硝子のカンテラ

瞬く灯火の眼差しが見据える先
<カンテラ>はその光の外で
照らされる日を...ただ待ち望んでいた

届かない もどかしさに咽びながら
泥濘(ぬかるみ)で独り泥に塗(まみ)れる
霧に霞む世界 震えている光
吐息までもが霧になる

嗚呼...何て寒い世界だ
唯一僕らを照らす光さえも今
風が凍らせようとしている

冷えきった硝子の<カンテラ>
割れそうに脆い身を風に晒して
それでも守りたい光があるんだと
立ち向かう先は闇のような霧

目覚めたい 悪夢のような現実から
まどろみは絡みつく夜の声
白く煙った世界 未だ見果てぬ朝
灯火だけが熱を放つ

嗚呼...何て暗い世界だ
黒雲に閉ざされた闇に潜みながら
雨は人知れず襲いかかる

ひび割れた硝子の<カンテラ>
容赦なく降り注ぐ雨の下で
守りきれない無力さを嘆きながら
砕けまいと虚空に吐息を吐く

疑念の風が吹き荒ぶ...殺意の雨が打ちつける...
<彼女>をどうしても消すつもりなら
せめて <僕>を割ってから...

荒ぶる雨風を身を賭して受け止めて
<カンテラ>は初めて微笑んだ
この破片は...君の光の受けて
輝ければ...それだけで満たされる


カンテラ=ラテルネ
彼女=灯火
僕=ラテルネ=カンテラ


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最終更新:2006年12月24日 20:46
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