M1985 37mm自走機関砲



性能緒元
重量 19トン
全長 6.5m
全幅 2.78m
全高 3m
エンジン ディーゼル 300hp
最高速度
航続距離
武装 37mm機関砲×2
発射速度 150~180発/分(1門あたり)
俯仰角 -5~85度
装甲 防弾鋼板
乗員 7名

M1985 37mm自走機関砲は、37mm連装機関砲をオープントップ砲塔に搭載した北朝鮮国産の自走対空砲である。M1985は、西側の呼称であり、北朝鮮での制式名称は不明。なお、Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007では本車の名称を「M1992-37mm (twin) self-propelled anti-aircraft gun system」としている。

M1985の主なスペックは以下の通り。重量19トン、全長6.5m、全幅2.78m、全高3m。300hpのディーゼルエンジンを搭載。本車の車体は、ソ連が1950年代に開発したATS-59砲兵トラクターを元にした「Tok-Ch'on」と呼ばれる北朝鮮製の装甲シャーシである。トクチョンは、北朝鮮が開発した各種自走砲のシャーシとして採用されている。1つのシャーシから各種派生型を開発することは、開発期間の短縮し、各車輌の共通部品を増やすことで整備性が向上、共通シャーシの量産で生産単価を下げるなど各種のメリットがある。乗員は、車体部に操縦手と車長、砲塔部に5名の計7名。

M1985の主兵装である、37mm連装機関砲はソ連の37mm対空機関砲M1939、もしくはその中国もしくは北朝鮮版であると見られている。北朝鮮は、1,000門以上の37mm機関砲を保有しており、同砲は北朝鮮軍の主要対空機関砲の地位を占めている。 M1985が搭載する37mm砲の発射速度は一門あたり150~180発/分で、最大有効射高2,500m、最大有効射程4,000~4,700m。照準は光学照準装置を使用し、レーダーや射撃統制システムは装備されていない。そのため、目標の早期発見は他の対空捜索レーダーからの情報に頼らざるを得ず、また夜間や悪天候時には運用が制限される。37mm砲以外の武装は搭載されていないが、北朝鮮の他のAFVと同じく、M1985も携行式地対空ミサイルを搭載し、必要に応じて乗員により使用されるものと推測される。

M1985は、自走化したことにより機械化部隊に随伴して部隊の防空を行うことが可能となった。その37mm砲は、対空だけでなく地上目標に対する直接照準射撃においても効果を発揮するであろう。しかしM1985の目視照準装置では、飛行速度の速いジェット機や地形を利用した回避行動を取る戦闘ヘリ相手には対応するのは困難と思われる。M1985は、対空システム単体として評価すると、その旧式化は否めない。ただし、対地攻撃を行う方からすると、旧式とはいえ対空車輌が随伴していれば、それに対する警戒を考慮しないわけにはいかなくなるため、戦力的に意味の無い存在であるとはいえない。

【参考資料】
Jane's Land-Based Air Defence 2006-2007(Jane's Information Group)
North Korea Country Handbook(MARINE CORPS INTELLIGENCE ACTIVITY/1997年)
軍事研究1994年9月号別冊 軍事分析第2次朝鮮戦争(ジャパン・ミリタリー・レビュー/1994年)

Global Security
JED The Military Equipment Directory


2008-10-01 22:29:33 (Wed)

最終更新:2008年10月01日 22:29