アットウィキロゴ
1.
その日はとても月の綺麗な夜でした。
ここはカザン近くの海辺です。
西の海へ傾いていく月を眺めながら私はぼんやりしていました。
さっきまでカザンの酒場で、いつもの通りみんなとお酒を飲んできたところです。
すっかり酔った私は、夜風にでも当たりながらのんびりしたいと思って酒場を抜け出してきたのでした。
今日は少し飲みすぎました。
だんだんと頭がぼんやりしてきて気持ち良いような…
だんだんと胃から内容物が逆流してくる感覚が気持ち悪いような…。
今日は月が綺麗なので、もうさっさとその辺りの岩影にでも胃の中身を吐いて、月明かりを浴びながら寝てしまおうと思いました。

思っていた以上に飲んでいたようです。
ぼんやりしているうちに、かなり酔いがまわったようで目がまわります。
私はよろよろと立ち上がり杖で身体を支え、大きな岩の方へ向かいました。

さぁ、吐くぞ〜っ…。

…しかし、胃の内容物は喉の辺りからゆっくりと胃へ戻っていきます。
まわっていた目もすっかり元通り、頭も急にスッキリしました。
それは、私の目の前のもののせいです。

それは一人の少女でした。
その少女は私が吐こうとしてた岩の影で横になっていました。
少女がこんな時間にこんなところで寝ているのも去ることながら、少女はお腹から血を流していました。
少女のお腹の辺りの砂は、すっかり血が染み込んで赤黒く染まっています。
…私は医者です、ヒーラーです。
こんな大怪我してる少女を放っておけませんでした。

「大丈夫っ!?」

私は少女の頬をぺちぺち叩き、服をめくりあげてみます。
ざっくりと切れた少女のお腹「いや、じゃないの。このままじゃ死んじゃうわよ」

私はささっと応急処置をしてあげました。
それから少女を抱えてカザンへ歩き始めました。

2.
私はカザンの診療所に少女を届けました。
それからふらふらとギルドハウスへ戻ります。

「ただいま…」

もう、みんな寝たかな?…と音を立てないように扉を開けます。
返ってきたのは「おかえり〜」という元気な声。
見ればハルカラちゃんがお酒を片手に手をぱたぱた振っています。
その足元にはモモメノちゃんが痙攣を起こしながら倒れていました。
酒場でさんざん飲んで来たのに、また飲み直していたようです。
私はしっぽを振りながら近づいて来たポチをもしゃもしゃ撫でてから、テーブルの上の水差しを取ります。

「途中でいなくなっちゃって、どこに行ってたのかにゃ?」

ホッケをつつきながらハルカちゃんが言います。
私は水をぐっと一飲み。
お水美味しい。

「海まで、夜風に当たりに行ってたの」
「にゃい。戻って来ないから心配してたんだよ、にゃい」
「ごめんね」

ホッケをつつきながらハルカちゃんが言いました。
そっか、心配してくれてたんだ…。
勝手に出てきて悪いことしたなぁ。

「ところで」

ハルカちゃんがホッケを置きました。
「誰か抱えて街に入って来たけど、あれは一体だれなのかにゃ? にゃい」

いつの間にか見られていたようです。
ハルカちゃんのルシェ耳はよく聞こえるそうなので、私の足音がギルドハウスを通りすぎて行くのに気づいたのでしょう。
ハルカちゃんは私の答えを待たずに、再びホッケをはもはもし始めました。

「海の方で女の子が大怪我をしていたの。診療所まで運んでから帰って来たのよ」
「そうだったんだ、にゃい。もっちゃんは良い子だねぇ、にゃい」

ハルカちゃんはにゃはははとご機嫌に笑いました。
私は「おやすみなさい」と言って寝室へ向かいます。
モモちゃんはまだ痙攣中です。

「にゃい。もう寝るのかにゃ? 話し相手になってよー…にゃい」

ハルカちゃんが少し寂しそうでしたが、私はもう寝ます。
ニアラを討伐、そして裏ダンジョン攻略…。
…あれから一年半。
しばらくの間は英雄だとちやほやしてもらっていましたが、さすがに今では平和過ぎてかえって暇なのでした。
世界各地のダンジョンも全て回り尽くしたおかげで、新しい冒険はありません。
おかげで私達は毎日、酒場に入り浸る日々を過ごしていました。

4.
朝です。
私がお茶を沸かしていると、みどりさん(ナイト)が帰ってきました。
剣や盾を置いて、ガチャガチャと鎧を脱いでいます。
真面目なみどりさんはドラゴンがいなくなった後も、毎日早朝特訓を欠かしません。

「ドラゴンがいなくなったからって、みんな怠けすぎよ」

みどりさんが言いました。

「みどりさんはいつも頑張りますね」
「それはそうよ。私は姫を守らなきゃならないんだから…。…ああ、姫、姫っ! ああ〜…可愛い…姫、可愛いなぁ…」

みどりさんはモモちゃんが大好きです。
その守るべき主人であるモモちゃんは、昨夜と同じ場所で痙攣していますが。
私は卵をフライパンに落としながら言います。

「とりあえず、朝ごはんにしますね。ハルカちゃんを起こしてきてもらえますか?」
「わかったわ。ところで姫はどこに行ったんだろう?」

足元で痙攣しているモモちゃんに気付かないまま、みどりさんは寝室へ入って行きました。

やがて、寝巻のままのハルカちゃんが目をこすりながら「にゃい、おはよう…」と顔を出しました。
椅子に座って「にゃわわゎゎ…」と眠そうにあくびをしています。
そんなハルカちゃんの前に目玉焼きを置きます。

ハルカちゃんは眠い目をこすりながら、いつものように目玉焼きを指でつまみます。
そのまま口に持っていって、とろける黄身と固まりかけた黄身の合わさる味覚に「ふにゃ〜…」と至福の一時を味わうのです。
…まあ、今日は残念ながら途中で黄身が潰れてしまい、少し涙目でみゃうみゃう泣いていますが。

「姫っ、いつまでも痙攣していないで。朝食ですよ」

みどりさんがモモちゃんを椅子に座らせました。
モモちゃんはテーブルに突っ伏し、「気持ち悪いよぅ、頭が痛いよぅ…」と元気がありません。
ハルカちゃんに相当飲まされたようです。

「そうだ。朝食が済んだら私、出掛けてくるね」

私は言いました。
みんなが「どこへ行くの?」と言っていますが、内緒です。
やっぱり、関わってしまったからには気になるんです。
昨夜の女の子はどうしただろう。

6.
眩しい朝日の中、私はわっせわっせと診療所へ向かって歩いています。
にぎやかなカザンの大通りですが、やっぱり朝だと人もまばらです。
酔ったまま道で寝ていた人も目を覚まし、街の出口へゆっくり歩いて行きます。
宿屋の前では数人集まって本日の行動を確認しているギルドの姿。
どうやら新人ギルドのようで初々しいです。
そんなみんなが朝日に負けないくらい眩しく輝いて見えたのでした。
…今の酒場に入り浸りの私達とはえらい違いです。

それはさておき、私は診療所までやって来ました。
コンコンと扉を叩いて中へ入ります。

「おはようございます」
「あら、モルさん。おはようございます」
「あのー、昨夜の女の子は…?」

お医者さんはにっこり笑い「大丈夫ですよ」と言いました。

「今はよく眠ってるから、お話したいのでしたらお昼過ぎが良いわね」
「いえ、大丈夫かなぁ…って気になってただけですので。大丈夫なら安心しました。彼女によろしくお伝えください。ではー」

私はぺこりんとお辞儀をしてから診療所を後にしました。

7.
診療所からの帰り道。
ふらふらとした足取りで歩いていたモモちゃんを見つけました。
どこへ行くのか聞いてみると「ウサちゃんの足が取れちゃった…」と、白い糸を買いに行く途中とのこと。
私も一緒について行き、糸を買うついでに雑貨屋さんを見てまわったり、露店で売っているお菓子を買ったりしながらギルドハウスへ帰りました。
ハルカちゃんは自分の剣をふーふーしながら磨いています。
そして私達を見るなり、ふんかふんかと鼻を鳴らします。

「あー、ずるいっ。二人して何か美味しいもの食べてきたでしょ。にゃい」
「鼻が良いわね」
「僕もついて行けば良かったな。にゃい」
「わかったわ、お昼の用意するから」

私は台所に向かいます。
何もない、いつも通りの日。
…私は思っていたことをポツリと言いました。

「ねぇ、ハルカちゃんとモモちゃん」
「にゃい。何かな? にゃい」
「たまには何か依頼でも受けて来ない? 毎日ご飯食べて、お酒飲んで、寝るだけじゃ…さすがに堕落するだけだと思うの」

ハルカちゃんは「にゃはは」と笑いました。

「良いよ良いよ。たまには身体動かさなくちゃね、にゃい」
「…うう、私は家にいたい…」

8.
午後。
私達はクエストオフィスで一件依頼をもらいました。
もう暗くなり始めていたので、その足でギルドハウスとは反対の方へ足を進めます。
私達はいつもの酒場、六花亭へやって来ました。
これからお酒を飲みながら久しぶりの依頼達成の為の会議です。
お酒を飲みながら、というのが、いかにもだれてますけど。

「いらっしゃい、ゆっくりしていってね!」

ウェイトレスのかりゆさんが、いつもの席へ案内してくれます。
私達はワイワイと席につき、ビールとエビフライを二皿注文しました。

「あとホッケ」

ハルカちゃん、ホッケ好きだなぁ。
先にビールが運ばれてきたので、みんなで乾杯をしてから依頼書に目を通します。

『最近、バロリオン大森林に凶暴なモンスターが出るので退治してほしい』

これはミロスよりの公式な依頼…というよりミッションでした。
ハルカちゃんは「にゃい。楽勝楽勝、にゃい」と余裕です。
モモちゃんは「…おうちかえりたい…」と涙ぽろぽろ。
…そこへエビフライが運ばれてきました。
二皿とも数本ずつエビフライが減っていますが…まぁ、いつものことです。
私が至高のエビフライを一本つまみ、口に入れようした時でした。

9.
「モルさん、いますか?」

声のする方を見てみれば、診療所のお医者さんが階段のところでキョロキョロしていました。
私はエビフライをさっくりと一口かじってからパタパタと手を振ります。
お医者さんは私を見つけて近寄ってきました。

「ごめんね、せっかく楽しんでいるところを」
「いえ、まだ飲み始めたばかりですから。ところで、わざわざ私を探しに来るなんて何の用です?」

ホッケが運ばれてきました。
ハルカちゃんは「にゃいにゃい!」と嬉しそうに騒いでいます。
それを横目に見ながらお医者さんが言いました。

「昨夜、貴女が運んできた女の子なんだけど」
「…何かあったんですか? 急に容態が悪くなったとか?」
「大丈夫、回復に向かっているから。その彼女がね、どうしても貴女に会いたいって言うの」
「私に?」

…さぁ、どうしよう。
私は放っておけなくて助けただけだし、回復に向かっているなら安心して元通りの他人同士になろうかと思っていたのに。
ハルカちゃんはホッケをはもはもしながら「行っておいでよ、にゃい」とニコニコ。
モモちゃんはお酒を煽りながら涙をぽろぽろ流していて、たぶん話なんか聞いてなかったでしょう。

10.
夜になって、カザンは昼よりもにぎわっていました。
その日の手柄を自慢し合う人達、遠くから初めてカザンにやって来て目を輝かせている新人冒険者…。
そんな人達でにぎわう大通りから外れて診療所の前までやって来ました。
お医者さんが扉を開けて、私を中へ促します。
中へ入ってみると、ベッドの上に昨夜の女の子がちょこんと座っていました。
私は笑顔で近づきます。

「こんばんは。もう起き上がって大丈夫なの?」

女の子はにっこりして頷きます。
それから「ありがとう」と言いました。

「どういたしまして。あんな大怪我して、一体何があったの?」

女の子は何も言いません。
言いたくないのを無理に言わせるのも可哀想です。
私は話題を変えました。

「あなた、お名前は?」
「…」
「お名前…」
「…」

…名乗ってくれません。
名前も教えてくれないなんて。
すると女の子はもぞもぞと言いました。

「…名前なんて無いの」
「名前が無いの…?」
「うん…」

さぁ、困った。
よほど複雑な事情の子を拾ってしまったようです。

「ずっとこんな感じなんですよ。名前も無いって言うし、どこから来たのかもわからないって…」

11.
「それで悪いんだけどね…しばらくこの子を預かってもらえないかしら?」
「えっ!?」
「貴女達のところなら安心だし、なによりこの子が貴女になついてるみたいだから」

いつの間にか女の子は私のスカートをつかんでいました。
ぎゅっと握りしめていて離してくれません。

「…仕方ないかぁ。これも何かの縁ね」

私はしばらく、この女の子を預かることにしました。
…さすがにこの子を連れて六花亭へ戻るわけにもいかないし、ギルドハウスへ帰ろうかしら。

するとそこへ、ちょうど日々の野外鍛練から戻ってきたみどりさんとすれ違いました。

「あ、みどりさん。おかえりなさい」
「ただいま…あれあれ、どうしたの? 可愛い子を連れて…」

12.
「にゃい、かりゆさん。この子にジュースとホッケね。にゃい」

…結局、この子が一緒に行きたいと言うので六花亭まで戻ってきてしまいました。
ハルカちゃんはずいぶん気に入ったらしく、さっきから女の子を離しません。
みんな、この子をしばらく預かることを快諾してくれました。
今日は帰ったらお布団用意しないとなぁ。

「ほらほら、ホッケばかりじゃ飽きるわよ。はい、エビフライ。美味しいよ」

かりゆさんが女の子の前にエビフライの皿を置きました。
ついでに一本つまんで去って行きます…。

「それにしても、この子は何て呼べば良いの?」

みどりさんが言います。
…確かに、名前が無いと不便です。

「にゃい。じゃあホッケちゃんにしよう。にゃい」
「モルさんになついてるんだからミニモルさんにしよう」
「え」

ハルカちゃんが出してた案を華麗にスルーして、みどりさんが勝手に決めてしまいました。
何だかミニモルだと恥ずかしいので、せめてミニモちゃんと呼ぶことにしました。

「にゃい。モモちゃん、遠慮してないでホッケどうぞ。にゃい」
「うう…もうホッケは飽きたよぅ…」

ハルカちゃんは今日もモモちゃんを潰す気です。

13.
深夜のギルドハウス。
今日はお酒をほどほどにしておいた私は、みどりさんと一緒にハルカちゃんとモモちゃんを運んできました。

「にゃい。まだのめるよ…にゃい」
「ダメ。自分で歩けないくらい酔ってるんだからダメ」
「にゃい。ホッケ…」
「うぅ…もうやだ…鬱…」
「姫もさっさと寝てくださいっ!」

私達は二人を寝かしつけ、ソファーに腰かけます。
ミニモちゃんは私の横にちょこんと座りました。

「あなたももう寝なきゃ」
「ううん、眠くない」

ミニモちゃんはにっこりと笑いました。
私とみどりさんは「やれやれ」と笑い合い、「眠くなったら、私のベッドに来なさい」と言っておきました。

「ところでモルさん。この子は昨日、すごい怪我してたんでしょう? こんなに連れ回して良かったの?」
「うん、私も最初はおとなしくさせようとしたんだけど…。お腹の傷が広がらないか、見てみたの。そうしたら…」
「そうしたら?」
「…お腹の傷が、綺麗に無くなっていたの。跡すら無くて、まるで最初から怪我なんかしていなかったように…」

もちろん驚きました。
きっとお医者さんも「この子はただの女の子じゃない…」と知り、私に預けたのかもしれません。

14.
朝。
私がもぞもぞと目を覚ますと、横にはミニモちゃんが寝ていました。
昨夜は私とみどりさんが寝ようとしてた時でも「眠くない」と言ってた起きていたので心配でしたが。
私がリビングへ行くと、あんなに酔い潰れていたハルカちゃんがピンピンしています。
剣の整備をしていました。

「にゃい。もっちゃん、おはよう。にゃい」
「おはよう…早いんだねぇ…」
「にゃい。今日からミロスへ出発だからね、武器も整えておかないと。にゃい」

私はいつものようにお茶を沸かして、フライパンに卵を落とします。
ずっと続いてきた、何も変わらない朝の光景は今日から数日間お別れです。
私達は昨日受けた依頼を片付けに、早速久しぶりの旅に出るんです。

「カザンから離れるのなんて、いつ以来だろうね」
「にゃ~に。さっさと用を済ませて帰ってきて、かりゆさんとこでお酒とホッケ。にゃい」
「ずいぶん余裕ねぇ」

そうしているうちにみどりさんが早朝訓練から帰り、モモちゃんも「行きたくない…手首切りたい…」と起きてきました。
行きたくない割にはしっかり荷物をまとめて準備万端なのが可愛いです。

「さぁて…ご飯だし、ミニモちゃんも起こさないと…」

15.
「むにゃむにゃ…」

ミニモちゃんを起こして来たのは良いんですが、かなり眠そうです。
だから早く寝なさい、って言ったのに。
「眠くなかったの…」
「眠くなくても寝なきゃダメよ」

みどりさんがミニモちゃんをわっしゃわっしゃと撫でて言います。

「お布団に入って羊さんを数えていれば自然と眠くなるわ」
「にゃい。羊かぁー…食べたいなぁ、にゃい」
「ちゃんと朝食は食べようね。目が覚めないわよ」

ここでミニモちゃんが目玉焼きをわし掴みにして、みどりさんに「ハルカラさんのマネしないで、フォークを使いなさい」と注意されています。
フォークを持たされるものの、手付きがぎこちない…。
そういえば昨日もエビフライやホッケを手づかみで食べてたなぁ…。
もしかしたらフォークとか使ったことがないのかもしれません。

「ミニモちゃん。私達、今日から数日間留守にするから、その間は自由にこの家を使ってね。帰ってきたらフォークの使い方を練習しましょう」

私は言いました。
するとミニモちゃんはふるふると頭を横に振ります。

「わ、わたしも一緒に行くよ…」
「ダメよ、危ないもん」
「でもー…」

…困ったなぁ、どうしよう。

16.
昼過ぎ。
私達はカザンとミロスをつなぐ橋を渡っていました。

「これなら夕方には到着するわね」

モモちゃんと手をつないだみどりさんが言いました。
モモちゃんはみどりさんから離れようとしません。
仲が良くて微笑ましいです。

「にゃい。もっちゃん、お昼だね。お腹空いたよ、にゃい」
「それじゃあ、お昼にしましょうか…」

ちょうど良い木陰を見つけ、そこにみんな腰を降ろします。
私はカバンからサンドイッチを出してみんなに配りました。

「にゃい。ホッケが良かったなぁ…にゃい」
「このホッケねこ!」

いつものようにワイワイしながら食べます。
私達を眺めながらミニモちゃんも「おいしい」とサンドイッチを食べていました。

…そう、結局は連れてきてしまいました。
「一緒に行きたい…」とスカートを離してくれなかったので。

「本当は心配だったんでしょ? 母性本能だわね」
「にゃい」

みどりさんやハルカちゃんがニマニマ微笑んでいます。
…まぁいいか。
日頃から何かと鬱なモモちゃんも、ミニモちゃんと一緒にいると和むようです。

「…ぅぅ、ミニモちゃんの前では手首切らないよ…」

それは良かった。
お昼を済ませ、すぐ出発しました。
久しぶりの遠出ということもあり、みんな少しはしゃいでいるようでした。

ミロスに到着し、宿を取ります。
みどりさんとモモちゃんで一部屋、私とハルカちゃんとミニモちゃんで一部屋を取りました。
その30分後、夕飯に行く約束をしといたので、私はみどりさんとモモちゃんを呼びに行きました。

「みどりさーん」

「ぅぅ、ミニモちゃんと一緒の部屋が良かったよぅ…ぅぅ…(さくさくさくさく)」
「姫っ……ぁあ…っ! ひめっ……ひめぇっっ! …んっ…んんぅっ(くちゅくちゅ)」

部屋を開けてみればモモちゃんがリストカット、みどりさんがそれを見ながら自慰にふけっていました。
私の後ろからそれを見たミニモちゃんは恥ずかしそうに目を伏せました。
すでに見慣れている私は二人に「ご飯に行くから早く準備して」と言って扉を閉めました。
素晴らしい騎士と姫の主従関係です。
…ただ、普段は真面目なみどりさんだけに、ミニモちゃんが受けた精神的ショックは意外と大きかったでしょうね。

そして夕飯を済ませた私達は、さすがに今日は飲み過ぎず、おとなしくベッドに入りました。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2013年04月13日 00:08