「ドリス大統領、それにニアラさんでしたか?ただ力任せに争うだけでは……
ゾウリムシと変わりありませんよ?私達は人間、そしてニアラさん達は私達を造った存在……
それならば、もっと知的に、平和的に、話し合いかそれに順ずるもので問題を解決するべきですわ」
カザンの東に存在するミロス連邦国……そのミロスの女王エメラダは、
未知の侵略者たる竜にも、英雄王にも臆することなく、平然とそう言ってのけた。
その発言に、名指しされた二名は僅かに眉をひそめるが、同時に思案する。
エメラダの計らいにより今この部屋には、惑星エデンの大国の主要人物全員、
そしてエデンの創造主たる真竜ニアラ、その仲間真竜ヘイズと配下の七体の竜がいた。
人間と竜……互いに、全ての駒を出した状況というわけだ。
そして人間代表、ドリス・アゴートは考える……
(いざ戦闘になったら……こちらに勝ち目はないか……そして俺はゾウリムシではない!)
竜代表、今回は早起きな真竜ニアラもまた考える……
(人間は家畜に過ぎぬ筈なのだが…このドリスという男はかなりできる。
後ろの頭に石を埋めた男もかなりの遣い手…そしてヒュプノスの生き残り……
神体でも厳しいかもしれんな……)
「「わかった……武力行使以外の方法を模索しよう」」
二人の代表者は声を揃えて握手を交わす。その後ろでプレロマ学士長が喚いていたが。
「まあ、ものわかりがいいですね。それでこそ知的生命体です。
それでは、その方法もいまこの場で平等にクジ引きで決めてしまいましょう。
異論はありませんよね?皆さん?」
女王エメラダの言葉に、誰も異議を唱えない。いや、唱えられないでいた。
この場は何かと黒い噂の絶えないミロス、その女王謁見の間。
下手に発言をしたら、何が起こるかわからない……それ故の異議なしなのである。
「なにがでるかな?なにがでるかな?なにもでないかも~っと」
そんな状況を理解しているのかいないのか、エメラダはノリノリでクジを引く。
とてもそうは思えないが、彼女が引くクジに、この星の運命はかかっているのだ。
もし『口の大きさ勝負』なんかだったら、人間はどうあがいても竜には勝てないでしょう?
「でました!」
エメラダは……箱に手をいれてから僅か一秒でクジを選んでしまう。
本当にこの人は理解しているのだろうか?色々と。
それは人間も竜も思ったことだが、口には出さない。今はそれより、クジの内容だ。
「えーっと…まぁ!【マージャン】ですわ!」
「「なん…だと…?」」
「「……ゴクリ」」
「「……?」」
人間も竜も、実に様々な反応を見せる。
それもそうだろう、そんな博打競技が…この星の運命を決めるのだから……
「えー…それでは人間…この星をかけたマージャンのルールを説明する」
顔を仮面で覆っているためわからないが、ニアラが何故か楽しげにルールの説明を行った。
~エデン争奪麻雀・詳細ルール~
ルール1・人間が勝った場合はエデンは永久に人間のもの。竜が勝った場合はエデン食い付くし。
ルール2・竜側は真竜ニアラとヘイズ、そして配下の七体の竜の計9人しか戦えない。
人間側はその三倍の27人まで戦える。戦える者がいなくなった方の負け。
ルール3・戦いの最中、竜の持つ『固有能力』の発動を認める。
ルール4・戦いは竜一人に対して人間三人で挑むものとする。通しも可。
ルール5・初期点棒は50000。
ルール6・点棒が0以下になった場合、戦闘不能。人間側は戦闘不能者が出た場合、
すぐさま次の人間を参加させること。(四人いないと麻雀ができないため)
ルール7・武力行使はご法度。知的に平和的にね?byエメラダ
ルール8・上記を守ればあとは好きにしてよし!
「以上がルールだ。人間、並びに我が配下の諸君、理解してくれたかな?」
ニアラがルール説明を終えて、マイクを定位置に戻す。
いよいよ、エデンを賭けた戦いが始まるのだ……
「大統領……妙に私達人間側が有利じゃありませんか?
こっちは9人倒せば勝ち、あちらは27人も倒さねばならないんですよ?
それも3対1…各自多面待ちをすれば楽勝ですよね…?」
「確かにな…だがメナスよ、ルール3の『固有能力』とやら…厄介そうだぞ……
竜の力に、人間の常識は通用しない。
豪運か、あるいは常軌を逸脱したイカサマか…なんにしろ要警戒だな。
それと俺達人間の猶予は24人までだ。25人やられた段階で、残り2人……
麻雀の続行が不可能となり、敗北となるわけだ。ところで、その人数は集まったのか?」
「はい!(多分)兵ばかりを集めました!これが一覧です!」
ドリス・メナス・エメラダ・グリフ・ソウゲン・リッケン・エメル・ファロ・ノワリー
ルシェ王・ジェッケ・バントロワ・セティス……各国主要人物計13名
ルシェファイター・金ナイト・ルシェナイト・ルシェローグ
黄ヒーラー・ルシェヒーラー・ルシェメイジ・若サムライ・おっサムライ
ルシェプリンセス・ジェン爺・ハノイ・ネストル・????……PC、NPCキャラ計14名
「我ら竜も最強のメンツだぞ?人間どもよ、我らに勝てると思うな!」
ニアラ・ヘイズ・キング・デッドブラック・インビジブル・ジ・アース・トリカラード
リブロドラゴニカ・ドラゴアンゼラ……真竜+帝竜+最上級竜計9名
人間と竜、星を賭けた戦いの鍵を握る総計36名の戦士……
彼らは一体、どのような闘牌をするのか!?
「竜側、一番手は私、黒帝竜デッドブラックがお相手します。どうかお手柔らかに……」
「ならばこちらはソウゲン・リッケン・ルシェヒーラーの三人が相手だ!」
ついに、その戦いの火蓋がきっておとされた……!!
「ロンです!12000…リッケンさん、トビですね」
「無念……」
人間と竜の戦いが始まり、しばらくの時が流れた。
今現在、人間側の戦況は……最悪だった。
たった今デッドブラックに振り込んでしまったリッケンは、持ち点がマイナスとなり退場。
その前に既に残りの二人も全ての点棒を吐き出して退場してしまっている。
……人間側は早くも三人の兵を失ったのだ。
対する竜、デッドブラックは持ち点が異常である。
何しろ元々多い点棒を三人分丸ごと取り込んでいるのだから。
(このままではまずいな……)
戦況を眺めていたドリスは、爪を噛みながら状況を整理していた。
今デッドブラックの持ち点は軽く20万を越えている。
儚く散った二名の代わりに戦いに参加した桃髪の戦士と金鎧の騎士の持ち点は、
それぞれ16000と34000。配牌もいいとは言えない。
リッケンの代わりに戦いを引き継いだばかりのノワリーの実力はわからないが、
多分デッドブラックにむしり取られてしまうだろう。
このままでは……人間は竜を一人も倒すことなく負けてしまうのは火を見るより明らか……
しかし絶対に負けるわけにはいかない戦いである。
そこでドリスは、ある賭けに出た。
「ニアラ……頼みがある」
「なんだドリスよ?」
「ひとつ、俺の要望を聞いてくれないか?……このままでは竜が一方的過ぎる。
「ふむ…確かにこうも一方的だと退屈だな。いいだろう……
貴様の要望にこたえてやろう。負けてくれ、以外ならなんでもこたえるぞ?」
「じゃあこの麻雀を脱衣麻雀にしてくれ」
「なんだそんなことか。いいだろう、この麻雀を脱衣麻雀に……」
「「なにいぃぃぃ!?」」
広いミロスの謁見の間に、竜と人間の見事な絶叫が響く。ニアラも例外なく叫んだ。
竜側は、驚きの絶叫。対する人間も同じ様な驚きの絶叫だったが……
一部の人間は…歓喜の絶叫をあげていた。理由は伏せておこう……
そして集まった人間と竜が絶叫をあげるなか、一人だけ表情を変えない者がいた。
その者は、今さっき卓についたノワリー。
彼は表情を変えずに…ただ目の前に座る幼さの残る黒髪少女――
卓の大きさの都合で人間の姿をとっている黒帝竜デッドブラックを――
眺めていた。ひたすらに。口の端を僅かに持ち上げて。瞳を狂気に染めて。
そして……鼻から血を流しながら…………
おまけの各竜固有能力
・ニアラ、ヘイズ…不明
・キング…固有能力『募り行く殺意』『王の威厳』
局を重ねる度に役の威力が勝手に上昇。ドラものりやすくなる。
ノーテンだった対戦者を問答無用で一発退場させる。抵抗は不可能。
・デッドブラック…固有能力『完全なる闇』
対戦者を疑心暗鬼にさせ、全ての牌を危険牌だと誤認させる。
・インビジブル…固有能力『瞬動』
一巡に一回、手牌と山牌を入れ替えられる(四牌まで)発動タイミングはいつでも可。
・ジ・アース…固有能力『ソウルプレス』
流局した場合、対戦者の点棒の半分を破壊して使用不能にする。
・トリカラード…固有能力『オールリセット』
その局を強制的に流局させる。発動タイミングは二巡目以降。
・リブロドラゴニカ…固有能力『風切羽』
牌の表面を削りとって白にすることができる。が、体力を消耗する。
・ドラゴアンゼラ…固有能力『秩序結界』『癒しの歌』
大いなる力で対戦者のあらゆるイカサマ行為を封じる。
一巡ごとにどこからともなく点棒1100点が自動追加される。
各人間固有能力…所有人数、能力共に不明。
最終更新:2009年09月25日 19:03