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企画されたキャラを小説化してみませんか?_ログ-801~850

  企画されたキャラを小説化してみませんか?

1サイコロ:2008/04/19(土) 08:47:37
男擬人ムリ香さんが立ち上げた「キャラ企画つれっど」で企画されたキャラを
ショートショートストーリー化(短編のアナザーストーリー化)してみませんか?
age sage構いません。
それと、できるだけ自分の企画したキャラを搭乗させましょう。
ナイアナのキャラは、性格を変えないように。

気に入らなければ消してください、(有)さん…

801スゴロク:2011/03/21(月) 01:43:44
Dブロック。
こちらは他と違い、大幅な劣勢に置かれていた。

「こ、これでは手が出せないぞ!!」
「ええい、殺戮機械どもが!!」

割り当てられたのはゲンブ、龍斗、ユウトの3人。しかし、この面子はパニッシャーとの相性が絶望的に悪かった。
「羅刹行」のゲンブと「獣の悪夢」のユウトは接近戦特化で、しかも防御手段に乏しいため、銃器がメインのパニッシャーに近づけない。龍斗の魔術は「タメ」がいるのだが、四方八方から撃ちまくられている現状ではその余裕もない。
言ってしまえば、手詰まりだった。攻撃も防御もままならなくては、この数相手では戦いにすらならない。常であれば実力者の3人が、ここにあっては狩られる獲物でしかなかった。
瓦礫を盾にじりじりと後退を迫られ、戦線維持は不可能だった。

「ゲンブさん、このままじゃ……!」
「やむを得んか……!!」

ユウトの言葉を受け、ゲンブは一瞬で判断を下す。

「全力で退け!! Aブロックに合流するぞ!!」



そして、Eブロック。

「だあああっ!!」

気合と共に幻龍剣が一閃する。銃を構えようとした機体がまとめて両断され、一拍おいて爆発する。その前に離脱した僕は、次なる機体に襲い掛かっていた。
回りは全て敵、まさに遠慮なく大暴れ出来る。
片やアオイは、

「あら、どちらを撃っているので?」

パニッシャーの光学カメラを妨害しつつ―――恐るべきことに、彼女の「幻夢眼」は機械にも通用するのだ―――、左手の青の幻龍剣で、次々と敵を鉄屑に変えて行く。
他のブロックの戦況はわからないが、少なくとも今は優勢だった。
しかし、いつまでも続くものでは決してない。ただでさえ数で劣る上、相手の総数が不明。しかも、こちらは一撃でももらえばそこから崩れるのに対し、相手は動く限り向かって来る。機械と人間の決定的な差だった。

(司令塔を潰せれば早いんだけど……)
(そう上手くはいきませんわね。何しろ、どこにあるかもわかりませんもの)

というか、それを言うならそもそも、パニッシャーがこの場所に、しかも大量に現れた理由がわからない。ストラウル跡地だから、ではさすがに説明がつかない。誰かの意図が介在していると見るべきだった。そもそも、力の弱い能力者を狙うはずのこいつらが、どうしてアースセイバーや僕らのような、「強い」能力者をこうも執拗に狙うのか。そこからして謎だった。
啓介がこの場にいたら話が早かったんだけど、あいにくあいつは真衣ちゃんの「監視」があるせいで自宅周辺を動けない。

(誰かじゃないけど……全く、ままならない、な!!)

心中で吐き捨て、一回転するように紅の刃を振るう。爆風の向こうに、次なる標的がいる。
アオイはというと、危なげなく攻撃をかわし、また斬り返していたが、いかんせん疲労の色が濃い。慣れない「戦闘」に加え、非常時という緊張感が精神を圧迫している。
戦闘開始から既に一時間、絶え間なく続く破壊音や爆音が、どこか遠い。

「まだまだ、ですわ」

本人はそう言って笑うも、無理をしているのは明らかだった。かといって、加勢に行ける状況ではなくなりつつあった。
僕の方にもパニッシャーが殺到しつつあり、手を止めればその瞬間死ぬ、といった有様だった。龍義鏡で銃弾や爆弾を跳ね返しつつ、刃を振るって確固撃破していくしかない。龍精落を叩き込めればかなり楽になるんだけど、「タメ」の時間が得られない。僕とアオイでそれぞれに担当しているからこそ、なんとか持ちこたえている。
「タメ」の時間を得るために下がれば、アオイにその分が集中する。そうなったら終わりだ。

(くっ、どうすればいい!?)

歯噛みしながらも、今僕に出来るのは戦う事だけだった。

802スゴロク:2011/03/21(月) 01:44:15
「ふむ、なかなか頑張るな」

「跡地」から離れた、とある無人駅。そこにひとり立つ男は、肩まで伸びた黒い髪を夜風に揺らしながら呟いた。その眼に映るのは、目の前の、終電が通り過ぎた線路ではない。遠く「跡地」で繰り広げられている、戦いの光景だった。

「もう少し効率的に動かしたかったが……本体があれでは、やはり制御にも限界があるか。次はもう少し、手を考えるとしよう」

まるで、脚本を書いた芝居が失敗したかのような声音で言う。そして、それきり興味を失ったかのように、男は視界のリンクを切った。

「本体とのリンクは……このままにしておくか。その方が、興が乗るというものだ」

そして振り返る、

「!」

その視線の先に、一人の少女が立ちはだかっていた。月明かりを背にする彼女は、言う。

「さっきの子が言ってたのって、あんたか」
「……誰だ、貴様は?」

光に透ける髪は、黒に見紛うばかりの、緑。

「誰でもいいさ。ただ、あんたを何とかしてくれと、そう言われた。『みんなが危ない』って、言ってたからな」
「ほう。それで、私を倒すと?」
「ああ、そのつもりだ。あんた、こないだの機械と……」

そこまで言った所で、少女の表情に嫌悪が混じる。

「それに、あのクズ教師と似てる。他を見下して優越感に浸ってる、嫌な目だ」
「ふむ……別に、見下しているつもりはないのだがな。ともあれ、私はもう帰るところだ。邪魔をするなら容赦はせんぞ」
「それはこっちの台詞だ。あれだけ必死に頼まれたんだ、やってやるさ」

戦意も露わに、言い切る少女。その手に握るは――――氷の剣。





「ぐああっ!!」
「く! 錬太郎、無事か!?」

戦況は最悪と言ってよかった。再現なく現れるパニッシャーの波に、僕達は完全に押されていた。
各ブロックの戦線は完全に崩壊し、担当メンバーは「跡地」の中心の廃墟に集まり、劣勢を強いられることとなっていた。
今も、疲労が極まった錬太郎が爆風を受けたところだ。篠崎さんが声を上げている。

『無理をするな、退け!』
「ありがたい指示ですけどね、獏也教官。それが出来る状況じゃないです……」

はは、と乾いた笑いを漏らす、錬太郎。神経が完全にハイになっていて、感覚がおかしくなっているようだ。
ユウトやゲンブは余力を残していたが、それは単に、攻撃が出来なかったためにその分体力が残っている、というだけだ。ジミーやハヤトは限界をとうに越えているらしく、攻撃の精度がだんだん落ちてきている。とくにジミーが深刻で、爆発の威力がほとんどない。

「っ、はぁ、はぁ……ジ、ジミー、大じょ……うおおっ!!」

言いかけたハヤトが、至近距離から爆風を受けて吹っ飛んだ。誰も、それに目を向けない。そんな余裕は、ないのだ。
正直、以前ゼアと戦った時より、スキュアロウと戦った時より、ジングウと戦った時よりも厳しい。
数の差がこれほど圧倒的とは。一度味わうと、その実感が湧くと言うものだ。

「く……」

じりじりと後退していく中、背中が何かにぶつかった。
追いつめられたか、と一瞬血の気が引いたが、視線を向けると見慣れた顔が入った。

「シスイ! 無事か……」
「正直、あまり無事でもないけど、な」

シスイの言葉は、諦めでも何でもない事実だった。体を覆う「天子麒麟」のオーラが、いつもと比べて明らかに弱弱しい。

「数は力なり……よく言ったもんだよ」
「グループ脅威の技術力、戦いは数だよ……ってことか?」
「ネタが古いな、シスイ」

冗談を言い合ってはみるが、精神的には限界が近かった。アオイの方も当初の余裕が完全になくなり、必死の様子で剣を振るっている。
龍斗さんやアラタも必死で応戦してはいるが、焼け石に水だった。
斯く言う僕も、幻龍剣を振るう腕が鉛のように重い。ましてや、龍精落が撃てるようなコンディションでは到底なかった。

(ま、ずい……)

続々と迫るパニッシャーの群れは、さながらSF映画に出て来る殺人機械のようにも見えた。
問題なのは、それが比喩ではないということか。
いつまで戦っても、終わりが来ない。来るとすれば、死しかない。
もはやこの場での戦いは、いつ終わらせるかではなく、いつまで生きられるか、という消耗戦に突入していた。

803スゴロク:2011/03/21(月) 01:44:50
「ま、まずいっすよ、このままじゃ……」

アースセイバー。指揮を担当するシノは、悪化する一方の状況に焦りの声を上げていた。倒しても倒しても次が出て来るパニッシャー、対して消耗していく仲間達。
隣の獏也も、ギリ、と歯を食いしばる。

「全滅も見えるか……いかん」

しかし、現状動ける人員は他には少なく、どれもこの状況を打開できるほどの能力者ではない。

「せめて、本体を叩ければ……」
「……難しいな。それがわかっていれば、とうに潰している」
「そ、そうっすよね……」

シノが肩を落とす。歯がみする二人は、とある駅で繰り広げられている、別の戦いを知らない。



氷の刃が、二閃、三閃する。
男はそれをひらりひらりとかわすが、表情には先ほどまでの余裕はない。

(なんだ、なんなんだ、こいつは!)

男が焦っているのは、少女の刃が、迷いを持ちながらも異様に鋭かったせいである。
人に刃を向ける、という事に慣れていないのが丸わかりだったが、その反面「敵」に対する戦意だけは燃え盛っている。
どころか、何回か実戦を経験したかのような、そんな空気さえ纏って。

(ええい!)

生体電流を増幅し、電撃を放って反撃する。

「ぐっ!!」

直撃するが、服の上だったためさして効いていない。衝撃を与えたのみに終わる。とすれば狙うは頭なのだが、悠長に照準している暇がない。
予想以上に刃が鋭い。そして動きが早い。アースセイバーの面々に比べると素人ではあるが、どう動けばいいかを体で理解している。
正直、予想外の強敵だった。

(く、このままでは……ならば)

どうせもう目的は果たした、アースセイバーの壊滅も時間の問題だ。なりふり構わずここを脱出すれば、あとはどうとでもなる。

(覚えておけよ……いずれ、貴様もただでは済まさんぞ)

心中で悪態を突き、巧みにステップして駅の入口に向かい、


「逃がさない」


立ちはだかった人影に、足を止めざるを得なかった。
苛立ちを声に乗せる、その前に、

「その力は、邪魔だね」

人影―――少年の左腕、刃の様なものに覆われた左腕が、直撃した。

「ぐ、はっ!?」

同時、直前まで発動していた力が、突然止まるのを感じた。

「!?」
「……僕にはいらないな、これは」

言うや、少年は素早く身を翻し、姿を消す。
何が起きたのかわからなかった。ただ一つ言えるのは、力が使えなくなっているということ。
半ばパニックに陥り、判断力をなくした男は、背後から迫る透徹の刃に気付けなかった。


―――――!

804スゴロク:2011/03/21(月) 01:45:22
「………え、?」

声を発したのは、誰だったか。
誰も、事態を一瞬理解できなかった。
全方位から僕達を押し包もうとしていたパニッシャーの動きが、突然乱れたのだ。ついさっきまで統制のとれた動きで、的確に攻撃して来ていた機械達が、今は混乱を来たしたかのようにあらぬ方向へ動き、場所によっては同士討ちさえ起こしている。
混乱する僕達を、

「チャンスだ、仕掛けろ!!」

最前線にいた聖さんの声が、正気に戻した。それが、反撃の始まりだった。



そこからはまさに、先ほどまでとは打って変わった大逆襲だった。疲労していたメンバーも、最後の力で攻撃に出る。

流れ弾をアラタと篠崎さんが防ぎ、ジミーとハヤト、龍斗さんは最前線での広範囲攻撃、一撃ずつで薙ぎ払う。ダウンしていた錬太郎はアオイが確保して下がり、ゲンブとユウトはそれぞれに全力を尽くして壊乱するパニッシャーの群れに突撃、暴れ回る。

「「うおぉおおぉぉ!!」」

別の方では、聖さんが両手にマシンキャノンを携えて撃ちっぱなしにしている。というか、危なくて近寄れない。
たまに向かって来る奴は、修斗さんがロープで捕まえて聖さんの攻撃圏内に放り込む。
そして僕達は、

「行くぞ、光一!」
「おうっ、だあああっ!!」

シスイが限界間近ながらも発動した「天子麒麟」で増幅された光一のレーザーが敵陣を薙ぎ払い、そこ目掛けて僕が飛び込む、という連携で戦っていた。

「いあああっ!」

幻龍剣を振り回すと、パニッシャーが次々と爆発していく。増援が来る気配は―――ない。



―――出現したパニッシャー全てを撃破したのは、それから20分ほど経ってからだった。





「っはぁ、はぁ、はぁ、はぁ……」

男は、走っていた。
不意を打たれて氷の一閃を喰らったが、相手に迷いがあったのが幸いした。肩口を切り裂かれただけで、何とか逃げ出す事が出来た。

(おのれ、おのれ、おのれ……っ!)

何よりも、自分を傷つけたあの少女が許せなかった。いずれ、必ず報復してくれる。先ほどはなぜか使えなかったが、今は問題なく使えるように戻っている。

(この力、この力さえあれば、私は……!!)


「やれやれ。存外使えませんね、あなた」


「!?」

横合いから声をかけられ、足が止まる。暗がりに立っていたのは、古びた黒い帽子にコートを纏った、現代離れした服装の男。覗く視線は、やけに冷たく、それでいて感情の揺らぎが見て取れる。

「地球の守護者達と殺戮機械との戦い……せっかくのそんな力に目覚めたのなら、もう少し上手く演出してくれると思ったのですがね。期待外れです」

確かにこの力は、最近急に得たものだ。生体電流を増幅し、電子機器の制御を乗っ取り、電撃を放つ。だが、なぜこの人物がそれを知っている?
すると、心の中のその呟きが聞こえたかのように、コートの男は言った。

「それはワタシが目覚めさせたのですよ。ま、どのような力が出てくるかは、開けて見てのお楽しみでしたが」
「な……」
「ですが、あなたには失望しました。せっかくの力、有効に使えないとは。そんなことでは、ワタシの出て来た意味がない」


「では、さようなら」


あまりにもあっさりとした、死の宣告。男がそれを理解したのは、体を貫かれてからの事だった。

805スゴロク:2011/03/21(月) 01:46:51
戦いが終わり、アースセイバーの面々はかけつけた莉絵さん達に回収されていった。僕達や修斗さんは比較的軽傷だったので、簡単な手当てをその場で受け、自宅まで送られた。余力を残していたゲンブは、今回の報告のために一足先に戻っていた。

「つ、疲れた……」

本当に疲れた。恐らく、「施設」を逃げ出して以来、もっとも疲れた一日だった。
部屋に戻った僕は、とにかく疲れた体を休めようとしたが、汗とホコリでドロドロの服が問題だった。ひとまず風呂場に向かい、学生服を洗濯機に放りこんで、さっと身体を流した後で戻る。アオイの方はと言うと、どうやら僕以上に披露したらしく、ちらりと覗いた部屋の中で倒れ込んで寝息を立てていた。
さすがにそのままにはしておけなかったので、ひとまず服だけは着替えさせておいた。
自分の部屋に戻り、着替える前にベッドに座り、身体を投げ出す。ああ、疲れた。体が重い。

(それにしても、何であんなにパニッシャーが……ああ、でも……そういえば、明日は何の授業が……)

思考が飛びまわる。目が重い。あれ――――。




「……ん、ん?」

気がつくと、外から陽の光が差し込んでいた。そこでようやく、僕は自分が眠ってしまっていた事に気付いた。

「あ、ぁ、寝ちゃってたのか……何時だ……って、どわーっ!!」

現在時刻―――AM8:26。

「完っ全に遅刻……ハ、ハクシュッ!! うぅ……?」

突然くしゃみが出た。何で突然……思いかけて気付いた。


「うわっ、服着てないっ!?」


そうだ。そういえば昨夜、着替えようとしてベッドに座り込んで、そのまま眠ってしまったんだった。寝冷えだな、これは。

「風邪ひいちゃったか……クシュッ! あれ、アオイは……?」

とりあえず寝間着を着てアオイの部屋に向かうと、まだ床の上で寝息を立てていた。この分じゃ、アオイも風邪か……。

「あーあ、またやっちゃったか……ふ、ハックシュッ!!」

……この日は、休まざるを得なかった。けど今日は全校体育。ああ、行きたかった……。

――――リンゴと清涼飲料水を持ったマナとエイトが火波家を訪ねるのは、それから4時間後の話。



というわけで、パニッシャー軍団との戦いでした。いつも以上に強引な展開でしたが。
今回はアースセイバーの皆さんに徹底的にピンチになってもらいましたが、どうでしょうか?

お借りしたのは想像者さん「闇野 光一」、鶯色さん「ハヤト」「ユウト」、サイコロさん「森山修斗」、結構暇人さん「錬太郎」「ジル・ミナル」、くわいさん「アラタ」、ネモさん「三葉 莉絵」「七篠 獏也」、you-403さん「和泉龍斗」、youさん「篠崎 蒼」、akiyakanさん「都シスイ」、十字メシアさん「シノ」、(六x・) さん「凪(名前は出てませんが)」、自キャラ「火波 スザク」「水波 ゲンブ」「火波 アオイ」「夜波 エイト」「???」です。

それでは、また。

806スゴロク:2011/03/21(月) 15:25:52
見直したら8レスでした。……投稿する度にビクビクしている私がいます。

807スゴロク:2011/03/21(月) 18:07:52
遅ればせながら感想をば。

>akiyakanさん 「黒騎士」の正体が明らかになりましたね。……いや、正直予想外でした。
よく考えたら可能性としてはありえたんですよね。
色々と前途多難なミツ君。彼の「学生」生活はこれからどうなっていくんでしょうか……。

>サトさん 思う所は色々あるんですが、何と言うか……色々と凄い展開ですね。スイネの恋路に幸あれ。

>大黒屋さん akiyakanさん共々、パニッシャーを使ってくれてありがとうございます。
店長、ついに宣戦布告ですか。しかし、過去が予想以上に壮絶……負けるな、店長。

旅行編拝見しました! 環の自立が一歩進んだ感じですね。シドウの口調が予想の逆で意表突かれましたが、これはこれでありかな?

そして、いつかの「夕日に二人」が再び来ましたか。スザクにとって「鳥さん」ってあだ名は特別な意味がありますから、ノルンもこれで「輪」の中ですね。


>十字メシアさん なんか、聖さんが出て来ると空気がギスギスしますね。というか、苛立ち過ぎ!? なんかあったんでしょうか。
そしてカナミの能力、見ると意外に厄介そうな? ハヤトとあの2人は、なぜか「混ぜるな危険」的なイメージが……。

>(六x・)さん 冬也の恋路、まだまだ壁は多いようで。頑張れ、少年。
……うおお、出て来るものが多すぎて感想がろくに……。すいません。

他にも色々と書きたかったんですが、風邪で頭が回らないのでこれが限界です……。
それでは、皆さん体にはお気をつけて。季節の変わり目ですからね。

808大黒屋:2011/03/21(月) 21:32:02
自キャラオンリーです。
あえて名前を出さない手法(

草木も眠る、丑三つ時。
起きているなら、夜行性の動物かイカレしかいないだろう。
…まぁ、その通りかもしれない。
自分も「怪盗」なんてやってるイカレの一人だろう。

ひっそりと輝く月の光を集め、反射する銀の髪。
赤い髪止めは、白い姿によく映える。
眼もとを隠す仮面の奥の表情は、誰にもわからない。

先日、パニッシャーを通じて聞こえた「宣戦布告」。
他人なら聞き流していただろう。ただ、聞き流せない相手だったのだ。

自分を見失っていたときに、助けてくれた。
左目を奪った自分をあの時許してくれた。
そして今も、ずっと仲良くしてくれている。
その「宣戦布告」は、ある意味では彼を大いに追いつめるものだった。

自分はホウオウグループだ。
必然的に彼女の敵になる。
しかし、彼女をかばえば間違いなく抹消されるだろう。
正直、ホウオウに反対する気もさらさらないのだ。誤解されても困る。
板挟みの立場に立たされた自分は、どうすればいいのか分からなかった。

「…こんな時、貴方ならどうしただろうか?」
小さく呟き、空を仰いだ。
彼の直接的な長だった者に、彼は語りかける。
返事はない。いないのだから当然だ。
彼はふっと溜息を吐き、屋根から降りようとした。

「…何をそんなに悩んでいるのでありマスか?」
後ろから声。驚いて振り向く。
ボロボロの軍服に上着を羽織った男。
黒い髪で顔は隠れ、表情は見えなかった。
包帯が巻き付けられている体は、肋骨が見えるほどに細いのだが、それとは裏腹に、放つオーラは禍々しかった。
反射的にメスを構える。ところがその男は、片手で制した。

「あっと。落ちつくのでありマス。小生は、貴方の敵ではない。」
「何だと…?」
「強いて言えば、小生は貴方の味方になりたいのでありマス。」
軍服の男は両手を挙げ、少しこちらに近づいた。

「お前…誰なんだ?」
「くく…。『切り裂き魔』とおよびいただきたいのでありマス。」
「どうして僕のことを知っている?」
「噂でよく聞く大怪盗だとお聞きしたでありマス。なぁに。すぐに貴方も小生のことを知ることになるでしょうから。」
「…。」
彼はメスを下ろし、男を見た。

「小生と小生の仲間なら、きっと貴方のお役に立てるでありマス。」
「…本当なのか?」
「勿論。ですがそのためには、すこしこちらに協力していただきたいのでありマス。」
男は骨同然の細い指をすっと上げた。
「小生たちの主を、貴方の手で救い出してほしいのでありマス。」

「主はまだまだ若い。これから様々な経験を積んでいかなければならないのでありマス。」
語るように男は言う。
「しかし主は閉じ込められ、狭い世界しか知ることができない。主自身も怖がっている。」
「そこで、助けてほしいというわけか。」
「さよう。貴方なら可能でありマス。」
「それで、その主は何処に?」

「ホウオウグループの地下牢でありマス。」

その言葉に、彼は大いに驚いた。
しかし彼の心境を知ってか知らずか、男は踵を返した。

「期待しているのでありマス。」
男の後ろで、彼は頭を抱えた。

809(六x・):2011/03/21(月) 23:51:12
>サトさん
スイネさんがあんな感じで大丈夫か?と思ってたところなのでうれしいです(六x^)
凪さんは鈍感なので、たぶん気づいてないと思いますwwwでも別に嫌いじゃない。
今回指摘されましたがどうなるか・・・^^

>スゴロクさん
長編乙です!そして凪さんの戦闘シーンがかっこよすぎる件。
「さっきの子」とはいったい・・・

今回のは「麒麟と猫と狐」の前にあたるお話です



機械兵士と氷の騎士
「…いや彼氏じゃないしw電池もったいないから切るわw」
そう言って、ケータイのボタンを押す。まったくあのクソ親父、心配しすぎだ。娘と二次元美少女とどっちが大事なのかと今度聞いてやろうw
「?」
なにか物音がするが、この辺には何もない。とりあえず辺りを見回してみると、そこには
「ロボット・・・か?人型だけど、人は入ってないっぽいな。特撮?うわあっ」
ロボットが手(腕?指?)から突然弾を打ち出してきた。とっさによけたが、弾が当たった地面がえぐれている。
「何?私なんか人に恨み買うようなこと・・・うそっ速っ!?」
さっきよりも弾速が上がっている。どうやら私を「敵」として認識したらしい。勘弁してくれよ。そう思ってる間にもロボットは絶え間なく弾を撃ち続ける。よけられないことはないが、何発も撃たれるとさすがに疲れてくる。なんとかして止めなければ。
「すまんな、親父。やっぱり今日は遅くなりそうだ。」

あのロボットに追跡能力はないみたいなので、いったん物陰に隠れて作戦を練ることにする。あいつは大小のコードがむき出しになってるので、あれを全部斬れば止まるだろう。しかし、今の私はそういうものを持ち合わせていない。どうしよう、助けでも呼ぶか?誰に?
ああ、こういうとき漫画とかアニメならどこからともなく剣とか出てくるんだろうな。ん・・・剣?
そうだ、私にはあれがあったな。ダメもとで意識を集中させ、手の中に氷の剣をイメージする。――あのコードを叩き斬れる硬度と切れ味の剣を――

810(六x・):2011/03/22(火) 00:05:21
「できた…!」
氷でできた強固なサーベル。これであいつを倒すことができそうだ。
「おい、ロボット野郎。不意打ちって卑怯じゃないかな?始末してやるよ。」
氷のサーベル―アイスブレードを構えてロボットに向かう。
何度かかわして気づいたが、どうやら弾は一方向にしか撃てないようだ。そうとわかればこっちのもの、弾をかわしながら間合いを詰める。
「止まれ!」
アイスブレードを振り上げ、腕部分のコードを斬る。
「うあっ!」
不覚。一つかわしきれず足に当たったと思えたが、幸いかすっただけだった。
「よくもやったな、許さねえぞ。」
腕を切断されてバランスが狂ったロボットなんて怖くない。
コードを的確に切断していく。たまに剣が欠けたり折れたりしたが、その度に再生、時には新しいものを生成して対抗した。
すべてのコードを切り終えるのに、そこまで時間はかからなかった。

「うあ…警察とか来てなんか言われたらどうしよう・・・せ、正当防衛だよね!とりあえず、あまり一目につかないとこに破片をおいておくか。」

「この辺です。」
「そうなのか。何もないけど・・・」
「あ!」

目の前の敵は斬り捨てたけど、なぜかこれだけでは終わらないって思った。
とりあえず、今は家に帰ってゆっくり考えるとしよう。

811サト:2011/03/22(火) 00:06:56
さて、今回は感想おば

>>スゴロクさん
圧巻の8レス!!とても読みごたえがありました!!
パニッシャーとの対決ということで、あれだけ多くのキャラクターを、
一人一人の個性を活かしながら描写していくのは容易なことではないと思いますが
スゴロクさんはやってのけてしまった!!
実はわたし、スザクさんとアオイさんが大好きで、彼女たちがでてくる度にニヤニヤしながら読ませていただいているのですが
バトル素敵でしたなぁ~!
新たな謎や、能力者の死…
いつもいい意味でのハラハラドキドキをありがとうございますー!
次回作も超期待です!
お風邪の方は大丈夫でしょうか。無理をなされないようにお願いしますね

>>大黒屋さん
まってました!!
自キャラオンリーシリーズはひそかにお気に入りなのです^^
今回は登場キャラクターのお名前が故意に出されていないと言うことで
場面場面での雰囲気がとてもゴシックにまとめられていて
情景が目に浮かぶようです!
次回も気になるぞ~!

812サト:2011/03/22(火) 00:10:41
>>凪さん
うぇああああ?!どうした?!
まさかおじゃましてしまったかしらっ?!

813サト:2011/03/22(火) 00:31:16

大丈夫だったようですね。ほっ
ではではまたもや感想を

>>(六x・)さん
一個前の書き込みではお名前を間違えてしまい申し訳ないです(´・ω・`)
スイネはある意味動かしづらいキャラクターだとは思いますが
使っていただけて光栄ですよ(^o^)/
さてさて小説のほうですが
凪さんのおちゃらけた雰囲気からのカッコよくなる瞬間!
表情の変化をイラストで見てしまいたくなるくらい素敵!
そして親父さんとは一体どんなお話をw

814サト:2011/03/22(火) 01:20:59
スゴロクさんの『火波スザク』さんとうちの子『スイネ』
お名前だけで、鶯色さんの『ハヤト』本家『ケイイチ』



『お?』
『あら?』

降りしきる雨
それを見つめていたのは対照的な二人の少女で
お互いの存在に気づくのもまた同時であった

『えっと、スイネ?』
『火波スザクさん』
『名前あってんのか聞いてんだけど』
『ええ、あってます』

パラパラと水溜まりに雨粒が叩きつけられている音と
グラウンドから漂う土の臭い
無言は本来気まずいものだが
自然に発生されるそれらの音が、その妙な間を埋めていた

『あんた、傘忘れたの?』
『傘?』
『傘だよ傘。濡れちゃうだろこのまま帰ったら』
『濡れたらなにか問題でもあるんですか?』
『………』

あまりよくはしらないけれど、スイネはアースセイバーの人間らしい。
彼女が転校してきた際
ハヤトがこっそり耳打ちしてきたので、存在は知っていた
ただ、こうして会話するのは初めてなわけだが

なんというか、ちぐはぐな女だ
その見た目こそ可憐で
美しく大人びた空気を纏っているくせに
妙な違和感を感じる
人間らしくないというか
温度がない
おっかなびっくり人間社会に飛び込んできた
何も知らない子供のような

『(僕が言えた話ではないけど)』

『わたし、帰ります』
『お、おい待ちなって』
『なんですか?』
『途中まで傘、入っていったら?』
『え…』
『風邪ひくし』
『………遠慮、します』


ぎゅっと胸元で拳をつくって、ふるふると小さく震えたかと思うと、荷物をひっつかんで彼女は雨の中を走り去って行ってしまった

『…』

今度ケイイチにでもどんな奴なのか聞いてみようか。
スイネが落としていったハンカチを拾いながらそうぼんやりと思った


雨は、強さを増していた
(これが僕とスイネの初対面だった)

815大黒屋:2011/03/22(火) 15:31:33
前回慌ててうpしたのでタイトルなしの後半走りすぎになってしまい、申し訳ありませんでしたorz
自キャラオンリーです。最後に出てくる奴は雑魚扱いなので名前すら考えてないです(
日にちなんて知ったこっちゃなかったので記号で伏せました。よくよく考えたら日にちなんてあるはずもないんですが;

『切り裂き魔』と『孤高の主』

空気が冷える地下。
灯りは点々と通路にあるだけの、薄暗い空間だ。
何も言うことなく、何も感じることなく、軍服の男はその通路を歩く。
途中で何度かすれ違ったのだが、男の姿が見えていないかのように通り抜けていった。
「全く、人間というのは実に下等でありマス。…あっと。小生の主も人間でありマシたね。」

やがて男は、一つの牢屋の前に立った。
隅の方。眼を凝らして見ると、小さな女の子がうずくまって座っていた。
男は鉄格子をすり抜けるように中に入り、女の子の肩をたたいた。
女の子は顔を上げる。男を見ると、少しだけ安心したような表情を見せた。

「…あ、「キリ」君…。」
「「主」、大丈夫でありマスか?」
「うん。…今、何時?」
「○月△日、午前7時28分でありマス。」
「ありがとう。」

「本当にごめんね。キリ君ばっかりに頼っちゃって。」
「いやいや。主に使われてこその小生でありマス。」
「とかいって。また人間襲ってたでしょ?ほどほどにしてってあれほど言ったのに。」
「…やはり鋭い;」
男――キリは頭をかいた。

「…まだ能力を使えそうにないのでありマスか?」
「うん。なんでか分かんないけど。使える時も、見張りが目の前にいるから、下手な「語り」できないの。」
「困ったものでありマスねぇ。」
「勿論、語っていいっていわれても絶対しゃべらないよ。あいつら、私の仲間を皆、つかまえて生物兵器にするつもりみたいだから。」
「賢明な判断でありマス。そうしてくだされば、こちらも力を使えないとはいえ、確実に助ける手立てを立てられるのでありマスから。」

「主」と呼ばれた女の子は、その場にまたうずくまった。
「私が能力を使えれば、キリ君も力を使えるのに。」
「仕方ないのでありマス。今はしばしの辛抱。やっとの思いで、助けを呼び掛けることができたのでありマスから。」
その言葉に、主は顔を上げた。
「本当なの!」
「ええ。たまたま夜中にお会いした男性に。彼が来なくとも、きっと誰かがここに来るでありまショウ。ですからもうしばらく。」

「…あっと。足音が聞こえてきたでありマスね。小生はそろそろ。」
キリは立ち上がり、主の頭をなでた。
「また来てくれるよね?」
「勿論。やはり一日に一度は主にお会いしなければ気が済まないのでありマスから。」
そう言い、キリは消えるように立ち去った。

「…春美、今、誰かいたのか?」
「いいえ、誰も。」
「そうか。…いい加減お前の力、見せてもらおうか?」
「頑としてお断りします。」

816大黒屋:2011/03/22(火) 15:47:06
やっぱり読んだり書いたりするのに集中してたら米なかなかできませんねorzゴメンナサイ
せめて自分宛の米にお返しをば

>>(六x・)さん
冬也の照れ方がかわいいwwwwwwww
キーホルダー渡してくださってありがとうございました!
冬也ともども、こちらも一安心ですw
凪も喜んでくれたようで、これまた幸いです!
…「凪」の読み方間違ってなくてよかtt(

>>スゴロクさん
相変わらずの圧巻なる文章でだらしなく口あけてぽかーんとしてるアホがここにノ
夕日に二人のシチュエーションはもう一度やりたかったのです><
気にいっていただければ幸いかと。
シドウのキャラが変わったのは単純に自分がシドウをきちんと把握できてなかったからですごめんなさいorz
風邪で無理なさらないように;お大事にです;
…ちなみに、気にしちゃいませんが、店長と探偵は別物ですよ^^;

>>サトさん
店長使っていただき、ありがとうございました!
相変わらず意味深な店長www
自キャラオンリーって、やりたいこと自キャラだけでまとめちゃってるだけなんですけどね;
気に行っていただけてるようで幸いです><
情景描写はまだまだ勉強中。頑張ります!

817スゴロク:2011/03/22(火) 16:20:50
>大黒屋さん あ、やっぱりですか? 風邪引き+起きぬけだったんで、頭がストップ状態でしたから……。
次から気をつけます。……実はまだ治ってないんですが。

818大黒屋:2011/03/22(火) 17:20:16
>>スゴロクさん
いえいえ大丈夫ですw
何分自分もキャラ作りすぎなんで…;
どうかお大事に;

819鶯色:2011/03/22(火) 20:47:18
大黒屋さんから「クランケ・ヘルパー」さんお借りしました!
家からは「エミ」と「ウミ」をだしています

少し古びた長い廊下を長いマントをなびかせながら歩く銀髪の男――クランケがいた
ここはホウオウグループの基地、宿舎連の中だ
今は昼間と言う事もあってか、そこにいる人間はクランケだけだった

1人足音を響かせる彼。その顔は険しく目線は足元へ向かっている
ホウオウグループとしては冷酷な彼だが、その表情は演技等ではなく今の彼の心情そのものだ
そんな表情を浮かべているのには理由がある


親友である天河星が、「ホウオウグループへの宣戦布告」を叫んだ
それによってホウオウグループの構成員であるクランケは、彼女の宿敵の1人となってしまったのだ
彼はそうある事を望んではいない。しかし敵ではない事を証明する事はホウオウグループに刃向かう事と同義となる
組織自体に不満がある訳ではない、且つ組織の目的である「世界の合理化」にはむしろ賛成している
それだけに、組織を抜ければ待っている反逆者の末路――存在の抹消――を辿るには材料が足りない
その結果、彼は友情と組織から板挟みにあっている状態だ。

そんな中で、「切り裂き魔」を名乗る男から今の状況を打破する代わりに協力をしろと要請があった
…藁にもすがる想いで飲んだそれは状況を悪化させるような事ではあったが。


クランケは追い詰められていた。
今のままではいられない、ならばどう動けばいい?
必死に考えるそれは堂々巡りをするだけで、肝心の解決法に至ることはない
そんな中で出来る行動は、切り裂き魔の言葉に従うこと。それしかないのか…?


「クランケ」


静かであった廊下に、少女の声が響いた。
背後から聞こえたそれに振り返れば、見知った顔で


「なんだ、エミか」
「何、もっと可愛い子の方が良かった?」


そういって軽口を吐きつつも少女の表情は明るく、そして何かを腹に含んでいるようにも見える

820鶯色:2011/03/22(火) 20:48:18
――エミ。ホウオウグループの構成員であり、
幼いころから組織にいる彼女はクランケにとっても良く見知った存在だ
そして、5本の指に入るほど苦手な存在でもある
その理由は、彼が組織の中においては冷酷な存在を演じている事を知っている数少ない存在だからでもある
そして、そのネタを使い彼を弄ぶことも原因の1つだ


「黙れ戯けが」
「クランケ、まだその演技続けてるの?」
「その事は他言無用と言ったはずだ!」


演技という言葉に思わずあたりを見回す。これがもし誰かに聞かれたら果たしてどうなる事だろう
制止の言葉に思わず力が入る
しかしエミの言葉は止まない


「本当は優しいくせに、全然似合ってないよ」
「いい加減にその口を閉ざさねば…!!」


力ずくでと言わんばかりにメスが入っている懐に手を伸ばした!


「じょーだんじょーだん!」


その行動を制するかのように、一層明るい声で声を上げた
まるで彼がそうすることを見透かしていたかのように、焦りの様子も見えない


「クランケも大変だろうしね、拷問でもされない限りその演技、誰にもばらしたりはしないよ」


たとえ上総幹部が相手でもね。そう付け加えると彼女はクスクスと笑顔を見せる
そういうのならば、今この場に2人の会話を聞く事ができる人物はいないということだろうか
クランケは警戒をするが、彼女に対する警戒は体力の無駄と悟りそれを解く

821鶯色:2011/03/22(火) 20:48:52
「それより今、悩み事があるんでしょう?」


彼は驚く。そしてそれがわかるような表情をしていたのかと、自身の油断に対して公開する
彼女はそんな彼の様子を楽しんでいるようだ


「当ててあげる。あなたは小さいころからの知り合い、唯一無二の親友の事で悩んでいる」
「!!」
「内容は、強いて言うなら“信念の違い”って所かな?」


いくら彼女であってもそんなところまではわからないはずだ。なぜなら、そんな情報は渡した記憶が無い
まるで思考を呼んでいるような発言に驚いた
それと同時に、彼女1人の仕業ではないと気付く


「近くにウミが隠れているのか」
「さあ、どうでしょう?」


――ウミ、エミの双子の妹で、その能力は一定範囲の人間の思考を“聞く”事ができる
さらにテレパシー的な事も出来るらしく、任意の相手と思考を用いて会話することも出来る
それ故にエミとウミはいかせのごれ高校にて情報収集班をやっているほどだ


「悪趣味な事を…」
「ま、そのことで頭いっぱいみたいだから誘導尋問でもすればバレバレだったけどね」
「……。」


最悪だ
考えている内容が組織に関わる事なだけに、組織の人間にだけは知られたくなかったというのに
この2人が上に報告しないという確証はない。最悪の場合、すぐにでも始末される事になるという可能性も拭えない


「…私が言える事はないかな。あなたはもうヒントを手に入れてる」

822鶯色:2011/03/22(火) 20:49:24
しかし彼女からでた発言は、彼が予想していた反応とは真逆のものだった
彼女の表情から先ほどまでの笑みは消え、真剣な面持ちでクランケの為となる言葉を紡いでいる
…もしかして、信用してもいいのだろうか?


「そのヒントは、解決の糸口になるのか?」
「さあね。1つだけ言えるのは、最終的な判断はあなたに委ねられてるって事」
「そうか」


彼女は、真剣に自身の意見を発しているのだろう。
いままで堂々巡りだった思考の中から、彼が欲していた言葉の1つをとりだしている
いつも彼をを弄り倒しに来るエミから、まさかこんな言葉が出てくるとは彼にも予想外だった
そして少しの間の後彼女はふぅとため息をつき、いつもの笑顔に戻った


「でもね、ノルンとノアみたいな行動はやめてよ?ただ消されて終わりなんだから」
「あの2人は、そう簡単に消えはしないさ」
「頼もしい護衛が付いてるから、でしょ?」
「まあ、な」


その日初めての頬笑みを彼女に向けて、またクランケはまた歩き出した
思えば、彼が今回の件を人に話すのは初めてのことだった
そして肩の荷が少し降りたのかどうかはわからないが
今度は目線を足元ではなく前に向けて、また演技を始めることはできていた

823鶯色:2011/03/22(火) 20:50:21
“切り裂き魔とその主…か。ウミ、何か情報あったっけ?”
“その主さんはここの地下に幽閉されているのよね、それなら心当たりが一つ”


エミがただ考えただけのことにウミは考えることで反応する
彼女たちの会話ともとれるそれはウミの特殊能力によるもので、外部に漏れる事はまずない


“地下である女の子の仲間を生物兵器にするって計画があるみたいなの。なんでも今取り調べ中みたい”
“生物兵器ねえ、ホウオウグループってそういうの好きだよね”
“でも不思議。今のその子と接触できるのは見張りの人だけで、助けなんて呼べないはずなの”
“へえ?それが本当なら切り裂き魔ってのは案外透明人間だったりしてね”


エミの考察は、いかせのごれではあり得ない事ではないが確信が無い
現時点ではそうではないことが証明できないように、そうである事も証明出来ないのだ


“なんにせよ今のままでは情報不足ね”
“その2人について調べる必要がある…か”
“面白くなってきた?”
“まあね”


そう言ってエミの口は弧を描いたのだろう、その事実は彼女にしかわからないけれど。
そして私たちは彼女の言う面白い事を満喫することにした


――私に面白いという感覚はわからないのだけどね

824鶯色:2011/03/22(火) 20:51:49
「クランケの思考」

というわけでクランケさんお借りしましたー!
初の5レス消費で達成感が半端ないですけどクランケさんいじめちゃってごめんなさいw
やっと双子ちゃん動かせてよかったですw
この調子で他のキャラも…とその前に書く書く詐欺の回収しなきゃですね
エミとウミは大分フラグを立てまくっていますけど、
先がわからない以上動く事はないのでフラグ回収はお気軽にどうぞ(笑)


>スゴロクさん
ユウトが!ユウトがスゴロクさんの手で動いている!
自キャラの初出張というのはいつ見てもドキドキします
まあいつだって自キャラが出てくるとびっくりするのですがねw
スゴロクさんの大人数出演の作品を見るといっつも凄いなあと思います
なんで大人数をここまで使いこなせるのかと
ともかくお疲れ様でした!

825大黒屋:2011/03/22(火) 21:04:47
鶯色さんが素敵な作品をあげてくださってテンションあがってます。
時系列もずれが生じる前だったので一安心。
名前だけ、鶯色さんから「エミ」「ウミ」をおかりしました!

現実と非現実

『「秋山 春美」?』
電話越しに星は訊き返していた。
「ああ。ホウオウの地下牢に収容されている能力者だ。聞いたことあるか?」
『有るも何も、月光の親戚じゃねぇか。』
「は!?マジかよ!」
『春美のことについて聞きたいんだったら、月光と変わるから。私数回あっただけだしよ。』
「ああ、頼む。」

大げさに驚いては見たが、まぁ予想の範疇であった。
昨晩、「切り裂き魔」に頼まれてそれらしい能力者を探したところ、「まだまだ若い」と思しき能力者は極端な話、春美だけだった。
名字が名字だけに星や月光なら知っているかもしれないと、電話をかけた次第だ。
「しかし、親戚だったとはなぁ…。」

『…もしもし?』
「もしもし。星から用件はきいたか?」
『勿論ぜよ。春美殿のことじゃね?』
「ああ。」

『春美殿は、あしの姪にあたるぜよ。あしと違って昔から陰陽師としての能力を発揮できとった。』
月光の生まれは陰陽師。能力者とはまた違い、霊や妖怪に通ずる一族だ。
剣術ばかり鍛えていた月光は陰陽師特有の術を使うことはできないが、霊や妖怪を見ることはできる。
『元々不思議な子じゃとは言われていたぜよ。あしらにも見えないような霊と遊んどった。』
「本人は霊とか全く怖がらなかったってことだね。」
『それどころか、興味を持ち始めて怪談話結構読んどったぜよ。』

成程、道理で一度見回りに行った時、薄暗い地下牢でも平気にしていたわけだ。
というか、霊が見える彼女はあそこをさびしいものだと思っていなかったのではなかろうか。
…考えてたらこちらが気分悪くなってきた。

「…もうひとつ聞きたいんだけど、『切り裂き魔』って、知ってる?」
『切り裂き…?ああ、キリのことがか。』
「キリ?」
『春美の一番の信頼者ぜよ。あれも妖怪なんじゃけど。』
妖怪。道理で禍々しいオーラが漂っていたわけである。

「その妖怪と彼女は何処で知り合ったか知ってる?」
『知り合った、というか…。』
月光が言葉を濁す。気になるのだが、せかすわけにもいかないのでじっと待つ。
やがて、思い切ったように月光が口を開いた。

『キリは…、春美が「能力」で生み出した妖怪じゃ。』

「生み出した…!?」
『春美がしゃべれるようになって、怪談話を読むようになった頃くらいから、妖怪の目撃件数が多くなったんじゃ。それも、話には聞いたことあっても見たことがない妖怪ばかり。』
「それって、もしかして…。」
ここまでくると、彼にも予測がついた。月光はゆっくり言った。
『春美は、先天性の能力で、妖怪を作り出すことができる能力を備えていたんじゃ。』

『作り出すには「本当に本当の話」と前置きをわざと口にし、怪談を一つ語ればいいぜよ。そうすれば、怪談に出てくる妖怪が作り出される。現れる場所は決まってないんじゃけどな。』
「成程…。」
つまり、ホウオウは春美に怪談を語らせ、妖怪をとらえて生物兵器として使おうと思ったのだろう。
『春美殿の能力が封じられても、キリは本来の力が抑えられだけで自由行動ができたはずじゃ。他の妖怪はどうじゃったか覚えとらんけど;』

「ありがとう。また何かあったら連絡するよ。」
『なぁ、春美殿が幽閉されてるとは、本当がか?』
心配そうに月光が尋ねる。
「…ああ。むこうは君に任せるよ。何かしら理由をつけて、しばらく陰陽師一家を落ちつかせておいてほしい。」
『わかったぜよ。でも妖怪に通ずることじゃ。できるだけ、あしや星殿も協力するぜよ。』
「本当に助かるよ。ありがとう。」

電話を切り、空を仰いだ。
少なくともこのことは、エミとウミに知られているだろう。
おまけに依頼主が非現実的な妖怪と来た。
こんな状況下で、自分は小さな女の子をすくい出せるのだろうか?

「…分からない。」
それが、彼に出せる最大の答えだった。

826大黒屋:2011/03/22(火) 22:03:20
勢い余って過去編投下!
自キャラオンリーです。今回も走りましたorz

「切り裂き魔のとおりゃんせ」

本当に本当の話だよ
そこの信号のない横断歩道
5時55分になると、聞こえてくるんだって

とおりゃんせ とおりゃんせ

その歌が聞こえてきたら
絶対に横断歩道を渡っちゃ駄目
強い風が急に吹いて
次眼を開けた時
見たこともない山奥に独りぽつんと立たされてるんだって

ここはどこの ほそみちじゃ

獣道に従って進むとね
赤い小さな鳥居があるの
人がいるかもしれないからって
その鳥居は通ったら駄目

いきはよいよい かえりはこわい

ふっと油断すると風が吹いてね
後ろから「切り裂き魔」が襲いかかってくるの
そして気がつかない間に「顔」を切り取って
呪いをかけてしまうんだって

こわいながらも

そうされたらもう
鳥居から外に出られない
「顔」を「切り裂き魔」にとられたまま
ずっと彷徨い続けなきゃいけないんだって

とおりゃんせ とおりゃんせ――


本を閉じると、目の前に広がるのは閑静な本堂。
丁度大人たちは修行の時間だ。
「…つまんないの。」
彼女はそう言い、本堂から外に出た。

広い中庭にも、大人は誰もいない。今は彼女一人の世界だ。
しかし、彼女は遊び相手がいないことを退屈に思っていた。
時刻は昼間。友達の霊や妖怪も出てこない。
かといって100年に1度の逸材ともいうべき陰陽師の卵。外に出ることも許されなかった。
仕方なく、彼女はふらふらと歩きだした。

それから間もなくだった。
ふと顔を上げると、見なれない男が立っているのが見えた。
枯葉色の軍服と灰をかぶったような黒い肌、漆黒の髪と、どれも全てが、白い壁に映えて目立った。
依頼人だろうか。そう思って近づく。
「あのう、誰かお待ちですか?」
そう、声をかけた。

振り返った男。
前髪が長くて顔が隠れてしまっているが、細く赤い目と頬まで裂けた口が僅かに見え、直ぐに彼女は「妖怪だ」と判断した。
しかし、何処の妖怪だろう。この辺では見かけない。恐らく、見たことのある大人もいないだろう。
対応に迷っていると、男が答えた。

「…ええ。少し、人を探しているのでありマス。」
優しく話しかける。悪い妖怪ではなさそうだ。たとえ悪くとも、こちらに危害を加えるつもりはないだろう。
「人…というと、人間のことですか?」
「恐らく。お礼がいいたいのでありマス。」
お礼?誰にだろうと気になったが、とりあえず彼女は、男を客間に通した。

「小生はつい今しがた、この世界降り立ったのでありマス。」
師範である彼女の祖父を呼び、客間には3人(?)が座っていた。
「今しがたですか。なんでまた。」
「霊や妖怪が、「鬼門」を通って現れることは、知っているでありましょう。しかし、開け放ったままにもいかないので、普段は結界が張っているのでありマス。」

鬼門とは、悪しき霊などがやってくるとされる門だ。
節分の日によく聞く言葉だろう。
彼らの陰陽道では、特にその鬼門には警戒をしており、普段は強力な結界を張っている。
そして、必要に応じて特定の妖怪を通すのだ。

「しかしながら、誰に呼ばれたわけでもないのでありマスが、先程、小生に対して結界が解放されたのでありマス。」
「結界が、勝手に?」
「さよう。しかし、勝手というのも理解しがたいので、小生を呼んだ者を探している次第でありマス。」
霊能力に通ずるものは、能力者の多いいかせのごれでも数少ない存在。師範は直ぐにみつかるだろうと判断した。

「分かりました。春美。」
「はい。」
「呼びだした者が見つかるまで、お前がそばについてあげなさい。」
「分かりました。」

827大黒屋:2011/03/22(火) 22:03:51
師範が立ち去ると、部屋には2人だけとなった。
春美は興味深々と言わんばかりに、妖怪の男を見る。
「…なんでそうも見るでありマスか?」
「私ね、ずっと独りで退屈だったの。だから、こうやって他人と向き合うことなくって。」
すっかりため口である。
「妖怪である小生でも、でありマスか?」
「うん!むしろ、妖怪の方が好きなんだ!」

「…で、お兄さん。」
「お兄さんって…;」
「名前、聞いてなかったから。なんていうの?」
そう聞かれ、男は一瞬たじろいだ。

「そ、それは…。」
「えー?なんで黙ってるの?名前分からないと人の探しようもないよ!」
「そうではありマスが…;」
「私にだけでいいの。ね!教えて!」
しつこく責め立てられ、男は音をあげた。

「わ、分かったでありマス!」
「で!なんていうの?」
男は少し間を置き、すっと息を吸うと言った。

「…『切り裂き魔のとおりゃんせ』…。」
「!」

その名前に聞き覚え…いや、「読み覚え」があった。
先程の怪談話のひとつなのだ。
慌てて男の背中を探ると、ぼとりと、春美の身長と同じ位はあろう、大きくいびつな鋏が落ちた。

「…切り裂き魔さん、だったの…?」
「ご存じで、ありマシたか…。」
切り裂き魔は鋏を拾い上げると、立ち上がった。

「小生は悪しき妖怪。人の世にいてはならない。優しく接してくれた、あなたを傷つけるわけにはいかないのでありマス。」
隠れた顔に、悲しみが見えた。
「小生は他をあたるのでありマス。」
そういい、踵を返そうとした。

「待って。」
羽織った軍服の裾をつかみ、春美は止めた。
「きっと…私なんです。私が、切り裂き魔さんを呼んだんです。」
「お譲さんが…?」
「なんでかは分からないけど、でも、貴方に会いたいって本を読みながら思ったんです!」

鋏があるにもかかわらず後ろから抱きつく。
「だから、お願いです。行かないで…。」
「…。」
やっと見つけた、遊び相手。自分の声に従ってきてくれた理解者。
それを失いたくはないと、必死でしがみついた。
気がつくと、涙があふれていた。

しがみついた手を払い、切り裂き魔は振り返ってしゃがんだ。
そして、春美の頭をなでた。
「初めてなのでありマス、小生を必要としてくれたのは。」
「!」
「小生でよろしければ、ぜひ、貴方のそばに置いておいてほしい。たとえ呼んだ人が違っても、小生はきっと、貴方を選びます。」

「一緒に、居させてください、「主」。」



追記
この後、師範の手によって春美が呼んだと正式に認定。
責任を持って預かるという条件のもと、切り裂き魔との共存が許される。
春美は切り裂き魔を「キリ」とよぶようになった。

そして、春美が能力者だということはすぐ後に判明する。

828サト:2011/03/23(水) 22:06:00
びすたんの『ロゼ』しらにゅいさんの『トキコ』サイコロさんの『スザク』自キャラ『スイネ』です



『……子供がこんなところに、こんな時間にくるものじゃないわよ』
『ぶーっ!また子供って言ったなぁ!』

バーには心地のよいクラシックの音楽が流れていて
シックな照明は落ち着いた雰囲気を滲ませている
アダルトなこの場所にそぐわない朱髪な少女はカウンターに座り
アルコールの無いストロベリーカクテルを飲んでいた

『カクテルをストローで飲む時点で十分子供じゃない』
『あれ、これジュースじゃないの?』
『……』

少女…トキコは、カクテルにあるまじきじゅるじゅるという音を立てて
グラス一杯になみなみとつがれたカクテルを飲み干した

『おかわり』
『飲みすぎよ』
『いいじゃん。おいしいんだもんコレ。綺麗な色だし』
『……』

ロゼは、その美しい瞳を少女の瞳に重ね合わせた
ロゼの脳裏に浮かんだのは
そのカクテルと同じ赤い髪を持つ少女だった

『(トキコではない…だとすれば)』

しばらく思案していると
不思議そうにトキコが見つめかえされて
咄嗟に取り繕うための言葉が零れた

『トキコは赤色が好きなの?』
『うん!昔は嫌いだったけど、今は好き』

トキコがこのバーに来るのは今回が初めてではない
彼女と初めて出会ったとき
初対面の人間には無意識に発動してしまいがちな能力は
トキコに対しても例外ではなく
彼女の情報が流れ込んだときには
それこそ吐き気を催した
なんて鮮明な記憶だろうと

ホウオウグループに属していて、
血なまぐさいことに関しては実際に見たり、視たりしていて
この少女が特別でないことぐらいわかる
けれどこの幼さの残る明るい少女の過去は
その存在を疑うほど、今の彼女に結び付くとは思えないほどのものだ

彼女に対する興味は尽きない

『大事な人と同じ色だから』
『だいじなひと?』
『友達…だと思ってた。けど…実は敵でぇ…あれ?でも大事で、あれ?』
『ややこしいのね』
『よくわかんないや。』
『…好きなの?』
『好き?………あー、なるほど』
『何よ』
『そうなのかも。うん。鳥さんは私に…嘘、つかないし』
『(好きの意味理解してるのかしら)』
『おーかーわーりー』
『…はいはい』

829サト:2011/03/23(水) 22:06:56

新しいストロベリーカクテルを作ろうとボトルを出そうとすると、トキコはなにかを食い入るように見つめていた。

視線をたどると、そこには
一時間前に今は退出されたホウオウ様が注文した
【ブルーアイズブルー】だった

『(ちっ…捨て忘れていたか)』
『それなに?』
『お酒よ。トキコには飲めないわ』
『ロゼ。私ね。もうひとり大切な友達がいるの。鳥さんとはまたちょっと違うんだけど』
『…』

何故だろうか
聞きたくない
トキコの話にはいつだって興味があって
いつだって聞きたくてたまらないはずなのに
何故だろうか、やめろと警告を発してる

『その子は美人なのに可愛くて、好きな人がいて
お人形さんみたいで初めて会ったときはぎこちなかったのに
笑ったり、焦ったり、困ったり、
最近は色んな顔を見せてくれるようになって
…本当に、女の子の"理想"』

やめて
やめて
やめて

『ちょうど、そのお酒みたいな色の瞳と髪をしてる子なの』

ガシャン

『わっ、ロゼ?!大丈夫?!』
『…けが、は、してないわ』


まさか、まさか、まさかそんな
吐き気を催すほどの悪寒
視るのが怖くてトキコの顔を直視できない
…私の知っている"あれ"とは
トキコの"それ"とだいぶ違うような印象を受けたが
この動悸は、なんだ


記憶のカクテル
(まさかまさかまさか)
(考察に考察を重ね)
(私は答えにたどり着く)

830スゴロク:2011/03/23(水) 22:24:44
>サトさん おお、何かアンバランスな感じがいいですねぇ。トキコの反応も満更ではないよう……というか、何だかヤバいことになってませんか!? スイネが一気にピンチの予感……。

……ちなみに、スザクは私(スゴロク)の所の子ですね。やっぱりこのHNは紛らわしいのか……。

831サト:2011/03/23(水) 22:33:43
>>スゴロクさん
はい!不安定な感じを目指しつつ書いてみました(^-^)/
スザクさんは大好きなキャラクターなのですが、壊すのが怖くて、イメージとしてのスザクさんしかでてこないのが申し訳ない(´-ω-`)
これからも使わせてくださいね(*^-')b
スイネは……みなさんに守ってもらえたらいいな…!


って、やってしまったああああああああ!!確認したはずなのに(;_;)申し訳ないですぅぅぅぅ!!!!!
土下座します!!!!ズザー!

832スゴロク:2011/03/23(水) 22:46:07
>サトさん いえ、構いませんよ。よくあることです。
スザクですが、多少壊れてもフォローするのでガンガン使ってやって下さい。
……最初に作った啓介も、出来れば。

833スゴロク:2011/03/24(木) 00:47:00
今回は裏話です。実は……。



―――ブランカ。俺の娘。アカネにそっくりな、あいつの忘れ形見。
だが、俺は彼女を置き去りにした。見逃せないものを、見つけてしまったからな。


「……む」

某日。白波 シドウは、とある店の前にいた。本当は目的地などなく、あるのはただ、とある人物を探す目線だけ。ただ、その眼が以前、少しおかしなものを捉えていた。

シックな感じのバーから飛び出す、朱い髪の少女。どう高く見ても高校生くらいの彼女と、彼女が出て来たバーの雰囲気は明らかにそぐわない。

(どういう店だ、ここは?)

普通の店なら、あんな時間に学生が来ることを認めはしない。しかし、出て来たという事は、直前まで中にいたということ。シドウはそこが引っ掛かった。

(何かあるのか?)

無視してもよかったが、娘にもしっかり受け継がれた好奇心が顔を出した。
妻の生前には、毎回『何でもかんでも首を突っ込まないの!』と雷を落とされていたが、そう簡単に直るものではない。

あの時は別の用があったが、今は時間がある。異能殺しの男は、バーの扉を潜った。

834スゴロク:2011/03/24(木) 00:47:34
―――ワタシにとって他人とは、ワタシを楽しませる道具にすぎません。そうでもしないと、この世は実に退屈です。退屈というのは、案外とツラいものですよ? 
何もしない、何もすることがない、何をしても面白くない。そんな感覚、アナタにも覚えがありませんか? 
だからワタシは、力を与えるのですよ。彼女たちにそうしたように、ね。



「あぁ、退屈ですねぇ」

街の中、人ごみに紛れるようにして、黒服の男は歩いていた。ぼやきながら。
全く、ここ最近退屈と言ったらない。何人か「マニピュレイト」を使ってはみたが、クジ運が悪化したのか全て外れ。
腹いせに交通事故を何件か起こしたが、どうも面白くない。

(やはり、人が歪むのを見ないと調子が上がりませんね)

古びた黒帽子をかぶり直し、人混みを抜けだしてす、と影のごとく路地裏に消える。その挙動は一切の乱れがなく、ある種の芸術とも見えた。
路地の反対側に抜けると、そこも人通りが多かったが先ほどよりは少ない。す、とやはり影の如く滑り込み、何もなかったように歩き続ける。

(人と言うのも、案外単純ですね)

人間は、少し変わったことがあるとすぐそれに気付く。
しかし、改めて確認した時に最初のような変化がないと、よほど好奇心が強いか疑い深い人間でない限り、見間違いで片付けてしまう。
その意味では、男にとって人と言うのは実に扱いやすい存在だった。

(まったく、ワタシの姿を見ても、誰も騒がないとは)

黒服に黒コート、黒帽子。かなり目立つこの格好をした男は、人の間をすり抜けるように早足で歩く。
ご丁寧に、人々の目の端に姿をかすめさせながら。気付いた何人かは顔を上げるが、そこに何もないとわかると興味を失う。

認識の隙を突くようにして、男はすいすいと人混みを抜けて行く。これもちょっとした退屈しのぎだ。
と、

「お?」

その視界に、バーが飛び込んで来た。シックな感じで、なかなかセンスがよさそうだ。

「ふむ……ま、これも退屈しのぎですか」

そう言って、男はバーの扉を潜った。



「ご注文は?」
「……そうだな。ブルーアイズブルーを頼む」

カウンターについたシドウが注文を出すと、バーテンダーの女性の表情が引き攣った。
一瞬にも満たない僅かな間であったが、シドウはそれを見逃さなかった。

(なんだ、今のは?)

このカクテルに何か嫌な思い出でもあるのか。そう思ったが、野暮はすまいと口には出さなかった。
程なくしてカクテルが差しだされる。

「いただこう」

何となくそう言って、グラスを手に取る――――瞬間、扉が開いた。

(新しい客か)

そう思い、何の気なしにシドウはそちらに目を向け―――

「!!!」

凍りついた。
そこに立っていたのは、全身を黒で装ったひょろ長いシルエットだったからだ。

835スゴロク:2011/03/24(木) 00:48:09
入って来た男は、悠々とシドウの隣に座り、

「こんにちは。早速ですが、青い珊瑚礁を」

ジンベースのカクテルを注文し、そのままふう、と息をつく。

「初めて来ましたが、なかなかよい店ですね」
「ありがとうございます」

バーテンダーの女性が礼儀正しく礼を言う。それに対し、男は帽子を少し上げて会釈することで答え、再び店内を沈黙とクラシックが流れる。
しかし、シドウはそれどころではなかった。隣に座って来たこの男こそ、シドウが4年前にランカの前から姿を消した、唯一にして最大の理由なのだから。

「貴様……」

思わずそう呟くと、男はいかにも今気付きました、というように大袈裟に驚いて見せた。

「おお! これはこれは、白波 シドウさんではありませんか。いや、お久し振りです。元気にしておられましたか?」

やけにフレンドリーなその態度に、女性が首を傾げる。

「あの、失礼ですけど、お知り合いですか?」
「ええ、以前少し」

言う男だが、シドウの目線は鋭いを通り越して凶眼となっていた。その視線に宿るは、紛れもない怒りと憎しみ。
あまりに不穏な空気に耐えかねてか、カクテルを差し出した女性が言う。

「な、何かあったので?」
「………」

その質問に、しかし今度は答えない。代わりに男は、

「……アナタ、ちょっと煩いですね」

言うや、指を一鳴らし。瞬間、女性の目から光が消え、どさり、と崩れ落ちた。

「! ヴァイス!」
「おぉっと、慌てない、慌てない。気絶していただいただけです」

大仰に言う男――――ヴァイスに、シドウはその目を向ける。探して探していた、この男に。

「ようやく会えたな……探したぞ」
「こちらとしては、アナタにはもう興味がないのですがねぇ」

はぁ、とヴァイスがため息をつく。

「俺は大ありだ。俺は、ブランカから離れてまで、貴様を探していたのだからな」


「あいつの……アカネの仇を、な」


今は亡き妻、ランカの母親の名を出すと、ヴァイスの表情が変わった。といっても、「その事ですか」とでも言いたげな、退屈そうなものだったが。

「やれやれ、しつこい方だ。まだその事を根に持っているのですか」
「当たり前だ!!」
「しつこい方は嫌われますよ?」
「別に好かれたくもない!! それに、貴様にだけは言われたくない。アカネの死の原因を作った、お前にはな」

あらん限りの怒りを込めて言うと、ヴァイスはわざとらしくため息をついた。

「死の原因、ですか。確かに、ワタシの存在がそれに寄与したのは事実です。しかしね、重要なことを忘れていませんか」


「奥様の命を実際に奪ったのは、アナタのその眼ではありませんか」


「………」

それも事実だ。突如目覚めた―――この男によって目覚めさせられた、シドウの「スキルシール」……異能殺しの力。それが妻を、アカネを殺した。それは確かだ。だが、

「しかし貴様がいなければ、アカネが死ぬことはなかった。ブランカから母親を奪う事はなかった……!」
「くどいですねぇ。アナタが悪いのですよ、白波 シドウ。せっかく人を越えた力を与えてあげたというのに、それを制御できず暴走したアナタが」
「頼んだ覚えはない!!」

言っても無駄だとはわかっている。この男には、他人の感情に配慮するなどという考えは一切ない。ただ貪欲に、自身の「退屈しのぎ」を求めるのみ。

「ヒステリーに付き合う気はありません。ここは退散しましょう」

カクテルをくいっ、と飲み干すと、無造作にまるめた紙幣をカウンターに転がし、ヴァイスは扉を僅かに開けて店を出た。
その背で、扉が閉まる。

「待て!」

シドウも慌てて立ち上がり、その後を追った。無論、代金を置くのは忘れずに。

836スゴロク:2011/03/24(木) 00:48:47
店をシドウが飛び出した時、ヴァイスは歩道のガードレールの前で佇んでいた。背を向けたまま、言う。

「そうそう、シドウさん。ワタシはこれから、いかせのごれ高校に赴きます」
「何!?」
「あの場所にはちょうど、ワタシが『目覚めさせた』少女がいるのでね」

少女、誰のことだ? シドウが考えていると、答えが向こうから来た。

「14、5年程前ですか。とある一家を、見かけたことがありましてね。奥様が双子を出産したばかりだったのですよ」

そして、男は言った。

「その時に、思ったのです。赤ん坊に能力を目覚めさせれば、何が起きるのか、と」
「な……」

あまりの所業に、シドウが思わず固まる。が、次の言葉で意識が完全に凍りついた。

「目覚めたのは姉が先。どのようなことになるのか、楽しみに観察していましたが……」



「3歳の時、ホウオウグループの一派に連れて行かれてしまいました。おかげで、それっきり消息が途絶え……どうなったのかさっぱりわかりませんでした」



「!!」

直感した。そして、次の言葉でそれが確信に変わる。

「しかし、思わぬ幸運でワタシはその少女を見つけました。いかせのごれ高校に通っていたのですねぇ。しかも、同じく目覚めた、双子の妹と共に」

もはや間違いない。その少女は……!

「火波……綾音」
「ほほう、ご存じでしたか。まあ、行って、確かめますか。どれほどに成長し、どれほどにワタシを楽しませてくれるのかを」
「させん!!」

あわよくばここで決める。そう決意して繰り出した蹴りは、むなしく空を切った。

「何!」
『フフ、コチラですよ』

やけに遠くから声がした。見ると、ヴァイスの姿は、赤信号で車の通っていない道路を挟んだ、反対側の歩道に在った。

『ではごきげんよう、白波 シドウ』
「待て、ヴァイス!!」

道路を横切って追おうとしたが、その瞬間に信号が変わり、車が走って来た。
そして、最初の一台が視界を一瞬だけ遮って通り過ぎたその時には、既に黒服の男の姿は、どこにもなかった。

「く……」

取り逃がしたシドウは、一人歯噛みした。

837スゴロク:2011/03/24(木) 00:49:39
ヴァイスの言っていたことは確かだ。
白波 アカネ……不治の病に冒されていた彼女は、しかし自身の持つ、生命力を大幅に活性化させる能力を無意識に使い、その命を保っていた。
ブランカを無事に出産で来たのはそのおかげだ。
――――しかし、ある出来事がきっかけで、幸せだった日々は終わりを告げる。

『初めまして。ちょっと、用事が在るのですが』

ある時家を訪れた、黒服の男……ヴァイスによってシドウは、この、異能を封じる目を強制的に与えられた。
混乱し、得体の知れない感覚に苦しむ夫を見かねて駆け寄って来たアカネは、その「異能殺し」の目の力をまともに受けてしまい、命を繋いでいたその能力を封じられた。

結果として、既に手の施し様がないほど悪化していた病により、アカネは程なく逝った。生まれたばかりの、一人娘を残して。

(あの時から、俺は復讐だけを目的に生きて来た……)

彼が短絡的な行動に走らなかったのは、ひとえに娘・ブランカの存在があったため。
彼女を育て、共に泣き、共に笑ったその日々の中でも、彼はアカネの悲劇を忘れることはなかった。それでも、ブランカを置いて行くことは出来なかった。
顔も知らぬ母に続き、父まで失わせるわけには行かなかった。

―――それが覆ったのは、4年前のあの日。

行き倒れになっていた二人の少年少女を、珍しく調子の良かったブランカが発見し、保護してから3年程絶ったある日だ。
休日と言う事で、家で過ごしていた彼は、庭に出た時とんでもないものを見つけたのだ。

『!! あれは……!』

退屈そうな顔で、ビルの屋上からこちらを眺める、ヴァイスの姿を。シドウはその時、不吉な予感にかられた。

―――奴を放っておけば、ブランカまでもが。

その可能性は、十分に過ぎるほど、あった。よしんばそうでなかったとしても、奴を放っておけばまた同じ事が繰り返される。
そしてシドウは、ヴァイスを追うことを心に決めた。が、一つ心残りがあった。ブランカと、「火波 綾音」「水波 大悟」と名乗った2人のことだ。
彼女たちを置き去りにするわけにはいかない。しかし、奴を放っておくわけにもいかない。
困り果てたシドウだったが、その夜の出来事でついに悩んでいられなくなった。

『! 今の悲鳴は……』

なかなか寝付けず、散歩に出ていたシドウは、路地裏から上がった悲鳴を聞いた。駆け付けて見ると、そこにいたのは、倒れ伏す女性と、夜に溶け込むような男の姿。
ヴァイスはシドウの姿に気づくと、ため息を一つついて姿を消した。
女性を助け起こしたが、既に事切れていた。奴にやられたのだ。

もはや、躊躇している場合ではなくなった。奴はこのままだと、人知れず狂気の所業を繰り返す。誰にも気づかれることなく。
それはシドウにとって、アカネを何度も見殺しにするのと同じことだった。

(そして、俺は……)

とある筋から入手したウスワイヤの番号をダイヤルし、自分の名は明かさぬまま2人の「能力者」の存在を伝えた。ここにいるよりも、確実に安全なはずだったから。
ブランカを置いて行くことには最後まで後ろ髪を引かれる思いだったが、奴の存在を明らかにすれば、下手をするとパニックが起き、ウスワイヤの方も大混乱を来たす。
それを避けるためにも、現状奴の存在を認識している自分一人で追わねばならない。――――たとえ、何を捨てても。
そして、今。

「………」

火波 綾音……今はスザクと名乗る彼女の悲劇の引き金もまた、奴だった。これで、奴を追う理由が一つ増えた。

「逃がさんぞ、ヴァイス……貴様を追うため、俺は全てを捨てたのだからな」

その呟きは、風に紛れ、誰にも届かなかった。



      ――――引き金は「白」という闇――――


(異能殺しの男の怒りは)
(「家族」を捨てた決意は)
(すべては失われた絆のために)


ということで、今回は新キャラの顔見せと、シドウが消えた理由についてのお話でした。名前が出てませんが、しらにゅいさん「トキコ」、びすたさん「ロゼ」とその店をお借りしました。
やっと風邪が治って来ました……。

838サト:2011/03/24(木) 01:08:22

早速スゴロクさんの『啓介』くんお借りしました
本家から『ケイイチ』
自キャラ『スイネ』です





最近、図書室に現れる少女がいる

その子は、俺とはまた違う蒼い髪をしていて
窓際でよく本を読んでいる
人と関わりを持つこと事態あまりすきではないし
どちらかといえば煩わしいことではあるが、気になった

体型こそ違うが
身長は妹とほぼ同じくらいだったし
頬杖をつく癖や、ページをめくるときの指癖などの、小さなありふれたしぐさが
どことなく妹に重なって、目で追っていた

『啓介やっぱここだったか。リーダー逹まってるよ』
『うぉっ!…なんだケイイチか、びっくりさせんなよ』
『啓介もそんな声出すんだね、おどろい…』

ケイイチの視線が、窓際で本を読む少女に注がれる
ケイイチはギョッとしたように俺の顔を見て

『啓介…スイネと一緒にいたの?』
『いや、一緒にいたわけじゃねーっていうか…』
『……』
『……』

なんとなくだがケイイチは『焦っている』ようだった。なにか知られたくないことでもあるのか、歯切れの悪いことばを紡ぎながら、意味もなく肩を何度も叩かれた

『なに、知り合い?』
『…お、幼馴染み』
『幼馴染み?』
『う、うん(そういうことになってるんだよな…)』
『ふーん…』
『どうかしたの?』
『いや、なんか…』
『え?』
『あ、いや、別に』
『早く行こう。今日はカラオケだってさ』


なんとなく
あの子の空気がとても
寂しそうに感じた


もう一人の蒼
(人間らしさが感じられない)
(そんな気配のする子だった)

839(六x・):2011/03/24(木) 01:20:27
>サトさん
凪姉はイケメンです。女子だけどねw

イラストで見たい…だと!?
私がサトさんの絵で見たいくらいです!でも、シリアスじゃなくて冬也×凪(逆かもしれない)でラブラブなやつを(殴

表情の変化を顔文字で表してみましたw
爪ス・◇・ス(ふに~ → 爪ス゚ぺス(キリッ


親父との会話?
「凪、いつもより遅いみたいだけど彼氏とデート?そうだったらお父さん泣く。」
「違うよ変態クソ親父wwエロゲでもやってろww」
こんな感じですw

>大黒屋さん
冬也は凪のこと大好きですからwwちなみにエロ目的はなく純愛です。よこしまは凪の靴下だけにしとこう、なっ!(わけがわからないよ


本編。鶯色さんのハヤトくん、十字メシアさんのミユカちゃんをお借りしました。

私は弟分に好かれているらしい

「うーん」
「どうした?男のシンボルが縦に裂けたか?」
「痛い痛い。違うよ、この問題が解けなくて悩んでたんだ。」
「ああ、横に裂けたか。」
「話聞けよ。」
「ジョークだ。教えてやってもいいが、交換条件で放課後私につきあってもらう。」
「いいよ。お願いします。」
「よし。それではまずこの文をだな(以下、説明」
「できた!さすが凪!お前先生になれるよ、マジで!」
「ガキは嫌いだ。できたんなら行くぞ。」

「冬也にプレゼントもらったからお返しねえ。『プレゼントは私v』でよくね?w」
「貴様のシンボルを縦か横好きなほうに裂いてやろう(黒笑」
「うそです、ごめんなさい。」
「まったく、君はそんなんだからもてないのだよ。」
「ひどい。」
「…これにするか。」
「おお、もう決まったのか。俺が来た意味はあったの…ってそれ女用じゃね?」
「いや、これでいいんだ。昔、あいつの誕生日プレゼント買うの忘れてて仕方なく私の持ってたヘアピンをあげたんだが、それ以来ずっとつけてるんだ。バカだろw」
「いや、お前にもらったからうれしかったんだろ。」
「男子にヘアピンだぞ。普通なら後でゴミ箱行きだろ。」

840(六x・):2011/03/24(木) 01:22:51
「まぁ、男は大好きな人にもらったものなら何だってうれしいよ。」
「そういうもんかな。でも冬也のはアレだろ、弟の『お姉ちゃん大好き!』ってやつ。恋愛感情はないだろww」
「わからんぞ。幼馴染から夫婦になったりするからな。」
「うちの親父みたいなこと言うなよ。これ買ってくるわ。」


「凪っちー」
「ミユカ?芋虫フィギュアはやめろよ。やったら刺すからな。」
「いやん怖いww昨日見てたよーwハヤトちゃんとデート^^」
「違うよ。あれは冬也へのプレゼント選んでもらうのにつき合わせただけだ。」
「なるほどー。それで、どっちが本命?」
「え、どっちも好きだけど(やっぱり天然」
「いや、そうじゃなくてね…(がんばれ、冬也ちゃん!)」

私は弟分に好かれているらしい。好きってなんだ?
英語で言うなら「like」か「love」
llikeは…わかる。
loveは…よくわからない。経験者いわく、「どきどきするけど幸せな気持ち」になるらしい。
…この理屈でいくとすれば、冬也は私といてそういう気持ちになるんだろうか。どきどきしたら苦しいだろ。苦しいけど幸せ…マゾ?違うかw
ううむ、ますますわからなくなってきた。
こんなに解けない問題は初めてだ。誰か助けてくれ。


凪さんは頭いいけど恋愛は全然ダメです。誰かこいつに恋愛指南して差し上げてえええ。できれば女子!(おい

841サト:2011/03/24(木) 10:12:47
感想をば

>>鶯色さん
ウミエミ!!わたしの嫁!!
活発だけど、人間的感情が欠落がちなエミに
エミを思うウミ
クランケとの会話は、妙な緊張感さえ感じました!
これから双子がいろんな人と絡んだらいいなぁ

>>大黒屋さん
っとか思ってたらさっそく!!
双子ちゃんごちそうさまですんー!
そしてそして、大黒屋さんのお宅の子の中では一二を争うほど大好きなキリくんやっほーい!!
もっとたくさんキリくんが増えたらなぁ、増えたらなぁ
これからの活躍にきたーい!!
ていうかもっと大黒屋さんの文が読みたいよー!

>>スゴロクさん
をををを!!あのバーでのその後ではこんなことが!!
なんて素敵なつなぎ!!
そしてそして、アカネさんが死んでしまう死因を作った奴が現れ…
オツユウ学園のみんな、逃げてぇぇぇぇぇ!!!!


>>(六х・)さん
凪さんは、策士なのか、それともガチで気づいてないのか
どっちでも美味しいですが、
男前な凪さんとハヤトくんごちでした(^-^)/
そして冬也くんかわいいなぁ…

842サト:2011/03/24(木) 10:14:48
うちの子『スイネ』闇音流さんの『ミオ』ちゃん
本家『コウスケ』お借りしました!




『おはよう。今日は寒いわね』

『…?!』

『何でそんなに驚くの?』

今日はめずらしくも雪が降っていて
いかせのごれはさらにその寒さを増していた
教室には何人かの生徒がいたけれど
その大体がグループとして固まっていて
私のように一人で教室の端に座っているような存在は
影も薄くて普段話しかけられることは無い
だというのにこの女は
私に話しかけた…?

『なんで私に…』
『近くにいたからよ』
『何故見えた?』
『あなたってまわりから見えないようになっているの?』
『いや…そういうわけじゃ』
『変なこと言うのね。ミオさんは』
『………!』

ガタン!と自分らしくもない動揺からなる椅子を揺らせる音を
教室中に響かせてしまったけれど
だれひとり振り返ることはない
ほら、私の影の薄さといったらこれだ。だというのに
なんだこの胸がざわつく感覚は

『警戒の色』
『あたりまえだ。何のつもりだ』
『べつに何か打算があって話しかけてるわけじゃないわ』
『気味が悪い』
『あなたって』

目の前の女の瞳はとても冷たくて
『少し自意識過剰じゃないかしら』

この腹の底から沸き上がる感情は
怒り、だ

バシン!とその女の頬を平手で殴り飛ばす
その音にはさすがに反応したクラスメイトは
真っ赤になった女の頬をみてぎょっとした

『す、スイネ?!』
『大丈夫よコウスケ』
『いや、てゆーか女の子が顔怪我したらだめだろ!あーあー真っ赤にしやがってよ…』
『……』
『あれ、こいつ……えっと』
『ミオさんよ。クラスメイトでしょ』
『あ、あー。そうだったっけ』
『黙れ!』

何故私を周りと対等に見る
何故私を…私を!

『自分が特別だって思ってるの?』
女が私の耳元で囁く
その表情は、いままでのはりつけた
余裕そうなそれではなかった、

『昔のわたしと、同じね』





似た者同士
(スイネ)
(“あのとき”以来はじめて覚えた誰かの名前)

843大黒屋:2011/03/24(木) 21:33:47
さっさと決着をつけようとした結果ですごめんなさいorz
紅麗さんの「高峰 利央兎」、びすたさんの「ロゼ」、スゴロクさんの「クロウ」、名前のみ本家様の「ホウオウ」をお借りしました。

決断と勘違い

「秋山春美がアースセイバーかもしれない?」
リオトの意外そうな声に、クランケはうなずいた。
「どこからそんな情報を?」
「俺は怪盗。ちょっとしたものなら簡単に盗みだせる。」
「そんな派手な服でか?」
「目立つのが怪盗の美学だと教わったんでな。」

ホウオウのアジト内でも人通りの多いメインフロア。
クランケはわざとここを選び、情報を公開した。
…といっても、それは単なる出まかせだ。
あんな小さな女の子が、アースセイバーなはずがない。
そもそもアースセイバーから情報を盗むなんて命がいくつあっても足りない。

「だからあのまま置いておくのもこちらの不利になるんじゃないのか?」
「…確かにな。分かった。上への説明は俺がつけておく。」
リオトは踵を返した。
「地下牢に秋山春美はいる。お前が連れ出し、適当なところに捨ててこい。」

人間を「捨てる」なんて言い方、ホウオウ位にしかできないだろう。
言い訳つけてなんとか穏便に春美を逃がすことにしたはいいが、ばれた後どうするか一切考える余裕がなかった。
やけに冷える暗い廊下を、探るようにあるいていく。

「…あれ、人こない?」
少し遠いところから声が聞こえた。か細い、女の子の声だ。
つまり、あそこに秋山春美がいる。
はやる気持ちを抑え、とはいいつつすこし足早に、そちらへ向かった。

一つの牢の前にとまり、灯りを向ける。
隅の方にうずくまる女の子。
間違いない。彼女が、秋山春美だ。
春美はおびえたような目で、こちらを見上げた。

「…秋山春美、だな?」
「…はい。」
「お前を外に出せという命令が下りた。」
鍵を開け、中に入る。
冷酷な演技を保ちながらも、幼い少女の腕を引くのは少々力を加減してしまう。
そのまま裏口の階段を上がり、屋上に向かう。
誰もいないところから外に出、無事に寺まで送り届けるつもりだった。

…が。
「クランケ?なにしてるの?」
声にふりむき、血の気が引いた。
下級幹部一兵卒・ロゼだ。
肩書きは本人の希望で、実力はもっと上をいっていることは重々承知だ。
そして彼女の能力『アイコンタクト』。
眼が合うことでテレパシーのように自分の意志を飛ばすと同時に情報を奪う。
そして振り向いた際に一瞬だが眼が…!

「っ!;」
のがれるように逃げた…はいい。
すぐさま飛び降りたのも、想像の範疇。
ただ、春美のことを忘れていた。
真っすぐ地面に向かっていくのを、彼女は驚きと恐怖の混じった眼でみていたのだ。

「大丈夫だ。まってろ。」
懐に手を伸ばし、スイッチを探って入れた。
マントに鉄芯が滑り込み、組み合わさっていく。
マントがぴんと張られ、即席のグライダーに変化した。
そのまま落ちる直前に風に乗り上昇。ギリギリだったがまぁ、問題はない。

「…へぇ、嘘ついたの。リオトに…。」
飛んでいく白いグライダーを見ながら、ロゼは呟いた。
「この期に及んで、しかもこの時期に裏切るつもりなのかしら。」
彼女の口元は自然に上がっていた。
「まぁいいわ。リオトに報告に行ってこよう。」
まるで、これからの出来事を楽しむかのように。

844大黒屋:2011/03/24(木) 21:34:36
「…やられた;まさかロゼがいるとは…;」
春美を抱えながらも、クランケは落胆した。
おまけに仮面をつけ忘れていたことに今更気がつく。
幸い人通りの少ない場所を飛んでいるので顔が知られることはなかった。

春美が不安そうにこちらを見てくる。
忘れていた。何も言わずにつれ出して、落ちて、今飛んでいる。
なんて説明しようか、ええと…;

「いやはや、驚いたでありマス。まさか貴方が、ホウオウでありマシたとは…。」
真横から聞き覚えのある声。確か…。
「切り裂き魔…いや、キリ君、だっけか。」
「おや、ご存じでありマシたか。」
切り裂き魔…キリ。月光曰く「妖怪」だそうだが、成程道具なしで飛んでいるその姿はただものではあるまい。

「キリ君…知ってるの?」
春美が小さな声でいった。
「勿論。小生は彼に助けを求めたのでありマスから。」
「だからこうやって、君を送り届けてるんだよ。」
「悪い人じゃ…ないの?」
…まぁ、悪い人に相違ないが;

「交換条件を持ち込まれたんだ。はっきりいって苦しいものではあったけど。」
「それでもやってくれると思った次第でありマス。」
「…もしかして、最初から分かってた?」
「知らないのでありマス、仮面の端に彫られたホウオウのマークなんて。」
やっぱり、とクランケはため息を吐いた。

「…あの先。あそこにお寺があるの。」
やっと安心したのだろう。春美が遠くを指さした。
陰陽師の寺院ではあるが、規模はやや小さめ。それでも白い外壁と赤い瓦は、薄暗い中には目立って見えた。
このまま真っすぐ飛べばすぐだ。しかし。
「!…ストラウル跡地が…;」

3年前に壊滅し、ゴーストタウン状態になっているストラウル跡地。
人がいない分戦場に幾度もなった。
そして、建物が多いここは、身を隠すのにうってつけだ。

――ロゼに思考がよまれていたとしたら――

「…!」
前方から何かが飛んできた。しかも一つではない。
春美を庇う様に抱き込むと、それはマントを何箇所も突き破った。
バランスを失ったクランケは、そのまま跡地へ落ちて行った…!


「ってぇ…;」
春美を庇ったまま背中から転落した。
鉄芯も助けてダメージは減らせたが、それでも衝撃はとてつもないものだった。
なんとか起き上がるも、ふっと油断するとふらついてしまう。
「大丈夫?」
春美が心配そうに見上げる。クランケは笑顔を作ると、
「大丈夫だよ。」
と頭をなでた。

「見つけたぞ、クランケ。」
顔を上げる。そこにいたのは、クロウとリオト。
「ロゼから聞いた。アースセイバーとは、口からの出まかせ…だと。」
「…;」
銀色の眼を睨みつけ、リオトが一歩前に出た。

「春美を逃がして、何をするつもりだ。」
「…頼まれたんだよ、この子を助けてやれと。」
演技口調で話すが、手は春美の頭をなでていた。
「ホウオウの命令に反して、ただで済むと思っているのか?」
「ホウオウ…いや、違うね。」
気がつけば、笑顔を浮かべていた自分は、宣言していた。

「僕の長はギルティー・キングだけだ!その長を奪ったお前らは、僕の仲間でもなんでもない!!」

激しく音を立てて崩れるビル。
その土煙からクランケは、春美を抱えて飛び上がった。
リオトとクロウを見下ろしながら、今更自分の言動に後悔した。
しかし、どこかふっきれた感覚もあった。

自分の長は紛れもない、ギルティーキング。
「有罪王」を名乗りながら、弱い者を助け、強い者を挫いてきた。
孤児だった自分を見染め、居場所を与えてくれた長。
その長を消したのは、間接的ながらもホウオウグループだった。
一度口にして初めて分かったのだ。

自分の居るべき場所は、ホウオウではなかったと。

少し遠くの、比較的丈夫そうなビルに入り、春美をそこに下ろした。
「しばらくここで待ってて。絶対外に出てはいけないから。」
それだけ言い、自分はビルの外に出た。
クロウとリオトは、待ち構えたかのように目の前にいた。

「…分かってるんだろうな。相手が誰だろうと容赦はしない。」
「ああ。這いずってでも、彼女を送り届ける。」
みなまで言わなくとも、それで十分だった。

845大黒屋:2011/03/24(木) 21:35:18
手首を切ったリオトの血が、細いナイフへと形を変えて襲い掛かる。
誘導するように横にかわすと、追尾するように追いかけてきた。
「ち…。」
懐からメスを取り出し、時折弾きながら逃げる。
しかし、血のナイフは一向に減らない。
間は開くばかりで、クランケにとっては不利な状況に追い込まれていた。

一度止まって向き直る。
血を弾く手を一層速めながら、ゆっくりと近づこうと試みる。
「…今だ!」
一瞬の隙をとらえ、メスを2本飛ばした。
ダーツの腕にはかなりの自信がある。この2本は確実に、二人にあたるはずだった。

だが、あいてが悪かった。
放たれたメスが、空中で止まったのだ。
「!?」
「俺がいることを忘れていたわけじゃないよな?」
クロウの口が笑った。

メスの軌道が変わる。真っすぐこちらに向かってくる。
血を弾くことに精一杯になっていたクランケに、次のメスを取り出す余裕はなかった。
「しまっ――…!!」


眼の前を何かが通った。
足元に血のナイフとメスが落ち、攻撃がやんだ。
顔を上げると、リオトが地面に押さえつけられていた。
クランケは、押さえつけている彼の名を呼んだ。
「キリ!」
「間にあったのでありマス。」

切った側の手首を足で押さえ、片腕でリオトの首を押さえている。
骨と皮だけかと言わんばかりに細い腕は、予想に反してものすごい力らしい。
「っ…この!」
手首の血が細く鋭く変形し、キリの足を狙う。
それに反応したキリはリオトを離し、後ろに飛びのいた。

「キリ、大丈夫か?」
「ええ。貴方のほうは?」
「背中を強く打ったが問題ない。」
「さようですか。」
前髪の奥で、彼が微笑んだような気がした。

「小生が片方受け持ちましょう。」
「えっ…いいのか?」
「勿論。貴方は主の恩人でありマスから。」
キリは背中に手を伸ばし、いびつな形をした大きな鋏を取り出した。
「それに、貴方の『答え』、しかと聞き入れたのでありマス。」

――ホウオウは仲間でない。
口をついて出たその声が、答えだというのなら。

「…僕はどっちを相手すればいい?」
「能力として厄介なのはそちらの血の色の髪の方でありましょう。そちらは小生がうけもちます。」
「分かった。じゃあ僕はリオトだ。」
クランケは再びメスを構えた。

「…ごめんね、僕のミスでこんなことになってしまって。」
「いいえ。寧ろ小生は、貴方自身の決断がうれしいのでありマス。」
それだけかわし、真っすぐ突っ込んだ。

846大黒屋:2011/03/24(木) 21:36:11
軌道を曲げる、クロウの能力。
それは妖怪とて例外ではないらしい。
キリのふるう鋏を、軌道を操ることでよけることなくかわしていく。
「…やるでありマスな。」
「やる?俺はなにもやってないな。」
「それはまた。ずいぶんと役に立つ能力でありマスね。」

鋏の死角で爪を立て、隙をついて前に突き出す。
しかしクロウが反応し、その手を受け止めた。
「なっ!」
「死ね。」
拳銃を抜き、眼の前に向けた。

「…簡単には死ねないのでありマス。」
鋏を握っていたはずの手が、クロウの手をとらえ、拳銃ごと持ち上げた。
そのまま地面に抑え込み、「口にくわえた」鋏を開き、首を挟む形ですれすれに突き刺した。
勝利を確証したほんの一瞬の油断のうちに、形成は逆転されたのだ。

「…!?」
「やはり人間というのは、下等なものでありマス。」
鳩尾に突きを一発。
気絶したのを確認し、キリは鋏を抜いた。


赤と銀が火花を散らす。
接近戦へともつれこんだクランケとリオトは、一進一退を繰り返しながらも接戦を繰り返していた。

「ホウオウ様はお前の長じゃない?どの口がそう言っているんだ?」
「僕ははっきりいってるね。僕はホウオウを選んだんじゃない。ギルティー・キングを選んだんだ。」
「そのキングはホウオウを選んだんじゃないのか?」
「そうかもしれない。でも!」

刃先を下に押さえつける。
「「あの時」…確かに長は泣いていた。本心から望んだことじゃなかったんだ!」
片手はメスを離し、思い切り殴りかかった。
バランスを崩したリオトにたたみかけるようにメスを振り上げる。
負けじとリオトも血のナイフを首に突き付けた。

無言のせめぎ合いがおこる。
お互い少しも動かなかった。
「…本当は、こんなことしたくないんだよ。」
「は…?」
「でも、何度言っても、ホウオウは分かってくれないだろう?穏便にことが進めば、僕はホウオウから抜けようとも思わなかった。」

気がつくと、クランケの頬が濡れていた。
「殺したくないんだよ。もう、誰も…!」
銀の眼を赤く腫らし、クランケは叫んでいた。
「僕は、ホウオウと違う方法で、世界の合理化を目指す!誰も泣かない、死なない、笑顔になれるような世界を、作ってやるんだ!!」

懐から取り出したのは、注射器。
その針はリオトの切られていない手首に突き刺さった。
リオトは足から崩れ落ち、倒れ込んだ。
クランケはメスをなおし注射器を引き抜くと、切られていた手首の傷に、持ち合わせていた絆創膏を貼り付けた。

847大黒屋:2011/03/24(木) 21:37:52
「…このへんに寝かせておけば、ホウオウの誰かがひろってくれるよね。」
広間に二人を寝かせ、クランケは呟いた。
敵味方関係なく傷の処置は既に彼がやっており、応急的なものだが命に別条はないという。
…正直な話、キリにまで現代医学が通用するかどうかは疑問だったが。

「…よし、春美さん、いこうか。」
「はい。」
春美の手を引き、クランケは歩き出す。
勿論後ろからキリもついていく。

「はぁ。これからどうしよう。住むとこなくなっちゃったわけだし;」
「おじいちゃんに頼んで、泊めてもらおうか?」
「いや、いいよ。友人に相談してみる。…しかし、アースセイバーに入ったなんて出まかせ口にしてなきゃ…?」

「え?私、入ってるよ?」

「…は?」
「入ってるよ。妖怪絡みだったり、必要なときは出動してるから。」
「えええええええ!!;」
口からの出まかせは間違いではなかった。
つまり向こうは自分の言葉を勝手に嘘だと解釈し、襲ったのだ。
そう考えると、全身から力が抜けた気がした。

「なんてこった…。余計なこと言ったんだ、僕は…orz」
「まぁ、いいでありましょう。自分の目指してるものを、改めて認識できたのでありマスから。」
気楽そうにキリは言う。
「キリ、これ人間にとっちゃ大問題だからね;」

「…お兄さん、ありがとう。」
ぽつりと春美は言った。
「私ね、ずっと暗い世界に閉じ込められて、大人のいいなりになるのが怖かったの。でも、それをお兄さんは助けてくれた。」
「それは…キリに頼まれたから…。」
「それでもいいの。」

「今度、お礼がしたいの。もし気が向いたら、寺院に来てほしいな。」
春美は笑いながら言った。
その表情のとてもうれしそうなこと。
クランケも微笑み、もう一度、春美の頭をなでた。

「…こちらこそ、ありがとう。」



追記
「…ていう経緯だからって、何も私らの事務所に居候すんな!ただでさえ二人で精一杯なんだよ!!」
「星殿、落ちつくぜよ…;」
「やむを得ないんだ;許してくれ、星…;」

848闇音流:2011/03/24(木) 22:28:31
以前の過去小説に対し感想をいってくれた方々ありがとうございました…! 実はまだ全部よみきれてもないし
返事も返していないのでちゃんと読み直すつもりです。

ではサトさん宅のスイネ様お借りいたします




『昔のわたしと、同じね』


 ――スイネ

 あの時以来……初めて覚えた人の名前。
 

 初めて俺は、人に手を出した。
 こんな事をするほど器は小さくなかったはずだった。それが胸の辺りから湧き上がるふつふつとした怒りの感情に、気づいたら相手の頬を張り飛ばしていた。
 …………なんてことを。

 これじゃあ……これじゃあまるで俺は。あいつの言い分に図星になったかのようなそんな……。

 違うあいつは……
 あいつの態度は気に入らない奴を見るような、そんな感じだった。言い方も言い分も……

「…………胸糞悪い」

 屋上で一人そう呟いた。空を見上げながらぼそっと呟いたその瞬間肩をつかまれ後ろに振り向かせるようにさせられ
 驚いたように相手を見据えると、そこには先日俺が間違いなく頬をひっぱたいた女がそこに立っていた。
 すると俺の首をいきなりガッと掴み、地面に倒すように力をいれたらしい相手の行動に抵抗する暇もなく地面に伏せられ首を軽く絞められる

「……!」
「驚いてるの?」

 と相手は無表情のまま問うてくる。
 その無表情さの顔に影が重なり、眉間に皺を寄せる。

「俺に何をする気だ」
「見ればわかるでしょう」
「……」
「貴女は自分を特別だと思ってるんでしょう?」

 ギリ、と首に爪がたてられるような感覚に眉間に皺を寄せるが何故だろう。麻痺しているのかあまり痛くない。
 相手の口元の動きを見ながら言葉を聴いていたミオは目をゆっくりと細め冷や汗を流した。

「だったらその特別な力で私を止めてみたら?」
「……!?」

 コイツ……
 何言って……

「じゃないとほら、どんどん力いれてくけどいいの?」

 と首を絞める力を強めているのが感じる。
 その言葉を聴いても相手の行動を見ても、相手の思惑なんかやはりなにもわからないからこそ、不可解で……不愉快で。
 特別特別特別って……

「特別、特別うるせェよ!!俺に特別なんてもんはもう存在しないし、いらねぇし!お前は何をしたいんだ、関係ないだろう!」 

 と、気づいたら声をあげてた。その自分の体からでた大きな声に自分で驚いたように目を瞬かせ、その様子をみた相手は無表情のまま数秒
 俺を見据え、ゆっくりと首から手を離した。そして彼女はそのまま屋上をあとにしようとしたのをみて急いで起き上がった

「……ッ、待てよ!」
「……」
「結局アンタは……」
「貴女」
「……?」
「昔の私と一緒」
「……ッ」

 そういってそのまま去ったスイネという女に対してまたふつふつと湧き上がる感情が胸を蝕む。
 
 スイネ

 初めて名前を覚えた。
 とても、いい印象は持てない女

 スゴク、変わってる。

849スゴロク:2011/03/25(金) 00:02:04
大黒屋さんがクロウを使ってくれましたので。



午後10時、とある公園。

「ぬうう………」

任務失敗。その事実は、クロウにとっては重圧と言ってよかった。
捕縛していた少女・秋山 春美を虚偽の報告で逃亡させ、その幇助を行い、明確に離反の意志を表したクランケ・ヘルパー。
その始末に失敗したのは、全くもって自身の油断からだった。

(何なんだ、あいつは)

キリ、と呼ばれていた男。情報によれば奴も妖怪の類らしいが、それはこの際いい。問題なのは、奴相手に遅れを取ったということだ。決め手となる一撃を受け止めた時、勝ちを拾ったはずだった。
ところがあの男は、鋏を持っていた手で拳銃を逸らし、その鋏を口にくわえてこちらを地面に倒しこんで動きを封じる、というアクロバットをやってのけたのだ。
不可能ではない。が、著しく困難な業。

(……いかんな)

無様といえばそれまでだが、これまで通りの戦い方ではダメだ、とわかったのが唯一の収穫か。
殺されなかったのはクランケの意志だろう。

「まあ、いい。次の機会には、確実に――――」


「確実に、何ですの?」


「!!?」

聞き覚えのある声に慌てて振り返る。
そこで微笑を浮かべていたのは、透水の瞳に白雪の髪を持つ、少女。

「火波 アオイ……!」

天敵と言ってもいい女子高生が、そこにいた。

850スゴロク:2011/03/25(金) 00:06:15
「ごきげんよう、鴉さん」

にこやかな挨拶に、クロウは答えない。答える謂れもなかったし、以前の遭遇では人を馬鹿にして去って行った、喰えない女。今度は何のつもりか。
と思っていると、彼女はとんでもないことを言った。

「患者さんと妖怪さん、取り逃がすどころか返り討ちに遭ったそうで。酷い手際ですわね」

ついこの間起こったばかりの、クランケの件についてだった。

「貴様……それをどこで!?」

くすり、と笑い。

「事実があれば、それを知っている人間はいるものですわ」

クロウの知る限り、この少女とクランケ、及びそれを取り巻く人間に接点はない。では、どこから知った?

「裏切り者がまだ……!?」
「あらあら、邪推は禁物ですわ。ホウオウグループはそういう組織でしょう? ……それとも」

アオイの笑みが、急に冷たい色を帯び。

「そんなだから、あなたは組織から浮いているのですわね?」
「! ……余計な世話だ」
「あら、つれないこと。でもあいにく、わたくし世話好きなもので」

表情を元に戻し、ころころと笑うアオイ。仮にもホウオウグループの幹部を目の前にして、大した度胸ではある。が、クロウにとっては苛立ちでしかない。

(……度胸だけは買うが、無謀に過ぎたな)

今回は目を見てはいない。認識を操られる心配はない。いつぞやの借りも、ここでまとめて返す。
さりげなく、袖に仕込んだ拳銃を取り出し、照準して引き金を


「僕の妹に何するんだ?」


引けなかった。背後から突然蹴り飛ばされ、たたらを踏んでしまったからだ。視界が戻った時には、既にアオイの姿はそこにはなかった。振り返ると、

「アオイ、何してるんだ、こんな時間に。探したぞ」
「ああ、姉様。ちょっと、お話をしていたのですわ」

嬉しそうに笑うアオイの隣で、少しばかりの呆れを混ぜた苦笑を浮かべている火波 スザクの姿があった。
以前から、幾度もホウオウグループの活動を阻んで来た、人間兵器の成り損ない。
――――他ならぬクロウが破壊した施設にいたらしい。まあ、今となってはどうでもいいことだが。

「貴様ら……」
「何だ、何か文句でもあるのか」

あからさまな敵意を向けて来るスザク。こちらとしても馴れ合う気はない。
と、

「ん?」

微妙な違和感……気付いた。白かったはずの髪が、戦闘中と同じく真紅に染まっている。
向こうでもその視線に気づいたのか、フ、と笑い。

「これか? この間からこうさ。まあ、僕としては元に戻っただけなんだけどな」

やや自慢げに言った。その表情が、一瞬で元に戻り、

「さておき、今アオイを撃とうとしたな?」
「敵を排除しようとしたまでだ」
「そうか? なら、僕もそうしようかな」

右手を握り、身体の前に持って来るスザク。幻龍剣を呼びだす体勢だ。が、

「姉様、その必要はありませんわ」
「え?」

隣のアオイが、やんわりとそれを止めた。

「姉様の刃を、このような薄汚い鴉の血で穢すことはありません。どうせ何も出来ないのですから、放っておけばよろしいのですわ」
「!!」

湧きあがった怒りにまかせ、銃口を向ける。が、その前に、スザクは静かに龍義鏡を展開していた。

「気が短くないか、あんた?」
「所詮、こんなものですわ」

姉妹揃ってフ、と笑う。全く以って不愉快な2人だ。
とはいうものの、冷静に考えて見ればここでの戦闘はリスクが大きい。どうもアオイが出て来ると自分は冷静さを失う傾向にあるようだが、今回はそれに敗北の重圧が重なって判断力が落ちていたようだ。……というか最近、夜の警戒や緊急の呼び出しが多く、ろくに寝ていない気がする。

「…………」

理解した途端にどっと疲労が襲ってきた。拳銃をしまい、踵を返した。
背中にアオイの嘲笑が降って来る。

「あらあら、逃げるのですか? 臆病ですこと」

そんな彼女を、スザクが嗜める。

「……アオイ、ちょっと容赦なさすぎないか?」
「何を言いますの? 姉様から全てを奪った者たちですのよ、これくらいは当然ですわ」
「…………」
「あ、その、もちろんトキコさんは違いますわよ? 姉様の大事な方ですもの、ね」

何なんだ、一体。そんなことを思いながら、クロウはその場を去った。



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最終更新:2011年05月24日 20:43