《一日目、1300時》
【カザン近郊、木の上】
「さ-てと、今日はどうしたもんかね」
日銭や食いもんはそこいらにいるモンスター誘い出しゃなんとかなるが、暇だけはどうにもなんねんだよな。
「…久しぶりに喧嘩でも吹っ掛けてみるか」
起き上がり街の方に向かう途中、女を介抱している男を見掛ける、……
………まぁ暇潰しにはなるか…
「どうしたよ、こんな所で」
「はぁ、実は姉さんが毒にやられてしまって、すみませんが街まではどれくらいですか?」
「そんなに遠くはねえよ、付いて来な」
「え、あ、ちょっと待って下さい、姉さんを…」
「そいつはあんたのツレだろ?遅れんなよ」
そう言うと俺は歩きだす、まぁ、少しは気にしておくか…
俺は少し離れた所で殺気を放ち、モンスターをこちらに集めるようにする、
途中何体か襲い掛かってきたが、あいつらは…襲われてねえよな。
《1520時》
【カザン:六剣亭前】
「着いたぞ、ここに医者が居る、診てもらえ」
「あの、貴男は…」
「俺はいいだろ、怪我もしてねえし、じゃあな」
そいつらと別れ、丁度いい相手を探す、街中でやってもいいが、邪魔が入る時があんだよな、
ふと…別れる時宿から侍が焦って出て来た事を思い出す……俺はそいつを追う為に街を出た…
「さて、どこに行ったか…」
《1540時》
【森付近】
「お、いたいた…」
なんとか追い付いたようで、森に入る所が見えた、
「お手並み拝見…と」
俺は気配を消し木の上から様子を見る、早々マスクナッツ達の奇襲を受けていた、居合か…、1…、うわショボッ、…2、‥3、4、まぁそんなもんか、木を降りてそいつに近づく
「面白え事やってんじゃん、なあ俺とも遊んでくんない?」
「どこでだ?ここでも構わんが」
振り向かないが意識が俺に向けられる
「ここじゃ俺に有利過ぎるだろ、森の外でやろうぜ、その前にこいつをやるよ」
パロの実を投げる…時間差で2つ目、チッ…捕りやがった
「小賢しいな、まぁ、使わせてもらう」
俺達は森を出る
《1600時》
【草原】
「さ、どっからでもかかってきな」
両手を広げ挑発する
「なら、遠慮無く行かせてもらう」
そう言うと奴は5m程の距離を一気に詰めて来た
ハッ、遅えな、飛び退きつつ牽制にダガーを投げる、…ッ居ねえ!
その直後、地面に叩き付けられた、受け身は取れる、血は…斬れて…ない?こいつ、殴ったのか…
「んだよ、マスクナッツん時より速えじゃね-か」
「知るか、見誤ったのはお前だ」
「テメエ、コロス」
俺は気配を消し辺りに溶け込む、殺気を抑え、息を潜め、自然に紛れる…
「そんじゃあ、これならどうよ」
「ほう…流石だな」
奴は動かない、俺はその背中に狙いを付ける
「取った!」
「くっ」
今度は寸でで防がれたが、避けられはしねえのか、なら追い詰めてみるか
打ち込む際、奴の足下にワイヤーを通したダガーを挿していく、繰り返すうちに攻撃も擦るようにはなってきた
「これで…」
ワイヤーを張ったダガーを、回り込みつつ数本投げ付ける
「仕上げだ!」
ダガーを上に投げ、右手で逆袈裟に斬り上げる、
「チィ、浅いか」
そこに物凄い勢いで刀が振り下ろされた…紙一重で躱したが、奴の刀が弾け飛んだ。
…ヤバ過ぎるだろ…今のは…
…さて、始めるか。
俺は姿を現し、話し掛ける、アレを決めるにはハッタリでもかますしかねえからな
「あんた、影縛りって知ってるか?」
「影縛り…?」
「ある呪を掛けた刄を影に刺すとな…」
ダガーに張ってあるワイヤーを引き、脚に絡ませる
「なっ足が!…ワイヤーだと?」
「影縛りなんて嘘に決まってんだろ」
奴に駆け寄り渾身の突きを繰り出す、
この突きもフェイクにしてワイヤーを掴んですぐに離れるつもりが、躱され肩打で弾き飛ばされる、
結構痛えが準備は整った…
「さぁ、ショウタイムだ」
仕掛けを起動させる、と…
今まで差し込んできたダガーがワイヤーに振り回されながら巻き取られる、
──俺のダガーはグリップが短く根元には輪と短い刄が付いている、
輪にワイヤーを通し巻き取る事で絡めた物を切り刻める──と言う訳だ
これで、奴はズタボロだ、そこに先程上に投げたダガーが落ちてくる、
あ-起動させんの早かったか…
背中に数本刺さっているが、致命傷とは行かねえだろう、俺は刀を拾い倒れている奴に近づく
「おい、なぁ、まだやれんだろ?」
柄で頭を数回小突くと柄を掴まれた、
瞬間、空気が変わった、もう脚は縛ってねえ…俺は一気に距離を取る、あの傷じゃここ迄は…
奴は立ち上がると、頭上に構え俺に向かってくる、
…速っ…回避が遅れ、振り下ろしに対してワイヤーの束で受け流すが、直後ワイヤーを通して電撃が走った
「っがああぁあぁぁぁ!」
…一瞬気を失っていたらしい、気が付いたら腹の辺りが凍っていた、更に追撃が来る…奴の拳が燃えている様に見えた、
止め処無く来る連打の中で、笑いが込み上げ止まらなくなっていた
「ッハハハハハハ…いいねぇ、サイコーだよ、あんた…もっとだ…もっと愉しもうぜぇ!」
最後に、止めと言わんばかりの一撃で殴り飛ばされる
「痛ってえな、まだまだこれからだぜ、っ…クソッ体が動かねえ…まだやれんだろ、っつ-かやらせろ!なんで俺の方が先に動けなくなってんだよ!」
「うるさい」
鞘で顎先をはたかれる
「がっ…くそが…憶えて…やがれ…」
《2120時》
【カザン:イカス治療院】
…っ、──ここは…?
気が付くとベッドで寝ていた…なんで?…奴は?…つ-かどこだよここ、誰が連れて来た?…
尽きぬ疑問が巡る中、誰かが話し掛けてきた
「やぁ、起きたね、調子はどうだい?」
誰?…なんか軽薄そうな男が居た…
「君の怪我ね、チョチョイのチョイと直しておいたよ、多分平気じゃない?」
………医者!?こいつが!?まぁ確かに、白衣着てるし、そう言われればそうかもしれないが…しっくりこねえな。
「そう言えば、あいつ、あいつはどうしたよ?」
「あいつ?…ああもう一人の彼ね、彼も直したけど、まだ起きてこないねえ、
彼、君より酷かったのに、君を担いでここまで来たみたいだよ、君は火傷に全身打撲、彼は全身刃物傷だらけだったよ」
…なんで俺を助ける気に?まぁ敗けちまった訳だから、命があって儲けもんか…
またやりてえが、殆ど手の内晒しちまったもんなぁ、
しかし初撃のアレ、なんで殴った?抜いてりゃアレで終わったのに…
「あ、そうそう治療費は先に起きた方に頼もうと思ってたから、君お願いね」
「え!?俺が!?」
「いいじゃない、そんなに高くはないよ、と言う訳でこれ徴収書」
渋々受け取り、額を見る
『治療代・35G、イカス』
簡素だな-、まあ払ってやるか、
「仕方ねーな、じゃああいつが起きたら俺の所に来いって伝えとけ、俺は寝る」
「あ、そうそう、君の名前は?」
「あ?カガリ(篝)だ、」
そう言い横になる、傍から見たら不貞寝に見えそうだな…
【カガリ編・一日目終】
最終更新:2013年04月22日 19:53