世界が永久(とわ)の冬に包まれない限り
季節は生まれ続ける
生き抜く者 息絶える者
織り成す一つの季節の物語
狩り獲られた畑 軋んだ<楡>の枝
描きかけの肖像 砕けた<カンテラ>
折れた剣 散った花
閉ざされた階段 焼け落ちた<教会>
晴れ過ぎた空は全てを照らす
何もない 誰もいない
あなたはそれが理だと言って旅立った
ずっと耳を塞いで俯いていた
蒼い空もなにも見ないふりをして
きっと 見てしまえば私もここから去ってしまうから
あの晴れた空を曇らせるほど私は哀しんではいない...
晴れた空は 何故か皮肉に
曇った心を晴らすほど光に満ちていた
ずっと忘れる事に怯えていた
壊してしまった日々に囚われていた
だけど 蒼い空は私をここから逃がしてくれた
廃墟すらも輝かせるほど空は勝手で優しかった...
剣と<カンテラ>は部屋の隅で眠り
肖像は描き加えられ飾られる
畑には誰かの手で種が蒔かれ
<楡>は新たな枝を伸ばし 花もまた芽吹く
<教会>は悲劇の記憶を留め
埋められた階段は土に還る
世界が永久の冬を望んだとしても
私はただ繰り返す
季節を抱き 季節を愛す
それが一つの命の物語
楡=ウルメ
カンテラ=ラテルネ
教会=キルヒェ
墓標=グラープ
最終更新:2006年12月26日 19:38