農夫の日課

夜明けと共に<収穫> 朝餉の前のひと仕事
白み始めた空は仄かに地上を照らす
麦穂の畑が震え 風になびいて実が一つ落ちた

麦達は狩られる事に怯えて口を噤む
熟した実は白く...白く...
握れば潰れそうにか弱くて

実を狩り獲られた<骸>は土に還され
けれど 芽吹く事はなく
散らかした<骸>は足元に纏わりつき
僕の靴はさくりとそれを踏みつける

何も狩らず生きられるのなら
誰が怯える事もないだろう
だけど 定められた飢えには
決して抗う事はできないのだから

夜更けと共に<収穫の相談> 明日の野良仕事の段取り
麦は早く狩り獲らなければやがて傷みだす
棘と毒が生まれる前に 全ての実を落としてしまわないと

月の夜は麦穂の波を蒼白く染め上げて
<収穫者>を迎え入れる
今宵も麦が一輪散っていく

実を狩り獲られた<骸>はただ哀れまれ
やがて 忘れ去られる
収めた実くらい覚えていてあげようか
記憶の底に<骸>の砂丘を積み上げて

嗚呼 <収穫>...<収穫>...
狩りきるまで終わらない
嗚呼 <収穫者>...<収穫者>...
<収穫祭>まであと幾日?


収穫=エルンテ
骸=から=殻
収穫の相談=フリューシュター=囁き
収穫者=シュニッター=調べ中
収穫祭=エピローグ


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最終更新:2007年02月06日 22:07
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