企画されたキャラを小説化してみませんか?
- 1
:サイコロ:2008/04/19(土) 08:47:37
- 男擬人ムリ香さんが立ち上げた「キャラ企画つれっど」で企画されたキャラを
ショートショートストーリー化(短編のアナザーストーリー化)してみませんか?
age sage構いません。
それと、できるだけ自分の企画したキャラを搭乗させましょう。
ナイアナのキャラは、性格を変えないように。
気に入らなければ消してください、(有)さん…
- 501
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:04:37
- 大黒屋さん>
ついに「店長」の過去に触れる時が来ましたね!
なるほど……元々彼女は戦闘員で、この事件をきっかけにレストランの店長に就任したわけですね……
生物兵器が暴れている……と言う事は、これは六年前より前の事件なのか、それともホウオウグループの関わっていない生物兵器だったのか……
(六x・)さん>
スザクと凪のやり取りですね……Sでクールな凪にも、やっぱり弱点がありましたか……でも、ゴキは大丈夫って、何だか所帯染みてるw
しらにゅいさん>
昼食ハンター・トキコは、以前しらにゅいさんが書かれた作品が参考になっています。あのたこさんウインナー泥棒の一件を見て、「よし、いつか使おう!」と思っていました。
「大目に」の件は、割と即興だったりします。日常的な風景でシスイの「優しさ・甘さ」を表すなら、こういう描写がいいかなぁ、と。以前トキコに言われた「駄目な人」の件も回収したかったので。
トキコは拒絶率200%なんだろうなと思っていたので、こんな風になりました。実を言えば、「激戦 VSジングウ」には元々トキコも参加予定で、「ジングウの物言いに激昂して自分がホウオウグループである事を明かしそうになり、スザクに止められるトキコ」と言うのもプロットにありました。けれどもこの戦いは時系列だと「オラトリオ」の前の話なので、トキコの参加は見送りとなり、その時のシナリオを汲んで彼女にはちょっとだけ出てもらいました。
「怪人:木乃伊冥土」。実はただのネタに見えますが、これには幾つか意図がありまして、まずラスボス属性のついてしまったジングウを一気に庶民のレベルまで落とすと言うのがあります。外道キャラに書いちゃったので、「こいつに絡んでくれる人はあまりいなさそうだな……」と危惧して、ちょっとでも悪いイメージが減ってくれればなぁと思い、ジングウにはメイド服を着させました。
サヨリさんの登場にもこの意図があって、「ジングウ本人に絡みたくはなくても、ジングウの傍にいる人位なら絡んでくれるだろう」っていうのですね。後ジングウ単体で話を進めていくにはあまりにも「華」が無い。それにサヨリがいてくれれば、ジングウが更に俗っぽくなる! っていう意図も。
ジングウの口調は、実は参考にしているキャラクターがいるので、そこからの遺伝です。
メタいwww なんとメタな話だww
いいですね、こう言うのw ってか、「何でナス男の方がホウオウ様より人気が」ってww アナザー本編でも思ってそうな本音だww
- 502
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:35:43
- 古巣に戻ったはいいものの その3 閉鎖区画を大冒険
「……暇です」
私がそう呟くと、背後にいるサヨリさんがため息をついた。
「ジングウさん、それ一体何度目ですか?」
「100から先は数えてない」
「…………」
サヨリさんが、まるで頭が痛くなったかのように頭を抑える。一々私の言動に付き合っていたら身が持ちませんよ、実際問題。
「暇潰しの為に今までのグループの活躍を見直していましたがねぇ……流石に10ループ目ともなると、飽きが来るというものです」
「と言うか正直、あの量の映像を十回もループさせたその根気は大したものだと思います」
……まぁ本音を申せば、5ループ目位から作業用BGM化してましたけどね。
「あー、何か面白い事ありませんかねぇ……」
そう思ってさっきから施設内を歩いているものの、これと言って目ぼしいものなど何もない。勝手知ったる組織の施設だ、いい加減見飽きた。
――と、思った時だった。
「……ん?」
私の視線の目の前に、一つの扉がある。確か、この扉は……
「……生物兵器の廃棄場……でしたよね?」
遡る事六年前、この身体になる前の私がグループに務めていた頃、ここは出来損ないの生物兵器達の処分場になっていた筈だ。ついでに言うと、この先には私達生物兵器開発研究チームが使っていたラボもある。
「…………」
「……ジングウさん。まさか、入ろうってんじゃないでしょうね?」
「その通りですが、何か?」
「駄目です! あなたはこの施設内、あらゆるラボラトリーへの立ち入りは禁止となっています!」
「でも、この区画は動力落とされてますよ?」
私が扉を開ける為のコンソールを指し示すと、そこは沈黙したままになっている。私がいなくなった際、生物兵器の開発・研究は縮小され、最終的に凍結されたと聞いていた。その時、この区画は閉鎖されたのだろう。
「悪戯しようにも、ラボが使えないんじゃねぇ」
そう言って私がお手上げの姿勢を見せると、サヨリさんはため息をついた。
「……はぁ、分かりました。でも何か怪しい事したら、私のメモリーディスクに残りますよ?」
「分かってます、分かってます。要は、「ホウオウグループによって損失になるような行為」をしなければいいのでしょう?」
……ま、仮に出来たところで、現状じゃやっても意味無い事ですが。
「さてと……それじゃサヨリさん、お願いします」
「……はい?」
「はい? じゃありませんよ。動力が落ちていると言う事は、この鉄扉は人力で開けなければいけないのです。まさか貴方、怪我人の私に開けさせようってんですか?」
「…………」
「分かりましたよ、そう怖い目で睨まないでください……二人で開けましょう、二人で」
まったく、ちょっとしたジョークじゃありませんか……
- 503
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:36:37
- 「おぉ、懐かしい……」
出口の重たい扉を抉じ開けて中に入ると、そこには私にとって外よりも見知った光景があった。
無数に立ち並ぶ培養器が、まるで墓標のように見える。実際ここは墓地だ。ホウオウグループでかつて行われていた、生物兵器に関する研究。それを閉じ込め葬ったカタコンベ。私のとっては、外よりもここの景色の方が古巣に戻った気分にさせてくれた。
培養器の並ぶフロアの向こうにあるのは、生物兵器の格納ドッグだ。今は空になっているが、かつてはここで多くの生物兵器が、まるで牧場の家畜のごとく育てられていた。
その中で、私はある物を見つけて足を止めた。その姿に思わず目を見張る。
「デルバイツァロスト……!」
三つの頭部持つ、まるで地獄の門番ケルベロスを彷彿とさせる巨大な犬型の生物兵器。ところどころサイボーグ改造が施されたそれは、カーボナイトコーティングによって封印されていた。
「サヨリさん、これは……」
「アーカイヴにアクセス……生物兵器の開発は凍結され、ほとんどの生物兵器は破棄処分にされたのですが、一部の兵器はその有用性から封印処置を施す形で破棄されずに残ったようです」
「それにしたってこれは……」
デルバイツァロスト。体表面に搭載されたナノマシンによって磁場を発生させ、三つの頭部が持つそれぞれの官制システムよって「電磁」、「重磁」、「剛磁」の三性質をコントロール。三つの電磁波を同時に使用すれば空間に負荷をかけ、それによって重力崩壊を引き起こし、ブラックホールすら作り出してしまう文字通りの「化け物」だ。
生物兵器の凍結は、私と同等に生物兵器を扱える人材がいなかったからだと聞いている。確かにこいつは性能こそ一級品だが、暴走したらどうするつもりだったんだ……
見渡せば、特殊な波動を持つ彷徨によって範囲内にあるものを氷漬けにする能力を持った「フェンリル」、全長十三メートルもある巨大な蛸のような形をした水棲生物兵器「アウルム・テュランヌス」など、ここには見知った生物兵器がいくつか封印されていた。てっきり格納庫は空っぽだと思っていたのに、これはこれは……
「最高じゃありませんか……」
「一応言っておきますが、これ全部実戦で使う機会は二度と来ないと思いますよ」
「なぜですか、ここに扱える人間がいるではありませんか!?」
「ジングウさん、ご自分の立場を分かってますか……?」
呆れたようにサヨリさんが額を押さえますが、まぁご尤も。第一、私は記録上「生物兵器の暴走に巻き込まれて死んだ」人間です。そんな人間に、過去の実績があるからと言って生物兵器操作を任せるとは到底思えませんしね。
ですが、まぁ、ここにこれらがまだあったと言う事を確認出来ただけ、良しとしましょう。
……さて。「培養器」、「格納庫」と来て、次は私にとってこの区画では一番馴染みのある場所です。何せ、「前の私」はその場所で死んだのですから。
目の前に聳える巨大な扉。動力が落ちているので、例のごとく傍にある巨大なレバーを回して二人がかりで開きます。そして開いた先には、巨大な空間が広がっていました。
「おぉ……」
古代ローマのコロセウムにも似たこの場所は、生物兵器の性能実験場。ここで能力者、或いは別の生物兵器同士を戦わせる事で、そのスペックデータを調べる。その過程で命を落とす生物兵器もいれば、逆に食い殺される能力者もいた。この場所には、無数の死が染み付いているのだ。
「ご自分の亡くなられた場所を見て、感動しているのですか?」
「まぁ、そうですね。死んだ場所と言うより、この場所は私が「生まれ変わった場所」に等しいですから」
弱々しい古い身体を脱ぎ捨て、新たな身体へと脱皮する。さながら、この巨大な実験場は私の繭か蛹と言ったところでしょうか。この場所であまたの実験を行い、そうして蓄積された情報が今の私の血肉を形作っているのですから。
- 504
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:37:44
- 「……さて、残すところは後一つですか」
私は実験場の奥にある扉へと視線を向けた。
その先にあるのは、不要になった生物兵器の廃棄施設だ。文字通り、ミス・クリエイション(出来損ない)の墓場だ。おそらく見るものなど何も無いだろうが、ここまで来たのだからどうせだから見ておきたい。
しかし、扉へ向かおうとする私をサヨリさんが制した。
「サヨリさん? 一体何の真似です?」
「ここから先は危険です。貴方が自分の無茶振りで怪我をするのは構いませんが、今その状態で行けば命を落とす可能性もありえます」
「……それは穏やかではありませんねぇ」
しかしサヨリさん。私を止めたいのでしたら、もう少し言葉を選ぶべきでしたのね。今のは確実に、私の好奇心を刺激しましたよ。
「理由も無く危険と言う事は無いでしょう……何があるのか、教えてくださっても良いんじゃありませんか?」
「……ここは生物兵器の研究・開発の凍結に伴い封印された事になっていますが、この区画を封印する際あるバイオハザードが起きています」
「バイオハザード?」
「はい……開発・研究の凍結が正式に決定するその時まで、生物兵器開発の続行を上申し続けた研究者達がいたのです」
「……!」
「彼らは生物兵器分野の全面凍結が決定すると、廃棄処分する生物兵器達をあの中で融合させ、強力な一体の生物兵器に作り変えようとしたのです」
「ですが、その試みは失敗……細胞分裂の暴走を起こしたそれは、手当たり次第に周りのモノを取り込んでいった……そんなところですかね」
「……はい」
サヨリさんが言った「研究者達」。それに私は、思い当たる人達がいました。私が主任だった頃、その部下として働いていた数名の研究者達です。
……全く。私がいなければあの研究は成り立たないと言うのに、そんな博打までして残そうとは……馬鹿な連中だ、本当に……
「その時融合実験を行った研究員達は全員死亡。ただ、彼らが死ぬ間際に閉じた隔壁のおかげで、バイオハザードが外にまで及ぶのは防げました。以上の事件は、五年前の出来事としてアーカイヴに記録されています」
「……分かりませんね。五年前の事でしたら、とっくに中の生物兵器は活動を停止していますよ」
「まさか、生物兵器研究の第一人者である、あなたの口からそんな言葉が出るとは思いませんでした……当時廃棄処分が行われた生物兵器は全部で23体。それらすべてが、あなた自身が作り上げた、或いはあなたの技術ノウハウより生み出された極めて高性能な生物兵器達です。それを一つに融合させたんですよ?」
サヨリさんに講釈されずとも、そんな事分かっています。
自然の法則を捻じ曲げ、不自然にデザインされた生物兵器達。そんな不自然な生き物達を、更に不自然な方法によって一つの生き物にしようとする……二十三個の魂を一個にまとめようと言うのだ。どんな化学反応が起こるか分かったものではない。
あの中は、言わばフラスコだ。それも、口を塞ぎ、周りを黒く塗り潰したフラスコ。中で一体何が起こっているのか分からない、酷く危険な。確かにサヨリさんの言うとおり、消耗した今の身体で行こうとするのは懸命ではないでしょう。
――ですが、私には行かなければならない。「実験」は「結果」が出るまでが「実験」です。不肖の弟子達が見届けられなかった実験の結果を、私が代わりに見届ける義務がある。
「……行きましょう、サヨリさん」
私がそう言うと、サヨリさんは観念したようにため息をついた。気が進まないようですが、それでも付き合ってくれるようです。
「監視ですからね……あぁもう、何でこんな仕事引き受けたんだか……」
「そりゃあ、私が自我を与えるまで貴方は本物のお人形さんでしたからねぇ。あの男同様に組織の歯車同然でしたから、拒否権など無かったでしょうよ」
「……言わないでください。今のは現実逃避だったんですから……」
- 505
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:39:32
-
廃棄施設と実験場を遮る隔壁は物々しく、まるで地獄の門を彷彿とさせるものでした。実際、この先に広がっているのは十中八九地獄なのでしょう。私達は隔壁を開くレバーに手をかけると、その重たい扉をゆっくりと開け始めました。
ゴォン、ゴゴゴゴゴと言う鈍い音と共に、ゆっくりと隔壁が上がっていく。それと同時に、凄まじい異臭が中から吹き上げて来ました。あまりの臭さに、目が開けていられません。
「ジングウさん、大丈夫ですか!?」
「ええ、大丈夫です……こんな事もあろうかと、常に水中用ゴーグルを持っているのですよ」
「……なんでそんな物を……」
「これ便利ですよ。水に潜っても視界はクリアですし、タマネギを切っても涙出ないし」
「……はい、分かりました」
投げやりなサヨリさんの態度など気にもせず、私は廃棄施設の中を覗き込む。しかし証明が点いていないので、中は真っ暗で何も見えません。私はライトを取り出すと、それで辺りを照らしてみました。
「……うっ!?」
「これは……」
そこには、私の想像以上の光景が広がっていました。
廃棄施設自体は、ドームの形をしています。生物兵器の処理方法は、端的に説明すれば「電子レンジ」と同じ仕組みで、この内部にマイクロ波を放射する事で、それによって生物兵器を焼き殺す仕組みとなっています。
まぁ、そんな説明は今は不要でしょう。とにかく、廃棄施設はドーム型、直径五十メートル位あるのですが、その床一面に生物の死骸が転がっていました。ドームの中心にはこんもりとした肉塊があり、おそらくそれが融合した二十三体の生物兵器の成れの果てなのでしょう。それはドームの中心地点から発生し、放射状に広がって朽ちています。融合が完璧ではなかったようで、腐った肉に埋まる形で融合前の原型を留めた骨格なんかがあります。
「う、うえぇぇぇぇぇぇ!!」
嗚咽の声に振り向くと、サヨリさんが背を向けて身体を折り曲げています。
「何やってんですか、サヨリさん」
「見ての通り吐いてんですよ……」
「嘔吐しようにも、あなた擬人兵なんですから何を吐くって言うんですか」
「今、消化液吐きました……」
「……そうですか」
少々、自我を精巧に組み立てすぎましたかねぇ。まさかここまで「人間らしくなる」とは。
「では、ここで待っていて下さい。私一人で見に行ってきますので……」
「ああ、駄目です! 私には監視の仕事があるんですからー!」
私が施設の中へ踏み込むと、必死の形相でサヨリさんがついて来ます。今にも泣き出しそうな顔をしていますが、こちとら彼女をフォローしている余裕なんかありません。
「む」
どうやら床一面、死骸の流した体液で水溜りのようになっているみたいですね。しかも、深さは膝丈位はあります。試しに一歩足を入れてみると、ぬるりとした感触が足に絡み付いてきました。
「ジングウさん、一旦戻りましょう……こんな格好じゃ、まともに調査出来ませんって!」
「知っていますか、サヨリさん。研究者は、その時どんな格好をしていようと、調べ物があればその時研究者なのですよ」
「私は研究者じゃないですー!!」
スカートの丈を絞り、私は血の池のごとき水溜りへと入っていきます。サヨリさんはしばらくそこで躊躇しているようでしたが、意を決したように私の後を追いかけてきます。
「な、な、何かいたりしませんよね……」
「それが怖いならサヨリさん、試しにバイタルサーチしてみたらどうですか」
「え、えぇっと……うわ!? な、何これ!?」
おそらくバイタルサーチを使用したのでしょう。サヨリさんが素っ頓狂な声を上げ、それがドーム内に反響します。
「ああ、やっぱり?」
「や、やっぱりって……ジングウさん、周り反応だらけですよー!? この子達、まだ生きてますー!!」
「いえ、死んでますよ。あなたのセンサーに反応しているのは、死骸の中で生き残っている細胞片です。彼らはとにかく、生きる事に貪欲ですからねぇ。省エネモードで、五年間耐え忍んできたんですよ」
体液の量から考えて、自壊が起きたのは暴走してからすぐのようですね。ほとんどの細胞は需要と供給を無視した細胞分裂に耐え切れず死滅。その中で生き残った優秀な細胞だけが、今も生き続けていると言ったところでしょうか。
(予想通りでしたが、ラッキーですね。生き残った細胞を使えば、優秀な生物兵器を生み出せる事でしょう)
……もっとも、二十三体も犠牲にしているんですから、これ位の成果はあって当然なんですが。
- 506
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:40:09
- 「あ、あれ?」
その時、サヨリさんが突然声を上げた。何事かと思って振り返ると、彼女はドームの中心を見つめたまま固まっている。その様子は、何やら戸惑っているように見えた。
「どうかしました?」
「あ、あの……真ん中の死骸なんですがね……周りの死骸はバイタル反応小さいのに、あそこだけ極端に大きいんですよ」
「何?」
それはどう言う事だ? 私も思わず、ドームの中心にある肉塊へと振り向いた。
(あそこはおそらく、融合した二十三体の基点……細胞の暴走がもっとも大きく、真っ先に死滅が起きたとすればあそこなのでしょうが……逆に言えば、反応の大きさ故に突然変異がもっとも起きやすかった場所!)
「……行きましょう、サヨリさん」
「ええっ!? さ、流石に危険ですよ!」
「既に危険ですよ、バイオハザードが起きた五年前からね。誰かが安全確認をしなければ、何時まで経ってもここは危険なままです」
「だからと言って、何も私達で確認しなくても~」
泣き言を吐くサヨリさんを置いて、私は体液の海の中を渡っていく。
(馬鹿ですねぇ……他の連中に任せたら、ここ一体が焼却処分されるに決まっているじゃないですか……)
ここにある潤沢な資源をゴミ扱いなど、そんな事はさせてなるものか。
「ああうぅぅ~。ま、待ってください、ジングウさん~」
涙声になりながら、サヨリさんが私の後をついて来る。何だかんだ言ってもこの子、真面目で助かりますねぇ。
ドームの中央は、死骸によって小島のようになっていました。肉が固まり、靴底にはアスファルトを踏むような感触が伝わってきます。
「サヨリさん、反応は?」
「そ、そこですぅ~」
情けない声を上げながら、サヨリさんは島の中央を指した。そこは窪んで穴のようになっており、周りの暗さゆえに覗き込むの少々躊躇われます。
(えぇい、一度は死んでいる身です。一体、何を恐れるというのですか!)
意を決すると、私は窪みに近付いて中を覗き込みます。それに続いて、恐る恐るサヨリさんが近付いてくるのも分かりました。
「これは……」
「じ、ジングウさん……?」
そこには、私の予想だにしないものがありました。
- 507
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:41:30
- 「……で、説明してもらおうか、ジングウ」
ここは私の部屋。ベッドに腰掛けている私の目の前で、ゼアが腕を組んで仁王立ちをしている。こめかみがピクピク動いているのが見えた。
「説明も何も、見たままですが?」
「そんな大雑把かつ曖昧な説明は止めろ!」
そう言ってゼアは、あるものに指を指した。
「あの子供は一体なんだ!?」
「うー?」
そこには、私の隣で遊んでいる、年齢にして十歳位の子供がいた。
私達が廃棄施設の中央で発見したのは、この子供だった。ただし今のような状態ではなく、体がほとんど「溶けている」状態だった。これを私はすぐさま「生成(なまなり)」であると判断した。「生成」とは私が使っていた単語で正式な用語ではないのだが、培養段階の生物兵器が細胞同士の結合をしっかり出来ていない状態の事だ。
基本的に、「生成」の状態では生物兵器は長く生きられない。であるから、このままではこの子供が死んでしまうのは目に見えていた。
しかし私は、それを良しとはしなかった。
まず私はサヨリさんを説得……と言うかまぁ、無理を通しただけなんですが、それでこの区画に動力を通しました。これによってこの区画は廃棄施設を含めて全機能が復活。当然、ラボラトリーもです。私はラボへこの子供を運ぶと、培養器に入れて細胞結合を安定させる作業を行いました。
いやー、大変な作業でしたよ、全く。肉体やDNAの構成を調べつつ、それに合わせた細胞結合の安定作業ですからね……まぁ実際のところは、六年も錆付かせていた本職の作業だったんで勘が鈍っていたんですが。
何はともあれ、私は細胞結合の安定に成功。それと同時に、封印された区画に動力が入った事に気付いたゼアがやって来て、その流れで現在に至ります。
「だから、言ったじゃありませんか。封印区画の最奥で発見したものだと」
「お前がラボを勝手に動かして作ったんじゃないのか?」
「確かに私はラボを動かしました……しかしそれはあくまで、この子を救う為です。第一、あの短期間であれだけ精巧な物を作るというのは、神様でも無い限り不可能ですよ……それに私の言葉が信じられないと言うのでしたら、サヨリさんのメモリーディスクを調べれば良い事です」
「……それで、お前はあの子供をどうするつもりだ?」
「どうするも何も、目の前で死に掛けていたんですよ? それを助けたのですから、むしろ私の人道的行為を賞賛してほしい位ですねぇ」
「人道など、どの口が言うか……勝手にしろ」
そう吐き捨てると、ゼアはこの部屋から去っていった……やれやれ、邪魔者を追い出すのはいつも骨が折れます。
- 508
:akiyakan:2011/02/14(月) 23:42:35
- 「……いいんですか、全部話さなくて?」
「いいんですよ、別に根掘り葉掘り聞かれた、って訳じゃないですし……それに、せっかく暇潰しの道具が手に入ったのに、ゼアなんかに取り上げられてたまるものですか」
「暇潰しの道具ですか……」
サヨリさんは、複雑な表情で子供を見つめている。子供は彼女の表情など気にもせず、ずっと遊び続けていた。
「……結局のところ、何なんです、この子?」
「単刀直入に申し上げれば、二十三体の生物兵器の集合体……ってところですかね」
「集合体!? この子がですか!?」
「もっと正確なところを申し上げれば、融合時の暴走で死滅せずに生き延びた細胞達が、新しい身体を構築しようとした結果ですかね。ま、それでも自力での再構成には限度があって、「生成」の身体を作るのが限界だったようですが」
「は、はぁ……」
サヨリさんは今一私の言っている言葉の意味が分かっていないようでしたが、まぁ彼女に理解出来なかろうと、私自身が理解していればそれでいいのです。
「それでジングウさん、その子助けて何がしたかったんです?」
「もちろん暇潰しですよ。この子調べるだけでも十分時間は潰せますからねぇ」
「そ、そんな事の為にあれだけの騒ぎを……」
……まぁ、それだけじゃなくて、かつての同胞達が作り上げたこの作品を、あのカタコンベで眠らせておくのは惜しいと思ったからなんですが。
「……その子、名前どうするんです?」
「もう決めてあります。この子の名前はレリックです」
「レリック? 女の子なんですから、もう少し可愛い名前の方が……」
「レリックとは遺産を意味します……かつての私の同胞達が残した遺産。この子にはぴったりではありませんか」
ああ、楽しみです。この子が成長したら、一体どんな化け物になる事やら……
――尚、これは完全な余談なのであるが、その日から更にメイド服が三人へと増えたと言う。ジングウの周りがどんどんホウオウグループらしからぬ雰囲気を放っていく事態に、頭を押さえる幹部が増えたとか何とか。
※と言う訳で、遊び盛りの学生Lv15さんより「ゼア」、「ホウオウグループの兵器を考えるスレ」より、卍さん作「デルバイツァロスト」、白銀天使さん作「フェンリル」、Lindorm作「アウルム・テュランヌス」をお借りしました。
- 509
:(六x・):2011/02/15(火) 00:41:38
- >>495 しらにゅいさん
凪が嫌われてるとかじゃなくて、豚共が「踏んでくれ」だの「犬になりたい」だの言うから周りも「ああ、そっち系の人か・・・」って誤解しちゃうわけです。
悪いのはすべてくそ豚野郎共です
>>501 akiyakanさん
凪、幼虫系は駄目みたいです(氏んでるのは平気)。
爪ス-v-ス幼虫はきもい。あのグロさは何だ・・・。父さんがいないときは私がGを退治してるよ。
次はバレンタインネタです。日本時間では終了しましたが、世界のどこかはまだ2月14日だよねってことで(おい
- 510
:(六x・):2011/02/15(火) 00:45:59
-
本家様からケイイチ、コウスケ、マサカズ、しらにゅいさんのトキコさん、砂糖人形さんのネイロちゃん、鶯色さんのハヤトくん、スゴロクさんのスザクさん、十字メシアさんのミユカちゃん(名前のみ)をお借りしました
凪と友達とバレンタイン
「ケイちゃんおはよ。今日はバレンタイン・・・非リア充にとってはおそらくクリスマスの次に嫌な日だよ。あの人からチョコもらえた?」
「言うな!///」
「そう。まだ朝だから望みはあるよ。がんばって」
「凪、俺にはくれないの?」
「バレンタインはお世話になった人にチョコをあげる日だぞ。むしろ、日ごろから私にノート見せてもらってるモコやマっさんがチョコを渡すべきなのだよ。」
「なんやそれ」
「ああ、そういえばさっきミユカが渡してくれって言ってたから持ってきたぞ。」
「直接渡しにこいyウボァー(箱から煙が出る)」
「あらー(予想通り過ぎるw)」
「凪っちおはよー!」
「おはよう」
「トキコ、スザク、おはよう。二人の分もあるよ。」
「わーい」
「僕の分まで・・・ありがとう。」
「いっぱい作ったからいいんだよ。あ、ネイロにもどうぞ。」
「ありがと。凪ちゃん、ハヤト君にはいつ渡すの?」
「えー・・・考えてなかったなあ」
「ハヤトくーん!凪っちが屋上にきてほしいって!」
「え・・・俺?なんで?」
「マジかよ・・・」
「決闘ktkr」
「いや、ノート貸して攻撃に耐えかねてボコボコにするつもりだ」
「俺、凪にボコボコにされたい・・・」
「僕も」
「じゃあ私がボコボコにしてあげる!」
「トキコ!?」
「凪ちゃん、今のうちよ。がんばって」
「ネイロ・・・うん。行ってくる。」
- 511
:(六x・):2011/02/15(火) 00:48:13
- 屋上
「あの・・・凪さん、俺に何の用でしょうか?拷問だけは勘弁な・・・?(やべぇ超怖い)」
つ{カップケーキ}
「え?」
「いつも私のノートを嫌な顔ひとつせずに使ってくれるお礼だ。大丈夫、変なものは入ってない///」
「おお・・・サンキュ。なんというか・・・細かいな。音符とか粒とか」
「そ、それと・・・私・・・いや、これからも普通に話したりしてくれますか?///」
「え・・・?うん。別に今まで通りだけど。てか、そんなに顔真っ赤にして言うことか?」
「バカ。結構、勇気いるぞ?///」
「そうか。・・・あー、これ食べるのもったいないな。」
「いや、今食えとは言ってないが腐らせる前に食え。」
「よかったねー」
「よかったけど、なんで僕まで?」
「心配だって言ったのは鳥さんでしょー」
「言ったけど、覗こうとまでは言ってない。(凪も女の子だったか・・・。)」
ついに渡しちゃいました(^p^)鶯色さんすみませんでした。
思い切って告白してもよかったんですが、友達のままでいたほうが凪にとっても幸せかなと思ってこんな感じになりました。
ケイイチがあの人にチョコをもらえたかどうかはご想像にお任せしますw
- 512
:スゴロク:2011/02/15(火) 09:22:20
- >akiyakanさん 後々の混乱に備えて、時系列を整理しておきます。
「都シスイの仕事」系列(「麒麟の産声」「いつか『私』であるために」含む)→「残り火で、二人」→「オラトリオ」以降の「火波スザクと恋心のお話」系列&「リバース・オブ・ジングウ」系列
ってことでよろしいでしょうか? おおまかですが。
- 513
:akiyakan:2011/02/15(火) 10:52:10
- スゴロクさん>
はい、大体そんな感じでいいと思います。
- 514
:大黒屋:2011/02/15(火) 19:14:53
- とりあえず店長編はこれでひと段落かと。
スゴロクさんの「夜波 マナ」をお借りいたしました
平日の昼間に店に来たのは、本来「来てはいけないはず」の客だった。
高校生が二人。制服から見ていかせのごれ高校か。
そのうちの一人を見るなり、店長は眼を見開いた。
「お久しぶりです…楠原 亜音さん。」
「…ノルン?」
カウンターにつきだされた水を飲みながら、ノルンは店内を見回した。
「めずらしいね。あんたが友達連れてくるなんて。」
「彼はノアといいます。「上」の命令で常に二人一組を命じられたので、連れてきました。」
「ま、もっとも、学校いっても勉強する気ないしな。」
「おいおい、それはいけないなぁ。学生は勉強が仕事っていうでしょ?」
「…。」
曇り空が広がる窓を見つめ、店長は呟いていた。
「…あの事件から、何年だっけ…。」
「…丁度3年じゃありませんか?」
「ああ、そっか。このレストランも開いてからそのくらい立つわね。」
「あの時は、命令とはいえすみませんでした。」
「貴方が謝る必要ないのよ。」
そっと、プリンを一つずつ置きながら店長は言う。
「とはいえ、甚大な被害を出してしまったものですから。…軽い洗脳を受けていたとはいえ。」
「被害は建物だけじゃない。他は何にもなかった。」
店長はノルンの頭をがっしとつかむと、めちゃくちゃに掻きまわした。
「あんたはえらいよ。あの時施設の子供を「誰一人として傷つけなかった」じゃない。」
「いえ、命令にそんなことありませんでしたので…。」
「他の奴らなら間違いなく何人か殺してるよ。その点あんたはまだ「あの人」の者じゃないってことでしょ?」
「…実は、今日はそのことで相談に上がったんです。」
「ホウオウグループを、抜けようと思ってるんです。」
「「!」」
ノルンの言葉に、店長とノアは驚いた。
「…本気で言ってるの?」
「勿論です。でなければ、貴方のもとには訪れていません。」
プリンをつついていたスプーンを置き、ノルンは顔を上げた。
- 515
:大黒屋:2011/02/15(火) 19:17:47
-
「ノアもホウオウに完全に忠誠を誓ってるわけでなく、面白半分な面があるのでここでこうやって話せているわけです。そして願わくば、ノアもホウオウから解放してあげたいのです。」
「ノルン、お前…。」
「どちらもいけないのなら、僕が残るつもりです。」
「…どこまでも他人思いなんだね、あんたは。」
店長は、ふっと微笑んだ。
「私は、自分のやりたいことを主張できずに後悔したことが何度もある。だから、あんたにそんな後悔させたくない。」
店長は立ち上がった。
「自分の思うようにやりなさい。そして、もしよりどころがないなら、いつでもおいで。部屋はあいてるから。」
「…。」
ノルンは何も答えず立ち上がり、深く長く、店長に一礼した。
そして、二人分のプリンの代金を払うと、ノアを率いて出ていった。
「…三年前の、後悔…。」
何処からともなく声が聞こえ、振り返った。
窓際の席に座る、一人の少女。その姿を見るなり、ほっと息を吐いた。
「…何時の間に来たの?」
「さっき。」
「ご注文は?」
「…いつもの。」
彼女…夜波マナの眼の前にアイスと紅茶を置く。
マナは反応せず、黙々と本をよんでいる。
いつものことだから、黙ってカウンターに戻ろうとした。
「…後悔、してるんでしょ?」
「!」
思わず振り返る。
視線の先のマナは、本から眼を離さないまま、虎視眈々と言葉を紡ぐ。
「戦線離脱。後悔してる。違う?」
…違わない。
レストランを開いた時に、真っ先に忘れようとしたこと。
でも、決して忘れられなかった。
戦ってた自分が。
人々を助けるために、戦ってた自分が…。
「遅くない、今からでも。」
マナは本を閉じ、店長を見た。
「まだ、衰えてないんでしょう…?」
「…。」
心の中でありがとうと呟き、言葉は胸の底に仕舞った。
いつか必要とされたときに、迷わないために。
「店長」から「戦士」に戻る日がくるときに…。
- 516
:スゴロク:2011/02/15(火) 19:30:17
- >大黒屋さん おおっ、マナが早速出てますね。窓際で読書、実にイメージ通りです。
そしてノルンが脱退宣言!? これは雲行き怪しくなってきましたね……さっそくクロウ辺りを派遣しなければ(待て
3年前の事件……店長が引退したあの事件ですかね。しかし、「施設」とは……?
- 517
:大黒屋:2011/02/15(火) 19:50:00
- >スゴロクさん
あー、一応設定ではスザク達の「施設」とは別物になってしまいますね。
ノルンがホウオウに入った後になりますので。
ただ自覚のない能力者を保護する施設とだけ考えておりました;
- 518
:スゴロク:2011/02/15(火) 19:59:57
- >大黒屋さん やっぱりそうですよね。時間軸にまた食い違いが!? と思ってましたが、杞憂に終わってよかったです。
- 519
:大黒屋:2011/02/15(火) 20:33:00
- >スゴロクさん
いや、なんかもう時間軸に無理に突っ込んで食い違うのが怖いものですから;
というかこの設定もどこにも突っ込んでないことを祈ってます;
- 520
:スゴロク:2011/02/15(火) 22:27:37
- 今回は大脱走とその後の話です。
ウスワイヤ、ロビー。
「……あれから、9年か」
水波 ゲンブは過去に思いを馳せる。
――――そこは、まさに地獄……いや、違う。そこはあくまでも、結果を追い求める一つの場所でしかなかった。ただ、そのための手段を選ばなかったと言うだけ。そして、結果に至らないものは、破棄された。そういう、場所だった。
『があああああっ!!』
叫び。呻き。刷り込まれた方向性に従い、力が荒れ狂う。強固なガラスに閉じ込められた被検体を、感情のこもらない目で見つめながら、「彼ら」は言葉をかわす。
「……予想よりも発現率が低くなっていますね」
「やはり、これは紛い物というべきなのか。とはいえ、規定レベルは遥かに越えている」
彼らが見る先にいるのは、赤い髪を振り乱して暴れる、幼い少女。その右拳の先には、口を開いた龍が光の刃を吐き出しているような、赤い剣。ただ、輪郭がぶれ、安定していない。血走った瞳は、ただ周囲から襲う「敵」だけを映し、その思考は破壊することのみに凝り固まる。
彼らが、そうしたのだ。
「ですが、現時点では制御が著しく困難です。実験終了後にアームで拘束、その後大量の鎮静剤投与と精神操作を行わねば停止しません」
「ふむ。リスクにリターンが見合っていない、か……廃棄も検討すべきかもしれんな」
「そうは言うが、これほどの素材は貴重だ。むざむざ捨てるのは惜しい」
「……そうだな。では、引き続き調査とデータ収集を続行するとしよう」
真剣な目で言い交わす彼らの考える事は一つ。究極の生体兵器の、開発。そこに、人の情などは欠片も存在しない。
『う、ぅうぅう……ぐあああああっ!!』
「もう全滅か……機械兵器が相手とはいえ、これ程とはな」
「ターゲット装填完了しました。射出まで6秒」
「必要ない。ただちに射出、データ収集を続行する」
「わかりました。ターゲット、射出します」
手元のパネルが操作されると共に、ガラスを隔てたその部屋の中に何匹かの生物が放りこまれる。およそこの世のものとは思えない姿のそれらは、ここで作られた実験物の一つ。成果が上がらず、廃棄されるだけの存在だった。どうせ捨てるなら、ということだ。
『ぐぅぅぅおおあおおおぉぉああぁぁっ!!!』
膨れ上がる破壊衝動に呑まれるままに、少女は赤い剣を縦横無尽に振るう。異形の獣達は赤い猛威にさらされ、瞬く間に切り刻まれていく。それは、まさに地獄絵図。獣の断末魔と、少女の咆哮が重なり、阿鼻叫喚そのままの光景が現出していた。
それを探るような目で見つつ、彼らは言う。
「撃破時間、トータルで18秒23です」
「以前よりも下がっているな……原因は」
「はい、精神改造の後遺症と思われます。破壊に至るまでの判断能力に若干のブレが観測されました」
「上手くいかんものだな。とはいえ、打ち切るわけにもいかん」
ため息をつき、続ける。
「データ収集は」
「完了しました。現在、統合ステップに入っています」
「では、ここまでだ。R-903を停止させろ」
「了解しました」
再び電子音が響く。すると、ガラスの向こうに5つのアームが伸ばされ、未だ荒れ狂う少女の四肢を拘束する。
『!? うぅっ、ぐあ、うおああぁぁああぁぁっ!!』
拘束から逃れようと暴れる少女に引きずられ、アームがぎしぎしと悲鳴を上げる。しかし、アームに仕込まれた針が四肢に打ちこまれてしばらくすると、先ほどまでの恐慌が嘘のように、動きが止まり、かくり、と頭が落ちた。意識を失ったのだ。
「意識レベル、0。停止しました」
「移送しろ」
無機質に命じると、アームが少女を解放する。入れ替わりに白衣を着た者たちが走り込み、その体を抱えて何処かに運び去った。それを見届けると、彼らは興味を失ったかのように、その場を去っていった。
- 521
:スゴロク:2011/02/15(火) 22:28:20
- (……あれから、どれくらいだろう)
窓も何もない、鉄造りの無機質な部屋の中で、少年はただ考えていた。自分が日常から切り離されてから、どれくらいの時間が経過したのかを。
だが、思い出せない。太陽の光を最後に見たのは、いったいいつだっただろう。それすらもう覚えていない。自分が今どんな姿をしているのかさえ、ろくに知らない。
昨日の事すらよくわからない。いや、そもそも時間という概念すら、彼の中からは消えようとしていた。
と、
ガコォン、
とどこかで音がした。また、「実験」の対象になった誰かが戻されたのだろう。ここは牢獄ではない。ただの、倉庫だ。実験のための素材を仕舞っておく、倉庫。
だが、少年にはそれすらもう、興味のないことだった。明日廃棄されるかも知れなかったが、生死すらもはやどうでもよかった。
感情も、生への執着も、個我すらも消えかけていた。あるのはただ、答えの出ない問いかけ。そして、今ではない、「いつか」の記憶のみ。
(……あいつは、あれから、どうしたかな)
答えは出ない。いくら問うても、答えは返って来ない。
ただ――――「その時」が近いということは、確かだった。もっとも、ここにいる誰も、その事を知ることは出来なかったのだが。
「ここがそうか……」
その少年は、目的の建物を前にして足を止めた。どのように「任務」を遂行すべきか、それを確認するために。
「確認するが、完全に破壊して構わないんだな」
『その施設は、我々にとっては無用。何より、行われている事はあまりにも非合理的だ。貴重な能力者を使い捨てにしているのだからな』
「了解。では、これより任務を遂行する。終了は1時間後を予定」
『滞りなく進めろ、クロウ』
ああ、と一言答えて通信を切り、少年――――クロウは、目標に向けて足を踏み出した。
それは、突然のことだった。データを検証していた彼らのもとに、前触れもなく轟音が響いたのは。
「!?」
「な、なんだ!? 脱走か!?」
泡を食って状況確認に走る彼らの前に、人影が立ち塞がった。濁った血の様な赤い髪を持つ、少年。
「誰だ、貴様は!」
「あんたらの後輩だ。……もっとも、この場でお別れになるがな」
不穏な台詞に、帯同していた者たちが動く。即座に銃を構え、発砲する。避けようともしない少年に、銃弾は突き刺さ――――らなかった。
「……フ」
少年が冷たい笑みを浮かべたかと思うと、銃弾の全てがくくっ、と軌道を曲げ、発砲した彼ら自身に向けて襲い掛かった。悲鳴を上げる間もなく、速度をそのままに戻って来た銃弾を受け、彼らは1人残らず命を失った。それに気を払うでもなく、少年は彼らが先ほどまでいた部屋に足を踏み入れる。
「……捕まった連中については聞いてなかったな。とりあえず、使えそうな奴は引っ張るか」
機械に関しては疎かったが、「CROSE」と書かれている青い部分が目についた。ついでだ、とそれを押すと、表示が「OPEN」に切り変わり、赤く変色した。それを見届けると、少年はさっさとその場から姿を消した。ついでとばかり、拾い上げた銃で重要そうな機械を破壊し、火花を散らさせてから。
- 522
:スゴロク:2011/02/15(火) 22:29:11
- 「……何ですか、この騒ぎは」
その少年は、轟音を聞いてまどろみから覚めた。外がやけに騒がしい。多くの被検体がそうであるように、彼もまた、自身の生死に関しては興味を失っていた。日々の流れにも、明日の事にも。だからこそ、いつもと違うこの状況に興味を抱いた。外を何とか見ようとドアによじ登ろうとして、
「うわっ!」
突然開いたドアにつんのめり、転倒した。身を起こすと、そこは部屋の外だった。ただ、
「な、何ですか、これは」
辺り一面が、炎と煙に包まれていた。漏電に加え、施設を統括するシステムが誤作動したことが原因なのだが、彼にそんなことはわからない。
とにかく状況を確認しようと、走る。生きようとか、死にたくないとかは思っていなかった。そう言う風に、なっていた。ただ、今はいつもと違うこの状況が興味深かった。
道も分からぬ施設の中を、ひとり走る。
と、
「?」
曲がり角で、1人の少年と鉢合わせた。濁った赤の髪を持った、どこか虚ろな雰囲気の少年だった。その少年は、自分を見て言った。
「……この状況で動くか。どいつもこいつも壊れてばっかりだったが、少しは使えるか……?」
「……?」
「まあいい。来い」
言うと、少年は手を掴み、ずかずかとどこかに向かって行った。つんのめりそうになりながらついていき、辿りついた先は、
「うっ!?」
太陽の光差し込む、外の世界だった。あまりの眩しさに目を閉じ、空いた手で目を庇う。そんな自分に、少年は言った。
「総帥に会ってもらう。上手くすれば、お前の力を役立てられるかも知れんぞ」
「くっ、どうなっている!!」
少年は、炎にまかれる施設の中を奔走していた。降って湧いた災難に、とにかく混乱していた。久しく忘れていた生への渇望が蘇り、同時に自分の姿を一瞬だが確認できた。後に彼が得る知識に照らし合わせれば、患者服が一番近かった。とにかく外に出ようと、炎や煙、瓦礫をかいくぐって走る。
しばらく走って辿りついたのは、扉の開け放たれた別の部屋の前だった。自分がいた場所とは違い、完全に牢獄そのものだった。
「ここは……うわっ!?」
「ああぁぁあぁぁっ!!!」
突然、中から赤い髪の少女が飛び出し、襲い掛かって来た。拳にくっつくようにして、赤い剣が見える。このままではやられる――――そう直感した少年は、反射的に蹴りを繰り出し、少女を部屋の中に押し戻した。その反動で後ろに跳び、距離を置く。入口から再び跳びかかって来た少女に再び一撃を入れて戻し、またカウンターで一撃……と繰り返すうち、やがて少女が飛び出して来なくなった。気絶したらしい。
「やれやれ……」
慎重に息をつき、部屋の中から少女を担ぎ出す。このまま放っておいて死なれては、あまりにも寝覚めが悪い。
そのまま別の道へ入ると、しばらく行った所で扉が見えた。出口だ。
「よし!」
そのまま少年は、外の世界へと飛び出していった。白に変わりかけた赤い髪の少女を、連れて。
逃げ出したはよかったが、そこからは地獄だった。何しろ、奇妙な格好の子供二人だ。時に無視され、時に虐げられ、時に邪な視線にさらされ、それでも二人は必死で生き延びた。その中で、少女の方は原因不明の殺戮衝動に襲われていた。理性の様なものはほとんど見られなかったが、一度打ち負かしたせいか少年にだけは従った。時に暴走すると、殴り倒して止めた。そうして、2年程経っただろうか。
「う、うう……」
その日はあいにくの雨だった。寒さに耐えながら路地裏を歩いていると、同道していた少女の方が倒れてしまった。疲労が限界を超えたらしい。何しろここ数日、ろくに眠っていないのだから。
「ま、ずい……ぐッ……」
少年も状況は同じだった。意識こそ何とか保ったが、身体がもう言う事を聞かない。このまま死ぬのか――――そう思った、まさにその瞬間だ。
「あれ……ちょっと、大丈夫!?」
女の子の声がしたのに続いて、水たまりを踏む足音が響いた。
「しっかりして、お願い! ……お父さん、早く、こっち来て!!」
「なんだ、どうしたブランカ。……む、何だと!? どうした、お前たち!」
意識がブラックアウトする寸前、上を向いた視線が捉えたのは、墨のような真っ黒な髪と瞳の少女。そして、その隣に現れた男の姿だった。
- 523
:スゴロク:2011/02/15(火) 22:40:36
- (……あれが、ランカとの出会いだったな)
ロビーの壁によりかかり、ゲンブはその日―――ランカに救われた7年前のあの日に意識を飛ばしていた。あの時、ランカとその父親が手を差し伸べてくれなければ、自分も綾音もあのまま死んでいた。見ず知らずの自分たちを、二人は家に迎え入れ、手当てをしてくれた。そして父親は言った。行き場がなければ、ここにいればいい、と。ランカは体が弱く、一日のほとんどをベッドの中で過ごしていた。そんな彼女との触れ合いの中で、綾音――そう名乗った――は少しずつ衝動に打ち勝ち、自分を取り戻していった。後遺症なのか、赤から変色した白の髪は戻らなかったが。しかし、それから3年ほどして、父親が突如姿を消した。理由はわからない。ランカはそのショックで体調を大きく崩し、入院を余儀なくされた。
(今思えば、それがランカの入院生活の始まりだったか)
行き場をなくした綾音と自分だったが、程なくして一つの組織が彼らを連れて行った。―――ウスワイヤ。特殊能力者を収容し、世間から守ると同時に世間を守る、そんな場所だった。彼らは自分たちに能力があることを、調査によって知っていた。検査を受け、能力の使い方を学んだ。
そして、アースセイバー―――能力者として戦う組織―――への勧誘を受けた。日常に戻る事と引き換えだったが、自分たちには戻るべき日常がなかった。それに、自分だけならそれでもよかったが、綾音はそうはいかなかった。なぜなら―――――。
「珍しいな、ゲンブ。来ていたのか」
「……七篠さん」
物思いにふけるゲンブに話しかけたのは、能力者達の訓練と教育を管轄する七篠 獏也だった。
「ちょうどよかった、一つ聞きたいのだが」
「何ですか」
「お前とあの少女―――火波 スザクは、かつて連中の施設の被検体だったらしいが」
「そうですが」
「……聞きたいのだが、なぜお前だけがここにいる? 上がスザクを引っ張らなかったのには理由でもあるのか」
そうですね、と前置きし、ゲンブは語る。
- 524
:スゴロク:2011/02/15(火) 22:41:37
-
「彼女は、潜入型の殺戮兵器としての調整を受けました。そのため、精神の根幹には『己を縛るもの=破壊対象』という認識があります。これは物心つく前に施されたものですから、解除しようとすれば彼女の自我が崩壊します」
「……理性でどうにかなるレベルではないのか」
「それは、無理矢理に押さえているだけのこと。いつまでもつかわかりませんし、その間は酷く情緒不安定になります。万が一、暴発すれば……」
そう。スザクがアースセイバーの一員となれば、その行動の多くに制限がつく。だが、それは彼女の精神の根幹を本人も気づかぬ内に少しずつ刺激する。理性で抑えていればそれでいいのだが、いつまでもは持たない。そして、万が一それが街中で暴発してしまったら……。
「……規則に拘って危険を増やしては本末転倒。ならばいっそのこと、監視をつけて自由にさせておこうと、こういうことか」
「そうです。かなり特殊な措置でしたが、一般人に被害を及ぼすような選択は出来ません」
心の中に、全てを破壊しかねない爆弾を抱えた綾音。精神検査でそれが判明し、綾音の「保護」及びアースセイバーへの所属は見送られた。代わりに自分はそこに所属し、戦う事を決めた。ここにしか、もう居場所がなかった。そして、綾音と自分は誓った。自分たちから日常を奪った「彼ら」を倒すことを。そして、姿を消したランカの父親を見つけ出すことを。
そのために、自分たちは、弱さを表していた元の名を捨てた。綾音は、全てを奪った者達の元締めに対するアンチテーゼを意図し、「スザク」と。自分は、そんな彼女を守る存在であろうと、「ゲンブ」に。それから、4年。今の自分たちが、いる。
「わかった。スザクの件については、以後触れまい」
「そうしてもらえると助かります。あいつ自身のためにも」
「応。ではな」
立ち去る獏也を見送り、ゲンブは天井を見上げる。
「……スザクに本当に必要なのは、心の隙間を埋められる『誰か』。孤独から逃れなければ、衝動からも逃れられん」
このことは、本人には言っていない。自分で気付いて乗り越えねば、本当には衝動を乗り越えられないからだ。
スザクの衝動が再発するのは、より強く意識した―――恋した相手に対して。それは、彼女の今までに端を発する、「寂しさ」のせいだ。隙間を埋められる相手を見つけると、それを失う事を恐れ、自分だけのものにしようと殺意を抱くのだ。それが現在は、命を奪いあう約束をしたトキコに向いている状態だ。果たしていいのか悪いのか。
「……所詮は、一時しのぎに過ぎん。だが、あるいは……」
その想いが、その約束の実現が、もしかすると何らかの結果を呼ぶかも知れない。そして、可能性はもう一つある。それは、
「灯台もと暗し……。スザク、お前の孤独を受け止めてくれる相手は、案外身近にいるかも知れんぞ」
果たして誰の事なのか……真相は、彼のみぞ知る。
- 525
:スゴロク:2011/02/16(水) 13:35:11
- 挨拶を書き忘れてました……。大黒屋さんの「ノルン」、ネモさんの「七篠 獏也」をお借りしました。
今回は「施設」時代の話とスザクの内面について書いてみました。
気づくのに14時間もかかってしまった……。
- 526
:大黒屋:2011/02/16(水) 15:10:52
- >スゴロクさん
なんというスザクの過去…!
これはもう目的が達成されることを真に祈るしかありませんね。
そしてノルンとクロウの関係は今後にも影響してくるでしょうね…。
- 527
:大黒屋:2011/02/18(金) 14:26:12
- 久しぶりに一話完結小説を。
しらにゅいさんの「トキコ」をお借りしました。
また回線が切れた。
今日で何回目だろうか分からない。
立ち上がった拍子に配線に躓いて転び、そのせいでものがいくらか棚の後ろにおちていった。
バールとか、つっかえ棒とか使おうかとも思ったけど、どうせ手を滑らせて足の小指を打つのがオチだと思い、仕方なく棚を動かして手を伸ばした。
パソコンの電源が、今日に限って自動アップロードでなかなかおちない。
いつもは勝手にエラーおこしておちるくせに。
「もう嫌だ…。」
ぐしゃぐしゃと白髪頭を掻きむしりながら抱え込み、部屋の中央でうずくまった。
どうしてこうも、付いていないのだろう。
触れるもの、使うものが、まるで拒絶してるようだ。
何もかもがうまくいかない。もう何もしたくない。
学校に行かなくなって、もう何年経つのだろうか。
毎日のように誰か来るけど、絶対にだんまりを決め込んでいる。
当たり前。
絶対ろくなこと、ないんだから…。
「しーがたちゃーん、プリントもってきたよー!」
外から声。ああ、もうそんな時間か。
そう思いながら自室の扉を閉めようとしたその時。
何かが勢いよく後頭部にぶつかった。
あまりに重いものだからそのまま吹き飛ばされ、反対側の壁に激突した。
何があったのか分からないまま、とりあえずよろよろと重い「それ」をどけてみた。
…え、げ、玄関のドア…!?
「あーっ!ごめん!大丈夫!?」
ドアのない玄関からは、背の低い女子が手を振っている。
何が何やらわからない。
もしかして…「あの子が壊した」…!?
ま、まさか、そんなこと…。
「あー、思ったよりバッキリいっちゃったなー。ちょっと調子に乗り過ぎたなぁ…。」
気がついたら、玄関先の女子は遠慮なく上がり込んで、すぐ隣に来ていた。
反射的に飛び上がるように離れ、壊れたドアをふる。
ところが慣れたように避けられ、反動でドアが顔面を襲った。
痛む鼻を押さえ、その場にうずくまる。この赤いの…間違いなく血だね…。
- 528
:大黒屋:2011/02/18(金) 14:26:55
- 「何してんの?大丈夫?」
心配そうに寄ってきてきてるけど、絶対ろくな奴じゃない!
ドアが飛んだことに驚きもしない人が普通なわけない!
「だ、大丈夫なわけ…。」
ティッシュを探るけど、こういうときに限って箱の中が空だ。
あたふたしていると、女子はポケットティッシュを差し出した。
「え…?」
「顔、すごいことになってるよ。あげるからふいておいでよ。」
思わずぽかんと見上げる。
こんなことしてくれた人、初めてで…。
「ほらほら、早く!」
言われた通りティッシュを受け取り、洗面所に走った。
…まぁ、案の定洗濯物入れに引っかかって盛大に転んだけど。
「ずーっと、ここにこもってるの?」
プリント渡して帰るものだと思ってたのに、この女子はしつこく部屋にいる。
「そうよ。」
「暇じゃない?」
「もう慣れた。」
「暇って慣れるものなの?」
「…。」
正直、うんざり来ている。
「ねぇ、いい加減帰ってくれない?」
「やだ。面白そうだもん。」
こちらの不愉快なんてそっちのけ。子供かあんたは。
「ねぇ、外でない?」
「は?」
「外!暇なんでしょ?ちょっと気分転換にさ!」
暇だとか一言も言ってな…。
「いこいこ!」
有無を言わさず、腕を引っぱられ外に出た。
「ゆーいちゃーん!かなーでちゃーん!」
やって来たのは小さなカフェレストランか。
この女子の知り合いらしい人は、カウンター越しに振り向いた。
「おー、いらっしゃい!今日も一人?」
「ううん、今日はお友達も連れてきたの!」
「珍しいな、友達連れてくるなんて。」
「…そんなつもりなかったんだけど…。」
なんて呟きは、無視された。
- 529
:大黒屋:2011/02/18(金) 14:27:26
- 目の前にある真っ赤に染まったオムライスが、あっという間になくなっていく。
それを茫然と眺めていたが、流石に気になって声をかけた
「あ、あの…。」
「ん?」
「貴方…一体…?」
「あ、あたし?トキコっていうの!よろしく!」
「そうじゃなくて…。」
「なんで私を連れ出したの?」
「いいじゃん、どうでも。面白そうだったから。」
やばいパターンだ。
このまま付き合ってると危ない気がしてならない。
「私と付き合う人って、ろくな人いないのよ…?」
「ならいいじゃん。あたしもろくでなしってことで。」
「ねぇ、なんで私なの?」
「だから面白そうだったからって言ってんじゃん!」
分からない人だ…。
「ねぇ、なんで学校来ないの?」
「…それはきかないで。」
「えー?学校面白いのに。いろんな人いるんだよ?きっとお友達できるし!」
…今まで何度、そんな言葉を大人にかけられたことだろう。
そのたびに信じ、裏切られた。
手首に、腕に、首に、残っているこの跡は、裏切られた証。
だから決めた。
もう誰も信じない。
「モノに嫌われる」私が、「モノに好かれる」わけがない。
黙って立ち上がり、引き留めるのを振り切って、家路を走る。
途中で何度も躓いて、転んだけど。
「モノの優しさ」なんて、いらないんだ。必要ないんだ。ほしくないんだ。
…多分
「…あーあ。折角誘おうと思ったのに。」
スプーンを置いて、赤くなった口を拭きながら、トキコは言った。
「受け入れてくれる人、教えてあげようと思ったのになぁ…。」
- 530
:大黒屋:2011/02/18(金) 14:29:17
- 忘れてました!;
最後まで名前をほとんど伏せていましたが、主役は氏型環です。
1人称とも3人称ともつかない「1.5人称」に挑戦してみましt(何それ
- 531
:しらにゅい:2011/02/18(金) 19:17:00
- >akiyakanさん
あの男のメイドにそんな隠れ話が・・・!確かに単独だと随分絡み難いキャラに
なりますよねぇwサヨリ効果もしっかり出てるかと!w
>>502-508 作業用BGMってwww上級者向けですね分かりますw
この施設にこんなラボが・・・知的好奇心をくすぐりまくりですね!
やりたい放題やるジングウになんやかんやでついていくサヨリさんマジ
可愛い。そして探索の末発見したのが・・・幼女・・・だと・・・!?←
サヨリさんのほかにかわい子ちゃんが増えたよ!でもどんどんホウオウ
グループのイメージが柔らかくなっていくよ!・・・まぁ元々フレンドリーな
組織でしたし良いのでhあれホウオウ様g(ry
>>510-512 オトメェェェェ(*´∀`)ェェェェン
私がボッコボコにしてやんよと宣言された奴らは文字通りボッコボコにされる
わけですね分かりますwwwニヤニヤさせて頂きましたww
>>514-515 な、なんですと・・・!?とんでもないこと聞いちまったぜ!!
ちなみに・・・何気にノアくんは初登場ですかね?w(*´ω`)
むーん、二人の今後も店長さんのこれからも気になりますなぁ・・・
>>520-525 おぉぉ・・・!姉御と兄貴の過去話ですか!ノルンくんがホウオウと
出会うきっかけはこういうわけだったのですね・・・ちょっと感動(*´∀`)
しかし想像を絶するほど酷い施設ですね・・・人間をモノのように扱う・・・
今確かな生をつかんでいるのが本当に幸運です。よかったなぁ(´;ω;`)ブワッ
姉御の孤独を受け止めてくれる人物が現れてくれることを祈るばかりです。
ノルン君にも幸あれぃ!
>>527-530 手違いで殺すところだったじゃないか!トキコ、めっ!( `Д´)←
しーちゃんへの問いかけがトキコらしいなぁ、暇って慣れるものなのって・・・
これは是非ともトキコサイドのお話も・・・!って書きたい話ばっかりたまってるなぁ
私・・・!ヒイイ(;´Д`)
- 532
:しらにゅい:2011/02/18(金) 19:38:17
- *残酷表現有。ぷっちんトキコちゃん。
『お前は、私の世界で何を望む?』
『…わたし、は…』
「……ん…」
目を覚ませば、そこはうちに似た、どこかの廃墟の一室だった。
___昔の夢か、あれは。
「…んーっ!くう~…」
軽く背伸びをして目を擦りながら、今見た夢を思い出してみた。
あれは昔、ホウオウ様が私を拾ってくださって間もないころの時だった。
ホウオウ様が望む、『合理化された世界』…そこで私は何を望む、と問いかけられたんだっけ。
なんて答えたかは、あまりにも昔の出来事だったので忘れてしまったのだが。
そういえば、死期の近い人間って昔の夢をよく見るとか。
なんだか不吉だ。もうすぐ私は死んでしまうのだろうか。
「……あぁ、そっか。」
それを不吉だと考えてしまうのも、どうしてここにいるのかも、ある共通の理由があることを私は思い出した。…ジングウだ。
先の『生物兵器騒動』の犯人にして、都シスイ、闇野光一、ハヤトといったアースセイバーの精鋭、
無所属でありながら学園の為に戦う火波スザク、ホウオウグループのエースであるリオト、以上五名と交戦し消滅したはずの人物、
そして絶対者であるホウオウ様を裏切った許されざる罪人。
何故あの男が悠々と施設の中を歩いていたのか、どうせ卑劣な奴のことだから何かしらの手はあったのだろう。
その素材は十分にあったんだし。施設で奴と目が合った時、すぐにでもその顔を握り潰してしまいたかったのだが、
あんな奴の血が自分の手につくと考えれば、それだけでゾッとした。ウイルスとかそういう理由じゃない、
吐きたくなるほど奴が嫌なだけ。その日以降はとても気分が悪く、何をしたかは覚えていない。
ただ、周りの死体を見ればだいたい何をしたかは把握がついた。
「…ご愁傷様。」
八つ当たりの対象となったモノに、せめてもの弔いの言葉を送った。
…私は今後、ジングウと関わりあうことはないだろう。ホウオウ様を裏切った、
それが一番の理由だが何より彼が『うそつき』であるからだ。リィに話を聞けば、
彼は自分の行いを反省し、再びホウオウグループに貢献することを誓ったという。
だが、私にはそれが嘘であることはすぐ分かった。決定的な理由はないけれど、
いつもと同じ、『嘘』が見えるだけ。
・・・私はあの一件以来、嘘に関しては非常に敏感になり、
酷い嘘でも優しい嘘でも嘘とつくものには許せない性分になってしまったのだ。
その対象は母から始まり、近所の人たち、ホウオウグループ、そしてクラスメイトにも
向けられるようにもなった。正直、クラスメイトの半分以上はこの街特有の『典型的な嘘』を
持っているから、好きにはなれない。しかし嫌悪する姿勢を見せていたら誰とも接触出来ない、
ホウオウ様から受けた仕事もこなせない。だから私も嘘をつく。正直、吐きたくなる。
ああ、ほら、またあの衝動が
「………」
ゴキャッ
死体、原型を保つ頭部、踏み潰す。
ゴキャッ、ガリッ
踏み潰す、踏み潰す、フミツブス。
ボ キ ン、プチッ
___あ、換えの着替えもってきてないや。
そんなことを潰した後に考えてしまったのだから、もう後の祭りだ。
・・・あーあ、今日は学校行けないや。せっかく今の今まで皆勤賞だったのに、こいつらや、
あいつのせいでパァになってしまった。とりあえず何か使えるものはないかと私はその死体を
漁り始めたのであった。
___その時、偶然にも死体の中に「Earthsaver」という文字を発見出来なかったのは幸か不幸か。
___私は、知る由もなかった。
朱鷺の衝動
- 533
:しらにゅい:2011/02/18(金) 19:59:24
- というわけでやっとトキコ視点の話が書けた・・・がっ!短い・・・!!
名前のみお借りしたのはジングウ(akiyakanさん)、リイ(遊び盛りの学生Lv15さん)
でしたが表記で間違えて「リィ」にしてしまったことをお詫び申し上げます・・・
要するにジングウてめどうしてくれんじゃという話でした←
トキコの「衝動」というのは所謂八つ当たりって奴です、行き場のないイライラを
どこかにぶつけたくてしょうがないという。その際感情で力がコントロールされて
しまうので、破壊衝動ぱないです。トキコが怒ったりするとだいたいグロ仕様に・・・。
トキコの言う『典型的な嘘』というのは自分を能力者だと隠しているということ、
そしてあの一件は例の過去話の事です。あれ以来「嘘」に対して非常に敏感になって
しまった為、人より嘘を見破る力が100%ってわけじゃないですが、かなり強いです。
嘘嫌いは元からあった設定だけれども、こうしてみると段々二面性がが・・・´`;
本日の犠牲者:アースセイバーの名も無き戦士、ってことになってますがきっと記憶の
ないあたりでホウオウグループっていうのがバレちゃったんじゃないかなぁ・・・と
書いた本人もなんか微妙な(ry
そしてほのかに匂う死亡フラグ、書いた本人も(ry
- 534
:しらにゅい:2011/02/18(金) 20:02:39
- ちょwww大事な面々忘れてました!
都シスイ(akiyakanさん)、闇野光一(想像者さん)、ハヤト(鶯色さん)、
火波スザク(スゴロクさん)、高嶺 利央兎(紅麗さん)、そして
我等がホウオウ様(本家様)
以上の方々をお借りしましたー!すいません;;
- 535
:(六x・):2011/02/18(金) 20:45:22
- >>531 しらにゅいさん
豚共はボコボコにされたようですな。あとニヤニヤして下さってありがとうございました!
企画つれっど>>290に凪さんの弟分を投下したので、よかったらまた交流してやって下さい^^
それにしてもトキコさん怖いお・・・怖すぎるお・・・
思いあまって友達を壊さなければいいですが・・・
>スゴロクさん
「狐」について、次からのお話で明らかにしました。そんなに意味ないっぽいかもですが。
- 536
:(六x・):2011/02/18(金) 20:47:11
- サイコロさんのショウゴをお借りしました。そして新キャラ一人。
雪原の銀狐
「凪さん、俺をあなたの奴隷にしてください!」
「またお前か。しつこいと言ってるだろう。」
「!」
「ぐふっ!わ…我々の業界ではご褒美です(^p^)」
「気持ち悪いんだよ、足が汚れるから失せな。」
「いやぁ、見事なハイキックだった。訓練すればもっと伸びる。というわけでぜひ柔道部に」
「タガリ先輩、でしたっけ。柔道部って男子だけでしょう。私は女子だし体力もないんで遠慮します。」
「いや、女子も歓迎。あと体力ないってならなおさらおいで(゜∀゜)見学だけでも。あと、蹴りを入れる時は下に何かはいた方がいいよ。(さっきちょっと見えた)」
「パンツはいてますけど。」
「いや、その上にね…///」
「んー?あ、私もう帰りますね。舎t…弟分が待ってるので」
「あ…(舎弟っていいかけたΣ)」
「よ、冬也。バイトはもういいのか?」
「うん、今日はもういいって。」
「お疲れ。しかし、長時間も座ってるだけとか…痔には気をつけろよ。」
「時々立ってるから大丈夫。・・・俺、凪姉がスノボしてるのまた見たいな。」
「いきなりだな。今の時期スキー場やってないけどなw」
「うん。でも、凪姉は雪の上なら負けないもんね。」
「そんな大げさな」
「雪合戦も男の子より強かったんでしょ?なんか言われてたよね」
「確か…雪原の銀狐だか黒狐。」
「銀狐だよ。クールなイメージだから凪姉にぴったりだよね。黒狐だとなんか腹黒いみたいねw」
「・・・冬也くん?お姉ちゃん全然怒ってないからちょっとこっちおいで?爪ス♯^ω^ス(ビキビキ」
「ご…ごめんなさい」
「よろしい。次言ったらイナバの白ウサギな。」
「うわぁあああWリ;ω;)人体模型の赤い部分はいやだよぉ!!!」
「嘘だよ。半分。」
「えっ・・・?」
省吾さんの勧誘、今回は失敗に終わったようですが次は・・・?
初登場なのに冬也くんの扱いがひどくてすいませんw悪気はないんだぜ。
- 537
:スゴロク:2011/02/19(土) 00:57:53
- 今回は自キャラのみです。
「……おいおい、何だよこれは」
とある廃墟の一室で、俺はそう呟いた。いかせのごれ高校に向かう途中、そこに潜入しているひとりであるトキコとすれ違った。普段なら登校しているはずの時間帯だが、彼女がやって来たのは全く別の方向だった。あの先に何が?
思って行って見たが、そこに待っていたのは惨劇の痕だった。原型をとどめない死体。その中に「Earthsaver」の文字を見つけた時は冗談抜きで頭を抱えた。
「……総帥。あれ、ほっといたらダメでしょう……」
総帥の考えがわからないことではグループ一の俺だ。しかし、そんな俺でもわかることがある。グループはどうも、トキコを扱いかねているフシがある。総帥から出ているという「成すがままに任せよ」というのは、裏を返せば「あれは、扱い切れん」ということなのかも知れない。ま、幹部連中ならともかく、「絶対」を以って鳴る総帥に限ってそれはないとは思うが。
とにもかくにも、この状況を放置するのはグループにとって不利益だ。もしアースセイバーにこれを見つけられれば、調査に秀でた連中の事だ。そこからトキコの潜入が伝わり、グループの行動が困難となりかねん。堤も蟻の一穴から崩れる、何にしてもこのままではまずい。とりあえず、荷物の中から箱をみっつ取り出す。一つは真ん中に。もう一つは天井に。そして最後の一つは一階に置き、急いで外に出る。
しばらくの後、
轟音と共に廃墟ビルが崩壊した。
「……さすがだな」
箱の正体は開発部が作った爆弾だ。とはいっても最近のものではなく、以前の作戦で使われるはずだったものだ。結局そのままになっていた上に、現在の作戦には不要の代物。俺の目下の仕事はこれの処分だったので、ちょうどよかった。爆発と倒壊の音は、その軌道を上に振り向けて誤魔化す。かなり力を使ったが、証拠の隠滅はとりあえず完了。すべては、グループのために。歯車として、キリキリ働くとしよう。
「どうなっている? 連絡が……」
その日、俺は一向に繋がらない携帯に苛立っていた。相手は、ストラウル跡地近辺を調査していた担当者だ。今朝から連絡がつかず、定時連絡も滞っている。一体何があった?
何らかの事故に巻き込まれた可能性も考えられる。能力を発動し、通話をかけつつ携帯の場所を探る。ヒットした場所は、跡地近辺の廃墟。心霊スポットとしてそこそこ有名なため、めったに人が近づかない場所だ。どうやらまだあそこにいるらしい。継続任務のため、そこを拠点にしていたと聞いている。
(急げば間に合うか……?)
思い、駆け出そうとしたその瞬間、
「ッ!」
頭の中にイメージが走った。―――トラックが突っ込んで来る!?
「まずいっ!?」
咄嗟、そこから全力で後ろに下がる。ちょうど次の瞬間、明らかにルールを無視した軌道を描きながら、さっきまでいた場所に10tトラックが突っ込んで来ていた。―――危なかった。もう少しで轢かれるところだった。
野次馬が集まり出したのを見て、とりあえず携帯をかける。相手は聖さんだ。調査員の方はこれから調べる。……ただ、嫌な予感はしたが。
そしてそれよりも、
「……俺はいつになったら真衣に話が出来るんだ」
調査任務が立てこんでいて時間が自由にならない。早く片付けて真衣に会わないと……。
- 538
:スゴロク:2011/02/19(土) 00:58:49
- 「何だと? ……わかった、こっちは俺が調べる。てめぇはとりあえず待機しとけ」
啓介から交通事故の報告を受け、俺はとある廃墟へ向かった。しかし運の悪い奴だ、交通事故とはな。死ななかっただけ大したもんか。それでも、今日一杯は多分動けねぇだろう。任務そのほか、諸々事情もあるしな。
とにかく、俺は件の廃墟へ向かう。ホウオウグループ絡みの事件が多発したストラウル跡地は、アースセイバーの調査員が周辺から張り込んでいる。啓介が看取った奴と、今探してる音信不通の奴は、その一部だ。
「ったく、何をやってやが――――」
そこには、瓦礫の山があった。
「……………………は?」
一瞬言葉が出なかった。確か、例の調査員はここを根城にしてたはずなんだが……。
寄って見て瓦礫を掻き分けて見ると、
「うっ!?」
ほとんど原型をとどめていない、死体だったと思しき欠片がいくつか出て来た。その中には「Earthsaver」の文字も見られた。
――――倒壊に巻き込まれて死んだのかよ。まったく、揃いも揃って運のない連中だ。
たしか、この廃墟は土台部分が老朽化していた。倒壊の危険はあったが、災害でも来ない限り大丈夫、と啓介は言ってやがった。――――この様子じゃ見事に外れたらしいが。
奴の予知も万能じゃねぇ、か。つくづく不便なこった。
とりあえず携帯をかける。
「俺だ。……ああ、例の調査員だがよ、ビルの崩壊に巻き込まれてくたばってやがった。……死体なんざ残ってねえよ。瓦礫に潰されて原型がもはやねえ」
一通り報告を終えると、俺は服の欠片を回収してその場を去った。後の処理は他の連中に任せるか。
――――自分で捲いた種の責任、いい加減とらなきゃならねえからな。
「…………」
街を歩きながら、俺はあの廃墟での一部始終を思い返していた。無機質な瞳で調査員を惨殺するトキコの姿は、まるで――――そう、機械のように見えた。あれは、機嫌が悪い時のマナと似ていた。余程腹に据えかねたことがあったのだろう。
止めなかった理由は、スザクにある。あの場で飛び出してトキコを押さえればよかったのだが、そうすると俺がスザクに殺されかねん。
アースセイバーに伝えるのもダメだ。結果は同じだ。下手をするとスザクが殴りこんで来る。そして恐らくマナも。
だったらランカを使えと? そんな事を考える奴は俺が殺す。隅々まで殺す。念には念を入れて明確に殺し抜いてくれる。
――――って、いかん。俺まで壊れてきている。
と、とにかく。何より、昔から言うだろう。人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴られて死ねばいい、と。俺はまだ命が惜しいし、トキコに目をつけられた時点で並の能力者では生き残る目はない。残念だが、見捨てさせてもらった。
なに、冷酷だと? ふん、そんな罵倒より、俺は怒れるスザクの方が100の100乗くらい怖い。
奴を本気で怒らせたら、塵も残らんからな。
「………とはいえ、さすがにこれ以上は俺がもたん。スザク、殺すなり手に入れるなり、早くしてくれ。……頼むから」
- 539
:スゴロク:2011/02/19(土) 01:01:30
- 「スザク。あの子をどうしたいの、あなたは」
とある公園。
隣に座るマナにそう問われて、僕は即答できなかった。
少し前なら、「殺したいのかな」とあっさり言えたはずだ。なのに、今は答えが出て来ない。どうして?
僕の迷いを見透かしたように、マナが言う。
「後悔は、しない?」
「!」
一言。そのたった一言が、僕を迷わせる。
トキコの「約束」は、他ならぬ僕から持ちかけたものだ。――――だけど、その後に何がある?
僕が殺されるのは、この際いいとしよう。そう簡単に死ぬ気はないが、トキコにだったらこの命、くれてやってもいい。
なら―――僕が勝ったら? トキコを殺したら? その後に、何が?
「――――!?」
不意に、背筋に寒気が走った。そうしたら――――僕に、何が残る?
「……気付いてなかったのね、やっぱり」
呆れたように、マナがため息をついた。気付いていない? 何に? 僕は、何を見落としている?
「殺し合いだの、衝動だの、色々言ってはいるけど、つまる所はこういうこと」
「独り占めにしたいんでしょ、あの子を」
「え………」
「あなたがホウオウグループを憎むのは過去が原因。だけど、ホウオウ個人を嫌い出したのは割と最近。それはなぜ?」
言われて答えられない。なぜって言われても……。
しかし、僕に構わずマナは言ってのける。
「簡単、答えは。あの子を独占してるから」
「うっ!?」
「要するに、あの子を取られたくないんでしょ」
……その通りだ。これでは自覚するしかない。
「殺し合いの約束になってしまったのは、たまたまその感情が殺戮衝動と結びついてしまったから。抱く感情が歪んだのもそのせい」
「…………ちょ、ちょっと待て。何で僕のことをそう詳しく知ってるんだ?」
あんまり会う事がないのに、どうしてマナはそこまで知っている? しかも心の動きまで。ゲンブには話したけど、他の人には何も言ってないのに。ちょっと怖くなって問うと、マナは口元にくすり、と笑みを浮かべ。
「何でもわかる、あなたのことなら」
言ってのけた。……もう、何か言いかえす気も起きない。しかし、マナは僕のことには頓着せず、そのまま続ける。
「……けど、本当にどうするの? 殺せる?」
「それは………」
………冷静に考えると難しい。衝動がなりを潜めた今になって思い返すと、それは実際問題、僕には出来そうもない。
しかしこうなると、僕の末路は決定してくる。これで僕はトキコを殺せなくなってしまったし、ほぼ確定だ。本当にそうせざるを得なくなったら、どうなるかはまだわからないけれど。
どうしたものか、と悩んでいると、またマナが言った。
「出来ないのなら、受け止めて」
「えっ?」
「殺し合うだけが繋がりじゃない。知っているはず、あなたは」
じっと目を見つめ、手を重ねて。
「まず、話を聞いてあげて。あの子に、嘘はつかないであげて」
そんなことを、真剣に言った。
「あなたは死んではいけない。ランカも、私も、悲しいから」
「マナ……」
「そして、忘れてはいけない。あなたを支えてくれる人が、あなたが『死なせたくない』人が、すぐ近くにいることを」
「…………ん……」
ウスワイヤ、ある一室。
眠り続けていた少女は、薄く目を開ける。
「ここは………?」
―――その日。夢は、覚めた。
余談。
「……スザク、そういえば学校は」
「………あっ!?」
というわけで、それぞれのお話でした。時間軸としては「朱鷺の衝動」の少し後の話になります。
>しらにゅいさん 何か、トキコが妙な方向に突き進んでますね。この先スザクとどう関わらせようか、今からかなり悩みますね。スザクがどう接するかはほぼ決まってるんですけどね。何にも隠さなくなります、はい。
>(六x・) さん
狐ってそういうことでしたか。にしても冬也がいい味出してますねぇ。こういうキャラって結構好きです、自分じゃ作れませんけど。
- 540
:ネモ:2011/02/19(土) 11:55:07
- スゴロクさんの蒼井聖、十字メシアさんのシノ、本家様よりアキヒロをお借りします。
数年前の、ある日の出来事。
「後始末屋」から「教官」への転換点の話。
「モノクロさ~ん、起きてますか~?」
「起きてますよー、どうしたんですかシノさん?」
―――モノクロという、あからさまに人名でない呼称に振り返る男がいた。
しかし、彼を表現するには最適かつ端的にして病的にマッチする。
髪、眼、服が白と黒。中肉中背で老け顔の青年。
・・・いつか「七篠獏也」と呼ばれる男である。
「アキヒロさんからの連絡っす。
『保護した一般人が居るから対処を頼む』だそうです。
これ報告書っす。詳細は病室へ移動しながらでいいすか?」
「あー、ハイ。分かりました」
今回の用件は、いつも通りの事だった。
市街地での能力者の戦闘に巻き込まれた一般人の記憶の操作、封印。
機密保持や、混乱を防ぐのを目的とした、いわゆる『裏方作業』だ。
皮肉を込め「後始末屋」と呼ばれてはいるが、特に気にして無い。
「えーと、学生さんがですね、戦闘に巻き込まれたんですよ。
市街地のはずれでですね、ホウオウグループのエネルギー反応があったんす。
そこを聖さんが調査してたらあちらさんから出てきたらしくて。
で、止むを得ず戦闘、終了後の散策中に発見、だそうです」
「・・・で、回収班がここまで護送したんですね」
「その通りっすね。っと、ここっす。アキヒロさーん、連れて来ましたよ~」
「で、何で即刻立ち去るんだシノ?」
「あはは~、そんな事はないっすよ?」
壁にもたれて書類に目を通しながら、受け答えるアキヒロ。
ベッドには、少年が横たわっていた。
「所長さん、この子が今回の?」
「あぁ。話が通ってるなら、早速だが始めてくれ」
「了解です。」
ベッドの横のイスに腰掛け、少年の頭に右腕を伸ばす。
目を閉じて、掌に精神を集中し、能力を使用する。
―光・音・匂い・感情といった「記憶」が瞼の裏に再生される。
- 541
:ネモ:2011/02/19(土) 11:55:39
- 『ギリで電車に間にあ~・・・うと良いなぁ。ダリぃパターンだぁ』
その少年は市街地を自転車で走っていた。
教師の呼び出しで帰宅が遅れそうなのか、近道をしてるらしい。
(シノさんの報告にあった地点の周辺、ですね。
・・・この辺りから消去しますか。)
突然、遠くからの爆音。音源の方角からは砂煙。
『爆発、だよなぁ今の。。・・・(ニィ)レッツ野次馬根性ッ』
(戦闘があった地点と一致しますね。これが原因で巻き込まれるとは;;)
砂煙の地点に、どんどん近づいて行く。
ガキィン!!ザザッ!!
ヒュッ!!ドガッ!!
『う~わ、何このバトルちっく効果音w不良同士のケンカか?』
音が近くに感じれる処。その建物の影に自転車を停め、そっと覗き込む。
少年の妄想は、半分正解だった。
そして、常識外だった。
「チッ。逃がすかよっ![石礫衝]っ!!」
「単調になってんぞ、スーツ野郎」
「テメェだってリーマンスーツだろうが!!」
「じゃ、タイツにアメフト防具に訂正」
「その説明口調がイラつくっつてんだろ!!」
「声が、でかい」
「~~~~~~~っ!」
『・・・何でヤクザと戦隊が闘ってんの?いやこの光景自体が非常識だわ』
(スーツにハンドガンが蒼井さんで、戦隊タイツがホウオウグループですね。
戦闘中なのに珍しく冷静だ・・・。むしろからかって楽しんでる;;)
戦隊タイツが、拳で、脚で、地面を殴りつける。
その度に地割れか、衝撃波が走る。
それをヒラヒラと避けつつ銃撃する聖。ワンサイドゲームが完成していた。
『目の前の超常現象はスルーして、とりま携帯スタンバイッ(ポチポチ)
あーでも、あの馬鹿力なタイツ(?)はどーなってんのか気になる』
「なんだ。なんか、ツマらん」
「なら、本気見せてやんよゴルァ!」
「っオーケー、待ってやるがヘボかったら潰すぞボケがっ!」
・・・互いの動きが止まる。場の空気が一気に張り詰める。
(あ~、矢張熱くなった。)
戦隊タイツが右腕を振り上げ、力を溜める。
そして、叫びながら一気に地面に叩き突く!
「砕破っ!棍衝陣っ!」
拳から聖に向かって、かなりの地割れと衝撃波が発生する。
『うっわヤベェ!ww』
戦隊スーツと聖を挟む形で位置取っていた少年にも、容赦なく襲いかかる。
しかし2人は、彼の存在を知らない。
「それで、どぅしたぁ!!」
「まだまだぁ!!」
戦隊スーツが左腕も叩き突ける。
すると地割れをなぞる様に岩の柱が隆起する!
「避けてみやがれっ!!」
「っは!!余裕余裕っと!」
(危ない、こっちにも来るっ!)
迫り来る岩。吹き飛ぶ少年。そして、二人から更に離れた所へ墜落する。
少年の目の前には、千切れた自分の右腕。
『・・・痛ェ。いや何ともない、のは死ぬからか。 。』
少年の。モノクロの視界はそこでフェードアウトする。
(え?報告書には五体満足で発見、と・・・!?)
・・・・・・・・・。
・・・・・・。
・・・。
『 死ぬとか マジで ダリぃパターンだぁ。
あー、どんなので死んだっけ。
確かこういう安物の鎧っぽいので。
地面 殴って。 出ろや衝撃波・・・!』
その衝撃波は。現実と成って。
今尚戦闘を続ける2人へ向かって行く。
「ワンモアっ!砕破っ!棍衝陣っ!」
「いい加減、見あきたぞ!」
(傷が治って、・・・じゃなくて何が一体どうなって????)
- 542
:Akiyakan:2011/02/19(土) 13:42:32
- しらにゅいさん>
ギャアァァァァァァァァァァ!? トキコが、トキコが乱心ッ!?
ジングウが帰ってきた事で、トキコのストレスゲージがマッハのようですね……こんな事なら、いっその事グループに戻すんじゃなかった……
不穏な空気全開で、見ているこっちまで心配になる感じでした。
- 543
:Akiyakan:2011/02/19(土) 16:46:39
- ※掌編です。 しらにゅいさんの「朱鷺子」、大黒屋さんの「夏香 由衣」、「店長」こと「楠原 亜音」をお借りしました!
朱鷺と麒麟がレストランで
「えーっと・・・・・・ハンバーグのライスセット一つに、メロンソーダ一つ」
「あいよ! ハンバーグのライスセット一つに、メロンソーダが一つだね! しかし珍しいねぇ、都がこの店に来るなんてさ?」
そう言って、俺の目の前にいる青髪の少女、夏香由衣は言った。
「しかも女連れとか・・・・・・何々、デート?」
「デートではないよ・・・・・・ただ単に一人で晩飯食うのも、何だか寂しいな、と思って」
「ふ~ん? ま、そういう事にしておくよ」
「そういう事にしておいて」
ナツカさんは、何やら意味ありげな表情を浮かべている。どうして女の子って、そういう話にもっていきたがるのかなぁ、とつくづく思う。まぁ、気にしても仕方がない。
「で? 相席の人は?」
「あ、私も一角君と同じやつで~」
「お、同じやつにするんだ~?」
「そ、同じやつ~♪」
「・・・・・・トキコ、頼むからあからさまに勘違いを招くような真似だけは止めてくれ・・・・・・」
流石に耐えかねてため息と共にそう言うと、俺の前に座っている少女は「え~? 勘違いされるって、何が~?」とさも楽しげに聞いてきた。
うぉのれ、小悪魔。スザクが手を焼くのも分かるってものだ。
「ではでは、ごゆっくり~」
ナツカさんはナツカさんで、意味含み全開な動作でその場を後にする・・・・・・「女は魔性の生き物」って言葉があるけど、うん。女性ってみんな、心に悪魔を飼ってんだな。
・・・・・・さて、何故俺とトキコがこのレストランにいるかと言えば、ちょっと前まで遡る。
この日、トキコが珍しく学校を休んだ。
何て事はない、クラスメイトの休み。けれども俺は、なぜだか彼女がその日休んだ事がひどく気にかかっていた。
その日の放課後、俺はバイクで街の中を走っていた。そして赤信号でバイクを止め、何気なく周りを見て驚いた。人混みの中に、今日休んだクラスメイトの姿があったんだ。
「よ、ズル休み」
バイクを路肩に止めて、俺はトキコに声をかけた。向こうは俺の事が全く視界に入っていなかったらしく、声をかけると驚きながらこちらを振り返った。
「一角君・・・・・・」
「どうやら、風邪ひいたとかじゃないみたいだな。ま、それが分かっただけ良かった」
「・・・・・・どうして、ここに?」
「偶然、偶然。バイクで走ってたら、人混みの中に見知った顔があるからさ、あれ? と思って」
「・・・・・・・・・・・・」
あ、あれ? なんか、いつもと比べて妙に静かだな。なんか調子狂う・・・・・・
「なんか、あったのか? 俺でよければ、相談に乗るけど」
「・・・・・・別に。何でもないよ」
これはもしや――不機嫌、なのか?
ただでさえ見た目が華奢で、行動も子どもっぽいところのあるトキコだが、その時の彼女は何だか幼い子供が拗ねてぐずっているような、そんな印象を俺に抱かせた。それに雰囲気も、何だか俺に対して警戒心が露わになっているというか、「近付くな」と言外に言ってきているように感じられる。普段の人懐っこいトキコの様子からは、考えられない姿だ。
どうしたものか・・・・・・そう悩んでいると、俺はある事を閃いた。まぁ閃いたというより、とある人物から借りただけなんだけど・・・・・・
「なぁトキコ、ご飯食べに行かないか?」
「え?」
「丁度いい時間だし、何なら俺のオゴリでもいい」
「どうだ?」、そう俺は話を持ちかける。トキコはしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。
「よし、分かった。俺の後ろに乗りなよ、メットは貸すから」
俺が被っていたヘルメットを渡すと、トキコは静かにそれを受け取って頭に被った。俺のサイズに合わせてあるので彼女には少し大きかったみたいだが、取り敢えず問題はなかった。
かくして俺は、2ケツ、ノーヘルという重大な法律違反を犯しつつ、「店長」が勤めるウスワイヤ公認のレストランへと向かうのだった。
- 544
:Akiyakan:2011/02/19(土) 16:47:10
- 「・・・・・・ねぇ、何で一角君、一緒にご飯食べようなんて言い出したの?」
「んー?」
料理を食べ始めて数分。それまでずっと俺と会話しようとしなかったトキコが、不意に話しかけてきた。
顔を上げると、トキコは手を止めてじっとこちらを見つめている。口元についたソースが何だか愛らしいが、その一方で彼女が纏う雰囲気は俺に正体不明の重圧を押し掛けてくる。
その雰囲気の正体に、俺は覚えがあった。かつてトキコに「駄目な奴」扱いされた時、彼女が放っていたのと同じ雰囲気だ。あの時彼女は、「嘘を吐かれるのが自分は大嫌い」だと言っていた。つまりこの重圧は、「虚偽は許さない」という事なんだろう。
――まぁ、隠すつもりなんて全く無いけど。
「腹が膨れりゃ、腹なんか立ちっこない」
「え?」
「気が立ってる時は、腹一杯に飯を食うのが一番、って事・・・・・・なんかあったんだろ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「別に俺は、それを聞く気なんかこれっぽっちもない。他人に話したくない事情を抱えた能力者なんかいくらでもいるし、その人本人が聞いて欲しいと言うまでは聞かない。それが俺達のスタンスだし、それが正しいものだと思ってるから」
「・・・・・・・・・・・・」
「けど、クラスメイトの機嫌が悪くて、仏頂面しているのを見るのは俺は嫌だ。どうせなら笑ってくれている方がいい。笑顔を見ている方が、こっちだって機嫌が良くなるからな」
だから俺は、トキコを食事に誘った。いつもニコニコしているこいつの笑顔が曇っているって事はきっと、ただ事ではない何かがあった筈なんだから。
・・・・・・まぁそれにしたって、こいつの機嫌直す手段が「飯を食わせる」ってのが、古典的過ぎて俺の頭の悪さを表しているかのようだけど。これしか思い浮かばなかったのだから、仕方がない。
「・・・・・・ふふふっ」
「ん?」
聞き違いかと思って顔を上げると、そこには笑みを浮かべたトキコがいた。
「やっぱり一角君って、駄目な人だねー」
「・・・・・・おいおい、人が心配してやったってのに、それはないんじゃないか?」
「私は全然へーきだったよ? それなのに一角君ったら、一角君の方が泣きそうな顔しているんだもん」
・・・・・・そんなに酷い顔をしていたのだろうか、俺は。確かにいつもと違うトキコの様子に怯みこそしたが、だからと言ってそこまでこいつの事を心配したわけじゃ――
「・・・・・・まぁ、いいか」
トキコが笑っている姿を見ていたら、そんな事どうでもよくなった。結果として、目的は果たせたわけだし。
「ゆいちゃん、オーダー! 今度はカレーライスね!」
「お、おいおい。そんなに頼んで大丈夫なのか?」
「だいじょーぶ、だいじょーぶ! だって一角君のオゴリなんでしょ?」
「あ゛」
しまった。そう言えば、レストランへ連れ出す口実にそんな事を言ったような、言ってなかったような・・・・・・
俺は視線を「店長」の方にむける。彼女は俺の言いたい事を即座に理解したようだったが、「諦めな」と首を振った。顔が思いっきり笑っている。あの様子じゃ、値引き交渉なんて聞いちゃくれないだろう。
「・・・・・・確かに、俺は駄目な奴だな」
先ほどまでの不機嫌さなど微塵とも感じさせない食べっぷりを見せるトキコを前に、俺は自分に言い聞かせるように呟いた。
- 545
:大黒屋:2011/02/19(土) 18:07:34
- >531 しらにゅいさん
もちろん構いませんよ!他人様サイドみてみたいですし!
ぜひぜひおねがいします!
というか感想がまじで追いつきません…orz
読んでないわけじゃないですからね!皆感動モノですからね!
ごめんなさい!(
- 546
:大黒屋:2011/02/19(土) 18:43:18
- >543-544
この度はレストランのご利用ありがとうございましt(蹴
この系列って、今まで自分しか書いてなかったんで何気にホッとしてます;
2828するな由衣wwwお前その話いけたのかwww
そしてトキコにはめられたシスイ、乙www
大丈夫、店長なら値引きしてくれるよ、3円くらいなら(
- 547
:大黒屋:2011/02/19(土) 20:51:47
- そういやノアについて全然触れてなかったということで。
自キャラオンリーです。
「…ホウオウを抜ける、ねぇ…。」
ストラウル跡地の廃ビルの屋上。
「すみません、行き成りそんなこと言っちゃって…。」
「いや、いいんだよ。お前なら何れ、いうんじゃないかと思った。」
ネクタイを緩め、ノアは言った。
柵に体を預け、濁った空を見ている。
その後ろ姿を見守るように、ノルンが立っていた。
「敬愛なるホウオウ様は、僕の能力を受け入れ、役立ててくれました。僕にとってホウオウ様は「親」同然です。」
ノアは攻めるでもなく、褒めるでもなく、ただ黙ってノルンの話を聞いている。
「でも、いずれ「親」元を離れるのが子供でしょう?例えそれで縁を切られても、一人立ちは大切だと思うんです。」
ノルンの言葉が、言い訳がましく聞こえるのは気のせいだろうか。
「何れ言うんじゃないかとは思ったけど、思ったより時期が早かった、ていうのが率直な感想だな。」
「…。」
「何かあったか?学校とかで。俺と組む前の話だろ、多分?」
「…はい。正確には、貴方と組むように命令された時ですね。」
「学校生活でぬるくなった、とでもいいましょうか。あの学校で様々な人と話し合い、触れあううちに、その縁を切りたくなくなったのです。」
「そのためならホウオウとの縁を切ってもいいってことか?」
「まぁ、そういうことです。」
「…変な奴。」
「変なのはそちらでしょう?遊び半分でホウオウグループに入るなんて。」
「…まぁ、な。」
ノアは振り返り、柵によっかかって反り返った。
「でも、入ってて気がついた。」
「僕も、学校に行って気がつきました。」
二人は目線を重ね、同時にいった。
「「ホウオウグループは、間違っている。」」
「…お前とは気が合うようだな。」
「まるで運命ですね。」
「お前と組まされて正解だった。」
「お互い様です。」
二人は互いに、手をしっかり握った。
「絶対、俺たちの本当の人生を見つけ、つかむ。」
「勿論です。」
「「そのためなら、二人一組も喜んで受け入れよう。」」
ある意味では大きな進展。
ある意味では大きな後退。
ある意味では大きな変化。
ある意味では大きな停滞。
その決断の先は、「神」のみぞ知る。
- 548
:スゴロク:2011/02/20(日) 18:16:13
- ひとまず感想をば。
>akiyakanさん ジングウがすっかり……ただ、こいつのことだからまた何かやらかしそうな気が……。
レリックがどう絡んで来るのか期待です。
シスイとトキコ……考えて見ると珍しい組み合わせですね。古典的ってことは効果的ってことですよね、やっぱり。シスイはこれからどうなるのか、楽しみです。
>大黒屋さん き、環が不憫すぎる……いくら能力のせいとはいえ、ここまでの事態だと可哀想になりますね。
1.5人称は新しいですね。個人的にはわかりやすいです。
そしてノア、こういう男ですか。本格的に脱退が近づいてきましたね。どう動くか……。
>しらにゅいさん まずはすみません。>>537->>539の話の展開が強引過ぎました。書いてから「しまった、やりすぎた」ってなりましたから。個人的には黒歴史化したいくらいです。
トキコが相当苛々来てるようですね……というか暴走寸前? ちょっとこの先が怖いです。
>ネモさん バク教官の過去話ですか。聖さん、と……誰ですか?な変身ヒーローの戦い。いや、本当に何者ですか?
そして少年、予想はしてましたがアナボライザー化しましたか……。衝撃波の行方はいかに!?
それでは、また。
- 549
:しらにゅい:2011/02/20(日) 20:41:33
- *「朱鷺と麒麟がレストランで」後のお話となります。
「ごめんなさい。」
「・・・は?」
「だから、ごめんなさい。」
「・・・いきなり謝られても困るんだが。」
「アースセイバーの調査員・・・の死体の後処理してくれたの、カラスさんでしょ?
私あの時イライラで頭がいっぱいだったから、死体そのままにしてたの。
でも、猫がカラスが死体の後始末をしてくれたよ、って教えてくれたの。
あのままにしていたらホウオウグループが不利益を被るから、彼はビルを倒壊させて証拠を隠滅させた、って。」
「・・・・・・・・・」
「私の身勝手な行動で、ホウオウ様を・・・ホウオウグループを、危険に晒すところだった。
これからは、気をつける。・・・ごめんなさい。」
「・・・・・・はぁ、良いか?俺がやったのはあくまで証拠隠滅で、お前がアースセイバーの一員を殺したという事実には変わらない。
今後は自分の行動に気をつけろ、いいな?」
「うん。」
「・・・それにしても、急な気の変わり様だな。何かあったのか?」
「・・・秘密。」
---
「やあやあ、小さなアリス。」
「あ、猫さん。」
「しっかり謝ることは出来たかい?」
「うん、あなたのアドバイスのおかげでちゃんと謝れた。」
「半分は麒麟のおかげだろうねぇ。」
「・・・そうかも。」
「もう大丈夫かい?小さなアリス。」
「うん、・・・アレ見たらまたぷっつんするかもしれないけど。」
「そうしたら、また麒麟のところに行くといい。もしくは朱雀でもいい。
君のココロもまた、天秤のように宙ぶらりんなのだから。」
「分かった、ありがとう猫さん。」
「どういたしまして、小さなアリス。」
表題
「トキコ、クロウへ謝罪をする」
(クロウ、不意に呟く)
「・・・そういえば、あいつ普通にカラスって呼んでたよな・・・?」
(クロウ、ため息をつく)
これにて終劇
- 550
:しらにゅい:2011/02/20(日) 20:53:52
- というわけでキャラ修正編でした←
「朱鷺の衝動」にまさかレスポンスをくださるとは・・・!
今思えばホントとんでもないことを私は(;´Д`)ヒイイイ
あのままだとクロウさんにしこたま叱られてトキコが泣いて云々だったのですが、
シスイ君が思わぬファインプレーをしてくれたので、補正をかけることが出来ました!
ありがとうシスイ君!・・・そしてごめんなさいorzしかしアースセイバーの一員を殺した・・・
という事実には変わりありませんので、それが今後にどんな風に影響するかどうか・・・
それは・・・皆様次第ですッ!!あごめんなさい石投げないで(ry
そして最後分かりにくかったのですが、チェシャです。
トキコが猫と会話出来るのではなく、猫=チェシャなのです。
・・・もう言い回しからして怪しさプンプンなのですが、学校では違うんですよ!
ギャップさってやつなんです!ユウキみたいな!w
とりあえず出歯亀野郎ということでここはひとつ(ぇ
感想はまた後程書かせて頂きますー
最終更新:2011年05月24日 20:18