる謎の怪物……」

 気にならない? そう、俺はスザクに言った。

「……なぁ、前から気になっていたんだけど」
「ん?」
「君は、なぜ僕にそういった話を持ちかける? アースセイバーの所属なら、話しかける相手が違うんじゃないか」
「確かに、俺はアースセイバーの所属だ。話をするなら、同じ組織の仲間って言うのもよく分かる……だけどスザク、君は「アースセイバーじゃない」。だからアテにしている。君なら、アースセイバーにはない情報も知っているからね」

 そう。スザクはスザクで動いている。その結果、アースセイバーの活動では手に入らない情報を彼女は知っている事がある。そのおかげで解決出来た事件が過去にもあるんだ。だから俺は、彼女をアテにしている。

「なるほど。筋の通った話だ」

 納得したのか、僅かにスザクの表情が和らいだ。それが俺には、彼女が笑っているように見えた。

「……ホウオウグループではかつて、生物兵器の研究も行われていた」
「生物兵器?」
「ああ。と言っても、生物兵器は運用の面で難がある。幾度となく失敗したし、作った傍から廃棄処分なんて言うのもよくある話だった……そのカプセルとやらも、もしかしたらその関係かもしれない」
「なるほど、生物兵器か。巨人や神を作るところだ、あそこならやりかねない……ありがとう。参考になった」

 俺は礼を言うと、出口へと向かう。時間的にそろそろ五時間目が始まる頃だ。教室に戻らないと、委員長にどやらされる。

「シスイ」
「ん?」

 出際に、スザクに呼び止められた。

「それで、お前はどうするんだ?」
「……失踪事件は警察の管轄。だけど、その犯人が怪物だって言うのなら、それは俺の仕事だ」

 グッ、と、俺は拳を握り締める。

「俺がこの手でぶっ潰す」
「……なるほど、君らしい答えだ……だけど、残念なニュースがある」
「何?」
「その台詞、ケイイチを意識したのだろうけど……全然似合ってない」
「おい!」

 ※前回に引き続き、スゴロクさん家の「火波スザク」をお借りしました!

 ※シスイが年上であるスザクを呼び捨てにしているのは、彼が仕事中に何度か共闘した経験を持っているからです。

180スゴロク:2011/01/29(土) 03:22:26
>akiyakanさん おおっ、スザクとシスイですか。スザクは元ホウオウグループという経歴かつ独自行動ですから、意外と色んなこと知ってるんですよね。うまく使っていただいてありがとうございます。
それと、昨日の今日ですが、なんかノリにノッちゃって止まらなくなったので私もまた一つ。
狂気と翼のオラトリオ、ってことで。時間軸は「朱雀と麒麟」から数日後ということで。


いかせのごれ高校用務員、桐山 貴子は戦慄していた。
なぜなら、目の前にある男がいたからだ。
鋭い緑の瞳、背中まで伸びた黒髪。
ホウオウグループ開発部―――――ゼア。

「どうも、3年ぶりですか? お元気そうで」
「―――――!!」

丁寧な物腰で話しかけられた瞬間、全身がこわばって動かなくなった。抗えない恐怖によるものだ。
トキコとの話でちらりと出たのだが、この男、能力者らしい。ただの一般人に過ぎない自分など、塵と変わりない。
そもそも、なぜゼアがこんな所――――いかせのごれ高校まで堂々と現れたのかが疑問だった。
その理由は―――思い当たる節があった。しかし、それは当の本人から否定された。

「そう警戒せずに。私がここに来たのは、何も報告を止めているあなたを粛清するためではありません」

気付かれている――――それがわかり、喉がからからに乾く。しかし、ゼアの方は全く意に介していない。

「不思議ですか? フフ、トキコと言い、あなたと言い、我々を……なにより、あの方を甘く見過ぎですね。その程度のことは、既にわかっているのですよ。この学校だけでも多くの潜在能力者が存在し、なおかつ、あなたもトキコもそれを故意に報告していないことを」
「そ、れは……!」
「言い逃れは出来ませんよ? まあ、だからと言って、あなたをどうこうはしませんが」
「なぜ……」

聞いてしまってからしまった、と思った。それで相手の気が変わったらどうするのだ。
戦慄する貴子の前で、しかしゼアは言う。

「あなたは末端の構成員に過ぎず、しかも取り立てて能力を持たない平凡な人間。我々はその程度の人員なら確保の当てはいくらでもあります。ならば」
「ならば……?」
「わざわざあなたを殺すという、無駄な手間をかける必要はありません。放っておけばいいのです」

見逃されている。その事実にやっと理解が及び、タカコはへなへなとその場に座り込んでしまった。それを見降ろし、開発部の男は呟く。

「離反するならご自由に。もっとも、その後の居場所があるかは知りませんが」
「!!」
「理解したようですね。では、これにて」

言うだけ言って踵を返し、さっさとその場を立ち去るゼア。残されたタカコは、静流が通りかかって声をかけてくれるまで、その場を動くことが出来なかった。

181スゴロク:2011/01/29(土) 03:23:08
「鳥さん、とーりさん、あーそーぼっ」
「だから、何で僕が……」

教室で席に座る僕は、いい加減しつこいトキコのアプローチに辟易していた。何だって僕にここまで関わるのか。

(なあ、わかってるのか? 僕はお前の敵なんだぞ?)
(違うよ~。鳥さんは友達だもん)

どこがだ、と言おうとして止めた。学校にいる時のトキコは、一人の学生に過ぎないからだ。それ以外で何をしているのか、僕は知らない。
ホウオウグループとして動いているのかもしれないが、単独行動をしている以上調べる方法がない。この時ばかりは組織に属していないことが痛い。シスイ当たりに訊いて見ようか?
知りたい。何をしている? どこにいる? 何を考えている? 何がしたい? 何がほしい? 何が望みだ?
僕は、お前を――――。

「ッ!?」

慌てて思考を中断した。――――僕は、今、何を、考えていた?
ふと気付くと、体にかかる重みがない。振り向くと、トキコは既にスイネやののかとガールズトークに花を咲かせていた。

「……こうして見てる分には、普通の子なんだけどなぁ」

その裏に隠れた狂気を知る僕としては、どうにも警戒が解けない。そもそも何がしたいのかさっぱりわからない。
僕の恋路を邪魔するかと思えば、時に人を巻き込んで応援しようとする。ホウオウグループである以上敵―――そう断ずるには、トキコはあまりに不可解な存在だった。
どうするにしても、彼女の動向やその裏の真意を知らねば対応にならない。そのためにも目が離せない。離すわけにはいかない。離したく――――。

「……待て。どうしたんだ、火波 スザク。お前は何を考えているんだ」

妙な方向に跳びそうになった思考を引き戻す。というか、トキコを警戒するだけのことに、何でこんなに理由が必要なんだ。殺意すら抱くほどの相手をここまで気にする理由は何だ。

「……敵、だからだよな」

それしか浮かばなかった。――――この辺にしておこう。どうも今日は調子が変だ。
この後は音楽の時間だ、ネイロの演奏でゆっくりと癒されるとしよう。



――――素直な人は長生きする。誰かがそう言っていた。
だから私は、鳥さんが好き。強いし、面白い。何だかんだ言って、学校の中では決して手を出して来ないし。
笑顔も泣き顔も悪くないけど、一番好きなのは鳥さんの怒った顔。ぶつけられない怒りが高まるのを見るのは、何となく楽しい。

「んん~、たまには自分で探してみるもんだね~」
「? トキコさん、何か言いました?」
「なんにも~」

首を傾げるスイネちゃんを軽くかわして、再び話に戻る。目の前のこの子もそうだけど、素直な人はいい。下手に意地を張る人はつまんない。リオ君もそうだった。
この間、ユーイちゃんにぶつかった不良を皆殺しにした後のリオ君に言ってあげた。

『…リオ君さー、もしあの人にユーイちゃんを殺せ、て言われたら、殺せる?』

そしたら面白いぐらいに詰まってた。正直だといいことあるよ、きっと。
……まあ、その後の片付けと証拠隠滅やらされたのはちょっとあれだけど。

「……それにしても」

このいかせのごれ高校は、ちょっと妙だ。悪夢持ちだけでも20人を軽く越えてるし、それ以外含めれば全校の4割近く能力者がいる。タカコか私が報告すれば真っ先にアイ辺りが動きそうなものだけど、その気配はまったくない。

「……なんか、別の用事かな?」

ま、考えても仕方ない。グループの一員って言っても、私は特段重要な事を知らされてるわけでもないし、今まで通り楽しい事でも探そうかな。……と思ってたら鳥さんいなーい!!

「鳥さ~ん、待ってよ~」

さっきまでのことはすっかり忘れて、鳥さんを探して走る。

182スゴロク:2011/01/29(土) 03:24:13
いかせのごれ高校訪問から数日たった夜。私は今、ストラウル跡地の「アンバランスゾーン」にいる。
目的は、ここの地下にある「ボルカノン」の予備機の移送。そして、姿を消した実験体の始末。

「意外と不甲斐なかったですね、バツ」

既に死んだ……否、姿を失ったかつての同僚に呟く。一号機を任された身でありながら、あっさりとアースセイバーの者に倒されたという。私は映像でしか見ていないが。

「部長も今はいませんし……再開発するとなれば私の仕事ですか。やれやれ、機械関係は専門外なのですがね」

誰に何にか呟きつつ、操縦席に乗り込んでモードを切り替える。元々この機体はバツの能力「マンダラオペライズ」を前提に設計されたため、それ以外の人間は手動で動かすしかない。あいにく私にはそんな技能はないので、助っ人を連れて来てある。

「スキュアロウ、お願いします」
「任せな。キヒヒ……」

スキュアロウ・バルカンチ。元自衛隊と言う異色の経歴と、六つの腕という異形の姿を持つ新入り。本来水中戦担当なのだが、兵器の扱いにもそれなりに秀でるため、ホウオウ様に願い出て連れて来たのだ。
運転はこれでいいとして、問題は外。アースセイバーにも目をつけられているポイントだけに、警戒はし過ぎるということはない。ましてや、先日暴走したギルギガントを撃破されているのだ。

(あれは痛かったですね……戦力としては大きかったのですが)
「リイ、どうですか」
『……誰もいません。出すなら今です』
「わかりました」

外で見張りをしているリイに確認を取ると、どうやら誰もいないらしい。好都合だ、今の内に運び出すとしよう。攻撃するならともかくとして、移動するなら夜。幸い終電までにはまだ時間があるが、ゆっくりはしていられない。

「行くぜ、ゼアぁ?」
「どうぞ」

車両先端のライトがともり、続けてそれを乗せるレールごとゆっくりと上昇を始める。やがてそれは、跡地近くにある廃棄されたポイントに接続される。

「リイ、乗りなさい」
「はいっ」

外で見張りをしていたリイを乗せ、右手で指示を出す。それに伴い、ボルカノンはゆっくりと前進を始めた。やがてスピードが見る間に上がり、ガタン、ガタンと規則正しい揺れと共に、列車は爆走を始める。

(この分なら、アンバランスゾーンをすぐに抜けられますね)

そう思った矢先だった。全周モニターの中に、接近して来る一機の戦闘機が映ったのは。

183スゴロク:2011/01/29(土) 03:25:22
「おい、どういうことだよ、シスイ!! 何で今頃ボルカノンが!!」
「知らないって!! とにかくホウオウグループなら止めて、倒す!!」

ラー・プロトタイプΣに乗る僕達は、眼下を疾走する連結型装甲戦車「ボルカノン」を追撃していた。かつてケイイチが倒したはずの敵だ。
操縦を担当する都シスイと、隣に座る闇野 光一が言い争っているのを横目に、僕は隣にいる人物を何とも言えない目で見ていた。

「トキコ。どうしてここにいるんだ」
「鳥さんこそ何でいるのー?」

この機体はウスワイヤで管理されているシスイ専用機であり、トキコはホウオウグループ。つまり、下で走っている電車を持つ連中の仲間だ。何をしに来たのか……。

「妨害か? それなら僕は容赦をしない」
「鳥さん追いかけてただけだよ? そしたらこうなっちゃった」

――――今一つ信用し難いが、トキコはよくも悪くも裏表がない。黙っている事はあっても嘘はつかないから、ひとまずここは信用しておくことにした。

「で、鳥さんはどうしているの?」
「玉木先生の口添えとシスイの頼みだ。それに、ホウオウグループとあれば僕が行かないわけにはいかない」

幼少の一時期とはいえ、僕は彼らに身を寄せていた。これはせめてもの罪滅ぼし―――そして、「奴」を見つけ出すための一つ。もっとも今回来たのは、何度か共闘したシスイへの助力でもある。
幸いと言うか、後部に座る僕らの会話は前の2人には聞こえなかったらしく、自分たちの話をしている。

「見つけたはいいが、どうするんだ?」
「ケイイチさんの時と同じだ、まずは……えわっ!?」

突然機体が激しく動いた。揺さぶられてトキコに覆いかぶさった僕の耳に、遠くから轟音が響いた。

「撃って来たぁ!?」
「わかってたけどやっぱり戦闘用か!! ならば!」

ガシャン、と音。続けて、

「くらえ―――――っ!!」

シスイの叫びと共に、閃光が立て続けに走る。見下ろすと、列車に次々と穴があいて行く。が、先頭車両に弾丸が差しかかった途端、甲高い音を立てて跳弾した。

「き、効いてない!?」
「前と同じだ、通常の弾丸じゃダメだ!! バスターキャノンを使うぞ!!」

光一の宣言に伴い、機体の一部が展開して砲塔に変わる。と思った次の瞬間、そこから光条が放たれる。トキコがのんきに「わぁー」などと感嘆しているが、それはひとまず無視。先頭車両に狙い違わず直撃した光は、

「「!!」」

しかし数秒後、まったく効果のないまま無効化され、四散する。

「これでもダメか!?」
「くそっ、ケイイチさんはどうやってあれを引っ繰り返したんだ!!」
「記録じゃ、ミサイルをうまく誘導したってなってるが……」
「無理だ、俺にそんな腕はない。どうすればいいんだ……」

嘆くシスイだが、向こうは攻撃の手を休めてはくれない。ミサイルをバルカン砲で撃ち落としながら追いかけるが、これでは埒が開かない。逃げ切られてしまう。僕の能力では、ここからじゃどうしようもない。

「まずいぞ、外に出られる!!」

光一の切羽詰まった叫びが響いた、その時だ。


不意に、ボルカノンが浮いた。

184スゴロク:2011/01/29(土) 03:26:02

シスイのそんな声が響いたと思った次の瞬間、ボルカノンは走っていた勢いそのままに大クラッシュを起こし、横転・脱線して停止した。
何が起きた、と僕達が空中で停止したΣから地上を見渡すと、

「あっ、アラタだ!!」
「え?」

思わず覗きこんだその先には、月明かりの下に佇む少年がいた。視線を移すと、ボルカノンが浮いたちょうどその場所に、五芒星型の巨大な盾が斜めに展開されていた。あれで脱線させたのだろう。
呆然としている僕達のもとに、さらに通信が入る。

『シスイ、光一、無事? アラタは間に合ったみたいっすね」
「「シノさん!?」」

モニターに映ったのは、茶色の長い髪を、後ろで一つに束ねている若い女性だった。僕も以前見たことがある。
「知識の悪夢」によって森羅万象を見とおす頭脳を得た、ウスワイヤの「歩く図書館」こと、シノさんだ。

『ボルカノンが突然現れたって報告が入ったから、まさかと思ってアキヒロさんに言ったけど、本当だったとはなー。ともかく、無事なら何より』
「すみません、わざわざ。それより、この後は?」
『Σを降りて迎撃態勢。第二形態が来るっすよ』

まさに、その時だった。横転していた先頭車両が展開・変形し、側面から六つの足を出現させて跳躍、地面に降り立った。

「出やがったか……」
『多脚型高機動戦車「ダルセノン」。防御性能はさっきまでと同じだから、まずはΣから降りて戦うこと。光一の能力が攻撃の要になるから、気をつけて』
「了解!」
「よし、降りるぞ!」

言うが早いか、Σは全速で後退を始める。廃ビルの陰に降り、そこから一気に飛び出す算段だ。ただ、問題が一つ。

「……トキコ。お前はどうする」
「んー?」

こいつだった。仮にもホウオウグループである以上、邪魔をしないとは思えない。

「僕たちと来るのか?」
「もうちょっと考えてから決めるー」

話にならない。とりあえず、邪魔になるならまとめて倒す、ということだけ決めて、シスイ達について外に出る。
ガシャガシャと音を立て、ダルセノンが振り返った。



「アースセイバーが2人、いや3人……それに……フフ、因縁ですね」
「ゼアよぉ、そろそろやっちまうぜ?」
「まあ待ちなさい。少し話がありますので。……出ます」

言い残して飛び降りようとしたが、リイが話しかけて来た。

「待って、私も行きます」
「リイ、それはいけません。確かにあなたは『ナイトメアアナボリズムの悪夢』によって強力な戦闘力を持ちますが、いかんせん実戦経験が足りなすぎます。まして、今回は集団戦です」
「で、でも」

言い募ろうとするリイを制止し、さらに私は続ける。

「それに、悪夢……即ち『過ち』を吸収しているということは、それだけの数の『夢人』があなたに繋がりを持っているということです。残念ですが、あなたを実戦の場に出すのは現状、リスクが大き過ぎるのです。わかって下さい、リイ」
「……はい」

沈鬱な顔で、リイが俯く。不憫だとは思うが、こればかりは納得してもらうほかない。

「あなたの仕事はここまでです。『転送の悪夢』で先に帰っていなさい。任務のことを聞かれた場合、私に振るように言っておくことです」
「はい……」

頷いたのを確認し、私は窓からさっ、と飛び降りた。

185スゴロク:2011/01/29(土) 03:26:33
「!」

ダルセノンの窓から飛び降りて来た人物を見て、僕は瞠目した。それは、僕にとって因縁の姿だったからだ。

「ゼア……」
「お久しぶりです、スザク。求める答えは見つかりましたか?」
「あいにくと、まだだ」
「そうですか。フフ、それは残念ですね」

欠片もそんなことは思っていない口調で、ゼアは言う。
この男は、僕が4、5歳の時からホウオウグループにいるのだが、どういうわけか、あれから10年以上経つというのに容姿がまったく変わっていない。それに、ここに出て来た理由もわからない。こいつは開発部所属で、しかも生物兵器が専門だった。戦闘力はなかったはずだ。それなのに、なぜここに?
だが、それを見透かしたかのように、若き天才は嗤う。

「なに、あれから力を手に入れたのですよ。少しばかり、扱いづらいですがね」
「力、だと?」
「ええ。まあ、詳しくはこれからお教えしますよ。……スキュアロウ、戦闘開始です」
『キーッヒヒヒヒ!! 行くぜ、行くぜ、行くぜェェェェェッ!!』

突然、そんな声が響いた。と思った次の瞬間、ダルセノンが一気に跳躍した。そして、空から声が降る。

『スタービングチルドレン、ってかぁ!! キヒヒヒッ!!』
「「「!!!!」」」

戦慄が走った。クラスターミサイルの掃射攻撃だ。まずい。あれをまともに喰らっては終わりだ。

「危ないっ!!」

線路の上にいたアラタが立て続けに星型の盾を飛ばし、ギリギリで全弾防いでくれた。だが、肩で息をしているのを見ると、負担が大きいようだ。当分は戦えないだろう。

「くっ、これ以上は!!」

腕を一振りし、真紅の龍義剣を呼びだす。「龍義真精・偽」が発動し、目の端に映る髪が真っ赤に染まる。
いざ、戦闘開始――――!!


「おらあああっ!!」

先手を打ったのは光一だった。ダルセノン目掛けて両手からレーザーを乱射する。しかし、それは割り込んで来たゼアによって止められた。―――その手から広がる、緑色の鏡によって。

「龍義鏡!? まさか……!!」
「フフ、そのまさか、です。これが、私の『悪夢』ですよ」

最悪だった。能力があるのだろうと予想はしていたが、よりによって「龍義真精の悪夢」とは。僕の「偽」は根源が違うため効くだろうが、オリジナルと同じスペックであろうあの力と真っ向からぶつかれば負ける。
しかも、ダルセノンを同時に相手取るとなると勝率がガタ落ちする。ケイイチですら一対一で苦戦したと言うのに、他に敵がいるとなるとなおさらだ。

「どうしました、もう終わりですか?」

くつくつと、ゼアが嗤う。

「では、こちらからも行かせてもらいましょう」

そう言って構えた両手の間に、光の球体が発生する。――――龍精落!!

「砕け散りなさい」

瞬間、光の渦が放たれる。距離が災いした。避ける暇も、避けようと考える暇も、なかった。
――――だから、助かったのは、あいつのおかげだった。

「ふっふふ~」

楽しそうに笑顔を浮かべている、トキコ。拳を突き出している。
意外そうにそちらを見ている、ゼア。トキコが砕いた瓦礫の破片を受け、額に一筋、血が流れている。
そして、光の渦はあらぬ方向に逸れ、廃ビルの上層を粉砕していた。

「何をするんですか」

かける問いは意外そうに、

「邪魔したの」

返す答えは楽しげに。

「なぜ、そんなことを?」
「だって、鳥さんが死んじゃったら、毎日つまんなくなるもん」
「なるほど」

同じホウオウグループであるはずのトキコの妨害にも、ゼアは何ら動揺していない。むしろ、それが当然であるかのような余裕さえ浮かべている。その意味をはかりかねていると、

「あなたが何をしようと自由ですが、さすがに任務の邪魔をされては困りますね。少し遊んであげましょう」

言って、腕を一振り。龍義剣が展開され、緑色の刀身が力強く輝く。――――勝負所、ということなのか。
同じ事を考えたのは僕だけではなかったようで、光一とシスイがそちらに行く。

「おっと、その子だけじゃねえぜ」
「能力があったとは知らなかったが、助けてくれた以上は味方だ。好きにはやらせない!!」

アースセイバーの2人が、トキコをかばうように立ち塞がる。しかし、

「あなた達の相手は別にいますよ。――――スキュアロウ、その2人をよろしく」
『キヒヒッ、おーうよ!!』

今になってやっと落下して来たダルセノンを、間一髪で2人がかわした。そこから突撃を開始した虫型戦車を迎撃しつつ、2人はだんだん遠ざかって行った。
そして、残ったのは3人。

「さて、始めましょうか」
「言われずとも!」
「いやっほー♪」

186スゴロク:2011/01/29(土) 03:30:25
ゼアとの戦いは、まさに死闘と呼ぶべき代物だった。
開発部所属ゆえに身体能力こそ然程ではないものの、悪夢によって再現された龍義真精がそれを完全にカバーしていた。
龍義剣同士が打ち合い、弾かれる。トキコがそこ目掛けてダッシュをかけるが、ゼアは近距離から完璧なカウンターを繰り出して吹き飛ばしてしまう。

「トキコ!」

叫んでから驚いた。なんで、僕は敵のはずのトキコを心配してるんだ?

「人を心配している場合ですか、スザク」
「ッ!」

気付いた時には龍精落が襲いかかって来ていた。全力で横に跳躍し、かわす。僕の龍義鏡はオリジナルと違い、物理攻撃を弾き返す代わりに炎や水などを素通りさせてしまう。つまり、真反対の性能なのだ。
よしんば跳ね返せたとしても、龍精落ではサイズが違いすぎて無理だが。

「避けましたか。では」
「ゆっだん大敵~!!」

躍りかかったトキコの蹴りが側頭部に炸裂し、ボールのようにゼアの体が跳ね転がった。並大抵の人間ならあれで即死するはずだが、相手はホウオウグループの幹部クラスレベルだ。
果たして、ゆっくりと立ち上がる。

「むう、セットが乱れます」
「あれ~? 効いてない?」
「十分効きましたよ。一瞬意識が飛びました。ですが、まだまだですね」

ちっとも効いているようには見えない態度と口調で、悪夢の龍を従える男が嗤う。

「では、こちらからも行きましょうか」
「来い……ッ!!」

一気に間合いを詰めて来たゼア目掛け、僕もダッシュをかける。そこからは熾烈な剣戟の嵐。
龍義剣と龍義剣が火花を散らし、常人には視認すら難しい速度で閃き、乱れ舞う。
普通ならここでどちらかが力尽きるところだろうが、僕には奥の手があった。
空いていた左手を振り、そちらにも赤い刃を現出させる。ここに来て初めて、ゼアの顔に僅かながら驚愕が浮かんだ。

「む!?」

「おおおおおおっ!!」

龍義剣二刀流――――僕の切り札の一つだ。ゼアの悪夢はオリジナルを完璧に再現しているが、それは裏を返せばオリジナルの弱点をそのまま引き継いでしまっているということだ。僕の「偽」はパワーこそ劣るが、反面オリジナルにない様々な「応用」が効くという利点がある。そして、その一点において、僕はゼアを上回っていた。

「ちいっ!」

猛攻に耐えかねたか、ゼアがバックステップで距離を取ろうとする。しかし、既にその後ろにトキコが回りこんでいる。気付いた時には対処の時を逸していた。

「てぇりゃー!」

両手で繰り出した大雑把なパンチが、自分から突っ込む形になってしまったゼアの背に直撃する。骨の折れる嫌な音と共に、

「む、おおっ!?」

その体が思い切り吹き飛んだ。そしてその前に、僕は既に「溜め」を終えていた。
――――決める!!

「終われッ!! 龍・精・落―――――ッ!!」

生命力を媒介に威力を倍加させ、真紅の奔流を放つ。
体勢を立て直そうとしていたゼアは、その奔流の中に呑み込まれていった。

187スゴロク:2011/01/29(土) 03:32:10
「……やれやれ、ここまでやられましたか」

全身をエネルギーの奔流にさらされ、ボロボロになったゼアには、もはや戦う力は残っていないと見えた。
僕としては、直撃を受けて生きているのが驚きなのだが。

「……偽とはいえ、龍義真精じゃトドメを刺しきれないのか」
「さて、どうですかね」

この期に及んで、ゼアの態度からは余裕が消えていない。だが、もはや勝敗は決した。
先ほど、向こうの方から大爆発の音が聞こえた。どうやら、シスイ達もやったらしい。
とはいえ、僕もトキコももはや余力がない。

「ボルカノンは爆散しましたか……スキュアロウは脱出したようですね。任務失敗ですか……」

そのまましばらく黙考した後、ゼアはすっ、と身を起こした。

「この場は退きましょう」
「逃げるのか、ゼア」
「ええ。この場でやられてしまっては、また『姿を成す』までに時間がかかりすぎますからね。またお会いしましょう。――――狂夜、頼みます」

そう言った途端、ゼアの姿が消えた。ハッとして廃ビルの一つを見ると、月光を背に佇む一人の男の姿があった。そして、その男はこちらを一顧だにしないまま、ゼアを抱えて何処かに逃げ去った。

「……勝った、か」
「勝った、勝ったー。鳥さん強ーい」

僕自身疲労困憊だったが、まだ何とか動ける。対して、隣のトキコは地面に転がり、まったく動けないようだ。
「破壊衝動(ブレイクダンス)」……どうやら、ゼアのカウンターによるダメージが意外と大きかったらしく、戦闘が終わったことで高揚でフォローできなくなったようだ。

「……トキコ、一つ教えろ」
「なーに、鳥さん?」
「何で、僕を助けた? ゼアはお前の仲間だろう?」

末端に近いとはいえ、トキコは純然たるホウオウグループの一人。ゼアに手をかけるということは、完全な反逆だ。大丈夫なのか、と一瞬思ったのは絶対に気のせいとして、とりあえず聞いて見る。

「仲間だよ? でも鳥さんと遊ぶ方が楽しいしー、ゼアの言う事は難しいしー」
「………」
「それにー、鳥さんが死んじゃったらホントにつまんないしー」
「………」

何も言わず、トキコを抱き上げる。

「ほえ?」
「じっとしてろ。家に送ってやる」
「ホント? ありがとー、鳥さん」
「勘違いするな、お前のためじゃない」

それだけは釘をさしてから、僕は腕の中の少女を見降ろす。

「理由や経過がどうあれ、お前は僕を助けてくれた。その借りは返す」
「律儀だねー」
「性分だ。……ところで、お前の家はどこだ」

考えて見れば、僕はトキコの家を知らなかった。しかし、

「トモコ先生の家の近くー」
「…………」

予想外の答えが返って来た。………学校からならともかく、ここから向かっていては夜が明けてしまう。
仕方がない。

「……非常に不本意だけど、僕の家に泊めてやる。文句は言うなよ」
「鳥さんの家!? わーい、スイートタイムだー」
「待て! なんでそうなる!?」

あーだこーだと騒ぎながら、僕はふらふらと家路についた。



なお、シスイ達はΣのシステムに不備が起きたらしく、野宿する羽目になってしまったのはここだけの話。

188スゴロク:2011/01/29(土) 03:32:54
数日後。

「とーりさーん、あーそぼー」
「……」

いつもの如く跳びついて来るトキコに、僕は答えを返さない。

「あれー、どうしたの?」
「……トキコ、大丈夫なのか」

そんなことを口走ってしまっていた。しかもなぜか抑えが効かない。

「大丈夫って?」
「仲間に手を上げただろう。何かなかったのか」

思わず口調が暗くなるが、トキコはいつもの如く明るい。

「何にもなかったよー。それよりあそぼー?」
「……」

無邪気なものだ。狂気と紙一重とは思えないほどに。その手で命をいくつも奪ったとは考えられないほどに。
僕は、トキコが嫌いだ。トキコがやって来たことを、許さない。
だから、言う。

「トキコ」
「んー?」
「一つだけ、言っておく。お前はいつか、僕の敵になるのかもしれない」
「しれないねー」

その無邪気な笑みに、僕は冷たい笑みで言う。


「その時――――お前を殺すのは、僕だ。だから、アースセイバーにも、ホウオウグループにもやられるな。もう一度、言う。お前の命は、僕がもらう。他の誰にも、渡さない」


「………」

しばらくぽかん、としていたトキコだったが、ややあって笑みを浮かべる。先ほどまでとは質の違う、明らかな狂気の笑みを。

「いいよー? その代わり、その時に鳥さんを殺すのは私だから。だから、他の誰かにやられちゃやだよ?」
「言われるまでもない。お前を殺すまで、誰にもやられるものか」

相容れない。だけど、分かりあえないわけではない。
「その時」、君の命をもらう――――その一点において、僕らは分かりあうことが出来る。
予鈴が鳴る。ののかに呼ばれ、トキコが慌てて席に戻る。
その背を見送る僕の胸中には、正人に向けるそれとは違う――――敵意混じりの歪んだ愛情が、芽生えていた。



「手加減などするものではありませんね。おかげで負けてしまいましたよ」

某所。包帯だらけのゼアは、百済小学校に潜入している幹部を訪ねていた。――――アイ。
今は「ミズハ先生」を演じている途中のようだ。

「ふん、開発担当が出しゃばるからだ。龍義真精が使えるからと言って、いい気になるな」
「ごもっとも。これからは大人しくしているとしましょう」
「物分かりがよくて結構。ところで何の用だ? 見物に来たわけでもあるまい」
「ええ。ホウオウ様から、トキコに関する命令を承って来ましたので」

主の名を出した途端、アイの表情が変わる。命令を待ちうける、駒のそれに。

「……トキコだと? 奴のことで? あの方は、何と」
「『為すがままに任せよ』と。つまりは、好きにさせておけ、とのことですね」
「……どういうことだ? 奴はお前の任務を妨害したはずだろう。なぜ処分されない」
「さて、そこまでは。我らが神の心を測るなど、人の身ではとても」

答えを返しかねているアイに一礼し、ゼアはさっさとその場を去った。


(さて、スザク。あなたが奴……「異能殺し」を見つけるのが早いか、我々が企図を成就するが早いか。ここからは競争です。スタートダッシュが、肝心ですよ)


――――それもまた、日常の一コマ。

189スゴロク:2011/01/29(土) 03:33:28
というわけで、今回はスザク&ゼアが主役のダブルキャストでお送りしました。お借りしたのは名前のみ含みで、遊び盛りの学生 Lv15さんの「ゼア」、サイコロさんの「桐山 貴子」、十字メシアさんの「シノ」、想像者さんの「闇野 光一」、akiyakanさんの「都シスイ」、しらにゅいさんの「トキコ」と「玉木 静流」、砂糖人形さんの「ネイロ」、紅麗さんの「榛名 有依」・「高嶺 利央兎」、樹アキさんの「緑音 ののか」、サトさんの「スイネ」、アルファルグ・フォーデスさんの「スキュアロウ・バルカンチ」、くわいさんの「アラタ」、プランクトンさんの「七谷 狂夜」となっております。総勢13人+本編キャラ1人ですね。


やっぱりというかスザクが……。2人の関係はこの先、少なくとも表向きは何も変わりません。水面下でどう変わっていくのか……まだ私にも予想がつきません。だって、スザクを考えた時はこうなるとは思わなかったものですから……。

>アルファルグ・フォーデスさん スキュアロウの使い方はこれでもいいんでしょうか? 他に兵器に長けたホウオウグループキャラが見当たらなかったもので。

>遊び盛りの学生 Lv15さん ゼアの一人称や口調のデータがなかったので、イメージで描きました。これでよかったでしょうか?

190サイコロ:2011/01/29(土) 04:32:49
うおぉぉぉぉ!
シュウトが!ショウゴが!タカコが!キイチが!
とても良いストーリーばかりでうれしいです…

>>121 スゴロクさん
まさかのショウゴ誤射ww
しかしこのシリアス展開…

>>138 樹アキさん
シュウトのフォレストマジック!
おんなのこは げんきになった!
優しいシュウト、イメージどおりです!

>>150 スゴロクさん
不憫なショウゴww設定では3年の彼ですが
スザクやトキコの教室に遊びに来てたんですかね?

>>152 スゴロクさん
キイチ初登場!
これで小説に出て無いキャラが居なくなった・・・!

>>161 鶯色さん
おおおぉぉぉぉ!シュウトがアツい!カッコイイ!
優しさと信念と正義感・・・
ストーリーが良くてキャラが生き生きしてますよ!

>>180 スゴロクさん
ナ、ナンダッテー!
まぁ絶対者を名乗るだけあって
あの人にはお見通しなのかもしれないですね…。
しかしどんどん追い込まれてくタカコ・・・!どうなるのか・・・!?

191akiyakan:2011/01/29(土) 10:37:46
溜まってた返信を、ここで一気に!

>>164 鳶色さん>
シスイ初登場と言う事で大暴してもらいました(笑)。ジャンプの読み切り漫画みたいのを意識しています。盛り上がってくださったのであれば、すごく幸いです!

>>173 しらにゅいさん>
ナイアナ本編のダルセノン戦を意識しているので、ピンチからの逆転と言う構図を取っています。シスイの能力は単独だと身体強化が主なので、逆に言えば一人で戦う時は知恵を武器にしなければいけないと言う……

スゴロクさん家のスザクはいいキャラですよ! なんかついつい頼りたくなりますもん(笑) 姉御ー! みたいな(笑) シスイが彼女をアテにするのも、「頼りになる」って言うのが実際のところだったりします。

>>173 スゴロクさん>
どうぞどうぞ! ガンガン使っちゃってください!

なんと、そんな裏設定がwww こちらの不手際で記述ミスをしたのに、フォローしてくださりありがとうございますー

>>180 あ な た が か み か

 まるでナイアナ本編第十六話、第十七話を彷彿とさせる展開! なんかシスイ用にラーまで作られてるwww 色んなキャラ総勢で、ニヤニヤが止まりませんでしたw ありがとうございますー!

192スゴロク:2011/01/29(土) 11:28:05

>サイコロさん 使えるキャラは基本的には使いたいですから。

ショウゴがいた理由ですが、登校してからスザクの顔を見に来てたからです。実はスザク、1年留年してるので(

>akiyakanさん いやいや、元の原因は私ですから。ちなみに「Σ」ですが、オティさんの企画メカなんです。

スザクが頼りになりますか! ではバシバシ使ってやって下さい。

193akiyakan:2011/01/29(土) 14:30:42
※前回スゴロクさんが書いた作品のシスイ側の話です。
※想像者さんの「闇野光一」、スゴロクさんの「火波スザク」、しらにゅいさんの「朱鷺子」をお借りしました!

 狂気と翼のオラトリオ  光と麒麟の戦い

「は? ストラウル跡地でまた異変?」

 アキヒロさんからの電話に、思わず俺はそんな反応をしてしまう。

『ああ。それも、ホウオウグループが動いているかもしれない。エネルギーサーチが反応しているんだ』

 ホウオウグループは規格のエネルギー資源をあまり使用しない。使うのは独自の物で、アースセイバーで使用されているサーチャーはそれに反応するように出来ている。少し前にはケイイチさんがそれを頼りにボルカノンを発見し、破壊に成功している。

「そうですか……分かりました、すぐに向かいます!」

 携帯の電源を切り、ポケットにしまう。俺はすぐさま、人気の無い場所へと移動しようとした。

「おい、シスイ。仕事か?」
「え、スザク?」

 一体何時からそこにいたのか、振り返るとスザクが立っていた。

「ああ、そんなところ。ストラウル跡地でなんか起きているらしい」
「だったら、僕も手伝おう」
「え?」

 思わず俺は聞き返してしまった。スザクは怪訝そうな顔をしている。

「……なんだよ」
「だって、スザクから仕事を手伝ってくれるなんて、今まで一度も無かったから……」

 確かに俺達は、今までにも何度も共闘している。けれどもそれは、成り行きであったり止む得ずであったり、何より俺が勝手にスザクを手伝った場合がほとんどだ。彼女から手伝いを申し出てくれるなんて……

「なんだ? 君は僕に手伝ってほしくないのか?」
「いやいやいや、そんなそんな! 君が来てくれるなら百人力だ! だけど……」

 本当にいいのか? そう思ってしまう。俺は仕事だが、彼女は彼女で暇ではない筈だ。

「気にするな。それに、たまにはこういうのも悪くはないだろ?」

 彼女にしては珍しく、悪戯っぽい笑みを浮かべて見せた。それに釣られたのか、俺の頬も緩んでしまう。
 俺は嬉しかった。明確に、スザクからの信頼が感じられて。

「よし! それじゃ、行こう!」

194akiyakan:2011/01/29(土) 14:32:47
向かったのは、廃工場だった。天井が落ちて吹き抜けになっている。

「ストラウル跡地に向かうんじゃないのか?」
「ああ。だけど、念には念を入れて……」

 戦力はいくつあっても問題無い。俺は携帯電話に特定の番号を打ち込む。
 すると、少しして何かが飛んでくるような音が聞こえてきた。それはやがて俺達の頭上まで近付き、やがて黒色の戦闘機が目の前に下りてきた。

「これは……」

 スザクの口から、驚いたような声が漏れる。
 ラーのプロトタイプΣ。実験用のデータ収集を兼ねて、任務で使用する際には俺専用機として使わせて貰っているものだ。

「遠隔操縦なんて、そんな機能があったのか?」
「いや、後で付けてもらった。一々ラーを取りにアースセイバーまで行くのもなんだし、かと言って学校の近くに隠しておくのも問題だからね」
「なるほど」

 さぁ乗り込もうと思ってハッチが開けるが、俺はその瞬間かたまってしまった。なぜなら、無人の筈のラーに人が乗っていたのだ。

「光一!? 何でお前が乗ってるのさ!?」

 乗っていたのは、黒いくせっ毛の髪を持つ一人の少年だった。闇野光一。所属はウスワイヤであるが、俺の仲間に違いはない。何度か共闘した事もある。

「定期検診でウスワイヤにいたんだが、アキヒロさんから呼び出しを受けてな。お前を手伝えって言われた……って、何でスザク先輩とトキコが一緒にいるんだよ」

「……はい?」

 一瞬、俺は光一が一体何を言っているのか理解出来なかった。
 何でスザクが一緒にいる? それは分かる、ここまで一緒に来たんだから。
 けど、「何でトキコが一緒にいる?」。何で、ここにいない人間の名前が出てくるんだ。

「はーい。それはー、私が鳥さんについて来たからでーす」
「!?」

 俺とスザク、二人が硬直した。恐る恐る振り返ると、そこには場違いな笑顔を見せている一人の少女の姿が。

「トキコ!? 何でお前がここにいるんだよ!?」
「え? 一角君、聞いてなかったの? 私は鳥さんに――」
「いや、そうじゃなくて……」

 なんてこった。まさか、一般人にこんな場所を見られるなんて……後でバク教官にどやらされるぞ……

「大丈夫だ、シスイ」

 思わず頭を抱えそうになった俺に、スザクがそう言ってきた。え? と思って顔を上げると、彼女は何だか複雑な表情を浮かべていた。

「こいつは問題無い。ここで起きた事を他言するような奴じゃない」

 そうだよな? とスザクが問いかけると、トキコはうん♪ とやはり場違いな声で反応する。

「私はここで起きた事、何にも言わないよ。だって、私も誰かに言われたら困るもん」
「……だろうな」

 あ、あれ? 心なしか、スザクとトキコの間で火花が散っているような……

「おい、時間がないんだ。とにかく乗って現場に行かないと」
「あ、ああ、悪い」

 光一に急かされ、俺達はラーに乗った。トキコは置いていこうと思ったが、いつの間にか乗り込んでいて、スザクの隣を陣取っている。

「しゅっぱつしんこー!」

 トキコの明るい声が、ラーの室内に響く。

 どうしてこうなった。俺は光一と顔を合わせると、疲れたようにため息をついた。

※尚、トキコがシスイを「一角」と呼んでいるのは、シスイの能力=「麒麟」=「角を持つ獣」という理由からです。

195akiyakan:2011/01/29(土) 14:34:50
 ――そんなやり取りがあったのが、少し前の事。今となっては過去の話。

「くらえ!」

 光一が光を放つ。しかもただの光じゃない、熱量を持った強力な光線だ。
 しかし、目の前の多脚型高機動戦車――ダルセノンには全く効いていない。表面が焦げ付くものの、中まで届いていない。

『ヒャハハハハ! なんだ、その攻撃は!』

 ダルセノンのパイロットが笑い声を上げる。向こうはダルセノンを空高く跳躍させると、ダルセノンの「腹」に当たる場所から無数のミサイルを放ってきた。

「スタービングチルドレンか!?」

 俺はミサイルをかわし、光一はレーザーでミサイルを撃ち落すようにして攻撃を避ける。

『どうした、アースセイバーの諸君? お前らの実力は、そんなものか!』

 自分の優位を信じて疑わないのだろう。俺達を挑発する声には、ありありと余裕が見て取れる。
 それも当然か。こちらの攻撃は全く向こうに通用していないのだから。

「まさか、ケイイチさんが戦った相手と戦う事になるとはな……」

 ダルセノンは、少し前にケイイチさんと戦った相手だ。その時に既に破壊され、残骸はアースセイバーに回収されている。
 ……迂闊だった。ダルセノン自体は兵器だ。操縦者さえいれば、何度だって現れる可能性がある。一度倒されたからと言って、対策や傾向を調べなかったのは失敗だった。

「くそ、頑丈な上に機動力、攻撃力まである……厄介な相手だ!」

 光一が善戦してくれているが、それも何時まで持つか。ナイトメアアナボリズムは超能力の中でもよく分かっていないタイプの能力だ。使い過ぎでどんな反動が起きるか、分かったものではない。

「…………」

 俺はダルセノンの攻撃を掻い潜りながら、奴の弱点を考えていた。
 相手は違うが、「内容」はこの間のギルギガントと同じだ。敵は強い。だけど、完璧ではない。絶対に。

「ケイイチさんのラーに記録されていた情報を思い出せ……何か、どこかに付け入る方法がある筈だ」

 今回は、圧倒的に前回と比べて状況がいい。光一が注意を引いてくれているおかげで、俺は冷静に考える事が出来る。

「ギルギガントは人型だったけど、こっちは蜘蛛みたいな形だ……」

 ギルギガントは人間の形をしていた。だから、そのモチーフである人間と同じ弱点が備わっていた。だけど、ダルセノンは蜘蛛型だ。足一本壊した位では、その動きは止まらないだろう。

「無人、有人……そうか!」

 俺はハッとした。何でこんな簡単な事に気付かなかったんだ!

「光一、コクピットだ! 搭乗者を狙え!」
「それをさっきから探しているんだ! 一体どこに――」
「奴の正面! 電車の操縦席があるところと同じ場所だ!」
「よし……!」

 光一が身構えた。それに合わせて、彼が合わせた手の間に光が集約していく。最大出力で放つ光一のレーザーには、現在なら加粒子砲に匹敵する威力がある。そいつを叩き込めば、装甲は無事でも中身が無事でいられるわけがない。

 だけど、一つだけ欠点がある。攻撃を使用する為に、少しの間攻撃のチャージ時間が必要だ。

 だから――

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 「天子麒麟」、最大出力! 全身にありったっけの強化効果を施し、俺はダルセノンに向かっていく。今度は、俺が囮になる番だ。

196akiyakan:2011/01/29(土) 14:35:22
強化のおかげで、体が軽い。ダルセノンの足元を掻い潜りながら、俺は敵をかく乱する。向こうは俺を踏み潰そうとするが、それよりも早く俺は動く。

『チィ、ちょこまかと……』

 苛立つような相手の声が聞こえると、ダルセノンの体が空高く舞い上がった。

『そらぁ!』

 ミサイルが飛んでくると思って身構えた俺だったが、何かが肩を掠め、それが服ごと俺の皮膚を切り裂いた。一体なんだと思って見上げると、飛んで来るのはミサイルではなく光の弾丸だった。

「光子砲!? こんなものまで持っているのか!?」

 まずい。ミサイルならともかく、光子砲は弾速が尋常じゃない。ケイイチさんならともかく、俺にはこの攻撃を防ぐ手立てが無い。

「ぐ――はっ!」

 物陰を利用しながら、俺はひたすら逃げ回る。その逃げた後を、次から次へと光の雨が降り注ぎ、貫いていく。

『どうした、どうした!? さっきまでの威勢はどこへ行った!』
「くっそ……」

 チラ、と光一の方へと目を向ける。手の中に納まった光の加減から、完全にチャージが済むまでまだ少しかかるようだ。

「まずいな……あんまり防戦一方だと、向こうが攻撃対象を光一に移しかねない……」

 意を決し、俺は物陰から躍り出る。直後に、頭上から光の雨が降ってくる。何発か体を掠めたが、無視。

「ピョンピョン跳ねやがって――」

 着地したダルセノンに飛びかかる。その頭上に乗り上がると、俺は思いっきり拳を振り上げた。

「じっとしてろ!」
『うぉお!?』

 バァン、と言う凄まじい音が辺りに響き渡った。装甲に傷こそ付けられなかったが、俺の拳が生み出した衝撃はダルセノンを地面に叩きつけるには十分な威力があった。

「今だ、光一ぃ――!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 狙うなら、今しかない。そう思ったら、光一の準備が済んでいるかどうかなど考える暇はなく、条件反射的に叫んでいた。
 光一が手をダルセノンに向ける。次の瞬間、目も眩むような光の帯が、ダルセノンに向かって伸びていった。

『うおぉぉぉぉぉぉぉ!?』

 パイロットが声を上げる。ダルセノンの装甲は予想よりも硬く、最大出力のレーザーにまだ耐えている。直撃部分から火花を上げているが、コクピットはまだ壊れていない。

197akiyakan:2011/01/29(土) 14:37:15

「まだ足りないのか!?」

 一瞬勝利を確信しただけに、俺は焦りを覚えた。このままでは耐え切られる。
 見れば、光一は顔中に汗を浮かべ、歯を食いしばってレーザーを放ち続けている。もはや光一は限界だ。ここで倒せなければ、俺達に勝ち目はない。

「……だったら……!」

 俺は光一に近付くと、「天子麒麟」のオーラをレーザーの発射基点に当てた。何事かと思って、光一が顔を上げる。

「何をするつもりだ!?」
「俺の能力は、本来何かを強化する事に特化している……身体強化は、その副産物でしかない!」

 そう。俺の能力は、俺自身を強化するのが正しい使い方じゃない。本来の用途はもっと広く、様々なモノを強化・増幅する事なのだ。

「天子麒麟のオーラを浴びたものは、一時的にその力が増幅される。だから、こいつを使って光一のレーザーを強化する!」
「わ、分かった!」
「歯ァ、食いしばれ! でかいのがくるぞ!」

 俺は光一に注意を促すと、ありったけの力をレーザーに注ぎ込む。と、その瞬間、レーザーの光が一気に膨れ上がった。

「な――」

 叫ぶ間も無く、俺達は反動で吹っ飛ばされた。ぐるぐる回る視界の中で一瞬、とんでもない太さにまで威力が上がったレーザーが、ダルセノンに直撃したのが見えた。

 閃光、爆発。顔を上げると、破片を撒き散らしながら爆発するダルセノンが見えた。

「か、勝ったのか?」

 隣で倒れている光一が、信じられないものでも見るようにダルセノンの方を見る。俺は声も出せず、頷いて肯定するしかない。

 俺達二人はすっかり放心していた。ダルセノンに勝てたからではない。自分達が生み出した力の大きさに驚いて、だ。
 訓練や何やらで、俺は一応自分の能力について知っていた。だが、ここまで何かを増幅したのは初めてだった。もしかしたら、必死にやったせいで俺も光一もパワーセーブがおかしくなっていたのかもしれない。

 と、その時、燃え盛るダルセノンの上方ハッチが開いた。

「な……!?」

 その姿を見て、俺も光一も驚きを隠せない。

 六本の腕を持つ男。その姿はまるで、人の姿をした蜘蛛か、或いは天上から降りてきた阿修羅のようだ。
 スキュアロウ・バルカンチ。元自衛隊という、異色の経歴を持つホウオウグループの幹部だ。

「あーあ。よくもまぁ、大事なボルカノンを壊してくれたな、ガキ共」

 スキュアロウはそう言って、俺達を見下ろしてくる。その様子はまるで、燃え盛る炎なんてまったく気にしてないようだった。アイスブルーと青色の混じった髪の毛が、オレンジ色の明かりに照らされている。その様子は、完全に人間を止めてしまっていた。

「……まずい」

 一体何度まずいと呟いた事か。だが、今回ばかりは本当にまずい。
 スキュアロウの戦闘能力は並ではない。ケイイチさんならともかく、この男とまともにやりあって勝てる能力者がいかせのごれに何人いるか。まだ未熟で、しかもダルセノンとの戦闘で消耗した俺達では、幾らなんでも相手が悪すぎる。

「遊んでやるぜ、ガキ共」

 シャリンと言う音が聞こえて、六本の腕それぞれから鋭い刃が現れた。思わず、俺と光一の表情が強張る。

 やられる。そう思ったがしかし、スキュアロウは向かってこなかった。

「……チッ。撤退か。やられっぱなしは俺の主義じゃないんだがなぁ……」

 ギロリ、と俺達を睨み付ける。「覚えていろよ」。その目は、そう俺達に告げていた。

198akiyakan:2011/01/29(土) 14:37:47
「……た、助かった……」
 
 スキュアロウがいなくなってから、ようやく俺達は一息つく事が出来た。
 勝った。だが、全く勝利の実感が無い。実際、ホウオウグループの上級幹部に見逃して貰えたようなものだ。命があるだけ儲けものである。

「……帰ろうぜ、シスイ。俺もう、家に帰って横になりたい……」
「ああ。俺も同じ気分だ……」

 満身創痍の体を引きずり、俺達はラーの所まで戻ってきた。スザク達の姿が無いので一応探すが、どこにもいないのでどうやら自分の足で帰ったらしい。元気なものだ。

「……あ゛」

 動かそうと思って操縦桿を握るが、ある事に気付いて俺は思わず声を上げる。

「どうした?」
「……計器がいかれてる。うんともすんとも言わない……」

 起動させた筈だが、ラーの画面は沈黙したままだ。駆動系を司るバイパスが完全にいかれている。

「マジか!?」
「……多分、バスターキャノンを使ったせいだ。あれの反動で、駆動系のどこかが破損したんだ……」

 なんてこった。

 ウスワイヤに連絡したけど、別用で今人手がないらしい。今日中にΣの回収は出来ないと言われた。しかもそれだけじゃなくて、ラーが人目に付かないよう、回収班が来るまで見張ってろ、とも。

「……不幸だ」

 某ライトノベルの主人公のように、光一が頭を抱えて呟く。俺はもはや現実を受け入れ、ラーのシートに寝転がった。

 あぁ、もう。今日は色んな意味で疲れた。目を閉じると、すぐさま睡魔が俺の意識を奪っていった。

 今日は何だか、ろくな夢を見ない気がする。

199akiyakan:2011/01/29(土) 14:41:50
↑ここに書き込んでから気付きましたが、使用キャラにアルファルグ・フォーデスさんの「スキュアロウ・バルカンチ」が抜けていました……
 どうも、すみません……

200スゴロク:2011/01/29(土) 14:46:46
>akiyakanさん おおぉおおぉぉぉ!! シスイサイドだあああ!!
見ていて思わずのめり込んでしまいましたよ。これは面白い、おもしろすぎる……その後の話でも書いて見ようかな?



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最終更新:2011年05月24日 20:02