企画されたキャラを小説化してみませんか?
- 1
:サイコロ:2008/04/19(土) 08:47:37
- 男擬人ムリ香さんが立ち上げた「キャラ企画つれっど」で企画されたキャラを
ショートショートストーリー化(短編のアナザーストーリー化)してみませんか?
age sage構いません。
それと、できるだけ自分の企画したキャラを搭乗させましょう。
ナイアナのキャラは、性格を変えないように。
気に入らなければ消してください、(有)さん…
- 351
:しらにゅい:2011/02/07(月) 12:49:28
- 「・・・そして、一人になったトキコちゃんはホウオウ様に拾われて、幸せな人生を送るのでしたー。
ちゃんちゃん!」
「・・・・・・・・・」
どう?面白かった?とクルクル回り楽しそうにするトキコ。
治療は話の最中で既に終わっており、後半からは立ちながら喋っていた。
わざわざご丁寧に、モーションまでつけて。
「あ、ちなみに死体はホウオウ様が消してくれたの。死体なんて、あってもいらないしね。」
「・・・・・・・・・」
「でもなんか名残惜しいし、一応小さい頃からお世話になっていたお部屋だから我儘言って残して貰ったの。
アイはもう少し良いところに住まないとホウオウグループとして示しがつかないって・・・」
「トキコは、本当に良かったの?」
「え?」
「トキコは本当にそれで良かったの?」
「・・・・・・・・・」
少女の表情が固まる。
意に介さない疑問を投げかけてしまったかもしれない。最悪今この場で殺されるかもしれない。
けれども、この気持ちだけは譲れなかった。
子供のように振舞うのは周りを騙すため?違う。無邪気に振舞うのは明るい自分を保つため?違う。
この少女は狂信に酔いしれながらも、心のどこかで未だに「母」を求めているのかもしれない。
自分を愛してくれる、あの暖かな存在を。
「・・・っふふ、あははは!!」
「!?」
突然腹を抱えてトキコが笑い出した。嘲笑う、のではなく心の底から本当に愉快だと思っているかのように。
「そうだよ?良かったに決まってるじゃん。・・・だって、そうしなきゃホウオウ様に出会えなかったんだもの。」
「・・・・・・・・・」
「私はホウオウ様に出会えてよかった、ホウオウ様が許してくれなければ・・・きっと、今の私はいなかったと思うから。だから、今凄く幸せ!」
無邪気に笑うその姿は、まさしく本心からくるものである。
しかしその幸せにホウオウが絡んでいると考えれば、貴子は素直に喜べなかったのであった。
朱鷺と用務員
- 352
:しらにゅい:2011/02/07(月) 12:55:24
- *「朱鷺と用務員」直後の話。お口直しにどうぞ←
(ぎゅるるるる・・・)
「・・・お腹減ったー、なんかたーべよう。」
「何を食べるの?」
「うーんとね・・・これこれ。」
「・・・こっ、これこれって・・・ツナ缶だけ!?」
「そだよ?」
「ちょっと、他に食べるものがあるでしょ!?」
「いいもん、お腹が膨れればいいし・・・栄養が足りなかったら、錠剤飲めばいいし。」
「(ふ、不健康すぎるじゃないこの子・・・!)・・・はぁ・・・仕方ないわね・・・」
「え?」
「ちょっとそこに座ってなさい。」
「うん・・・?」
・・・
「・・・・・・!っおいしー!!何これ、凄く美味しい!!」
「そ、そう?・・・適当にあった野菜とお肉を煮詰めただけなんだけど・・・」
「お野菜ってこんなに美味しかったんだー!お肉と一緒に食べればもっと美味しいし・・・!」
「・・・・・・・・・」
「タカコ、なんでこんなに美味しい料理作れるのに旦那さんがいないの?」
「う、うるさいなぁ!!」
「んー・・・おいしいー・・・」
「・・・少しは料理することを覚えたらどうなの?」
「やだ。」
「ちょ・・・」
「だって、私料理することより戦うことが好きなんだもん。覚えたって無駄じゃん。」
「無駄じゃないわよ、料理舐めんな!」
「そーお?」
「・・・はぁ、分かった。じゃあトキコがちゃんと料理作れるようになるまで、私が面倒見るわ。」
「えっ?ホント!?毎日美味しい料理が食べられるのっ!?」
「ただし!!ちゃんと覚えるのよ!?いずれは一人で作れるようにならなきゃ駄目だからね!?」
「はーい!!やったぁー!!」
「ったく・・・」
「ところでタカコ、」
「何?」
「素になってるね。」
「・・・・・・・・・」
タカコとイーティングin自宅
「夕ご飯」
「!い、今思えばなんて約束したのよ・・・!?私の馬鹿!!」
(帰路に着く用務員は)
(頭を抱え自分の言動を呪った)
- 353
:しらにゅい:2011/02/07(月) 13:04:13
- あんな素晴らしい作品の後にも関わらずこんな暗い話書いちゃって正直気が(ry
今回は、桐山貴子(サイコロさん)を使用させて頂きましたー!
これでちょっとはギスギスを解消出来た・・・か?←
正直過去編はご想像にお任せします><にしたかったのですが、最近トキコが調子悪いようで
衝動的に書いてしまいました、怖いね衝動。トキコ母が某魔女の無双様仕様になってますが、
爆発したのはあの時のみで後は普通に良いお母さんだったんです、ただ運が悪かった、それだけ。
ホウオウ様が消してくれたよ~の下りなのですが、存在ごと抹消ってどのくらいまでにしたら
いいのやら、って少し悩みました。この場合、トキコ母と関わっていたものの中から存在を抹消、
という意味合いで使わせて頂きましたが・・・駄目でしたらトキコも母の記憶なかったーってことで
脳内保管を(ry
報われるか報われないか、今後の展開にも寄りますがとりあえず今の所は報われないってことで。
そして>>352、完全にお口直しのターン!変な約束こじつけちゃったよ!w
サイコロさんすいませんorz
まぁ戦闘に関してはパーフェクト(?)でその他ダメダメって事を書いておきたかったんです。
部屋が乱雑なのも、ただトキコがやらないだけです。
趣味がお料理とのことで・・・いいなぁタカコさんのお料理、むしろ私が食べたい。
- 354
:akiyakan:2011/02/07(月) 14:12:30
- しらにゅいさん>
ある程度ダークな過去を想像してはいましたが、トキコにはここまで悲惨な背景があったんですね……
ここまでアレだと流石に報われて欲しいです、個人的に。
- 355
:akiyakan:2011/02/07(月) 14:22:29
- ※十字メシアさんの「シノ」をお借りしました!
経過報告
負傷し、そして能力の使用を禁じられている今、俺はまともな戦闘は出来ない。あくまで情報収集に徹し、事件解決に有益な情報を集めるのが今の任務と言える。
「ん?」
そんな時、ポケットの中の携帯電話が震えた。二つ折り式の携帯を取り出して開くと、着信はシノさんからだった。
「シノさんからだ。何だろう、経過報告かな」
もしもし、と電話に出ると、ういっす、というシノさんの声が聞こえた。
『そっちはどーっすか、シスイ? 命令破って、能力使ってたりしてないっすよね?』
「使ってませんよー。俺を誰だと思ってるんですか」
『よく言うっすよ。入りたての頃、しょっちゅう命令無視して一体何回バクさん困らせたか』
「う……」
ひ、人の黒歴史を……
アースセイバーに入ったばかりの頃の俺は、一言で言うなら「夢を見る子供」同然だった。アースセイバーはアニメやテレビに出てくる正義の味方で、敵はいいところなんか一つも無い悪いだけの奴なんだと。
でも、その幻想は瞬く間に打ち砕かれた。
アニメに出てくるような正義の味方なんて、それはただの絵空事だった。ウスワイヤは保護の名の下、能力者として特定した者にどんな事情があっても捕獲し、保護施設と言う名の束縛に押し込む。
今でこそ、それは社会を守ると同時に、世間から能力者の弾圧を避けるために必要な事なんだと理解しているが、当時の俺はそうじゃなかった。ウスワイヤもアースセイバーも、何もかもが間違っているように見えてしまい、俺は度々命令違反を犯してしまった。
今思えば、それは子供の駄々っ子も同然だ。実に恥ずかしい。
「そ、そんな昔の話はもういいじゃないですか。今の俺は、前よりちゃんと成長しています!」
『本当っすか~? そんなに変わってないっすよ、しょーじき』
「ひ、酷……」
少なくとも、今の俺はもう「夢を見る子供」なんかじゃない。夢を見ているだけなら誰にだって出来る。大事なのは、その夢を実現する為に行動する事だ。
(正義の味方がいないなら、正義の味方になればいい……)
だから、俺はケイイチさんを目指す。少なくとも俺にとっては、あの人こそ「本物の正義の味方」なのだから。
「で、何ですか? 俺の黒歴史の紐を開けるためだけに、わざわざ電話して来たわけじゃないでしょう?」
『ああ、そうそう。あのウイルスなんだけど、どうやら空気感染はしないみたいっす』
「空気感染しない?」
『そうっす。生き物の体液内でしか生きられない位弱いウイルスなんで、宿主の体外に出たら瞬く間に死滅してしまうんす』
「え゛。 それじゃつまり、怪物化した感染者の体液に触れるのって、すごい危険な事なんじゃ……」
『それがそうでもないんすよ。このウイルス、一度宿主に寄生するとその宿主に適合した形に変化するんす』
「適合した形に?」
『その宿主の体内環境で生きられるように変化する、って言ったら分かりやすいっすかね。生物の体液内でしか生きられないと言っても、そのままの形でどんな生き物の中でも生きられるわけじゃないんす。
分かりやすく言うと、このウイルスには二つの形態があるんす。一つが原型で、もう一つが適合型。
まず原型は、ウイルスの元の形っす。これはウイルスが宿主に付く「前の形態」っす。そして適合型は、宿主についた「後の形態」、つまり変化した後の姿っすね。適合型に変化したウイルスは、その宿主の体内でなければ生きられないように変わってしまうんす。つまり、感染者の体液に触れたからと言って、その人にまで感染するわけじゃないんすよ』
「どうしてそんな事が分かったんです?」
『昨日ハヤトから連絡があって、二体目の感染者を仕留めたんすよ』
「二人目!? 大丈夫だったんですか!?」
『大丈夫だったみたいっす。新技使えたのがよほど嬉しかったのか、なんか上機嫌で報告してきたっすよ』
「新技」って言うと、あの収束音波砲か。シノさんに教えて貰った事を参考にして、あいつ特訓してたもんな。
- 356
:akiyakan:2011/02/07(月) 14:23:19
-
『それで、回収班が運んできた奴を調べたら、体内に残留していたウイルスの形が、一体目と全然違う形をしてたんす。それでもしや、と思ってあれこれ調べてみたら、そういう事だったんすよ』
「はぁ……でもこれで、感染者からの二次感染する可能性と、空気感染に関する危険性は無さそうですね」
『……いや、これはもっとややこしい事になりそうっす』
「え?」
『シスイ、ちょっと考えてみれば分かる事っすよ。このウイルスは空気感染しない。という事は、カプセルが開いた時点でウイルスは死滅する。それなのに、二人も感染者が確認されている』
「! ……ウイルスのキャリアーがいる、って事ですか?」
受話器の向こうで、シノさんが頷くのが分かった。
ウイルスの培養体となり、それを他の生物に移す存在。これでようやく謎が解けた。あのカプセルに入っていたのはウイルスだけじゃない。そのウイルスを体内に持つ保菌体が、カプセルには入っていた。あの内側からこじ開けたような穴は、そのキャリアーが這い出た痕だったんだ。
「キャリアーを倒さないと、これからも感染者が増える可能性がありますね」
『そうっすね。ただ一つ、気になる事があるんす』
「何ですか?」
『カプセルを調べた結果、それが開いたのは一ヶ月前だと言う事は既に分かってるっす。それだけの期間があれば、キャリアーがもっとたくさんの人にウイルスを巻いていたとしてもおかしくないっす。でも、現在確認されている感染者は二人、多くて三人っす』
「…………」
『どうにもアタシには、この事件に何かしらの意志の存在を感じずにはいられないんす』
自分の言葉に自信がもてないらしく、シノさんはそう曖昧に答える。
「何者かの意志、ね……」
アースセイバー一の知恵袋、シノさんの言葉とは言っても、それは流石に飛躍しすぎじゃないかと俺は思う。まぁ自分でもそう思うから、シノさんも自信が無いのだろうけれども。
「分かりました。取り合えず、記憶の隅にでも留めておきます」
『よろしく頼むっす』
そこで電話は切れた。
「ウイルスのキャリアー、か」
空気感染と二次感染の危険性は無くなったが、これはこれで厄介だ。キャリアーと戦う時は、極力相手との接触を避ける必要がある。噛み付かれでもしたら即効アウトだし、返り血を浴びるのも危険だ。
「……やっぱり、特効薬が必要になるな」
シノさんが作ろうと努力している薬の事を考えて、俺はポツリと呟く。
その時俺の頭には、最悪の光景が浮かんでいた。
ウイルスに感染し、怪物化してしまう仲間。それと対峙する俺。
その逆もありえる。俺が怪物になり、それと対峙する仲間というのも。
そんな事にだけは、絶対なってほしくない。
俺は胸に浮かぶ不安を押し殺した。
- 357
:樹アキ:2011/02/07(月) 16:06:09
- やっと書けた…!!発症話と同じようにどうしても書きたかった話を…。
お借りした子:しらにゅい様宅・玉置先生、akiyakan様宅・都シスイくん
-------
「たまちゃん居ないのかな…」
「わふっ!」
「あ、マサムネ、おはよ!」
いつもみたいに保健室に行くと、そこにはたまちゃんは居なくて。
マサムネが尻尾ふって出迎えてくれた。
もこもこのマサムネを撫でながら、今日の夢を思い出す。
「今日ね、やな夢見たんだ」
金色の目と、白い髪。
何か言われた気がするけど全然覚えて無い…、夢だから仕方ないんだけど…。
なあんか、もやもやするなあ…。
そんな事思いながらマサムネと遊んでると、急に寒気がした。
おかしいな、私、寒いって感じないんだけど…。
でもその寒いは、なんていうか、ゾクゾクするって言うか、鳥肌が立つって言うか。
怖い、って思うときに感じる寒い、って言うのかな…。
「………なんだろ、屋上かな…」
何となくそう思って、保健室を出る。
…何で屋上ってわかったんだろ?
頭では色々考えてるのに、足は勝手に屋上に向かう。
………階段疲れるなあ…。
屋上に続く扉の前に立つと、さっき感じた寒いはどんどん強くなってくる。
……もう寒いじゃない、怖い。
でも、開けなきゃいけない気がして、怖くって震えるけど、そぉっとドアを開けてみる。
ソコには見慣れた後姿が居て。
でも、何時もと違って、あれ?おかしいなって思った。
あれ…、なんで白衣が赤いんだろう。
「たまちゃん!?」
「っ来てはいけない!!」
そんな事言われても心配で怖くてたまちゃんに向かって走り出す。
たまちゃんが居なくなったら、私ほんとに透明人間になる。
それを望んだのに、それが凄く怖い。
そんなの、やだ。
「こんにちわ」
「……あなた、ゆめでみた」
目の前には見たことも無い、会ったことも無いはず男の人。
そのはずなのに、どこかで見た。
金色の目と、白い髪。
あ、この人だ。って直感した。
夢と現実がごっちゃになる、あれ、なにこれ、夢?
違うよね、だってほっぺに当たる風は凄く冷たいし、
雲に隠れてるけど、太陽の光だって本当だもん。
「貴女は僕を殺してくれますか?」
瞬間、世界がスローモーションになる。
濁る金色の目と、私に向けて伸びる手。
よくわかんないし、理由もわかんないけど、死ぬって思った。
あの時の冷たさとか寒さがフラッシュバックする。
いやだ、わたし、しにたくなんかない。
「…氷、これがあなたの能力ですか」
「……なにこれ」
男の人と私を隔てるみたいに、冷たくて分厚い氷が盾になる。
もしかして、もしかして、これやったの私?
「あなたなら…」
か細い声で呟いたのが聞こえたけど。
私もう、誰も殺したりとか、死なせたりしたくないから。
「こ、殺すとか絶対やだけど、けど、怪我してもしらないからね!!」
逃げたらたまちゃんの手当てできないし、だからってこの人殺せないし。
ちょ、ちょっと骨折るくらいだったら………。
な、何とか許してもらお!すっごい謝ろう!!
- 358
:樹アキ:2011/02/07(月) 16:06:52
- -2-
冷たさと、ちょっとだけ悲しさを思い出して、さっきみたいに氷を作る。
これが正しいのかなんて全然、ちっともわかってないけど!!
今はコレがきっと正解なんだ!多分!私あたまわるいし!!
はあ、と吐く息は何時もより雪が混じる。
それに合わせて、ツララが宙に浮く。
当てない、かするだけ。
何かに弾かれたみたいに、一斉にツララが男の人目掛けて飛んでいく。
それを軽々と避ける男の人。
「あたっ…らなくてもいいけど避けすぎー!!」
困ったように笑いながらも確実に私に近づいてくる。
運動神経よくないから華麗に避けるなんて夢のまた夢…。
氷の盾が私を守る。
バキンってやな音したけど、聞かなかった事にする。もう知らない…!
男の人が飛び上がる。高く、高く。
大丈夫、届く。わかんないけど確信して、腕を振り上げる。
想像したのと同じように氷の柱が男の人目掛けて伸びていく。
私の予想ではちょっとかする位が理想。
なのに、まるで自分から刺さりに行くみたいに男の人が軌道を変えた。
直撃、しちゃった…。どうしよう。
お腹を貫通した私の氷、その赤を見ながら悲しそうに笑う男の人。
またバキンって音がして、氷の柱が折れる。そして、私の目の前に着地する。
どうしよう、今になって凄く怖くなる。
白い肌には沢山の怪我、真っ赤なお腹。
普通なら死んじゃってもおかしくないのに、どうして。
- 359
:樹アキ:2011/02/07(月) 16:07:25
- -3-
「そこまでだ!!」
凛とした声が、時間止める。
…あの人、誰だっけ…、2年生でよく保健室に来る…。
「…水を差すとは…野暮なことしますね」
「ホウオウグループだな」
私と男の人の間に入って話す後姿が、夢に見えて。
2年生の先輩が纏ってる金色のキラキラした光も夢だから見えるのかなあ。
……もうわかんないや、頭ぱーんてなる。
「覚悟は出来てんだろうな!」
「残念ながら僕…多分死にませんよ」
「何だと…?」
よく見ると刺さった氷も、斬られた怪我も、
ついさっきのお腹の怪我も、もうほとんど見当たらない。
怖いを通り越して、不思議だった。
…だから悲しそうな顔してたのかな。
「あ、しまった時間だ」
「逃げる気か!?」
「だって怒られるのイヤですし」
肩をすくめて笑う姿は、普通のお兄さんで。
さっきまでの赤色が嘘にみえた。
何か、同じ顔の人が2人居るみたいな違和感。
「今日は新しい能力者に会いに来ただけですから」
私の方を見て笑う。
……多分街であったらドキっとするんだろうけど
今は色んな意味でドキっとする。
「私はもう会いたくないもん!!」
「そう言わず、あ、僕の名前はウツロと言います。あなたは?」
「言わない!!」
「ちょっとヘコむな……それでは、失礼します」
優雅に一礼をして、屋上から飛び降りる。
先輩が追いかけるけど、さすがに飛び降りれない…よね。
終わったって思うと、腰が抜けた。
凄く短い時間だったけど、常識じゃ考えられないことが起きて。
相手もそうだけど、私だってありえない事して。
「怖かったあ……」
へたり、と座り込んだ屋上の床は、やっぱり空気と同じ温度。
夢なら冷たいって思ったのにな。
出来たら夢がよかったなあ、こんな怖い夢なんか、
朝起きて学校行って、マサムネと遊んでたら忘れちゃうのに。
手の平を空に向けてさっきのことを思い出す。
パキっと音がなって小さなツララが生まれた。
……夢じゃなかったってがっかりして、俯く。
「わー、玉置先生ボロボロじゃないっすか」
「うるせえシスイ次言ったらボコる」
「すいません俺助けに来たんですけど…」
声が聞こえて俯いてた顔を上げる。
シスイ、そうだ、シスイ先輩だ。
先輩に肩を借りながらゆっくりだけど、私の方に歩いてくる。
ホントは立ち上がって走ってたまちゃんの所行きたいけど
とっても残念ながら…ほんっと残念ながら…私まだ腰抜けてる…。
「たまちゃん!!大丈夫!?」
「ええ、生きてますから」
「あはは…」
「ありがとう、ののかさん」
怪我してるけど、それでもたまちゃんが笑ってくれて。
やっと終わったんだって思ったら気が抜けて、私の目の前は真っ暗になった。
- 360
:樹アキ:2011/02/07(月) 16:10:03
- -4-
「たまちゃん復活してる!!」
「ご心配お掛けしました」
久しぶりに見るたまちゃんは、前と何にも変わってなくって。
いつも通りニコニコしながらマサムネと遊んでた。
それが何かすっごい嬉しくって泣きそうになっちゃって…。
そんな顔見せるの、ちょっぴり恥ずかしいからマサムネに飛びついた。
「私ね、もう一回頑張って生きてみようと思う」
たまちゃんは今更何言ってるんだって思ってるかもしれない。
そもそも私が一回死んだことも知らないのに。
…きっと誰かに聞いて欲しいんだと思う。
私が忘れようって夢にしても、誰かが覚えてたらそれは現実だから。
「確かに私、神様に『ばってん』つけられちゃったけど…」
はあ、と息を吐くと混じる雪。
これは絶対消えない『ばってん』なんだ。
「でも、生きてるから。チャンス貰ったから…頑張ってみる!」
考え方変えちゃえば、この力は神様が大事な物を守るためにくれた力なのかもしれない。
今の私には、大事な物も、人も、沢山あるから。
短い手でどれだけ持てるかわからないけど、少しでも多くの大事なものを掴めたらいいな、って。
「氷は溶けましたか?」
優しく笑うたまちゃんにはきっと、何でもお見通しなんだろうけど
何も聞かないで、私の話聞いてくれる。
それがすっごく嬉しくて、ありがとうって何回言っても足りないくらい。
「…わかんない、でもきっと、春はくるよ」
だって、冬は春になって花咲くための、準備期間なんだから。
溶け出す氷
(もう一度踏み出すんだ、もう大丈夫、怖くなんかないよ!)
- 361
:(六x・):2011/02/07(月) 20:43:00
- やっと(?)発症編です。シリアス&長文初挑戦でした。
文才が皆無のくせに色々と総動員してご覧の有様だよ!
凪の発症~Ice Blade
「私、スノボやってくる。」
「おー」
「さすが凪っち。行ってらっしゃい」
中3の冬休みという、常識的に考えたら大事な時期だというのに、私は友人に強制的にスキー場に連れてこられた。まぁ、楽しいから別にいいんだが。
「この辺からならできるかなぁ。」
「おや、凪さんじゃないですか。」
「あ、●●先生。」
こいつは私の中学で数学を担当している●●。他の先生の前では猫をかぶっているが、生徒を平気でクズ呼ばわりしたりするため生徒からの評判は恐ろしく悪い。数学で赤点をとり続けた生徒が拷問を受けたとか学校に来なくなったとかの噂が絶えない。マジでやってそうだから困る。
「今日はスキー旅行か何かですか?」
「あ、はい…中学最後の冬休みだからみんなで」
「あなたはいつもそうですね」
「え」
「毎日何の苦労もないようにヘラヘラとして、今だって本来は大事な受験シーズンなのに遊び惚けて…」
「はぁ…」
うわぁ…担任でもないくせに説教たれ出したよこいつ。なんか、私のこと嫌いみたいなんだよなぁ…
「それに以前、私のことをマジキチ教師だとか言ったそうですね?」
「言ってませんけど。」
「…なんですかその反抗的目は。どこまで私をイラつかせる気ですか。」
「…」
「まったく、生徒なんざ教師の奴隷です。」
「はあ?・・・!!」
スキーウェアが破かれる。寒いです、先生。
「な、何を…」
「あなたは前から気に入らなかったんですよ。この際、ここにいる社会のクズ共と一緒に消えなさい。」
クソ教師が変なリモコンみたいなのを操作したと同時に、上の方で爆発音がする。
「うわああぁぁ!」
「な、雪崩だ!」
真っ白な波が襲いかかる。避けようと体が動く前に、私は他の客もろとも飲み込まれた。
- 362
:(六x・):2011/02/07(月) 20:50:20
「う…」
あれから何分たっただろうか。クソ教師がスキーウェアを引き裂いたせいで、私が身につけているのはスウェットだけ。これで寒くないわけがない。手足の感覚がなくなり、目も開かない。
私、死ぬ…のか?
高校生にもなってないんだぞ。
まだやってないことだっていっぱい…あると思う。
こんなところで死にたくない
嫌だ
痛い冷たい苦しい
死n
そこで、私の意識は途切れた
「…?」
次に目を開けた時、凪は吹雪の中に立っていた。
「下にいる社会のゴミまで雪崩が届かなかったのは残念ですが、30分も埋まっていたんだしもう全員死んでるでしょう。スキー場で雪崩に巻き込まれて死亡というのはよくある話ですからね
「おい」
「おや?生きてたんですか。クズのくせにしぶといですね。」
「クズはお前だよ」
「何?」
「自分以外は全部クズみたいに言ってるけどさ、そんなこと言う権利がお前にあるのか?自分がクズだから他を見下して、優越感に浸りたいだけなんだろ?可哀想になあ。」
「あなたこそ、私にそんな口を聞いてよいとでも思ってるのですか?今度こそ殺してあげましょう。」
●●がナイフを投げつける。それを紙一重で避けた凪の右手に冷気が集中し、氷の剣が形成される。
「お前じゃ僕は殺せない」
「こいつ、まさか…ぐっ!」
凪の回転斬りが決まる。
「痛いだろ?クズ野郎。お前に苦しめられた人達はな、これよりもっと冷たくて痛かったんだ。まぁ、お前には一生わかんないだろうけどな。」
「-!」
氷の剣を突き刺され、声にならない悲鳴を上げて●●が絶命する。
「随分あっけない最後だったな。クズはクズってことか。」
冷たく言い放つと、凪は氷の剣を●●から引き抜いた
- 363
:(六x・):2011/02/07(月) 20:59:27
- 「あれ…私、確かあそこでクソ教師と会って、それで…どうしたっけ?」
気がつくと、私はスウェット上下という雪山に入るには自殺行為といえる格好で立っていた。右手に何か…氷の剣?!これ私が?夢…ではないような気がする。
「とりあえず…戻るか。リフト壊滅してないといいけど。」
「凪っち、お帰りー。ってなんでスウェット!?」
「風邪ひいちゃうよ!早く帰ろう!」
「あぁ…さ、寒いー氏ぬー(><)」
本当はちっとも寒くなかったけど、みんなをこれ以上心配させないためにこう言った。
さて、私が作ったあの剣・・・ちょっと安直かつ厨二くさいが、「Ice Blade」とでも名付けておこうか。
あの日から数ヶ月後、私は高校生になり新しい友達もできた。あの能力のことは頭から消えかけていた。
だがそのまた数ヶ月後にIce Bladeを再び振るうことになるのは、また別のお話。
はい。凪さん発症編、クッソ汚い文ですいませんでした。素敵な長文かける皆さんほんと羨ましい・・・
Ice Bladeの性能とかについてはまた別の機会に。あと、うんこ教師はホウオウの末端クラスです。さんざん見下してた生徒にボロ負けですしねww
- 364
:スゴロク:2011/02/07(月) 21:31:28
- >しらにゅいさん 展開そのものはピンチ→救援→救援劣勢→一発逆転という王道で挑みました。
一度やってみたかったその一、アースセイバーvsホウオウグループという構図でした。幹部3人vsプロ4人+ルーキーズという大人数をどう動かそうかと四苦八苦しました、ハイ。
>akiykanさん 戦闘系を書くときは、最終的にどういうシーンが書きたいかを先に考えてから書いてます。そして今回の目標シーンは、ずばり「シスイとスザクの協力攻撃」です。
シスイのキャラが掴めて来てから、どうしても一度やってみたかったので。
紅蓮については、いかせのごれ中を放浪しているという設定を見て、「あれ、スザクと似てるな」と思ったのが登場のきっかけでした。
どこかで一度くらい共闘したことがあるはず、と思ったので、助っ人役を頼みました。
>ネモさん 伝わりました。感動していただけたようで、ありがとうございます。今までの作品の印象から、バク教官にはシノさんと組んで指揮役に回っていただきました。
- 365
:紅麗:2011/02/07(月) 22:19:43
- >>315
り、リオトが戦っている…だと!?
自分の作り出した息子なのに不覚にもカッコいいと思ってしまった…
相変わらず戦闘描写がお上手で尊敬します
そしてハヤト君の登場に目が<●><●>カッ!
男の友情が生まれる予感(ワクワク!)
>>321 うお!トキコちゃんside!あんなわかりにくい小説だったのに…
それにしても流石トキコちゃん。リオトのことをよくわかってらっしゃる
ぞ、続編楽しみにしてま(ゲフゲフ
>>330
長編お疲れ様です!最初の時点でもうテンションMAXでしたが、二人の龍精落でテンション限界突破致しました。
いやもう凄いとしか…´`*
感動をありがとうございました!
>>347 ふむぅ…トキコちゃんにはこんな過去があったのですね
それでも今みたいに明るく振る舞えているトキコちゃんは強いなぁと思います
そして足を怪我したのは何があったのか…
何かを始末した後だったのでしょうか
- 366
:鶯色:2011/02/08(火) 00:06:34
- 最近の小説ラッシュで嬉しい悲鳴を上げている私です
どの作品も素晴らしいのですが、
お礼の意もこめて家のハヤトを出演させて下さった方々へ感想を書かせていただきます
>しらにゅいさん
王様ゲーム!wこれは微笑ましいですねw
本編組の扱いであったりスザクちゃんの最近の不幸属性であったり
それらの扱いが適切すぎる気がしてとても楽しく読ませていただきました
そしてその中に家の子を混ぜていただけた幸せ!wありがとうございました
>(六x・)さん
これはひd…凄いwww
周りの反応もさることながら凪ちゃんの天然っぷりが素晴らしいですねw
そしてののかちゃんのお手伝いもありフラグ立ちましたー(笑)
(六x・)さんワールドという感じで楽しかったです、ありがとうございました
>akiyakanさん
わああハヤト!ハヤトがなにやら素敵な事になっている!
リオト君がひたすらかっこいいなあと思っていたらまさかのバトル参加でびっくりしました
ハヤトは能力が能力なだけに基本的に戦闘に向かないような気がしていたのでw
こんな素敵な小説を「無かった事に」なんてもったいなすぎますよー!
さて、オリジナル技の件ですが、音波書き消しはガッツリどうぞ!
圧縮音波砲ですが、これもOKです!でも、この悪夢の特徴でもある「体力の消耗が激しい」という点で
音波の圧縮によりさらに負担が大きくなる事、それにより弾数が多少限られてしまう事だけ考慮して下されば幸いです
そしてリオト君との友情の予感にワクワクしていますw
>スゴロクさん
なにこれ全員がかっこいい!!
スゴロクさんの小説はいつも日常と非日常の切り替えが上手くてどちらも楽しく読ませていただいていますが
今回の戦闘も全てにおいて緊迫感があって、終始ドキドキしながら拝見させていただきました
そして家の子の扱いを理解なさってる!w一対一の戦闘は比較的得意なのですが
今回のような兵器系の相手&集団戦は苦手なんですよねえ
なにはともあれお疲れ様でした!
感想を書いていない小説も全部目を通して、そのたびにときめきをいただいております!
とある方々の助けもありwikiへの収録も順調で、ひたすら感謝です
宣伝となりますが、小説数の増加に伴いwikiの小説化一覧も一新していますのでもしよければご一読ください
- 367
:(六x・):2011/02/08(火) 00:10:42
- >>329 akiyakanさん
お許しが出た(?)ので、凪さんの発症編書いちゃったんだぜ・・・
>可愛い生物 ありがとうございます!
あの後、「好きな人に~」を思い出して変に意識してしまい、ハヤト君を直視出来なかったというのはみんなにナイショだよ^^
でも次の日は「今度は魔法じゃなくてビーム出してみた」「これはひどいww」みたいな感じに落書き談義したそうですよー
>>347 しらにゅいさん
トキコさんの壮絶な過去に全俺が泣いた。
守ってあげたくなるじゃないか。護衛いらなそうだけど←
そうです。凪さん、自分は優れていると思ってないのでベタ褒めされると照れます。
ツン照れだからなwデレじゃないよ^^
- 368
:サイコロ:2011/02/08(火) 21:51:16
- しばらく放置してたなぁ…。
>>スゴロクさん
素晴らしい小説…!この大人数戦闘、なかなか魅せてくれました!
燃える・・・!
シュウト頑張ってるよシュウト!いやっほう!
>>しらにゅいさん
なんというトキコの過去・・・。
タカコがお母さんっぽい!これはいいタカコだ・・・。
- 369
:サイコロ:2011/02/08(火) 21:52:16
- <汰狩省吾の見学。>
「まーたなんだか騒がしいなぁ…。」
ショウゴは家路についていた。そして、いつものごとくストラウル跡地付近を通ろうとして、異変に気付いた。
いや、ここのところ夜騒がしいのは知っていたが、今日はなんだか妙な胸騒ぎがする。
「・・・覗いてみっか。」
ふと野次馬根性が頭をよぎる。
ストラウル跡地に向け、自転車を走らせる。
そして、戦闘が行われていることを遠目に確認すると
あるビルの横に自転車を停め、階段を上り戦闘を眺めた。
「すげぇな・・・こんな能力者達がいたのか・・・しかし敵も強いな!」
ショウゴのビルからは戦闘が全て見えた。
「知ってる顔も多いんだがなぁ…。」
知り合いの顔がある事に若干驚きながらも、戦闘を見ていた。
巨大なロボット兵器を相手に戦ってる方がアースセイバーなのだろう。
「ちょっと助太刀したいところだけど、そうしたらバレっからなぁ・・・」
アースセイバーに自分が能力者である事を知られる事もマズイ。
そしてこの場で無関係の俺が居ること自体もアースセイバーの足を引っ張る。
悔しいが手助けは難しい、そうショウゴは判断した。
しかし、巨大なロボット兵器から二人ほど降りてきた所でショウゴの考えが揺らぐ。
(アースセイバーの連中、あからさまに動揺している…?奴等、そこまで強いのか?)
ショウゴが腰のSAAに手を伸ばした時、ショウゴのいるビルとは違うビルが倒れた。
「!?」
三分割。戦場を分ける事は、この人数差なら普通だろうが、人間二人とロボット兵器一体の分け方という点ではいいかもしれない。
「まぁ、仲間外れにされたのはどうやら二人しかいないみたいだから、どちらかの戦線に別れれば・・・ん?」
敵方の銀髪の男が、もう一人の6腕の男を投げた。
(マズイぞ!あのままだと、2人しかいないあの区画に敵が!)
瞬間ショウゴはSAAを抜くと、圧縮空気を撃とうとした。少なくとも、
元の戦場に叩き落とすか、最悪あのロボット兵器に向けて吹き飛ばした方が人数の利があると思ったからだ。
- 370
:サイコロ:2011/02/08(火) 21:52:49
- しかし。
「ショウゴ君!あなたここで何を!?」
「げぇっ!」
慌ててSAAを隠し、振りかえるショウゴ。
「タカコさん、どうしてここに!?」
「たまたまこの近くを歩いてたらあなたが走ってくのが見えたわ!見つけるのに苦労したわよ・・・!」
走りまくって探しに来たのだろう、息が切れていた。
「早くこの場を去りましょう、ここは危険だわ!いつ巻き込まれても、倒壊したとしても、おかしくは無いもの!」
「でもこのままじゃアースセイバーが!」
「彼らは専門家でしょう!あなたは違うわ、一般人なのよ!?」
「うっ・・・」
引き摺られ、連れ戻そうとするタカコさん。
ショウゴは一瞬、迷った。ここでタカコさんに能力の事を打ち明けて、闘いに参加するか。自分の身を考え、おとなしく引くか。
(迷った自分が恥ずかしいじゃねぇか!)
即座にタカコさんを振りほどくと、ショウゴは窓に駆け寄りSAAを再び抜く。戦場をサイト越しに見た。
後でタカコさんには説明しよう。そう思って戦況を確認したが・・・
「駄目よっ!」
まさか、ここ(コンクリの床)で裏投げをしようとするなどとは思わなかった。
コンクリの床に叩き付けられ、ショウゴは悶絶する。
「死ににでも行くつもりなの?」
「痛ー!マジでそれは辛いタカコさん!」
さらに関節技を掛けながら絞め技をし、なおかつ抑え込むという鬼畜な寝技を掛けてきた。が、ここは畳の上ではない。
「あなたがそういうつもりならこっちも考えがありますよ!」
体中の筋力を使って、技が完全に決まる前にすり抜け、立ち上がった。
ちらりと戦場の戦況を確認するショウゴ。
どうやら先程の二人に助っ人が現れたらしいが、劣勢だ。圧されているのが分かった。
「どうしてそこまでするんです!?」
「・・・それは」
次の言葉をショウゴは聞き逃してしまった。なぜなら、そこに更なる闖入者が現れたからである。
「やっほー、部長さん!」
「・・・君は、トキコちゃんじゃないか。どうしてここに?」
「タカコ…さんとおんなじ理由だよー?早く帰らないと大変なんだから。」
「大変?」
不穏な空気をショウゴは感じた。この感覚…血と臓物の腐ったような感覚か?
トキコからではない…更に後ろに、誰かが居るような気がした。
「うん。私がごはん食べられないんだよー。」
部屋の入口にはスーパーの袋が。買い物の帰りだったのだろうか…。
「料理教えてくれるんだー。だから早く帰りたいんだー。」
「それじゃ、一緒に帰れば・・・」
「ショウゴ君!」
その瞬間、轟音と光が戦場の方から発せられた。
どうやら、下では結着がついたらしい。皆無事のようだ。
ショウゴはまったく手助けできなかった不甲斐無さに、隣の壁を叩いた。
「終わったのかしら?・・・早く帰った方がいいわね。」
「畜生…人的被害が無かったのはよかったが・・・。」
仕方なくビルから降りると、自転車に乗って急いで帰った。
走り去るショウゴを見ながら、タカコは溜息をついた。
(危なかった…もしあの子がZEAなどに見つかったら・・・)
タカコは今回の作戦について知っていた。だからこそショウゴを遠ざけようとしたのである。
(私も見つかる前に帰らなきゃ。もうそろそろZEAも地上に出てくるころだわ。)
そう、ショウゴがいたビルはZEAのいた地下の真上だった。
「おなかすいたー、早く帰って料理作ろうよタカコー。」
トキコに引っ張られ、その場を後にした。
「アースセイバー・・・そしてホウオウグループ、なるほど強い連中だな。」
ショウゴは考えながら自転車を走らせる。
(今のままじゃやっぱり力不足か俺は?・・・いや、要は戦い方だ。頭を使えばカバーできない訳じゃない。)
そして、1つの結論と1つの考えに至った。
(もっともっと訓練だ。さらに訓練を重ねて、能力を使いこなす。それだけじゃ駄目だ、自分の基礎身体能力も上げなきゃいけない。
・・・あと、今日見かけたうちの学校の連中、柔道部に誘ってみよう。)
- 371
:サイコロ:2011/02/08(火) 21:54:28
- さて、今回はスゴロクさんの大作に付け加えるようなお話。すいません!土下座の準備はできてます。
あ、しらにゅいさん宅からトキコちゃんと、ZEAの名前だけ借りてます。
- 372
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:11:29
- 樹アキさん>
ののか視点の文体が何もかも「ののか尽くし」でそこが表現としてすごくいい! 本当にののかが見えている風景を自分も見ている気分になりました。
鶯色さん>
ハヤトの能力って、実はめちゃくちゃ強力なんですよ。超音波だから、収束すれば振動波で分厚い鉄板でもぶち破れますし、下手したら固有振動数に干渉してこの世にある何もかもも粉砕しかねないですからね。
ただまぁ、固有振動数に関してはまず攻撃対象の固有振動数を割り出してそれに対応した振動数の超音波を……って言う大変面倒くさい工程があるので、ちょっと実用性はないかなぁ。
何はともあれ、私の認識の中だとハヤトは強いんです。
(六x・)さん>
凪の発症編ですね。と言うか、本当にクソ教師だなこいつww こんなんでよくホウオウグループに入れたなww 凪のスキーウェア引き裂くとか、どんだけ鬼畜なんだww
サイコロさん>
久々のショウゴシリーズっすね。なんとあの大戦争をショウゴがばっちり目撃していたという……
ショウゴの柔道部か。いっぺんウチのシスイもいかせてみたいです。
- 373
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:15:50
- ※想像者さんの「闇野 光一」、鶯色さんの「ハヤト」をお借りしました!
三体目
「残すところ、ウイルス感染者は後一人、か……」
メモ帳に書き込んだ地図を眺めながら、俺はそう呟いた。
一人目は俺……と言うか、実質スザクのおかげで倒し、二人目はハヤトが倒した。
噂を頼りにすれば、残る感染者は後一人。そして俺が集めた情報を統合すれば、地図上にあるこの場所に潜伏していると考えられる。
しかし、ここには少々問題があった。
「どーしたもんか……」
そこは街中にある廃墟ビルだった。場所自体は決して悪くはないのだが、入った店のどれもが長続きせず、最終的に誰もいなくなってしまったビルだ。巷じゃ、その場所は呪われたビルだと言われ、解体工事すら滞っている。それはある意味間違っておらず、店が長続きしないのは鬼門の上に建っているせいなのだが、それは今問題ではない。
問題なのは、街中にあるという事だ。ビル自体に人が寄り付かないにしても、その周囲には人がいる。アースセイバーの仕事が闇から闇への性質上、人目に晒すような事は出来ないし、下手をすると一般人を巻き込みかねない。
こう言う任務の時の為の俺なのだが、例のごとく今は動く事が出来ない。そして、前回はハヤトに代役を立てて貰ったが、今回そういうわけにはいかないだろう。彼の能力は「音」を基点とする故に強力だが、今回はそれが不利に働く。戦闘で使用すればビルの外にいる人が気付くだろうし、かと言って能力を使わなければハヤトには常人並みの身体能力しか無い。
「まぁ、こう言うのの選出は上の仕事だから、俺が気に病んでも仕方ないのだけど……」
なんだろう。どうにも嫌な予感がする……
- 374
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:16:24
- 「おー、ここかぁ……」
放課後、目的のビルの前までやって来たハヤトは、それを見上げて思わず声を上げた。
全五階建て。元々自動ドアだったであろう入り口は無残に砕かれ、その中の打ちっぱなしのコンクリートが外からも見えるようになっている。不良でも来たのか、あちこちにラクガキの後が見て取れた。
不気味だ。此間、蝙蝠の怪物を倒したあの森も不気味だったが、こちらはそれ以上だ。鬼門の上に立っている、というのも頷ける。
「で、今回のパートナーはお前の訳だが――」
そうして振り返ると、その視線の先にいるのは癖のある黒髪の少年。闇野光一だ。その顔を見て、ハヤトはため息をつく。
「……なーんで野郎と組まなきゃならんかねぇ」
「助っ人に対してその発言は無いだろ」
「シスイはいいよなー、スザクって美人の戦友がいてさー。まぁ、アースセイバーに美人がいないって事はないけど、だからって光一よこす事ないでしょー」
「話聞けや」
ハヤトの様子に、光一は怒ると言うよりも呆れた様子で返している。ハヤトが言っているのが、あくまで冗談だと分かっているからだ。
もっとも、ちょっと本音は入っているわけで。
「大体、アースセイバーには女の子が少なすぎるんだよー。光一さん見ました、アースセイバーの名簿。あれ、現在ほとんど男なんですよ!? 華がねぇえですよ、俺らの職場にゃ」
「華って……シノさんとか莉絵さんとかチャドとか、後ジミーとかスイネとか。女性はそれなりにいるだろ」
「逆に考えてみろ、それしかいないんだぞ!? あー、何だよこの男ばかりの能力者人口は……」
不毛な事を呟きながら、ハヤトは頭をガシガシと掻く。女顔のハヤトが女性の少なさに嘆いている光景は、傍目に見て何だか奇妙だった。
「はいはい。悩んでも仕方の無い事を考えている暇があったら、とっとと仕事を終わらせようぜ」
「うぅ~……世界は不公平だー!」
腐るハヤトを引き摺りながら、光一はビルの中へと入っていく。
その時彼は、「あれ? 俺、こいつに頼まれてここに来たんじゃなかったっけ」と、役目が入れ替わっている事に気付いたのだが、すぐに「ま、いっか」と考えるのを止めていた。
- 375
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:17:31
- 「……うわ、これは……」
最上階である五階に上がったところで、ハヤトは思わず顔をしかめた。
五階は、それまでと明らかに風景が一変していた。
糸だ。右も左も、糸がまるで壁のように張り巡らされている。まるで糸のトンネルだ。
「なんだ、これ?」
「何ってこれ、どう考えても人間のやる事じゃないだろ」
そう言うと、光一は傍に落ちていた鉄パイプで糸に触れてみた。糸はねちゃ、とパイプに張り付き、恐ろしいまでの粘着力を発揮してそこから離す事が出来ない。
「ベッタベタやな」
「触るなよ、絶対」
「触るか、誰が」
このままでは進めないので、光一がレーザーを照射して焼き払う。熱光線が、文字通り道を切り開いた。
しかし糸は、五階のフロア全体を覆っているようだった。取り払われた糸の壁の向こう側にも、糸が張り巡らされているのが見える。
「ここのフロアが、敵の巣になっているわけだな」
「何も、街中のこんなビルに住みつかなくてもな……」
そう思い、ハヤトが一歩足を踏み出した時だった。ゴリ、と何かを踏んづけた。
「ん、なんだぁ?」
石か、或いはコンクリートの塊でも踏みつけたか。その程度に思っていた。
それは骸骨だった。虚空になった瞳が、ハヤトを見つめている。
「いいっ!?」
思わずハヤトは仰け反る。アースセイバーに所属してそれなりの修羅場を経験しているつもりだったが、人の死体、というか、生の髑髏を目にするのはこれが初めてだった。叫び声がフロア全体に響き渡る。
「……たぶん、怪物にやられた死体だな」
光一は髑髏の傍に近付くと、手を合わせた。思わずハヤトも、それにならって手を合わせる。
「……怖くないのか?」
「……怖いよ。死体を見て人間が怖いって思うのは、そこに死を見るからだろうな――だけど、もっと怖いものが現れたから、そうも言ってられない」
ギチギチという音を立てながら、フロアの奥から何かが近付いてくる。
「……おいおい、昨日の蝙蝠男だけでも十分ぶっ飛んでたっつーのに……今度は何だ? 蜘蛛女かよ」
現れた怪物の姿に、ハヤトは冷や汗を浮かべる。思わず自分の顔が、引きつり強張っているのが分かった。
彼の言葉通り、それはまさしく蜘蛛女と形容すべき姿だった。下半身は巨大な蜘蛛のような形をしていて、六本の足でそれを支えている。その一方で、上半身には裸の女の体がついていた。ただ、ウイルスによる影響なのか、頭は蜘蛛のように変形していて、皮膚が硬質化を起こしているのか所々皹が入っている。
蜘蛛女は二人の姿に気付くと、「キシュー!!」と言う奇声を上げながら二人の方へと向かってきた。目測でも、蜘蛛女は五メートル近くある。それが突っ込んでくるのは、ライオンが突っ込んで来た時の威圧感がまだ優しいと思える位だった。
「ハヤト、一つ下まで降りるぞ! この場所じゃ、相手の方が有利だ!」
「んな事言われなくても分かってるって!」
このままそこに留まっていたら、ただ押し潰されるのを待つだけだ。二人は踵を返し、慌てて階段を駆け下りていく。
- 376
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:18:16
- 「キシュー!!」
「うわっ!? あいつ、入り口ぶっ壊したぞ!?」
「女のヒステリーって怖いな! 口説いて落ち着かせたらどうだ、ハヤト!?」
「悪いけど、俺あの子好みじゃない!」
「同感!」
軽口を叩き合いながらも、二人は滑り込むように四階へと降り立った。振り返って身構えると、それに遅れる形で蜘蛛女が現れる。
「食らえ!」
抜き打ちで、光一がレーザーを放つ。出会い頭の一撃が功を奏したのか、それは狙い過たず相手の腹に命中した。
「よっし!」
自身の攻撃が効いて思わず光一がガッツポーズを取る。しかしダメージになっていないのか、蜘蛛女は六つの複眼でギロリと光一を睨んだ。
「うぇ!? き、効いてない!?」
「こいつら、結構タフって話だぜ! 此間もそうだった!」
前回、リオトと蝙蝠型の怪物の戦いを少しハヤトは見ていた。リオトの攻撃、血液噴射を利用したショットガンを怪物はまともに受けていたが、それでも起き上がって広範囲に超音波を放射する程の耐久力を見せた。生物としてのスペックが元々高いというのもあるが、一方で怪物には再生能力が備わっている。生半可な攻撃では、簡単に倒れてはくれないだろう。
「おい、光一! 何時のもやつ、どかーんとやれないのかよ!?」
「馬鹿言うな! こんな街中で最大出力で撃ってみろ! 大騒ぎになるぞ!」
「何も最大出力で撃てとは言ってないだろ! この蜘蛛女をぶっ飛ばす位でいいんだよ!」
「まだ加減が出来ないんだ! 最小か最大か、どっちかしか撃てないんだよ!」
「あーもう、何でそんなに中途半端なんだー!!」
言い争いながらも、流石は同じアースセイバーの所属と言ったところか。二人の連携に淀みは無い。
ハヤトが両手に持った短剣で相手を牽制し、それによって隙を作る。そうして出来た隙を見逃さず、光一がレーザーを撃つ。
光一を蜘蛛女が狙おうとすれば、ハヤトの短剣が襲い掛かってそれを防ぐ。逆に、ハヤトを攻撃しようとすれば、光一のレーザーが容赦無く襲い掛かる。
蜘蛛女の動きは巨体とは思えない程素早いが、ハヤトはその動きについて行っている。無理に相手に合わせようとはせず、最小限の動きによって攻撃をかわしている。能力を除けば常人並みの身体能力しか無いハヤトにこれだけの動きが出来ている事に、内心光一が舌を巻く。
(あいつも、ただ平和を貪っているだけじゃないって事か……!)
しかし、凄いのはハヤトだけではない。光一も光一で、彼が放つレーザーはハヤトにかすりもしていない。その一方で、その攻撃は的確に蜘蛛女だけを捉えている。高速の白兵戦を繰り返す一人と一体の中から、的確に味方と敵を識別し、しかも流れ弾を起こさずに敵だけを狙う。並大抵の芸当じゃない。
「やるじゃねぇか、光一」
「まぁな」
蜘蛛女から距離を離し、ハヤトは光一の傍で一息つく。光一は指を向けながら、蜘蛛女がいつ何を仕掛けてきてもいいように睨みを利かせる。
「……だけどこれ、ジリ貧じゃね?」
「確かに、決め手に欠くな。この状況は」
二人のコンビネーションは見事で、蜘蛛女に付け入る隙を与えさせない。しかしその一方で、二人の攻撃が蜘蛛女に通用していないのも事実だ。多少の傷は瞬く間に修復されてしまい、致命傷には至らない。
- 377
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:18:51
- 「ったく、おっかしーなー。一発は胸に当たったのが見えたんだけど……」
「さて、マジでどうしたもんか」
二人が思案顔を浮かべていると、蜘蛛女が自分の下半身をこちらに向かって向けてきた。その姿勢が何を意味するのかに気付き、慌てて二人はその場から離れる。
「うわっ!?」
二人が避けた直後だった。蜘蛛女の尻の先端から糸が放出され、それが真っ直ぐに伸びて張り付く。そこは今まで二人がいた場所であり、そのまま立っていたらどうなった事か、想像するのは難しくなかった。
「うげ、きったねぇ……えげつねぇ事しやがる……」
「いよいよまずくなったな。あの攻撃を使われ続けたら、その内逃げ場が無くなるぞ……」
二人の脳裏には、この上にある階層の光景が浮かんでいた。蜘蛛女が糸を吐き続ければ、この場所もああなってしまう。そうなれば、自分達に勝ち目は無い。
「ちっくしょー、どうしたら……」
そこまで言いかけたハヤトは、ハッと何かに気付いたように固まった。それからじわじわと、彼の口元に笑みが浮かんでくる。それは歓喜から来るものではあるが、一方で彼の表情は緊張で強張っているようにも見えた。
「なぁ、光一!」
「なんだ!?」
「俺達の攻撃、「横」に使ったらまずいんだよな!?」
「ああ!? どう言う意味だ!?」
「だから、「横」! 俺達から見て前方に向けて撃ったら、射線上にあるものが巻き込まれる。だからここじゃ使えない、そう言う事だよな!?」
「ああ、そうだ! そう言う意味だ!」
「――りょーかい!」
そう言うな否や、ハヤトは蜘蛛女目掛けて突っ込んでいく。突然の彼の行動に、光一は驚いた。
「おい、ハヤト! 何をする気だ!?」
「俺がこいつをぶっ飛ばす! だから、ちょいと手伝ってくれ!」
「能力を使う気か!? 止めろ、周りを巻き込むぞ!」
「大丈夫だ、俺を信じろ!」
「……ったく、どうなっても知らないからな!」
突進してくるハヤトを捉えようと、蜘蛛女が次々に糸を吐き出してくる。それをハヤトに当てさせまいと、光一はレーザーを使って糸を撃ち落す。
少しずつ蜘蛛女に近付いていく。そして間近まで来ると、直に捉えようと今度は手足が伸びてくる。ハヤトはそれをかわし、或いは短剣で弾きながら尚も前進する。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
最終的にハヤトは、蜘蛛女目掛けてスライディングで飛び込んでいた。彼の体はざざっ、とコンクリートの床の上を滑っていき、そして丁度蜘蛛女の真下に滑り込む形で止まった。
「おお、いい眺め」
蜘蛛女がハヤトを見とめ、押し潰そうと足を上げる。
だが、もう遅い。
「避けんじゃねぇぞ……こいつ使うとな、しばらくノドがヒリヒリするんだよ」
そう言うと、ハヤトは思いっきり息を吸い込んだ。己の肺活量いっぱいに息を吸い込み、そして雄叫びを上げるように口を開く!
「……――ッッッ!!!!」
声無き叫びが、空気を切り裂き、空間を切り裂く。圧縮された音波が「姿無き」斬撃となって蜘蛛女へと襲い掛かり、そして射線上にあるすべてのものを穿っていく。その威力は凄まじく、何と蜘蛛女の身体を貫いて尚も威力を保ち、四階の天井を貫いて五階の床から飛び出す程だった。
「…………!」
閉鎖空間で使用した結果なのか、部屋内の空気がビリビリと振動している。やがてどうと言う音がして、蜘蛛女の亡骸が倒れた。
- 378
:akiyakan:2011/02/08(火) 23:19:23
- 「ハヤト!」
蜘蛛女の死体に押し潰される形になったハヤトを心配して、慌てて光一が駆け寄る。見ればハヤトは蜘蛛女の下から出ようともがいているところであり、光一が手を貸してやるとようやく彼は外に出られた。
「うえ、きったねぇ……蜘蛛女の返り血浴びてべったべただぜ……」
「シスイに比べれば、それ位で済んだだけありがたいだろ」
「まぁね」
二人は顔を見合わせると、どちらからともなく笑みを浮かべた。
「「お疲れ」」
そう言って、互いに手を叩く。
すると、その時だった。
「……な、なんだ!?」
何やら、ビル全体が揺れている。まるで地震でも起きているかのようだ。
「これって……」
「嫌な予感だ……」
そして、その予感は的中する。
『速報です。本日未明、○○地区にあったビルが謎の倒壊をしました。現在、警察の手で詳しい調査が行われていますが、おそらく老朽化によるものだと伝えられています。尚、この事故による怪我人は出ておらず……』
「……嫌な予感の正体はこれか」
その日シスイは、夜のニュースでそれを目にし、思わずため息をつくのだった。
- 379
:サイコロ:2011/02/09(水) 02:05:37
- >>akiyakanさん
そうですね、最近シュウトやタカコが目立ちましたので。
と、いうわけで早くも次のショウゴ編です。
使用させていただいたキャラは、
闇野光一、都シスイ、アラタ、ハヤト、火波スザク、蒼崎啓介の6人と、名前だけトキコちゃんです。
akiyakanさんには申し訳ないのですが、お先にシスイ君を使わせていただきました。すいません。
<汰狩省吾の勧誘。>
「ここにいるメンバーが我が部に入ってくれたら、間違いなく次の大会で優勝する事が出来るはずだ!」
道場にいるメンバーに向かってショウゴはそう言った。
闇野光一、都シスイ、アラタ、ハヤト、火波スザク、蒼崎 啓介。
「・・・なぁ、ここにいるメンバーってもしかしなくてもこの間のメンバーだよな。」
ぼそっと隣のスザクに耳打ちするシスイ。
ケイスケがショウゴを睨んだ。
「おい、嫌な予感はしてたけどどーして俺らなんだ?」
「ん?実践慣れしてる連中は武道を習わせると強くなるんだこれが。
だから皆に強くなって貰って、ついでに俺もスキルアップして、柔道部にとって一石二鳥じゃないか。」
スザクが溜息をつく。
「どうして僕達が実践慣れしてると?」
「んー・・・そういう連中には決まってある癖があったりするんだよ。例えばさー…」
ショウゴはつかつかとシスイに近付くと、手を掴んだ。
「な、何だよ!」
「お前の握り拳。良く良く見てみりゃわかるだろ、手の甲の指の関節が真っ平らだ。
何か堅いもんとかを何度も殴らにゃこうはならない。それと同じで、
ちょっとした体の動きとかでなんとなくわかるもんなのさ。
まぁ、そんなとこだ!というわけで入部してくれ!」
コウイチは眉間を抑えながら言った。
「僕は剣道の方をやってるので柔道はお断りさせていただきますよ。」
そう言うと出口に向かう。
続いてケイスケも出口へと向かう。
「俺は縛られるのが嫌いなんで。どうもこういうのは性に合わないんすよ。」
アラタも。
「今日妹からの手紙が来るんで帰ります。あと用事もあるんで。」
ハヤトも。
「俺汗くっさいの嫌なんですよねー。」
残ったのは・・・。
「シスイとスザクだけか・・・。」
シスイがショウゴを見据えて、問いただした。
「なぁ、アンタもしかしてこの間のあそこにいたのか?」
それに対してショウゴはすっとぼけて返す。
「あそこ?何言ってんだ、さっき言っただろ。決まった癖とかを」
「嘘だね。」
今度はスザクが返す。
「だったらこの場にはもっと沢山いたっておかしくない。あんなに限定的なメンバーを集められたら誰だって気付く。」
「やれやれ・・・参ったな、それで?俺がストラウル跡地でスザク達の戦争を見ていたといえば満足か?」
「本当の目的は何なんだ?害を及ぼすなら皆が居た時にやってるはずだ。教えてくれるんだろ?」
ショウゴは柔道着の帯を絞め直した。
「それにはもう答えた。第一にスキルアップ。個人的な見解だが、柔道や武道を学び訓練する事は闘いにおいて役に立つ。
・・・まぁ第二は、柔道部の部員集めだ。人がいないからな。」
シスイは指を鳴らしながら言う。
「具体的には?」
「そうだな・・・まずは、正確な受け身の取り方から始めたらどうだろう。それだけでも随分衝撃が減らせる。
あとは、正面から殴る事だけじゃなくて相手の力を利用する事かな。」
「利用?」
「ああ。殴られる時の対応はいくつかあるがシスイはいつもどうしてる?」
「場合によって違うけど…まぁ、リスクの少ないように避けてから殴り返してるかな。」
「よし、んじゃちょっと殴ってみてくれ。結構強めでいいぞ。」
シスイが構える。ショウゴは自然体で、ちょっと足を曲げた感じだ。
「ふっ!」
正拳突きがショウゴの胸のあたりに迫る…が。
「ヤァ!」
その正拳突きをすっと掴むと、姿勢を低くし流れるように一本背負いを仕掛けた。
「なるほど・・・。」
「こんな感じで戦えば、力のぶつけ合いより負担は軽く済む。体力の消費も少ないさ。」
スザクがその会話に割り込んできた。
「教官気取りか。気に入らないよ。」
「そんなこと言っちゃいないさ。代わりに実戦の稽古をつけてほしいんだよ俺は。
・・・ああ、言い忘れてたけどたまにケイイチとかトキコちゃんとかも来てるんだよ。大会がもう楽しみでさー。」
二人が顔を見合わせる。
「トキコが!?」
「ケイイチさんが!?」
「うん。まぁ、そういうわけで柔道やんない?」
- 380
:しらにゅい:2011/02/09(水) 19:01:49
- 増えてるぜワッホーイ!!というわけで感想を書かせて頂きます。
>>355 人は誰しも黒歴史を持つものでやはりシスイ君にも若い頃があったのだなぁ、
ムフフとほくそ笑ませて頂きました・・・ってまだまだシスイ君若いのにそんなこと
言ってしまっていいのだろうかwwwそしてウイルスのキャリアー・・・うーん、その
正体が分からない現状だと、案外身近に潜んでいると疑っても仕方ありませんよね・・・
シスイ君の「自分が感染するかもしれない。」「仲間が感染するかもしれない。」という
不安ももっともです。最悪な未来になる前にトメルノデス!!(`・ω・´)
>>373 ハヤトから漂うコウスケ臭!まさしく俺得!!そして光一君がナイスツッコミ役!
蜘蛛女を見ての二人の軽口が逆にかっこよくて個人的にツボでしたwこのコンビの共闘話は
また見てみたいですねぇ(*´∀`)やっぱり最後はハヤト君の仕業ですかね←
>>357 おぉー!ののかちゃんの発症話後の話ですね!うちのタマキが知らないところで
すっごい奮闘してる・・・そしてマサムネも一緒に出演させて頂いてありがとうございます!
ののかちゃんの発想が微妙に怖いwwけどタマキを傷付けたにも関わらず、敵でも気を
使っているのがののかちゃんらしさですね。一度は人を殺めてしまった力でも今度は守る
為に使いたい、今のののかちゃんはシスイ君と同じくらいかっこよく見えますよー!
こう来たらもう次はウツロ君と接触するしかない(ry
>>361 糞教師ゴラァァァ(#゜Д゜)ァァァア!!!こいつは下っ端の下っ端というかもう
出来ることならトキコを使って(*見せられないよ!><)
にしても氷の剣がかっこいいなぁ・・・凪さん様になってますぜ!
>>369 タカコ は 下っ端 から おかあさん に クラスチェンジ した !▼
みたいな感じになってしまいましたが大丈夫でしたでしょうかヒイイイ(;´Д`)
あの激戦を第三者の視点から、というのもなかなか面白いですね!タカコさんの役割も
またいいですなぁ・・・把握されていない能力者達の多くは若い学生さんですからね、
未来を奪うわけにもいきませんし・・・
しかしその場にトキコが居合わせたのが不運でしt(ry
>>379 ギブアンドテイク、というわけですねショウゴさん(*´∀`)ウフフ
自分も出来る限りの助力をしつつも実戦経験がない為に稽古をつけて貰う。大会
出場があくまで第二の理由・・・いやぶっちゃけこっちが本命では!?(ぇ
- 381
:スゴロク:2011/02/09(水) 19:05:42
- >akiyakanさん 都シスイの仕事もようやくひと段落ですね。ですが、まだまだ期待してますよ、フフフ。
おお、シスイが羨ましがられてますね。美人の戦友……なるほど。
>サイコロさん おお、ショウゴが見ていたんですね。しかし、実はタカコ先生に妨害されたおかげでスザク達が勝てたと言う。
スキュアロウ、私の中では単独にしないと勝ち目がゼロな相手なので。ところで、ゼアの名前がアルファベット表記なのは理由が?
あと、シュウトの能力の使い方でちょっと悩みました。紐が武器→援護が仕事、というイメージがあるので、今回はとにかく支援に回っていただきました。
(六x・)さん>凪の発症編ですか。ホウオウグループがどうこう言う前に人間としてどっか行っちゃってますね、教師。多分末端の末端なんだろうなぁ。
発症直後の凪がカッコいいですねぇ。冷徹、って感じで。……もうちょっと別の表現ないのか、自分。
では、私も一つ書いて見ましょう。「勧誘」の続きということで。
歪みと共に、弱さを友に
汰狩から柔道部の勧誘を受けた。だけど、残念だがそれは出来ない。
「……せっかくだけど、僕にはやることがある。それは本来、他の何をおいても優先しなければならないんだ。だから、僕は入れない」
「そ、そうか……」
勧誘を断られた汰狩ががくっ、と項垂れる。相当見込んでくれていたらしいが、あいにく部活で時間を取られている余裕がない。まして大会となると、ますます「奴」を探す
のに時間が割けなくなる。
「まあ、実戦訓練についてだったら少しは相談に乗れるから、時間が空いたら声かけてくれ」
「仕方ないか……そうするよ」
トキコについては伏せた。この学校であいつがホウオウグループだということを知っているのは、僕の他には、恐らくノルンとその相方、そして他にもいるだろうメンバー。
まさか、シスイと汰狩の前でそれを言う訳にもいかない。特にシスイが深刻だ。もしこの事実を知れば、完全に戦意が折れてしまう。現状、それは避けたい。なんとしても避
けたい。
「そういうわけだ。じゃあ、これで」
言い切って、足早にその場を去る。汰狩の言う事は確かに正しかったが、シスイはともかく僕の場合、どこか特定の場所に縛られて動けなくなる、という事態が一番怖い。「
奴」の動向や狙いがまるでわからないからだ。つまりそれは、何が起きるか、何をするかわからないという危機感に繋がる。
一刻も早く発見し、せめて何をしているのかくらいは明らかにしなければ。
言い訳になるが、「実戦に勝る訓練なし」だ。その点で言えば、僕は十分だ。それに、格闘術に関してなら、ゲンブ仕込みの腕前が在る。――――特殊能力の撃ち合いになる
僕らの戦いで、どれだけ役立つかはさておいて。
「……だから、全てが終わったらまた行くよ」
- 382
:スゴロク:2011/02/09(水) 19:07:39
- 「……というわけだ」
帰宅したあと、僕はゲンブに連絡を入れていた。念のためだ。
『なるほど。それで、ランカのために断わったのか』
「僕個人の事情も少しはあるけど。まあ、そう言う事かな」
『ふん、まあいい。それよりも』
「衝動か? トキコか?」
定番となった質問にうんざりしながら聞き返すと、変わらぬ調子で声が返って来た。
『両方だ。必要以上に入れ込んで、また再発させていないだろうな』
「大丈夫だ。……まあ、トキコに対しては抑える気はないぞ。いずれは敵だ」
『今は?』
相変わらず端的に弱点をついてくる。僕に仕込んだ格闘術もそうだが、短いセンテンスで言い逃れを許さない。多分、ゲンブが言い負かせないのはランカとののかくらいだろ
う。
「……ただのクラスメート、だ」
仏頂面でそう言うと、電話の向こうから即座に否定が返って来た。
『違うな。どんなに取り繕おうと、どんなに自分を欺こうが、結局は一つの答えに行きつく。スザク、はっき言おう』
そして、ゲンブは僕に突きつける。
『お前は、トキコに対し親近感、そして恋情に近いものを抱いている』
「ッ!!」
『普段嫌ったり、邪険にしているのは、いわば同族嫌悪。お前は、それに気付かない振りをしているだけだ』
「……違う」
震える声で言うが、言葉にならない。
『一条寺 正人への思慕も、逃避に過ぎない。事実から目を逸らそうとして、トキコと真反対の相手を無理に意識した。それだけだろう』
「違う……」
拒絶が、拒否が、できない。
『命を取り合う約束を交わしたのは、そうすることによって繋がりを持とうとしたから。内容が殺し合いなのは、それによって「相手がより強く自分を意識する」からだ。ま
して、相手が相手だ。衝動をぶつける上では最適だろう』
「違う!!」
逃避を、拒絶を、ゲンブは許さない。容赦なく、僕に現実を突き付けて来る。
『違わない。お前は逃げている。衝動と向き合うことを拒否し、強い自分である「スザク」に逃げ込んでいる。それでは何も変えられない。それでは何も掴めない』
「う、うう……」
『……向き合え、綾音。弱い自分を殺すな。押し込めるな。それは、お前自身を追いつめることだ』
ゲンブの言葉は、僕を案じるがゆえだ。だからこそ、心に突き刺さる。
『強さを捨てろとは言わん。ただ、弱さを受け入れろ。そして、なぜ自分に殺意が根付いているのか、考えろ。その先に、光がある』
「…………」
『綾音、逃げるな。弱さを表に出す必要はない。それも自分だと、受け入れろ。区別をするな。自分で自分を区分けするな。それは何も生まない。自分を支える柱を、崩すだ
けだ』
「……………」
答えが出て来ず黙っていると、ゲンブは最後にこう言った。
『すぐには難しいだろうが、少しずつでも弱さを許容しろ。弱いということは、恥ずべきことでは決してないのだからな』
「…………わかった」
『いい答えだ。では、またいずれ』
- 383
:スゴロク:2011/02/09(水) 19:08:09
- それを最後に通話が切れた。しばらく携帯を見つめた後、パタン、と閉じる。そして、ベッドに転がって考える。
(……僕の弱さ、か)
確かに、言われてみれば逃げていたのかもしれない。正人を好きになるのとトキコと関わるの、どちらが先かと言えば後者だ。自分と似た空気を持つトキコを見ると、衝動に
呑まれる弱い自分を見ているようで嫌な気分になった。だからこそ、それを忘れさせてくれる正人に惹かれた。
――――それが本当に恋と呼べるものだったのか、今はもう自信がない。
僕はただ、すがっていたのかもしれない。強い自分である「スザク」に拘るあまり、弱い自分である「綾音」を殺していた。だから、弱さを映さずに済む、都合のいい「鏡」
を探していた。それに当てはまったのが、たまたま正人だったというだけ。
(滑稽な話だよ、な)
そして、トキコ。――――そうだな、認めよう。あいつは敵だ。そして、僕はあいつが好きだ。
だから、僕はあいつの命を欲した。いや、正確に言えば、トキコと命を奪いあうことを求めた。それによって、無意識に繋がりを持とうとした。
だけど、それに気づきたくなかった。自分が歪んでいることを、認めたくなかった。だから、僕はトキコに対して嫌悪を抱いた。あくまでも、上辺だけで。そして、それが全
てだと思い込んで、割り切っていた。いや、割り切ったつもりでいた。
(………なんだ。全然ダメじゃないか)
認めてしまえば楽なものだ。火波 スザク。トキコに好意を抱き、ゆえに命を奪いあおうとしている。
端的に言って、それが今の僕の全てだ。逃げても、否定しても、しょうがない。
受け入れてやろう、それを。僕という人間はそれが本質だ。結局、あいつとはそういう形でしかわかりあえそうにないし。――――他に方法はないか、とどこかで願っている
のも事実だし。
(まあ、何も変わらないけどな)
だからと言って、劇的に何か変わるわけでもない。認めただけで、僕は僕のままだ。人間関係も変わっていない。恋かどうかはともかく、正人は個人的に嫌いじゃないし。明
日からも、多分いつも通りだ。衝動に呑まれないように、精々まで頑張るとしよう。
ただ、
(……ちょっとくらいは、優しくしてやってもいいかな)
「まったく、いくつになっても手間のかかる」
某所。スザクへの説教を終え、通話を切ったゲンブは、携帯を閉じないまま別の人物に通話を繋げた。
短縮でかけたその相手は、画面に「ALMA」と表示されていた。
幾度かのコールを経て、通話が繋がる。
『ゲンブさん? 何ですか、俺はこれから晩飯なんですけど』
「それは悪いな。だが、スザクについて聞こうと思ったんだが」
『なるほど、それでですか』
言われたアルマは、包み隠さず最近の様子を話した。それを聞き、ゲンブはふむ、と考える。
「鍵を握るのは、やはりシスイか。あるいは奴こそが、スザクを本当の意味で救えるのかもしれん」
『一理ありますね。向こうがどう思うかですが』
「そうだな。まあ、しばらくは静観といこう。この際だからスザクにはきっちり釘を刺しておいた、当分大丈夫だろう」
『わかりました。では、これで』
会話を打ち切るアルマに、ゲンブは伝える。
「……俺はまだ、やらねばならんことがある。スザクを頼むぞ、アルマ」
「ええ。わかっていますよ、ゲンブさん」
電話の向こうの上司に頷き、アルマは通話を切った。やれやれ、と体をほぐし、食事にしようとダイニングに向かう。と、今度は備え付けの電話が鳴った。
よくよく忙しい日だな、とアルマは受話器を取り、名乗る。
「はい、一条寺です。―――ああ、正輝? どうしたんだ、こんな時間に」
――――それぞれに、一歩を踏み出す。
余談。
「……よく考えたら女同士だよな? うわー、何してるんだ、僕」
頬を押さえるスザクであった。
というわけで、スザクを巡るあれこれを書いてみました。
- 384
:しらにゅい:2011/02/09(水) 19:41:13
- 「タガリせーんぱいっ」
放課後の柔道場。ショウゴが一人自主練に勤しんでいると、不意に少女の声が聞こえた。
まったく知らない声でもなかった。数日前ぐらいに自分の足を掴んで振り回し床にたたきつけた張本人であり、
時々ケイイチを連れてくる仮部員であったからだ。
「・・・トキコちゃんか、何か用かい?」
「・・・・・・・・・」
潜んでいたかのように夕闇の中から朱色の少女、トキコが現れた。
問い掛けられた彼の問いには答えず、ただクスクスと笑うだけ。
その様子にショウゴは変な悪寒を覚えたのであった。
楽しそうにケイイチを投げて笑っていたあの時の笑顔とはまた別の笑顔・・・
それは何故か、自分を殺したあのチンピラの笑みと似たような感じがした。
「タガリ先輩は偉いですねー、活動日じゃなくても練習ですか?」
「ああ、日々の鍛錬を怠ってはいけないからな。」
「ふーん・・・」
「・・・それだけか?悪いけど、練習に集中したいんだ、だから・・・」
「先輩、私と勝負しましょう。」
「何?」
「だから、勝負です。」
「・・・それはこの前したじゃないか。」
「違います、今度は能力を使って、の勝負です。」
「・・・!?」
いよいよ悪寒が確信へと変わった。
自分がこの子は能力者ではないかと薄々考えていたが、
相手はこっちが能力者であることはすでに把握していたと言わんばかりに堂々と言い放ったのだ。
それに、先程から自分の身の周りを支配する空気・・・いや、殺気がトキコから放たれている。
嫌な考えばかりが頭を過ぎる。
それでもその空気に呑まれないよう、ショウゴは言葉を発した。
「・・・何故俺が能力者だと?」
「タガリショウゴさん、貴方は一度死にましたよね?ストラウル跡地にて行われたサバイバルゲーム参加、
坂下商会の卑劣な手段に陥り、仲間諸共射殺される。しかしその後、タガリショウゴのみナイトメアアナボリズムが発症。
『射弾の悪夢』・・・ですかねぇ。ちなみにその根拠は、はからずとも非常に友好的に協力してくれた、
生存していた坂下商会のメンバーによる発言からです。」
「!あいつらの中に生存者がいたのか!?」
「その発言から、今の事実は肯定とみなします。」
「く・・・」
しまった、迂闊に反応するんじゃなかった、とショウゴは後悔した。
そんな彼の様子には気をかけず、トキコは言葉を続けたのであった。
「でも、とても残念なことに彼は死んじゃったんです。
たまたま起きた火事に巻き込まれて、ね。」
「・・・・・・・・・」
残念だと言いながら笑うトキコを見て、ショウゴは確信した。
あの日、異臭を漂わせ横を通り過ぎた少女は紛れてもなくこのトキコであると。
そして、ニュースで見たあの火事は今の言動から察すると、証拠隠滅の為の火災であったのだろう。
そんなことを平気でやってのけてしまう少女が、同じ学生であること自体が信じられなかった。
・・・しかし、元より思い当たる節はいくつかあったのかもしれない。
「それでタガリ先輩、戦いますか?戦いませんか?」
「断る。」
「何故?」
「戦ったところで何のメリットもないからだ。」
「そうですか~、それは残念。」
トキコは笑いながら、さも残念そうにそう言った。
そして、無造作に投げられている竹刀に手をつけた。・・・竹刀?
- 385
:しらにゅい:2011/02/09(水) 19:41:51
その柄を持つと、いきなりショウゴに向けて投げてきた。
間一髪、で避けたもののその先の壁には竹刀が半分以上埋め込まれた状態で、
かつ垂直に刺さっていた。
「おい!危ねーじゃねーか、っいぃ!?」
間髪いれず、トキコは続けて竹刀を投げてきた。
強靭な力で投げられるそれは最早竹刀というより槍に近い、しかも刺さったら致命傷は避けられないだろう。
竹刀がある限り、この猛攻を避けるに限る、のだが・・・
「受けてるだけじゃ、現状を打開出来ないんだよ!!」
ショウゴはそう叫ぶと、柔道着の中に忍ばせていたハンドガンを手に取った。
その銃口を飛んでくる竹刀向けて、発砲した。空気の弾で弾かれた竹刀はトキコとショウゴの距離半分の辺りで弾かれ、
ショウゴは直撃を免れた。続けて投げられてくる竹刀を打ち壊し、徐々にトキコまで追い詰める。
「・・・ふぅん。」
手元の竹刀がなくなり、攻撃手段がなくなっても尚余裕の笑みを浮かべるトキコ。
見えない弾を交わしながら、ショウゴとの間を詰めてくる。
(接近戦か!だとしたら・・・)
ハンドガンを仕舞い、構えを作る。接近戦であれば柔道で攻めるのが彼の手法だ。
ある程度、この間の試合で彼女の動きを把握しているので彼には余裕があった。
しかし、トキコは接近してくるとそのまま掴みかからず、有り得ない動きをしたのであった。
「っは、ぶ!!?」
つま先で床を蹴ったかと思えば、そのまま畳を蹴り飛ばしてきたのだ。
それも、自分の足元にあった畳を、だ。有り得ない、どこにそんな脚力が・・・しかしそんな考えをする暇さえトキコは許さず、
そのまま蹴り上げた畳の上に飛び乗ろうとした。
嫌な感じが、ゾクリ、と背筋を走った。
「っ・・・・・・!!」
ズドォォォォン!!!!
…ショウゴの読みは当たった。トキコはあの時、畳ごと自分を踏み潰そうとしたのだ。
だから自分は畳に与えられた衝撃に耐えながらも横へと回避した。
たった今自分がいた箇所には、トキコによって綺麗に穴が開いていた。
痛みに気をとられていたら文字通り、踏み潰されていたかもしれない。
「・・・流石、経験者は違いますね。」
クスクス、とトキコが笑う。
嘲笑いながら自分を殺そうとする目の前の人物にショウゴは怒鳴った。
「っいきなり何するんだ!?」
「何って、先輩を試したんですよ?」
「はぁ!?」
「先輩のその能力が使えるかどうか。いいですねぇ、見えない弾であれば2,3発当たったりしないと弾の感覚を掴むことは出来ませんし、
正体の分からない内はほぼ無敵に近いかもしれませんね。それって、実弾とか込めたらどうなるんでしょう。」
淡々と、淡々と。まるで実験動物を見ながら結果を考察する科学者のように、トキコは感想を述べた。
本当にこの少女は、この前自分が接触した無邪気な女の子なのだろうか、と無性にショウゴは疑いたくなった。
すると、トキコはショウゴの足元に何かを投げてきた。…実弾だ。
「…な…」
「タガリ先輩、能力を使って撃ってみてください。」
トキコはそう言って、無防備に立ち尽くす。
はたしてこれは挑発なのか、それともただの死にたがりなのか。
どちらにせよ、すぐ弾を込めて撃つ、そんな真似は正義感の強い彼には到底出来ないことであった。
いつまでもそれを手に取ろうとしない彼にトキコは言った。
「大丈夫ですよ、私は死にません。それに…これは『実験』なのですから。
先輩がはたして、我々に値する人間であるかどうか。」
「………」
「早く動かないと、また先輩襲っちゃいますよ?」
クスクス、とまた無邪気に彼女は笑う。
自分を撃つか、死の瀬戸際を味わうか。
「…(わざと、はずせばいい。)」
自分は確かに銃を撃つことに躊躇いがあるわけではない。
だが、人を撃つ・・・いや、殺す為に自分は銃を握っているのではない。
例え、今目の前に立っている後輩が自分を殺そうとしていても、だ。
ショウゴは足元の実弾を手元のモデルガンにふたつ込めると、トキコへ銃口を向けた。
狙われた少女は、尚も笑っていた。
「…先輩、はずさないでくださいね?」
撃つ直前、ショウゴの考えを見透かしたかのように、トキコは呟いた。
- 386
:しらにゅい:2011/02/09(水) 19:43:05
____パァンッ!!
「…な…!?」
「せんぱーい、駄目じゃないですかぁ。学校の備品壊そうとしちゃ。」
それはお前も同じだろう、と突っ込みを入れたかったが、それ以前にショウゴは目の前の光景に驚いた。
確かにショウゴはトキコの横を狙って撃った。しかしトキコはそれを逃さず、自ら当たりにいったのだ。
当たりにいった、というよりは掴みにいったという表現の方が正しいのかもしれない。
掴まれた弾丸は、今彼女の手中にある。その手の間から空洞はおろか、血さえ見られなかった。
この光景を、並みはずれた運動神経、では済まされるのであろうか。
当たりに行く意味もわからないし、何故弾丸を握り潰すことが出来たのかも説明がつかない。
トキコが手を開けば、中には砕かれた弾丸があった。
「それにしても凄いですね、常人なら手に穴が開くところでしたよ?幸い私も能力者でしたから、
手がぶっとばずに済みましたけど…」
「…お前も能力者、か。」
「はい、でもどんな能力かは秘密です。」
指先を自分の口元に当てて、秘密、とまた無邪気に笑った。
「まぁ、先輩がどんな人かはよくわかりましたので今日は退散しますね。」
「っおい!」
「それでは先輩、『テスト』までどうぞ鍛錬を怠らずにがんばってくださいねー。」
用が済めば、トキコはさっさと退散してしまった。
残されたのはひっくり返った畳と散らばった竹刀の残骸、そしてショウゴであった。
「『テスト』…?」
謎の単語も、ひとつ残して。
渉ノ章_タガリショウゴ編
- 387
:大黒屋:2011/02/09(水) 19:47:07
- さいきんのってる。熱が下がってからのりまくってる。
ということで、由衣たちのレストランの小話でも
名もない土地にある小さなレストラン。
レストランというよりは、カフェのほうが正しい気もしないでもない規模のこのレストランは、由衣達が来るまで女店長一人で経営されていた。
この女店長、実はウスワイア公認の能力者。
特別な許可を受け、能力者に手軽に利用できる食堂も兼ねて経営しているのだ。
由衣と奏がそれを知ったのは、引っ越して2ヶ月後。
彼女ら自身がしっかりと能力を認識した翌日だった。
「道理で女一人なのに被害0なわけだ。」
「能力使って撃退していたんだろうね。」
その日、店長は買い出しに出ていておやすみ。
店は由衣と奏の二人が経営することにした。
ちょうど昼時。店はほぼ満席となっていた。
「ゆーいちゃーん!かーなでちゃーん!」
突き飛ばすような勢いで扉をあけ、入って来たのは、由衣と同じ学校のトキコ。
「おー、いらっしゃい!今日も一人?」
「ちょっと、お姉ちゃん、お客さんなんだから。」
「いいっていいってw」
「ううん、今日はお友達も連れてきたの!」
トキコが入ってくる。その後ろからは白い長髪の女子が。
「珍しいな、友達連れてくるなんて。」
「…そんなつもりなかったんだけど…。」
友人の方が小声で言ったが、二人の耳には入らなかったらしい。
「奥の席が丁度開いてるぜ。」
「ありがと!注文はいつものね!」
そう言って、彼女は友人と奥についた。
- 388
:大黒屋:2011/02/09(水) 19:47:55
- 「…ねぇ、お姉ちゃん。」
「何だ?」
「ここにいるのは、皆能力者なんだよね。」
「…ああ。多分な。」
少なくとも、何人かは同じ学校の生徒で、そのうち何人かはクラスメートだ。
そして当然、能力者もいる。
しかし、それについて由衣は深追いしたことはない。
「自らの能力」があまりに悲しいため、他人の事情はきかないようにしていた。
それは奏も同じことだ。
好き好んで能力をつけたわけでない人がいることを、知っているから。
「ほい!オムライス一丁!ケチャップおまけしとくから!」
「ありがとw」
「お姉ちゃん、ここ屋台じゃないよ…;」
苦笑いをしながらレジを打つ奏。二人でも大変なこの業務を、店長は一人でやっていたのだから大したものである。
「あんまりかけると体にわるいぞ?」
「いいのいいのw」
そういいながらトキコは大量のケチャップをかけていく。
由衣は軽く笑うと、奥に戻って行った。
- 389
:大黒屋:2011/02/09(水) 19:48:34
- 付け合わせを炒めながら、由衣は考えていた。
もし、自分に能力がなかったら、こんな生活はしていなかっただろう。
もし、「ホウオウグループ」に目をつけられていなかったら、この街にこなかっただろう。
もし、店長が自分たちを拾ってくれなかったら、不良から抜けられていなかっただろう。
もし、もし、もし…。
考えればきりがない。
奏もこんな風に考えたことがあるのだろうか。
きっとまじめな彼女のことだ。
自分より前に考えていたかもしれない。
「由衣ちゃーん!おかわりー!」
トキコの声だ。もう食べ終わったのか。
由衣はふきだすと、卵をとりあげた。
今はこの生活を楽しもう。
直ぐにこの平和が崩れ去ろうとも、幸せだったといえる人生を送ろう。
そうだ、まずはちょっと豪華な料理をつくってみようか。
そして、私と奏と店長と3人で食べるのだ。
もし余ったら、学校の皆におすそわけ。
それだけでほら、幸せじゃないか…?
- 390
:大黒屋:2011/02/09(水) 19:50:54
- ということで、今回は「夏香由衣」「夏香奏」「氏型環(名前はでてません)」
そしてしらにゅい様の「トキコ」をおかりしました!
能力者が集うレストラン。
これからここを舞台に小話をときたまかいていこうかなとも考えていたり。
というわけで、お粗末さまでした!
- 391
:スゴロク:2011/02/09(水) 19:58:10
- >しらにゅいさん ついにトキコが動きだしましたね。
スザクは、シスイは、それに対してどうするのか。今から楽しみです。フフフ……。
>大黒屋さん 能力者の集うレストラン……なるほど、その発想はなかったですね。
面白くなりそうですし、期待してます。
- 392
:しらにゅい:2011/02/09(水) 20:09:51
- >>384 「始ノ章」の続編でした。
お借りしたキャラは汰狩省吾(サイコロさん)です!
まずお先に感想を・・・
>>381 色々とウォォォォォ(*゜∀゜)ォォォォォォオ!!!!なんですが!!
姐さんに愛されてるだとよトキコォォォォ!!!!← なんか姐さんが本格的に変わろうと
しているのが伝わってきますね。そしてゲンブさん、良い保護者っぷりです。彼でなければ
指摘出来ませんから、こんなこと。キーパーソンはシスイ君・・・か。なんだか佳境な雰囲気
ですねww非常にwktkしてまいりましたww
そして最後・・・ま、まさか君が・・・!?
>>387 これからの小話に使える良い場所が増えましたねw夏香姉妹とウスワイヤ公認の
能力者店長の小さなレストラン・・・そしてケチャップかけまくるトキコ、イメージ通りすぎるww
さり気なく不幸ガールな環ちゃんも出てましたね!トキコに巻き込まれるとは・・・不幸の名の通り
ですなぁ・・・いや、褒めてるんですよ!←
---以下あとがき---
慣れない戦闘シーンなんて書くんじゃなかった・・・!
後から見返すとウワァァァ(;´Д`)ァァァン!!!な気分になって引き篭もりたくなる・・・
最近トキコちゃんの方向性も危うくなってきた気がする・・・誰この子状態に(ry
ショウゴさんの能力はこんな感じに使ってよかったんですかねぇ´`;
弾丸掴めたのも床に穴空けたのもちゃんと同じ能力です。『破壊する』その目的であれば、
皮膚の硬度を高くすることも筋肉の限界まで強化出来るのも可なんです。だから矛盾は
多分ないはず(ry
シスイ君と似た能力ですが、あくまで『破壊する』ことを目的とした能力なので、
本人に破壊したい意志がなければ使えません。例えば守りたいとか避けたいとか。
凡用性があるのかどうか本人にもよく分からない能力です´`だから矛盾は(ry
『テスト』の意味は本編でコヨリが言ってたみたいな感じです。その対象を能力者に
したという、いわば品定め的な。調査→実戦→勧誘というのがトキコのやり方です。
でもぶっちゃけあまり気にしなくても良いですwwwはい、半分はノリですから←
- 393
:紅麗:2011/02/09(水) 22:28:39
今回はというか今回もというか…鶯色さんのハヤト君、しらにゅいさんのトキコちゃんをお借りしました!
場面的にはお昼にユウイがトキコと一緒に2-2に遊びにきた感じで…
※会話文のみ
久しぶりの笑顔
「ライブ」
「葡萄」
「ウサギ」
「牛乳」
「裏技」
「ざるそば」
「バランス」
「すき焼き」
「休日」
「漬物」
「ノート」
「トマト」
「年上」
「海老」
「病院」
「はいハヤトの負け」
「……げ!マジかよっ!くそ…つーかお前なんで食べ物しか言わないわけ!?」
「んなもんオレの勝手だろ」
「くっそこんにゃろう…」
「(メロンパンを食べる)」
「お前メロンパン好きだよなぁ」
「…本命は焼きそばパンだけどな。オレん中でメロンパンは二位」
「おぉ、焼きそばパン俺も好きだぞ!」
「 ! 旨いよな!」
「おうっ!最高だぜ!」
「「焼きそばパン良いよなー!!」」
「……あれ?」
「ユーイちゃんどしたの?」
「い、いや…リオトのあんな笑顔見たの久しぶりだから…ちょっとびっくりして」
「あー、リオ君て中々笑わないもんね」
「なんかね、表情の種類が少ないというか…」
「夏といえば?」
「かき氷」
「俺はスイカだな」
「ハヤトはスイカか。塩かける?」
「モチのロン!」
「だよなぁっ!かき氷は何味が好きなんだ?」
「んー…イチゴだな!」
「おぉ、オレもオレも!」
「「やっぱイチゴだよなぁっ!」」
「…………」
──べしっ
「あいてっ、いったいなトキコ!なんでいきなり叩くの!」
「!? ユウイッ!!」
「うわはは、リオ君横っ飛びですっ飛んで来たよ」
「なんかの召喚獣かお前はっ!」
────
変な友情が芽生えてしまった(苦笑)
最後のユウイの言葉はリオトに対してですー
やっぱりこういうギャグの方が私の性に合う(´`)
- 394
:akiyakan:2011/02/09(水) 22:54:31
- >>379 >サイコロさん
うーん、ショウゴの事を思うと入ってやりたいところなんですけど、シスイはアースセイバーの仕事がありますからねぇ。
ってか、堂々とアースセイバーの所属員を部員に勧誘するとか、なんて強気なんだ! 強制収監でもされたらどうするつもりだったんだ、シュウゴ!
取り合えずシスイが柔道部に入るとすれば、それは「アースセイバーの仕事優先で」って条件がつきますかねぇ。
>>381-383 >スゴロクさん
ってか、今頃百合展開である事に気付いたのね姉御(笑)。ある意味、恋は盲目って事なんかな?
そしてキーパーソーンがシスイ……って、自分でも正直ここまで重要なキャラに育つとは思ってもいませんでした(苦笑)
そして正人、ついに正体を現したか!
>>384-386 >しらにゅいさん
トキコの活動も、いよいよ本格的になってきましたね。
彼女の言う「テスト」とは果たして何を意味するのか……
ってか、柔道場にそんなに穴を空けて! ちょ、トキコちゃん、何やってんのー!?
しかし今回のエピソードを見て、「人情的」にはシスイとトキコには戦ってほしくはないのですが、「創作家」としての自分としては戦ってほしいという考えが生まれました。と言うのも、「シスイとトキコの戦法が似ている」ってところですね。性格は異なるのに、戦い方はそっくりな二人が戦うとどうなるのか。そんな興味が沸きました……ただ、この話を見るとトキコのスペックの方が高くて、シスイがボコボコにされそうだ(苦笑)
>>387-389 >大黒屋さん
おお、これは企画サイドにおける新名所の誕生か!? 能力者の集まるレストラン……響きがいい。
でも実際は、ウスワイヤが効率良く能力者を保護するために作ったレストランとかだったら、嫌だなぁ。
>>393 >紅麗さん
あの一件以来、2人の間に変な友情がww
そしてユウイの発言「お前はどこかの召喚獣か!」ww この手際のよさ、まさしく召喚獣だ!
- 395
:しらにゅい:2011/02/10(木) 00:23:43
- うわー!「渉ノ章」一つ脳内変換お願いします!
前半2つ「ハンドガン」なってますが「モデルガン」に変更お願いします!
ハンドガンだとたまちゃん同様武器常時所持にアワワワ(;´Д`)
そして感想つらつら・・・
>>393 リオ君の回答はなんか予想通りでしたwwwそしてやっぱりユウイちゃんに
何かあるとすっ飛んできましたね!リオ君のスキルに「ユウイサーチ」でもあるの
だろうか・・・いや、ありそうな←
>akiyakanさん
私も同じような感じですw今改めてトキコの能力を振り返ってみて、「あれ、シスイ君と
似てね?こいつぁ面白くなりそうだ!」とか荒ぶってるんですが、全体的に能力値が高いのは
きっとシスイ君のほうだと思うんですよね。トキコは基本「攻撃」のみを特化したみたいな。
「破壊する」その意志を折らせることが出来るかどうかが彼女の戦いにおけるポイントかと!
頑張れシスイ!負けるなシスイ!(ぇ
- 396
:(六x・):2011/02/10(木) 00:45:01
- お返事です。
糞教師の叩かれっぷりに安心したwめったに怒らない凪さんもブチキレる、サイテーのクズ仕様でした。
爪ス-◇-スあのクソ教師、謎の失踪をとげたらしいな。バチあたったのね、きっと。←バチ当てたのはあんただ
>>372 akiyakanさん
はい、こいつが一番クズです。
>よく入れたな
周りには猫かぶってそれなりにうまくやってたとか。引き裂いてごめんね凪たん。もちろん、新しいの買いました。
>>380 しらにゅいさん
トキコさん、消毒を忘れずにね!触ったら腐るよ!
剣…アイスブレードは熱さと優しさを秘めながらも、倒すと決めた相手にはどこまでも冷たく鋭く一切の容赦がない、凪の心そのものです。なんて厨くさいことを言ってみたりw
>>381 スゴロクさん
凪は例の糞教師に対し「ひどいこと言うわ、私のこと疎むわでなんか嫌な奴」程度にしか思ってなかったのですが、スキー場で「クズと共に消えろ」と言われた瞬間「倒すべき相手」と確信し、あそこまで冷徹になれたわけです。
「思わぬ助っ人として現れ、アイスブレードで敵を真っ二つにする→アースセイバーにスカウトされるも、『縛られるのは嫌い』と言って断る」という展開を考えたが文にするスキルはなかった。
- 397
:akiyakan:2011/02/10(木) 12:15:42
- ※スゴロクさんの「火波 スザク」、鶯色さんの「ハヤト」、紅麗さんの「高嶺 利央兎」、想像者さんの「闇野光一」をお借りしました!
現れた主犯
「最後の感染者が倒された……これで後はキャリアーを見つけ出して倒すだけか」
しかし、ここに来てキャリアーに関する情報が全く出てこない。その不自然さに、俺は疑問を浮かべずにはいられない。
と、その時だった。突然、ポケットの中の携帯が振動し、着信を告げる。
「スザクからだ……」
やって来たのはメール。『話がある、ストラウル跡地で待つ』とだけ、簡潔な内容が書かれていた。待ち受け画面に目をやると、時間は午後五
時を過ぎるところだ。
「こんな時間から……?」
小さな疑問を浮かべつつも、俺は跡地へと急いだ。
跡地に入ると、そこに白い髪の少女が立っているのが見えた。俺が「スザクー!」と彼女の名を呼ぶと、彼女はこちらに気付いて手を振った。
「ごめん、遅くなった!」
「遅くなった? 何を言ってるんだ、君が僕を呼んだのだろう?」
「え?」
話を聞くと、スザクはどうやら俺が送ったメールでここに来た事になっているらしい……おかしい。俺はそんなメール、送った記憶はどこにも
ないぞ。
「このメール、スザクからだよね?」
「いや、僕はそんなメール送ってないぞ?」
彼女は訝しげな表情で俺のケータイの画面に映る、自分の差出名で書かれたメールと睨めっこする。一体これは、どういう事だろうか。
「よぉ! シスイにスザクじゃねぇか」
「え?」
背後からの声に振り返ると、そこにはハヤトとリオトがいた。
「二人とも、どうしてここに?」
「俺? 俺は光一の奴に話があるからって、メールでここに呼び出されたんだよ。ホラ」
そう言って彼が見せてくれたメールの画面には、確かに差出人名「コーイチ」とある。
「リオトは?」
「え、俺? 俺は……」
ここに来た理由を聞いただけなのに、何でそんなに言いよどむんだ? 別に変な事を聞いた覚えはないけど……
「あー、こいつ? ユウイに『話がある』ってメールが来て、それでここまで来たんだよ」
「な!? 何でお前にメール見せてないのに、そんな事分かるんだよ!?」
「およ? その反応は、もしかして図星でしたか?」
「ッ!!」
……あーはいはい。つまり、ユウイからのメールで「いよいよ告白か!?」と喜び勇んで来てみれば、ユウイはどこにもいませんでした、と…
…ご愁傷様です。
でも正直、それが偽者からのメールで良かったと俺は心底思う。何せこのストラウル跡地では去年、シゲナガの恋人であるミキがビルの崩落に
巻き込まれ、シゲナガ自身も怪我をするという事件があった。そんな曰くのある場所で想い人に呼び出されるというのは、何かありそうで恐ろし
い。
- 398
:akiyakan:2011/02/10(木) 12:16:22
「ん、なんだ? そいつらも呼んでいたのか、ハヤト」
「光一!? お前、どこにいたんだよ!?」
振り返ると、光一の姿がそこにある。彼は先程のスザクのように、ハヤトの言葉に首をかしげていた。
「どこにいたって……俺はお前に呼び出されて、今ここに来たところだぞ?」
「んなアホな。俺を呼んだのは、むしろお前の方だろ?」
「はぁ? お前は何を言っているんだ?」
「????」
……これは一体、どういう状況なのだろうか?
呼び出された筈が、その呼び出した人物は呼び出された人物に呼び出されたという矛盾……自分でも言ってて訳が分からなくなる。
まぁ、そこから導き出されるのは、一つしかない。
「俺達はどうやら、何者かによってここに呼び出されたようだな」
「何者かって、何者だよ?」
「そんな事、俺に聞かれたって分からないよ……」
大体、メンバーに統一性が無い。俺、スザク、ハヤト、光一、リオト。このメンバーに共通性なんて――
その時、頭上から誰かの拍手の音が聞こえてきた。一斉に俺達は顔を上げる。
そこには三階建ての廃墟があり、拍手をした人物はその屋上から俺達を見下ろしていた。黒い衣服、おそらくスーツだろうか。その上から、白
い白衣を羽織っている。銀色の髪をショートカットにしていて、目はケイイチさんの様な糸目。そしてあまり良い気分のしない、薄ら笑いを浮か
べている。
「やぁやぁ、皆さん。どうやら全員御揃いになったようで」
「……誰だ、あんた?」
「ああ、申し訳ありません。私、元ホウオウグループ所属、生物兵器の開発研究主任を務めさせておりました、ジングウと申します」
「ジングウだと!?」
建物の上にいる男がジングウと名乗ると、リオトが驚いたような声を上げた。思わずそちらを見ると、彼は信じられないものでも見るような目
をしている。
「なんだ!? リオト、知っているのか?」
「っ……それは――」
「いけませんねぇ、リオト君。今私が自分で自己紹介をしているのですから、最後まで私に言わせて貰わないと」
何だか、人を食ったような喋り方をする男だ。ジングウは話を続ける。
「私がいたのは六年前の事です。貴方達に分かり易く言わせれば、原子破壊砲によるグループの作戦が敢行されていた頃じゃないでしょうかね…
…まぁ、今はそんな事どうでもいいのです。その時私は、新型の生物兵器の実験をしていました。ですが、その生物兵器が突如暴走。不幸な事に
、私はそれによって食い殺されてしまったのです」
「……あんた。自分でおかしな事を言ってるって事、気付いてるか?」
ハヤトがすごく迷惑そうな表情を浮かべながら言う。
確かに、ハヤトの言う通りだ。その話の通りなら、このジングウと言う男がここにいるのはおかしい。
- 399
:akiyakan:2011/02/10(木) 12:17:41
- 「いいえ、おかしくはないですよ……なぜなら私は、生まれ変わったのですから」
「生まれ変わった……だと?」
まさか、ナイトメアアナボリズムの事か? そう思った俺だったが、
「はい……私は古い身体を捨てて、新しい身体を手に入れたのです」
「はぁ? 何を訳わかんない事を……」
ハヤトにはその言葉の意味が分からなかったらしいが、俺には分かってしまった。
脳裏に浮かぶのはこの地、ストラウル跡地に廃棄されていたホウオウグループ製のカプセル。それは、「外側」からではなく、「内側」から開
いていた。
それが一体何なのか、シノさんは「ウイルスのキャリアー」であると考えていた。そして彼女はもう一つ、こう付け加えていた。
『どうにもアタシには、この事件に何かしらの意志の存在を感じずにはいられないんす』
生物兵器に意思を与える事は出来ない。制御効率が落ち、扱いにくくなるからだ。だから俺は最初、シノさんの考えが飛躍しすぎだと思ってい
た。
だけど、今なら分かる。シノさんは間違っていなかった。あのカプセルに入っていたのは、こいつだったんだ!
「お前が今までの事件の主犯か!?」
「ええ、その通りですよ、都シスイ。どうですかな? 私が差し向けた作品達は?」
「作品!? ふざけるな! あれはみんな、罪も無い人間にウイルスを打ち込んで怪物に仕立てたものだろうが!」
「ま、待てシスイ!? ウイルスって何の事だ!? 僕達は、そんな事一言も聞いてないぞ!?」
スザクが困惑したように言う。見れば、ハヤト達も同じ様な顔をしている。それもその筈だ、これを知っているのは俺とアースセイバーの上層
部だけなんだから。
「……余計な混乱を招くから今まで黙っていたんだけど、今まで俺達アースセイバーが倒して来たのはホウオウグループ製の生物兵器じゃない。
実際は、「人間をやめさせるウイルス」に感染して怪物になってしまった人間達だったんだ」
「な……」
「そしてそのウイルスをバラ撒いていたのが、今俺達の前にいるこの男なんだ!」
俺が睨みつけると、そんな俺の反応が面白いかのようにジングウの表情に笑みが浮かぶ。
「「人間をやめさせるウイルス」なんて、品の無い呼び方をしないで下さい。むしろ、あれは「人間を超えさせるウイルス」ですよ。意図的に進
化を引き起こすのですからねぇ」
「進化? あれのどこが進化って言うんだ!? 知性を奪われ、ただ本能のままに行動する! あれじゃ、獣に退化しているだけじゃないか!」
「おやおや、どうやら君は進化と言うものが何であるか履き違えているようですね……進化とは即ち、生存能力の強化ですよ。その時その時の環
境に適応し、自らを滅ぼそうとする存在に対抗する力を持つ。君だって、彼らの強さは身に染みている事でしょう? あれが元々、何の力も持た
ないただの人間だったのですから」
「ッ……」
確かに、進化とはそう言うものだ。かつて大地を支配していた恐竜達が滅びたのは、環境の激変に適応出来なかったからだと言われている。俺
達人類の祖先である哺乳類が生き延び、そして今日の世界を生み出した。進化とは言わば、「自らを殺そうとするものへの適応力」であると言え
る。
……だけど。あんなものが進化だなんて、俺には認められない!
- 400
:akiyakan:2011/02/10(木) 12:19:10
- 「で? 俺達を呼び出して、あんたは一体何がしたいのさ?」
俺の代わりに、ハヤトが問いかけた。するとジングウは「よくぞ聞いてくれました!」とばかりに、芝居がかった調子で手を叩いた。
「君達は、私の出したテストの合格者達です?」
「テストぉ? 俺は学校以外でテストを受けた覚えなんざねーぞ」
「何を言ってらっしゃる……君達は皆、私が出した三つのテストに合格して来た者達ではありませんか」
三つのテスト。その言葉に、俺は爆発しそうな感情を何とか抑え込む。
「……三人のウイルス感染者の事か」
「ええ、その通りです。君達五人は、皆彼らを倒した者達です。私の出題したテストに見事合格した者、と言う事ですよ」
「皆? ちょっと待て、リオトは関係無いだろ」
「あー、光一な。実は此間の、本部には俺一人で片付けた事になってるんだけど、本当はリオトに手伝ってもらったんだよね……」
申し訳なさそうにハヤトが言う。リオトを見ると、彼はもう観念したような表情を浮かべていた。
「リオト……まさか、お前……」
「そのまさかだよ。俺も能力者だ」
……それで、か。以前感じた不穏な気配は、そういう事だったんだな。
「お前も、スザクみたいにどこかに所属していない能力者だったのか」
「……そう言う事にしておいてくれ」
リオトは俺に対して興味を失ったように、視線をジングウへと戻す。俺も奴の方へと向き直る。
「それで、俺達集めて何したいんだよ、あんたは?」
「簡単な事ですよ……君達には、生贄になっていただく」
「はぁ? 何言ってんだ、あんた?」
「言葉通りの意味ですよ。これは、私からホウオウグループへのデモンストレーションです。私はもう、あそこに用はありません。私は君達五人
を倒し、新たな組織の誕生を宣言させていただく」
「ホウオウグループに反旗を翻すって事か!?」
「ご名答! 世界を統べるのはホウオウではなく私だ! 世界を合理化するなどという幻想に付き合うくらいなら、私は私の手でこの世界を手に
入れる! 君達には、その糧になっていただきますよ!」
……ジングウが何かを言っているが、途中から俺にはその半分も耳には入っていなかった。
下らない、下らな過ぎる……そんな事の為に、こいつは何人もの人間の命を犠牲にしたっていうのか!?
気が付くと、俺は自分の歯が砕けるんじゃないかって位に歯を食いしばっていた。ギリギリと言う音が耳に届いたが、それがやけに遠くに聞こ
える。
「シスイ」
そんな感情が沸騰寸前だった。俺の肩を、スザクが叩いた。振り返ると、彼女は首を横に振る。
「ああいうものを真っ直ぐに見るな。奴は、ジングウは完全に狂っている……正気じゃないものを真っ直ぐ見れば、お前まで正気でいられなくな
るぞ」
「スザク……」
「今、僕達がやるべき事はなんだ? もう、分かりきった事だろう?」
「……ああ」
最終更新:2011年05月24日 20:12