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第一期
(~1885)

 この時期は主として国際テーマを扱っている。基本となるのはアメリカ人とヨーロッパ人の気質の違いである。この頃からジェイムズ作品の特徴である視点人物の固定と、表面的な出来事よりもその視点人物の心理の移り変わりを克明に描写する手法が見られる。これを視点の技法という。この時期の作品としては、ローマで修行する青年彫刻家が美女に翻弄され破滅する様を描いた『ロデリック・ハドソン(Roderick Hudson,1876)が初の長編である。
 『アメリカ人(The American,1877)はパリを訪れたアメリカの青年実業家を新しい文明の代表とし、彼は自ら(そしてアメリカ文明)に欠けている伝統と文化を求めてパリを訪れ、理想の美女クレールに出会う。しかし彼女の背後には腐敗した文明の暗部が隠されており、破局を迎える。
 『ヨーロッパ人(The Europeans,1878)はボストンからやって来たヨーロッパ化したアメリカ人が帰国することによって起こる一家のドタバタを描いた。
 また中篇では日本でも有名な『デイジー・ミラー(Daisy Miller,1879)があり、これはヨーロッパを訪れた奔放なアメリカ娘を描いている。
 この時期の最高傑作とされるのは『ある婦人の肖像(The Portrait of a Lady,1881)である。この作品ではイギリスに渡ったアメリカ娘が、自由な人生経験を求めたために有利な求婚者を退け、結果不幸な結婚をするが、それに立ち向かっていく姿を描いた。無邪気だった娘が、ヨーロッパの悪習に直面することで次第に成熟していく過程とその心理描写、及び性格描写を巧みに描いている。
 この時期の作品では他に『ワシントン・スクエア(Washington Square,1881)があり、ニューヨークの高名な医師があまり器量の良くない自分の娘が、気に入らない美男子に惹きつけられることに喰らい怒りを抱く。



最終更新:2008年08月12日 16:59