ウィラ・キャザー
(Willa Cather)
(1873年~1947年)
略歴
ヴァージニア州出身の女流作家。9歳の時に開拓後まもないネブラスカ州のレッド・クラウドに移り住んだ。しかし田舎町の偏狭さと退屈さに嫌悪感を抱いた。ネブラスカ大学リンカーン校を卒業後、ピッツバーグで高校教師となった。その後、ニューヨークで雑誌編集者をする傍ら創作に励み、作家となった。地方主義作家
セアラ・オーン・ジュエットと出会い自分独自の世界を発見するようアドバイスを受けたことで、中西部へと回帰した。1923年にピューリッツァー賞を受賞。
作品
『四月のたそがれ』(April Twilight,1903)は詩集。『トロールの庭』(The Troll Garden,1905)は短編集。
『アレクサンダーの橋』(Alecander's Bridge,1912)は処女長編。ロンドンを舞台に、中年のアメリカ人技師が妻と昔の恋人との三角関係に悩む姿を描いた。
『おお、開拓者たちよ!』(O Pioneers!,1913)は大草原を舞台にスェーデンからの移民した女性ら開拓民たちの苦闘を描いた。『ひばりの歌』(The Song of the Lark,1915)はコロラド州の田舎の牧師の娘が、シカゴで音楽修行に励み、オペラ歌手を目指す物語。『私のアントニーア』(My Antonia,1918)はボヘミアから移住した女性が、広大な自然の前に挫折し自殺した父の後を継ぎ、ネブラスカの大草原も立ち向かっていく姿を描いた、作者の代表作。以上3作品を『大草原三部作』(The Prairie Trilogy)という。
『われらの仲間』(One of Ours,1922)はネブラスカの青年が、開拓農としての生活に嫌気がさし、戦火の欧州へと渡る物語。ピューリッツァー賞を受賞した。
『迷える夫人』(A Lost Lady,1923)は西部の小都会が商業文明に毒されることによって、開拓期の活気と志を失っていく姿を、1人の人妻の姿にたくして描いた。『教授の家』(The Professor's House,1925)は時勢に抗し切れない中西部のある教授を、『わが終生の敵』(The Mortal Enemy,1926)は我を通すことで破滅していく女性の姿を描いた。
『死を迎える大司教』(Death Comes for the Archbishop,1927)は19世紀半ばのニューメキシコの砂漠地帯を舞台に、欧州から布教のためにやって来た2人の神父が、孤独と苦難に耐えながら使命を達成し、そしてその地に建設された大聖堂で亡くなるまでを描いた。
『岩の上の影』(Shadows on the Rock,1931)は17世紀ケベックを舞台にした歴史物語。『暗い運命』(Obscure Destinies,1932)は平原を舞台にした中編集。
『ルーシー・ゲイハート』(Lucy Gayheart,1935)はネブラスカ出身の女性ルーシーが、音楽修行から恋人の死をきっかけに故郷に戻るが、その変貌に失望する物語。
『サフィラと奴隷娘』(Sapphirs and the Slave Girl,1940)は南北戦争直後ヴァージニア州を舞台に、奴隷の娘とその主人との友愛を描いた。
最終更新:2011年05月26日 15:43