韓国先進歩兵システム計画


▼2007年に公開された韓国型先進歩兵システム

▼2005年秋にテレビで公開された韓国型先進歩兵システム。XAV(自律行動型無人装甲車)とともに公開された。

現在、韓国で開発中の先進歩兵システム。2005年にテレビで公開されたのは、従来の歩兵用個人装備にカメラと通信機器、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を単純に取り付けたような、全く洗練されていないものだった。しかし2007年5月の韓国国防情報保護会議の席上で公開された先進歩兵システムは、韓国紙が「まるでロボコップ!?」という題で報道するほどSF的な印象を受ける外観に変わっていた。この時の発表によればこの歩兵システムは、2020年頃から韓国軍に配備される予定だという。

この先進歩兵システムは、各種情報を眼前に映しだすヘッドマウント・ディスプレイや小型カメラを装備したフルフェイス型ヘルメット、GPSアンテナや各装備の電源となる燃料電池を装備したバックパック、身体に取り付けられた小型コンピュータなどから構成されている。周囲の背景に合わせて自動的に迷彩柄を変えるカメレオン型BDU(Battle Dress Uniforms:戦闘服)は、寒冷地や熱帯での行動を用意sにする為の温度調節機能や、NBC(Nuclear,Biological,Biological:核・生物・化学)防護機能を持っているという。使用する武器はアメリカのOICW(Objective Individual Combat Weapon:個人用戦闘火器)に似た複合ライフルで、小口径の小銃弾を発射するライフルと20mmクラスの擲弾を発射するグレネードが一つにまとめられている。20mm弾は敵陣地の空中で炸裂するよう設定が可能で、目標の自動追尾能力を持つ小型ミサイルのような物も発射可能になるという。この韓国型OICWの上部には光学照準器のほかに、レーザー測距器や暗視装置付きビデオカメラ、火器管制システムが装備されており、昼夜に関わらず目標を正確に射撃する事が出来る。またヘッドマウント・ディスプレイと連動させる事で、遮蔽物から身を乗り出すことなく敵を射撃する事も可能。2005年でのテレビ公開の際はXAV(自律行動型無人装甲車)と共にカメラに映っていたので、韓国軍は先進歩兵システムを装着した未来歩兵とロボットを同時に運用する事を想定しているものと思われる。

新型の歩兵用個人装具の開発は日本を始め世界各国で行なわれており、アメリカは既に第82空挺師団の一部などで実戦運用も行なっているという。韓国もこの流れに乗り遅れないよう、鋭意開発を進めていくものと思われる。

【2008.03.09追記】
韓国国防省は2008年2月末に、新型ヘルメットを2020年までに配備すると発表した。この新型ヘルメットは小型ビデオカメラやコンピュータを装備しており、材質は高密度ポリエチレンで高い防弾性能(1mの距離から発射された拳銃弾に耐える)を持っている。重量もこれまでの旧型ヘルメットより軽い。韓国軍は2016年までにこのヘルメットを配備し、さらに2020年までにGPSや長距離通信機能を装備した先進ヘルメットを開発する予定。前線の兵士のヘルメットから得た情報は指揮官にリアルタイムで送られ、状況把握と作戦推進を効率的に行なえるようになる。また戦闘服もポリエステル77%、レーヨン23%の組み合わせで赤外線の放射を減らした新型を導入する計画もある。この戦闘服の肘と膝には保護パッドが装備される。ほかに耐地雷戦闘ブーツや防弾ベストも開発される。

【2008.12.05追記】
韓国国防省は2008年9月4日、新型ヘルメットの開発を前倒しして2012年までに完了させ、2013年から一般部隊へ配備すると発表した。

【2009.03.07追記】
陸軍関係者の話によると、2013年から部隊配備される予定の新型ヘルメットは、2014~2020年にかけてさらに改良が加えられるとの事。防弾能力の強化に重点を置き、且つ重量を減らすために新型防弾セラミックを開発するという。

【参考資料】
朝鮮日報
Kojii.net
Defense-Aerospace


2009-03-07 22:29:57 (Sat)

最終更新:2009年03月07日 22:29