廃墟の吟遊詩人

旅の最中(さなか) 通りかかった寂れた村
誰もいない道の先 大きな建物に辿り着く

卓の片隅に置かれた<書物>
誰がいつ書き上げたのだろうか
七日間に及んだ悲劇の<真実>
在りし日の記録が綴られていた

声を嗄らせて<訴えられた真実>
読み解けば 読み解くほどに切なく
文字を辿る指先が時折触れる
その染みはきっと涙の痕

全ての意味 読み取れるほど聡くはない
読み違える事もある だけど僕は詠いたいんだ

春告げ鳥にはなれないけれど
僕は廻り廻る渡り鳥
遺された<書物>から蘇る<真実>
囀りは廃墟に色を与える

聴いておくれ これから詠う<狂詩曲>を
苔と眠る<墓標>よ 無残に焼け落ちた<教会>よ

昼を侵し 古き夜を呼び起こすように
君達にとってこの詩が 懐かしきものでありますように


書物=ブーフ=buch=本
真実=物語
訴えられた真実=詠われた物語
狂詩曲=ラプソディ
墓標=グラープ
教会=キルヒェ


...back to Project?
最終更新:2006年12月24日 20:44
|新しいページ |検索 |ページ一覧 |RSS |@ウィキご利用ガイド |管理者にお問合せ
|ログイン|