「……んっ……はぁ……ふ…ぅ………んっ……」
ほのかに耳をくすぐる甘い声と、下半身を包む違和感で、俺は目を覚ました。
その違和感の正体は、不快な感覚ではなく、快感だった。
男なら誰もが経験する、あの朝の生理現象を、柔らかく、暖かな感触が包み込んでいる。
「あぁ……んっ………れろ………ふぅ……」
一定のリズムにそって、ゆっくりと下半身に刺激がこみ上げてくる。
たゆたっていた意識が少しずつ覚醒していく。
俺は、下半身に目をやり、その快感の正体を確かめた。
本当は見るまでもない。はじめからわかっている。
目に飛び込んでいたのは、小さな口で懸命に俺の肉体へ奉仕している少女の姿だった。
綺麗、というよりは可愛いという表現がぴったりだが、それでいてどこか陰りがあるようにも見える幼い顔つき。
美しくしなやかな緑髪からは、ルシェ族最大の特徴である、猫のような愛らしい耳がぴょこりと飛び出している。
俺の覚醒にまだ気づいていないのか、顔を前後して健気な奉仕を続けているその少女の名は――
「アリエッタ……」
「あ…… 起きたんだね、おはよう……」
這わせていた舌を離し、こちらを見上げたアリエッタの顔は、ほんのりと上気していた。
「そのまま楽にしててね。もっと気持ちよくしてあげるから……」
アリエッタは、うっすらと微笑むと、俺の股間に再び顔を埋めてきた。
「んっ……」
その先端に軽くキスをする。
ちゅっという軽い破裂音が響き、ペニスが小さく跳ねた。
目を覚ますまで、既にどれぐらいの間彼女から奉仕を受けていたのだろうか。
俺のものは既に、丹念にアリエッタの唾液を受け、てらてらと光っていた。
そんな俺のペニスに、アリエッタは心底いとおしそうに頬擦りをくれる。
「つっ………」
ふにふにした柔らかな頬の感触の心地よさに思わず声を漏らしてしまった俺に
もう一度にっこり笑って、アリエッタは舌による奉仕を再開した。
先端から根元まで、時間をかけてちろちろと舐め上げる。
そうしてる間にも、手で太股を、睾丸を、やわやわと撫でさするのも忘れない。
「く、ちゅ……んん………はぁ……あぁん………」
偶然なのか意図的なのか、ペニスにかかる暖かな吐息が、快感に拍車をかける。
いや―― 恐らくは、意図的なのだろう。
アリエッタの奉仕は、幼さを色濃く残したその容姿とは不釣合いに、あまりにも巧みだった。
今度は肉茎を唇で柔らかく挟み込み、ハーモニカを奏でるように左右に動かす。
(アリエッタ……お前は……)
体の奥底から搾り出されるような快感と共に込み上げてきた、言葉にならない思いが胸を締め付ける。
この奉仕の巧みさと引き換えに、この少女は多くの苦難を味わってきたのだということを、俺は知っているのだから――
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
初めて彼女と会ったのは、もうどれぐらい前になるだろう。
たまたま訪れた温泉宿で働いていたルシェの少女、それがアリエッタだった。
初めて会った時は、声をかける時間すらも与えてくれず、すぐに俺の視界から姿を消してしまった。
随分可愛い容姿の子だな、そう思った程度だったが、その表情の奥底に憂いを帯びているように見えたのが妙に気にかかった
それから俺はなんとなく、温泉を訪れては少女と話をするようになった。
幸いにも、初対面で嫌われてしまった、というわけではなく、
彼女は誰に対しても人見知りをする性質なだけのようだった。
初めはとまどっていたアリエッタだったが、やがて少しずつ、俺に心を開いてくれた。
驚いたことに、アリエッタは温泉宿の外の世界のことをまったく知らないようだった。
対して値も張らないささやかなアクセサリーのプレゼントも喜んでくれたし、
ほんの少しばかり脚色した冒険譚も目を輝かせて聞いてくれた。
「あなたみたいな人がご主人様になってくれたらいいのに……」
そう言われて、悪い気はしなかった。
――そしてある日、いつものように俺と話をしていたアリエッタは唐突にぽろぽろと大粒の涙を流しはじめた。
「おい、どうしたんだ?」
「あなたと話してたら……なんだか凄く哀しくなっちゃって……
私ね…… 本当は、凄く汚れちゃってるの」
途中で何度も嗚咽を漏らし、つっかえながら、語ってくれた。
この温泉で、裏ではどんなことが行われているのかということを。
――反吐が出そうだった。
俺はなにも、自分のことを公明正大な人間だなんて思っちゃいない。
「必要悪」という言葉の意味だって理解してるつもりだ。
売春も大いに結構だと思ってる。
だがそれは、自分の意思でそれをやっている人間に限っての話だ。
他人を、ましてやまだ幼い少女を奴隷として束縛し、
性の捌け口にして利を貪るような行為だけは、俺は断じて認めたくはない。
だから俺は、その日のうちにアリエッタを連れて逃げ出した。
アリエッタを食い物にしていたあのクソジジイの顔面に一発お見舞い出来なかったことだけが唯一心残りだった。
俺は、アリエッタをひとまずカザンにある自宅(ギルドハウスだが)に住まわせることにした。
「ありがとう…… こんなことまでしてくれて……
迷惑かけてしまってごめんなさい……」
「謝らなくていいさ。俺がしたくてしたことなんだからな。
とりあえず、しばらくはここでゆっくりするといい。先のことはこれから考えよう」
アリエッタは、ひどく申し訳なさそうな表情でこくりと頷いて、もう一度お礼の言葉を口にした。
だが、異変が起こったのはその数日後のことだった。
「ただいま。今帰ったよ、アリエッタ。
………………アリエッタ?」
俺が出先から帰宅すると、すぐに玄関まで出迎えてくれていたアリエッタが、
その日に限っては姿を現さなかった。
ここに来て以来、今まで一度も外出していなかったのに、今日は買い物にでも行ったのだろうか。
不審に思った俺は、アリエッタにあてがった部屋のドアを開けた。
彼女は、ちゃんとそこにいた。
「なんだ、いたのか。出かけてるのかと思ったよ。
いるのなら返事ぐらいは………おい、アリエッタ!!! どうしたんだ!?」
そこで俺は異変に気づいた。
アリエッタの様子は、一目見てわかるほどにあきらかに異常だった。
シーツにくるまって、真っ青な顔でガタガタと震えている。
「う……うぅ……くる、しいよ……
気持ち……わるいの……頭が……ヘンに…なっちゃい……そうなの……」
俺は、アリエッタにの額に手を当てる。
その額は、汗でぐっしょりと濡れていた。
体中の細かい震え、が否が応にも伝わってくる。
幸いにもというべきか、高熱を発しているというわけではないようだった。
だが、だからといって今のアリエッタの様子は、とても楽観出来る状態には見えない。
そういえば、一昨日ぐらいからどことなく体調が悪そうだったのは気になっていた。
「熱はないみたいだけど……どうしたんだ……
すぐに医者を呼んでくるから待ってろ!」
そう言って飛び出そうとした俺の腕を、アリエッタの手が弱々しく掴んだ。
「いっちゃ……だめ……原因ね、わかってるの……」
「???
なにか、持病でも持ってるのか? だったらなおさら医者に」
アリエッタは、力なく首を横に振った。
「あのね………」
言いかけて、黙り込んでしまった。
「どうしたんだ? 言ってみてくれよ」
「………、……せて……」
「え?」
「…い…き、……せて………」
「ごめん、よく聞こえない」
アリエッタは、長い沈黙の後に、意を決したように声をふりしぼった。
「せーえき、のませて……」
「………なんだって?」
今度は聞き取ることが出来た。
だが、理解できなかった。
今、精液と言ったのか? 飲ませてくれといったのか?
頭の中で疑問がぐるぐると回り続ける。
一体なんなんだ、この状況は。
「うん…………あのね……私がね……そういうことするのずっといやがってたから……
前にね、変なクスリを飲まされたの………」
話が――見えない。
「変なクスリ? クソジジイにか?」
「………うん。あの変な真っ赤なお花から作れるクスリだって言われた。
これを飲むと……その……男の人のあれなしでは生きられない体になるんだって……」
そんな――バカな。
「うそだって……思ってた……でもね、違ったの……
5日ぐらいすると、体中がヘンになったの……気が狂いになるの……
こらえ……られなかった!
でも……精液を飲ませられた途端にうそみたいにおさまった……
それで、言われ、たの……これでもうお前は一生逃げられ、ないって……」
「なんだって……そんな、ことが…………………
嘘……だよな………
………く……クソがぁぁぁぁ!」
俺は、感情の赴くまま壁を全力で殴りつけた。
どういう仕組みなのか知らないが、
連中、フロワロまでも悪用していたというのか?
人間を滅ぼすためにフロワロを散布したドラゴン。
それすらも悪用して己が利だけを貪ろうとするニンゲン。
――屑なのは、どっちだ。
クソジジイの、物欲に凝り固まったにやけ面が脳内でフラッシュバックした。
一発殴っておくべきだった?
冗談じゃない。一発や二発で済む話じゃない。
あのクソジジイ、次にあったら二度と足腰が立たないぐらいに――
「……ごめ、ん………ごめんね……… どうしても言えなかったの……
今度こそがまん……出来ると思ったの……に……
こんなこといったら、嫌いに…………なっちゃうよ、ね……」
激昂のあまり目先さえ見えなくなっていた俺は、アリエッタの声でようやく我に帰った。
「違う、違うんだ! 俺はお前に怒ってなんかいない! 嫌いにもならない!
悪いのは全部……あのクソジジイだ……!
………おい、アリエッタ……アリエッタ!?」
アリエッタは、ふらふらと立ち上がった。
そしてそのまま、部屋を出て行こうとする。
「今まで……ありがとう……
本当に嬉しかった……私、出て行くね……」
「バカいうな! その体で外に行けるわけないだろうが!」
手をひっぱるかわりにアリエッタの体をギュッと抱きしめた。
ほんの少し力を込めるだけで折れてしまいそうな華奢な体。
「どこにも行くなよ……こんな形で行かせるもんか……」
「うぅ………」
アリエッタが腕の中でしゃくりあげた。その肩がますます震える。
「行きたくない……私も……行きたくない……よ……
この数日……生まれて初めて……本当に幸せだった……
ここで毎日……あなたが帰ってくるのを迎えてあげたい……のに……けど……けど……!」
「アリエッタ……おい、アリエッタ……!」
アリエッタの膝から力ががくりと抜け、そのまま倒れこみそうになった。
どうやら、もはや立っていることもままならないらしい。
俺は、その細い体をベッドの上へと横たわらせる。
アリエッタの顔からは完全に血の気が引いている。
考えたくないことだが、もはや一刻の猶予もないのかもしれない。
これは、麻薬と同じようなものなのか?
もしかすると、このまま我慢させ禁断症状を乗り越えさせれば、やがては依存が抜けていくのかもしれない。
だがそれは、なにもかもが不明瞭な今この状態で行うにはあまりにも危険な賭けに思えた。
「……アリエッタ。その薬を飲まされたのはいつぐらいか覚えてるか?」
「……一年……ぐらい、前……」俺の問いかけに帰ってくるのは、息も絶え絶えな、か細い声だ。
「薬自体は一度だけ?
「うん……」
「薬じゃなくてその……精液を飲んだあと、副作用みたいなことはいつもないのか?」
「………うん。ない、と……思…う……」
今はとりあえず、やむをえない、か――
躊躇ってる暇はなかった。
「アリエッタ……俺のを飲むのとか、嫌じゃないのか?」
「うん……嫌じゃ、ない……」
アリエッタは今にも消え入りそうなこえで、しかしきっぱりと答えた。
「他の……人のなんて…………もう二度とイヤ………
でもあなたのなら……イヤじゃないの………」
「…………………」
「そうだよね、あなたのほうが……やだよね………
急に、こんなこと言われても……」
「……嫌じゃないさ。全然、嫌じゃない。
アリエッタのためなら」
アリエッタのためなら?
なに、「気は進まないけど仕方なく」みたいな言い方してんだ?
お前は最初から、アリエッタのことを女として見ていたんじゃないのか?
胸の中で誇大化していく自己嫌悪を、無理やり押さえつける。
「嬉しい……ありがとう……」
「ああ。どうすれば、いいのかな……」
「脱いで……お口でさせて……お願い……
それぐらいなら、出来るから……」
衣服を脱ぎとり俺はペニスを露出させた。
こんな事態だから当然のことだが、その部位は力なく縮こまってしまっている。
「ごめん……口元まで……きてもらっても、いい……?」
アリエッタに言われるまま、俺はペニスを彼女の青ざめた唇にあてがった。
「ああ………んっ……」
うっすらとあいた唇から桃色の舌が覗き、俺のペニスにそっと触れた。
アリエッタの――舌が俺のものに――
信じられないほどに易々と股間に大量の血が漲った。
「凄い……もう……こんなに……」
自己嫌悪が更に膨れ上がったが、一度いきり立ったペニスはその勢いを失わない。
むしろ、ますます強固に膨れ上がっていくようだ。
「ん……」
アリエッタの口がゆっくりと、大きく開かれる。
俺は、吸い込まれるようにその口中に剛棒をつき立てた。
そして、俺は結局――
アリエッタの弱々しいフェラチオでいともあっさりと果て、その口内に精液を吐き出した。
「ありがとう……もう大丈夫みたい」
疑っていたわけではないが、薬の話はやはり本当だったらしい。
俺の精液を嚥下したアリエッタの顔には少しずつ赤みが差し、
その数分後には体の震えもすっかりおさまったようだった。
そんな彼女の顔を、俺は自己嫌悪の念でまともに見ることが出来なかった。
「……なんていうべきなのかわからないけど……ひとまずは良かったかな」
言うべきか悩んだか、結局俺はもう一言付け加えた。
「……気持ちよかったよ」
「あ……」
アリエッタの頬に、これまでとはまた質の違う赤みが差す。
「……は、恥ずかしいな……そんなこと言われると………
………………………
あのね……さっき言ったこと……嘘じゃないからね……
あなたのなら……イヤじゃない……ううん、本当はさせて欲しい……して、あげたいの……」
「……アリエッタ」
嬉しかった。
やっぱり俺はもう、アリエッタのことをこんなにも――
「これからもお世話になるし、次からは……
せめてもっともっといろんなことして……たくさん気持ちよくさせてあげるからね。
私に出来ることはそれぐらいだから……」
そう言って微笑んだアリエッタのその笑顔が、無性に哀しかった。
俺は何も言わず、アリエッタの体をただ強く抱きしめた。
「残念ながら今のところ、加工されたフロワロの成分を
体内から完全に排出する手段は見つかっていないというのが現状なんだ。
禁断症状で死に至った例も……ある。
ただし……定期的に口腔から精液を摂取することですべての症状を抑えられるのは事実のようだ。
こんなことを言うのも気休めに過ぎないかもしれないが、そのことによる副作用も今のところ見つかっていない。」
それが、世界一医学が進んでいるというプレロマの医者の言葉だった。
どうやら、忌々しいことに、あの薬は裏社会を中心に少しずつ広まりつつあるらしく、
精液依存症となった患者を目にする機会も増えているらしかった。
流出元はやはりというべきか――温泉宿のあるあの地方のようだったが、現時点で正確に特定はなされていない。
だがあのクソジジイはいつか必ず、然るべき報いを与えてやる。せいぜい今は、目の前の金にせいぜい溺れているがいいさ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
俺が快楽を身を任せつつもぼんやりと回想に浸っている間に、
いつのまにかアリエッタは、ペニスへの奉仕を続けたままで、
器用にも上半身の衣服をはだけ、真っ白な素肌を露出させていた。
なめらかな肩と鎖骨のくぼみは、まだ幼い少女にも確かに女を感じさせた。
いまだ成長途上であろう控え目な乳房の中心の、
乳房のサイズに相応しく、控え目でつつましい桃色の乳首が目に眩しい。
アリエッタは、握ったペニスの先端を、その突起にすり合わせた。
「ん………気持ち、いい?」
「ああ……最高だよ、アリエッタ」
俺は手を伸ばし、アリエッタの耳に触れた。
「あっ……だめぇ……」
ルシェ族全体の特徴なのか、個人の嗜好なのかはわからないが、
アリエッタは耳を撫でられると、その快感に激しく反応した。
表面を優しく撫ぜてあげるだけで、乳首や下腹部を愛撫するとき以上に可愛い声で鳴くのだ。
「あっ……んっ、んっ……んんんぅぅぅっ……!」
アリエッタの体が、びくんびくんと跳ね上がった。
どうやら、乳首と耳に刺激を与えられただけで軽く達してしまったらしい。
「もう……今日は私がしてあげる番なのに……」
不満顔で膨れてみせるが、その様子まで愛らしい。
「いいだろ、別に。俺だって十分気持ちいいよ」
「もっともっと、気持ちよくなってくれなきゃだめなの……
あ……そうだ……」
アリエッタは、口中から出した大量の唾をペニスへと塗りたくった。
たちまちのうちに、肉棒がこれまで以上にぬるぬるになる。
「こういうのは……どう?」
言いながらアリエッタは右手をあげ、腋にペニスにあてがった。
腋毛の生えてないすべすべのそこに押しあてられ、擦り付けられる。
「なんだこれ……ああ……気持ちいいよ」
「ほんと? じゃあもっとよくしてあげるね」
アリエッタは腋を閉じ、体を前後に揺すり刺激を加え始めた。。
まだ女として成長しきっていないような少女の腋でペニス扱かれるのは、
性器に挿入するのと同等か、ある意味ではそれ以上の快楽だった。
「マジで凄いよ……これ、ほんとにヤバいかも……」
「私ね、あいつにはほんの少しだけ感謝してるの……
あなたに会えたし、無理やりにでも色んなこと覚えさせられたせいでこうやって悦んでもらえるから……」
「……冗談でもそんなこというなよ」
「ほんとだもん……あなたに会えただけで……
これまでの不幸が全部どこかにいっちゃったぐらい幸せなんだもの」
「……バカ」
話してる間にも、アリエッタの腋による奉仕は続いてた。
次第に早まるその動きに、絶頂の予感が込み上げてくる。
「ああ、もう……イきそうだ」
「うん、出して……!
イっちゃうときは、私のお口に、いっぱいだしてね……!」
アリエッタは口を大きくあけて舌を出し、精液を受け止める体勢に入った。
「くっ………アリエッタ……出る……ッ!」
俺は腋からペニスを引き抜くと、眼前に突きつけた。
アリエッタの白く細い指が、爆発寸前の剛直を扱きあげる。
「………ッ!」
ペニスから白濁液が勢いよく発射された。
その大半がアリエッタの口中に流れ込み、収まりきれなかった分が溢れ出す。
アリエッタは、最後の一滴が出尽くすまで待ったのち、口を閉じてこくんと飲み込んだ。
「ああ……おいしい………」
トロンとした表情に、火照った肌。ゾッとするほどに可愛かった。
俺は自分の精液の味にも構わず、アリエッタと口付けを交わし、激しく舌を絡めあった。
「なあ、アリエッタ。今日はミロスの城下町に行かないか?
その格好も可愛いけど、年頃の女の子なんだ。他の服も欲しいだろ?
アクセサリーでもなんでも、好きなもの買ってやるよ」
「え、本当に?」
アリエッタの表情がパッと輝く。
だが、その表情はまたすぐに曇ってしまった。
「でも……やっぱり、行けないよ……」
「追っ手が怖いか?」
その問いかけに無言のまま、コクリと頷く。
「大丈夫さ。こんなところまで追っ手をよこすほどあの強欲ジジイもヒマじゃない。
あいつは、いなくなった女一人を手間かけて探すより、他の手段で稼ごうとするようなやつだ。
……それに」
「……それに?」
俺はそこで言葉を溜め、アリエッタの頭に、ぽんと手を乗せた。
そのまま優しく、ふわふわの髪と、ついでに耳を撫でさする。
「あ……」
「それに……アリエッタ。
お前のことは、この先どんなことがあろうと、俺が絶対に守ってやる。
だから心配するな。信じられないか?」
「……ううん、行く!」
そう言ってようやく頬をほころばせたアリエッタの姿は、これまでに見たどんな姿よりも一番輝いて見えた。
今日はアリエッタとずっと一緒にいよう。
一緒にミロスまで行って、欲しいものを欲しいだけ買ってあげて、
これまで食べたことがないような美味しいものを、
泣きが入るぐらいまでいっぱい食べさせてあげよう。
ドラゴンを滅ぼす? 世界を救う?
そんな大それたこと、考えちゃあいない。
今はただ――
目の前のアリエッタを――
この、最愛の少女を――必ず、必ず幸せにしてみせる。
例えこの先どんなことがあろうとも。
それが今の俺に与えられた、最大のミッションだ。
なってやるよ、アリエッタの光に。兆しに。
(了)
最終更新:2013年04月19日 20:45