コージュンボン級戦車揚陸艦(アリゲーター型)

※上記の広告は60日以上更新のないWIKIに表示されています。更新することで広告が下部へ移動します。


▼3番艦「香炉峯」(LST-683)

性能緒元
基準排水量 2,600t
満載排水量 4,278t
全長 112.5m
全幅 15.3m
喫水 3.1m
主機 ディーゼル 2軸
  SEMT-PL 16PA6-V280 2基(12,800馬力)
速力 16kts
航続距離 4,500nm/12kts
乗員 120名
兵員 240名

【搭載部隊】
搭載車輌 戦車 12輌
揚陸要員 - 350名
搭載能力 - 690t(ビーチング)/1,700~1,800t(物資輸送)

【兵装】
近接防御 KCB 30mm連装機関砲 1基(1番艦)
  40mm単装機関砲「露蜂」 1基(2~4番艦)
  シーヴァルカン20mm機関砲 2基

【電子兵装】
対水上レーダー SPS-54 1基
チャフ KDAGAIE Mk2 2基

コージュンボン級戦車揚陸艦(LST-I型/アリゲーター型)は、旧式化したウンボン級戦車揚陸艦とタエ・チョ級中型揚陸艦(LSM-1型)を代替する為、韓国タコマ造船所(米タコマ社との合弁会社。現在の韓進重工)で建造された。

韓国海軍では1980年代に揚陸艦艇戦力の近代化を計画し、その第一段階として米国製LSTを更新する新型LSTを国産する「LST-I」計画を立案した[2]。このLST建造計画を受注したのが韓国タコマ造船所であった。韓国タコマ造船所ではフランスの設計によるアリゲーター型LSTを建造・輸出しており、LSTの設計・建造に関する経験を積んでいた事が受注獲得に有利に働いたと見られる。LST-Iの設計はこのアリゲーター型をベースに行われている(そのため、コージュンボン級もアリゲーター型と呼称される事がある)。1987年から設計作業が開始。1990年に一番艦が起工され1993年に竣工、公試を行った後1994年に韓国海軍に就役し「高峻峯(コージュンボン)」(艦番号LST-681)と命名された[2]。

【性能】
コージュンボン級のサイズは、基準排水量2,600t、満載排水量4,278t、全長112.5m、全幅15.3m、喫水3.1m。機関はCDDAD方式で、SEMT-PL 16PA6-V280ディーゼルエンジン2基を搭載し、出力は12,800馬力。推進軸2基を備え、最高速力は16kst。航続距離は12ktsで4,500nm。艦固有の乗員は120名[2]。

設計では、アメリカのLST(Landing Ship Tank:戦車揚陸艦)を範にとり艦首にはビーチング用のバウ・ドアを備えている。米LSTと異なるのは、艦尾には水陸両用車両(KAAV-7)用のスターン・ランプを持つ事である。ウンボン級ではビーチングしないと車両の展開が出来なかったが、スターン・ランプを活用する事でKAAV-7を洋上発艦させることが可能となった[2]。艦内の車両甲板は全通構造で、エレベータを使用して上甲板にも物資や車両を搭載する[1][2]。車両甲板後部には艦内スペースを有効活用するため直径6.1mのターンテーブルが設けられており、車両の転回に使用される[1]。

艦橋構造物は艦中央部からやや後方に配置されており、揚陸作戦を指揮するための作戦指揮所が設けられている[2]。煙突両側面のダビットには計4隻のLCVP(Landing Craft, Vehicle, Personnel:車輌兵員揚陸艇)が搭載される[1]。艦後部にはヘリコプター甲板が設けられており、ヘリコプターを使用したヴァートレップ補給、乗艦している兵員の空中機動が可能となった。ただし、格納庫は装備されておらず固有の艦載ヘリコプターは搭載しない。

コージュンボン級の輸送能力は、兵員350名、K1戦車は12輌、KAAV-7水陸両用装甲車なら14輌を積載し得る。物資輸送任務に使用した場合、最大1,700~1,800tの積載能力を有しているが、ビーチングの際には積載量は690tに制限される[1][3]。

【武装】
コージュンボン級は、自衛用に2種類の近接防空火器を搭載している。一番艦「高峻峯」は艦首楼にKCB 30mm連装機関砲1基、ヘリコプター甲板直前の両舷にシーヴァルカン20mm機関砲2基を搭載していたが、二番艦以降は30mm機関砲を国産の40mm単装機関砲「露蜂」に変更された[2]。40mm機関砲の管制はセレニアSelenia NA18射撃統制装置とWCS-86光学照準装置によって行われる[2]。WCS-86はレーダーやジャイロ、各種センサーや風速計などと連動して、艦砲を自動制御する小型艦艇用照準装置。悪天候下でも、2目標を同時追尾して艦砲を遠隔操作することで、対空・対水上目標を正確に射撃する能力を有している。シーヴァルカンは砲塔内部の砲手により制御・射撃が行われるが、本格的な近接防空システムでは無いために対空能力には限界がある。

【就役後の状況】
コージュンボン級は1994年に就役した「高峻峯」に続いて1999年までに合計4隻が建造された[1]。

韓国海軍の揚陸艦艇整備計画では米LSTの代替として国産LSTを建造する「LST-I」計画に続いて、米ニューポート級LSTを輸入する「LST-II」計画、ヘリコプター搭載中型揚陸艦2隻の国産を行う「LST-III」計画を構想していた[2]。しかし、その後の見直しによりニューポート級の調達は見送られ紆余曲折を経て国産の4,500t級LSTを建造する方針に変更、「LST-III」は艦形を大型化した多用途強襲揚陸艦ドクト級ドック型揚陸艦(LPX)として発展的に解消される事となった[2]。

当初、ウンボン級LST8隻が全艦退役するのに合わせて4隻のコージュンボン級が追加建造される予定だったが、「LST-II」計画艦4隻の調達に変更されコージュンボン級の追加建造は取り消された。

3番艦の「香炉峯(ヒャンロンボン)」は2004年12月のスマトラ沖地震の際に、救援物資を積んでインドネシアに派遣されている。また、1999年に韓国が国連の東ティモール平和維持活動(UNAMET)に参加した際にはコージュンボン級が韓国軍部隊の輸送を担当しており、港湾施設が十分でない状態でその着上陸能力を生かして物資や人員の揚陸を行っている[4]。

コージュンボン級のタイプシップとなったアリゲーター型LSTはインドネシアに6隻(テルク・セマンカTeluk Semangka級。満載排水量3.750t)、ベネズエラに4隻(カパナCapana級。満載排水量4,070t)が輸出されている[5]。ただし、両級とも輸出先の要望に応じた設計変更が施されており、各部にかなりの相違点が有るので純粋な同形艦とはいえない。

1番艦 高峻峯(コージュンボン) ROK Kojoonbong LST-681 1994年就役
2番艦 毘盧峯(ビロボン) ROK Birobong LST-682 1997年就役
3番艦 香炉峯(ヒャンロンボン) ROK Hyangrobong LST-683 1999年就役
4番艦 聖人峯(サングンボン) ROK Sungoonbong LST-685 1999年就役

▼艦首のバウ・ドアを開いてK1戦車を揚陸する「聖人峯」
▼KAAV-7の発進準備を整えるコージュンボン級3隻
▼艦後部のスターン・ランプから次々にKAAV-7を発進させる「高峻峯」と「毘盧峯」

▼「香炉峯」の艦首。バウ・ドアが開いている。
▼「香炉峯」の後部。
▼艦中央両舷に搭載されているLCVP。速力9ktsで、3トンまでの車輌もしくは兵員36名を輸送できる。
▼艦前部の車輌露載デッキ。
▼艦後部のヘリコプター発着甲板。両舷にはバルカン砲2基を装備している。

▼車輌デッキ内部とエレベータ。
▼車輌デッキ後部のターンテーブル。50トンまでの車輌に対応している。

【参考資料】
[1]世界の艦船2009年1月号別冊 世界の揚陸艦(NO/701)(海人社/2009)88~89頁
[2]어둠의상인 홈페이지「고준봉급 상륙함」
[3]Global Security「Kojoonbong (Alligator) LST」
[4]서울신문「[기획 한국군 무기 49] 해병대와 함께 간다! 고준봉급 상륙함」
[5]世界の艦船2009年1月号別冊 世界の揚陸艦(NO/701)(海人社/2009)107、132頁
[6]R.O.K joint chiefs of staff
[7]Kojii.net
[8]DefenseNews & C4ISRjournal


2010-10-24 14:40:08 (Sun)