KARI(Korea Aerospace Research Institute:韓国航空宇宙研究院)とKAI(Korea Aerospace Industries:韓国航空宇宙産業)で開発された多目的偵察衛星。国産化率は約80%で、ロシアの技術が多く使われている。国土開発のための地理情報や資源観測などに使用されるが、軍事的にも利用可能だ。
アリラン2号は上空685kmから地上の動く車輌を識別可能な解像度1m級のカメラを搭載している。観測幅は15km、白黒1ch、カラー4chで、このカメラはイスラエルのELOP社と共同で開発されたといわれる。韓国衛星開発専門企業Satrec Initiative社の地上局を設置する事で、収集した情報をリアルタイムで受信、処理する事が可能。このアリラン2号用の地上局は、他国のものより70~95%も安いという。SI社の朴社長は「1999年から海外の4企業が1m級の衛星映像ビジネスを展開しているが、市場展望を過大評価したため商業的に失敗した。アリラン2号はこうしたことを教訓に市場を開拓してゆきたい」と語っており、3年間で最大2,700万ドルの販売を見込んでいる。SI社は2003年に北朝鮮・竜川(リョンチョン)で起きた列車爆発事故の写真を提供した事で世界中に知られており、韓国の偵察衛星だけでなくIKONOS(米)、Quick Bird(米)、Envisat(欧)などの映像販売及び販売代行なども行っている。アリラン2号が提供する画像は仏Spot Image社によって海外販売される予定。
アリラン2号は2006年7月28日、ロシアのプルセック発射基地から打ち上げられた。ロシアの打ち上げ施設は信頼性が低いが価格が安く(露:120億ウォン、米:300億ウォン)、やむなくロシアから打ち上げられた。韓国は全羅南道高興のウェロナ島にロケット発射場を建設中で、2007年末に完成予定。アリラン2号は685km上空の衛星軌道に無事到達し、数度の無線交信にも成功して計画通り機器が作動している事が大田市のKARI衛星総合管制室で確認された。今後2ヶ月をかけて搭載カメラの試験や衛星本体の動作検証が行われた後、本格運用が行われる予定。アリラン2号は毎日地球を14周し、北朝鮮などの重要施設を偵察する。
アリラン2号は高度685kmの太陽同期(98.6分)軌道を傾斜角98.1度で周回しており、回帰日数は28日。高さ2.6m、幅1.85m、重量800kgである。搭載している高解像度カメラは観測波長0.45~0.92μmで、1回の観測幅は15km。データの転送レートは最大32Mbpsで、90GBのデータ記憶装置を持つ。開発費用は約1億7,000万ドルで、うち5,000万ドルがELPO社に支払われたという。
【参考資料】
総覧 世界の地球観測衛星
News from Daedeok Valley KOREA
朝鮮日報
連合ニュース
2007-07-22 21:32:55 (Sun)
最終更新:2007年07月22日 21:32